Comments
Description
Transcript
「あきたこまち」における割れ籾の発生実態
東北農業研究 (Tohoku Agric Res)53, 29-30(2000) 水稲玄米 の部分着色粒 による品質低下要 因 とその対策 第 1報 「 あきたこまち」 における割れ籾の発生実態 中場 勝 。神保意志郎・・ 佐藤 利美 ‐。永峯 淳一 ° 形県立農業試験場庄 中山間地農業研究部 。 Q税 :髪 (山 ) 『 塁蓮風曇易ぎよダメ」 Factor and Countermeasure of Deterioration in Quality by Pecky Rice 1 0ccurrence of hull cracked rice grains in rice variety 拿 Masaru CHυ BA, Keishiro」 IMBot, Toshimi SATOH拿 “Akitakomachi" and Junichi NACAMINE拿 nllilli‡ illilili:ill驚 li:llillillinlll:iliril難 (Sh° 1 は し め に 表 ∫ IHilly) 1 1等 米比率及 び格付け理由 1999年 の山形県最上地域における水稲 の作柄は,統 計情 報事務所発表 の作況指数が 107の 「 良」 となった。 これ は , 生育期 間 を通 し高温 の気象 で経過 したため,出 穂期力澤 く しか もい もち病や障害不稔等 の被害 がなか った等 による。 一方 ,産 米 の品質 は劣 り,食 糧事務所 の検査で は , 1等 米 あきたこまち 533(カ メムシ 700 充実度 ササ ニ シキ 300(心 自粒 403 発芽粒 ひとめばれ 4800さ 自粒 843 カメムシ はえぬき 814(カ メムシ 557 心白粒 注 山形食糧事務所新庄 支所管内 (1999) カメムシ :カ メムシによる部分着色粒 , 比率は581%と 低 か った。 1等 米 になれなか った格付 け理 由は,カ メム シによ るとみ られる部分着色粒 と心 自粒 が 多 か った ことである。特 に当地域で作付け比率が高 いあきた 7D 220 61) 149 こまちで多 か った。 部分着色粒 の増加は,① カメムシの発生 が 多か ったこと Q数 961 , , (1)供 試品種 験 0 2試 ■ そこで,あ きたこまちの割れ籾 と部分着色粒 の発生実態 について ,調 査 したので報告する。 ■ 着 色粒歩 合 さらに割 れ籾 の発生 が多 く見 られることか ら,こ れを助長 した ものと推察 された。 2 ②水稲 の出穂が早か ったことによるものと考 え られるが 方 法 00 0 0 :あ きたこまち,は なの舞 ,ど まんなか 20 0 40 0 割れ籾歩合 , はえぬ き 図 (21 供試条件 :作 況等各試験 より供試 1 60 0 oo o (粒 数961 割 れ籾歩合 と着色粒歩合 (1999) 注 品種 :あ きたこまち (31 調査方法 :籾 1粒 ずつ割 れ籾程度を調査 軽割 れ籾 :鉤 合部が裂けて い る 重割れ籾 :鉤 合部が開 いて玄米 が見える 3 分着色粒 の関係を見ると,割 れ籾歩合が高 いほど,部 分着 色粒が多か った。 (図 1) 試験結果及び考察 12)割 れ籾 の発生実態 (1)カ メムンによる部分着色粒 の発生 山形食糧事務所新庄支所管内の産 米 の検査 では,1等 米 比率 はうるち合計で616%と 低か った。 1等米 になれなかっ た主な格付 け理由は,カ メム シによる部分着色粒 が516%, 心 自粒 が209%で 合 わせて725%と 高 か った。特 に最上地 域 の主 要 な品種 の あきた こまちでは,カ メムシによる部分 着色粒 だ けで700%と 高か った (表 1)。 また ,あ きた こ まちにおいて ,割 れ籾歩合 とカメ■ シによると見 られ る部 はなの舞 ,あ きたこまち,ど まんなか ,は えぬ きの 4品 の 種 出穂後 日平均気温 の積算温度別 の割れ籾 の発生推移を みた。 あきた こまちは 3品 種 に比 べ常 に高 く推移 し,積 算 温度61Xl℃ で 5%程 度あり,成 熟期になる91Xl∼ 950℃ で は , 20%以 上 となった。 どまんなか,は えぬ きは,成 熟期で も 5%未 満 であ った (図 2)。 次 に,あ きた こまちにお ける ピ当たり籾数 と割れ籾歩合 の関係 は,7月 31日 ∼ 8月 2日 に出穂 したものでは籾数力沙 ないはど割れ籾歩合力塙 くなっ ― -29- 東 北 農 業 研 究 第 53 (2000) 号 割れ初歩 合 ﹂∞ 600 800 1000 出穂後積算気 温 12∞ ) 0軽 割れ籾 0:重 割れ籾 割 れ籾歩合 の推移 (1999) “ 図 2 図4 80 籾 出細W/31∼ 3/02 出制願/06∼ 3/14 ● 0 割 60 80 40 劇 60 歩 合 籾 20 40 ﹂∞ 歩 2∞ 図3 250 31D nf籾 350 400 合 20 450 ←:∞ 繊 数 0 ヨ当た り籾数 と割 れ籾歩合 (1999) 注 品種 :あ きた こまち 0 図5 た (図 3)。 割 れ籾 の競 卜位置 注 品種 :あ きた こまち 2 4 6 8 10 日照時間 (出 穂前15∼ 6日 ) 12 (hr) 出穂前 の日照時間 と割 れ籾歩合 (1999) 注 品種 :あ きた こまち 割れ籾 の穂上 で の発生位 置 を見 ると,軽 割 れ 籾 ,重 割れ籾 ともに,穂 の下部 や 2次 枝梗 といった弱勢顆 花 に多 か った。株内 の穂 では,1穂 の平均籾数 より少 ない 80 籾数 の穂 で多 く見 られた (図 4)。 さらに,出 穂前 15∼ 6日 の 日平均 日照時間 と割 れ籾歩合 の関係 を見 ると,日 平均 日 照時間の少 ないほど割 れ籾 歩合 が高 か った。 これは,籾 殻 鶴 の大 きさが決定する時期 に日照 が十分 でなか ったためと推 察 される (図 5)。 また ,出 穂後20日 間 の 日平均 日照時間 歩 籾 6tl 40 合 20 と割 れ籾歩合 の関係 では,日 平均 日照時間 の多 いほど割 れ 籾歩合 が高 か った。 これは玄米 の大 きさが決定す る時期に 0 , 日照が多 く登熟が急激 に進 んだためと考え られる 以上 の ことか ら,弱 勢頴花 に発生 の多 い割 れ籾が ,登 熟 (図 6)。 日照時間 (出 穂後1∼ 20日 ) 図6 の後期までカメムンの食害 を助長 し,部 分着色粒 を発生 さ せる可能性 の高 いことが示唆され た。 4 ま ●r) 出穂後 の 日照時間 と割 れ籾歩合 (1999) 注 品種 :あ きた こまち め 14)割 れ籾 は,穂 下部 や 2次 枝梗着生 の弱働穎花 に多 ヽヽ (5)気 象条件 として,① 出穂前15∼ 6日 の 日照時間が少 0)割 れ籾歩合が高 いほど,部 分着色粒が多 い。 12)割 れ籾 の発生 には品種間差があ り,あ きた こまちで ないこと,② さらに出穂後20日 間 の 日照時間が多 く平均気 多 い。 0)ほ ぼ同時期 の出穂期では,ご 当た り籾数 が少 ないほ ど割れ籾が多 い。 3456789 温が好適 であることか ら,籾 殻 が小 さく,登 熟が急激 か つ 十分進 み ,割 れ籾が発生 したと推察 される。 -311-