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第 67 講 日本の気候の特色と地域差
第 2 章 現代世界の地誌的考察 第 67 講 日本の気候の特色と地域差 季節変化 ・夏の季節風の影響を強く受け,降水量は世界的に有数。 ・ 季節別特徴 春:移動性高気圧の定期的な通過による,周期的な天気変化。 梅雨:6月から7月にかけて停滞する前線のため、降雨が多くなる。 夏:小笠原気団の影響で高温多湿の日が続く。南東からの季節風による降雨も。 秋:台風が襲来しやすくなる。 冬:シベリア気団からの北西の季節風が卓越する。暖流の対馬海流からの水蒸気 の供給と、日本列島中央の山脈による上昇気流で日本海側は豪雪に。一方, 太平洋側は乾燥した風が吹く(空っ風、おろし)。 ※秋雨(秋霖)→小笠原気団とオホーツク海気団との間の前線が秋に発達し、それに よりぐずついた天気が続く。 ※梅雨前線→北東のオホーツク海気団と南東の小笠原気団が初夏にぶつかり、前線を 形成する。はじめは南方に位置するが次第に北上し,北海道周辺で消滅 する。 481 第 67 講 日本の気候の特色と地域差 地域比較 ① 地域と気候 ・日本海側:冬に豪雪、夏は南東からの山地から吹き下ろす乾燥高温の風の影響を受 ける。豪雪の雪解け水が稲作に利用される。 ・太平洋側:冬は晴天が多いが,夏は南東からの季節風の影響で降雨が多くなる。 ・北海道は、寒冷で梅雨もないため少雨。また瀬戸内や中央高地は内陸性気候で降水 は少なめ。 ※近年の都市部の開発により,大都市を中心にヒートアイランド現象(都心部の異常 高温)が生じる。アスファルト舗装の普及や人工熱が原因。 ② 生活の特色 ※ 低湿地:洪水対策として居住地を堤防で取り囲んだ輪中が形成。また洪水時に被 害を抑えるため,水屋(避難するための盛り土した小屋)をもうけるこ とが多い。 ※ 豪雪地:合掌造りや曲屋(住居に馬屋をつけた L 字状の住居)など伝統的な家屋 が多い。北陸に見られる、通路確保するための軒先を高くしたアーケ ードである雁木は有名。 ※ 季節風:関東の平野では,北西の季節風を防ぐため風上側に防風林として屋敷林 をもうける。同様に日本海側、富山県等では南東からの季節風も防ぐた め北西、南東にもうけることもある。 ※沖縄では台風が多く襲来するため,軒の低くした住居にし,石垣や暴風の壁をもう けることが多い。 482 第 2 章 現代世界の地誌的考察 【ワーク】 次の雨温図は、札幌、新潟、広島、東京、那覇のいずれかである。それぞれ該当する都市 を答えよう。 30 25 500 30 450 25 20 20 5 300 250 200 15 10 5 -10 50 0 -10 300 250 200 350 15 10 5 25 500 450 30 25 400 20 50 0 15 10 5 300 250 200 0 350 15 10 5 250 200 150 50 0 100 -5 -10 4 5 483 300 0 100 -10 450 400 150 -5 500 20 350 300 250 200 150 0 100 -5 -10 1 2 3 30 450 400 100 -5 500 20 0 100 -5 25 150 150 0 30 350 350 10 450 400 400 15 500 50 0 50 0 第 67 講 日本の気候の特色と地域差 次の問に答えよ。 (1)日本列島の夏の気候を左右する太平洋上の気団を答えよ。 (2)日本列島に吹く、冬の季節風の風向きを答えよ。 (3)梅雨前線の形成に大きく関わっている気団を二つ答えよ。 (4)秋に見られる長雨を何というか。 (5)東北地方にみられる初夏、北東からの冷涼な風を何というか。 (6)関東地方で降水量が多くなる時期はいつか。 (7)北海道と新潟県ではどちらが冬の降水量が多いか。 (8)台風の時にみられる、海面が高くなり、沿岸で浸水などの被害をもたらす現象を何とい うか。 (9)東北地方で見られる、馬の飼育に特化した伝統的な家屋を何というか。 (10)都市部の高温化現象をカタカナで何というか。 484 第 2 章 現代世界の地誌的考察 次の各文には誤りがある。誤りを訂正し、正しい文に書き換えよ。 (1)北海道や日本海側の地域では、4月 5月頃に降水量が多くなり河川の増水が見られる。 (2)山梨県や長野県では、盆地で風が遮られるため、気温の年較差が小さい。 (3)夏至の日に、昼間(太陽が出ている時間)が最も長いのは沖縄県である。 (4)関東地方では冬の季節風を防ぐため、建物の南東に林をもうけるところが多い。 (5)一般的に南の地域の降水量が多く、日本で最も降水量が多い地域は沖縄になる。 次の問に答えよ。 (1)沖縄で見られる伝統的家屋の外見上の特徴を背景も含めて 60 字以内で述べよ。 (2)近年、都市部の高温化が懸念されている。このような現象を引き起こした原因を 60 字 以内で述べよ。 485 第 67 講 日本の気候の特色と地域差 次の写真(山形県最上地域と隣接地域)は図中のA、B 地点で撮影した家屋であり、下の文 章はそれらの自然環境に対応した工夫について述べたものである。下の文章中の下線部① ④のうちから、適当でないものを一つ選べ。(2010 年センター本試) 486 第 2 章 現代世界の地誌的考察 A地点では、積雪量の多さに対応した工夫がみられ、①雪の滑落を容易にするための急な 傾斜のトタン屋根を持ち、②冬季に家屋への出入りを容易にするための高い床を持つ家屋を 目にする小田が多い。一方 B 地点では、③夏季にやませの影響を受け、 ④冬季に季節風の 影響を受けるため、屋敷林をもうけた家屋が見られる。 487 第 67 講 日本の気候の特色と地域差 488