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第 17 講 世界の気圧帯と風

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第 17 講 世界の気圧帯と風
基礎からわかる地理
第 17 講 世界の気圧帯と風 1.大気の大循環 ① 気 圧
・ 赤道低圧帯 → 赤道は気温が高く、大気が暖められ膨張し上昇気流が発生し、
低圧となる。
(極は逆に低温であり、空気が収縮し下降気流が卓越、高圧となる)
・ 中緯度高圧帯 → 赤道で上昇した大気が回帰線付近で下降した慰留を起こす。
その際下降気流のおこる部分が高圧となる。
※ 極からと中緯度の高圧部分からの大気の衝突部分で弱い上昇気流が発生し低圧
帯となる(高緯度低圧帯)。
※ 転向力(コリオリの力) → 風は自転の影響で北半球では時計回り、南半球で
は逆の反時計回りの方向に曲げられてしまう。
② 恒常風 :上記の大気の循環により吹く風の総称
・ 貿易風 → 中緯度高圧帯から赤道低圧帯へ向かって吹く風。転向力により北半
球は北東貿易風となる。南半球は南東貿易風。 ・ 偏西風 → 中緯度高圧帯から高緯度低圧帯に向かって吹く風。転向力の影響で
西風となり、偏西風と呼ばれる。偏西風の中でも、上空高く、風速の
大きい部分をジェット気流とよぶ。
※ 極東風 → 極から高緯度高圧帯へ吹く風で、東よりの風となる。
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第 17 講 世界の気圧帯と風
2.その他の風 ① 季節風
・ 季節風 → 大陸と海洋の暖まりやすさ(比熱)の違いで発生し、冬は大陸から、
夏は海洋から吹き付ける。大陸の東側で顕著。
例:日 本 夏は南東風、冬は北西風
インド 夏は南西風、冬は北東風
② 熱帯低気圧
・ 熱帯低気圧 → 熱帯等暖かい海域で発生。強い上昇気流から発生した低気圧で、
暴風雨をもたらす。発達すると「台風」と呼ばれる。
例:アメリカではハリケーン、インド周辺ではサイクロンと呼ばれる。
③ 地方風
・ 地方風 → 局地的に決まった季節に吹く風。
例:フェーン(初夏にアルプスからスイスやドイツに向って吹く高温乾燥の風)
ボラ(冬のディナルアルプスからアドリア海に吹き下ろす冷涼乾燥の風)
シロッコ(春にサハラから地中海を超えて南ヨーロッパに吹く南風)
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基礎からわかる地理
【ワーク】
以下の世界地図に、講義で登場した季節風と熱帯低気圧の発生場所を示しておこう。
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第 17 講 世界の気圧帯と風
次の問に答えよ。
(1)緯度 20
30
あたりで生じる、年間を通じて下降気流が卓越する気圧帯を何という
か。
(2)前問(1)から高緯度に向かって吹く恒常風を何というか。
(3)前問(1)から赤道に向かって吹く風の方角を答えよ。(北半球で)
(4)赤道付近では上昇気流と下降気流、どちらが顕著にみられるか。
(5)日本周辺の夏の季節風の向きを答えよ。
(6)インド半島の冬の季節風の向きを答えよ。
(7)夏と冬の季節風で大雨をもたらすのはどちらか。
(8)インド洋で発生する熱帯低気圧の名称を答えよ。
(9)山越えの風が乾燥し、高温化する現象を何というか。
(10)冬、日本の太平洋側と日本海側を比較すると、前問(9)が発生しやすいのはどちらか。
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基礎からわかる地理
次の各文には誤りがある。誤りを訂正し、正しい文に書き換えよ。
(1)中緯度高圧帯から高緯度に向かって吹く風は、北半球と南半球では方向が真逆である。
(2)赤道低圧帯の影響を受ける地域では乾燥しやすい。
(3)冬の季節風は海洋から大陸にむかって吹く。
(4)熱帯低気圧は海水温がもっとも高くなる 6 月頃(北半球で)に発生しやすい。
(5)メキシコ湾では夏、トルネードによる高潮の被害を受けやすい。
次の問に答えよ。
(1)モンスーンアジアでは降雨の影響で侵食力が極めて大きい地域が多い。その理由につい
て 60 字以内で述べよ。
(2)日本列島では一般的に天気は西から東にむかって移り変わる。その理由を 30 字以内で
述べよ。
次の図は、マダガスカル(アフリカ大陸の東)における 7 月の降水量分布と標高 1000m 以
上の範囲を示したものである。マダガスカルの 7 月の卓越風向として最も適当なものを図中
の①
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④のうちから一つ選べ。(2008 年センター本試)
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