...

検索テーブル

by user

on
Category: Documents
16

views

Report

Comments

Transcript

検索テーブル
ア プ リ ケ ー シ ョ ン 領 域 の 拡 大 に 向 け た Mashup フ レ ー ム ワ ー ク
―マッシュアップを便利に・身近に・簡単に―
1.背景
現 在 、多 く の Web サ ー ビ ス が 公 開 さ れ ,そ れ ら を 外 部 か ら 利 用 で き る API
が各コンテンツ所有者から提供されている.例えば,ホテルやレストラン
な ど の 検 索 , 写 真 投 稿 サ イ ト の 画 像 , ニ ュ ー ス や 更 新 情 報 な ど を , Web サ
ービスを介して利用することができる.そして,それらを組み合わせて新
たに サ ービ ス /ア プリ ケ ーシ ョ ンを 作る マ ッシ ュ アッ プと 言 う手 法 が,近
年 注 目 を 集 め て き て お り 、マ ッ シ ュ ア ッ プ を 簡 単 に 作 成 す る た め の 環 境 も
登場してきている.多くは,プログラムの記述が少ない,あるいは必要と
せずに,アプリケーションを作成することができ,いわゆる「開発者」で
はない層でも,マッシュアップを利用することが可能になってきている.
2.目的
様 々 な 情 報 を 付 加 的 に 組 み 合 わ せ ら れ る こ と が 、マ ッ シ ュ ア ッ プ の 利 点
の一つであるが、従来のマッシュアップ作成環境 では、データの構築方法
が 固 定 で あ る た め 、多 種 の 情 報 を 利 用 で き る 柔 軟 さ と 実 行 コ ス ト の 両 立 が
難しかった。多種のデータを付け加えた場合,人によっては必要でない情
報 も 含 ま れ る た め 、 無 駄 な コ ス ト を 支 払 う 可 能 性 が 高 い . Web サ ー ビ ス を
介してデータを得ているため,通信が大きなネックとなり,場合によって
は,まったく実用性のないアプリケーションとなってしまう.
ま た 、利 用 者 の 選 択 や コ メ ン ト な ど の 共 有 情 報 を マ ッ シ ュ ア ッ プ に 導 入
すれば、グループウェアとしてのマッシュアップ利用など、広く応用が可
能 で あ る と 考 え て い る 。 し か し 、 既 存 環 境 で 利 用 可 能 な Web サ ー ビ ス の 多
く は 、誰 で も 利 用 可 能 な 公 開 情 報 で あ る 。共 有 機 能 な ど を 付 け 加 え る に は 、
マ ッ シ ュ ア ッ プ の 作 成 環 境 と は 別 に 、開 発 者 が 自 ら デ ー タ ベ ー ス や サ ー バ
などを用意する必要があるなど、手軽に利用できる環境になかった。
こ れ らの 課 題を 解決 し ,よ り 幅広 い領 域 にお い てマ ッシ ュ アッ プ アプ リ
ケーションを作成・利用可能にすることが本プロジェクトの狙いである.
多種 の デー タ を用 いた 場 合で も 自動 でコ ス トを 抑 え,共有 機 能な ど を手 軽
に利用できるマッシュアップ環境の作成を目指した.
3.開発の内容
利 用 者の 閲 覧方 法に 合 わせ た イン タラ ク ティ ブ なデ ータ 構 築と ,容易 な
デー タ 共有 を サポ ート し たマ ッ シュ アッ プ フレ ー ムワ ーク を 開発 し た.提
1/4
案 す る フ レ ー ム ワ ー ク は , マ ッ シ ュ ア ッ プ ア プ リ ケ ー シ ョ ン (以 下 、 ア プ
リ )の 作 成 環 境 と マ ッ シ ュ ア ッ プ 実 行 エ ン ジ ン , お よ び 簡 単 に デ ー タ 共 有
を 実 現 す る た め の レ ポ ジ ト リ Web サ ー ビ ス で 構 成 す る ( 図 1 ).
作成環境
レポジトリ
生成
作成
Web サ ー ビ ス
共有
データ
外 部 Web
サービス
アプリ作成者
実行エンジン
ブラウザ上で
必要部分のみ
利用
アプリ利用者
通信・計算
マッシュアップアプリケーション
図 1
フレームワークの構成
フ レ ーム ワ ーク 利用 者 は作 成 環境 を用 い て,デ ータ の組 合 せ方 と 表示 方
法を設定し,アプリケーションを作成する.作成されたアプリケーション
は Web ペ ー ジ と し て 生 成 さ れ , 他 の ユ ー ザ に よ る 利 用 が 可 能 に な る . 生 成
アプ リ は ブ ラ ウザ 上で 動 作し 、実行 エン ジ ンが ア プリ 利用 者 の閲 覧 操作 に
応じて通信・計算を行い,画面に結果を随時表示する.共有されると設定
さ れ た デ ー タ に つ い て は ,フ レ ー ム ワ ー ク に 含 ま れ る レ ポ ジ ト リ Web サ ー
ビスに保管し,実行エンジンが自動で利用者間でのデータ共有を行う.
作成環境では,アプリケーションの作成を,データの組み合わせ方を指
定するモデル定義部と,アプリの表示方法を指定する表示定義部に 分けて
作 成 を 行 う ( 図 2 ). モ デ ル 定 義 で は 、 画 面 左 に 用 意 さ れ た Web サ ー ビ ス ・
計算 を 画面 右 の モ デル キ ャン バ スへ と、マ ウス 操 作で ドロ ッ プす る こと で、
ア プ リ 内 デ ー タ を 定 義 す る 。 何 も な い と こ ろ に Web サ ー ビ ス ・ 計 算 を 追 加
すると、単一の値を返すものは画面上部のボックスに表示され、ホテル検
索な ど 複数 の アイ テム を 返す も のは 別個 の テー ブ ルと して 表 示さ れ る。テ
ー ブ ル に も 、 列 ま た は 子 テ ー ブ ル と し て 、 Web サ ー ビ ス ・ 計 算 を 追 加 す る
こ と が で き 、 た と え ば ホ テ ル 検 索 テ ー ブ ル に 駅 検 索 の Web サ ー ビ ス を ド ロ
ッ プ し 、 最 寄 り 駅 の 列 を 追 加 す る 、 と い っ た 利 用 が 可 能 で あ る 。 各 Web サ
ー ビ ス ・ 計 算 間 の 接 続 (利 用 者 の 入 力 を 元 に ホ テ ル を 検 索 す る 、 ホ テ ル の
住 所 を 元 に 駅 を 検 索 す る な ど )は 、 ド ロ ッ プ 時 に 表 示 さ れ る フ ォ ー ム で 指
定する。この時も、既にモデルキャンバスに存在しているものからドロッ
2/4
プ操作で指定可能である。表示定義画面では、さらに右側にアプリキャン
バス が 表示 さ れ、モデ ル 定義 で 作成 した テ ーブ ル など をマ ウ ス操 作 でレ イ
アウトする。ここでは、シンプルなテーブルだけでなく、詳細表や地図表
示 な ど の GUI コ ン ポ ー ネ ン ト や テ ー ブ ル 共 有 な ど の 属 性 を 指 定 で き る 。
Drag&Drop で
Web サ ー ビ ス を 組 合 せ
モデル定義画面
アプリケーション画面
表示定義画面
をレイアウト
図 2 作成環境イメージ
フ レ ーム ワ ーク で作 成 され た アプ リケ ー ショ ン は、各ア プ リ利 用 者が 興
味に応じて閲覧を進めることが可能である.例えばテーブルでは、閲覧中
に、そ の場 で 表示 列を 選 択し た りフ ィル タ 条件 を 指定 する こ とが 可 能で あ
る。また、本来複数ページに分割されている検索結果も,スクロール操作
に応じて随時取得される.
4 . 従 来 の 技 術 (ま た は 機 能 )と の 相 違
実 行 エン ジ ンお よび 共 有機 能 につ いて ,他の マ ッシ ュア ッ プ作 成 ツー ル
によって作成可能なアプリケーションに比べて大きなアドバンテージが
あると考えている.既存のマッシュアップツールは,サーバサイド/クラ
イ ア ン ト サ イ ド を 問 わ ず ,一 度 に ま と め て デ ー タ を 構 築 し そ れ を 閲 覧 す る
形式 も のか ,ユー ザが 明 示的 に デー タの 追 加を 都 度行 う形 式 が主 流 であ る.
対 し て , 今 回 開 発 し た フ レ ー ム ワ ー ク は , 基 本 機 能 と し て GUI と の 連 携 を
備え,各利用者の閲覧形態に応じて、不要な通信・計算コストを削減する
ため の 仕組 み を導 入し て いる .これ は単 純 にパ フ ォー マン ス が上 が るだ け
で な く ,多 く の 情 報 か ら そ の 場 の 判 断 で 選 択 的 に 閲 覧 を 進 め て い く 形 態 や ,
利用者の操作に秒単位で反応するようなインタラクティブな閲覧形態を
実用可能にするものである.また,共有機能については,他のマッシュア
3/4
ップツールでは非開発者による利用が難しい状態である.これらをサポー
ト す る こ と は , Web 利 用 者 に よ る 情 報 共 有 が 盛 ん で あ る 今 , マ ッ シ ュ ア ッ
プの利用を広げるものであると考えている.
5.期待される効果
本 フ レ ー ム ワ ー ク で は 、 一 部 の Web 開 発 者 だ け で は な く 、 非 開 発 者 、 あ
る い は 手 軽 に マ ッ シ ュ ア ッ プ を 利 用 し た い 開 発 者 へ の 、マ ッ シ ュ ア ッ プ 利
用拡大を目指している。加えて、インタラクティブなデータ構築や共有機
能に よ って 、様々 な利 用 者を タ ーゲ ット と した ア プリ やグ ル ープ ウ ェア な
ど、マ ッシ ュ アッ プで 作 成可 能 なア プリ ケ ーシ ョ ンそ のも の の 領 域 を広 げ
る効果があると期待している。
ま た 、現 在 多 く の 企 業・団 体 が Web サ ー ビ ス と し て 情 報 を 公 開 し て い る 。
無償で利用可能なものも多いが、商品検索・旅行検索などはリンクを介し
て利用者の購入と結びついており、将来的には多くが利用課金・広告など
と 結 び 付 い て い く と 考 え て い る 。そ れ ら の Web サ ー ビ ス の 利 用 促 進 効 果 も
あ る と 期 待 し て い る 。 本 フ レ ー ム ワ ー ク で は 、 利 用 者 の 興 味 に 応 じ て Web
サ ー ビ ス を 利 用 す る こ と が で き る た め 、 他 社 同 種 の Web サ ー ビ ス を 複 数 選
択 可 能 に す る 、あ る い は 普 段 あ ま り 用 い な い Web サ ー ビ ス を 一 部 の 利 用 者
のために準備しておくなどのアプリが作成可能である。
6 . 普 及 (ま た は 活 用 )の 見 通 し
マ ッ シ ュ ア ッ プ ア プ リ を 作 成 す る Web 開 発 者 を 対 象 と し 、 実 行 エ ン ジ ン
を マ ッ シ ュ ア ッ プ の イ ン フ ラ と し て Web 上 で 公 開 し て い る 。 実 行 エ ン ジ ン
自 体 は JavaScript で 作 成 さ れ 、 ブ ラ ウ ザ 上 で 動 作 す る た め 、 今 後 モ バ イ
ル機器なども利用対象としていくことで広い普及を目指す。また、非開発
者 に 対 し て も 、 作 成 環 境 と レ ポ ジ ト リ Web サ ー ビ ス を 加 え た フ レ ー ム ワ ー
ク全体を、サービスとして運用する予定である.
7 . 開 発 者 名 (所 属 )
長 嶺 貴 一 (神 戸 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 CS26 研 究 室 )
田 中 俊 彰 (大 阪 大 学 大 学 院 情 報 科 学 研 究 科 楠 本 研 究 室 )
(参 考 ) http://www.cs26.scitec.kobe -u.ac.jp/~connecollect/
4/4
Fly UP