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東松島市火葬場建設基本計画
平成 27 年 7 月
東松島市
目次
ページ
第1章 計画の概要
1-1 計画の目的
1-1
1-2 計画の内容と調査手順
1-2
第2章 現況調査
2-1 東松島市の概要
2-1
2-2 関連法規による制限状況
2-2
2-3 既存火葬場の現状
2-3
2-4 候補地の現況
2-5
2-5 宮城県内火葬場施設事例
2-7
第3章 基本条件の整理
3-1 将来人口と需要への対応
3-1
3-2 施設規模の算定
3-15
3-3 火葬場敷地規模の検討
3-19
第4章 敷地造成計画
4-1 敷地造成計画の考え方
4-1
4-2 敷地造成計画パターンの検討
4-3
4-3 交通計画
4-6
第5章 施設建築計画
5-1 基本方針
5-1
5-2 施設配置基本計画
5-2
5-3 動線計画
5-4
5-4 一般図
5-5
5-5 構造計画基本方針
5-7
5-6 防災・避難計画
5-7
5-7 設備計画基本方針
5-8
第6章 公害防止計画
6-1 環境基準の設定(環境保全目標値)
6-1
6-2 アセス実施方針と実施内容
6-6
ページ
第7章 火葬炉計画
7-1 炉設備の構成等
7-1
7-2 炉の選定方法(仕様書、発注方法)の整理
7-7
第8章 施設運営・管理計画
8-1 管理運営等
8-1
8-2 管理運営方法の比較
8-3
8-3 維持管理費(火葬炉設備)の試算
8-5
第9章 概算費用の算出
9-1 総事業費の検討
9-1
9-2 建設費用の検討
9-1
9-3 敷地造成費用の検討
9-2
9-4 火葬炉設備概算費用の検討
9-3
第10章 事業工程管理計画
10-1 上位計画、関連計画との関係
10-1
10-2 事業スケジュールの検討
10-2
第1章
1-1
計画の概要
計画の目的
本対象地域内に現存する東松島市火葬場は、火葬炉2基を有する火葬場である。昭和 54 年に
供用開始してから 36 年が経過し、その間、適宜修理・補修を行いながら機能等の維持管理に努
め現在に至っている。
しかし長期稼動に伴う経年的な劣化及び老朽化によって機能の低下が否めず、ばい煙・臭気等
の環境問題、炉本体の老朽化による安全問題、待合室の狭隘及び駐車場不足等の対策の必要性に
迫られている状況である。高齢化社会に伴う火葬件数の上昇が予想される中、火葬業務はますま
す困難をきたすと予想される。
このような状況において、本計画では対象地域の火葬の現状を正確に把握し、将来において火
葬業務を遂行できるよう、新火葬場建設に必要な「火葬場建設基本計画」を策定することを目的
とする。
1- 1
1-2
計画の内容と調査手順
(1)現況調査
対象地域における調査などを行い、基本計画に必要な情報を収集し現況を把握する。
1)市の現況調査
2)関連法規による規制状況
3)既設火葬場の現状
4)火葬場候補地の現況
5)東松島市周辺地域の火葬場施設事例
(2)計画条件の整理
火葬場を建設するに当たって必要な火葬炉数を算出し、施設規模を算出する。算出した規模
に対し配置・構造など施設の仕様を整理し概算を算出する。
1)将来人口予測と火葬需要の検討
2)敷地規模の検討
3)施設規模の検討
(3)公害防止計画(環境保全計画)
火葬場施設から発生する汚染物質や騒音が周辺環境に及ぼす影響について適切な対策を模
索する。
1)環境基準の設定
2)アセス実施方針と実施内容
(4)敷地造成計画
現況敷地の問題点を抽出し、敷地造成計画について概略の検討を行う。また、敷地造成計画
に伴い、接続道路の検討を行い、技術的、経済的な判定を行う。
1)敷地造成計画の考え方
2)計画敷地造成計画
3)交通計画
(5)施設建築計画
火葬場を建設するにあたっての計画を算出した炉数及び現状調査から得られた情報を基に
立案する。
1)施設配置基本方針
2)動線計画
1- 2
3)一般図
4)構造計画基本方針
5)設備計画基本方針
(6)火葬炉計画
火葬炉設備の炉型式、燃料、燃焼装置、付帯設備等について基本的事項を整理する。
1)炉設備の構造、性能等仕様の検討
2)炉の選定方法
(7)施設運営・管理計画
委託運営業務の概要、火葬炉設備のメンテナンスなど、建設後の運営管理面の方針を整理し、
施設計画に合わせ維持管理費用の検討を行う。
1)管理運営計画
2)管理運営方法の比較
3)維持管理費概算
(8)概算費用の算出
敷地造成計画、施設建設計画及び火葬炉計画に基づき、必要となる整備費用の概算を算出し、
総事業費の検討を行う。
1)建設費用の検討
2)敷地造成費用の検討
3)炉設備設置費用の検討
4)総事業費の検討
(9)事業工程管理計画
関連計画との関係を整理し、供用開始に至る工程について検討を行う。
1)関連計画の整理
2)事業スケジュールの検討
1- 3
第2章
2-1
現況調査
東松島市の概要
(1)位置と気候・地勢
東松島市は宮城県の県都仙台市の北東にあり、石巻広域圏の西端に位置することから、
広域仙台都市圏とも隣接し、東は石巻市、南は太平洋に面しています。気候は、年間平均
気温や降水量から見ても、東北としては比較的暖かく、風雨の少ない地域となっています。
市の中心には、四方を一望できる桜の名所・滝山があり、そこから西北部に丘陵地が連
なり、南部は特別名勝「松島」の一角を占めるなど、風光明媚な景観を楽しみに多くの家
族連れや観光客などが訪れています。
(2)人口動態
東松島市の人口動態をみると、人口は平成 18 年度をピークに減少の傾向を示している。
表 2-1
人口動態
人口
平成 17 年度
43,813
平成 18 年度
43,856
平成 19 年度
43,812
平成 20 年度
43,649
平成 21 年度
43,429
平成 22 年度
43,156
平成 23 年度
40,722
平成 24 年度
40,470
平成 25 年度
40,221
平成 26 年度
40,201
※出典:宮城県統計課:市町村別人口の推移(各年 12 月末現在)参照
2- 1
2-2
関連法規による制限状況
土地利用に関しては、一般に国土利用計画法によって各地域区分ごとの土地利用の原則
が定められている。火葬場建設のための造成工事も一般の土地開発事業と同様に、当該地
の形質を変更する行為であるから、環境保全上、法令等に基づく諸制約の有無と内容を調
査する必要がある。
表 2-2
5地域
区 分
細
区
地域区分別の土地利用の原則
分
土地利用の原則(骨子)
市街化区域
都
市
地
域
農
業
地
域
森
林
地
域
自然
公園
地域
自然
保全
地域
すでに市街地を形成している区域及びおおむね 10 年以内に優先的かつ
計画的に市街化を図るべき区域であることを考慮して、市街化区域にお
いては、市街地の開発、交通体系の整備、都市排水施設等の整備等を計
画的に推進するとともに、当該区域内の樹林地、水辺等の良好な自然的
環境を形成しているもので、都市環境上不可欠なものについて積極的に
保護し、育成していくものとする。
市街化調整区域
市街化を抑制すべき区域であることを考慮して特定の場合に限り、都市
的な利用を認めるものとする。
上記以外の区域
用途地域
市街化区域における土地利用に準ずるものとする。
用途地域外の
土地利用の現況に留意しつつ、都市的な利用を認める
地域
ものとする。
農用地区域
農用地区域内の土地は、直接的に農業生産の基盤となる土地として確保
されるべき土地である。したがって農用地区域内の農地等については、
他用途への転用は行わないものとする。
農用地区域を除く
都市計画等農業以外の土地利用計画との調和を了した場合には、その転
農業地域内の農地等
用は極力調整された計画等を尊重し、農業生産力の高い農地、集団的に
存在している農地、又は農業に対する公共投資の対象となった農地は、
後順序に転用されるよう努めるものとし、農業以外の土地利用計画の存
しない地域においては、転用は原則として行わないものとする。
地域森林計画対象
次に掲げる森林は極力他用途への転用を避けるものとする。
民有林区域
(ア)地域森林計画において樹根及び表土の保全その他林地の保全に留
意すべき森林として定められた森林
(イ)飲用水・かんがい用水等の水源として依存度の高い森林
(ウ)地域森林計画において自然環境の保全及び形成ならびに保護休養
のため伐採方式を特定する必要があるものとして定められた森林
(エ)地域森林計画において更新を確保するため伐採方法又は林産物の
搬出方法を特定する必要があるものとして定められた森林
(オ)優良人工造林及びこれに準ずる天然林
国有林及び保安林
それぞれの区域の趣旨に即して適性かつ合理的な森林の利用を図る物と
する。
自然公園地域においては、大規模な開発行為その他の自然公園としての風景の保護に支障を及ぼ
すおそれのある土地利用は極力避けるものとする。
特別地域及び
それぞれの設定の趣旨に即して、その風致又は景観の維持を図るものと
特別保護地域
する。
自然保護地域においては、自然環境を保全するため、原則として土地の利用目的を変更しないも
のとする。
原生自然環境保全
その指定方針にかんがみ、自然の推移に委ねることとする。
地域
特別地域
指定の趣旨に即した、特定の自然公園の状況に対応した適正な保全を図
るものとする。
土地の利用区分(国土利用計画法第9条)
1.都市地域
:一体の都市として総合的に開発し、整備し、保全する必要がある地域
2.農業地域
:農業用として利用すべき土地があり、総合的に農業の振興を図る必要がある地域
3.森林地域
:森林の土地として利用すべき土地があり、林業の振興又は森林の有する諸機能の維持増
進を図る必要がある地域
4.自然公園地域:優れた自然の景観地で、その保護及び利用の増進を図る必要がある地域
5.自然保全地域:良好な自然環境を形成している地域で、その自然環境の保全を図る必要がある地域
2- 2
2-3
既存火葬場の現状
(1)現施設概要
所
在
地
: 東松島市大塩字寺沢34番地2
開設年月日
: 昭和54年4月1日
敷 地 面 積 : 4,372.19 ㎡
建 築 面 積 : 227.53 ㎡
施 設 概 要 : 鉄筋コンクリート造平屋建て
施 設 諸 室 : 炉前ホール、炉室、待合室(和室 2、待合ホール 1)
、事務室、給湯
室、便所
屋 外 施 設 : 駐車場
炉
数 : 2基
業 務 内 容 : 火葬業務、受付業務、施設内清掃業務
休
業
日
: なし
(2)現火葬場の現況
現火葬場は、昭和 54 年に供用開始して以来 36 年を経過し、火葬施設本体の老朽化
による安全問題、ばい煙、臭気等の環境問題、待合室の狭隘、駐車場不足等が課題と
されている。
現火葬場建物
現火葬場
2- 3
車寄せ
火葬場アプローチ
炉前ホール
炉化粧扉内部
炉室
待合室
炉機械室
駐車場
2- 4
2-4
候補地の現況
火葬場の建設候補地は、東松島市大塩字引沢17番地1内外の旧河南地区衛生処理組合
跡地である。石巻広域都市計画においては、ゴミ焼却場(河南地区ごみ焼却場:平成 2 年
2 月 23 日都市計画決定)と位置付けされている。敷地面積は約 20,000 ㎡であり、候補地
の地盤高は約 46mである。また、隣接する大塩引沢17番地3の約 3,600 ㎡には矢本リサ
イクルセンターがあり、現在も稼働している。
候補地現況
2- 5
敷地入口廻り
アプローチ道路の屈曲部
隣接矢本リサイクルセンター
2- 6
2-5 宮城県内火葬場施設事例
処理能力
火葬場名称
設置者
所在地
火葬炉数
燃料
建設年度
(体/日)
白石斎苑
白石市鷹巣字石倉9-1
3
6
灯油
昭和46
あぶくま斎苑
丸森町館矢間松掛字上63-1
4
8
灯油
平成10
七ヶ宿町字横目山37
1
2
灯油
昭和46
柴田斎苑
村田町大字沼辺字粕沢22
3
6
灯油
昭和42
川崎斎苑
川崎町大字前川字龍雲寺1
1
2
灯油
昭和41
七ヶ宿斎苑
仙南地域広域行政事務組合
塩竈斎場
塩竈地区環境組合
塩竈市袖野田町25-1
6
12
灯油
平成6
名取市斎場
名取市
名取市小塚原字新鍋島159-2
4
8
灯油
平成6
岩沼市斎場
岩沼市
岩沼市朝日1-2-2
2
4
A重油
昭和37
亘理葬祭場
亘理地区行政事務組合
亘理町字竜円寺前143
3
6
A重油
昭和49
黒川浄斎場
黒川地域行政事務組合
大和町吉田字西風105
3
6
灯油
昭和58
古川斎場
大崎市古川小野字新田45-1
4
8
灯油
昭和58
加美斎場
加美町下多田川字熊野3
3
7
灯油
平成5
大崎市松山千石字弁慶坂26
2
8
灯油
昭和57
玉造斎場
大崎市鳴子温泉字末沢28-1
2
6
灯油
平成7
涌谷斎場
涌谷町涌谷字雉子林25-4
2
4
灯油
平成3
松山斎場
大崎地域広域行政事務組合
くりはら斎苑
栗原市
栗原市築館字荒田沢41
4
6
灯油
平成13
登米市斎場
登米市
登米市迫町佐沼字沼向62
4
10
灯油
平成20
石巻市南堺字大衡山43
5
9
灯油
平成20
石巻市雄勝町雄勝字寺79-1
1
3
灯油
昭和52
石巻市鮎川浜字寺前2-5
1
2
灯油
昭和56
石巻市石巻斎場
石巻市雄勝斎場
石巻市
石巻市牡鹿斎場
東松島市火葬場
東松島市
東松島市大塩字寺沢34-2
2
4
灯油
昭和54
女川町火葬場
女川町
女川町浦宿浜字石ノ田112-4
2
4
灯油
平成3
気仙沼市大峠山1-27
3
6
灯油
昭和54
気仙沼市唐桑町只越367-2
1
3
灯油
平成3
気仙沼市本吉町津谷松尾119
1
2
灯油
昭和47
気仙沼市斎場
気仙沼市唐桑斎場
気仙沼市
気仙沼市本吉斎場
南三陸斎苑
南三陸町
南三陸町志津川字下保呂毛14-1
2
4
灯油
平成19
仙台市葛岡斎場
仙台市
仙台市青葉区郷六字葛岡10
22
48
ガス
平成14
2- 7
第3章
基本条件の整理
3-1
将来人口と需要への対応
(1)
火葬炉規模算出の考え方
1)年間火葬需要の予測
①将来の男女別・年齢別人口の予測
コーホート要因法による推計
②年間死亡者数を予測
男女別・年齢別生残率を援用
③年間火葬需要の予測
持込み率、管外率等を加味
2)計画火葬炉数の算定
④日平均取扱件数の予測
⑤集中日火葬件数を算出
集中日の仮想係数を算定
⑥集中日の平均火葬数(1基当たり)を設定
地域慣習を考慮(タイムテーブルによる確認)
⑦集中日の火葬件数(⑤)を平均火葬数(⑥)で除して理論的火葬炉数を算定
⑧計画火葬炉数の設定
故障・保守点検・補修等を考慮して予備火葬炉を検討
3- 1
(2) 火葬場の利用状況等
1)火葬取扱状況
①件数別日数等
東松島市火葬場の年間取扱件数(平成 22~25 年、23 年を除く)は、表3-1 及び資料編
の資料1、月日別火葬取扱状況は資料編の資料2-①~③に示すとおりである。
本火葬場では、この3年間で 1,267 件の大人及び子供の火葬を行っているが、3年間の稼
働日数は 1,096 日であるため、概ね1日 1.156 件の取扱い状況となっている。
本火葬場の受付件数別日数(資料1)をみると、0件の日が 369 日で稼働日数の 33.67%
を占めている。4件の日は 37 日で稼働日数の 3.38%に過ぎないが、今後の死亡者数増加に
より、4件以上の日が徐々に増加することが想定される。
表3-1
区 分
年間取扱件数の状況(平成 22~25 年度、23 年を除く:大人・子供)
該当
延
該当日数
累計
累計日数
日数
件数
割合(%)
日数
割合(%)
0
件
369
0
33.67
369
33.67
1
件
354
354
32.30
723
65.97
2
件
243
486
22.17
966
88.14
3
件
93
279
8.49
1,059
96.62
4
件
37
148
3.38
1,096
100.00
合計
1,096
1,267
100.00
-
-
注 1)該当日数割合=(該当日数)÷(稼動日数)×100
注 2)累計日数割合=(累計日数)÷(稼動日数)×100
注 3)日平均火葬件数=1.156 件
注 4)日最多火葬件数=4件
注 5)日最少火葬件数=0件
3- 2
②本火葬場の利用状況等
ア)利用状況
東松島市及び市外自治体の利用状況(大人・子供:平成 22 年~25 年、平成 23 年を除く)
は、表3-2に示すとおりである。
この3年間(平成 22~25 年、23 年を除く)における本市火葬場の利用割合は、東松島
市 82.56%、市外自治体 17.44%となっている。
また、市外件数を含む合計件数は、東松島市件数の概ね 1.211 倍となっている。
表3-2
区分
利用状況(大人・子供)
東松島市
件数
市
割合%
件数
外
合計件数
割合%
件数比
22 年
404
81.12
94
18.88
498
1.233
24 年
313
81.30
72
18.70
385
1.230
25 年
329
85.68
55
14.32
384
1.167
1,046
82.56
221
17.44
1,267
1.211
3年間
注)件数比=(合計件数)÷(東松島市件数)
イ)東松島市の持込率
東松島市の火葬件数と死亡者数の割合(持込率)を平成 22~25 年(23 年を除く)の3年
間でみると、概ね 87.53%となっている。
表3-3
区 分
東松島市の持込率
東松島市
火葬件数
死亡者数
持込率%
22 年
404
446
90.58
24 年
313
359
87.19
25 年
329
390
84.36
1,046
1,195
87.53
3年間
注)持込率=(火葬件数)÷(死亡者数)
(持込率は小数点以下第3位を四捨五入し表示)
3- 3
(3) 将来人口・死亡者数の予測
1)将来人口及び死亡者数の推計
将来人口及び死亡者数は、コーホート要因法で推計した。
コーホート要因法は、出生、死亡、移動を要素として時間の経過とともにこれらが推移して
いく条件で推計する方法である。
0~4歳以上の各コーホートについては、死亡者数と移動数によって人口が増減することか
ら、男女別・5歳階級別人口、生残率及び移動率から年々加齢していく人口を5年毎に算出す
る。同時に、各コーホートの死亡者数は、各コーホート人口に、各コーホート死亡率(1-生
残率)を乗じることで算出する。
また、新たに生まれる人口は、
「再生産年齢人口」及び「女性子ども比」を用いて計算する。
① 推計に使用する人口
将来人口等の算出基礎となる人口は、東松島市の男女別・年齢別人口(平成 26 年1月1日)
を初期値として採用した。
② 生残率等の仮定値
国立・社会保障人口問題研究所(以下、人問研という)は、平成 22 年の国勢調査を基に平
成 25 年 3 月に都道府県別、市町村別将来推計人口を公表した。
この将来推計に当たっては、平成 52 年までの都道府県別、市町村別の生残率、純移動率、
子ども女性比(女性子ども比)が仮定されており、0歳以上の生残率は宮城県仮定値(「人問
研」公表)を採用した。
なお、0~4歳以上の各コーホートの移動率等については、東松島市の「人問研仮定値」を
平成 52 年まで準用することとし、平成 52 年以降は平成 52 年仮定値をそのまま延長して準用
した。
③ 生残率
生残率は、ある年齢層の人口が5年後までに生き残る確率である。人問研では、宮城県生命
表を構築し、男女・年齢別(5歳階級別)生残率を仮定している。
④ 純移動率
純移動率は、各自治体の転入超過数が各自治体人口に占める割合である。本推計では、「人
問研」の東松島市の男女別・年齢 5 歳階級別純移動率(平成 22~52 年)の各仮定値の平均値
を用いる。
3- 4
⑤ 子ども女性比(女性こども比)
子ども女性比とは、再生産年齢人口層(女性 15~49 歳)に対する0~4歳の子ども数の割
合で有り、この割合を用いることによって0~4歳児人口を近似的に求めることができる。
本推計では、
「人問研」の東松島市仮定値の平均値を当該期間の仮定値として採用した。
⑥ 子ども性比
子ども性比は、出生時における男女比である。全国的には男子:女子=105.4:100 程度であ
るが、本推計では、「人問研」の東松島市の各期首仮定値の平均値を当該期間の仮定値として
採用した。
2)将来人口・死亡者数等の推計結果
前記条件で推計した将来人口及び死亡者数の推移は、表3-4及び資料編の資料3に示すとおり
である。
本推計によると、本市の人口は平成 27 年頃までは漸増して約 40,900 人に達する。
一方、死亡者数は、平成 32 年~36 年までは漸増して年間 607 人に達してピークを迎え、その後
は漸減すると推計された。
表3-4
将来人口・死亡者数の推移
期首人口
区
期間死亡者数
年平均死亡者数
分
男
女
計
男
女
平成 26 年
19,709
20,423
40,132
243
232
平成 27 年~31 年
20,100
20,792
40,892
1,503
平成 32 年~36 年
19,980
20,867
40,847
平成 37 年~41 年
19,023
20,012
平成 42 年~46 年
18,070
平成 47 年~51 年
計
男
女
計
474
243
232
474
1,434
2,937
301
287
587
1,547
1,486
3,034
309
297
607
39,035
1,514
1,454
2,968
303
291
594
19,142
37,211
1,469
1,466
2,935
294
293
587
17,128
18,231
35,359
1,427
1,492
2,919
285
298
584
平成 52 年~56 年
16,211
17,292
33,502
1,363
1,452
2,815
273
290
563
平成 57 年~61 年
15,313
16,353
31,666
1,311
1,375
2,686
262
275
537
平成 62 年~66 年
14,430
15,453
29,884
1,275
1,328
2,603
255
266
521
平成 67 年~71 年
13,554
14,568
28,122
1,265
1,337
2,602
253
267
520
注)期間死亡者数及び年平均死亡者数の数値は計算値の小数点以下を四捨五入して表示しており、合計数値に誤
差が出る場合がある
3- 5
(4) 将来火葬需要と必要基数の算定
1)将来火葬需要(大人・子供)の推計
① 推計条件
将来火葬需要は、以下の条件で推計することとした。
・東松島市火葬需要
本市の将来火葬需要は、表3-3に示す本市火葬場の持込実績(平成 22~25
年、平成 23 年を除く)を基に、東松島市推計死亡者数に持込率 0.8753 を乗じて
推計する。
東松島市将来火葬需要=(当該年平均死亡者数)×(持込率=0.8753)
・総火葬需要
火葬場の将来総火葬需要は、表3-2に示す利用状況(平成 22~25 年、平成 23
年を除く)を基に、東松島市火葬需要に 1.211 を乗じて推計する。
将来総火葬需要=(当該年東松島市火葬需要)×1.211
② 推計結果
上記条件で推計した結果は、表3-5に示すとおりである。
表3-5
将来総火葬需要
東松島市
区 分
総件数
死亡者数
件数
平成 26 年
474
415
502
平成 27 年~31 年
587
514
622
平成 32 年~36 年
607
531
643
平成 37 年~41 年
594
520
630
平成 42 年~46 年
587
514
622
平成 47 年~51 年
584
511
619
平成 52 年~56 年
563
493
597
平成 57 年~61 年
537
470
569
平成 62 年~66 年
521
456
552
平成 67 年~71 年
520
455
551
注)死亡者数は表 3-4 の年平均死亡者数の表示整数値を採用し、
件数及び総件数の数値は計算値の小数点以下を四捨五入して表示している
3- 6
2)必要火葬炉基数の算定
本市火葬場に必要な火葬炉基数は、以下に示す一般的な条件及び火葬炉基数算定式で算出するこ
ととした。
① 算定条件
ア)年間火葬件数:表3-5に示す年間件数とする。
イ)年間稼動日数 : 365 日
葬送にかかわる慣習は急激には変化しないと考えられることから、火葬場稼動日を 365
日に設定する。
ウ)火葬集中係数:本市火葬場の実績より 2.60 に設定する。
表3-1に示すように、平成 22~25 年(平成 23 年を除く)の日最多件数は4件、日平均
火葬件数=1.156 件であるが、火葬集中係数は過年の火葬実績から件数の多い順に3~5%
の稼動日を除外した稼動日の火葬件数を想定日最多件数とし、この想定日最多件数を日平均
件で除して求めるのが一般的である。
本計画火葬場の火葬集中係数も一般的手法に準じて設定することとし、想定日最多火葬件
数を3件、これを日平均火葬件数(1.156 件)で除して求めることとした。
火葬集中係数=(想定日最多件数)÷(日平均件数)
= 3 ÷ 1.156
≒ 2.60
エ)平均稼働回数:2.5/炉・日
本市火葬場の現在の受付時間帯、将来火葬需要、新設炉の1件当りの火葬時間等を勘案し
て、火葬集中日の平均稼働回数を 2.5 回/炉・日に設定した。
オ)予備炉数
火葬炉設備に補修は不可欠であるが、補修等は件数が少ない時期に行うことを前提に予備
炉は確保しないこととした。
なお、火葬炉設備の耐用年数は 25 年程度と考えられており、1炉1排気系列で整備した
としても更新時には1炉のみの稼働となることから、予備炉スペースを設けることが望ま
しい。
3- 7
② 火葬炉基数算定式
本計画火葬場の必要基数は、次式に上記算定条件を代入して算定することとした。
必要基数 =
=
=
集中日の日最多火葬件数
集中日の平均稼動回数
(年間火葬件数) ÷(稼動日数)×(火葬集中係数)
集中日の平均稼動回数
( 年間火葬件数) ÷ 365 ×
2.60
2.5
③ 算定結果
前記した算定条件、算定式より試算した期間別必要基数は、表3-6に示すとおりである。
以上により、設定した稼働回数(平均 2.5 回転/炉・日)を確保出来る集中日のタイムテーブ
ル(図 3-1)で稼働すれば、2基の火葬炉で対応可能と判断される。
表3-6
区 分
将来必要基数
火葬件数
年間件数
日平均
日最多
必要基数
平成 26 年
502
1.38
3.59
1.44
平成 27 年~31 年
622
1.70
4.42
1.77
平成 32 年~36 年
643
1.76
4.58
1.83
平成 37 年~41 年
630
1.73
4.50
1.80
平成 42 年~46 年
622
1.70
4.42
1.77
平成 47 年~51 年
619
1.70
4.42
1.77
平成 52 年~56 年
597
1.64
4.26
1.70
平成 57 年~61 年
569
1.56
4.06
1.62
平成 62 年~66 年
552
1.51
3.93
1.57
平成 67 年~71 年
551
1.51
3.93
1.57
注 1)日平均件数=(年間件数)÷(365 日)
注 2)日最多件数=(日平均件数)×2.60
注 3)必要基数=(日最多件数)÷2.5
注 4)年間件数は表 3-5 の総件数の表示整数値を採用し、日平均、日最多、必要基数の
数値は計算値の小数点以下第3位を四捨五入して表示している
3- 8
資
料
編
注)平成23年は東日本大震災により特異な数値を示すため、この年の値は含めないこととし、
資料1及び資料2においては、平成22年、平成24年及び平成25年の3年間を集計期間
とした。
3- 9
資料1 受付件数別日数
東松島市火葬場 受付件数別日数
該当日数(平成22年)
区 分
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 通年
0 件
7 12
6
6
6 10 14
8 12
7
8
7 103
1 件
9
6
6 11 12
7
5 11
8 12 11 11 109
85
2 件
7
3
9
8
9
8
9
9
4
9
6
4
53
3 件
4
5
8
4
4
4
2
3
5
2
4
8
15
4 件
4
2
2
1
0
1
1
0
1
1
1
1
合計 31 28 31 30 31 30 31 31 30 31 30 31
365
注1)該当日数割合=(該当日数)÷(稼動日数)×100
注2)累計日数割合=(累計日数)÷(稼動日数)×100
件
注3)日平均火葬件数 1.36
4
件
注4)日最多火葬件数
0 件
注5)日最少火葬件数
注6)小数点第3位以下を四捨五入
東松島市火葬場 受付件数別日数
該当日数(平成24年)
区 分
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 通年
0 件 15
7 11
9 16
8 15 14 12 12 14
8 141
1 件 13
9
6 13
5 13
7
8
8 13
8 10 113
79
2 件
1
8
8
5
8
9
7
9
8
3
4
9
18
3 件
0
3
4
1
0
0
2
0
1
1
3
3
15
4 件
2
2
2
2
2
0
0
0
1
2
1
1
合計 31 29 31 30 31 30 31 31 30 31 30 31
366
注1)該当日数割合=(該当日数)÷(稼動日数)×100
注2)累計日数割合=(累計日数)÷(稼動日数)×100
件
注3)日平均火葬件数 1.05
4 件
注4)日最多火葬件数
0 件
注5)日最少火葬件数
注6)小数点第3位以下を四捨五入
東松島市火葬場 受付件数別日数
該当日数(平成25年)
区 分
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 通年
0 件 13
8 12 12
9 11 10
9 12 15
5
9 125
件
1
6 10 11
9 13 15 12 14
9
9 12 12 132
79
2 件 11
4
6
6
7
4
6
6
7
5
9
8
22
3 件
1
4
2
3
2
0
1
1
2
2
2
2
7
4 件
0
2
0
0
0
0
2
1
0
0
2
0
合計 31 28 31 30 31 30 31 31 30 31 30 31
365
注1)該当日数割合=(該当日数)÷(稼動日数)×100
注2)累計日数割合=(累計日数)÷(稼動日数)×100
件
注3)日平均火葬件数 1.05
4 件
注4)日最多火葬件数
0 件
注5)日最少火葬件数
注6)小数点第3位以下を四捨五入
東松島市火葬場 受付件数別日数
該当日数(平成22~25年:23年を除く)
区 分
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 通年
0 件 35 27 29 27 31 29 39 31 36 34 27 24
369
354
1 件 28 25 23 33 30 35 24 33 25 34 31 33
2 件 19 15 23 19 24 21 22 24 19 17 19 21
243
延
該当日数
件数 割合(%)
0
28.22
109
29.86
170
23.29
159
14.52
60
4.11
498
100.00
累計
日数
103
212
297
350
365
-
累計日数
割合(%)
28.22
58.08
81.37
95.89
100.00
-
延
該当日数
件数 割合(%)
0
38.52
113
30.87
158
21.58
54
4.92
60
4.10
385
100.00
累計
日数
141
254
333
351
366
-
累計日数
割合(%)
38.52
69.40
90.98
95.90
100.00
-
延
該当日数
件数 割合(%)
0
34.25
132
36.16
158
21.64
66
6.03
28
1.92
384
100.00
累計
日数
125
257
336
358
365
-
累計日数
割合(%)
34.25
70.41
92.05
98.08
100.00
-
延
該当日数
件数 割合(%)
0
33.67
354
32.30
累計
日数
369
723
累計日数
割合(%)
33.67
65.97
486
22.17
966
88.14
279
3 件
5 12 14
8
6
4
5
4
8
5
9 13
93
148
4 件
6
6
4
3
2
1
3
1
2
3
4
2
37
合計 93 85 93 90 93 90 93 93 90 93 90 93 1,096 1,267
注1)該当日数割合=(該当日数)÷(稼動日数)×100
注2)累計日数割合=(累計日数)÷(稼動日数)×100
件
注3)日平均火葬件数 1.16
4 件
注4)日最多火葬件数
0 件
注5)日最少火葬件数
注6)小数点第3位以下を四捨五入
8.49
3.38
100.00
1,059
1,096
-
96.62
100.00
-
3 - 10
資料2-① 月日別火葬件数(東松島市火葬場) 平 成 22 年 7
6
月
日
1
2
3
4
5
1
1
1
3
2
0
1
2
0
0
3
1
1
0
3
1
3
2
1
1
4
4
0
3
1
5
4
0
0
6
0
2
3
7
0
0
8
2
9
通年
8
9
10
11
12
0
0
3
2
1
0
14
0
3
1
0
0
1
10
4
0
2
0
1
2
1
18
2
2
2
2
0
2
1
0
19
2
1
0
2
2
1
0
2
1
15
1
2
2
0
0
1
1
3
3
18
3
2
1
0
2
0
2
1
1
1
13
3
3
3
1
0
2
1
0
0
2
1
18
4
0
2
0
2
0
0
1
0
2
1
0
12
10
1
0
4
4
1
1
2
0
1
1
0
1
16
11
3
0
0
3
2
0
1
0
0
1
2
3
15
12
0
1
0
1
3
1
1
1
0
1
1
1
11
13
2
0
2
2
0
2
4
1
4
0
1
1
19
14
2
1
2
3
3
1
0
1
0
3
3
3
22
15
2
0
2
2
2
0
0
1
2
2
0
0
13
16
1
2
1
1
3
3
2
3
1
3
0
0
20
17
0
4
3
2
2
2
1
1
0
1
1
1
18
18
3
4
2
0
0
3
0
2
1
1
2
2
20
19
1
1
3
0
1
2
0
2
0
0
1
2
13
20
1
1
1
1
1
2
0
1
0
1
1
2
12
21
1
0
1
2
0
0
2
2
3
4
3
1
19
22
4
0
0
1
1
1
1
1
1
2
0
1
13
23
2
2
0
1
1
1
0
0
0
1
3
2
13
24
2
1
4
1
1
2
0
1
3
2
1
3
21
25
2
3
1
0
2
3
2
2
3
1
0
3
22
26
1
3
1
2
2
2
0
3
0
2
0
0
16
27
0
0
1
0
1
0
3
0
3
2
4
0
14
28
3
3
0
1
0
3
1
0
2
2
0
3
18
29
0
2
3
3
0
2
1
1
0
1
3
16
30
3
2
0
0
1
3
2
2
1
2
3
19
31
1
2
0
2
2
0
4
11
A
51
35
56
43
42
39
33
38
35
40
39
47
498
B
31
28
31
30
31
30
31
31
30
31
30
31
365
C
1.65
1.25
1.81
1.43
1.35
1.30
1.06
1.23
1.17
1.29
1.30
1.52
1.36
D
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
E
4
4
4
4
3
4
4
3
4
4
4
4
4
A : 合計件数 B : 稼働日数 C : 日平均件数 D : 日最少件数 E : 日最多件数
3 - 11
資料2-② 月日別火葬件数(東松島市火葬場) 平 成 24 年 7
6
月
1
2
3
4
5
1
0
1
1
0
0
2
2
0
1
1
0
0
0
3
0
2
0
3
2
4
0
3
0
0
5
4
1
0
6
0
4
3
7
1
3
8
1
9
通年
8
9
10
11
12
3
2
0
1
0
2
0
0
0
0
4
0
6
2
2
0
0
1
3
0
15
0
1
1
0
0
0
0
2
7
2
0
1
0
2
1
3
1
2
17
1
0
0
2
0
0
0
2
1
13
0
0
2
2
1
2
1
0
0
2
14
2
0
0
1
2
0
0
2
0
0
1
9
4
2
0
4
4
2
1
1
2
1
1
0
22
10
1
1
1
0
2
1
0
1
0
1
1
1
10
11
1
0
0
1
1
1
0
0
1
4
0
2
11
12
0
1
1
2
2
1
2
2
0
1
1
0
13
13
0
1
4
1
0
2
0
2
2
0
0
0
12
14
1
2
3
0
0
0
2
1
2
1
1
2
15
15
1
2
2
1
1
2
0
0
0
2
0
1
12
16
0
3
4
1
4
2
0
0
1
0
0
1
16
17
1
0
3
1
2
1
0
1
3
0
2
3
17
18
1
0
0
2
0
0
1
1
1
1
0
0
7
19
0
1
0
4
0
1
0
0
2
1
3
2
14
20
1
1
2
1
0
2
2
2
2
0
1
1
15
21
1
2
0
1
2
1
0
1
4
1
2
1
16
22
0
0
2
1
1
1
0
0
0
1
3
0
9
23
2
0
1
1
1
0
0
2
1
1
0
1
10
24
0
4
2
2
0
1
1
1
0
2
0
3
16
25
1
1
2
0
0
0
2
0
1
0
2
0
9
26
0
2
2
1
0
0
2
0
2
0
0
2
11
27
0
0
0
1
2
0
3
2
1
4
1
2
16
28
1
0
3
1
2
1
1
0
0
1
1
1
12
29
0
2
1
2
0
1
1
1
0
0
0
4
12
30
1
2
0
0
1
0
2
2
2
0
3
13
31
0
2
0
0
日
0
1
12
1
4
A
23
42
42
34
29
31
27
26
31
30
29
41
385
B
31
29
31
30
31
30
31
31
30
31
30
31
366
C
0.74
1.45
1.35
1.13
0.94
1.03
0.87
0.84
1.03
0.97
0.97
1.32
1.05
D
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
E
4
4
4
4
4
2
3
2
4
4
4
4
4
A : 合計件数 B : 稼働日数 C : 日平均件数 D : 日最少件数 E : 日最多件数
3 - 12
資料2-③ 月日別火葬件数(東松島市火葬場) 平 成 25 年 7
6
月
日
1
2
3
4
5
1
0
1
0
3
1
0
2
1
2
1
1
2
1
3
0
4
1
1
0
4
2
1
0
1
5
1
1
3
6
2
1
1
7
2
0
8
2
9
通年
8
9
10
11
12
4
1
0
0
2
0
12
0
2
1
2
1
0
14
1
1
0
0
1
1
1
11
0
1
0
1
1
1
1
1
10
2
3
0
2
1
0
0
0
2
15
3
1
0
0
0
3
0
1
0
12
0
1
1
1
1
0
0
0
0
2
8
3
0
0
2
0
1
0
1
1
2
2
14
0
3
2
0
0
1
1
2
0
1
3
1
14
10
2
2
1
1
3
2
0
1
3
0
1
1
17
11
2
1
1
0
1
2
1
1
0
2
2
1
14
12
0
4
0
1
2
0
1
0
2
0
2
0
12
13
0
3
2
0
1
1
0
2
2
0
0
3
14
14
0
0
1
1
0
1
2
1
2
1
1
2
12
15
3
0
0
0
0
1
2
0
2
0
2
0
10
16
2
3
1
0
2
1
0
2
1
0
2
2
16
17
1
0
1
0
2
2
1
4
0
2
2
1
16
18
0
0
0
0
1
0
3
1
1
0
4
0
10
19
1
0
1
1
1
1
2
1
0
1
0
2
11
20
0
0
1
2
1
0
0
0
2
1
1
1
9
21
2
1
2
0
0
1
1
1
0
0
1
1
10
22
2
2
0
2
0
1
0
3
1
0
4
1
16
23
0
0
1
2
1
0
1
2
0
3
1
2
13
24
1
1
0
2
0
0
2
1
2
2
1
0
12
25
0
2
0
2
2
2
2
0
2
3
0
2
17
26
0
1
0
0
0
0
1
0
1
1
2
1
7
27
2
1
2
0
1
1
1
2
0
1
3
0
14
28
1
1
3
3
1
1
0
1
1
0
1
0
13
29
0
2
1
1
1
4
1
0
2
1
1
14
30
0
0
0
1
0
1
1
1
0
2
1
7
31
2
2
0
1
3
10
2
0
A
31
38
29
30
33
23
35
33
29
25
44
34
384
B
31
28
31
30
31
30
31
31
30
31
30
31
365
C
1.00
1.36
0.94
1.00
1.06
0.77
1.13
1.06
0.97
0.81
1.47
1.10
1.05
D
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
E
3
4
3
3
3
2
2
2
3
3
4
3
4
A : 合計件数 B : 稼働日数 C : 日平均件数 D : 日最少件数 E : 日最多件数
3 - 13
資料3 東松島市 将来推計人口・死亡者数
平成26年
平成27年
~31年
平成32年
~36年
平成37年
~41年
平成42年
~46年
平成47年
~51年
平成52年
~56年
平成57年
~61年
平成62年
~66年
平成67年
~71年
期間死亡者数
期首人口
区 分
男
女
年平均死亡者数
男
女
計
0~14 歳
2,843
2,704
5,547
15~64歳
12,630
12,151
24,781
52
26
79
52
26
79
65 歳~
4,236
5,568
9,804
189
204
393
189
204
393
計
19,709
20,423
40,132
243
232
474
243
232
474
0~14 歳
2,557
2,466
5,023
2
1
3
0
0
1
15~64歳
11,854
11,325
23,179
191
81
272
38
16
54
65 歳~
5,688
7,001
12,689
1,311
1,351
2,662
262
270
532
計
20,100
20,792
40,892
1,503
1,434
2,937
301
287
587
0~14 歳
2,414
2,385
4,799
2
1
3
0
0
1
15~64歳
11,707
11,029
22,736
182
76
258
36
15
52
65 歳~
5,859
7,453
13,312
1,364
1,409
2,773
273
282
555
計
19,980
20,867
40,847
1,547
1,486
3,034
309
297
607
0~14 歳
2,281
2,189
4,470
1
1
2
0
0
0
15~64歳
11,094
10,552
21,646
170
72
243
34
14
49
65 歳~
5,648
7,271
12,919
1,342
1,381
2,723
268
276
545
計
19,023
20,012
39,035
1,514
1,454
2,968
303
291
594
0~14 歳
2,083
1,994
4,077
1
1
2
0
0
0
15~64歳
10,656
10,109
20,765
168
70
238
34
14
48
65 歳~
5,330
7,039
12,369
1,300
1,395
2,695
260
279
539
1
計
1
男
3
女
1
計
1
3
計
18,070
19,142
37,211
1,469
1,466
2,935
294
293
587
0~14 歳
1,960
1,876
3,835
1
1
2
0
0
0
15~64歳
9,884
9,344
19,227
152
63
215
30
13
43
65 歳~
5,285
7,012
12,296
1,274
1,428
2,703
255
286
541
計
17,128
18,231
35,359
1,427
1,492
2,919
285
298
584
0~14 歳
1,863
1,783
3,646
1
1
2
0
0
0
15~64歳
9,106
8,541
17,647
139
56
195
28
11
39
65 歳~
5,241
6,968
12,209
1,222
1,395
2,618
244
279
524
計
16,211
17,292
33,502
1,363
1,452
2,815
273
290
563
0~14 歳
1,751
1,676
3,428
1
1
1
0
0
0
15~64歳
8,410
7,900
16,311
127
51
178
25
10
36
65 歳~
5,151
6,776
11,928
1,183
1,324
2,507
237
265
501
計
15,313
16,353
31,666
1,311
1,375
2,686
262
275
537
0~14 歳
1,637
1,567
3,203
1
1
1
0
0
0
15~64歳
7,848
7,407
15,255
119
48
167
24
10
33
65 歳~
4,946
6,480
11,425
1,155
1,280
2,435
231
256
487
計
14,430
15,453
29,884
1,275
1,328
2,603
255
266
521
0~14 歳
1,521
1,456
2,976
1
1
1
0
0
0
15~64歳
7,347
7,032
14,379
114
47
161
23
9
32
65 歳~
4,686
6,081
10,766
1,150
1,290
2,440
230
258
488
計
13,554
14,568
28,122
1,265
1,337
2,602
253
267
520
※ 期間死亡者数及び年平均志望者数の数値は計算値の小数点以下を四捨五入して表示しており、合計数値に誤差が出る
場合がある
3 - 14
3-2
施設規模の算定
算定した火葬炉の必要炉数2基として、本計画の施設規模の検討を行う。
計画施設は告別、火葬、収骨を行う火葬部門、待合に利用する待合部門、他、事務・管理室から構
成するものとし、火葬集中日の同一時間帯における稼動炉数、平均的な会葬者を基に各部門がそれぞ
れの業務を円滑かつ、合理的に遂行できるよう以下の規模内容を満足するものとする。
また、近年では告別から収骨までの葬送行為を個別化する傾向も多く見られ、告別室・炉前ホール・
収骨室の3室を一体化した個室とするケースも検討する。
(1)告別室、炉前ホール、収骨室を各々独立とした場合・・・・【従来型】
1)告別室・収骨室
火葬集中時のタイムテーブルを(図3-1)に示す。2炉をフル稼働させても、告別・
収骨を行う時間帯は、全ての会葬者が重複せずに行うことができる。したがって、告別室・
収骨室共に 1 室ずつ計画することとする。告別室・収骨室の規模は、平均的会葬者数を 35
人と想定し、一人あたりの専有面積を 1.3~1.5 ㎡とすると、約 50 ㎡前後となるが、地域
の会葬慣習(表3-7)から 50 人までを収容できるようにすると、約 65 ㎡以上は必要と
なる。また、地域の会葬慣習から、告別室・収骨室の大きさは同一とする。
2)待合室・待合ロビー
タイムテーブルから、同時刻に待合室を利用するのは2組と考えられることから、待合
室は2室とする。待合室の大きさは平均的会葬者数 35 人に対して 50 ㎡程度とし、不足し
た場合や個室の利用を不要と考える会葬者が居た場合を考え、待合ロビーも計画する。
(2)告別室、炉前ホール、収骨室の3室を一体化した個室とした場合・・・・【お別れ室型】
1)お別れ室
火葬集中時のタイムテーブル(図3-1)から、1炉に対し1お別れ室とする。お別れ
室の規模は、前記の通り平均的会葬者数を 35 人と想定し、一人あたりの専有面積を 1.3
~1.5 ㎡とすると約 50 ㎡前後となるが、地域の会葬慣習(表3-6)から 50 人までを収
容できるようにすると、約 65 ㎡以上は必要となる。また、炉の予備スペースについては、
本設2炉の将来更新の可能性も踏まえ、1お別れ室に対し1炉+1予備炉スペースとする。
2)待合室・待合ロビー
前記より、待合室は2室とし、待合室の大きさも 50 ㎡程度とするが、不足した場合や
個室の利用を不要と考える会葬者が居た場合を考え、待合ロビーも計画する。
上記2案を図3-2において比較検討した結果、近年の葬送行為の流れ、動線の明快性、スペースの
合理性などから、基本計画においては【お別れ室型】にて検討することとする。
3 - 15
表3-7
火葬参列者件数
火葬参列者件数
2
1
2
6
110
90
参
列
者
数
70
13
48
78
50
139
212
30
15
31
件数
108
63
<10
0
50
<10 10
63 108
309
266
15
31
100
20
266
30
309
150
40
212
200
50
139
60
78
70
48
250
80
13
300
90
6
100
2
350
110
1
120
2
H22年度~H25年度(H23年度を除く)火葬参列者件数
80
1.0%
火葬参列者割合
70
3.8%
110
0.1%
90
0.5%
60
6.1%
<10
4.9%
100
0.2%
10
8.5%
120
0.2%
15
2.4%
50
10.9%
20
20.8%
40
16.6%
30
24.2%
注)小数点以下第2位以下を四捨五入
参列者 50 人規模までの会葬件数は約 9 割を占める
3 - 16
3 - 17
1
同時刻に待合を行っている
組数
同時刻に収骨を行っている
組数
1
告別
同時刻に告別を行っている
組数
火葬炉②
火葬炉①
9:00
1
1
2
1
告別
2
2
1
2
1
2
収骨 延長
10:30
②火葬・冷却
10:00
①火葬・冷却
9:30
1
告別
1
1
1
2
1
告別
収骨 延長
13:00
④火葬・冷却
12:30
③火葬・冷却
12:00
告別
14:00
収骨 延長
13:30
1
1
2
1
2
2
1
2
1
2
1
1
1
1
2
1
1
14:30
1
2
1
告別
収骨 延長
15:30
2
2
1
2
1
2
(予備)火葬・冷却
15:00
⑤火葬・冷却
・火葬冷却時間は炉の性能が向上したことにより75分が一般的
・告別と収骨が重なった場合、一般的には収骨を遅らせる
(「お別れ室型」の場合には告別と収骨が重なっても可)
・同一炉での受付間隔は30分が一般的
11:30
収骨 延長
11:00
図3-1 タイムテーブル案
1
16:30
1
1
1
1
収骨 延長
16:00
17:00
図3-2 施設構成パターンの比較
【 従来型 】
【 お別れ室型 】
施設構成図
炉前ホール・告別室・収骨室を各々独立して配置する従来型の案
施設構成の概要
炉前ホール・告別室・収骨室を一体化し、個室化する案
告別室(1室)、収骨室(1室)以外に炉前ホールの設置が不可欠であり、合計220㎡程度となる
○
諸室面積
(告別室・炉前ホール・収骨室)
◎
告別室、炉前ホール、収骨室をお別れ室(2室)に集約可能
告別後、炉前ホールで最後のお別れをするとき、隣の炉が稼働している場合もある
(化粧扉としても、音、振動等は防ぎきれない)
△
葬送行為におけるプライバシーの
確保
○
隣の炉を意識せずに、一炉一お別れ室のプライバシーの高いお別れが可能
告別行為、収骨行為毎に使用室が異なり解りにくい
△
施設構成の明快さ
○
告別行為と収骨行為を同じ部屋で行うため、迷いにくく分かり易い施設構成とすることが可能
炉 室
2基+予備スペース1基
他の会葬者と交錯する可能性高い
他の会葬者との交錯を極力回避
炉 室
2基+予備スペース1基
炉前ホール
○
告別室
収骨室
エントランスホール
会葬者の動線
お別れ室
①
◎
お別れ室
②
待合スペース
待合スペース
個室×2
ロビー
第1会葬者グループ
第1会葬者グループ
第2会葬者グループ
第2会葬者グループ
エントランスホール
個室×2
ロビー
告別室の祭壇、収骨室の収骨台等、各室の設えを固定のまま使える
○
管理者作業負担
(各室セッティング)
△
告別、収骨に合わせ、祭壇等をその都度セッティングする必要がある
(倉庫等隣接)
告別室→炉前ホール、炉前ホール→収骨室と棺運搬の作業負担が高く、
会葬者へのサービス面でのゆとりが取りにくい
△
管理者作業負担
(棺運搬)
○
炉前にお別れ室があるため、棺運搬の移動距離及び作業時間が短縮され、管理者の負担が軽減
3 - 18
3-3
火葬場敷地規模の検討
(1)敷地規模の設定
火葬場の敷地規模設定には特に定められたものはないが、火葬場での必要な諸機能を満たすため
の水準には一定の傾向が見られる。敷地の基本構成は建物用地、構内通路と建物回りの入口、ロー
タリー、駐車場、庭園、緩衝緑地などからなり、基本構成と周辺環境とにより作り出されるもので
ある。
1)建物用地
建物の平面計画に応じ必要な面積を確保する。車寄せ部分は雨天時に余裕をもって乗降で
きるスペースが必要であるし、バックヤードには作業スペースを付属させるとともに会葬者
から見えない位置や設えとする配慮が必要である。
2)構内通路
構内通路は、会葬者の動線と管理用の動線を可能な限り視覚的に分離するよう努める。
3)駐車場
配置上施設から離れないよう計画することが望ましい。また、歩行者の安全確保やバリア
フリーに配慮する必要がある。
4)庭園(池等を含む)
選定する樹種については、地域の植生があり注意を要する。また維持管理上でも常に手入
れが行き届く配慮が求められる。
5)周辺環境との緩衝帯としての緑地
火葬場の外周を構成する緑地は、周辺環境と火葬場空間との緩衝スペースとして敷地全体
の景観づくりの柱となる他、防風、防音などの機能的役割も持っている。緑地による四季の
演出等は火葬場内における会葬者を和ませる効果をもち、計画上重要な要素となる。
(2)駐車場台数の設定
現在1会葬当りの会葬者数は概ね50人である。この内15人がマイクロバスを利用、残り35
人が20~25台の乗用車に分乗して来場すると仮定すると、集中時間帯の会葬数は2会葬である
から、バス2台、普通乗用車50台分(身障者用4台程度を含む)の駐車場を確保する必要がある。
その他別に建物のサービスヤード部分に従業員や外来のための駐車スペースを4台、搬入用貨物
車等の駐車スペースを2台設けることとする。
3 - 19
(3)敷地規模の算定
1)建物用地
1,200 ㎡
一部2階建て(機械室)とし、建蔽率 80%程度とすると
1,200 ㎡
/
80%
=
1,500 ㎡
2)構内道路
構内車廻しW=10m、L≒200mとして
2,000 ㎡
3)駐車場
乗用車
50 台
×
30 ㎡
=
1,500 ㎡
マイクロバス
2台
×
45 ㎡
=
90 ㎡
業務用車両
4台
×
30 ㎡
=
120 ㎡
貨物等
2台
×
45 ㎡
=
90 ㎡
計
1,800 ㎡
4)庭園(修景)等
待合空間に隣接して 20m×30m程度
600 ㎡
5)緩衝帯
外周約 40m×6m=2,400 ㎡
(但し、周囲の法面緑化により縮小)
合
計
1)+2)+3)+4)+5)
3 - 20
2,000 ㎡
約 7,900 ㎡
第4章
4-1
敷地造成計画
敷地造成計画の考え方
(1)火葬場敷地配置のための造成パターンの検討
・現況敷地は旧河南地区衛生処理組合跡地の約 20,000 ㎡であり、地盤高は約 46mで
ある
・開発区域が全体で 1.0haを超えるため、防災調整池の整備が必要となる
・火葬場敷地として必要な面積は約 7,900 ㎡
・南西側には矢本リサイクルセンターが隣接している
・リサイクルセンター、火葬場敷地へのアプローチ道路は大きくカーブしており、勾
配も急である
以上のことから、アプローチ道路の条件緩和とリサイクルセンターとの併存の有り方を
検討するため、以下の3案の造成パターンを比較検討する。
①案:現状46m案
現状地盤レベルのまま、現アプローチ道路を共用
②案:部分切り下43m案(3m切下げ)
火葬場建設に必要な敷地のみを切り下げ、アプローチ道路も現道途中より分岐
③案:部分切り下40m案(6m切下げ)
火葬場建設に必要な敷地のみを切り下げ、アプローチ道路も現道より分岐し、勾
配等を緩和した整備
(2)防災調整池の詳細検討について
1)防災調整池の設置位置について
・防災調整池はその機能から、開発区域の地盤の低い所に設置するのが基本である。
本候補地では、県道 204 号側が低くなっているが、用地としては、防災調整池を設置する
余裕はなく、次善の位置として、リサイクルセンターアプローチ道路屈曲部付近が開発区域
の中で地盤が低くなっており、この部分を基本に防災調整池を設置するケースを検討する。
4- 1
2)防災調整池の計画基準
表 4-1 調整容量の算定
区
分
開発行為面積
現状案
流出抑制容量
堆積土砂量
調整容量合計
1.3ha
1,430 ㎥
210 ㎥
1,640 ㎥
部分切下 43m
1.29ha
1,420 ㎥
210 ㎥
1,630 ㎥
部分切下 40m
2.28ha
370 ㎥
2,880 ㎥
1,100 ㎥
2,510 ㎥
160 ㎥/ha
表 4-2 防災調整池規模の算定
区
分
調節容量
防災調整池
深 0.8m
防災調整池
深 1.0m
防災調整池
深 1.2m
防災調整池
深 1.5m
現状案
1,640 ㎥
2,050 ㎡
1,640 ㎡
1,370 ㎡
1,100 ㎡
部分切下 43m
1,630 ㎥
2,040 ㎡
1,630 ㎡
1,360 ㎡
1,100 ㎡
部分切下 40m
2,880 ㎥
3,600 ㎡
2,880 ㎡
2,400 ㎡
1,950 ㎡
3)防災調整池の深さについて
・ 防災調整池の大きさは、その水深により決定される。
・ ここでは、従前案の計画敷地への影響が少ないように防災調整池の深さを 1.5m と 設定し
検討を行う。
4)計画敷地地盤と防災調整池地盤の関係について
・ 計画①案(現状案)では、計画敷地高さを 46.0m、計画②案(部分切下 43m 案)では 43.0m、
及び計画③案(部分切下 40m 案)では 40.0m に設定している。
・ 防災調整池と計画敷地地盤との高さ調整は、土羽法面による場合や擁壁を使用する場合
等が考えられるが、今回は、事業費の削減の面から極力土羽法面による高さ調整を行うも
のとする。
4- 2
4-2
敷地造成計画パターンの検討 下記の3案からなる計画敷地造成パターンを作成し、造成コスト、造成工事期間、火葬場アク
セス路の状況、景観、矢本リサイクルセンターとの緩衝等について比較検討する。
造成パターン比較を表 4-3、造成工事概算比較を表 4-4 に示す。
①案:現状案(H=46m)
火葬場敷地を現状地盤レベルのままとし、火葬場へのアクセスは現アプローチ道路を
リサイクルセンターと共用。造成コスト、造成工事期間ともに最も有利であるが、現況
アクセス道路の屈曲・勾配の解消は不可。
②案:部分切り下案(H=43m)
火葬場建設に必要な敷地のみを切り下げ 43mとする。リサイクルセンターとの間に 46
mの盤を緩衝帯として残す。アプローチ道路も現道途中より分岐し、屈曲部の緩和は可
能だが、勾配の緩和は不可。
③案:部分切り下案(H=40m)
火葬場建設に必要な敷地のみを切り下げ 40mとする。リサイクルセンターとの間に 46
mの盤を緩衝帯として残す。アプローチ道路も現道途中より分岐し、屈曲部の緩和は可
能で、②案よりはアプローチ道路が短くなるが、進入部の勾配の緩和は不可。造成後の
全体的な平面部分は最も広く取れるが、工事費、工期ともに最大となる。
上記3案を比較検討し、コスト・工期等総合的に判断した結果、基本計画においては①案
の現状案で検討を進めることとする。但し、一部道路形状の見直し等については、今後の詳
細調査の上、必要に応じて再検討するものとする。 4- 3
表4-3 造成パターン比較
① 案
② 案
③ 案
部分切り下げ案①(H=43)
部分切り下げ案②(H=40)
概略図
火葬場用地・未利用地の配置は
一例であり、今後の詳細検討によ
り変更する場合あり。
現状案(H=46)
各案の概要
現状地盤レベルのまま、H=46に防災調整池のみ新たに整備。
火葬場アクセスは、現リサイクルセンターへのアプローチを共用。
敷地造成費
27,362
火葬場建設に必要な部分のみを3m切り下げ整備する。
火葬場アクセスは、現アプローチのヘアピンカーブより分岐し、専用整備。
敷地造成費
千円
擁壁築造費
造成費
◎
119,024
火葬場建設に必要な部分のみを6m切り下げ整備する。
火葬場アクセスは、現アプローチのヘアピンカーブより分岐し、専用整備。
敷地造成費
千円
27,362
千円
諸経費(≦60%)
15,638
千円
43,000
造成費(事業費)
○
直接工事費
119,024
千円
諸経費(≦60%)
70,976
千円
造成費(事業費)
千円
千円
直接工事費
203,476
千円
諸経費(≦60%)
121,524
千円
擁壁築造費
擁壁築造費
直接工事費
203,476
190,000
△
325,000
造成費(事業費)
千円
造成工事期間
◎
30日(実工事日数)
○
100日(実工事日数)
△
170日(実工事日数)
敷地有効率(全体)
平面部分の合計
○
約11,600㎡
○
約14,700㎡
◎
約15,900㎡
火葬場へのアクセス路
インフラ等整備
景 観
リサイクルセンターとの関係
(作業音・振動)
将来の土地利用について
(未利用地)
リサイクルセンターへのアプローチと共用のままとなり、急勾配Rコーナーの解消も出
千円
△
現屈曲部付近から火葬場専用アクセス路を整備し、Rコーナーの解消可能だ
が、既存直線部の急勾配の解消は不可
△
現屈曲部付近から火葬場専用アクセス路を整備し、Rコーナーの解消可能だ
が、既存直線部の急勾配の解消は不可
△ る必要あり
△
現インフラが火葬場用地を横断しているため、リサイクルセンターへの接続を切り替え
る必要あり
△
現インフラが火葬場用地を横断しているため、リサイクルセンターへの接続を切り替え
る必要あり
- リサイクルセンターから極力離した配置を前提とすると、県道からの視認性が大となる
-
リサイクルセンターから極力離した配置を前提とすると、県道からの視認性が大となる
が、現状案よりは3m低い盤となる
-
リサイクルセンターから極力離した配置を前提とすると、県道からの視認性が大となる
が、現状案よりは6m低い盤となる
○
リサイクルセンターとの間に、3m高い46mの盤を緩衝帯として配置することにより、
音・振動の若干の緩和が期待できる
◎
リサイクルセンターとの間に、6m高い46mの盤を緩衝帯として配置することにより、
音・振動の緩和が期待できる
× 来ない
現インフラが火葬場用地を横断しているため、リサイクルセンターへの接続を切り替え
リサイクルセンターより一段高い敷地となり、音、振動の低減には植林・擁壁等の人工
△ 的緩衝帯の設置が必須
○
約3,700㎡
約6,800㎡
○
4- 4
○
約8,000㎡
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44 -- 66
第5章
施設建築計画
5-1
基本方針
火葬場とは「死者のための施設」ということが意識されているが、別の見方をすれば「生きてい
る人々のための施設」でもなければならない。
もちろん火葬という儀式を行う施設であるが、野辺の送りに参加した人々が故人を偲ぶ施設でも
ある。建築的には死者を葬るための空間づくり、会葬者を優しく包み込む空間づくりなど人生最後
の儀式を行うに適した環境をどうつくるかが計画の基本になると考える。
前章までの整備方針を踏まえて各々の基本方針を述べる。
(1)従来の火葬場のイメージを一新した施設の考え方
従来、火葬場は嫌悪施設として避けられる傾向にあった。しかし、近年では環境性能に
優れた火葬炉の導入、周辺環境と調和した施設構成等により、人と環境にやさしく地域に
受け入れられる施設への変換が図られるようになってきている。
(2)災害時における公共建築物としての有り方を考える
火葬場は公共性の高い建物であり、災害時にも機能を停止させることを許されない施設
であることから、立地面や構造計画上の配慮、設備計画上の対応が求められる施設である。
また、将来の更新時に置ける、機能維持といった面からの配慮も必要である。
(3)周辺地域の環境との調和
周辺には植樹により緩衝空間を設け、外部との遮蔽を考慮する。また、火葬炉は周辺環
境への影響を考慮した最新の技術を採用した設備の導入を図る。
(4)運営管理しやすい施設づくり
イニシャルコスト、ランニングコストを抑える工夫をする。施設の過大なしつらえをな
くし、利用の形態を十分に考慮したきめ細かな計画をする。建物の断熱性の向上、自然の
通風や採光などの提案を行う。
(5)多様化する利用者への対応と人に優しい施設づくり
高齢化や核家族化の進行、葬儀に対する意識の変化などにより増えつつある、
「家族葬」
や「直葬」といった小規模な葬儀にも配慮する。
また、建物や諸設備のバリアフリー化やユニバーサルデザインの採用により、全ての人
に利用しやすい施設とする
以上の点に留意し、人生終焉の場にふさわしい施設作りをめざすことが必要である。
5- 1
5- 2
5- 3
5- 4
5- 5
5- 6
5-5
構造計画基本方針
火葬場は公共性の高い建物であり、災害時にも機能を停止することなく対応できる防災施設でな
ければならない。防災施設として、施設計画上の耐震安全性を確保することが何より重要である。
機能の停止が許されない火葬炉設備などは、大地震が発生しても、その性能が確保されなければな
らない。一方、待合部門や管理諸室は大地震発生時の人命の安全確保と、二次災害の防止が図られ
る性能とすることが必要である。具体的には、平面計画上において余裕のある壁量を確保すること
や、保有水平耐力の割増し、変形制限を設ける、といったようなことが上げられる。
また、火葬場は、大型設備である炉設備を装備することから、建設時の搬入はもちろん、将来の
機器更新等にも備えた施設計画としておくことが重要である。そのためには、床や壁に機器の搬出
入のための開口や、大きな空間を確保するための吹き抜け架構などが必要となる。しかしこれらの
計画は、構造計画上は剛性仮定が成立しにくい不利な条件となりかねないため、詳細な検討が必要
である。
5-6
防災・避難計画
災害発生予防、災害早期発見、災害早期消滅、発生後の安全避難、発生後の損害最小化を前提と
して、意匠、構造、設備、全般に関連した防災・避難計画の検討が必要である。災害発生の予防に
は、地震、台風、火災等の災害に対する十分な安全性確保のため、耐震、耐風、耐火、安全避難路・
安全地帯等の確保が有効である。特に安全避難については、防災避難計画として、シミュレーシュ
ンを確立しておくことが重要である。
災害の早期発見は、設備の感知器等(自動火災報知設備等)によるものと、職員の監視、巡回、
利用者等の発見がある。人による発見は設備機器より早いが、不在時は設備に依存しなければなら
ない。感知器による早期発見システムを構築しておく必要がある。
災害の早期消滅(処理)は、災害の加速的発展にいかに対応できるかが課題である。人による初
期消火等の対応が最も効果的であるが、早期発見の確立と安全性から屋内消火栓等の消防設備が必
要である。
発生後の安全避難は、情報の的確性が重要で、災害箇所の早期特定、段階的避難、職員による普
段の訓練も必要である。また、避難を助ける防火区画、排煙区画等の設定、排煙設備、非常照明設
備、誘導等設備、避難器具等の建築・消防設備が有効である。
発生後の損害最少化には、建築非構造材及び建築設備について、合理的な耐久性の確保が必要で
ある。また、人命を最大の損害対象とした可能な限りの前記対策計画と、行動責任体制に基づいた
日常の訓練が必要である。防災・避難計画には、災害に対する最も不利な条件設定(避難距離、避
難者の状態等)におけるシミュレーションも必要である。
5- 7
5-7
設備計画基本方針
遺族・会葬者・職員等が施設を安全・快適に利用するためには、電気・空気調和・給排水等に関
する設備計画について、建築(意匠・構造)計画との整合性が求められ、システム的に制御可能で
あることが必要である。
すなわち、火葬場の諸施設の利用目的や利用状況毎に対応できるような計画とすること。また、
省エネルギー化、省力化、安全性を考慮すると共に、公害対策、安全衛生対策、維持管理の容易さ
にも十分に配慮することが求められる。
(1)電気設備計画
火葬場施設は防災施設であると言うことを踏まえ、避雷設備・自家発電装置を設ける等、
停電対応策を用意する必要がある。自家発電装置は、官公庁等の重要施設と同様の燃料備蓄
は最低限必要であり、大地震等災害発生時の大規模停電を考慮すると、さらに長期間分の燃
料備蓄も想定しなければならない。また、必要設備の2重化や機器の更新の容易さ、機器の
安全性にも配慮する必要がある。
さらに、ライフサイクルコスト低減の観点からコンピュータ管理を採り入れた省エネルギ
ー、省資源、省力化に配慮する必要がある。
(2)空気調和設備計画
空気調和は、快適な空間をつくるため、温度、湿度、空気の清浄度等のシステム制御を行
うものである。火葬場は所要室により求められる室内環境(温度、湿度、空気の清浄度等)
の条件は異なるが、お別れ室(告別兼収骨室)
、作業室及び炉機械室は、焼香や未燃物質の
臭気、温度に配慮する必要があり、所要室や空間に応じての効率的な空調ゾーニングの検討
が必要である。屋外への換気はフィルタを通して脱臭後排気する必要がある。作業室は炉の
臭気が炉前ホール等に出ないように配慮し、年間を通して快適な環境とする。作業室上部の
機械室は特に負荷が高く、別途詳細な検討が必要であり、作業室と機械室の上下階で独立し
た空調システムとすることも検討すべきである。また、ダクト類の設計においては、将来の
機器の更新時に邪魔にならないように配慮することも必要である。
(3)給排水衛生設備計画
用地の立地条件等により水利条件は異なるので、用地選定時には、充分な調査と検討の上で
給排水・汚水処理の方式を決定することが必要である。また、節水型の機器の採用、汚水処理
水、雨水の中水としての利用等、省資源への配慮も必要である。
5- 8
第6章
6-1
公害防止計画
環境基準の設定(環境保全目標値)
火葬炉の運転により環境に負荷を与えることは不可避であるから、火葬場建設に当
っては、環境基準等に基づく環境保全目標値を設定し、この目標値を達成するよう火
葬 炉 設 備 の 構 成・構 造 等 を 検 討 し て 、よ り 一 層 の 環 境 負 荷 の 低 減 に 努 め る 必 要 が あ る 。
( 1) 環 境 基 準 と 環 境 保 全 目 標 値
火 葬 場 施 設 で は 施 設 稼 働 時 に お け る 一 般 的 影 響 を 考 慮 し て 、少 な く と も 大 気 汚 染( 二
酸 化 硫 黄 、 二 酸 化 窒 素 、 浮 遊 粒 子 状 物 質 、 微 小 粒 子 状 物 質 (PM2.5)な ど )、 悪 臭 、 騒
音の3項目については環境基準を考慮し、公害防止に努めることが求められる。
1)大気汚染
大 気 汚 染 に つ い て は 、環 境 基 本 法 第 16 条 の 規 定 に 基 づ き 、表 6-2 に 示 す 11 物 質
の環境基準が定められている。
火葬場の環境保全目標値は、稼働条件を考慮するとこの環境基準に定める値(1
時間値)に設定することが望ましい。また、二酸化窒素の1時間値については環境
基 準 が な い た め 「 二 酸 化 窒 素 の 人 の 健 康 影 響 に 係 わ る 判 定 条 件 等 に つ い て ( 答 申 )」
(昭 和 53 年 3 月 22 日 付 、中 公 審 163 号 中 央 公 害 対 策 審 議 会 会 長 よ り 環 境 庁 長 官 あ て )
の 中 で 指 針 と し て 示 さ れ て い る 、「 短 期 曝 露 に つ い て は 、 1 時 間 曝 露 と し て 0.1~
0.2ppm」 を 採 用 す る こ と が 望 ま し い 。
なお、光化学オキシダントは反応二次生成物質であること、また、一酸化炭素は
発生源対策が可能であることから、この2物質についての環境保全目標値を設定す
る必要はないと判断される。
微小粒子状物質については、発生源対策も可能であると考えられるが、現在のと
ころ微小粒子状物質濃度と発生源対策の関係データの蓄積がないことから、目標値
の設定は難しい。しかしながら、浮遊粒子状物質とともに微小粒子状物質の健康影
響は近年懸念されており、できる限りの発生源対策が望ましい。
以 上 の こ と か ら 、火 葬 場 の 大 気 汚 染 に 係 わ る 環 境 保 全 目 標 値 は 、表 6-1 に 示 す 値
に設定することが望ましい。
表 6 -1
火葬場の環境保全目標値
大気汚染物質
環境保全目標値(1時間値)
二酸化硫黄
0.1ppm 以 下
二酸化窒素
0.1~ 0.2ppm
浮遊粒子状物質
0.20mg/m 3 以 下
6- 1
表 6 -2
物
質
二 酸 化 硫 黄 (SO 2 )
一 酸 化 炭 素 (CO)
浮 遊 粒 子 状 物 質 (SPM)
二 酸 化 窒 素 (NO 2 )
光 化 学 オ キ シ ダ ン ト (OX)
ベンゼン
大気汚染に係わる環境基準
環境上の条件(設定年月日等)
1 時 間 値 の 1 日 平 均 値 が 0.04ppm 以 下 で あ り 、 か つ 、 1 時 間
値 が 0.1ppm 以 下 で あ る こ と 。 (48.5.16 告 示 )
1 時 間 値 の 1 日 平 均 値 が 10ppm 以 下 で あ り 、 か つ 、 1 時 間 値
の 8 時 間 平 均 値 が 20ppm 以 下 で あ る こ と 。 (48.5.8 告 示 )
1 時 間 値 の 1 日 平 均 値 が 0.10mg/m 3 以 下 で あ り 、 か つ 、 1 時
間 値 が 0.20mg/m 3 以 下 で あ る こ と 。 (48. 5.8 告 示 )
1 時 間 値 の 1 日 平 均 値 が 0.04ppm か ら 0.06ppm ま で の ゾ ー ン
内 又 は そ れ 以 下 で あ る こ と 。 (53.7.11 告 示 )
1 時 間 値 が 0.06ppm 以 下 で あ る こ と 。 (48.5.8 告 示 )
1 年 平 均 値 が 0.003mg/m 3 以 下 で あ る こ と 。 (H9.2.4 告 示 )
トリクロロエチレン
1 年 平 均 値 が 0.2mg/m 3 以 下 で あ る こ と 。 (H9.2.4 告 示 )
テトラクロロエチレン
1 年 平 均 値 が 0.2mg/m 3 以 下 で あ る こ と 。 (H9.2.4 告 示 )
ジクロロメタン
1 年 平 均 値 が 0.15mg/m 3 以 下 で あ る こ と 。 (H13.4.20 告 示 )
ダイオキシン類
1 年 平 均 値 が 0.6pg-TEQ/m 3 以 下 で あ る こ と 。(H11.12.27 告 示 )
微 小 粒 子 状 物 質 (PM2.5)
2)悪
1 年 平 均 値 が 15μ g/m 3 以 下 で あ り 、 か つ 、 1 日 平 均 値 が 35
μ g/m 3 以 下 で あ る こ と 。 (H21.9.9 告 示 )
臭
悪 臭 は 、多 成 分 か ら な る 複 合 臭 気 で あ り 、悪 臭 防 止 法 で は 現 在 22 物 質 が 規 制 対 象
となっている。
悪臭公害は、この複合臭気と人間の嗅覚応答との関係の問題であるが、悪臭各成
分の測定技術の限界や各成分による相乗効果については不明な点が多く、個々の悪
臭成分で規制することは現実的には余り意味をもたない。
火葬場の悪臭は、敷地境界で「感知できない程度」の臭気濃度以下に規制する必
要があると考えられ、三点比較式臭袋法による環境臭気濃度と苦情発生の関係では
臭 気 濃 度 が 10 以 下 で あ れ ば 苦 情 発 生 は 認 め ら れ な い と 判 断 さ れ て い る こ と か ら 、悪
臭 の 環 境 保 全 目 標 値 は 、「 敷 地 境 界 で 臭 気 濃 度 10 以 下 」 に 設 定 す る の が 適 当 と 判 断
される。
また、最近の悪臭苦情では複合臭が原因となる場合や、指定された悪臭物質以外
の物質が原因となる苦情が増加していることから、
「 物 質 濃 度 規 制 」か ら「 臭 気 指 数
規制」を採用する自治体も増加している。臭気指数は臭気を感知しなくなるまで希
釈 し た 場 合 の 希 釈 倍 数 の 対 数 を 10 倍 し た 値 で あ る 。
悪 臭 防 止 法 に 基 づ く 規 制 基 準 は 、『 臭 気 強 度 』 2.5~ 3.5 の 範 囲 に 相 当 す る 『 特 定
悪臭物質』の濃度の範囲で都道府県知事が規制地域と規制基準を定めることとされ
6- 2
て い る が 、臭 気 指 数 に 関 す る 規 制 に つ い て は こ の 悪 臭 強 度 2.5~ 3.5 の 範 囲 に 相 当 す
る 臭 気 指 数 と し て 10~ 21 の 範 囲 内 と 定 め ら れ て い る 。
3)騒
音
騒 音 に つ い て は 、 環 境 基 本 法 第 16 条 に 基 づ き 、 表 6-3 、 表 6-4 に 示 す 環 境 基 準
が定められている。
ま た 、騒 音 規 制 法 で は 、特 定 工 事 等 に お い て 発 生 す る 騒 音 に つ い て 区 域 の 区 分 別 、
時間帯別に規制していることから、建設予定地が属する区域の規制値以下に環境保
全目標値を設定する必要がある。
表 6 -3
地域の類型
騒音に係わる環境基準
昼
間
夜
間
AA
50 db 以 下
40 db 以 下
A及びB
55 db 以 下
45 db 以 下
C
60 db 以 下
50 db 以 下
(注)
1:時 間 の 区 分 は 、昼 間 を 午 前 6 時 か ら 午 後 10 時 ま で の 間 と し 、夜 間 を 午
後 10 時 か ら 翌 日 の 午 前 6 時 ま で の 間 と す る 。
2:AAを当てはめる地域は、療養施設、社会福祉施設等が集合して設置
される地域など特に静穏を要する地域とする。
3:Aを当てはめる地域は、専ら住居の用に供される地域とする。
4:Bを当てはめる地域は、主として住居の用に供される地域とする。
5:Cを当てはめる地域は、相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供
される地域とする。
表 6 -4
地
域
の
区
道路に面する地域の環境基準
分
昼
間
夜
間
A地域のうち2車線以上の車線を有する
60 db(A )以 下
50 db(A )以 下
道路に面する地域
B地域のうち2車線以上の車線を有する
道路に面する地域及びC地域のうち車線
65 db(A )以 下
60 db(A )以 下
を有する道路に面する地域
備考:車線とは、1縦列の自動車が安全かつ円滑に走行するために必要な一定の幅員を
有する帯状の車道部分をいう。この場合において、幹線交通を担う道路に近接す
る 空 間 に つ い て は 、 上 表 に か か わ ら ず 、 特 例 と し て 表 6-5 の 基 準 値 の 欄 に 掲 げ る
とおりとする。
6- 3
表 6 -5
基
昼
特例の環境基準
準
値
間
夜
70 デ シ ベ ル 以 下
間
65 デ シ ベ ル 以 下
備 考:個 別 の 住 居 等 に お い て 騒 音 の 影 響 を 受 け や す い 面 の 窓 を 主 と し て 閉 め た 生 活 が 営 ま れ て
い る と 認 め ら れ る と き は 、屋 内 へ 透 過 す る 騒 音 に 係 る 基 準( 昼 間 に あ っ て は 45 デ シ ベ ル 以 下 、
夜 間 に あ っ て は 40 デ シ ベ ル 以 下 ) に よ る こ と が で き る 。
(2)公害防止目標値
1)公害防止目標値の設定
火葬場施設から発生する大気汚染物質の排出基準、臭気、騒音の規制基準は特
に定められていないが、全国の自治体では火葬場建設に際し、公害防止の観点か
ら「火葬場の選定にかかるガイドラインの作成に関する研究(平成2年度厚生行
政 科 学 研 究 )」 に 示 さ れ た ガ イ ド ラ イ ン 、「 火 葬 場 か ら 排 出 さ れ る ダ イ オ キ シ ン 類
削 減 対 策 指 針 ( 平 成 11~ 12 年 度 厚 生 行 政 科 学 研 究 )」、 各 自 治 体 の ご み 焼 却 場 の
排出基準等を参考に、より厳しい公害防止目標値を自主的に設定している。
したがって、火葬場整備にあたっては、大気汚染防止法、悪臭防止法、騒音規
制法の規制基準値、近年の他自治体の自主目標値等を参考に、排出源としての自
主的な公害防止目標値を設定し、最新設備を導入して必要十分な対策を講じて、
この自主目標値を達成する必要がある。
2)公害防止目標値の設定事例
公 害 防 止 目 標 値 の 設 定 事 例 を 、 表 6 -6 に 示 す 。
排 ガ ス の 濃 度 は 酸 素 濃 度 12% 換 算 値 で 、悪 臭 物 質 濃 度 は 臭 気 強 度 2.5 に 対 応 す る
物質濃度となっている。
硫 黄 酸 化 物 濃 度 は 、法 令 基 準 値 等 の 濃 度 で 規 制 し て も よ い が 、火 葬 炉 で は p p m
で目標値濃度を示す場合がほとんどである。
なお、近年はろ過式集じん装置(通称バグフィルタ)で除去した飛灰中の
ダ イ オ キ シ ン 類濃 度 も 問 題 視 さ れ て お り 、 3ng-TEQ/g 以 下 に 設 定 す る こ と が 多 く な
っている。
6- 4
表 6 -6
項
公害防止目標値事例
目
公 害 防 止 目 標 値
0.01 g/ m 3 N 以 下 (排 気 筒 出 口 )
30 ppm 以 下 (排 気 筒 出 口 )
250 ppm 以 下 (排 気 筒 出 口 )
50 ppm 以 下 (排 気 筒 出 口 )
30 ppm 以 下 (排 気 筒 出 口 )
1 ng- TEQ/ m 3 N 以 下 (排 気 筒 出 口 )
1 ppm 以 下
0.002
〃
0.02
〃
0.01
〃
0.009
〃
0.005
〃
0.05
〃
0.05
〃
0.009
〃
0.02
〃
0.009
〃
0.003
〃
0.9
〃
3
〃
1
〃
10
〃
0.4
〃
1
〃
0.03
〃
0.001
〃
0.0009
〃
0.001
〃
500 以 下
10 以 下
3ng-TEQ/g
70 dB(A) 以 下 ( 1 炉 稼 働 時 )
80 dB(A) 以 下 ( 全 炉 稼 働 時 )
60 dB(A) 以 下 ( 全 炉 稼 働 時 )
50 dB(A) 以 下 ( 全 炉 稼 働 時 )
ば い じ ん
硫 黄 酸 化 物
窒 素 酸 化 物
排 ガ ス 濃 度
塩 化 水 素
一 酸 化 炭 素
ダイオキシン類
ア
ン
モ
ニ
ア
メ チ ル メ ル カ プ タ ン
硫
化
水
素
硫
化
メ
チ
ル
二 硫 化 メ チ ル
ト リ メ チ ル ア ミ ン
ア セ ト ア ル デ ヒ ド
プロピオンアルデヒド
ノルマルブチルアルデヒド
イソブチルアルデヒド
悪臭物質濃度 ノ ル マ ル バ レ ル ア ル デ ヒ ド
(排気筒出口) イ ソ バ レ ル ア ル デ ヒ ド
イ ソ ブ タ ノ ー ル
酢
酸
エ
チ
ル
メチルイソブチルケトン
ト
ル
エ
ン
ス
チ
レ
ン
キ
シ
レ
ン
プ ロ ピ オ ン 酸
ノ ル マ ル 酪 酸
ノ ル マ ル 吉 草 酸
イ
ソ
吉
草
酸
排気筒出口
臭気濃度
敷地境界
飛 灰
ダイオキシン類
作業室内
騒
音
炉前ホール
敷地境界
出 典 :「 火 葬 場 の 建 設 ・ 維 持 管 理 マ ニ ュ ア ル 改 訂 版 」
6- 5
6-2
アセス実施方針と実施内容
火葬場の建設については、環境影響調査法及び宮城県の環境影響評価条例の調査対
象事業として位置付けられていない。
し か し な が ら 、施 設 の 稼 働 に あ た っ て は 、周 辺 に 対 す る 配 慮 が 必 要 で あ る こ と か ら 、
自 主 的 に 環 境 影 響 調 査 を 実 施 す る こ と と し 、 そ の 調 査 項 目 案 を 表 6-7 に 示 す 。
項 目 の 設 定 に つ い て は 、「 環 境 影 響 評 価 技 術 指 針 」( 宮 城 県 告 示 第 1 1 9 号 ) 別 表 第
二 を 参 考 と し 、影 響 要 因 の 区 分 は 同 表 中「 最 終 処 分 場 設 置 事 業 に 係 る 廃 棄 物 の 埋 立 て 」
を参考とする。調査の手法は、同表「参考手法」の欄を参考とする。
表 6 -7
環境要素の区分
浮遊粒子状物質
自主アセス項目案
調査の手法
予測の手法
①浮遊粒子状物質の濃度の状況
大気の拡散式に基づく理
②気象の状況
論計算
粉じん等
①気象の状況
事例の引用又は解析
騒音・低周波音
①環境騒音・低周波音の状況
音の伝搬理論に基づく計
②地表面の状況
算、事例の引用又は解析
①悪臭の状況
事例の引用又は解析
悪臭
②気象の状況
6- 6
第7章
火葬炉計画
7-1
炉設備の構成等
(1)火葬炉設備の構成
火 葬 炉 設 備 は 、 搬 送 設 備 、 燃 焼 ・ 排 気 設 備 、 排 ガ ス 処 理 設 備 、 付 帯 設 備 の 4 つ の カ テゴ
リーに分類される。
1)搬送設備:柩や炉内台車を搬送する設備
(棺運搬車、炉内台車運搬車等)
2)燃焼・排気設備:火葬を行い、発生した燃焼ガスを排出する設備で、火葬炉の中心的 設
備。
(炉内台車、断熱扉、主燃焼炉、再燃焼炉、主燃焼炉バーナ、再燃焼炉バーナ、燃焼
用空気送風機、炉内圧制御用ダンパ、排風機、排気筒等)
3)排ガス処理設備:生成ガス(燃焼ガス)の処理を行う設備
(冷却装置、冷却用送風機、バグフィルタ、ダイオキシン類分解触媒等)
4)付帯設備:その他の設備
(前室、残骨灰真空輸送装置、飛灰真空輸送装置、緊急バイパスダンパ、バイパス、排
風機バイパスダンパ等)
火葬炉設備は、以下に示すフローで構成されるのが一般的である。
図7-1
火葬炉設備フロー
排 風 機 バ イ パ スダ ン パ
バイ パ ス
冷却装置
炉内圧制御
用ダンパ
冷却 用 送 風 機
バ グ フ ィ ルタ
緊急
バ イ パ ス ダ ンパ
触媒
排風機
排気筒
再燃焼炉
再 燃焼 炉 バ ー ナ
断熱 扉
柩運搬車
炉 内 台車
炉 内 台 車運 搬 車
燃 焼 用 空 気 送 風機
主燃焼炉
主燃焼炉バーナ
炉 内 台 車移 送 装 置
出 典 : 火 葬場 の 建 設 ・維 持 管 理 マニ ュ ア ル (改 訂 版 )
7- 1
(2)各装置(設備)の概要等
1 ) 冷却前室
炉内台車及び焼骨を空気冷却方式で強制冷却するための設備で、炉前ホ-ルの化粧 扉 と
火葬炉の間に設置される箱型の冷却室である。
火葬炉の前に位置することから冷却前室と呼ばれるが、主燃焼炉内の状況を会葬者等 か
ら遮蔽する役割も担っている。
2)主 燃 焼 炉
主燃焼炉の型式には、台車式とロストル式がある。近年 の新設火葬場では民間斎場の一
部を除いて台車式が採用されている。
台車式火葬炉は、主燃 焼炉内へ出入りする台車(炉内台 車)上へ柩 を積載して火葬を行
う方式である。ロストル式火葬炉は燃焼炉内に柩を支持するロストル(火格子)及び骨 受
皿(又は骨受台車)を備えた火葬炉である。
ロス トル式火 葬 炉は、台 車 式に比べ 火 葬時間が 短 いことが 特 徴であっ た が、台車 式 火葬
炉の技術向上により近年は火葬時間の差は殆どなくなっている。
本計画火葬場では、焼骨の 形状や作業性等を考慮して、台車 式の主燃焼炉を採用する こ
ととする。
図7-2
台
車
主燃焼炉内略図
式
ロ ス ト ル 式
柩
柩
ロストル
台
◎
車
骨
受
皿
◎
3)再燃焼炉
再燃焼炉は、主 燃焼炉で発生した不完全燃焼のばいじん、臭 気成分、ダ イオキシン類等
を熱分解して完全燃焼するための二次燃焼炉であり、大別して横型と竪型の2形式があ る 。
この再燃焼炉は公害防止対策上最も重要な設備であり、バーナ火炎と排ガスとの攪拌・混
合性が良いばかりでなく、必要な温度(約850℃)と滞留 時間(最大排ガス発生時において 約
2秒)及び残存酸素濃度(概ね6%以上)を保持できる機能を有する計画とする。
7- 2
4 ) 耐火・断熱材
耐火・断熱材は、炉内温度及び温度勾配、燃焼ガスの性状と耐火材の特性、耐火度、
比重、圧縮強度、熱膨張率、耐スポーリング性等を考慮して選定しなければならない。
耐火・断熱材には、各種の耐火・断熱レンガ、プラスチック耐火物やキャスタブル耐
火物のような不定形耐火物、シリカボード、セラミックファイバ等が使用されている。
近年の新設炉では、補修の容易性、高断熱性等を考慮して、主燃焼炉内だけでなく再燃
焼炉内にもセラミックファイバを1~2層に張り付ける仕様が殆どである。
なお、耐火・断熱材の材質や厚みは、側壁、天井、炉床等の耐火温度、荷重及び炉の
運 転 回 数 に よ っ て 異 な る が 、 ケ ー シ ン グ の 表 面 温 度 が 概 ね 50℃ 以 下 と な る よ う 設 計 す る
必要がある。
5)燃焼装置
① 主燃焼炉用バーナ
主燃焼炉用バーナは、狭角長炎の火炎を有し、頭部ばかりでなく難燃部や足元にも
火炎を照射できる性能が必要となる。
容量は40~50 万kcal/hが一般的で、灯油バ ーナの型式にはガンタイプや低圧空気 噴
霧式、ガスバーナには先混合型のノズルミックスバーナ等がある。
② 再燃焼炉用バーナ
再燃焼炉用バーナは、主燃焼炉排出ガスとの接触・混合を高めるため、広角短炎の
火炎形状を形成し、か つ炉内温度の制御を容易に行うことができる性能を具備する必 要
がある。
バーナの型式は、主燃焼炉用と同等のものが使用されているが、5分程度で炉内を
800℃程度まで昇温するため、40~60 万kcal/hの容量と なっている。
③ 燃焼用空気送風機
バーナから吐出される燃料には、吐出量に比例した燃焼用空気を送り込む必要が
あり、この目的で使用されるものが燃焼用空気送風機である。しかし、燃焼の対象
物が一定ではなく、また送風された空気が全て燃焼に利用されることはないため、
適切な空気量を供給して完全燃焼を行うよう制御する必要がある。
また、再燃焼炉において完全燃焼されているかどうかの指標として、炉容積や保
持温度ばかりでなく、炉出口の残存酸素濃度が6%以上に保持されていることが用
いられるが、この残存酸素濃度は燃焼用空気送風機から分岐して供給する空気量に
よって制御されるのが一般的である。
7- 3
6) 排ガス冷却装置
従来、排ガス冷 却装置における冷却速度については特に留意されなかったが、近年 は ダ
イオキシン類の再合成反応(de novo合成)を防止するため、約200℃以下までは急冷 す る
ことが冷却装置の前提条件となっている。
このため、排ガスの冷却は、空気混合方式若しくは水噴霧によって急冷する直接冷却 方
式を採用することが望ましく、熱交換器による間接冷却や熱交換器と空気混合方式の 併 用
による冷却を採用しないほうが無難と考えられている。
しかし、水噴霧による冷却は、排煙と誤解される恐れがあるため、本計画火葬場では 空
気混合による冷却方式を採用することが望ましい。
7)排 気 設備
① 通風方式
火葬炉設備の通風方式は、強制通風と自然通風に分類される。
通風設備の必須条件は、安定した通風力を有すること、制御が容易なことであり、
計画火葬場ではこれらの点に優れた強制通風方式を採用する。
この強制通風には、誘 引 送 風 機 に よ り 排 ガ ス を 誘 引 す る 方 式 、押 込 送 風 機 に よ り
排 ガ ス を 押 出 す 方 式 が あ り 、バ グ フ ィ ル タ 仕 様 の 火 葬 炉 設 備 で は 1 段 目 に 冷 却 装
置 を 兼 ね る 押 込 送 風 機 、2 段 目 に 誘 引 送 風 機 を 使 用 し て 通 風 す る 方 式 が 採 用 さ れ
ることもある。
② 排気筒
強制排気方式の採用とともに、排気筒は短煙突が主流となり、バグフィルタ
仕 様 の 設 備 で は 、 排 気 筒 の 高 さ は 15~ 17m と な っ て い る 。 排 気 筒 は 、 排 ガ ス に
よる腐食防止や低騒音に留意した構造・材質でなければならない。また、排ガ
スの大気拡散を考慮し、一定の有効煙突長を確保するとともに、上部に雨傘等
の拡散障害物を設けない構造とする必要がある。
なお、供用開始時点での排ガス測定は必ず実施されるが、近年はその後年1
回はダイオキシン類濃度等の排ガス性状を測定することが一般的であり、このた
めの測定口を設置する必要がある。
8)排ガス処理設備
①
集じん装置
集じん装置は、排ガス 中のばいじんを分離捕集する装置である。こ れまで、小 規模火
葬場においては設置費用やメンテナンスを考慮して簡易的な慣性力集じん装置(通 称 パ
イロスクリーン又はデミスター)が多く採用されてきたが、そのような装置ではダ イ オ
7- 4
キシン類削減対策としては逆効果との指摘もなされており、本計画においては、ダ イ オ
キシン類削減対策等を考慮して、バグフィルタにて検討することとする。
バグフィルタとは、排ガス中の固体粒子をフィルタ(ろ布)で分離する装置である。
本装置では、捕集した粒子がフィルタの表面に堆積して粒子層を形成し、この粒子 層
が新たなろ過機能を有することで微粒子の捕集も可能となり、集じん効率が非常に 高 く
なる。また、運転温度(排ガス温度)を 200℃以下に設定すると、ダイオキシン類 の 再
合成もほとんどないため、新設火葬場でバグフィルタを採用する事例が多くなってい る 。
フィルタ材は多種多様で排ガスの性状により適不適があるが、火葬炉では排ガス 中 の
水 分 量 、 ば い じ ん 量 等 を 考 慮 し て ポ リ イ ミ ド 系 P 84 が 多 く 使 わ れ て い る 。 フ ィ ル タの
耐熱温度は、250~260℃(MAX)程度である。
この他に、火葬炉設備の集じん装置には以下の3形式が採用されている。
ア)慣性力集じん装置(通称パイロスクリーン又はデミスター)
含じんガスを各種の障害物に衝突させるか又は急激に方向転換させ、ガス中の
粒子の慣性力を利用して分離捕集する装置である。
本装置には、衝突式と反転式のものがありいずれも集じん効率は低いが、既存
の火葬場では衝突式慣性力集じん装置が多く使用されてきた。本装置は、微粒子
の捕集が困難で、付着する粒子がダイオキシン類再合成の触媒となる可能性が高
いことが指摘されている。
イ)遠心力集じん装置
本装置はサイクロンと呼称されるもので、含じんガスに旋回運動を与え、粒子
に作用する遠心力によって粉塵をガス中から分離する装置である。本装置は、含
じんガスの流入・流出の形式により、接線流入式と軸流式に大別される。
本装置は、可動部がないため構造が簡単で、高温の条件下でも使用可能なこと
から複数の火葬場で採用されているが、微粒子の捕集は困難である。また、再燃
焼 炉 出 口 で 急 速 冷 却 す る 装 置 を 備 え て い る も の は 殆 ど な く 、 排 ガ ス 温 度 が 300~
400℃で使用される場合が多いため、ダイオキシン類を再合成している可能性 が 高
いと言われている。
ウ)電気集じん装置
装置内の直流高電圧(数千~数万ボルト)発生装置によってコロナ放電を発生
させ、このコロナ放電でガス中の粒子を帯電させて、電気吸引力により帯電粒子
を集じん極に捕集する装置である。捕集した粒子の払落し方式により乾式と湿式
に大別されるが、火葬場で使用されているのは乾式である。
本 装 置 は 集 じ ん 率 が 高 く 、 最 適 な 使 用 温 度 帯 ( 300~ 350℃ ) で は 微 粒 子 の 捕 集
効率も高い。しかし、こ の温度帯はダイオキシン類の再合成条件と合致しており 、
7- 5
再合成を防止するために使用温度を 200℃以下にすると、微粒子の捕集効率が 低 下
することから、近年の新設火葬場では採用されていない。
②高度排ガス処理装置
高度排ガス処理装置は、ダイオキシン類等を大幅に低減するために、集じん器以 降 に
設置する排ガス処理装置である。
近 年 は 「 火 葬 場 か ら 排 出 さ れ る ダ イ オ キ シ ン 類 削 減 対 策 指 針 ( 平 成 1 2 年 3 月 ):以
下 ガ イ ド ラ イ ン と い う 。」 に 示 さ れ た 排 ガ ス 中 の ダ イ オ キ シ ン 類 濃 度 ( 新 設 炉 :
1ng-TEQ/m 3 N、既設炉:5ng-TEQ/m 3 N)より厳しく、ごみ処理施設と同等の 0.1ng-TEQ/m 3 N
以下の目標値を設定することもある。
ダイオキシン類濃度 0.1ng-TEQ/m 3 N 以下は、バグフィルタの設置や燃焼制御システ
ム等の改善だけでは対処できないことが想定され、より高度な排ガス処理装置の設
置が不可決である。
ガイドライン以降、火葬炉設備に導入されている高度排ガス処理システムには以 下 に
示す2方式がある。
ア)ダイオキシン類分解触媒の設置
ダイオキシン類分解触媒は、ばいじんを高度に除去した排ガス通路に設置する
ことから、バグフィルタ等の設置が前提条件となる。
ダイオキシン類が触媒表面で酸化分解されると、様々な中間生成物を経て、最
終的には水、二酸化炭素、塩化水素になる。
ダイオキシン類分解触媒の成分はチタン・バナジウム系のものが多く、形状は
板状型又はハニカム型が一般的である。
イ)活性炭または活性コークス吸着塔
活性炭または活性コークス吸着塔も、ばいじんを高度に除去した排ガス通路に
設置することから、バグフィルタ等の設置が前提条件である。
本装置によるダイオキシン類等の除去は、活性炭の強い吸着力を利用するもの
であり、従前から臭気成分の除去などに用いられてきた実績もある。
本方式は、150℃程度で運転される場合が多く、ダイオキシン類等を低濃度ま で
除去することが可能であるが、使用後の活性炭の再処理が必要となる。
7- 6
7-2
炉の選定方法(仕様書、発注方法)の整理
(1)選定手順
火 葬 炉 設 備 に は 構 造 等 の 基 準 が な く 、 築 炉 メ ー カ に よ っ て 炉 構 造 や 自 動 化 の 水 準 等 にか
なりの差異がある。
このため、他施設の視察などにより運転状況(火葬時間、作業性等)の聞き取り調査及 び
資料等を基に各社の設備内容を調査し、当市 の公害防止目標値、自 動化の要求水準等の 与
条件に合致する築炉メーカを選定することが望ましい。また、選定 にあたっては選定委 員
会を設置し、委員会の結論により選定することが適当と考えられる。
炉選定には従来方式とプロポーザル方式があり、この2方式の選定手順は以下のフロ ー に
示すとおりである。
1)
従来方式
与条件の整理
2)
要求水準の整理
( 環境調査も含む )
要求水準書の作成
火葬炉設備参考見積仕様書の作成
参 考 見 積 依 頼
プロポーザル方式
( 火葬炉築炉メーカーに対して )
事業者選定実施要領の作成
公募公告
参考見積設計図書提出
参加表明書提出
参考見積設計図書記載内容比較検討
条件審査
各メーカーごとの改善・指示内容の整理
技術提案書提出要請通知
改善内容をメーカーに指示
技術提案書提出
参考見積設計図の再提出
(必要に応じて)
内容チェック
(必要に応じて)
ヒアリング
(技術提案書の説明、質問)
設備内容決定
審査結果通知
発注仕様書の作成
現 説
入札または見積合わせ
7- 7
炉メーカー決定
(2) 火葬 炉設備見積仕様書の要件
炉選定は、具体的には自治体が作成した見積設計図書を炉メーカに提示し、その炉
メーカから提出された見積設計図書を要求水準への整合などの観点から精査し、その後
は発注仕様書を作成する手順で行われる。
見 積 仕 様 書 は 、 一 般 的 に は 次 の 「総 則 」以 下 内 容 を 具 備 す る が 、 本 市 の 要 求 内 容 ・ 水 準
に応じて追加、削除、修正することが必要となる。
1)総
則
・概要
:工事名称、工事場所、用途地域、火葬炉設置基数、事業手
法、工期、設計上の留意すべき事項
・計画主要項目
:火葬重量、最大柩寸法、火葬主要項目
・設備機能の確保
:適用範囲、変更、疑義
・材料及び機器
:基本事項、機材メーカの選定
・試運転及び運転指導
:試運転、運転指導、試運転及び運転指導に係る費用
・性能試験と保証事項
:性能試験、保証事項、保証期間
・工事範囲
:機械設備工事、電気及び計装設備工事、その他工事範囲外
・提出図書
:実施設計図書、施工承諾申請図書、完成図書
・検査及び試験
:立ち合い検査及び試験、検査及び試験の方法、検査及び試
験の省略、機材の工場立ち合い検査及び試験、諸官庁等の
検査及び試験、経費の負担
・正式引き渡しの条件
・その他の事項
:関係法令などの遵守、共通仕様書等の遵守、諸官庁への手
続き、施工、かし検査
2)機械設備工事仕様
・共通事項
:一般事項、歩廊・作業床及び階段工事、配管工事、保温及
び断熱工事、塗装工事、その他の事項
・燃焼設備
:主燃焼炉、炉内台車、炉内台車移動装置、再燃焼炉、燃焼
装置
・通風設備
:排風機、煙道、排気筒
・排ガス冷却設備
:排ガス冷却器、冷却用空気送風機
・排ガス処理設備
:集じん装置、活性炭吸着設備等、灰排出装置
・付帯設備
:炉前化粧扉、前室、残骨灰吸引設備、柩運搬車、炉内台車
運搬車代替燃料設備
3)電気及び計装設備工事仕様
・電気及び計装設備工事
:計画概要、機器仕様
7- 8
・運営支援システム工事
:計画概要、機器仕様
4)その他
・備品等
:保守点検工具、予備品、消耗品、収骨用具
・別紙様式、別表等
:火葬炉収支図、バグフィルタ容量計算書、自動化 システム
についての説明書、年間維持管理概算費、指定機材補修 用
一覧、項目 別工事内訳書、計装制 御一覧表、保守点検工具
一覧表、予 備品及び消耗品一覧表、燃焼計算 基本要件、火
葬炉設備主要センサー配置表、その他
・別添図面
:計画平面図及び立面図、1階平面図、2階平面図、断面 図
7- 9
第8章
施設運営・管理計画
8-1
管理運営等
( 1) 火 葬 場 の 維 持 管 理
火 葬 場 の 維 持 管 理 に は 、 図 8-1 に 示 す と お り 施 設 全 体 の 維 持 管 理 と 火 葬 炉 の 維 持
管理とに大別される。
施 設 全 体 の 維 持 管 理 は 、建 築 物 及 び 付 帯 設 備 、庭 園 等 の 保 全 及 び 墓 埋 法 関 係 手 続 事
務、人事、会計、庶務、財産などの一般事務管理業務などの包括的業務である。
火 葬 炉 の 維 持 管 理 は 、火 葬 炉 の 運 転 管 理 、火 葬 炉 設 備 と 付 帯 装 置・機 器 の 保 全 業 務
である。
施 設 全 体 : 建 築 物 及 び 付 帯 設 備 、庭 園 、駐 車 場 、専 用 路 等 の 保 全 業 務
並びに墓埋法と一般の事務管理業務等
火葬場の維持管理
火葬炉
:火葬炉の運転管理、火葬炉設備と付帯装置等の保全業務
図 8-1
火葬場の維持管理
1)施設の維持管理
火葬場の経営者等は、十分な環境保全対策を講じるとともに、周辺環境との調和
を保つため、建築物及びその付帯設備、庭園、駐車場、専用道路等の保全に努める
必要がある。
また、火葬場管理者は、火葬場の一般的な管理業務並びに墓埋法に係る関係手続
を的確に遂行するとともに、場内における災害事故を未然に防止するため施設全体
に亘って計画的な保守点検・修理及び補修を実施することが求められる。
なお、火葬場管理者には、葬送行為全般に係る遺族とのトラブルの発生を防止す
るため、火葬執行業務指針を作成するとともに、火葬業務の円滑化と労働災害の防
止を図るための標準的作業マニュアルを作成し、職員に徹底させる必要がある。
2)火葬炉の維持管理
火葬炉の機能及び性能を十分に発揮するためには、毎日の運転管理や必要に応じ
て実施する機能検査の他に、保守点検を計画的に実施することが重要である。
保守点検には、日常点検と定期点検があり、日常点検には毎日始業前に行う簡易
的な点検と毎月 1 回程度より詳細に実施する点検がある。
8- 1
測定機器等による試験等により異常の有無を確認する作業で、炉メーカに委託して
年 に 1~ 2 回 実 施 す る 。
①日常点検
日常点検には毎日点検と毎月点検があり、一般的には火葬炉運転者が行う。
毎日点検は、外観や簡単な動作チェックを行うものがほとんどで、毎日の炉内外
の清掃と組み合わせて行うと効率が良く、必要な点検を漏れなく行うためにはチェ
ックリストを作成して行うことが望ましい。
毎月点検は、設備全体に対する知識も必要となる。また、毎月点検もチェックリ
ストを作って、必要項目を漏れなく点検することが重要であり、点検に当たっては
事故防止にも配慮しなければならない。
②定期点検
定期点検は、炉メーカ又は同レベルの専門業者による年1~2回の点検で、技術
者数名が火葬炉設備全般について詳細に点検する。
この際、写真や各写真の解説と所見、問題箇所を記載した報告書を提出させる。
また、問題個所の補修内容や解決方法等を報告させ、同時に補修金額等を見積も
らせて次年以降の補修・改善計画を作成する必要がある。
運転管理(毎日実施)
毎日点検(毎日実施)
日常点検
火葬炉の維持管理
保守点検
毎月点検(月に 1 回実施)
定 期 点 検 ( 年 に 1~ 2 回 実 施 )
機能検査(必要に応じて)
図 8-2
火葬炉の維持管理
( 2) 炉 運 行 計 画
本 市 の 葬 送 慣 習 、火 葬 件 数 等 を 考 慮 し 、「 3 -2 .施 設 規 模 の 算 定 」に 示 す タ イ ム テ ー
ブ ル ( 図 3-1) で 火 葬 を 執 り 行 う こ と が 望 ま し い 。
8- 2
8-2
管理運営方法の比較
火 葬 場 の 管 理 運 営 は 直 営 方 式 か ら 民 間 事 業 者 に 委 託 す る 傾 向 が 強 ま っ て き て い る 。こ
の 民 間 事 業 者 へ の 委 託 は 、一 般 の 業 務 委 託( 民 法 に 基 づ く 民 間 事 業 者 を 対 象 と す る 個 別
の 事 務 又 は 業 務 の 執 行 を 委 託 す る 方 式 で 、 私 法 上 の 契 約 に 相 当 。) 及 び 地 方 自 治 法 ( 以
下 「 自 治 法 」 と 記 す 。) に 基 づ く 管 理 委 託 ( 市 町 村 が 改 正 前 の 自 治 法 第 244 条 の 2 に 定
め た 出 資 法 人 に 管 理 の 事 務 又 は 業 務 の 遂 行 を 委 託 す る 方 式 で 、自 治 法 と 条 例 に 基 づ く 公
法 上 の 契 約 に 相 当 。) の 2 方 式 が 行 わ れ て き た 。
一 方 、 平 成 15 年 6 月 の 自 治 法 の 改 正 に よ り 公 の 施 設 の 管 理 は 、 公 共 サ ー ビ ス の 民 間
へ の 開 放 の た め 管 理 委 託 制 度 が 廃 止 さ れ 、改 正 自 治 法 第 244 条 の 2 に よ り 指 定 管 理 者 制
度( 契 約 で は な く 、指 定 と い う 行 政 処 分 の 一 種 )が 設 け ら れ た 。こ れ は 公 の 施 設 に 関 し
て は 、民 間 の 能 力 を 活 用 し つ つ 、住 民 サ ー ビ ス の 向 上 と 経 費 の 節 減 を 図 る こ と を 目 的 と
して採用された制度である。
指 定 管 理 者 は 、管 理 者 の 代 行 者 で あ り 、条 例 の 定 め る と こ ろ に よ り 使 用 許 可 権 限 が 付
与 さ れ 、利 用 料 金 を 指 定 管 理 者 の 収 入 と す る こ と が で き る 点 が 、管 理 委 託 や 業 務 委 託 と
異 な る 。ま た 、指 定 管 理 者 の 手 続 き 、業 務 の 範 囲 及 び 管 理 の 基 準 等 は 、条 例 で 定 め な け
れ ば な ら ず 、さ ら に 指 定 管 理 者 を 指 定 す る 場 合 は 、議 会 の 議 決 を 経 る こ と 及 び 指 定 の 期
間を定めることが必要となる。
指 定 管 理 者 制 度 は 、火 葬 場 に お い て も 年 々 増 加 す る 傾 向 が あ る が 、新 火 葬 場 の 供 用 開
始 に 当 た っ て は 業 務 委 託 及 び 指 定 管 理 者 制 度 の 特 徴 を 踏 ま え 、よ り 住 民 の 福 祉 向 上 に 資
する管理運営方法を検討する必要がある。
8- 3
「参考」
表 8-1
業務委託と指定管理者制度との相違
業務委託
受託主体
指定管理者制度
限定なし
法人、その他の団体
議員、長についての禁
法人格は必ずしも必要
止規定あり(地方自治
で は な い が 、個 人 は 不 可
法 92 条 の 2、 142 条 )
法的性格
「私法上の契約関係」
「管理代行」
契約に基づく個別の事
「 指 定 の 手 続 き 」を 条 例
務又は業務執行の委託
で 定 め た 上 で 、指 定( 行
政 処 分 の 一 種 )に よ り 公
の施設の管理権限を指
定を受けた者に委任
公の施設の管理
設置者
指定管理者
権限の所在
(地方公共団体)
(「 管 理 の 基 準 」、「 業 務
の 範 囲 」は 条 例 で 定 め る
必要有)
施設の使用許可
地方公共団体
地方公共団体又は指定
管理者
基本的な利用条
地方公共団体
地方公共団体
件の設定
(受託者は不可)
(指定管理者は不可)
公の施設の設置
地方公共団体
地方公共団体
採用不可
採用可
者責任
利用料金制度
(条例で定める範囲内)
8- 4
8-3
維持管理費(火葬炉設備)の試算
施設の供用開始後は、維持管理費が発生する。
火葬場の主要設備である火葬炉の維持管理費について、供用開始後20年間の試算を行った。
試算の項目は、光熱費、定期点検費、消耗品費、修繕費とし、その維持管理費用は、306,700
千円となり、うち修繕費については 163,872 千円と試算される。
(1)積算基本条件
単位:千円
火葬件数
年間 600 件(2 基×300 件)
電気
電力単価
35 円/kwh
火葬電力量
30kwh/件
燃焼単価
100 円/L
火葬時消費量
50L/件
ヒータ容量
8kw
平均稼働率
50%
年間稼働時間
8,160 時間/基
燃料(灯油)
バグフィルタ
注)年間稼働時間=(365 日×24 時間)-(非稼働時間 2 時間
×300 件 )
保証期間等
・定期点検費、修繕費(不定期修繕費)は、設備、機器の保証期間を供用開始から2
年間に設定し、試算期間を18年とした。(集じん設備のみ5年で設定)
・消耗品、修繕費(経常修繕分)は共用開始から2年間を初期費用に含めて設定し、
試算期間を18年とした。
(2)各項目の試算
1)光熱費
単位:千円
光熱費
年
間
20年間
630
12,600
電気料金(バグフィルタ)
2,285
45,700
灯
3,000
60,000
5,915
118,300
電気料金(火葬炉)
油
光熱水費合計
2)定期点検費
定期点検費
単位:千円
年
間
18年間
機械設備関係
300
5,400
電気設備関係
150
2,700
計装設備関係
200
3,600
集じん設備(バグフィルタ)
200
3,000
50
900
100
1,800
1,000
17,400
ダイオキシン類分解触媒
燃焼装置点検
定期点検費合計
備考
8- 5
備考
※保証期間を 5 年に設定
3)消耗品費
単位:千円
消耗品費等
間
18年間
炉内台車保護材
150
2,700
1件あたり 250 円減耗に設定
炉内台車用架台(五徳)
240
4,320
1件あたり 400 円減耗に設定
潤滑材
5
90
他事例を参考に積算
バッテリー液
1
18
他事例を参考に積算
396
7,128
消耗品費
年
計
備考
4)修繕費(経常修繕費)
区
単位:千円
分
年間
18年間
備
考
①主燃焼室セラミックファイバー
1,200
21,600
約 300 件/基で交換に設定
②炉内台車耐火材・断熱材
1,200
21,600
約 300 件/基で交換に設定
③熱電対(高温部)
60
1,080
約 600 件/基で交換に設定
④バッテリー
30
540
約 600 件/基で交換に設定
2,490
44,820
修繕費(経常修繕費)
計
5)修繕費(不定期修繕費)
区
単位:千円
3~10 年目
分
11~20 年目
18 年間
①主燃焼炉関係合計
5,073
11,770
16,843
②炉内台車・台車移動装置関係合計
1,947
1,813
3,760
③再燃焼炉関係合計
4,733
5,993
10,727
④主燃・再燃バーナ関係合計
2,367
3,181
5,548
⑤燃焼用空気送風機関係合計
1,005
1,372
2,377
⑥排ガス冷却設備関係合計
133
267
400
⑦冷却用空気送風機関係
972
1,305
2,277
2,050
2,550
4,600
667
0
667
8,737
15,870
24,607
13,477
16,210
29,687
35
2
37
⑬棺運搬台車関係合計
380
1,313
1,693
⑭炉内台車運搬車関係合計
100
900
1,000
⑮動力制御盤関係合計
200
667
867
1,267
1,167
2,433
371
6,377
6,748
0
67
67
110
644
754
1,727
2,233
3,960
45,351
73,701
119,052
⑧誘引排風機関係合計
⑨煙道関係合計
⑩集じん装置関係合計
⑪分解触媒装置関係合計
⑫冷却室関係合計
⑯火葬炉現場操作盤関係合計
⑰中央監視制御盤関係合計
⑱炉前操作盤関係合計
⑲燃焼監視装置関係合計
⑳その他センサー類等合計
修繕費(不定期修繕費)
計
8- 6
第9章
9-1
概算費用の算出
総事業費の検討
建 設 費 用 ( 9 - 2 )、 敷 地 造 成 費 用 ( 9 - 3 )、 火 葬 炉 設 備 設 置 費 用 ( 9 - 4 ) の ま と
めを下記に示す。
(単位:千円、税別)
概算工事費
建設費用
備
考
駐車場・外構整備費含む
556,000
敷地造成費用
43,000
火葬炉設備設置費用
112,800
合
計
711,800
総事業費
※ 上記費用は、火葬場本体の建設工事費、敷地造成工事費、火葬炉設備設置費の概
算 で あ り 、 調 査 設 計 費 用 ( 測 量 、 地 盤 調 査 、 造 成 設 計 、 建 築 設 計 等 )、 環 境 影 響 調
査、インフラ整備、周辺整備等の費用は含まない。
9-2
建設費用の検討
施設建築計画(第5章)に基づき算出した建設工事費の概算を下記に示す。
(単位:千円、税別)
概算費用
303,000
①建築工事
躯体工事
182,000
内外装工事
121,000
②屋外付帯工事
65,000
③電気設備工事
67,000
④給排水衛生設備工事
19,000
9- 1
備
考
37,000
⑤空気調和設備工事
⑥直接工事費
491,000
⑦共通仮設費
14,730
505,730
⑧純工事費
50,270
⑨諸経費
合
556,000
計
※
①~⑤
⑥ 直 接 工 事 費 の 3%
⑥+⑦
⑧ 純 工 事 費 の 10% 以 内
⑧+⑨
建築躯体工事費は地盤調査の結果により変動する可能性有り
9-3
敷地造成費用の検討
敷地造成計画(第4章)より、現状案に係わる造成費用を下記に示す。
(単位:千円、税別)
概算費用
備
考
造成費
合
敷地造成費
27,362
建設敷地内舗装・植栽別途
諸経費
15,638
60% 以 内
43,000
計
9- 2
9-4
火葬炉設備概算費用の検討
(1)火葬炉設備設置費用の算定
火葬炉設備費は、公害防止目標値とそれに対応する設備構成によって大きく差
異が生じる。
排 ガ ス 中 の ダ イ オ キ シ ン 類 濃 度 を 0.1 ng- TEQ/㎥ N 以 下 に 設 定 し 、 燃 焼 設 備 の
他にバグフィルタ及びダイオキシン類分解触媒の高度排ガス処理システムを設置
す る 構 成 で の 火 葬 炉 設 備 設 置 費 用 の 概 算 112,800 千 円 と 算 定 さ れ る 。
( 単 位:千 円 、税 別 )
1 )燃 焼 設 備
区
分
数量
単位
単価
金額
主燃焼炉
大型炉
2
基
3,500
7,000
再燃焼炉
大型炉
2
基
3,500
7,000
炉内台車
大型炉
3
台
900
2,700
2
基
1,000
2,000
炉内台車移動装置
小計
断熱扉、同開閉装置を含む
予備1台を含む
( 単 位:千 円 、税 別 )
分
数量
単位
単価
金額
主燃焼炉用バーナ
2
基
900
1,800
再燃焼炉用バーナ
2
基
900
1,800
燃料流量計
2
台
150
300
燃焼用空気送風機
2
基
800
1,600
2次燃焼用空気送風機
2
基
200
400
小計
分
備
考
5,900
( 単 位:千 円 、税 別 )
3 )排 ガ ス 冷 却 設 備
区
考
18,700
2 )燃 焼 関 連 装 置
区
備
数量
単位
単価
金額
排ガス冷却器
2
基
1,000
2,000
冷却用空気送風機
2
基
1,000
2,000
小計
4,000
9- 3
備
考
( 単 位:千 円 、税 別 )
4 )排 ガ ス 処 理 設 備 等
区
分
数量
集じん装置
(バグフィルタ)
ダイオキシン類分解装置
単位
単価
金額
2
基
8,000
16,000
2
組
6,000
12,000
小計
28,000
考
( 単 位:千 円 、税 別 )
5 )通 風 設 備
区
分
数量
単位
単価
金額
排風機
2
基
2,500
5,000
炉内圧制御装置
2
基
400
800
煙
道
2
組
1,000
2,000
排気筒
2
基
900
1,800
小計
備
考
9,600
( 単 位:千 円 、税 別 )
6 )付 帯 設 備
区
前
備
分
室
数量
大型炉用
2
単位
単価
金額
組
1,200
2,400
備
考
炉内台車運搬車兼用型
柩運搬車
大型炉用
2
台
1,200
2,400
の場合は予備1台を含
め3台
2
台
残骨灰吸引設備
1
式
代替燃焼装置
1
基
炉内台車運搬車
大型炉用
1,500
3,000
900
900
10,700
( 単 位:千 円 、税 別 )
7 )電 気 計 装 設 備 等
分
は不要
2,000
小計
区
棺運搬車兼用型の場合
数量
単位
単価
金額
燃焼制御システム
1
式
4,000
動力制御盤
1
式
5,400
火葬炉現場操作盤
2
基
燃焼監視装置
1
式
1,500
その他の操作盤・制御盤
1
式
1,000
消費燃料計測
1
式
500
その他
1
式
1,000
1,200
小計
9- 4
2,400
15,800
備
考
(単位:千円、税別)
8)設備関係付帯工事
区
分
数量
単位
単価
金額
配管工事
1
式
1,200
配線工事
1
式
2,500
保温・断熱工事
1
式
2,000
塗装工事
1
式
1,000
その他の工事
1
式
1,000
小計
備
考
7,700
( 単 位:千 円 、税 別 )
9 )そ の 他 の 費 用
区
分
数量
単位
単価
金額
運転指導費等
1
式
500
保証期間中の定期点検費等
1
式
1,000
保証期間中の補修費等
1
式
500
備品費
1
式
600
消耗品費
1
式
500
運送費
1
式
800
その他
1
式
500
小計
工事費等
②
諸
③
合
経
考
4,400
( 単 位:千 円 、税 別 )
1 0 )火 葬 炉 設 備 概 算 費
①
備
計
104,800
費
8,000
計
112,800
9- 5
1)~9)
現場事務所設置費用等
①+②
第10章
10-1
事業工程管理計画
上位計画、関連計画との関係
火葬場の建設を計画するにあたり、関連する計画への位置づけを整理する。
(1)東松島市総合計画への位置づけ
第1次総合計画では各次の実施計画において、検討調整事業として検討を重ねてきた。
平成28年度を初年度とする第2次総合計画においては、分野別基本計画上に新火葬場
の整備として位置付け、事業を進めていくものとする。
(2)東松島市公共施設再建・再編基本計画への位置づけ
平成25年度に策定した東松島市公共施設再建・再編基本計画においては、旧河南地区衛
生処理組合跡地を候補地とし、合併特例債の活用により建替え更新することを基本方針とし
て位置付けている。
(3)新市建設計画への位置づけ
平成17年の新市移行時の計画では、新たな火葬場を建設するという位置づけはなされて
いない。
ただし、上記公共施設再建・再編基本計画の基本方針をふまえ、合併特例債を活用するた
め、新市建設計画への位置付けの調整、検討を行うものとする。
10-2
事業スケジュールの検討
各種関連計画との調整を図りながら事業を進めていくものとし、概ねのスケジュールを案とし
て図10-1に示す。
10 - 1
10 - 2
火葬炉選定
火葬炉設置
建築工事
造成工事
基本・実施設計
測量・地質調査
都市計画手続き
造成計画・設計
環境影響調査
環境影響評価
基本計画
4
5
6
7
8
9
10
H27年度
11
12
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
H28年度
11
12
1
2
3
4
5
6
図10-1 事業スケジュール(案)
7
8
9
10
H29年度
11
12
1
2
3
4
5
6
目
標
供
用
開
始
7
(
)
8
9
10
H30年度
11
12
1
2
3
東松島市火葬場建設基本計画
平成27年7月
東松島市市民生活部
環境課
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