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若年層の大麻乱用等に関する意識調査の結果からみた効果的な薬物
若年層の大麻乱用等に関する意識調査の結果からみた効果的な薬物乱用防止教育の検討 若年層の大麻乱用等に関する意識調査の結果からみた効果的な薬物乱用防止教育の検討 ◆ 研究概要 ◆ ● ◆ 「 大麻 」 と 「 マリファナ 」 が同一物であることの認知度 ◆ 鹿児島県薩摩川内市,さつま町のすべての 「 高校 」 ,「 短期大学 」 ,「 大学 」 の学生を対象として大麻乱用等に関するアンケート調査を行った。 ● 大麻の 「 俗称 」 等に関する教育の必要性 約 9 割以上の学生が大麻の違法性を認知していたにもかかわらず,大麻とマ リファナが同一物であることを認知していた学生は,約 5 割ほどであった。この 結果から,薬物乱用防止教育を行う際には,薬物の「 俗称 」等に関する教育も 行う必要があることが示唆された。 Q : あなたは 「 大麻 」 と 「 マリファナ 」 が同じものであることを知っていますか? 100 [% ] 60 20 0.7 % 0 ① ② H 22 年 2 月に警察庁から発表された報告書によると,平成 21 年の大麻事犯の検挙 件数,検挙人員とも過去最高を記録した。また,少年及び 20 歳代の若年層の構成比率 は,大麻事犯全体の検挙人員の約 6 割を占めていた。このような背景から,今後,若年 層に対する薬物乱用防止のための広報啓発活動を一層強化していくことが急務とされて いる。1 ) ※ 乾燥大麻が詰められたタバコ 3 ) ・ 大麻の使用方法 違法薬物の俗称について周知させることが必要。 Q : 「 大麻 」 を吸うことについて,あなたのもっとも近い気持ちはどれですか? 100 94.9 % ① 関心がない ② ③ ④ ⑤ 80 [% ] 60 40 大麻乱用者は,大麻を乾燥させタバコ状にして吸 煙している場合が多い。 2 ) タバコとブレンドして吸 煙している場合もある。 大麻に何らかの興味がある学生 0 0.6 % ② ③ 1.4 % 0.1 % ④ ⑤ Q : あなたは,「 タバコ 」 を吸いますか? ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 88.7 % ◆ 調査対象及び方法 ◆ 80 ( Ⅰ ) 調査対象 鹿児島県薩摩川内市,さつま町のすべての 「 高校 」 ,「 短期大学 」 ,「 大学 」 の学生 を対象とした。 ※ アンケート回答者の性別・年齢別 構成比 [ 性別 ] 男性 女性 回答なし [ 年齢別 ] 15 歳 16 歳 17 歳 18 歳 19 歳 20 歳以上 回答なし [人] 1905 1756 10 [%] 51.9 47.8 0.3 [人] 602 1018 1041 528 206 272 4 [%] 16.4 27.7 28.4 14.4 5.6 7.4 0.1 60 [% ] 40 0 ① 5.7 % 2.0 % 1.4 % 1.7 % 0.5 % ② ③ ④ ⑤ ⑥ 100 97.1 % ① 大麻に興味のない学生 ② 大麻に何らかの興味がある学生 89.1 % 10 80 60 [% ] 40 10.9 % [% ] 喫煙経験者 5 2.8 % 非喫煙経験者 0 ② 20 ( Ⅱ ) 調査時期 平成 21 年 8 月 1 日 ~平成 21 年 9 月 31 日 ( Ⅲ ) 調査内容 ・ 「 喫煙歴 」 ・ 「 大麻に対する認知度 」 ・ 「 大麻乱用に対する意識 」 等 ( Ⅳ ) 調査方法 0 ① ② ○ χ 2 検定にて有意差あり : P < 0.001 ○ オッズ比 [ OR ] : 4.176 [ 95 % CI : 2.860 – 6.097 ] 喫煙経験者は,非喫煙経験者に比べて,大麻乱用防止に対する規範意識が低い。 ・ 無記名自記式アンケート ( 選択式 ) ・ 留置調査法 ◆ まとめ ◆ ◆ 大麻の違法性認知度 ◆ Q : あなたは 「 大麻 」 が違法な 「 薬物 」 であることを知っていますか? 96.4 % ① ② ③ ④ 喫煙経験者 ◆ 「 大麻乱用への興味の有無 」と 「 喫煙経験の有無 」の関連性 ◆ ※ 薩摩川内市 ,さつま町の人口 ・ 面積 ( H 22 . 9 . 1 現在 ) [ 薩摩川内市 ] [ さつま町 ] [ 鹿児島県全体 ] 人口 [ 人 ] 99062 24048 1704037 面積 [ km2 ] 683.5 303.43 9044.34 今まで吸ったことがない 吸ってみたことがある ( 一度でも ) 過去に吸っていたことがある ( 現在は吸わない ) たまに吸うことがある 毎日吸っている 回答なし 20 ○ 調査対象 : 4066 名 ○ 有効回答数 : 3671 名 ( 回答率 90.3 % ) ① 2.9 % ① ◆ 喫煙経験 ◆ 若年層に対して,大麻乱用等に関するアンケート調査を行い, 効果的な薬物乱用防止教育のあり方を検討する。 [ % ] 60 40 どんなものか,見てみたい 一度くらいなら,試してみたい 経験がある 回答なし 20 ◆ 研究目的 ◆ 20 0 ③ ◆ 大麻乱用に対する興味 ◆ ・ 大麻事犯の増加 と 高い構成比率を占める若年層 100 80 ① 知っている ② 知らなかった ③ 回答なし 51.1 % 47.9 % 40 ● 効果的な薬物乱用防止教育を行うための喫煙防止教育の重要性 喫煙経験者は,非喫煙経験者と比較して大麻乱用に対して何らかの興味を持 つ可能性が,約 4 倍高くなることがわかった。この結果により,薬物乱用防止教 育を行う際には,喫煙防止教育を併せて行うことが効果的であると考えられた。 ◆ 背景 ◆ 「マリファナ」などの「俗称」で「大麻」を勧められた場合, 違法な薬物と認識せず入手してしまう可能性あり 80 知っている 近頃のニュースを見て知った 知らなかった 回答なし 1.8 % 0.7 % 1.1 % ② ③ ④ 9 割以上の学生が,大麻の違法性を認知している ○ 若年層の大麻乱用を未然に防ぐためには・・・ まず喫煙をさせないことが重要である。 ○ 今後、薬物乱用防止教育を行う際には・・・ 併せて喫煙防止教育や薬物の俗称の教育についても積極的に行っていくこと が効果的である。 ◆ 参考文献 ◆ 1 ) 警察庁. 平成 21 年中の薬物 ・ 銃器情勢 . 2010 ; 6 – 8 2 ) 大島 徹 , 高安 達典 . 薬物濫用と法医学的取り組み . 大学教育センター開放紀要 第 17 号 . 1987 ; 93 - 94 3 ) 鹿児島県薬物乱用対策推進地方本部 . 薬物乱用防止の手引 . 2000 ; 29