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平成19年度 意匠出願動向調査報告書 −マクロ調査− (要約版)
平成19年度 意匠出願動向調査報告書 −マクロ調査− (要約版) <目次> 第1章 調査概要…………………………………………… 1 第2章 意匠出願動向……………………………………… 2 第3章 法制度等に関する分析……………………………20 第4章 経済・産業状況から見た分析……………………26 第5章 意匠出願動向予測…………………………………31 第6章 日本の目指すべき方向性…………………………39 平成20年2月 特 許 庁 問い合わせ先 特許庁総務部企画調査課 技術動向班 電話:03−3581−1101(内線2159) 第1章 第1節 調査概要 調査目的 我が国が国家戦略として目指す「知的財産立国」の実現に向けて、デザインが果たすべき役 割への期待は年々高まっており、価値あるデザインを法的に保護する意匠制度に対する期待 が大きくなっている。 また、経済活動のグローバル化に伴い、今後は日本国内だけでなく世界規模での意匠出願 動向等を視野に入れる必要があり、意匠に関する主要国である米国、欧州はもとより、韓国、 中国などのアジアを視野に入れた出願が重要となってくる。また、各産業分野ごとの状況に 応じた個別具体的な対応を図ることも重要である。 本調査は、日本、米国、欧州(OHIM)、韓国、中国(以下、本調査では、4 カ国 1 機関を 五極と称す)の意匠登録数、日本意匠分類等を基準にした各国分野別の意匠登録数を抽出す ることで、それぞれの国における意匠出願動向の特徴を分析すると共に、その背景と考えら れる各国の産業状況等について分析するものであり、本調査の結果は特許庁における審査・ 審判の際の基礎資料、施策の企画立案のための基礎資料となるのみならず、企業等において も研究開発、デザイン開発戦略の策定に役立つものである。 第2節 調査分析方法 調査対象国・機関を日本(JPO:日本特許庁)、米国(USPTO:米国特許商標庁)、欧州 (OHIM:欧州共同体商標意匠庁)、韓国(KIPO:韓国特許庁)、中国(SIPO:中国国家知 識産権局)、対象意匠分野を日本意匠分類における A∼N グループ、調査対象の時期範囲を 2006 年 1∼12 月に意匠公報が発行された意匠とした。なお、収集した公報情報において、 一部の書誌事項に不記載が見られたため、意匠登録番号、ロカルノ分類が不記載である意匠 は調査対象外とした。調査対象とした日本登録意匠は 30,151 件、米国登録意匠は 20,965 件、 欧州登録意匠は 64,351 件、韓国登録意匠は 30,799 件、中国登録意匠は 97,727 件となった。 また、過去数年の経年推移を見るために、日本(JPO)、米国(USPTO)、欧州(OHIM)、 韓国(KIPO)、中国(SIPO)のデータベースを利用した検索データ、および「平成 18 年度 意匠出願動向調査−マクロ調査−」のデータを追加した。追加したデータは、対象意匠分野 をロカルノ分類におけるクラス 01∼99、調査対象の時期範囲を 2003∼2006 年に意匠公報が 発行された意匠とした。 なお、欧州については多意匠一出願であるため、本調査では比較しやすいように、件数の 単位は出願件数ではなく、登録された個々の意匠数とした。その他の留意点は以下に示す。 ・出願人国籍については、筆頭出願人を対象として特定する。 ・出願人国籍が欧州とは、出願人の国籍が EU 加盟国である場合とし、調査対象時期であ る 2006 年 12 月現在の 25 カ国とした。 ・出願人国籍が中国には、香港、マカオを含み、台湾は含まないこととした。 ・出願人国籍がその他とは、日本、米国、欧州(EU 加盟 25 カ国)、韓国、中国(香港、 マカオを含む)以外の国籍とした。 ・米国、欧州、韓国および中国登録意匠には、日本意匠分類(2007 年 4 月 1 日施行版) を付与し、物品分野毎の分析に日本意匠分類を用いた。 − 1 − 第2章 第1節 意匠出願動向 全体動向 1.五極の意匠登録状況 ①出願先国別分析 出願先国別の意匠登録の状況として、五極への 2006 年 1∼12 月の意匠登録総数は 243,993 件であり、その内、日本での意匠登録は 12.4%にあたる 30,151 件、米国での意匠登録は 8.6% にあたる 20,965 件、欧州での意匠登録は 26.4%にあたる 64,351 件、韓国での意匠登録は 12.6%にあたる 30,799 件、中国での意匠登録は 40.1%にあたる 97,727 件であった。出願先 国別の意匠登録数を第 2-1 図に示す。 第 2-1 図 出願先国別の意匠登録数(n=243,993) 日本 30,151件 12.4% 中国 97,727件 40.1% 米国 20,965件 8.6% 欧州 64,351件 26.4% 韓国 30,799件 12.6% ②出願人国籍別分析 五極で登録された意匠数に占める中国国籍出願人からの意匠登録数は 88,470 件であり、 全体の 36.3%を占めており、次いで欧州国籍出願人からの意匠登録数は 56,856 件で全体の 23.3%、日本国籍出願人からの意匠登録数は 36,914 件で全体の 15.1%、韓国国籍出願人か らの意匠登録数は 31,052 件で全体の 12.7%、米国国籍出願人からの意匠登録数は 20,575 件 で全体の 8.4%と続く。出願人国籍別の意匠登録数を第 2-2 図に示す。 第 2-2 図 出願人国籍別の意匠登録数(n=243,993) その他 10,126件 4.2% 中国国籍 88,470件 36.3% 日本国籍 36,914件 15.1% 米国国籍 20,575件 8.4% 欧州国籍 56,856件 23.3% 韓国国籍 31,052件 12.7% − 2 − 第 2-1 図の出願先国別の意匠登録状況と第 2-2 図の出願人国籍別の意匠登録状況を比べる と、日本については日本での意匠登録数 30,151 件よりも日本国籍出願人の意匠登録数 36,914 件が上回っているが、韓国については韓国での意匠登録数 30,799 件と韓国国籍出願人の意 匠登録数 31,052 件がほぼ等しく、米国についても米国での意匠登録数 20,965 件と米国国籍 出願人の意匠登録数 20,575 件がほぼ等しい。それに対し、中国については、中国での意匠 登録数 97,727 件よりも中国国籍出願人の意匠登録数 88,470 件が下回り、欧州についても、 欧州での意匠登録数 64,351 件よりも EU 加盟 25 カ国の国籍出願人の意匠登録数 56,856 件 が下回っている。 ③五極の意匠登録の相関関係 五極の意匠登録の相関関係を第 2-3 図に示す。 第 2-3 図 五極の意匠登録の相関関係 日本登録 30,151件 欧州 942件 米国 3.1% 930件 3.1% 米国登録 20,965件 韓国 178件 0.6% 米国 11,862件 56.6% 942件 2,442件 日本 2,442件 11.6% 178件 2,476件 5,736件 欧州 50,251件 78.1% 81件 578件 1,158件 1,234件 1,033件 554件 477件 2,710件 日本 米国 3,849件 その他 1,502件 3.9% 欧州 2,089件 1.5% 2,710件 2.1% 2.8% 韓国 932件 1.0% 中国 86,645件 88.7% 日本 2,000件 3.1% 米国 5,736件 8.9% その他 4,173件 中国 6.5% 1,158件 1.8% 韓国 1,033件 1.6% 2,000件 1,502件 3,849件 中国登録 97,727件 欧州登録 64,351件 日本 27,389件 90.8% 930件 その他 中国 3,053件 554件 14.6% 2.6% 韓国 578件 2.8% 欧州 2,476件 11.8% 中国 81件 0.3% その他 631件 2.1% 545件 その他 180件 中国 0.6% 32件 0.1% 932件 日本 1,234件 米国 4.0% 545件 1.8% 欧州 477件 1.5% 韓国登録 30,799件 32件 韓国 28,331件 92.0% 日本での意匠登録数 30,151 件に占める日本国籍出願人の意匠登録数は 27,389 件であり、 自国の占める割合が 90.8%である。 − 3 − 米国での意匠登録数 20,965 件に占める米国国籍出願人の意匠登録数は 11,862 件であり、 自国の占める割合は 56.6%である。 欧州での意匠登録数 64,351 件に占める欧州国籍出願人の意匠登録数は 50,251 件であり、 EU25 カ国の出願人の占める割合は 78.1%である。 韓国での意匠登録数 30,799 件に占める韓国国籍出願人の意匠登録数は 28,331 件であり、 自国の占める割合は 92.0%である。 中国での意匠登録数 97,727 件に占める中国国籍出願人の意匠登録数は 86,645 件であり、 自国の占める割合は 88.7%である。 このことから、韓国、日本、中国での意匠登録は、米国や欧州での意匠登録に比べ、自国 からの意匠登録の割合が高いことがわかる。 また、外国での登録に目を向けると、相対的には、日本国籍出願人は中国での登録を、米 国、中国の国籍出願人は欧州での登録を重視していること、欧州国籍出願人は中国、米国で の登録を、韓国国籍出願人は欧州、中国での登録をほぼ同等に重視していることが窺える。 2.五極の物品分野別の意匠登録状況 ①物品分野別の意匠登録状況 物品分野別の意匠登録状況として、五極への 2006 年 1∼12 月の意匠登録総数 241,005 件 1 に占める日本意匠分類グループ別の意匠登録内訳を第 2-4 図に示す。特徴として、Dグルー プ(住宅設備用品)が 37,649 件で全体の 15.6%と最も多く、次いで、Fグループ(事務用品 及び販売用品)が 36,958 件で全体の 15.3%、Hグループ(電気電子機械器具及び通信機械 器具)が 30,200 件で全体の 12.5%、Cグループ(生活用品)が 29,832 件で全体の 12.4%、 Bグループ(衣服及び身の回り品)が 22,494 件で全体の 9.3%となっている。 第 2-4 図 日本意匠分類グループ別の意匠登録内訳【出願先国:五極全体】 (n=241,005) N 他グループに属さない M A∼Lに属さないその他 の基礎製品 L 土木建築用品 15,252件 17,500件 6.3% 7.3% J 一般機械器具 12,311件 5.1% 物品 36件 0.0% A 製造食品及び嗜好品 901件 B 衣服及び身の回り品 0.4% 22,494件 9.3% K 産業機械器具 13,914件 5.8% C 生活用品 29,832件 12.4% H 電気電子機械器具及び 通信機械器具 30,200件 12.5% G 運輸又は運搬機械 14,390件 6.0% 1 D 住宅設備用品 37,649件 15.6% F 事務用品及び販売用品 36,958件 15.3% E 趣味娯楽用品及び運動 競技用品 9,568件 4.0% 本調査では日本登録意匠、米国登録意匠、欧州登録意匠、韓国登録意匠、中国登録意匠のすべてを対象に、日 本意匠分類による分野別動向分析を行うこととしたが、日本以外の登録意匠の中には、日本では保護対象とな らないものが存在するため、分野別動向ではそれらを除外した。 − 4 − ②物品分野別の出願先国別特徴 第 2-5 図は五極における意匠登録総数を日本意匠分類グループ別に分け、各国での登録が 占める割合を示した図である。 日本で登録されている物品分野の特徴としては、H グループ(電気電子機械器具及び通信 機械器具)、L グループ(土木建築用品)、J グループ(一般機械機具)、E グループ(趣味娯 楽用品及び運動競技用品)、K グループ(産業機械器具)の順に高いことがあげられる。 米国で登録されている物品分野の特徴としては、E グループ(趣味娯楽用品及び運動競技 用品)、G グループ(運輸又は運搬機械)、H グループ(電気電子機械器具及び通信機械器具)、 J グループ(一般機械機具)、A グループ(製造食品及び嗜好品)の順に高いことがあげられ る。 欧州で登録されている物品分野の特徴としては、N グループ(他グループに属さない物品) を除いて、A グループ(製造食品及び嗜好品)、B グループ(衣服及び身の回り品)、D グル ープ(住宅設備用品)、M グループ(A∼L グループに属さないその他の基礎製品)、C グル ープ(生活用品)の順に高いことがあげられる。A グループ(製造食品及び嗜好品)、B グル ープ(衣服及び身の回り品)の 2 物品分野では、五極の中で意匠登録数の比率が最も高い。 韓国で登録されている物品分野の特徴としては、L グループ(土木建築用品)、M グルー プ(A∼L グループに属さないその他の基礎製品)、H グループ(電気電子機械器具及び通信 機械器具)、D グループ(住宅設備用品)の順に高いことがあげられる。 中国で登録されている物品分野の特徴としては、F グループ(事務用品及び販売用品)、K グループ(産業機械器具)、C グループ(生活用品)、G グループ(運輸又は運搬機械)、L グ ループ(土木建築用品)の順に高いことがあげられる。F グループ(事務用品及び販売用品) を始めとする 10 物品分野では、五極の中で意匠登録数の比率が最も高い。 第 2-5 図 日本意匠分類グループに関する出願先国別の意匠登録内訳【出願先国:五極全体】 A 製造食品及び嗜好品 (n=901) B 衣服及び身の回り品 (n=22,494) 58 104 1,961 2,126 C 生活用品 (n=29,832) 2,983 D 住宅設備用品 (n=37,649) 3,597 446 10,044 2,541 7,811 2,678 3,436 5,804 13,061 4,580 1,301 196 2,559 12,392 1,590 E 趣味娯楽用品及び運動競技用品 (n=9,568) 97 2,315 14,402 654 3,708 日本 F 事務用品及び販売用品 (n=36,958) 3,811 G 運輸又は運搬機械 (n=14,390) 1,518 1,855 6,902 1,860 20,964 3,392 5,923 H 電気電子機械器具及び通信機械器具 (n=30,200) 3,426 3,763 1,678 5,147 米国 欧州 5,942 4,195 韓国 11,172 中国 2,079 J 一般機械器具 (n=12,311) 2,146 K 産業機械器具 (n=13,914) 1,481 M A∼Lに属さないその他の基礎製品 (n=15,252) 3,087 1,529 3,004 L 土木建築用品 (n=17,500) 1,491 395 1,083 2,547 3,183 4,405 1,593 6,099 4,075 4,309 6,843 3,253 N 他グループに属さない物品 (n=36) 0 2 0% 1,249 5,126 30 10% 20% 30% 40% − 5 − 50% 0 60% 70% 80% 90% 4 100% ③物品分野別の出願人国籍別特徴 第 2-6 図は五極における意匠登録総数を日本意匠分類グループ別に分け、出願人国籍別の 意匠登録数の割合を示した図である。 日本国籍出願人により登録されている物品分野の特徴としては、H グループ(電気電子機 械器具及び通信機械器具)、J グループ(一般機械機具)、G グループ(運輸又は運搬機械)、 K グループ(産業機械器具)、E グループ(趣味娯楽用品及び運動競技用品)の順に高いこと があげられる。H グループ(電気電子機械器具及び通信機械器具)では、五極の中で意匠登 録数の比率が最も高い。 米国国籍出願人により登録されている物品分野の特徴としては、A グループ(製造食品及 び嗜好品)、E グループ(趣味娯楽用品及び運動競技用品)、B グループ(衣服及び身の回り 品)、G グループ(運輸又は運搬機械)、K グループ(産業機械器具)の順に高いことがあげ られる。 欧州国籍出願人により登録されている物品分野の特徴としては、N グループ(他グループ に属さない物品)を除いて、A グループ(製造食品及び嗜好品)、B グループ(衣服及び身の 回り品)、D グループ(住宅設備用品)、M グループ(A∼L グループに属さないその他の基 礎製品)、C グループ(生活用品)の順に高いことがあげられる。A グループ(製造食品及び 嗜好品)、B グループ(衣服及び身の回り品)の 2 物品分野では、五極の中で意匠登録数の 比率が最も高い。 韓国国籍出願人により登録されている物品分野の特徴としては、L グループ(土木建築用 品)、M グループ(A∼L グループに属さないその他の基礎製品)、H グループ(電気電子機 械器具及び通信機械器具)、C グループ(生活用品)、D グループ(住宅設備用品)の順に高 いことがあげられる。 中国国籍出願人により登録されている物品分野の特徴としては、F グループ(事務用品及 び販売用品)、C グループ(生活用品)、L グループ(土木建築用品)、K グループ(産業機械 器具)、D グループ(住宅設備用品)の順に高いことがあげられる。F グループ(事務用品及 び販売用品)を始めとする 9 物品分野では、五極の中で意匠登録数の比率が最も高い。 第 2-6 図 日本意匠分類グループに関する出願人国籍別の意匠登録内訳【出願先国:五極全体】 A 製造食品及び嗜好品 (n=901) C 生活用品 (n=29,832) 3,103 2,329 D 住宅設備用品 (n=37,649) 3,958 2,583 1,430 2,948 1,300 3,308 G 運輸又は運搬機械 (n=14,390) 13,555 1,090 3,417 388 953 19,913 3,268 5,939 2,919 3,966 F 事務用品及び販売用品 (n=36,958) 616 1,968 1,386 1,793 E 趣味娯楽用品及び運動競技用品 (n=9,568) 4,529 11,934 1,097 12,259 3,685 7,359 1,077 5,467 2,436 8,900 2,806 1,808 B 衣服及び身の回り品 (n=22,494) 43 169 77 400 179 33 4,751 653 8,535 2,225 日本 米国 欧州 韓国 2,490 8,589 H 電気電子機械器具及び通信機械器具 (n=30,200) 3,009 L 土木建築用品 (n=17,500) 0% 10% 20% 30% 40% 0 − 6 − 50% 60% 345 4,635 3,226 26 N 他グループに属さない物品 (n=36) 0 2 251 6,720 4,067 3,075 4,246 1,170 1,630 M A∼Lに属さないその他の基礎製品 (n=15,252) 378 712 5,339 1,448 2,380 1,204 2,831 K 産業機械器具 (n=13,914) 1,155 3,705 1,135 2,439 1,029 2,848 J 一般機械器具 (n=12,311) 5,066 3,295 70% 80% 4 4 90% 100% 中国 その他 3.五極の出願人の状況 ①一出願人当りの意匠登録数 出願人の状況として、五極への 2006 年 1∼12 月の意匠登録総数 243,993 件における出願 先国別の一出願人当りの意匠登録数と出願人数の割合分布を第 2-7 表に示す。また、出願先 国別および出願人国籍別の一出願人当りの意匠登録数(平均値)を第 2-8 表に示す。なお、 ここでの出願人は筆頭出願人とする。 出願先国別の一出願人当りの意匠登録数と出願人数の割合を見ると、五極全体では一年間 に意匠登録した件数が 1∼10 件である出願人数が 93.2%を占めており、一年間に 11 件以上 の意匠登録をした出願人が非常に少ないことがわかる。その中で米国では一年間に意匠登録 した件数が 1∼10 件である出願人数が 97.0%と高く、欧州では 87.3%と低い。欧州におい ては多意匠一出願が可能であることが理由と考えられる。 一出願人当りの意匠登録数を出願先国別、出願人国籍別に、意匠登録数と出願人数のそれ ぞれ総数を用いて求めた平均値で比べると、五極全体では 4.4 件、出願先国別では欧州が 6.6 件、日本が 5.0 件と多く、米国が 2.6 件と少ない。出願人国籍別では日本が 6.5 件、欧州が 6.0 件と多く、五極以外の国が 3.1 件、米国が 3.4 件と少ない。 第 2-7 表 一出願人当りの意匠登録数と出願人数の割合分布【出願先国:五極全体】 意匠 全体 登録数 1∼10 51,868 93.2% 11∼20 2,166 3.9% 21∼30 653 1.2% 31∼40 294 0.5% 41∼50 165 0.3% 51∼60 132 0.2% 61∼70 67 0.1% 71∼80 40 0.1% 81∼90 35 0.1% 91∼100 28 0.1% 101∼110 35 0.1% 111∼120 21 0.0% 121∼130 13 0.0% 131∼140 9 0.0% 141∼150 13 0.0% 151∼160 12 0.0% 161∼170 13 0.0% 171∼180 5 0.0% 181∼190 3 0.0% 191∼200 5 0.0% 201∼ 62 0.1% 合計 55,639 100.0% 日本 5,504 92.1% 232 3.9% 91 1.5% 54 0.9% 17 0.3% 16 0.3% 10 0.2% 6 0.1% 4 0.1% 4 0.1% 6 0.1% 8 0.1% 3 0.1% 1 0.0% 3 0.1% 4 0.1% 3 0.1% 1 0.0% 1 0.0% 0 0.0% 9 0.2% 5,977 100.0% 出願先国別出願人数 米国 欧州 韓国 中国 7,826 97.0% 8,482 87.3% 7,545 94.7% 23,701 93.8% 141 1.7% 675 6.9% 263 3.3% 937 3.7% 42 0.5% 229 2.4% 65 0.8% 273 1.1% 17 0.2% 101 1.0% 35 0.4% 123 0.5% 11 0.1% 58 0.6% 13 0.2% 66 0.3% 9 0.1% 43 0.4% 8 0.1% 49 0.2% 4 0.0% 32 0.3% 3 0.0% 27 0.1% 3 0.0% 16 0.2% 5 0.1% 13 0.1% 1 0.0% 12 0.1% 9 0.1% 9 0.0% 2 0.0% 8 0.1% 2 0.0% 12 0.0% 2 0.0% 8 0.1% 4 0.1% 10 0.0% 1 0.0% 6 0.1% 3 0.0% 5 0.0% 0 0.0% 6 0.1% 1 0.0% 5 0.0% 0 0.0% 4 0.0% 0 0.0% 4 0.0% 3 0.0% 5 0.1% 1 0.0% 2 0.0% 2 0.0% 3 0.0% 3 0.0% 4 0.0% 2 0.0% 4 0.0% 0 0.0% 3 0.0% 2 0.0% 0 0.0% 1 0.0% 5 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 4 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 3 0.0% 18 0.2% 9 0.1% 16 0.1% 8,071 100.0% 9,714 100.0% 7,970 100.0% 25,264 100.0% 注)割合分布比率が 0.1%未満の場合は、0.0%と表示している。 第 2-8 表 一出願人当りの意匠登録数(平均値)【出願先国:五極全体】 出願先国別 出願人国籍別 日本 米国 欧州 韓国 中国 日本 米国 欧州 韓国 中国 その他 意匠登録数 243,993 30,151 20,965 64,351 30,799 97,727 36,914 20,575 56,856 31,052 88,470 10,126 出願人数 55,639 5,977 8,071 9,714 7,970 25,264 5,665 6,079 9,469 7,784 23,379 3,263 意匠登録数/出願人数 4.4 5.0 2.6 6.6 3.9 3.9 6.5 3.4 6.0 4.0 3.8 3.1 全体 − 7 − ②主要出願人の意匠登録数 第 2-9 表には五極への 2006 年 1∼12 月の意匠登録総数 243,993 件における主要出願人の 意匠登録数ランキングを示す。上位 20 位中、日本国籍出願人が 8 社、米国国籍出願人が 3 社、中国国籍出願人が 2 社 1 個人、欧州国籍出願人が 3 社(ドイツ、オーストリア、フラン ス)、韓国国籍出願人が 2 社、五極以外の国籍出願人(台湾)が 1 社であった。 業種別に見ると、電機メーカー8 社(サムスン電子、松下電器産業、LG 電子、ソニー、ボッ シュアンドジーメンス、ハンスプリー、三洋電機、東芝)、自動車メーカー4 社(力帆実業集 団、本田技研工業、トヨタ自動車、長安自動車)、照明機器メーカー2 社(エグロ、松下電工)、 家庭用保健衛生用品メーカー1 社(プロクター・アンド・ギャンブル)、運動用具メーカー1 社(ナイキインターナショナル)、コンピュータソフトウェアメーカー1 社(マイクロソフト)、 服飾メーカー1 社(クリエーションネルソン)、家具メーカー1 社(岡村製作所)となってい る。3 位の邱則有は建材メーカーの社長である。 このことから、五極への意匠登録においては、主要な出願人の業種として電機メーカー、 自動車メーカーがあげられ、多くの日本企業が名を連ねているが、1 位のサムスン電子(韓) と 2 位の松下電器産業の差は大きく、4 位にも LG 電子(韓)が入っており、韓国の電機メ ーカーがいずれも上位に位置している。また、3 位の中国の個人出願人の存在は特徴的であ る。 第 2-9 表 順位 主要出願人の意匠登録数ランキング(上位 20 位)【出願先国:五極全体】 筆頭出願人 1 サムスン電子 Samsung Electronics Co.Ltd. 2 松下電器産業 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 3 邱則有 4 LG電子 LG Electronics Inc. 5 ソニー Sony Corporation 6 プロクター・アンド・ギャンブル The Procter & Gamble Company 7 力帆実業集団 Lifan Industry (Group) Co., Ltd 8 本田技研工業 Honda Motor Co., Ltd. 9 トヨタ自動車 Toyota Motor Corporation 10 ボッシュアンドジーメンス Bosch and Siemens Home Appliances Group 11 ナイキインターナショナル Nike International Ltd. 12 マイクロソフト Microsoft Corporation 13 ハンスプリー Hannspree Inc. 14 三洋電機 Sanyo Electric Co.,Ltd. 15 エグロ Eglo Leuchten GmbH 16 東芝 Toshiba Corporation 17 長安自動車 Chana Inc. 18 クリエーション ネルソン Creations Nelson S.A. 19 松下電工 Matsushita Electric Works, Ltd. 20 岡村製作所 Okamura Corporation 国籍 韓国 日本 中国 韓国 日本 米国 中国 日本 日本 ドイツ 米国 米国 台湾 日本 オーストリア 日本 中国 フランス 日本 日本 日本意匠分類小分類別意匠登録数 (上位5物品) H74 H65 H76 C65 C64 1,176件 216件 173件 127件 86件 電機 H65 J32 H72 H74 H76 159件 152件 138件 119件 98件 個人 L45 L40 L35 L65 L60 548件 545件 174件 26件 19件 電機 H74 C65 H76 C35 H65 283件 145件 125件 124件 93件 電機 H65 H72 H76 J32 H77 189件 186件 122件 106件 53件 家庭用保健 F47 F43 C33 F49 C44 衛生用品 358件 62件 27件 26件 20件 自動車 G23 G22 F33 F42 K82 357件 122件 101件 51件 50件 自動車 G22 G23 G29 K82 D72 430件 191件 43件 24件 10件 自動車 G22 H13 G29 H76 K82 598件 19件 12件 12件 12件 電機 C65 C64 C34 C63 B73 325件 118件 72件 42件 30件 運動用具 B51 B59 B11 E33 J23 241件 231件 100件 62件 12件 コンピュータ H76 H71 H72 F47 H65 ソフトウェア 147件 78件 9件 8件 7件 電機 H76 H71 H72 E33 E34 562件 17件 10件 4件 2件 C65 D43 H76 C34 H74 電機 114件 48件 38件 33件 28件 D33 D34 D39 D36 照明機器 B34 534件 17件 10件 1件 0件 電機 H74 H76 C65 H65 H77 98件 54件 49件 49件 35件 自動車 G22 H15 D72 G29 M32 446件 21件 12件 12件 4件 服飾 B11 B16 B22 B41 B51 426件 34件 11件 11件 6件 照明機器 H13 H15 D33 B73 D51 56件 55件 33件 31件 28件 家具 D71 D72 D65 D74 L71 171件 157件 77件 27件 12件 業種 (製造品) 電機 注 1)個人出願人を除き、出願人名は 2 ヵ国語(原則、日本語、英語)で表記している。 注 2)業種は主な製造品等を参考に本調査において便宜的に特定したものである。 − 8 − 上位5物品 比率 総数 74.9% 2,375件 42.5% 1,566件 99.9% 1,313件 69.9% 1,101件 76.7% 855件 62.9% 784件 90.4% 753件 93.8% 744件 92.1% 709件 85.3% 688件 98.2% 658件 39.0% 639件 99.7% 597件 46.2% 565件 100.0% 562件 54.4% 524件 95.2% 520件 95.5% 511件 40.1% 506件 88.6% 501件 4.出願先国別の登録状況 出願先国別の日本意匠分類グループ別の意匠登録割合を第 2-10∼14 図に示す。 ①日本 日本意匠分類グループ別の意匠登録割合を見ると、H グループ(電気電子機械器具及び通 信機械器具)が 5,923 件で全体の 19.6%と最も多く、次いで、F グループ(事務用品及び販 売用品)が 3,811 件で全体の 12.6%、D グループ(住宅設備用品)が 3,597 件で全体の 11.9%、 L グループ(土木建築用品)が 3,004 件で全体の 10.0%、C グループ(生活用品)が 2,983 件で全体の 9.9%となっている。日本での意匠登録の特徴は、他の四極での意匠登録と比べ て、日本意匠分類の H グループ(電気電子機械器具及び通信機械器具)の全体に占める割合 が高く、D グループ(住宅設備用品)、C グループ(生活用品)、M グループ(A∼L グルー プに属さないその他の基礎製品)、A グループ(製造食品及び嗜好品)の全体に占める割合が 低いことがあげられる。 第 2-10 図 出願先国別・日本意匠分類グループ別の意匠登録割合【出願先国:日本】 (n=30,151) N 他グループに属さない 物品 A 製造食品及び嗜好品 M A∼Lに属さないその他 0件 58件 の基礎製品 0.0% 0.2% B 衣服及び身の回り品 1,481件 1,961件 L 土木建築用品 4.9% 6.5% 3,004件 C 生活用品 10.0% 2,983件 9.9% K 産業機械器具 2,146件 7.1% D 住宅設備用品 3,597件 11.9% J 一般機械器具 2,079件 6.9% E 趣味娯楽用品及び運動 競技用品 1,590件 5.3% H 電気電子機械器具及び 通信機械器具 5,923件 19.6% G 運輸又は運搬機械 1,518件 5.0% F 事務用品及び販売用品 3,811件 12.6% ②米国 日本意匠分類グループ別の意匠登録割合を見ると、H グループ(電気電子機械器具及び通 信機械器具)が 3,763 件で全体の 18.2%で最も多く、次いで、D グループ(住宅設備用品) が 2,678 件で全体の 12.9%、C グループ(生活用品)が 2,541 件で全体の 12.3%、B グルー プ(衣服及び身の回り品)が 2,126 件で全体の 10.3%となっている。米国での意匠登録の特 徴は、他の四極での意匠登録と比べて、日本意匠分類の G グループ(運輸又は運搬機械)、 K グループ(産業機械器具)、J グループ(一般機械機具)、E グループ(趣味娯楽用品及び 運動競技用品)の全体に占める割合が高く、F グループ(事務用品及び販売用品)、L グルー プ(土木建築用品)の全体に占める割合が低いことがあげられる。 − 9 − 第 2-11 図 出願先国別・日本意匠分類グループ別の意匠登録割合【出願先国:米国】 (n=20,728) N 他グループに属さない M A∼Lに属さないその他 の基礎製品 L 土木建築用品 1,083件 395件 5.2% 1.9% 物品 2件 0.0% K 産業機械器具 1,529件 7.4% A 製造食品及び嗜好品 104件 0.5% B 衣服及び身の回り品 2,126件 10.3% C 生活用品 2,541件 12.3% J 一般機械器具 1,491件 7.2% D 住宅設備用品 2,678件 12.9% H 電気電子機械器具及び 通信機械器具 3,763件 18.2% G 運輸又は運搬機械 1,860件 9.0% E 趣味娯楽用品及び運動 競技用品 1,301件 6.3% F 事務用品及び販売用品 1,855件 8.9% ③欧州 日本意匠分類グループ別の意匠登録割合を見ると、D グループ(住宅設備用品)が 12,392 件で全体の 20.1%で最も多く、次いで B グループ(衣服及び身の回り品)が 10,044 件で全 体の 16.3%、C グループ(生活用品)が 7,811 件で全体の 12.7%、F グループ(事務用品及 び販売用品)が 6,902 件で全体の 11.2%、H グループ(電気電子機械器具及び通信機械器具) が 5,147 件で全体の 8.4%となっている。欧州での意匠登録の特徴は、他の四極での意匠登 録と比べて、日本意匠分類の D グループ(住宅設備用品)、B グループ(衣服及び身の回り 品)、A グループ(製造食品及び嗜好品)の全体に占める割合が高く、H グループ(電気電 子機械器具及び通信機械器具)、K グループ(産業機械器具)の全体に占める割合が低いこ とがあげられる。 第 2-12 図 出願先国別・日本意匠分類グループ別の意匠登録割合【出願先国:欧州】 (n=61,605) N 他グループに属さない M A∼Lに属さないその他 の基礎製品 L 土木建築用品 4,309件 3,183件 7.0% 5.2% J 一般機械器具 3,087件 5.0% 物品 30件 0.0% K 産業機械器具 2,547件 4.1% A 製造食品及び嗜好品 446件 0.7% B 衣服及び身の回り品 10,044件 16.3% C 生活用品 7,811件 12.7% H 電気電子機械器具及び 通信機械器具 5,147件 8.4% G 運輸又は運搬機械 3,392件 5.5% F 事務用品及び販売用品 6,902件 E 趣味娯楽用品及び運動 11.2% 競技用品 2,315件 3.8% − 10 − D 住宅設備用品 12,392件 20.1% ④韓国 日本意匠分類グループ別の意匠登録割合を見ると、D グループ(住宅設備用品)が 4,580 件で全体の 14.9%と最も多く、次いで、H グループ(電気電子機械器具及び通信機械器具) が 4,195 件で全体の 13.6%、L グループ(土木建築用品)が 4,075 件で全体の 13.2%、C グ ループ(生活用品)が 3,436 件で全体の 11.2%、F グループ(事務用品及び販売用品)が 3,426 件で全体の 11.1%、M グループ(A∼L グループに属さないその他の基礎製品)が 3,253 件 で全体の 10.6%となっている。韓国での意匠登録の特徴は、他の四極での意匠登録と比べて、 日本意匠分類の L グループ(土木建築用品)、M グループ(A∼L グループに属さないその他 の基礎製品)の全体に占める割合が高く、J グループ(一般機械機具)、E グループ(趣味娯 楽用品及び運動競技用品)の全体に占める割合が低いことがあげられる。 第 2-13 図 出願先国別・日本意匠分類グループ別の意匠登録割合【出願先国:韓国】 (n=30,795) N 他グループに属さない 物品 A 製造食品及び嗜好品 0件 97件 M A∼Lに属さないその他 0.0% 0.3% B 衣服及び身の回り品 の基礎製品 3,253件 2,559件 10.6% 8.3% L 土木建築用品 C 生活用品 4,075件 3,436件 13.2% 11.2% K 産業機械器具 1,593件 5.2% D 住宅設備用品 4,580件 14.9% E 趣味娯楽用品及び運動 競技用品 654件 2.1% J 一般機械器具 1,249件 4.1% H 電気電子機械器具及び 通信機械器具 4,195件 13.6% G 運輸又は運搬機械 1,678件 5.4% F 事務用品及び販売用品 3,426件 11.1% ⑤中国 日本意匠分類グループ別の意匠登録割合を見ると、F グループ(事務用品及び販売用品) が 20,964 件で全体の 21.5%と最も多く、次いで、D グループ(住宅設備用品)が 14,402 件 で全体の 14.7%、C グループ(生活用品)が 13,061 件で全体の 13.4%、H グループ(電気 電子機械器具及び通信機械器具)が 11,172 件で全体の 11.4%、L グループ(土木建築用品) が 6,843 件で全体の 7.0%となっている。中国での意匠登録の特徴は、他の四極での意匠登 録と比べて、日本意匠分類の F グループ(事務用品及び販売用品)、C グループ(生活用品) の全体に占める割合が高く、B グループ(衣服及び身の回り品)、A グループ(製造食品及び 嗜好品)の全体に占める割合が低いことがあげられる。 − 11 − 第 2-14 図 出願先国別・日本意匠分類グループ別の意匠登録割合【出願先国:中国】 (n=97,726) N 他グループに属さない 物品 4件 0.0% M A∼Lに属さないその他 の基礎製品 L 土木建築用品 5,126件 5.2% 6,843件 A 製造食品及び嗜好品 196件 B 衣服及び身の回り品 0.2% 5,804件 5.9% 7.0% C 生活用品 13,061件 13.4% K 産業機械器具 6,099件 J 一般機械器具 6.2% 4,405件 4.5% D 住宅設備用品 14,402件 14.7% H 電気電子機械器具及び 通信機械器具 11,172件 11.4% G 運輸又は運搬機械 5,942件 F 事務用品及び販売用品 6.1% 20,964件 21.5% E 趣味娯楽用品及び運動 競技用品 3,708件 3.8% 5.出願人国籍別の登録状況 出願人国籍別の日本意匠分類グループ別の意匠登録割合を第 2-15∼19 図に示す。 ①日本国籍出願人 日本意匠分類グループ別の意匠登録割合を見ると、H グループ(電気電子機械器具及び通 信機械器具)が 8,589 件で全体の 23.3%で最も多く、次いで、F グループ(事務用品及び販 売用品)が 3,966 件で全体の 10.8%、D グループ(住宅設備用品)が 3,958 件で全体の 10.7%、 G グループ(運輸又は運搬機械)が 3,308 件で全体の 9.0%、C グループ(生活用品)が 3,103 件で全体の 8.4%となっている。日本国籍出願人の意匠登録の特徴は、他の四極の国籍出願 人の意匠登録と比べて、日本意匠分類の H グループ(電気電子機械器具及び通信機械器具)、 G グループ(運輸又は運搬機械)、J グループ(一般機械器具)、K グループ(産業機械器具) の全体に占める割合が高く、D グループ(住宅設備用品)、C グループ(生活用品)、B グル ープ(衣服及び身の回り品)、M グループ(A∼L グループに属さないその他の基礎製品)、 A グループ(製造食品及び嗜好品)の全体に占める割合が低いことがあげられる。 第 2-15 図 出願人国籍別・日本意匠分類グループ別の意匠登録割合【出願人国籍:日本】 (n=36,876) N 他グループに属さない M A∼Lに属さないその他 の基礎製品 L 土木建築用品 1,630件 3,009件 4.4% 8.2% 物品 0件 0.0% A 製造食品及び嗜好品 33件 B 衣服及び身の回り品 0.1% 1,808件 K 産業機械器具 2,831件 7.7% 4.9% C 生活用品 3,103件 8.4% D 住宅設備用品 3,958件 10.7% E 趣味娯楽用品及び運動 競技用品 1,793件 4.9% J 一般機械器具 2,848件 7.7% H 電気電子機械器具及び 通信機械器具 8,589件 23.3% − 12 − F 事務用品及び販売用品 3,966件 10.8% G 運輸又は運搬機械 3,308件 9.0% ②米国国籍出願人 日本意匠分類グループ別の意匠登録割合を見ると、F グループ(事務用品及び販売用品) が 2,919 件で全体の 14.8%で最も多く、次いで、B グループ(衣服及び身の回り品)が 2,806 件で全体の 14.2%、D グループ(住宅設備用品)が 2,583 件で全体の 13.1%、H グループ(電 気電子機械器具及び通信機械器具)が 2,490 件で全体の 12.6%、C グループ(生活用品)が 2,329 件で全体の 11.8%となっている。米国国籍出願人の意匠登録の特徴は、他の四極の国 籍出願人の意匠登録と比べて、日本意匠分類の E グループ(趣味娯楽用品及び運動競技用品)、 A グループ(製造食品及び嗜好品)の全体に占める割合が高く、L グループ(土木建築用品) の全体に占める割合が低いことがあげられる。また、欧州国籍出願人には及ばないが、B グ ループ(衣服及び身の回り品)の全体に占める比率も比較的高い。 第 2-16 図 出願人国籍別・日本意匠分類グループ別の意匠登録割合【出願人国籍:米国】 (n=19,775) N 他グループに属さない 物品 M A∼Lに属さないその他 2件 A 製造食品及び嗜好品 の基礎製品 L 土木建築用品 0.0% 179件 1,170件 378件 0.9% 5.9% 1.9% B 衣服及び身の回り品 K 産業機械器具 2,806件 1,204件 14.2% J 一般機械器具 6.1% 1,029件 5.2% C 生活用品 2,329件 11.8% H 電気電子機械器具及び 通信機械器具 2,490件 12.6% D 住宅設備用品 2,583件 13.1% G 運輸又は運搬機械 1,300件 6.6% F 事務用品及び販売用品 2,919件 14.8% E 趣味娯楽用品及び運動 競技用品 1,386件 7.0% ③欧州国籍出願人 日本意匠分類グループ別の意匠登録割合を見ると、D グループ(住宅設備用品)が 11,934 件で全体の 21.7%で最も多く、次いで、B グループ(衣服及び身の回り品)が 8,900 件で全 体の 16.2%、C グループ(生活用品)が 7,359 件で全体の 13.4%、F グループ(事務用品及 び販売用品)が 5,939 件で全体の 10.8%、M グループ(A∼L に属さないその他の基礎製品) が 4,246 件で全体の 7.7%となっている。欧州国籍出願人の意匠登録の特徴は、他の四極の 国籍出願人の意匠登録と比べて、日本意匠分類の D グループ(住宅設備用品)、B グループ (衣服及び身の回り品)の全体に占める割合が高く、H グループ(電気電子機械器具及び通 信機械器具)、K グループ(産業機械器具)の全体に占める割合が低いことがあげられる。 − 13 − 第 2-17 図 出願人国籍別・日本意匠分類グループ別の意匠登録割合【出願人国籍:欧州】 (n=54,909) N 他グループに属さない 物品 M A∼Lに属さないその他 26件 A 製造食品及び嗜好品 の基礎製品 0.0% 400件 L 土木建築用品 4,246件 0.7% 7.7% 3,075件 B 衣服及び身の回り品 5.6% 8,900件 16.2% K 産業機械器具 J 一般機械器具 2,380件 2,439件 4.3% 4.4% H 電気電子機械器具及び 通信機械器具 3,295件 6.0% C 生活用品 7,359件 13.4% G 運輸又は運搬機械 2,948件 5.4% F 事務用品及び販売用品 5,939件 E 趣味娯楽用品及び運動 10.8% 競技用品 1,968件 3.6% D 住宅設備用品 11,934件 21.7% ④韓国国籍出願人 日本意匠分類グループ別の意匠登録割合を見ると、H グループ(電気電子機械器具及び通 信機械器具)が 5,066 件で全体の 16.4%で最も多く、次いで、D グループ(住宅設備用品) が 4,529 件で全体の 14.6%、L グループ(土木建築用品)が 4,067 件で全体の 13.1%、C グ ループ(生活用品)が 3,685 件で全体の 11.9%、F グループ(事務用品及び販売用品)が 3,268 件で全体の 10.5%、M グループ(A∼L グループに属さないその他の基礎製品)が 3,226 件 で全体の 10.4%となっている。韓国国籍出願人の意匠登録の特徴は、他の四極の国籍出願人 の意匠登録と比べて、日本意匠分類の L グループ(土木建築用品)、M グループ(A∼L グル ープに属さないその他の基礎製品)の全体に占める割合が高く、F グループ(事務用品及び 販売用品)、G グループ(運輸又は運搬機械)、J グループ(一般機械器具)、E グループ(趣 味娯楽用品及び運動競技用品)の全体に占める割合が低いことがあげられる。 第 2-18 図 出願人国籍別・日本意匠分類グループ別の意匠登録割合【出願人国籍:韓国】 (n=30,983) N 他グループに属さない 物品 0件 A 製造食品及び嗜好品 M A∼Lに属さないその他 0.0% 77件 の基礎製品 B 衣服及び身の回り品 0.2% 3,226件 2,436件 10.4% 7.9% L 土木建築用品 C 生活用品 4,067件 3,685件 13.1% 11.9% K 産業機械器具 1,448件 4.7% D 住宅設備用品 4,529件 14.6% J 一般機械器具 1,135件 3.7% H 電気電子機械器具及び 通信機械器具 5,066件 16.4% E 趣味娯楽用品及び運動 競技用品 616件 2.0% G 運輸又は運搬機械 1,430件 4.6% − 14 − F 事務用品及び販売用品 3,268件 10.5% ⑤中国国籍出願人 日本意匠分類グループ別の意匠登録割合を見ると、F グループ(事務用品及び販売用品) が 19,913 件で全体の 22.5%で最も多く、次いで、D グループ(住宅設備用品)が 13,555 件 で全体の 15.3%、C グループ(生活用品)が 12,259 件で全体の 13.9%、H グループ(電気 電子機械器具及び通信機械器具)が 8,535 件で全体の 9.6%、L グループ(土木建築用品) が 6,720 件で全体の 7.6%となっている。中国国籍出願人の意匠登録の特徴は、他の四極の 国籍出願人の意匠登録と比べて、日本意匠分類の F グループ(事務用品及び販売用品)、C グループ(生活用品)の全体に占める割合が高いことがあげられる。 第 2-19 図 出願人国籍別・日本意匠分類グループ別の意匠登録割合【出願人国籍:中国】 (n=88,469) N 他グループに属さない 物品 M A∼Lに属さないその他 A 製造食品及び嗜好品 4件 の基礎製品 169件 0.0% L 土木建築用品 4,635件 0.2% B 衣服及び身の回り品 6,720件 5.2% 5,467件 7.6% 6.2% C 生活用品 K 産業機械器具 12,259件 5,339件 13.9% 6.0% J 一般機械器具 3,705件 4.2% D 住宅設備用品 H 電気電子機械器具及び 13,555件 通信機械器具 15.3% 8,535件 9.6% E 趣味娯楽用品及び運動 G 運輸又は運搬機械 競技用品 4,751件 3,417件 5.4% 3.9% F 事務用品及び販売用品 19,913件 22.5% − 15 − 第2節 主要物品別の登録状況 1.主要物品別の登録状況 主要物品別の登録状況として、五極への 2006 年 1∼12 月の意匠登録総数(241,005 件) に占める日本意匠分類の小分類一桁別の意匠登録数ランキング(1∼40 位)を第 2-20 表に示 す。 日本意匠分類の小分類一桁別の意匠登録数ランキングでは、F47 の包装用容器等が 6.6% (15,973 件)で最も多く、次いで、D72 の腰掛け,いす等が 3.2%(7,809 件)、G22 の自動 車等が 2.8%(6,671 件)、D33 の屋内用照明器具が 2.4%(5,685 件)、M11 の織物地,編物 地等が 2.3%(5,487 件)と続き、1∼40 位の意匠登録数合計(129,360 件)は全体(241,005 件)の 53.7%を占めている。 第 2-20 表 主要物品(日本意匠分類の小分類一桁の 1∼40 位)の意匠登録数ランキング 順位 日本意匠分類 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 F47 D72 G22 D33 M11 F44 D65 H74 M25 C21 F42 D71 H76 H72 B11 B51 H13 L71 C52 L35 H65 H71 C54 G29 G23 F21 M32 D43 C53 C64 B41 B31 B59 H15 F51 L61 L63 C65 D73 F49 内容 包装用容器等 腰掛け,いす等 その他の自動車 屋内用照明器具 織物地,編物地等 包装用袋 収納家具等 電話機等 バルブ等 置物等 レッテル テーブル,机,カウンター等 映像情報入出力機器 音響情報入出力機器 洋服 短靴 電気接続器等 建築用構造材,枠材 飲食用容器 門,塀,さく等 情報記録機器等 その他のデータ入出力機器等 調理用容器 車両部品及び付属品 自動二輪車等 筆記用具 開閉金物 送風式冷暖房機器等 食卓用容器又は保存用容器 調理用加熱器 かばん又は携帯用袋物 装身具 履物等部品及び付属品 開閉器及び遮断器 広告用具及び表示用具 建築用板 モザイクタイル及びタイル 冷蔵庫,製氷機等,車載用冷蔵庫 ベッド等 包装紙,包装用容器等部品及び付属品 − 16 − 件数 15,973 7,809 6,671 5,685 5,487 4,544 4,071 3,838 3,451 3,207 3,155 3,108 3,090 2,963 2,953 2,864 2,831 2,811 2,794 2,741 2,673 2,570 2,420 2,418 2,325 2,246 2,228 1,960 1,929 1,926 1,908 1,884 1,874 1,754 1,699 1,594 1,554 1,473 1,457 1,422 2.主要物品別の出願先国別特徴 日本意匠分類の小分類一桁別の出願先国別の意匠登録数(1∼20 位)を第 2-21 図に、日本 意匠分類の小分類一桁別の出願先国別の意匠登録数(21∼40 位)を第 2-22 図に示す。 出願先国別の意匠登録数では、D72 の腰掛け,いす等、D33 の屋内用照明器具、M25 の バルブ等、B11 の洋服、B51 の短靴、G29 の車両部品及び付属品、M32 の開閉金物、B41 のかばん又は携帯用袋物、B31 の装身具、B59 の履物等部品及び付属品、C65 の冷蔵庫,製 氷機等,車載用冷蔵庫、F49 の包装紙,包装用容器等部品及び付属品の 12 分野で欧州での 意匠登録数が最も多く、L35 の門,塀,さく等、F51 の広告用具及び表示用具の 2 分野で韓 国での意匠登録数が最も多く、それ以外の 26 分野では中国での意匠登録数が多い。1∼40 位の中に日本、米国での意匠登録数が最も多い物品は見当たらない。 日本での意匠登録数比率の中で最も高いのは、H13 の電気接続器等であり、全体の 23.2% (658 件)となっているが、同物品に関する五極の比較では中国での意匠登録数比率に次い で 2 番目である。米国での意匠登録数比率の中で最も高いのは、G29 の車両部品及び付属品 で 20.2%(489 件)となっているが、同物品に関する五極の比較では欧州、中国での意匠登 録数比率に次いで 3 番目である。欧州での意匠登録数比率の中で最も高いのは、B59 の履物 等部品及び付属品で 69.2%(1,297 件)となっており、全体の 50%以上を占めるものは他に B51 の短靴 63.7%(1,823 件)がある。韓国での意匠登録数比率の中で最も高いのは、L35 の門,塀,さく等で 50.3%(1,379 件)となっている。中国での意匠登録数比率の中で最も 高いのは、F42 のレッテルで 87.6%(2,763 件)となっており、全体の 50%以上を占めるも のは他に L63 のモザイクタイル及びタイルで 84.8%(1,318 件)、F44 の包装用袋で 84.6% (3,842 件)、G23 の自動二輪車等 72.6%(1,688 件)、L71 の建築用構造材,枠材で 68.5% ( 1,925 件)、D73 のベッド等で 63.5%(925 件)、F21 の筆記用具 59.8%(1,343 件)、C21 の置物等で 58.2%(1,865 件)、C54 の調理用容器で 57.6%(1,393 件)、F47 の包装用容器 等で 56.6%(9,044 件)、H15 の開閉器及び遮断器で 50.9%(892 件)がある。 第 2-21 図 主要物品の出願先国別の意匠登録数(1∼20 位) F47 包装用容器等 (n=15,973) 1,587 862 D72 腰掛け,いす等 (n=7,809) 742 531 3,283 766 G22 その他の自動車 (n=6,671) 788 9,044 678 1,378 D33 屋内用照明器具 (n=5,685) 197 248 340 1,405 1,392 419 262 M25 バルブ等 (n=3,451) 1,980 325 924 1,233 743 373 129 L71 建築用構造材,枠材 (n=2,811) 210 C52 飲食用容器 (n=2,794) L35 門,塀,さく等 (n=2,741) 0% 537 1,417 240 1,206 1,823 404 489 323 74 400 188 1,925 1,087 36 10% 20% 328 1,046 233 505 中国 1,033 271 394 658 14222 1,360 664 1,368 245 B51 短靴 (n=2,864) 欧州 韓国 258 445 336 B11 洋服 (n=2,953) 7168 H13 電気接続器等 (n=2,831) 米国 1,865 956 464 402 H72 音響情報入出力機器 (n=2,963) 日本 1,124 2,763 484 H76 映像情報入出力機器 (n=3,090) 1,207 212 F42 レッテル (n=3,155) 826120 184 405 1,778 830 620 C21 置物等 (n=3,207) 123103 D71 テーブル,机,カウンター等 (n=3,108) 1,187 1,694 3,842 236 458 H74 電話機等 (n=3,838) 2,734 1,395 310 38142 212 F44 包装用袋 (n=4,544) D65 収納家具等 (n=4,071) 2,778 1,005 2,658 368 40 M11 織物地,編物地等 (n=5,487) 1,197 3,080 182 398 30% 1,127 1,379 40% − 17 − 50% 60% 423 70% 80% 90% 100% 第 2-22 図 主要物品の出願先国別の意匠登録数(21∼40 位) C54 調理用容器 (n=2,420) G23 自動二輪車等 (n=2,325) C53 食卓用容器又は保存用容器 (n=1,929) B31 装身具 (n=1,884) B59 履物等部品及び付属品 (n=1,874) 114 155 89 193 17 L63 モザイクタイル及びタイル (n=1,554) 13 177 108 D73 ベッド等 (n=1,457) 70 0% 10% 925 125 229 30% 40% 50% 335 163 423 220 20% 403 245 453 83 281 F49 包装紙,包装用容器等部品及び付属品 (n=1,422) 610 1,318 29 289 C65 冷蔵庫,製氷機等,車載用冷蔵庫 (n=1,473) 396 594 285 354 38 307 L61 建築用板 (n=1,594) 892 198 485 56 168 F51 広告用具及び表示用具 (n=1,699) 306 中国 217 78 1,297 111 247 H15 開閉器及び遮断器 (n=1,754) 韓国 563 297 755 欧州 496 127 902 203 180 B41 かばん又は携帯用袋物 (n=1,908) 米国 781 174 466 172 333 C64 調理用加熱器 (n=1,926) 日本 940 157 553 167 112 975 252 197 113 423 575 266 972 234 181 M32 開閉金物 (n=2,228) D43 送風式冷暖房機器等 (n=1,960) 1,343 122 483 86 212 F21 筆記用具 (n=2,246) 702 258 1,688 44 321 197 75 768 489 201 G29 車両部品及び付属品 (n=2,418) 888 1,393 254 473 178 122 202 647 275 558 974 446 377 402 474 H65 情報記録機器等 (n=2,673) H71 その他のデータ入出力機器等 (n=2,570) 60% 70% 80% 90% 100% 3.主要物品別の出願人国籍別特徴 日本意匠分類の小分類一桁別の出願人国籍別の意匠登録数(1∼20 位)を第 2-23 図に、日 本意匠分類の小分類一桁別の出願人国籍別の意匠登録数(21∼40 位)を第 2-24 図に示す。 出願人国籍別の意匠登録数では、H13 の電気接続器等、H65 の情報記録機器等の 2 分野で 日本からの意匠登録数が最も多く、D72 の腰掛け,いす等、D33 の屋内用照明器具、M25 のバルブ等、B11 の洋服、B51 の短靴、C52 の飲食用容器、G29 の車両部品及び付属品、 M32 の開閉金物、B41 のかばん又は携帯用袋物、B31 の装身具、B59 の履物等部品及び付属 品、C65 の冷蔵庫,製氷機等,車載用冷蔵庫、F49 の包装紙,包装用容器等部品及び付属品 の 13 分野で欧州からの意匠登録数が最も多く、H74 の電話機等、L35 の門,塀,さく等、 F51 の広告用具及び表示用具の 3 分野で韓国からの意匠登録数が最も多く、H76 の映像情報 入出力機器で五極以外の国からの意匠登録数が最も多く、それ以外の 21 分野では中国から の意匠登録数が多い。1∼40 位の中に米国からの意匠登録数が最も多い物品は見当たらない。 日本からの意匠登録数比率の中で最も高いのは、H13 の電気接続器等であり、全体の 35.5%(1,005 件)となっており、同物品に関する五極の比較でも最も高い。米国からの意 匠登録数比率の中で最も高いのは、B59 の履物等部品及び付属品で 28.7%(537 件)となっ ているが、同物品に関する五極の比較では欧州に次いで 2 番目である。欧州からの意匠登録 数比率の中で最も高いのは、B51 の短靴で 52.9%(1,516 件)となっており、全体の 50%以 上を占めるものは他に B59 の履物等部品及び付属品 50.6%(948 件)がある。韓国からの意 匠登録数比率の中で最も高いのは、L35 の門,塀,さく等で 50.5%(1,383 件)となってい る。中国からの意匠登録数比率の中で最も高いのは、F42 のレッテルで 84.8%(2,677 件) となっており、全体の 50%以上を占めるものは他に L63 のモザイクタイル及びタイルで 84.1%(1,307 件)、F44 の包装用袋で 82.9%(3,768 件)、L71 の建築用構造材,枠材で 67.7% − 18 − (1,902 件)、G23 の自動二輪車等 66.6%(1,549 件)、D73 のベッド等で 61.6%(898 件)、 C21 の置物等で 57.5%(1,845 件)、F21 の筆記用具 54.1%(1,216 件)、C54 の調理用容器 で 54.1%(1,310 件)、F47 の包装用容器等で 53.6%(8,568 件)がある。 第 2-23 図 主要登録物品の出願人国籍別の意匠登録数(1∼20 位) F47 包装用容器等 (n=15,973) 1,542 D72 腰掛け,いす等 (n=7,809) 773 341 547 C21 置物等 (n=3,207) 112100 695 M25 バルブ等 (n=3,451) 第 2-24 図 812 126 164 1,902 20% 73 1,070 153 1,090 103 416 1,383 404 37 10% 30 267 60 322 252 276 203 491 0% 中国 1,200 230 426 175 韓国 122 1,516 1,005 L35 門,塀,さく等 (n=2,741) 29 52 その他 1,194 235 1,251 154 26 欧州 725 296 347 728 H13 電気接続器等 (n=2,831) C52 飲食用容器 (n=2,794) 686 604 288 167 L71 建築用構造材,枠材 (n=2,811) 米国 92 1,331 256 157 249 B11 洋服 (n=2,953) 83 154 B51 短靴 (n=2,864) 183 2,677 716 H72 音響情報入出力機器 (n=2,963) 日本 1,845 909 669 H76 映像情報入出力機器 (n=3,090) 217 876 170 1,334 151 409 54 691 363 F42 レッテル (n=3,155) 10635124 184 D71 テーブル,机,カウンター等 (n=3,108) 32 1,742 1,730 508 158 534 H74 電話機等 (n=3,838) 34 3,768 332 1,374 203 366 183 1,927 1,712 1,306 318 67145 214 F44 包装用袋 (n=4,544) D65 収納家具等 (n=4,071) 213 1,068 1,376 2,575 363 145 M11 織物地,編物地等 (n=5,487) 231 2,020 823 1,197 480 1,938 G22 その他の自動車 (n=6,671) 2,612 642 3,019 D33 屋内用照明器具 (n=5,685) 233 250 542 8,568 1,122 2,597 1,602 532 30% 40% 50% 60% 70% 80% 10 90% 100% 主要登録物品の出願人国籍別の意匠登録数(21∼40 位) 825 H65 情報記録機器等 (n=2,673) C54 調理用容器 (n=2,420) 410 368 772 464 111 121 B41 かばん又は携帯用袋物 (n=1,908) B31 装身具 (n=1,884) 92 B59 履物等部品及び付属品 (n=1,874) 84 327 174 35 123 0% 10% 47 390 283 中国 21 20 22 590 6 1,307 38 217 268 F49 包装紙,包装用容器等部品及び付属品 (n=1,422) 韓国 201 738 594 38 54 83 179 352 欧州 79 147 948 332 米国 83 458 611 467 355 C65 冷蔵庫,製氷機等,車載用冷蔵庫 (n=1,473) D73 ベッド等 (n=1,457) 288 131 312 L61 建築用板 (n=1,594) 16 L63 モザイクタイル及びタイル (n=1,554) 13 91 419 122 30% 285 376 40% − 19 − 50% 159 60% 19 43 898 301 20% 357 70% 256 80% 90% 日本 112 715 952 63 44 878 256 537 165 67 490 842 150 660 38 1,216 267 279 402 207 H15 開閉器及び遮断器 (n=1,754) F51 広告用具及び表示用具 (n=1,699) 132 474 98 86 96 490 101 87 110 204 372 C64 調理用加熱器 (n=1,926) 250 930 553 54 1,549 262 D43 送風式冷暖房機器等 (n=1,960) 155 202 713 1,310 190 22 138 212 690 209 242 400 95 303 F21 筆記用具 (n=2,246) M32 開閉金物 (n=2,228) 571 452 577 G23 自動二輪車等 (n=2,325) 190 319 110 127 G29 車両部品及び付属品 (n=2,418) C53 食卓用容器又は保存用容器 (n=1,929) 242 675 H71 その他のデータ入出力機器等 (n=2,570) 62 100% その他 第3章 第1節 法制度等に関する分析 法制度等の比較分析 1.五極の意匠制度比較 ①審査制度の違い 日本と米国の意匠制度では、実体審査を行って新規性と創作性を判断しているが、欧州は、 各国毎に意匠制度が存在するほか、欧州共同体意匠規則によって EU 加盟国で広域にデザイ ンを保護する制度となっている。 欧州の主要国(ドイツ、フランス、イギリス、イタリア)の意匠制度は、新規性や創作性 の判断をする実体審査をせず、方式的要件のみをチェックして権利化する無審査登録制度と なっている。同様に欧州共同体意匠規則も無審査登録制度を採用しているが、無方式で権利 が発生する非登録意匠権と出願を必要とし登録により権利が発生する登録意匠権が存在する。 韓国では、特定の物品に対して方式審査のみの無審査登録制度を適用し、その他の物品に 対して実体審査を伴う審査登録制度を適用している。 中国の意匠制度は、無審査登録制度となっている。国家知識産権局に出願し、方式審査(書 類審査)後に登録を受けて権利が発生する。 このように審査制度そのものが日本、米国、欧州、韓国、中国では異なっている。 ②保護対象の違い 日本の意匠法による保護対象は、 「物品(物品の部分を含む)の形状、模様若しくは色彩又 はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」であり、形状を有する物品 を保護の対象としている。従って現行の意匠法では、アイコンやグラフィックシンボルやタ イプフェイスなどは保護の対象ではないが、2007 年 4 月 1 日以降の出願から物品の操作の 用に供される画像が新たに保護されており、対象の拡充が図られている。 米国の特許法による保護対象は、「製造物品[article of manufacture]のための新規で独創 的かつ装飾的な意匠」であり、製造物品[article of manufacture]に具現化されるものは保護 の対象となり、アイコンやグラフィックシンボルやタイプフェイスも保護対象となっている。 欧州共同体意匠規則では、製品[product]を保護の対象としており、アイコンやグラフィッ クシンボルやタイプフェイスも製品[product]として認められている。 16 韓国のデザイン保護法による保護対象は、「物品[article](物品[article]の部分及び書体を 含む)の形状、模様、色彩又はこれらを結合したもので、視覚を通じて美感を引き起こさせ るもの」と定義されるデザインである。デザインは必ず物品[article]を前提とする。なお、 物品[article]の一部分、記録や標識等に使用されるための一組の書体(フォント)、「物品 [article] の 液 晶 画 面 等 の 表 示 部 に 表 示 さ れ る 図 形 等 」 と 定 義 さ れ る 画 像 デ ザ イ ン (GUI(Graphical User Interface)、アイコン、グラフィックイメージ等)も保護対象になる。 中国の専利法による保護対象は、 「物品[article]の形状、模様(図案)又はそれらの組合せ 及び色彩と形状、模様(図案)の組合せによる美感に富み、工業上の応用に適した新しいデ ザイン」である。 このように保護対象は、日本、韓国、中国の「物品[article]」、米国の「製造物品[article of manufacture]」、欧州の「製品[product]」とやや異なるが、アイコンやグラフィックシンボ ルやタイプフェイスの扱いを除き、概ね同じであると言える。 − 20 − ③保護期間の違い 日本では、2006 年 6 月 7 日公布の改正意匠法により 2007 年 4 月 1 日以降の出願から、設 定の登録の日より 20 年間となった。 米国では、意匠特許付与日から起算して 14 年間であり、欧州では、無審査登録制度は、 最初は出願から 5 年間保護され、その後 4 回の更新により最長 25 年間保護される。また、 無方式非登録制度は、公知となった日から 3 年間保護される。 韓国では、デザイン権の設定登録日から 15 年であり、中国では、出願日から起算して 10 年間である。 このように日本、米国、欧州、韓国、中国で保護期間は大きく異なっている。 ④秘密意匠制度の有無 日本及び韓国では、秘密意匠制度で登録意匠を意匠権の設定登録日から最長 3 年間秘密に することが可能である。また、欧州では、公開繰り延べ制度によって最長 30 ヶ月公報の発 行を遅らせることが可能である。 これに対し、米国及び中国では、こうした制度が存在しない点が異なっている。 ⑤出願態様の違い 日本は、1つの出願に記載できるのは1つの意匠としている。ただし、関連意匠制度があ り、2007 年 4 月 1 日以降の出願では、類似する意匠を本意匠の公報発行日前までの間に出 願することを可能としている。 米国は、1つの出願にクレーム(意匠特許)は1つしか許されていないものの、複数の実 施態様を記載することは可能であり、さらにはクレームする意匠の名称を複数記述すること が許されている。 欧州共同体意匠規則では、1つの出願において、ロカルノ国際分類が同一の製品であれば、 複数の意匠を纏めて出願することが可能である。 韓国は、審査登録制度では、一デザイン一デザイン登録出願が原則であるが、無審査登録 制度では、物品区分上同じ大分類に属する物品について 20 以内のデザインを一デザイン登 録出願とすることができる。 中国は、一意匠一出願が原則であり、日本のような関連意匠制度はない。 このように出願の態様は、日本、米国、欧州、韓国、中国で大きく異なっている。 ⑥早期審査制度の有無 日本と米国は、新規性と創作性を、実体審査を行って判断しているため、権利が発生する までに時間がかかる。このため、ライフサイクルの短い製品や模倣品が発生しやすい製品に 意匠権を早期に与えることを可能とする早期審査制度が存在している。 欧州共同体意匠規則は無審査登録制度を採用しているため、出願から権利が発生するまで の期間が短く、早期審査制度は存在しない。 韓国は、申請によって出願公開されたデザイン登録出願に対して、デザイン保護法第 30 条で準用する特許法第 61 条の規定によって優先審査請求が可能である。 中国は、無審査登録制度であり、早期審査制度は存在しない。 − 21 − 以上に述べたように、日本、米国、欧州、韓国、中国では、物品や製造物品や製品のデザ インを意匠制度によって保護することができるが、それぞれの意匠制度には権利の範囲や期 間等に差異があり、また、出願手続の面でも差異があるので、各国への出願や権利行使に当 たっては注意を要する。 権利行使の面では、出願から権利発生までの期間が、日本は約 9 ヶ月、米国は約 15 ヶ月、 欧州は約 2 ヶ月(公告された後出願日に遡って権利が発生)、韓国は無審査登録制度では約 2 ∼3 ヶ月で審査登録制度では約 7∼8 ヶ月、中国は約 2 ヶ月と違いがあり、模倣品への対策な ど権利行使ができるようになる時期が異なるため、それぞれの国と地域で権利者は異なる対 応が求められるものと考えられる。 例えば模倣品が発生した場合には、意匠権をできる限り早く取得する必要があるが、この ときに日本と米国では出願人が早期審査制度を利用するための手続が必要だが、欧州と中国 では出願から約 2 ヶ月で権利行使可能になるためその必要はない。 権利行使の場面では、日本と米国では新規性と創作性の判断が行政機関(特許庁)によっ て行われているため、権利者が権利の有効性を確かめる必要はなく即座に対応可能であるが、 欧州と中国では権利者自らが、新規性と創作性が備わっているか、権利が正当に有効である かの調査を行う必要があり、模倣品発生後の対応に時間がかかると考えられる。 韓国では無審査登録制度が適用される特定の物品に対しては欧州や中国と同様の状況があ り、審査登録制度が適用されるその他の物品に対しては日本や米国と同様の状況があると考 えられる。 このように権利行使においては実体審査の有無の影響はあるものと考えられ、実体審査を 行っている場合に比べて、無審査登録制度では権利化後の作業負担が大きい傾向があること に留意する必要がある。 また、市場に投入すると即座に模倣品が発生するおそれのある製品や、市場に投入する前 にそのデザインが知れわたると市場での優位性を失う可能性がある製品に対応するため、日 本や韓国には秘密意匠制度があり、欧州には公開繰り延べ制度がある。しかし、米国、中国 には、こうした制度は存在していない。このため、出願人は新規な製品を市場に出す時期を よく検討し、出願時期を調整する必要がある。こうした手続面の違いも出願人の出願動向に 影響していると考えられる。 − 22 − 2.五極の意匠制度以外のデザイン保護制度比較 ①著作権法 日本、米国、欧州、韓国、中国では、一定の条件を満たしていれば製品デザインも著作権 により保護される。欧州の場合、EU 著作権指令等で著作権保護に対する共通の基準が定め られており、EU 加盟国はこれらにあわせて国内法を整備している。 ②商標法 日本では商標登録の要件として、自己の業務で提供している商品やサービスが自他商品・ 役務の識別力を有する必要がある。 米国では米国連邦商標法(ランハム法)に基づき、識別力を有する場合には商品等の形状 自体もトレードドレスとして保護対象となる。トレードドレスは、商標登録されていない場 合でもコモンロー上の商標として保護される可能性がある。自他商品・役務識別力を有し、 混同の恐れがあり、非機能的である場合には、トレードドレスによる侵害が認められており、 トレードドレスによる保護の効果は、日本の不正競争防止法(第2条第1項第1号の周知表 示混同惹起行為)の要素を含んだものとなっている。 欧州では識別力があること、先行商標に抵触しないことの他、機能的ではないという要件 を備えている必要がある。 韓国では立体商標を認めており、物品のデザインが立体商標として登録されれば、商標法 に基づく保護も受けることができる。立体商標の登録要件は日本とほぼ同じである。 中国では創作したデザインがマークやロゴなど商品に識別性をもたらす場合は商標権で保 護し、立体物である場合は立体商標の出願が有効である。ただし、立体商標の保護は、機能 に由来する形状や識別力のない部分には及ばないとされている。 ③不正競争防止法 不正競争防止法は、日本、米国、欧州、韓国、中国いずれにおいても、基本的には他人の 商品の形態を模倣すること、不法に複製することを禁止するものである。 欧州では、共同体域内をカバーする不正競争防止法は存在せず、デザインは各加盟国の関 連法により保護される。 米国では、連邦の著作権法や商標法(ランハム法)により、消費者が混同を引き起こす行 為を禁止していることに加え、各州のコモンローによっても不正競争に対する救済措置があ り、製品デザインは、日本、欧州、韓国、中国に比べて不正競争防止法により手厚い保護が なされている。 − 23 − 第2節 意匠出願動向への影響分析 日本、米国、欧州、韓国、中国の意匠制度の違いによる意匠出願動向への影響の要因とし ては、①審査制度の違い、②保護対象の違い、③出願態様の違いなどが考えられる。 ①審査制度の違い、即ち実体審査を行っているかどうかについては、実体審査を行う日本及 び米国と、実体審査を行わない欧州及び中国とでは、総じて実体審査を行う日本及び米国 の出願の方が少ない傾向にある。一方、韓国では、一部の物品に対して無審査登録制度を、 その他の物品に対して審査登録制度を適用している。両者の出願件数に際立った差異はな いが、無審査登録制度の対象物品の出願は比較的多い傾向にある。 ②保護対象の違いによる出願動向への影響については、米国、欧州ではアイコンやグラフィ ックシンボル、タイプフェイスの保護も意匠制度で行っており、韓国では物品の一部分、 記録や標識等に使用されるための一組の書体(フォント)、「物品の液晶画面等の表示部に 表示される図形等」と定義される画像デザイン(GUI(Graphical User Interface)、アイコ ン、グラフィックイメージ等)も保護対象になるが、出願件数がそれぞれの国、地域で少 ないことから、影響は小さいと考えられる。 ③出願態様の違いとしては、日本は一意匠一出願であり、自己の本意匠に類似する関連意匠 を出願することができる関連意匠制度が存在するのに対し、米国は一意匠一出願ながら運 用により一出願の中に物品名を複数記述することが許されている。一方、欧州共同体意匠 規則では多意匠一出願としている。韓国は審査登録制度では一デザイン一デザイン登録出 願が原則であるが、無審査登録制度では物品区分上同じ大分類に属する物品について 20 以内のデザインを一デザイン登録出願とすることができる。中国は一意匠一出願が原則で ある。それぞれの制度に出願人にとってのメリット、デメリットがあり、単純に比較する ことはできないが、出願態様の違いによる出願動向への影響はあると考えられる。 以上を踏まえると、五極の意匠制度と意匠出願動向との関連について、概ね次のようなこ とが言える。 日本は、2007 年 4 月 1 日以降の出願から保護範囲が拡充されており、出願件数が増加す る要素はあるものと考えられる。 米国は、商標法によるトレードドレスでの保護などが意匠権取得の要否に影響を及ぼして いると考えられ、このことが他の四極(日本、欧州、韓国、中国)に比べて意匠出願件数が 少ない理由の一つと見られる。 欧州は、実体審査が行われないことや多意匠一出願が活用されていることなどにより、意 匠出願件数が増加する要素はあるものと考えられる。 韓国は、2007 年 1 月 3 日公布の改正デザイン保護法により、無審査登録出願されたデザ インであっても、工業上利用することができないもの又は公知のものから容易に創作するこ とができるものには、デザイン登録拒絶決定をしなければならないことになった。今後この 法改正が無審査登録出願に影響を及ぼす可能性はあり得る。 − 24 − 中国は、意匠出願件数が 2006 年には 20 万件を超えた。この件数自体、他の四極(日本、 米国、欧州、韓国)に比べて突出しているが、特徴的なのは、このうち非職務出願件数が約 12.5 万件で約 62%を占めていることである。ここ数年の意匠出願件数の著しい増加は、非 職務出願件数の増加によっているとも言えるが、その背景や要因について、中国国家知識産 権局は 2007 年 8 月 21 日付けの専利統計簡報の中で次のように分析している。 ・改革開放の浸透及び市場化程度の向上につれ、中国経済建設における専利制度の役目が日 増しに現れ、イノベーションを奨励するための主要な制度になりつつある。 ・長年の持続的な努力を経て、知的財産権意識が更に普及され、より多くの人々は、専利制 度を運用して自らの知恵成果を保護するようになった。 ・各級地方政府が専利への奨励システムを構築し、専利出願に対する助成又は奨励を強化し た。 ・一部の民営企業や研究機関による発明は、企業主又は研究開発者個人の名義で専利を出願 している。 中国国家知識産権局が指摘した以上の点に加えて、 ・中国では、デザインは専ら専利法における意匠特許権として保護されている。著作権法、 商標法及び不正競争防止法による保護は部分的であり、新たに創作されるデザインの保護 には適さない。従って、模倣品対策などのデザイン保護のため意匠特許権を得ることが重 要視されている。 ・無審査登録制度により、出願すれば方式審査のみが行われ実体審査は行われずに意匠特許 権が得られるため、出願行動が増える傾向にある。 などの点も挙げられるが、実際にはこれらの要因が相互に関連して生じている現象と考えら れる。 − 25 − 2.輸出額と意匠登録数 第 4-2 図に五極から中国を除いた日本、米国、欧州、韓国の四極相互の輸出額と意匠登録 数を示す。 楕円で囲んだ日本及び欧州国籍出願人による米国での意匠登録数が、輸出額が多い割には 少ないことが特徴的である。これも昨年度の調査で指摘されたことであり、前述の米国商標 法によるトレードドレスの保護や意匠の出願態様の影響と考えられる。これ以外は輸出金額 と意匠登録数は国によらず、ほぼ同一の直線的な関係で表されることが分かる。 第 4-3 図に日本、米国、欧州、韓国から中国への輸出額と意匠登録数、第 4-4 図に中国か ら日本、米国、欧州、韓国への輸出額と意匠登録数をそれぞれ示す。これら二つの図と第 4-2 図を比較すると、中国の特徴的な状況が明らかとなる。すなわち、第 4-2 図の日米欧韓四極 相互の輸出金額と意匠登録数の関係を基準とすると、第 4-3 図の日米欧韓四極の国籍出願人 による中国での意匠登録数は輸出金額に比較して多く、逆に第 4-4 図の中国国籍出願人によ る四極での意匠登録数は輸出金額に比較して少ない。これは、日米欧韓四極の国籍出願人は 中国企業による模倣を警戒して多数の意匠登録をしているのに対し、中国国籍出願人は他国 への意匠登録にはあまり関心がないことを示していると考えられる。 −27− 第 4-2 図 日米欧韓相互の輸出額と意匠登録数(2006 年) 7000 他国への意匠登録数 6000 凡例 (第4-2∼4図に共通) 出願先/輸出先 ○:日本 □:米国 △:欧州 *:韓国 ◇:中国 米⇒欧 5000 4000 3000 欧⇒米 日⇒米 日⇒欧 2000 1000 0 韓⇒欧 日⇒韓 欧⇒日 米⇒韓 米⇒日 欧⇒韓 韓⇒米 韓⇒日 0 50 100 150 200 250 300 他国への輸出金額(10億ドル) 第 4-3 図 日米欧韓から中国への輸出額と意匠登録数(2006 年) 7000 他国から中国への意匠登録数 6000 5000 4000 日⇒中 3000 欧⇒中 2000 米⇒中 1000 韓⇒中 0 0 50 100 150 200 250 300 他国から中国への輸出金額(10億ドル) 第 4-4 図 中国から日米欧韓への輸出額と意匠登録数(2006 年) 7000 中国から他国への意匠登録数 6000 5000 4000 3000 2000 中⇒欧 1000 中⇒米 中⇒日 中⇒韓 0 0 50 100 150 200 中国から他国への輸出金額(10億ドル) −28− 250 300 出願人国籍、輸出元 ●:日本 ●:米国 ●:欧州 ●:韓国 ●:中国 第2節 商習慣と意匠出願動向 1.耐久消費財の平均使用年数と意匠出願動向 第 4-5 図は 2007 年に発表された日本における耐久消費財の平均使用年数 2 と意匠登録数の 関係を示したものである。個人で所有すると考えられる物品(携帯電話、デジタルカメラ、 パソコン)を白抜きの記号で示し、それ以外は 1 戸単位で所有すると考えられる物品である。 なお、DVDプレーヤー・レコーダーは両者の中間に属すると考えられる。 この 1 戸単位で所有すると考えられる物品のうち、電気掃除機と電気洗濯機は、家事にお いて義務として使用する物品であり、一般に団欒の場では目に入らず、かつ比較的低価格で ある。冷蔵庫も家事に関する物品であるが、オープンキッチンが多い最近の日本では、団欒 の場で視界に入ることが多い。このように考えるならば、電気掃除機と電気洗濯機は、それ 以外の乗用車、カラーテレビ、ルームエアコン、電気冷蔵庫とは異なる性格の物品とみなす ことができる。 第 4-5 図には、図中の物品を上記のように分類した上で、それぞれの傾向を示す線を記入 した。このような分類が妥当とすれば、それぞれにおいて平均使用年数が短いほど、意匠登 録数が多いということができる。 但し、これは限られたデータに基づく結果であり、意匠登録数にはその他、様々な要因も 影響すると予想される。 第 4-5 図 日本における耐久消費財の平均使用年数と意匠登録数 1000 日本における意匠登録数 800 乗用車(新車) 600 DVDプレーヤー ・レコーダー 携帯電話 400 ルームエアコン デジタルカメラ 電気冷蔵庫 200 電気洗濯機 パソコン 電気掃除機 0 0 2 カラーテレビ 2 4 6 8 平均使用年数(年) 10 12 消費動向調査(全国、月次)平成 19 年 3 月実施調査結果, 2007 年 4 月内閣府経済社会総合研究所 景気統計部 −29− 2.消費者の物品選択基準と意匠出願動向 日本の消費者が耐久消費財購入時にデザインを重視する割合と意匠登録数の関係を第 4-6 図に示す。これはデザインを含む 9 項目から重視する 2 項目を選択する、2005 年のアンケ ート結果 3 に基づくデータである。図から明らかなように、デザイン重視の消費者比率が高 い物品ほど、意匠登録数が多い。 図中の直線は大部分の物品を包含する範囲を示すが、エアコンだけがその範囲から逸脱し て意匠登録数が多い。これは、1 戸単位で所有する家電製品の普及率 4 が、カラーテレビ、 冷蔵庫、洗濯機、掃除機は 98%以上に対し、エアコンは 88%強と一段低く、また最近は家 庭におけるエアコンの各室設置が進みつつあり、価格も高いことから、企業にとって魅力あ る商品であることが理由の可能性がある。実際、第 4-6 図中の他の家電製品である冷蔵庫の 2006 年の国内出荷台数が 430 万台弱であるのに対し、家庭用エアコンは約 760 万台と格段 に多い 5 。これらが企業にとって意匠出願促進の動機となると考えられる。 携帯電話とポータブルオーディオは第 4-6 図の 2 本の直線範囲内にあるが、その中では意 匠登録数が少ない。 第 4-6 図 日本における消費者の耐久消費財商品選択基準と意匠登録数 1000 日本における意匠登録数 800 乗用車 600 携帯電話 エアコン 400 デジタルカメラ 200 パソコン ポータブル オーディオ 冷蔵庫 ゲーム機 0 0 3 4 5 5 10 15 20 25 30 デザインを重視する消費者の割合(%) 35 40 「ライフサイクル循環モデルシステムに関する調査研究 報告書 要旨」, 財団法人 機械システム振興協会(委 託先 財団法人 製造科学技術センター), 2005 年 3 月(URL:http://www.mstc.or.jp/inverse/ houkokusyo/houkokusyomokuji.htm) 内閣府経済社会総合研究所景気統計部(URL:http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html) カラーテレビ、冷蔵庫、洗濯機、掃除機は 2004 年 3 月の消費動向調査、エアコンは 2007 年 3 月の消費動向 調査による。 電子機器年鑑 2008, 中日社, 2007 年 10 月 12 日 −30− 第5章 第1節 意匠出願動向予測 全体動向予測 日本(JPO)における 1997∼2006 年の意匠登録数推移を第 5-1 図に、日本(JPO)、米国 (USPTO)、欧州(OHIM)、韓国(KIPO)、中国(SIPO)における 2003∼2006 年の出願 先国別の意匠登録数推移を第 5-2 図に示す。なお、OHIM への直接出願が可能となったのは 2003 年 4 月 1 日からであるため、2003 年の欧州の意匠登録数は 1 年分の意匠登録数でない ことに注意を要する。 日本での意匠登録数は 2002∼2005 年にかけて現状維持で推移してきたが、その後やや減 少しており、2006 年の意匠登録数は 29,689 件(2005 年比−9.0%)となっている。五極の 中では 2005 年に米国での意匠登録数が比較的大きく減少しているが、2006 年にはそれ以上 に大きく回復しており、2005 年から 2006 年にかけて減少傾向を示しているのは日本のみと なっている。2006 年の米国での意匠登録数は 19,072 件(2005 年比+42.4%)、同欧州での 意匠登録数は 69,584 件(2005 年比+2.5%)、同韓国での意匠登録数は 34,210 件(2005 年 比+0.6%)、同中国での意匠登録数は 102,561 件(2005 年比+26.1%)と、特に中国、米国 での意匠登録数の増加が著しい。欧州についても、OHIM への直接出願が可能となった 2003 年から翌年の 2004 年にかけての意匠出願件数の増加は顕著であったが、年を経る毎に徐々 に意匠出願件数の増加率は低下しており、それが意匠登録数の増加率の低下に影響を及ぼし ていると考えられる。韓国については 2004 年以降、意匠出願件数の増加率は 10%前後(前 年比)であるのに、2005 年から 2006 年にかけての意匠登録数の増加率は+0.6%に留まっ ている。中国については意匠登録数においても意匠出願件数同様の高い増加率を維持してい る。五極全体で見れば、中国の増加傾向の影響を大きく受けて、2006 年の意匠登録数は 255,116 件(2005 年比+11.3%)となっている。このことから今後の出願(登録)動向を予 測するならば、日本では意匠出願件数同様、増減率数%の現状維持、韓国では増加率数%で 増加、実体審査を行わない欧州、中国では意匠出願件数の動向が登録処理期間の時間遅れを もって表れてくると考えられるため、欧州では増加率数%で増加、中国では増加率 20%前後 で増加すると思われる。五極全体では増加率 10%前後で増加傾向が続くと思われる。なお、 米国については 2005 年以降の増減が大きいため、予測することが難しいが、五極の中では 意匠登録数が少ないため、五極全体の動向を大きく左右する可能性は少ないと考えられる。 ただし、あくまで推測の域を出ないものである。 −31− 第 5-1 図 45,000 40,000 日本における意匠登録数推移 41,355 37,418 35,000 39,234 40,037 32,633 31,342 36,264 30,000 登 録 25,000 件 20,000 数 15,000 32,681 31,503 29,689 10,000 5,000 0 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 登録年 出典:「特許行政年次報告書 2007 年版」 2007 年 7 月 20 日,(社)発明協会 第 5-2 図 出願先国別の意匠登録数推移 300,000 250,000 200,000 五極全体 日本 米国 欧州 韓国 中国 登 録 150,000 件 数 100,000 50,000 0 2003年 2004年 2005年 2006年 登録年 出願先国 2003年 増減率 2004年 増減率 2005年 増減率 2006年 五極全体 200,854 3.7% 208,254 10.1% 229,249 11.3% 255,116 日本 31,342 4.3% 32,681 -0.1% 32,633 -9.0% 29,689 米国 16,525 0.0% 16,533 -19.0% 13,395 42.4% 19,072 欧州 54,714 5.6% 57,764 17.5% 67,881 2.5% 69,584 韓国 28,380 9.3% 31,021 9.6% 33,991 0.6% 34,210 中国 69,893 0.5% 70,255 15.8% 81,349 26.1% 102,561 出典:「特許行政年次報告書 2007 年版」 2007 年 7 月 20 日,(社)発明協会 −32− 第2節 分野別動向予測 1. 出願先国別の意匠登録推移 (ロカルノ分類別) 日本(JPO)、米国(USPTO)、欧州(OHIM)、韓国(KIPO)、中国(SIPO)のデータベ ースを利用した検索データによる 2003∼2006 年の出願先国別の意匠登録数推移をロカルノ 分類別に示したものが第 5-3 図である。なお、OHIM への直接出願が可能となったのは 2003 年 4 月 1 日からであるため、2003 年の欧州での意匠登録数は 1 年分の意匠登録数でないこ とに注意を要する。 日本での意匠登録数は、2006 年時点では、クラス 14(記録、通信又は情報検索の機器) 3,082 件(2003 年比−11.6%)、クラス 08(工具及び金物類)2,755 件(2003 年比+22.3%)、 クラス 06(家具)2,629 件(2003 年比−0.8%)の順に多く、上位 3 クラスの 2003∼2006 年における推移ではいずれも大きな増減はない。 米国での意匠登録数は、2006 年時点では、クラス 14(記録、通信又は情報検索の機器) 2,427 件(2003 年比+44.0%)、クラス 23(流体供給装置、衛生用、暖房用、換気用及び空 調用の機器、固体燃料)1,634 件(2003 年比+85.5%)、クラス 12(輸送又は引き揚げの手 段)1,588 件(2003 年比+31.1%)の順に多く、上位 3 クラスの 2003∼2006 年における推 移ではいずれも 30%以上の増加率を示している。 欧州での意匠登録数は、2006 年時点では、クラス 06 ( 家具)7,636 件(2003 年比+158.8%)、 クラス 02(衣料品及び小間物類)6,017 件(2003 年比+293.0%)、クラス 09(商品の輸送 又は取扱のためのパッケージ及び容器)4,302 件(2003 年比+69.4%)の順に多く、上位 3 クラスの 2003∼2006 年における推移ではいずれも非常に高い増加率を示しているが、この 理由には 2003 年の欧州での意匠登録数は 1 年分の意匠登録数でないこと、OHIM への直接 出願が可能となった 2003 年 4 月からまだ日が浅く、過渡的な意匠登録数の増加傾向がある ことが考えられる。 韓国での意匠登録数は、2006 年時点では、クラス 06( 家具)3,380 件(2003 年比+29.7%)、 クラス 14(記録、通信又は情報検索の機器)2,959 件(2003 年比+24.1%)、クラス 26(照 明機器)2,391 件(2003 年比+90.5%)の順に多く、上位 3 クラスの 2003∼2006 年におけ る推移ではクラス 26(照明機器)の増加率の高さが目立っている。 中国での意匠登録数は、2006 年時点では、クラス 09(商品の輸送又は取扱のためのパッ ケージ及び容器)13,427 件(2003 年比−0.2%)、クラス 06(家具)9,938 件(2003 年比+ 82.3%)、クラス 14(記録、通信又は情報検索の機器)6,836 件(2003 年比+39.4%)の順 に多く、上位 3 クラスの 2003∼2006 年における推移ではクラス 06(家具)の増加率の高さ が目立っている。 五極全体での意匠登録数は、2006 年時点では、クラス 06(家具)25,084 件(2003 年比+ 66.1%)、クラス 09(商品の輸送又は取扱のためのパッケージ及び容器)22,707 件(2003 年 比+16.0%)、クラス 14(記録、通信又は情報検索の機器)19,483 件(2003 年比+42.4%) の順に多く、上位 3 クラスの 2003∼2006 年における推移ではクラス 06(家具)、クラス 14 (記録、通信又は情報検索の機器)が 40%以上の増加率を示している。 −33− 第 5-3 図 出願先国:日本 ロカルノ分類による出願先国別意匠登録数推移 出願先国:米国 出願先国:欧州 出願先国:韓国 出願先国:中国 出願先国:五極 2003年 2004年 2005年 2006年 2003年 2004年 2005年 2006年 2003年 2004年 2005年 2006年 2003年 2004年 2005年 2006年 2003年 2004年 2005年 2006年 クラス01 食料品 クラス02 衣料品及び小間物類 クラス03 旅行用品、ケース、パラソル及び身の回り 品、他で明記されていないもの クラス04 ブラシ製品 クラス05 繊維製品、人造及び天然のシート材料 クラス06 家具 クラス07 家庭用品、他で明記されていないもの クラス08 工具及び金物類 クラス09 クラス10 − 34 − 装飾用品 クラス12 輸送又は引き揚げの手段 クラス13 電気の発電、供給又は変流のための器具 クラス14 記録、通信又は情報検索の機器 クラス15 機械、他で明記されていないもの クラス16 写真撮影機器、映画撮影機器及び光学機器 クラス17 楽器 クラス18 印刷機及びオフィス用機械 クラス19 文房具及びオフィス用機器、画家の材料及び 教材 クラス20 販売及び広告機器、表示具 クラス21 ゲーム、玩具、テント及びスポーツ用品 クラス23 武器、火薬製品、狩猟、漁猟及び害獣駆除の ための物品 流体供給装置、衛生用、暖房用、換気用及び 空調用の機器、固体燃料 クラス24 医療器具及び実験室器具 クラス25 建築ユニット及び建設部材 クラス26 照明機器 クラス27 煙草及び喫煙者の消耗品 クラス28 医薬品及び化粧品、化粧用品及び化粧道具 クラス29 火災防止用、事故防止用及び救援用の装置及 び器具 クラス30 動物の世話及び扱い用の物品 クラス31 飲食物を調理するための機械及び器具、他に 明記されていないもの クラス99 その他 54 60 56 36 118 86 122 1195 1050 1207 1168 614 644 539 978 1531 1014 1197 958 481 457 417 623 426 140 162 209 212 55 86 88 373 220 196 145 164 196 727 709 965 931 22 2651 1711 2253 1712 1444 372 2896 1734 2600 2739 1323 2544 2232 1630 424 1925 1648 443 2629 1446 1459 1123 2950 1501 1507 1021 913 741 1181 2755 2227 1462 420 1094 978 1026 749 726 776 65 161 133 157 1193 1700 1025 797 1134 1244 3584 4644 5375 624 573 362 405 1476 1447 1263 1507 1587 214 1152 2606 3385 1404 4302 198 2097 187 2314 3773 4448 5504 9251 11477 12178 13540 2591 2105 2638 2926 3948 8774 11113 11803 12954 13459 12779 12495 13427 19573 21657 21306 22707 2765 2520 2962 2951 2058 2257 2644 884 1610 1781 1006 858 816 1039 2805 1246 1685 2427 3373 2858 1220 2885 4179 1538 1207 1415 859 982 1219 873 1718 1273 583 438 889 368 1022 1266 1680 465 335 333 443 257 723 821 899 49 36 45 64 18 51 75 85 29 37 174 144 87 318 80 442 242 255 50 45 560 1080 189 3444 1274 190 2959 1158 1138 47 34 119 117 145 37 236 337 299 911 851 399 434 380 396 827 1420 1620 1603 724 812 991 1167 337 168 118 114 131 358 1074 932 1012 138 101 129 127 1261 1116 871 1270 769 683 593 1965 532 620 695 481 231 212 172 153 180 148 145 84 147 122 90 1915 881 774 826 1283 1555 1468 1320 327 456 339 364 1715 2998 2747 1255 1608 2102 2391 2226 694 2555 2277 844 2264 2111 810 2412 677 1634 1369 561 447 299 434 481 1671 344 343 309 307 871 698 772 673 491 861 884 2288 230 3568 2484 143 4343 775 126 4129 1024 2919 1093 2926 2494 2938 4000 3996 525 2845 352 4212 345 343 1129 810 6025 756 269 320 5219 56 63 61 71 58 105 100 474 337 396 368 224 368 203 4 4 15 22 91 112 64 135 26 71 77 112 5 6 4 8 50 42 32 30 56 121 108 133 167 147 163 232 319 25 13 14 20 137 9205 9417 1432 7315 1099 12314 2768 9909 9662 2265 6441 908 9971 882 4232 640 747 330 605 3441 2770 67 8580 267 2873 81 7230 400 6465 405 6906 7954 19483 118 2608 842 7522 17735 2683 362 4185 6448 16156 11933 2745 4766 674 230 5760 5807 10394 2382 3132 2763 686 7847 10542 6018 642 3791 7733 6573 2124 709 644 4140 705 4424 2318 567 1038 3860 49 258 61 3095 2598 5352 7807 6330 13680 6836 699 1399 3176 2653 6189 550 6022 7212 5193 8162 5234 594 328 984 2408 4164 2372 5387 6187 3325 2160 198 351 1233 190 3740 2285 4904 243 1034 2001 3202 1180 2846 2385 20308 1478 998 1189 25084 4003 1474 836 2484 8089 22585 2110 766 1143 6489 5571 15104 2424 2560 3781 9938 1788 861 3637 5042 1229 7133 1699 875 2061 6135 6076 3380 2612 424 2979 5451 3290 1906 2243 2744 1588 434 4329 1736 920 1538 995 42 2803 1347 932 1013 33 3874 2963 2592 942 12489 1242 649 570 89 3556 934 9826 1083 674 1381 52 3151 1112 802 8405 1026 432 496 619 7636 593 1241 492 1211 541 8300 223 1059 319 649 584 6492 287 222 754 224 1190 269 96 526 1721 1013 264 1063 108 345 1046 1273 1297 106 493 1937 1429 82 318 1318 1602 396 1123 1273 1654 3082 441 6017 1544 324 4287 2540 1737 3456 1350 778 1590 3347 5138 4277 1343 1336 3486 397 302 168 898 商品の輸送又は取扱のためのパッケージ及び 容器 時計、携帯時計及びその他の計測器具、検査 器貝及び信号器具 クラス11 クラス22 38 2003年 2004年 2005年 2006年 1167 10042 2075 2363 7406 851 12933 3208 7832 879 14217 3314 3450 12064 12979 13687 8663 11072 12178 6351 202 362 20 30 56 23 433 364 409 491 695 762 781 1044 598 634 511 540 608 536 823 928 920 984 2338 3223 2824 2859 46 148 146 176 239 308 423 124 142 296 472 440 551 858 584 574 665 880 950 1107 365 291 1020 2289 35 54 54 230 53 54 44 57 38 137 188 93 107 66 95 78 96 43 48 510 1718 2601 169 2697 93 182 89 80 77 446 546 147 153 124 157 221 3228 3255 2.分野別動向予測(ロカルノ分類別) 第 5-3 図に基づいて、日本(JPO)、米国(USPTO)、欧州(OHIM)、韓国(KIPO)、中 国(SIPO)の出願先国別、また、ロカルノ分類別に、2003∼2004 年の意匠登録数増減率、 2004∼2005 年の意匠登録数増減率、2005∼2006 年の意匠登録数増減率を算出し、それらの 意匠登録数増減率を 9 水準のランク(点数)を付けて評価した。第 5-4 表に意匠登録数増減 率の評価基準を、第 5-5 表にロカルノ分類に関する出願先国別の意匠登録数増減率評価表を、 第 5-6 図にロカルノ分類に関する出願先国別の意匠登録数増減率評価図を示す。この結果を 用いて、2003∼2006 年の出願動向と変わらないと仮定した場合の今後の出願動向を出願先 国別、ロカルノ分類別に予測、分析した。なお、以下の分析において、出願先国別に意匠登 録数が今後増加する可能性があるロカルノ分類と意匠登録数が今後減少する可能性があるロ カルノ分類を列挙しているが、第 5-4 表に示す評価基準の閾値の設定によって、評価点は変 動するため、ここでは評価点を相対評価し、五極においてプラス側に最も高いものを意匠登 録数が今後増加する可能性があるものとし、マイナス側に最も低いものを意匠登録数が今後 減少する可能性があるものとした。 第 5-4 表 意匠登録数増減率の評価基準 過去 3 年間の増減率 過去 3 年間各年 評価点 (G) の増減率 毎年増加 4 G ≥ 40% 年により増減 3 毎年増加 2 40% > G ≥ 10% 年により増減 1 10% > G ≥ −10% − 0 年により増減 −1 −10% > G ≥−40% 毎年減少 −2 年により増減 −3 −40% > G 毎年減少 −4 注)過去 3 年間の増減率(G)とは、ここでは 2006 年における 2003 年比の意匠登録数増減率。 この結果によれば、日本での意匠登録数が今後増加する可能性があるのは、評価点 4 であ るクラス 01(食料品)であり、反対に日本での意匠登録数が今後減少する可能性があるのは、 評価点−2 であるクラス 15(機械、他で明記されていないもの)、クラス 16(写真撮影機器、 映画撮影機器及び光学機器)、クラス 22(武器、火薬製品、狩猟、漁猟及び害獣駆除のため の物品)となる。 同様に、米国での意匠登録数が今後増加する可能性があるのは、クラス 05(繊維製品、人 造及び天然のシート材料)となり、米国での意匠登録数が今後減少する可能性があるものは クラス 25(建築ユニット及び建設部材)となる。 欧州での意匠登録数が今後増加する可能性があるのは、クラス 01(食料品)、クラス 02(衣 料品及び小間物類)、クラス 07(家庭用品、他で明記されていないもの)、クラス 10(時計、 携帯時計及びその他の計測器具、検査器貝及び信号器具)、クラス 13(電気の発電、供給又 は変流のための器具)、クラス 14(記録、通信又は情報検索の機器)、クラス 15(機械、他 で明記されていないもの)、クラス 16(写真撮影機器、映画撮影機器及び光学機器)、クラス − 35 − 17(楽器)、クラス 24(医療器具及び実験室器具)、クラス 29(火災防止用、事故防止用及 び救援用の装置及び器具)、クラス 30(動物の世話及び扱い用の物品)、クラス 99(その他) であり、今後減少する可能性があるものはデータからは推測できない。なお、欧州において、 評価点が高いクラスが多く存在する理由には、2003 年の欧州の意匠登録数は 1 年分の意匠 登録数でないこと、OHIM への直接出願が可能となった 2003 年 4 月からまだ日が浅く、過 渡的な意匠登録数の増加傾向が強く影響していることが考えられる。 韓国での意匠登録数が今後増加する可能性があるのは、クラス 11(装飾用品)、クラス 19 (文房具及びオフィス用機器、画家の材料及び教材)、クラス 26(照明機器)となり、韓国 での意匠登録数が今後減少する可能性があるものはクラス 04(ブラシ製品)、クラス 31(飲 食物を調理するための機械及び器具、他に明記されていないもの)となる。 中国での意匠登録数が今後増加する可能性があるのは、クラス 05(繊維製品、人造及び天 然のシート材料)、クラス 06(家具)、クラス 08(工具及び金物類)、クラス 12(輸送又は 引き揚げの手段)、クラス 15(機械、他で明記されていないもの)であり、今後減少する可 能性があるものはデータからは推測できない。 さらに、五極全体で評価すると、ロカルノ分類全 32 クラスの内、15 のクラスで評価点 4 となり、意匠登録数が今後増加する可能性があるものとなった。この結果は、2003 年 4 月 に OHIM への直接出願が可能となった過去 3 年間の欧州での意匠登録数の増加傾向が強く影 響しているものであるが、至近の 1∼2 年では急増した反動で減少しているクラスもあるた め、今後の動向を注視する必要がある。また、意匠登録数が今後減少する可能性があるもの は評価点−2 のクラス 04(ブラシ製品)となった。先にも述べたが、あくまで上記仮定に基 づく予測で推測の域を出ないものであることに注意を要する。 − 36 − 第 5-5 表 ロカルノ 分類 − 37 − クラス01 クラス02 クラス03 クラス04 クラス05 クラス06 クラス07 クラス08 クラス09 クラス10 クラス11 クラス12 クラス13 クラス14 クラス15 クラス16 クラス17 クラス18 クラス19 クラス20 クラス21 クラス22 クラス23 クラス24 クラス25 クラス26 クラス27 クラス28 クラス29 クラス30 クラス31 クラス99 全体 クラス01 クラス02 クラス03 クラス04 クラス05 クラス06 クラス07 クラス08 クラス09 クラス10 クラス11 クラス12 クラス13 クラス14 クラス15 クラス16 出願先国:日本 2003 2004 2005 評価 ∼ ∼ ∼ 点 2004 2005 2006 年 年 年 42% 4% 7% 4 -12% 15% -3% 0 13% 18% -20% 0 -11% -26% 13% -1 -2% 36% -4% 1 9% -5% -4% 0 1% -24% 14% -1 15% -2% 8% 1 30% -14% 16% 1 13% 1% -11% 0 14% 4% -5% 1 24% -20% -21% -1 9% 12% -11% 0 -4% 3% -11% -1 -11% -11% -20% -2 -6% -7% -20% -2 71% -63% 27% -1 148% -17% 18% 3 13% -35% -7% -1 35% -21% 31% 1 -11% -22% 46% 0 -8% -19% -11% -2 2% -7% -9% -1 22% -4% -16% 0 -11% 7% -31% -1 19% 54% -33% 1 -17% -16% 13% -1 58% -26% -29% -1 0% 275% 47% 3 -24% -6% 87% 1 54% 0% 326% 3 15% -38% 44% 0 6% -4% -6% 0 ロカルノ分類に関する出願先国別の意匠登録数増減率評価表 出願先国:米国 2003 2004 2005 評価 ∼ ∼ ∼ 点 2004 2005 2006 年 年 年 228% -27% 42% 3 5% -16% 81% 3 -5% -9% 49% 1 -29% 16% 29% 0 150% 56% 2% 4 1% -23% 34% 0 -11% -19% 59% 1 -6% -29% 85% 1 -23% 4% 64% 1 7% -6% 37% 1 8% -8% 35% 1 14% -27% 57% 1 -24% 15% 75% 3 2% -26% 91% 3 4% -25% 103% 3 -28% -1% 33% 0 -27% 25% 42% 1 -17% -40% 266% 3 9% -12% 4% 0 -30% -3% 15% -1 -11% -13% 66% 1 -18% -2% 31% 0 -12% 7% 98% 3 -20% -33% 45% -1 0% -10% -1% -2 -13% -27% 75% 1 16% -18% 81% 3 -7% -39% 64% 0 23% -43% 111% 3 -11% 23% 26% 1 2% -19% 30% 0 23% -55% 12% -1 -5% -17% 62% 1 出願先国:欧州 2003 2004 2005 評価 ∼ ∼ ∼ 点 2004 2005 2006 年 年 年 80% 31% 11% 4 179% 20% 17% 4 217% 14% -16% 3 53% 22% -33% 1 201% -5% 12% 3 120% 28% -8% 3 183% 13% 9% 4 233% 14% -5% 3 69% 1% -1% 3 137% 10% 5% 4 194% -5% -7% 3 193% -3% 16% 3 103% 33% 4% 4 134% 18% 24% 4 178% 24% 33% 4 181% 14% 10% 4 183% 47% 13% 4 453% -45% 5% 3 72% 14% -1% 3 200% -13% 9% 3 121% 9% -21% 3 277% -38% -12% 3 161% 22% -5% 3 61% 32% 7% 4 235% -15% 17% 3 232% 36% 0% 3 130% -12% 79% 3 268% -20% 6% 3 173% 8% 45% 4 11% 42% 38% 4 261% 37% -10% 3 237% 51% 4% 4 152% 13% 3% 4 食料品 衣料品及び小間物類 旅行用品、ケース、パラソル及び身の回り品、他で明記されていないもの ブラシ製品 繊維製品、人造及び天然のシート材料 家具 家庭用品、他で明記されていないもの 工具及び金物類 商品の輸送又は取扱のためのパッケージ及び容器 時計、携帯時計及びその他の計測器具、検査器貝及び信号器具 装飾用品 輸送又は引き揚げの手段 電気の発電、供給又は変流のための器具 記録、通信又は情報検索の機器 機械、他で明記されていないもの 写真撮影機器、映画撮影機器及び光学機器 出願先国:韓国 2003 2004 2005 評価 ∼ ∼ ∼ 点 2004 2005 2006 年 年 年 29% 2% -11% 1 17% 0% 8% 2 36% 6% -15% 1 -4% -7% -6% -2 82% 10% -3% 3 30% -3% 3% 1 36% 11% -30% 0 10% 17% -20% 0 82% 11% -17% 3 19% 1% -15% 0 7% 27% 20% 4 -22% 17% -17% -1 14% 24% -28% 0 19% 21% -14% 1 18% -9% -2% 0 1% 85% -44% 0 28% 27% -28% 1 -10% 9% -24% -1 12% 22% 18% 4 -27% 28% -2% 0 17% 12% -31% 0 75% -17% -26% 0 21% -6% -10% 0 39% -26% 7% 1 60% 9% -23% 1 28% 31% 14% 4 50% 87% -59% 1 6% 13% -12% 0 20% -33% 100% 3 -48% 8% 43% -1 -4% -10% -4% -2 -19% 4% -19% -1 25% 10% -10% 1 クラス17 クラス18 クラス19 クラス20 クラス21 クラス22 クラス23 クラス24 クラス25 クラス26 クラス27 クラス28 クラス29 クラス30 クラス31 クラス99 出願先国:中国 2003 2004 2005 評価 ∼ ∼ ∼ 点 2004 2005 2006 年 年 年 -17% 29% -22% -1 -31% 42% 75% 3 -22% 42% 10% 1 -8% -37% 12% -1 5% 30% 76% 4 11% 17% 39% 4 -6% 18% 24% 1 2% 11% 35% 4 -5% -2% 7% 0 -9% 18% 0% 0 -29% 8% 54% 1 17% 11% 26% 4 4% 12% 20% 2 10% 15% 10% 2 8% 19% 25% 4 -7% 27% 1% 1 -2% 24% -19% 0 43% -11% 34% 3 -11% 8% 5% 0 23% 0% 18% 3 -8% 6% 13% 1 3% -26% 19% 0 -2% 1% 25% 1 -3% 23% 5% 1 -14% 26% 36% 3 -4% 24% 23% 3 -16% 12% 20% 1 13% -1% 7% 1 -8% 222% -1% 3 -9% 15% 108% 3 22% 7% -2% 1 41% 65% -20% 3 -3% 12% 22% 1 出願先国:五極全体 2003 2004 2005 評価 ∼ ∼ ∼ 点 2004 2005 2006 年 年 年 35% 16% 1% 4 37% 17% 27% 4 30% 16% -6% 3 -2% -13% -3% -2 47% 16% 25% 4 34% 11% 11% 4 24% 6% 11% 4 4 27% 6% 10% 11% -2% 7% 1 17% 8% -1% 1 22% 4% 19% 4 29% -1% 15% 3 11% 17% 6% 2 18% 10% 10% 4 15% 5% 19% 4 12% 15% -2% 1 24% 5% -1% 1 87% -28% 44% 3 2% 3% 4% 0 58% -8% 14% 3 14% 1% 6% 2 21% -23% 3% 0 23% 5% 10% 4 16% 3% 4% 2 22% 8% 5% 2 36% 28% 10% 4 10% 2% 34% 4 38% -12% 1% 1 36% 29% 37% 4 -7% 25% 56% 3 32% 8% 17% 4 124% 41% 1% 4 23% 7% 10% 4 楽器 印刷機及びオフィス用機械 文房具及びオフィス用機器、画家の材料及び教材 販売及び広告機器、表示具 ゲーム、玩具、テント及びスポーツ用品 武器、火薬製品、狩猟、漁猟及び害獣駆除のための物品 流体供給装置、衛生用、暖房用、換気用及び空調用の機器、固体燃料 医療器具及び実験室器具 建築ユニット及び建設部材 照明機器 煙草及び喫煙者の消耗品 医薬品及び化粧品、化粧用品及び化粧道具 火災防止用、事故防止用及び救援用の装置及び器具 動物の世話及び扱い用の物品 飲食物を調理するための機械及び器具、他に明記されていないもの その他 第 5-6 図 ロカルノ分類に関する出願先国別の意匠登録数増減率評価図 出願先国:日本 -4 -3 -2 -1 評価点 0 1 出願先国:米国 2 3 4 − 38 − クラス01 クラス02 クラス03 クラス04 クラス05 クラス06 クラス07 クラス08 クラス09 クラス10 クラス11 クラス12 クラス13 クラス14 クラス15 クラス16 クラス17 クラス18 クラス19 クラス20 クラス21 クラス22 クラス23 クラス24 クラス25 クラス26 クラス27 クラス28 クラス29 クラス30 クラス31 クラス99 全体 クラス01 クラス02 クラス03 クラス04 クラス05 クラス06 クラス07 クラス08 クラス09 クラス10 クラス11 クラス12 クラス13 クラス14 クラス15 クラス16 クラス17 クラス18 クラス19 クラス20 クラス21 クラス22 クラス23 クラス24 クラス25 クラス26 クラス27 クラス28 クラス29 クラス30 クラス31 クラス99 全体 -3 -2 -1 2 3 4 クラス01 クラス02 クラス03 クラス04 クラス05 クラス06 クラス07 クラス08 クラス09 クラス10 クラス11 クラス12 クラス13 クラス14 クラス15 クラス16 クラス17 クラス18 クラス19 クラス20 クラス21 クラス22 クラス23 クラス24 クラス25 クラス26 クラス27 クラス28 クラス29 クラス30 クラス31 クラス99 全体 出願先国:韓国 -4 -4 出願先国:欧州 評価点 0 1 -3 -2 -1 2 3 4 -4 クラス01 クラス02 クラス03 クラス04 クラス05 クラス06 クラス07 クラス08 クラス09 クラス10 クラス11 クラス12 クラス13 クラス14 クラス15 クラス16 クラス17 クラス18 クラス19 クラス20 クラス21 クラス22 クラス23 クラス24 クラス25 クラス26 クラス27 クラス28 クラス29 クラス30 クラス31 クラス99 全体 -3 -2 -1 評価点 0 1 2 3 4 -1 評価点 0 1 2 3 4 クラス01 クラス02 クラス03 クラス04 クラス05 クラス06 クラス07 クラス08 クラス09 クラス10 クラス11 クラス12 クラス13 クラス14 クラス15 クラス16 クラス17 クラス18 クラス19 クラス20 クラス21 クラス22 クラス23 クラス24 クラス25 クラス26 クラス27 クラス28 クラス29 クラス30 クラス31 クラス99 全体 出願先国:中国 評価点 0 1 -4 -3 出願先国:五極全体 -2 -1 評価点 0 1 2 3 4 -4 クラス01 クラス02 クラス03 クラス04 クラス05 クラス06 クラス07 クラス08 クラス09 クラス10 クラス11 クラス12 クラス13 クラス14 クラス15 クラス16 クラス17 クラス18 クラス19 クラス20 クラス21 クラス22 クラス23 クラス24 クラス25 クラス26 クラス27 クラス28 クラス29 クラス30 クラス31 クラス99 全体 -3 -2 第6章 第1節 日本の目指すべき方向性 意匠出願動向から見た日本の強みと弱み 第 6-1 表には、物品別(日本意匠分類の小分類一桁)の日本国籍出願人の意匠登録に積極 的な分野を示す。 ここでいう意匠登録に積極的な分野とは、外国での意匠登録数が当該国において、当該国 を含めた他の国に比べ、最も多い物品と定義した。日本国籍出願人の場合は、例えば、米国 において、米国、欧州、韓国、中国、五極以外のその他の国の出願人よりも意匠登録数が多 い場合、米国での意匠登録に積極的な物品分野とし、同様に、欧州、韓国、中国においても、 日本国籍出願人の意匠登録数が最も多い場合、各出願先国で意匠登録に積極的な物品分野と した。それらをまとめて、日本国籍出願人の意匠登録総数(日本での意匠登録数も含めた件 数)の多い順にリストアップしたものが、第 6-1 表である。 表中、意匠登録に積極的な分野には、当該国での意匠登録数に網掛け表示をしている。ま た、日本において最も多い意匠登録数には、日本での意匠登録数を斜字で示している。外国 での意匠登録数で意匠登録に積極的な分野を特定している理由は、自国での意匠登録数が多 くても、五極の中で見れば、必ずしも同様の傾向が見られない場合があることに対して、外 国での意匠登録数で積極性を評価する方が真の強みと弱みを評価できるためである。 なお、第 6-1 表では上記評価基準で機械的に意匠登録に積極的な分野を抽出しており、当 該国での意匠登録数が 10 件に満たないような物品も意匠登録に積極的な分野としてリスト アップされていることに注意を要する。したがって、以下に示す積極的な分野の分析では、 当該国で最も多い一カ国からの意匠登録数が 10 件以上の物品について行う。 第 6-1 表によれば、当該国で最も多い意匠登録数が 10 件以上の 11 物品の内、G22 その他 の自動車、H75 紙データ入出力機等、J32 カメラ等、H17 発光ダイオード及び電球等、H14 電子回路用素子体、K52 繊維製品二次加工用機械器具、K25 釣用リールの 7 物品が、対米国 においては日本国籍出願人の意匠登録に積極的な分野となり、対欧州においては H75 紙デー タ入出力機等、J32 カメラ等、H63 信号調整機器の 3 物品が、対韓国においては G23 自動 二輪車等、H23 避雷器及び静電除去器の 2 物品が、対中国においては H75 紙データ入出力 機等、J30 その他の光学機械器具の 2 物品が日本国籍出願人の意匠登録に積極的な分野とな った。 また、それらの 11 物品は、いずれも日本での意匠登録数において、他の四極からの意匠 登録数より多いものとなった。日本国籍出願人の意匠登録に積極的な分野、すなわち、日本 の強みの分野としての特徴には、日本意匠分類の H グループ(電気電子機械器具及び通信機 械器具)に属する物品が 11 物品中 5 物品、次いで、G グループ(運輸又は運搬機械)2 物品、 J グループ(一般機械器具)2 物品、K グループ(産業機械器具)2 物品と、電気、機械関連 分野が多いことがあげられる。 − 39 − 意匠登録に積極的な分野とは反対に、自国での意匠登録数が他の国に比べて最も少ない物 品分野を意匠登録に消極的な分野と定義した。日本国籍出願人の場合は、日本において、米 国、欧州、韓国、中国、五極以外のその他の国の出願人よりも意匠登録数が少ない場合、意 匠登録に消極的な物品分野とした。それらをまとめて、日本国籍出願人の意匠登録総数(日 本での意匠登録数も含めた件数)の少ない順にリストアップしたものが、第 6-2 表である。 表中、意匠登録に消極的な分野には、日本での意匠登録数に網掛け表示をしている。また、 日本において最も多い意匠登録数には、日本での当該国の意匠登録数を斜字で示している。 なお、第 6-2 表においても上記評価基準で機械的に意匠登録に消極的な分野を抽出してお り、日本で最も多い意匠登録数が 10 件に満たないような物品についてもリストアップされ ていることに注意を要する。 第 6-2 表によれば、日本で最も多い意匠登録数が 10 件以上の物品はなく、その意味から は日本国籍出願人の意匠登録に消極的な分野はほとんど存在しないことになる。第2章 第 1節で示した日本国籍出願人の自国登録率の高さ(90.8%)を反映しているものと考えられ る。 − 40 − 第 6-1 表 No. 1 2 3 4 5 6 日本 意匠 分類 G22 H75 J32 H17 H14 G23 7 K52 8 K07 9 10 11 12 13 14 15 K25 H63 F22 J46 K87 H11 E46 16 L26 − 41 − 17 18 19 20 21 22 23 24 25 H23 J30 J34 E45 J44 K41 E42 K16 K66 26 F30 6,671 1,073 1,233 1,188 887 2,325 363 123 全体 件数 内容 その他の自動車 紙データ入出力機等 カメラ等 発光ダイオード及び電球 電子回路用素子体 自動二輪車等 繊維製品二次加工用機械 器具 電線加工機及びプリント 配線加工機 釣用リール 信号調整機器 事務用印字具 金銭登録機等 送風機 電線,電気ケーブル等 電子楽器 河川,海洋,港湾関連構 造物及び関連用品 避雷器及び静電除去器 その他の光学機械器具 写真用処理機械器具 けん盤楽器 貨幣証券処理機械 精穀機 打楽器 金型 冷凍機 その他の事務用紙製品, 印刷物等 日本 意匠 分類 1 A12 注) 33.9% 42 0 0 0 0 0 29 1 B52 D70 G31 J40 内容 たばこ,シガレットペー パー等 運動用特殊靴 その他の家具 モーターボート等 その他の事務用機械器具 1 0 0 1 6 2 6 0 0 0 10 0 0 14 0 0 36 1 1 1 207 5 119 83 69.7% 62 2 0 0 0 0 5 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 16 0 0 29 0 0 0 0 0 0 4 0 125 149 155 129 114 67 63 73 69 64 56 53 40 40 58.4% 46.3% 41.3% 43.4% 46.5% 59.7% 63.5% 45 38 40 34 42 35 24 0 5 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 15 6 5 8 6 2 3 7 4 4 3 4 0 1 0 0 4 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 1 3 1 3 0 0 0 18 0 6 0 2 0 0 13 1 0 0 3 0 14 7 22 0 8 5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 1 1 0 8 3 9 4 3 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 11 4 1 13 11 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 5 4 10 4 2 0 13 1 3 1 0 0 3 0 0 1 9 0 3 0 1 0 0 0 0 0 0 0 26 33 40 64 25 2 17 0 1 2 1 1 0 0 107 38 35.5% 35 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 10 0 0 0 2 0 0 59 0 0 1 0 0 0 0 0 62 40 25 43 61 37 24 25 4 35 21 19 17 12 10 7 5 2 56.5% 52.5% 76.0% 39.5% 19.7% 27.0% 29.2% 20.0% 50.0% 24 9 1 5 5 4 5 3 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 5 4 2 2 0 2 0 2 4 0 1 0 0 3 0 0 0 2 0 0 0 0 7 0 2 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 7 4 2 0 2 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0 5 2 0 1 2 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 0 10 0 0 0 2 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6 2 0 2 12 7 1 9 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 12 6 4 1 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 16 8 6 16 33 19 4 8 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 32 1 3.1% 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 8 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 22 0 第 6-2 表 2 3 4 5 日本国 出願先:日本 出願先:米国 出願先:欧州 出願先:韓国 出願先:中国 籍出願 出願人国籍 出願人国籍 出願人国籍 出願人国籍 出願人国籍 人登録 比率 日本 米国 欧州 韓国 中国 その他 日本 米国 欧州 韓国 中国 その他 日本 米国 欧州 韓国 中国 その他 日本 米国 欧州 韓国 中国 その他 日本 米国 欧州 韓国 中国 その他 29.1% 724 3 35 1 0 3 315 303 110 2 3 55 197 144 911 4 7 115 195 3 21 786 0 0 507 27 120 30 2,010 40 16 9 0 0 2 211 85 8 6 2 16 137 13 11 22 15 28 19 1 0 30 0 1 105 3 5 8 86 8 65.1% 226 6 6 0 0 3 131 23 9 23 0 28 104 6 36 13 5 21 52 0 1 90 0 0 98 5 10 18 220 39 54.4% 286 0 0 10 5 9 60 18 10 6 7 8 13 2 88 2 7 18 20 0 0 171 5 6 75 1 12 11 305 20 39.3% 299 0 1 3 0 1 21 13 1 6 0 6 8 17 9 0 0 0 18 0 0 130 0 1 28 3 8 4 218 7 51.7% 384 73 0 1 0 0 1 64 91 9 1 3 29 80 2 169 0 23 47 22 1 0 21 0 0 129 1 11 0 1,523 24 15.8% 箇所は当該国で最も多い意匠登録数が 10 件以上の物品、 注) No. 物品別(日本意匠分類の小分類一桁)の日本国籍出願人の意匠登録に積極的な分野【日本の強み】 日本国 籍出願 人登録 件数 1,938 698 671 467 459 368 箇所は当該国で最も多い意匠登録数が 10 件未満の物品 物品別(日本意匠分類の小分類一桁)の日本国籍出願人の意匠登録に消極的な分野【日本の弱み】 日本国 日本国 出願先:日本 出願先:米国 出願先:欧州 出願先:韓国 出願先:中国 全体 籍出願 籍出願 出願人国籍 出願人国籍 出願人国籍 出願人国籍 出願人国籍 件数 人登録 人登録 件数 比率 日本 米国 欧州 韓国 中国 その他 日本 米国 欧州 韓国 中国 その他 日本 米国 欧州 韓国 中国 その他 日本 米国 欧州 韓国 中国 その他 日本 米国 欧州 韓国 中国 その他 34 0 0.0% 0 0 0 0 0 4 0 2 0 0 0 0 0 0 2 0 0 5 0 0 4 2 0 0 0 0 0 0 10 5 52 93 45 37 0 0 0 0 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0 0 0 0 2 0 0 0 1 1 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 7 2 0 1 1 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 7 0 12 0 0 0 0 0 1 2 0 0 28 44 18 10 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 4 5 1 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 3 0 0 0 0 0 0 4 28 8 22 0 1 0 0 箇所は当該国で最も多い意匠登録数が 10 件未満の物品 第2節 日本の課題と目指すべき方向性 今回の調査では、2006 年 1∼12 月の 1 年間に、日本(JPO)、米国(USPTO)、欧州(OHIM)、 韓国(KIPO)、中国(SIPO)で公報発行された意匠を対象に出願動向分析を行った。 五極の中で、日本国籍出願人の意匠登録数(36,914 件)は、単独国としては中国国籍出願 人の意匠登録数(86,062 件 ※香港、マカオを含まない)に次いで 2 位、欧州を本調査の定 義どおり、EU 加盟国 25 カ国とすれば、欧州国籍出願人の意匠登録数(56,856 件)に次い で 3 位であることは、意匠登録に総じて積極的であることを示していると考えられる。 一方、至近で見れば、他の四極の意匠出願件数ならびに意匠登録数は現状維持から増加傾 向を示しているなかで、日本での意匠出願件数、意匠登録数はともに、減少傾向(2006 年の 意匠出願件数は前年比−6.4%、2006 年の意匠登録数は前年比−9.0%)を示している。日本 は、ここ 10 年、2∼3 年周期で増減を繰り返している傾向があり、至近の減少傾向も、この 2∼3 年周期の増減の一環かもしれない。 製品が成熟すればするほど、機能に加えて、意匠(デザイン)が製品価値を左右すること が考えられる。必然的に意匠保護の重要性も高まることになる。また、製品マーケットが拡 大することによって、意匠保護に関する対策も強化することが求められる。今後このような 傾向はますます加速することも予想される。それらに必要な、かつ、効率的な戦略を常に持 っておくことが肝要である。 これらの状況を踏まえて意匠出願に関する課題、留意点、およびこれからの日本の目指す べき方向性について、以下に述べる。 1)中国での登録率向上 中国での意匠登録数(97,727 件)、中国国籍出願人の意匠登録数(88,470 件 ※香港、マ カオを含む)が五極における意匠登録総数の約 40%(中国での意匠登録数は五極全体の 40.1%、中国国籍出願人の意匠登録数は五極に登録された意匠の 36.3%)を占め、その増加 率も他の四極に比較して著しいことが本調査によって確認された。また、中国での意匠登録 数の 88.7%は中国国籍出願人によるものであり、意匠登録数だけを見れば、中国国籍出願人 の中国での意匠登録数が五極での意匠出願動向の趨勢を決める状況と言っても過言ではない。 中国国籍出願人の中国での意匠登録数の増加には、無審査登録制度、専利出願に対する政府 の奨励や助成、知的財産権意識が高まり等の要因が考えられる。一方、中国での意匠登録数 に占める他の四極からの意匠登録数は、日本からの登録が 3,849 件(中国での意匠登録数の 3.9%)、米国からの登録が 1,502 件(中国での意匠登録数の 1.5%)、欧州からの登録が 2,710 件(中国での意匠登録数の 2.8%)、韓国からの登録が 932 件(中国での意匠登録数の 1.0%) であり、他の四極の中では日本からの登録が多い。 このような状況における中国での意匠登録については、数的評価のみに頼ることはできな いが、冒認出願や模倣品の発生を阻止するために、また、万一、そのような事態が発生した 時に対処するために、中国での登録は今後とも強化することが必要である。費用対効果を考 慮した戦略的な出願が望まれる。 − 42 − 2)欧州での登録率向上 欧州での意匠登録数に占める日本からの登録は 2,000 件(欧州での意匠登録数の 3.1%) で、米国からの登録 5,736 件(欧州での意匠登録数の 8.9%)、五極以外からの登録 4,173 件 (欧州での意匠登録数の 6.5%)に比べて少ない。 日本企業にとっては、急成長する市場への対応と模倣品対策の必要性から、外国での登録 の中では中国での登録を重視しており、その必要性は前述したとおりであるが、中国偏重の 戦略も好ましくない。中国に次いで意匠登録数が多く、五極全体の 26.4%(欧州での意匠登 録数は 64,351 件)の登録が集まる欧州において、登録率を上げることにより、新しいビジ ネスチャンスが生まれる可能性があると考える。その意味からあらためて欧州での登録につ いての戦略を立て直す必要もある。 3)出願先国の法制度の違いに対応 出願先国の意匠制度および関連制度(著作権法、商標法、不正競争防止法 等)の違いに 対して、各国の出願人はかなり明確な対応の違いを打ち出していることが認められる。例え ば、米国国籍出願人の自国登録率は 56.6%(11,862 件)で、日本国籍出願人の自国登録率 90.8%(27,389 件)、欧州国籍出願人の自国登録率 78.1%(50,251 件)、韓国国籍出願人の 自国登録率 92.0%(28,331 件)、中国国籍出願人の自国登録率 88.7%(86,645 件)に比べ て低く、米国での意匠登録には積極的ではない。しかしながら、欧州での意匠登録では米国 から 5,736 件(欧州での意匠登録数の 8.9%)の登録があり、五極間相互の外国登録の中で は最も多い。これは米国国籍出願人による米国での意匠登録数の 48.4%に相当し、米国国籍 出願人は自国登録の約 2 件に 1 件の割合で、欧州での意匠登録を行っていることになる。 この背景として、米国での意匠保護においては、商標法によるトレードドレスでの保護等、 特許法(意匠法)以外の関連制度を必要に応じて利用している状況が推察される。出願先国 の状況に応じた戦略が求められる。 4)日本の特徴を活かした意匠登録 分野別では、日本国籍出願人は、日本意匠分類の H グループ(電気電子機械器具及び通信 機械器具)、G グループ(運輸又は運搬機械)、J グループ(一般機械器具)、K グループ(産 業機械器具)等、電気、機械関連が「強み」であることが、昨年度の調査に引き続き、本調査 によっても確認できた。日本に限らず、他の四極においても、日本国籍出願人による意匠登 録数が当該国で最も多い物品にこれらが含まれている。しかしながら、日米欧の三極比較で は、優位性を保っていた分野でも、日米欧韓中の五極比較では、一部「強み」が重なる韓国 や、意匠登録数で圧倒する中国の影響を受け、必ずしも優位でない状況であることもわかっ た。 本調査によって、日本意匠分類の小分類一桁別(439 分類)の出願先国、出願人国籍等の 詳細なデータを集計することができたことから、これらのデータを使った各分野、物品の状 況に応じた戦略が求められる。 − 43 − 最後に、本調査によって得られた知見が、企業活動における研究開発、デザイン開発等の 戦略策定に有効に活かされることを願うとともに、次回以降の同様の調査における課題につ いて述べる。 その 1 つは、継続的なデータに基づく分析である。本調査は昨年度に引き続き、2 回目の 調査として実施したわけだが、単年データより複数年データによって、より正確な出願動向 分析が可能となる。特に、中国、欧州での出願動向はしばらく注視する必要があろう。 もう 1 つは本調査で明らかになった中国での出願動向の実態に対する具体的な対応策に関 する分析である。本調査(マクロ調査)を補完する意味で、模倣品対策と関連づけた分析が 必要である。 さらには、ロシア、インド、ブラジル、ベトナム、台湾、南アフリカ等、五極以外での出 願動向分析も必要である。近年、日本企業を含め、五極以外への進出が活発になっているこ とに伴い、五極以外での意匠登録についても増加していることが推察される。五極での出願 動向が必ずしも世界での出願動向を表さなくなってきていることも考えられる。 − 44 −