...

6 水害

by user

on
Category: Documents
20

views

Report

Comments

Description

Transcript

6 水害
6 水害
(1)災害の
災害の様相
農作物の水害は多量の降水とそれが一時に流出するために発生する災害で,豪雨と融雪がその主要原因となっている。局
部的には高潮が原因となる場合もあるが,本県の場合は梅雨期から台風襲来期にかけて毎年のように豪雨に見舞われ水害
が発生している。
水害による被害の様相は地形や作物の種類あるいは水害の発生原因や時期,その他多くの条件によって変わってくる。例
えば,地形の急峻な上流地域では山崩れや急流による耕地や作物の埋没・流失が多く,下流の平担地では泥土の沈積によ
る埋没や氾濫による冠水,侵水の被害が多い。また,海岸地帯は高潮による塩害が発生する。作物が冠水して水没すると酸
素欠乏状態となり,糖類や澱粉をつかって無気呼吸するので,呼吸基質の消耗をきたして,作物は枯死する。
冠水による被害程度は冠水時間,水温,水深,水の清濁,流速などに影響され,また作物の種類,品種,生育ステージによ
って異なる。冠水時間と被害の関係を表1と表2に示す。
表1
野菜の塩冠水による被害(砂土)(位田氏1954)
表2
北九州の水害地にみる野菜の耐水性
(二井内氏
1953)
6月26日,午前11時,水温19.8度
(2)災害対
災害対策
ア 事前対
事前対策
(ア)圃場の選定
野菜の栽培にはまず浸冠水を受けにくい圃場を選ぶことが大切である。梅雨期や台風襲来期には排水が十分行えるよう,
圃場周辺の水路,畦畔の清掃を十分行い,外部からの浸水や排水に対する対策を十分に行う。地下水位の高い水田では高
畦栽培を行う。
(イ)品種と作型
災害に対して強い種類を選び,梅雨期までに収穫する作型,台風期をはずした作型を考えることも必要である。また災害を
小さくするため,品種の組合わせによる危険分散を図ることも必要である。
(ウ)健全な生育
燥
悪
排水のよい圃場を用いて施肥,かん水管理を適正に行い,健全な育成をさせる必要がある。
増
リン 加里 効
エ 除
導入
果
着果不良
除
普及
メリット
窒素過多で徒長したり,塩類濃度障害などで根が傷んだり,乾
う肥の
(
)雨
施,あるいは
酸,
の肥
け栽培の
降雨の多い地帯では
け栽培が
い。
イ 事後対
事後対策
菜類は
しているが,この
などで生育の
となり,
病
裂果 少
は大きく,
増
害の多発と相まって
が
なくなり,
良
品生
少
い場合は被害は大きくなる。深耕,
を高めて,健全な生育をさせ,災害時の被害を
なくする。
産
ホ レンソ
収となる。
除
ができにくい。この対策として
ウ
ウとも雨
トマト
効果
け栽培の
堆 ゅ
き
では雨
は大き
壌 …… 群
回復
著 抑制
早
活力 旺盛
応
a
湿 起
努
ポリマルチ
ね
湿
マルチ 除 壌
b 元 洗
露
ね
叩 固締
(ア)土
管理
根
の生育
長雨や水害により地下部(根)の生育が
根の
を
にするための
長雨や豪雨によって根が
をしたう
根
が
害を
内が過
われて根が
しく
される。
こさないよう排水に
になるので,
出したり,う
を
間が雨で
バラン
ね 滞
壌中 通
苗床
中
く地上部と地下部の
急対策を行う必要がある。
める。冠水や浸水でう
いて土
かれて
を乾かし,土
く
まった
かないようにする。
スのとれた発育ができるよう,まず
間に
の
水してなかなか乾かない場合には
気性を高める。
や圃場では
耕や土
c
入 株元
除去
入堆
粘
通 良
燥 促
d
面 集中
後
燥
逆
元 寄 敷
e
如何
滞
著
以 石灰 苦
症 特
衰弱
各 料 含
液体 料 薄 壌
良
……茎葉
回復
a果
葉 - 枚 幼植 比較
開花 熟 入
衰弱 株 果実 若採
摘果 花
繁茂 茎葉 引 剪
通 良
負
軽減
b 葉 茎 付着
炭 同化 阻
ョロ 噴霧器
防除 兼ね 殺菌剤 布
特 チゴ ダ コン ハクサ
幼植 芯
努
c 衰弱 機能 低
微
症 起
葉面
付 直
立直 待
早
直
秋
播
遅
低
遅
促進
土砂が流
気を
し
が埋まった場合には,土砂を
くし,乾
を
一時的な水分過多により根が地表
根
に
せて
しい。梅雨期の水害
るので,吸収しやすく
4 5
した場合,水害
の高温乾
の障害を
しを
くするなどして地上部の
を
んでいる
肥
物は
りしたり,
(
は
を
施用するのが
して肥
い。
を散
的被害を受けにくいが,
素
するとよい。
作用を
にイ
や
した
は間
成
き
期に
し吸収
のやり
が
する必要がある。
害するのでジ
イ
,
または
イなどの
葉
を用いて
物では
を
壌中
ち 中
に
通
の肥
下し,肥切れ状態や
量要素の欠乏
を
こしやすいので
の野菜は
りが期
種時期が
することが大切である。
できない場合は,できるだけ
れた場合には温度が
く,まき
下して生育が
やわき
洗 落
丁寧 洗
い
くなってい
散
布
草勢
元
して根
す。その場合,
を行った
に
方
に作
れるので被害物を
用して
病
の
の
害
い流すように
がよい。
目 付 転換
利 保
しをするか,他の作
耕して
分の流失
芽 摘除
を
らつ
路の土を
料
悪
分の吸収が
部の泥を
し
強度の浸冠水によって
必要である。
料
が
ったものは被害が大きい。
定を行い,下
めなければならない。
(ウ)作
くならないう
にうけやすくなるので,
に発生しやすい。根が
めて土
)を行う。過
担をできるだけ
している場合は
て
根が
固
水かによって被害の程度は異なるが,いずれの場合も土
土,窒素の欠乏
までの
では
に泥が
,
分を
した
や
土)が乾いて
元 ぐ
の生育
菜類の場合,本
を
に
や流水か
降に
種肥
(イ)地上部の管理
風
積した表土(
せを行って根
わらを行う。
冠水による被害も水質の
は
したり,流
すようにする。
寄
け
することも
温を図り,生育
Fly UP