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子供を対象とした 景観まちづくりワークショップのモデル

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子供を対象とした 景観まちづくりワークショップのモデル
2007 年度
修士設計
子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―
小学校景観出前授業の実践から
―
Modeling of landscape planning workshop intended for children
−Study of landscape lecture in elementary school−
2008 年 1 月
主指導教員
大谷
英人
副指導教員
吉田
晋
副指導教員
重山
陽一郎
高知工科大学大学院
工学研究科
基盤工学専攻
社会システム工学コース 2 年
1105508
嶋岡
強太
2007 年 度 修 士 設 計
子供を対象とした景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践から―
(要旨)
高知工科大学大学院工学研究科基盤工学専攻社会システム工学コース
1105508
嶋岡 強太
1.は じ め に
2.2005 、 2006 年 度 小 学 校 景 観 出 前 授 業 「 景 観 ま ち
1.1.修 士 設 計 の 背 景
WS」 の 総 括
わ が 国 の 景 観 ま ち づ く り は 、戦 後 の 急 速 な 都 市 化
2.1.高 知 市 に よ る 小 学 校 景 観 出 前 授 業
の 進 展 の 中 で 、経 済 性 や 効 率 性 、機 能 性 が 重 視 さ れ
2.1.1.小 学 校 景 観 出 前 授 業 の 概 要
た 結 果 、美 し さ へ の 配 慮 を 欠 い て い た こ と は 否 め な
2005 年 度 よ り 、 こ れ か ら の 社 会 を 担 う 小 学 校 の
い 。 し か し 、 1970 年 代 か ら 自 治 体 に お け る 景 観 条
子 供た ち( 児 童)を対 象 に、地域 の「 景 観」に つ い
例 が 制 定 さ れ 、 高 知 市 で は 1996 年 に 高 知 市 都 市 美
て 意 識 す る 機 会 と し て 、小 学 校 景 観 出 前 授 業 を 実 施
条 例 が 制 定 さ れ て い る 。 ま た 、 2005 年 に は 景 観 法
し て い る ( 表 2.1 参 照 )。
が全面施行された。
表 2.1: 高 知 市 に お け る 小 学 校 景 観 出 前 授 業 の 概 要
○主催
○実行
高 知 市 は 、 2005 年 度 よ り 小 学 校 景 観 出 前 授 業 を
実 施 し て お り 、 国 土 交 通 省 で は 、 2007 年 度 よ り や
○実施目的
っ と 学 校 教 育 で 活 用 で き る 「景 観 ま ち づ く り 学 習 」の
モ デ ル プ ロ グ ラ ム の 検 証 を 始 め た 。特 に「 景 観 ま ち
づ く り 学 習 」は 、こ れ か ら 社 会 を 担 う 子 供 た ち に と
○実施内容
って重要な学習テーマである。
1.2.修 士 設 計 の 目 的
○実施校
本 設 計 は「 景 観 ま ち づ く り 学 習 」の 先 駆 け と し て 、
学 校 教 育 の 中 で 活 用 で き る 子 供 を 対 象 と し た「 景 観
ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」( 以 下 「 景 観 ま ち WS」
高知市都市整備部都市計画課
高知工科大学社会システム工学科(都市計画
研究室・デザイン研究室)
これからの社会を担う小学校の児童を対象と
して、景観やまちづくりに関する出前授業を
実施することにより、児童が地域の景観を意
識する機会とする。
小学校の教育課程における「総合的な学習の
時間」の一環として、景観や都市計画につい
て専門的な知識を持つ大学との連携により、
学校や地域の特性に合わせた体験的な学習活
動の実施を図る。
1.高 知 市 立 江 ノ 口 小 学 校
( 5 学 年 39 名 )
2005 年 度
2.高 知 市 立 土 佐 山 小 学 校
(6 学年 6 名)
2006 年 度
と略す)のモデル設計を行うことを目的とする。
1.3.修 士 設 計 の 方 法
1.高 知 市 立 三 里 小 学 校
( 5 学 年 62 名 )
2.1.2.2005 年 度 小 学 校 景 観 出 前 授 業 の 概 要
方法は、私が企画、設計、実施に携わってきた
2005 年 度 の「 景 観 ま ち WS」は 、プ ロ グ ラ ム を 4
2005 年 度 、 2006 年 度 「 小 学 校 景 観 出 前 授 業 」 の 2
部構成とした。
年 間 の 実 施 を 検 討( 総 括 )し 、そ れ を 基 に 子 供 を 対
第 1 回 は 、 ま ち に 出 て 景 観 を “ 知 る ”「 ま ち 歩 き
象 と し た 「 景 観 ま ち WS」 の モ デ ル 設 計 を 行 う ( 図
と ガ リ バ ー 地 図 づ く り WS」 を 行 っ た 。 第 2 回 、 第
1.1 参 照 )。
3 回 で は 、景 観 に つ い て“ 学 ぶ ”
「世界の建築物と景
観 」、
「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 」の 講 義 学 習 を 実 施 し 、
第 4 回 で は 、 地 区 の 景 観 計 画 を “ 作 る ”「 ま ち な み
景 観 計 画 づ く り WS」 を 実 施 し た 。
表 2.2: 2005 年 度 「 景 観 ま ち WS」 プ ロ グ ラ ム 表
流れ
1
知る
授業タイトルとねらい
ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り WS
世界の建築物と景観
2
学ぶ
建築と風景のデザイン
3
4
図 1.1: 修 士 設 計 の 構 成
i
作る
ま ち な み 景 観 計 画 づ く り WS
2.1.3.2006 年 度 小 学 校 景 観 出 前 授 業 の 概 要
2.2.子 供 を 対 象 と し た 「 景 観 ま ち WS」 の 検 討
2006 年 度 の「 景 観 ま ち WS」は 、プ ロ グ ラ ム を 5
2.2.1.子 供 に 対 応 し た 手 法 の 採 用
部構成とした。
子 供 を 対 象 と し た 景 観 ま ち WS の た め に 、子 供 に
「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り WS」 を 2 回 実
対応した手法を採用し、以下の 3 点を考慮する。
施 し 、ま ず は ま ち を“ 知 る ”ま ち 歩 き と 、景 観 に つ
1.“ 楽 し さ ” を 追 求 す る
2.“ 分 か り 易 さ ” を 実 現 す る
3.“ 驚 き の あ る 体 験 ” を 持 つ
い て 基 礎 知 識 を“ 学 ん だ ”上 で 、地 区 の 景 観 を“ 知
る ”ま ち 歩 き を 実 施 し た 。さ ら に 、児 童 の 取 り 組 み
を 保 護 者 や 地 区 の 人 に “ 伝 え る ”「 ま ち な み 景 観 発
表会」を追加した。
まず、
「 景 観 ま ち WS」で 用 い る 手 法 と し て 、各 ス
表 2.3: 2006 年 度 「 景 観 ま ち WS」 プ ロ グ ラ ム 表
流れ
授業タイトルとねらい
テ ッ プ で 、子 供 と 大 人 で 手 法 の 分 類 を 行 い 、子 供 に
1
知る
ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り W S1
2
学ぶ
建築と風景のデザイン
3
知る
ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り W S2
4
作る
ま ち な み 景 観 計 画 づ く り WS
は 、座 っ た り 、寝 転 が っ た り し て 自 由 に 楽 し く 作 業
5
伝える
まちなみ景観発表会
で き る ガ リ バ ー マ ッ プ が 手 法 と し て 、子 供 向 け で あ
対応した手法を採用する。
「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」で は 、視 覚 的 に 捉
え易い写真中心のスライド映像を用いた学習手法
を採用する。
「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 WS」で
る と 考 え る 。「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り WS」 で は 、
計 画 を「 文 章 」で ま と め る の で な く 、
「 イ メ ー ジ( ビ
2.1.4.2005、 2006 年 度 実 施 の 見 直 し ( 総 括 )
ジ ュ ア ル )」 で 作 成 す る 貼 り 絵 づ く り を 手 法 と し て
子 供 を 対 象 と し た 景 観 ま ち WS の モ デ ル 設 計 に
採用する。
向 け て 、見 直 し( 総 括 )を 行 っ た 。具 体 的 に は 、2005
年 度 の 実 施 内 容 → 見 直 し ( 総 括 ) → 改 良 し た 2006
表 2.4: 各 ス テ ッ プ に お け る 子 供 ・ 大 人 別 の 手 法 分 類 表
年 度 の 実 施 内 容 → 見 直 し( 総 括 )と い う 流 れ で 検 討
建 築 と 風 景 の デ
ザイン学習
した。主な検討内容をステップごとに以下に示す。
「 1.建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」
・「 建 築 」 と 「 土 木 」 に 分 け た 学 習 か ら 、「 ま ち な み
・良い建築と美しい風景のポイントを解説する。
「 2.ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 WS」
・ ま ち 歩 き で は 、時 間 内 に 回 れ な い 箇 所 が 多 か っ た
た め 、事 前 の 現 地 調 査 か ら 回 れ る 範 囲 を 設 定 す る 。
まち歩きとまちなみ景観調査ws
景観」という視点で統合しビジュアル化する。
PPT
使用
オ リ エ
ン テ ー
ション
地
景
査
景
査
と
区 の
観 調
観 調
の ま
め
発表
・項目ワークシートを個別化する。
まちなみ景観計画づくりws
・ 項 目 ワ ー ク シ ー ト は 、「 良 い 」「 悪 い 」 だ け の 分 類
から、景観を構成する要素を項目として増やす。
「 3.ま ち な み 景 観 計 画 づ く り WS」
・ 計 画 内 容 が 一 目 で 読 み 取 れ る よ う に 、ガ リ バ ー マ
ップを使用する。
・ 景 観 計 画 を 「 文 章 」 で 作 る 形 式 か ら 、「 イ メ ー ジ
( ビ ジ ュ ア ル )」 で 具 体 的 に 作 る 形 式 と し て 、 貼
オ リ エ
ン テ ー
ション
景 観 計
画 の 作
成
景 観 計
画 の ま
とめ
発表
り絵づくりを用いる。
発 表 会
・ 計 画 の 5 W1 H を 用 い て 、 シ ー ト 化 す る 。
「 4.ま ち な み 景 観 発 表 会 」
手法
文章中心のスライド構成
ス ラ イ
ド学習
発表
口頭のみ
PPT
使用
アイスブ
まち歩き
まち歩き
まち歩き
ガリバー
模造紙(
項目ワー
シールを
ふきだし
ガリバー
項目ワー
リーダー
グループ
口頭のみ
PPT
使用
フォトモ
文 章 で
表 現 す
る
イ メ ー
ジ で 表
現する
ガリバー
模造紙(
景観構成
キーワー
貼り絵設
ガリバー
景観計画
リーダー
グループ
ガリバー
景観計画
リーダー
グループ
写真中心のスライド構成
での説明
文章中心の構成
イラスト中心の構成
レイク
マ
記
マ
地
ク
使
(
マ
ク
だ
皆
で
ン
マ
ワ
要
ド
計
マ
ワ
だ
皆
マ
ワ
だ
皆
ップの使用
入シートの使用
ップにまとめる
図の入った)にまとめ
シートに整理する
って位置情報を落とす
四方向対応)を使用す
ップに乗って発表する
シート
けで発表する
で協力して発表する
の説明
文章中心の構成
イラスト中心の構成
タージュによるクイズ
方針を作成する
計画内容を作成する
ルールを作成する
貼り絵で表現する
絵で表現する
ゾーニングを行う
ップにまとめる
ークシート)にまとめ
素ごとに計画を分類す
シートを使ってまとめ
シートにまとめる
ップを使用する
ークシートを使用する
けで発表する
で協力して発表する
ップを使用する
ークシートを使用する
けで発表する
で協力して発表する
る
る
る
る
る
子供
△
大人
○
◎
○
△
△
◎
◎
◎
○
○
◎
△
◎
○
○
○
○
△
◎
△
△
◎
◎
△
△
△
◎
△
△
◎
△
○
◎
○
○
○
△
◎
○
○
△
◎
△
○
△
○
○
○
○
△
◎
○
○
○
△
△
◎
△
△
○
△
△
○
○
◎
△
○
◎
△
◎
○
○
△
△
○
◎
△
△
○
◎
△
適正度:◎→最適である、○→適している、△→あまり適さない
・ま ち な み 景 観 の 啓 発 と 児 童 の プ レ ゼ ン 力 を 高 め る 。
次 に 、 子 供 を 対 象 と し た 「 景 観 ま ち WS」 の モ デ
・ 保 護 者 や 地 区 の 人 、参 加 し て い な い 児 童 に 向 け て
ル設計に向けた方針を示す。
実施する。
ii
2.2.2.“ 楽 し さ ” を 追 求 す る
き ”を 与 え る 。
「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り WS」で は
通 常 の 授 業 の よ う に 口 頭 、文 章 が 中 心 と な っ た 授
フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ に よ る 景 観 ク イ ズ を 実 施 し 、景
業 で は 、「 集 中 力 が 持 た な い 」「 飽 き て し ま う 」 な ど
観 が 変 化 す る“ 驚 き ”を 児 童 に 与 え 、関 心 を 高 め る 。
の 理 由 か ら 、児 童 自 ら 学 び 、喜 び を 感 じ ら れ る よ う
表 2 . 7 :“ 驚 き の あ る 体 験 ” を 持 つ
ステップ
な“楽しさ”を追求する必要がある。
「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 WS」 で は 、 ガ リ
実施内容
1.見 た こ と の な い 世 界 中 の 風 景 を ス ラ イ ド
映像で見せる
建築と風景の
デザイン学習
バ ー マ ッ プ を 使 用 し 、非 日 常 的 ス ケ ー ル の 体 験 に よ
1.視 点 を 持 っ た ま ち 歩 き を 実 施 す る
2. 非 日 常 的 ス ケ ー ル の ガ リ バ ー マ ッ プ を 使
用する
3.ワ ー ク シ ョ ッ プ の 最 後 に「 人 前 で の 発 表 」
を実施する
1.フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ に よ る 景 観 シ ミ ュ レ
ーションクイズを実施する。
る “ 楽 し さ ” を 追 求 す る 。 ま た 、「 ま ち な み 景 観 計
まち歩きとま
ちなみ景観調
査 WS
画 づ く り WS」 で は 、 誰 も が 幼 児 体 験 の あ る 貼 り 絵
で 目 に 見 え る 形 で 、表 現 で き る“ 楽 し さ ”を 与 え る 。
表 2 . 5 :“ 楽 し さ ” を 追 及 す る
ステップ
実施内容
1.ス ラ イ ド 映 像 ( 写 真 ) を 使 用 す る
まちなみ景観
計 画 づ く り WS
建築と風景の
デザイン学習
まち歩きとま
ちなみ景観調
査 WS
1.ア イ ス ブ レ イ ク を 実 施 す る
2.ま ち 歩 き を 実 施 す る
3.ガ リ バ ー マ ッ プ を 導 入 す る
まちなみ景観
計 画 づ く り WS
1.フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ に よ る ク イ ズ を 実 施
する
2.貼 り 絵 づ く り を 実 施 す る
まちなみ
景観発表会
3.子 供 を 対 象 と し た 「 景 観 ま ち WS」 の モ デ ル 設 計
3.1.「 景 観 ま ち WS」 の プ ロ グ ラ ム 構 成
プ ロ グ ラ ム は 、 4 部 構 成 と し 、「 1. 学 ぶ 」 → 「 2.
知 る 」 → 「 3.作 る 」 → 「 4. 伝 え る 」 と い う 学 習 過 程
の 流 れ を 持 っ て 構 成 す る ( 表 3.1 参 照 )。
1.取 り 組 み の 成 果 を 自 慢 で き る 発 表 を 実 施
する
表 3 . 1 :「 景 観 ま ち W S 」 プ ロ グ ラ ム 表
回
流れ
1
学ぶ
2
知る
3
作る
4
伝える
授業タイトル
建築と風景のデザイン学習
2.2.3.“ 分 か り 易 さ ” を 実 現 す る
児童の学習に対する興味・関心を惹くためにも、
・
「
紹
ン
ね
良
介
ト
ら
い
し
と
い
建 築 や 美 し い 風 景 」を 、ス ラ イ ド 映 像 を 用 い て 事 例 で
、児 童 の 価 値 軸 を 養 う 。さ ら に は 、美 し い 風 景 の ポ イ
して、風景の見方、捉え方を“学ぶ”
ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 WS
内 容 を 理 解 し て も ら え る 、“ 分 か り 易 さ ” に 配 慮 す
る必要がある。
主 に「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」で は 、視 覚 的
・ねらい
ま ち( 地 区 )を「 景 観 」と い う 視 点 か ら 観 察 す る ま ち な み 景
観調査を行い、良いところ、悪いところを“知る”
ま ち な み 景 観 計 画 づ く り WS
要素により理解を高めるようスライド映像(写真)
を 使 用 し “ 分 か り 易 さ ” を 実 現 す る 。「 ま ち な み 景
・ねらい
自 分 た ち( 児 童 )が 調 査 し た 地 区 の ま ち な み 景 観 と し て の 将
来像を考え、まちなみ景観計画を“作る”
観 計 画 づ く り WS」 で は 、 貼 り 絵 づ く り を 用 い て 景
まちなみ景観発表会
観計画を作成する。
表 2 . 6 :“ 分 か り 易 さ ” を 実 現 す る
ステップ
建築と風景の
デザイン学習
まち歩きとま
ちなみ景観調
査 WS
まちなみ景観
計 画 づ く り WS
実施内容
1.良 い 建 築 や 美 し い 風 景 の 事 例 を カ テ ゴ リ
ーに分けて紹介する
2.学 習 の 要 点 を ま と め る
・ねらい
自 分 た ち( 児 童 )の ま ち な み 景 観 に 関 す る 取 り 組 み を 、児 童
の保護者や地区の人に発表して“伝える”
3.2.「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」 の 設 計
ねらいに対応したステップの構成と主な内容を、
1.説 明 で 使 用 す る パ ワ ー ポ イ ン ト を ビ ジ ュ
アル化する
2.ま ち 歩 き マ ッ プ 、 記 入 シ ー ト を 使 用 す る
3.項 目 ワ ー ク シ ー ト で 景 観 情 報 を 整 理 す る
表 3.2 に 示 す 。
表 3 . 2 :「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」 ス テ ッ プ 表
ステップ
1.貼 り 絵 づ く り で 景 観 計 画 を 作 成 す る
2.キ ー ワ ー ド シ ー ト を 使 用 す る
3.景 観 計 画 ワ ー ク シ ー ト を 工 夫 す る
時間
オリエンテーション
1
児童に授業の目的とプログラムの一連の流れを把握
してもらう。
5 分
良い建築と美しい風景
2
2.2.4.“ 驚 き の あ る 体 験 ” を 持 つ
児童が授業に飽きてしまわないようにするため
まずは、児童に「良い建築、美しい風景」を知っても
らう。
40 分
美しい風景のポイント
3
に 、新 鮮 な“ 驚 き ”を 与 え る よ う な 仕 組 み づ く り を
児童の良い建築や美しい風景に対する価値軸(評価
軸)を養う。
35 分
考える必要がある。
「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」で は 、普 段 見 た こ
4
まとめ
学習の全体のまとめを行う
とのない世界中の美しい写真を見せることで“驚
iii
10 分
3.2.1.ス テ ッ プ 2「 良 い 建 築 と 美 し い 風 景 」
発表
4
・スライド映像で世界中の事例を紹介する
○ねらい
調 査 し た 内 容 を 整 理 し 、発 表 を 行 う こ と で 全 体 の 共 有
化 を 図 る 。ま た 、普 段 は あ ま り な い 人 前 で の 発 表 に よ り 、
プレゼン力をつける。
40 分
言葉を費やしてもなかなか伝えられないイメー
ジ を 、パ ワ ー ポ イ ン ト の ス ラ イ ド 映 像 を 通 し て 児 童
3.3.1.ス テ ッ プ 1 「 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 」
に正確に“分かり易く”伝える。
○設計内容
・アイスブレイクで緊張を解す
○ねらい
景 観 を 構 成 す る 要 素 ご と に 、 以 下 10 の カ テ ゴ リ
児 童 の 緊 張 を 解 す た め 、座 っ て 受 け る 授 業 と は 一
ー に 分 類 し 、ス ラ イ ド 映 像 で 紹 介 し 、
“分かり易さ”
変 し て 、体 を 動 か す こ と で 児 童 の「 遊 び た い 」と い
と“驚き”を追求する。
う 気 持 ち を 刺 激 し 、“ 楽 し く ” 学 習 を 行 う 。
a .自 然 な も の 、 b. 建 物 、 c. 建 物 群 、 d. ま ち な み 、 e . 庭 、
○設計内容
既 存 の ア イ ス ブ レ イ ク 手 法 か ら 「 a.誕 生 日 チ ェ ー
f .道 、 g . ス ト リ ー ト ・ フ ァ ニ チ ャ ー 、 h . 橋 、 i. 港 、 j. 生 活
ン 」、
「 b.人 数 を 集 め ろ 」の 2 つ を 選 択 し 、実 施 す る 。
写 真 3.1: ア イ ス ブ レ イ ク の 実 施 風 景
3.3.2.ス テ ッ プ 2「 ま ち 歩 き 」
図 3.1: ス ラ イ ド 映 像 を 用 い た 学 習
1)ま ち 歩 き の テ ー マ を 設 定 す る
○ねらい
3.2.2.ス テ ッ プ 3「 美 し い 風 景 の ポ イ ン ト 」
身 近 な 空 間 、見 慣 れ た 風 景 を「 ま ち な み 景 観 」と
・美しい風景のポイントを解説する
○ねらい
い う 視 点 か ら 地 区 を 探 検・調 査 す る“ 楽 し さ ”と 景
観資源を発見する“驚き”を与える。
児 童 の 価 値 軸 を 養 う た め に 、ス ラ イ ド 映 像 で“ 分
○設計内容
かり易く”風景の見方、捉え方を解説する。
まち歩きのテーマを下記の 2 つに設定する。
○設計内容
a.風 景 、 景 観 と し て 良 い と こ ろ 、 お も し ろ い と こ ろ
以下の 4 つの視点をスライド映像で解説を行う。
b.風 景 、 景 観 と し て 悪 い と こ ろ 、 問 題 の あ る と こ ろ
a.ル ー ル の あ る 風 景
b.ど こ か ら 見 た ら 美 し い か
2)ま ち 歩 き マ ッ プ を 使 用 す る
c.背 景 に 注 意 す る
○ねらい
d.偽 物 は 使 わ な い
ま ち 歩 き の 際 に 、ル ー ト の 確 認 や 地 区 の 景 観 情 報
を 記 入 で き る よ う に 、ま ち 歩 き マ ッ プ を 用 意 し 、
“分
3.3.「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 WS」の 設 計
かり易さ”を実現する。
ねらいに対応したステップの構成と主な内容を、
○設計内容
表 3.3 に 示 す 。
「 a.全 体 マ ッ プ 」 と 「 b.地 区 マ ッ プ 」 の 2 つ の ま
表 3 . 3 :「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 W S 」 ス テ ッ プ 表
ステップ
ち 歩 き マ ッ プ を 用 意 す る ( 図 3.2 参 照 )。
時間
オリエンテーション
1
児童に授業の目的とプログラムの一連の流れを把握
し ても ら う 。ま た 、ア イス ブ レ イ ク に よっ て 、児 童の緊
張を解し、学習に“参加”する準備段階を作る。
20 分
まち歩き
2
身 近 な 空 間 、見 慣 れ た 風 景 を ま ち な み 景 観 と い う 視 点
から、再発見・再認識してもらう。
60 分
景観調査のまとめ
3
まち歩きを行った地区の現況が一目で読み取れるよ
うに景観調査をガリバーマップにまとめる。
60 分
図 3.2: 全 体 マ ッ プ ( 左 ) と 地 区 マ ッ プ ( 右 )
iv
3.3.3.ス テ ッ プ 3「 景 観 調 査 の ま と め 」
3) 項 目 ワ ー ク シ ー ト に 整 理 す る
1) ガ リ バ ー マ ッ プ を 使 用 す る
○ねらい
○ねらい
歩 い た 地 区 の 景 観 情 報 を 整 理 し 、ガ リ バ ー マ ッ プ
ガ リ バ ー( 巨 人 )に な れ る と い う 、非 日 常 的 ス ケ
とリンクさせることで、
“ 分 か り 易 さ ”を 実 現 す る 。
ー ル の 体 験 に よ り 、“ 楽 し さ ” と 一 目 で 地 区 の 情 報
○設計内容
が読み取れる“分かり易さ”を与える。
ま ち 歩 き の テ ー マ で あ る 風 景 、景 観 と し て 良 い と
○設計内容
こ ろ 、悪 い と こ ろ を 分 類 し 、景 観 を 構 成 す る 要 素 を
ガリバーマップの設計内容は下記の通りである。
項 目 と し て 設 け る 。ま た 、項 目 個 数 を 記 入 す る 欄 も
・ 1/300∼ 1/500 の ス ケ ー ル で 作 成 す る
設 け る ( 図 3.5 参 照 )。
・ 住 宅 地 図 を 使 用 し 、イ ラ ス ト レ ー タ ー で 加 工 す る
・主要な建物名称を入れておく
図 3.5: 項 目 ワ ー ク シ ー ト
図 3.3: ガ リ バ ー マ ッ プ
2) 景 観 調 査 ま と め 方 の 工 夫
○ねらい
まち歩きで行った調査内容をガリバーマップに
“ 分 か り 易 く ” レ イ ア ウ ト す る 。( 図 3.4 参 照 )
○設計内容
ガ リ バ ー マ ッ プ に は 、ま ち 歩 き で 撮 影 し た 写 真 や
気 付 き な ど を 記 入 し た ふ き だ し を 図 3.4 の 通 り 貼 り
図 3.6: 項 目 ワ ー ク シ ー ト の 結 果 事 例
付けて、表現する。
3.3.4.ス テ ッ プ 4「 発 表 」
・ WS の 最 後 に 成 果 を 発 表 す る
○ねらい
調 査 し た 内 容 の 共 有 は も ち ろ ん 、普 段 は あ ま り な
い人前での発表を“体験”してもらう。
○設計内容
作 成 し た ガ リ バ ー マ ッ プ を 囲 ん で 座 り 、項 目 ワ ー
クシート用いて地区の景観状況を発表する。
図 3.4: ガ リ バ ー マ ッ プ へ の ま と め 方 の 工 夫
図 3 . 7 :「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 発 表 形 式
写 真 3.2: ガ リ バ ー マ ッ プ の 結 果 事 例
v
3.4.「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り WS」 の 設 計
3.4.2.ス テ ッ プ 2「 貼 り 絵 づ く り 」
ねらいに対応したステップの構成と主な内容を、
・景観素材を用いて貼り絵づくりを行う
表 3.4 に 示 す 。
○ねらい
表 3 . 4 :「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り W S 」 ス テ ッ プ 表
ステップ
誰 も が 幼 児 体 験 の あ る 貼 り 絵 で 、景 観 計 画 を 目 に
時間
見える形として、表現できる“楽しさ”を与える。
○設計内容
オリエンテーション
1
児童に授業の目的とプログラムの一連の流れを把
握 して も ら う 。ま た 、電柱 の 地 中化 や ゴミ 撤 去 などの
事 例 を 、フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ を 用 い た ク イ ズ 形 式 で 紹
介し、楽しく景観計画のイメージを養う。
20 分
a.貼 り 絵 シ ー ト
ま ち 歩 き で 行 っ た 景 観 調 査 か ら 、発 見 し た 景 観 上
問題の多い写真を貼り絵の土台とする。
貼り絵づくり
2
電 柱 を 樹 木 に 置 き 換 え た り 、ま ち の 背 景 に 自 然 の 風
景 を 貼 り 付 け た り す る 貼 り 絵 に よ り 、自 由 に“ 楽 し み ”
ながら、景観づくりを行う。
60 分
景観計画の作成とまとめ
3
自分たち(児童)が住んでいる地区の景観計画を作成
し、景観計画ワークシートにまとめる。
60 分
発表
4
計 画 し た 内 容 を 整 理 し 、発 表 を 行 う こ と で 全 体 の 共
有化を図る。また、普段はあまりない人前での発表に
より、プレゼン力をつける。
40 分
3.4.1.ス テ ッ プ 1 「 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 」
図 3.8: 貼 り 絵 シ ー ト
・フォトモンタージュによる景観クイズ
○ねらい
も と あ っ た 写 真 か ら 何 が 消 え た の か 、児 童 に 投 げ
掛けて関心を引き、
“ 楽 し さ ”と“ 驚 き ”を 与 え る 。
○設計内容
写 真 3.4: 貼 り 絵 の 主 な 視 点 例
現 況 の 写 真 か ら 、電 柱 の 地 中 化 や 建 物 の 様 式 変 更 、
道路の再舗装等の景観シミュレーションを行う。
b.切 り 貼 り シ ー ト
素 材 の バ リ エ ー シ ョ ン を 豊 富 化 し 、ど の 素 材 が 地
区の景観に合うか、子供たちに考えながら作業を
“体験”してもらう。
図 3.9: 切 り 貼 り シ ー ト
写 真 3.3: フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ の 結 果 事 例
写 真 3.5: 貼 り 絵 の 結 果 事 例
vi
3.4.3.ス テ ッ プ 3「 景 観 計 画 の 作 成 と ま と め 」
1) 貼 り 絵 計 画 シ ー ト を 使 用 す る
○ねらい
計 画 的 視 点 を 取 り 入 れ 、児 童 に「 計 画 」と い う も
のを“分かり易く”考えてもらう。
○設計内容
写 真 3.7: キ ー ワ ー ド シ ー ト の 使 用 風 景
計 画 の 5W1H か ら 、1∼ 5 の 内 容 を シ ー ト 化 す る 。
3) 景 観 計 画 ワ ー ク シ ー ト
表 3.5: 計 画 の 5W1H
5W
1H
1.When
いつ
×
実施時期はいつか
2.Where
どこで
1
実施場所はどこか
3.Who
誰が
4
実施者は誰か
4.What
何を
2
どんなことをやるのか
5.Why
なぜ
3
必要性はなにか
6.How
どのように
5
どのように実施するか
○ねらい
貼 り 絵 で 行 っ た 景 観 計 画 内 容 を“ 分 か り 易 く ”ま
とめるために景観計画ワークシートを用意する。
○設計内容
景観計画を行うにあたっての地区の目指すべき
将 来 像 を 考 え 、貼 り 絵 で 行 っ た 景 観 計 画 内 容( 貼 り
絵 計 画 シ ー ト )を 景 観 要 素 ご と に 分 類 す た め に 項 目
分けした記入欄を設ける。
図 3.10: 貼 り 絵 計 画 シ ー ト
図 3.12: 景 観 計 画 ワ ー ク シ ー ト
写 真 3.6: ガ リ バ ー マ ッ プ へ の ま と め 方 の 結 果 事 例
3.4.4.ス テ ッ プ 4「 発 表 」
2) キ ー ワ ー ド シ ー ト を 使 用 す る
・ WS の 最 後 に 成 果 を 発 表 す る
○ねらい
○ねらい
調 査 し た 内 容 の 共 有 は も ち ろ ん 、普 段 は あ ま り な
対 象 地 区 の 将 来 像 を 考 え る 上 で 、イ メ ー ジ が 湧 く
い人前での発表を“体験”してもらう。
ような「言葉」としての“ヒント”を与える。
○設計内容
○設計内容
作 成 し た ガ リ バ ー マ ッ プ を 囲 ん で 座 り 、項 目 ワ ー
具体的な固有名詞や児童がイメージしやすい言
クシート用いて地区の景観状況を発表する。
葉をキーワードとしてシートに設ける。
図 3 . 1 3 :「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 発 表 形 式
図 3.11: キ ー ワ ー ド シ ー ト
vii
3.5.「 ま ち な み 景 観 発 表 会 」 の 設 計
② 3 つの視点の追及
ねらいに対応したステップの構成と主な内容を、
表 3.6 に 示 す 。
“ 楽 し さ ” の 追 及 は 、「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観
調 査 WS」 に お け る ガ リ バ ー マ ッ プ ( 1/500: 3m×
表 3 . 6 :「 ま ち な み 景 観 発 表 会 」 ス テ ッ プ 表
ステップ
時間
4m ) を 用 い た 、 非 日 常 的 ス ケ ー ル の 体 験 や 「 ま ち
オリエンテーション
1
児童の保護者にパワーポイントを用いたスライドシ
ョーでこれまで取り組みを紹介し、知ってもらう。
な み 景 観 計 画 づ く り WS」で の 貼 り 絵 づ く り 等 か ら 、
20 分
体 験 的 な 学 習 に よ る“ 楽 し さ ”を 与 え る 仕 組 み づ く
りができた。
発表
2
これまでの取り組みの成果を児童の保護者や地区の
人 、参加 し てい な い 児童( 他 の 学 年 )に 向け て 発 表する
ことにより、まちなみ景観の啓発を図る。
60 分
− 2.“ 分 か り 易 さ ” を 実 現 す る −
“ 分 か り 易 さ ” の 実 現 は 、「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ
講評とまとめ
3
− 1.“ 楽 し さ ” を 追 及 す る −
児 童 の 取 り 組 み に 対 す る 講 評 を 行 い 、景 観 を 意 識 す る
ことの重要性を保護者に伝える。
ン 学 習 」に お け る 良 い 建 築 や 美 し い 風 景 を カ テ ゴ リ
10 分
ーに分けた解説や「まち歩きとまちなみ景観調査
WS 」 の 項 目 ワ ー ク シ ー ト を 用 い た 地 区 の 景 観 状 況
の整理等から “分かり易さ”に配慮した仕組みづ
3.5.2.ス テ ッ プ 2「 発 表 」
くりができた。
・発表の形式を作る
○ねらい
− 3.“ 驚 き の あ る 体 験 ” を 持 つ −
まちなみ景観の啓発と児童のプレゼン力を高め
“ 驚 き の あ る 体 験 ” を 持 つ で は 、「 建 築 と 風 景 の
る た め に 、保 護 者 や 地 区 の 人 、参 加 し て い な い 児 童
に 向 け て 実 施 す る こ と で“ 驚 き の あ る 体 験 ”を 持 つ 。
○設計内容
各 グ ル ー プ が「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 WS」
→ 「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り WS」 の 流 れ で 続 け て
デ ザ イ ン 学 習 」で 、普 段 見 た こ と の な い 世 界 中 の 美
し い 風 景 の 紹 介 や 「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り WS」
におけるフォトモンタージュを用いた景観シミュ
レ ー シ ョ ン 等 か ら 、新 鮮 な“ 驚 き ”を 与 え る よ う な
仕組みづくりができた。
発 表 を 行 う 。ま た 、発 表 の 際 に は 、児 童 が ま ち 歩 き
で 撮 影 し た「 写 真 」及 び ま ち な み 景 観 計 画 づ く り で
以上から、今回、子供を対象とした「景観まち
作 成 し た「 貼 り 絵 シ ー ト 」が 見 や す い よ う に 、ス ク
WS」 は 、 過 去 2 年 度 ( 計 7 回 ) の 実 践 結 果 の ま と
リーンに拡大して映し出す。
めを経て、一応、モデルとしての完成をみた。
4.2.今 後 の 課 題
設 計 し た モ デ ル で 次 年 度 、後 輩 に 実 践 し て も ら い 、
子 供 た ち や WS 実 施 者 等 か ら の 評 価 が 必 要 に な る と
考 え る 。ま た 、小 学 校 の 先 生 等 が 実 践 で き る よ う な
マニュアルを作成することも今後の課題として挙
げられる。
■引用・参考文献
・ 大 谷 英 人 ( 2 00 5 )「 ま ち づ く り ノ ー ト 」、( 株 ) 若 竹 ま ち
づくり研究所
・ 景 観 ま ち づ く り 研 究 会 ( 20 05 )「 景 観 法 を 活 か す 」、 学
芸出版社
・ 梶 島 邦 江 ・ 梅 澤 隆 ( 19 96 )「 こ ど も の ま ち づ く り 学 習 教
材としての「まちの謎解きブック」の有用性に関する
研 究 」 第 31 回 日 本 都 市 計 画 学 会 学 術 研 究 論 文 集
・ 子 供 と ま ち づ く り 研 究 会( 19 9 6 )
「こどもとまちづくり
面 白 さ の 冒 険 」、 風 土 社 ・ 中 村 昌 広 ( 1 9 89 )「 ま ち づ く
りへの参加の新しい局面とその道具としての「ガリバ
ー 地 図 」」、 第 24 回 日 本 都 市 計 画 学 会 学 術 研 究 論 文 集
・ ヘ ン リ ー ・ サ ノ フ ( 19 93 )「 ま ち づ く り ゲ ー ム 環 境 デ
ザ イ ン ワ ー ク シ ョ ッ プ 」、 晶 文 社
・ 曲 田 清 維( 1 99 3 )
「子どもの景観認識に関する研究−町
並 み に お け る 小 景 観 の 評 価 − 」、 19 93 年 度 第 28 回 日 本
都市計画学会学術研究論文集
図 3.14: 発 表 形 式
4.ま と め ( 設 計 の 到 達 点 と 今 後 の 課 題 )
4.1.設 計 を 通 し て “ で き た こ と ”
①
授業の連続性への配慮
モデルプログラムは、
「 1.学 ぶ 」→「 2.探 す 」→「 3.
作 る 」 → 「 4.伝 え る 」 の 流 れ で 、 ま ず 「 景 観 」 に 関
す る 基 礎 知 識 を 身 に 付 け た 上 で 、ま ち 歩 き に よ る ま
ち な み 景 観 調 査 を 行 い 、調 査 内 容 を 反 映 さ せ た ま ち
な み 景 観 計 画 づ く り 行 う 。最 後 に 保 護 者 や 地 区 の 人
に伝えるという授業の連続性に配慮できた。
viii
Master Design 2007
Modeling of landscape planning workshop intended for children
− Study of landscape lecture in elementar y school −
(Abstract)
Course of Infrastructure System Engineering, Graduate School of Engineering,
Kochi University of Technology
1105508 Kyota Shimaoka
Kochi City has been executing the landscape planning lecture in elementary school since 2005. The
purpose of this lecture is to pass on the beauty of landscapes to children and to strengthen the
children’s love toward their towns. I have been involved in the landscape lecture in elementary
school since 2005. Specifically, my role on the project is to design a landscape planning workshop
program and to implement the project. Especially, "landscape planning lecture" is important study
theme for children.
So, the Master’s design aims to design the model of landscape planning workshop intended for
the children that can be used by academic training.
The research method examines the landscape planning workshop that I executed in 2005 and
2006. I make consideration the following three points.
1. Quest of“pleasantness”
2. Realization of“explicitness”
3. Give an“experience of surprise”
As result I design of landscape planning workshop program. The program of the landscape planning
workshop is made up mainly of four steps.
1. Step title:「Architecture and landscape design」
In the First class, we teach the children beautiful landscapes by using various photographs of the
world. The aim is to get the children to recognize an overview of landscapes, first.
2. Step title:「Town watching and exploration of townscape workshop」
In the second class, we get the children to actually walk through their hometowns. The children
make a“Gulliver map”(a big map:1/500,3m×4m) after the town watching.
3. Step title:「Townscape planning workshop」
In the third class, the children are supposed to make a landscape plan of their hometowns.
4. Step title:「Townscape recital」
In the last class, the children give a presentation at parents open day.
Keyword: landscape planning lecture, landscape planning workshop, Gulliver map
本編
目次
1. はじめに
1
1.1. 修士設計の背景
1
1.1.1. 自治体における景観条例の制定と景観法の制定
1
1)自治体における景観条例の制定
1
2)景観法の制定
1
1.1.2. 高知市と国土交通省の取り組み
2
1)高知市による小学校景観出前授業の実施
2
2)国土交通省による「景観まちづくり学習のモデル検証」の実施
2
1.1.3. 子供を対象とした「景観まちづくり学習」の必要性
4
1)現在までのまちづくり学習の歴史
4
2)「景観まちづくり学習」の必要性と今後の取り組み
4
1.2. 修士設計の目的
5
1.3. 修士設計の方法と構成
5
2. 2005 年度、2006 年度小学校景観出前授業「景観まちづくりワークショップ」の総括
6
2.1. 2005 年度、2006 年度小学校景観出前授業の実施概要
6
2.1.1. 高知市における小学校景観出前授業の実施概要
6
2.1.2. 2005 年度小学校景観出前授業の実施概要
7
2.1.3. 2006 年度小学校景観出前授業の実施概要
8
2.2. 2005 年度、2006 年度「景観まちづくりワークショップ」の各ステップの検討
2.2.1.「建築と風景のデザイン学習」の検討
9
9
2.2.2.「まち歩きとまちなみ景観調査ワークショップ」の検討
10
2.2.3.「まちなみ景観計画づくりワークショップ」の検討
11
2.2.4.「まちなみ景観発表会」の検討
13
2.3. 子供を対象とした「景観まちづくりワークショップ」の検討
14
2.3.1. 子供に対応した手法の採用
14
2.3.2.“楽しさ”の追求する
16
2.3.3.“分かり易さ”を実現する
17
2.3.4.“驚きのある体験”を持つ
18
2.3.5.「景観まちづくりワークショップ」モデル設計に向けた総括
19
3. 子供を対象とした「景観まちづくりワークショップ」のモデル設計
21
3.1.「景観まちづくりワークショップ」プログラムの構成と各ステップのねらい
21
3.1.1. プログラムの構成
21
3.1.2. 各ステップのねらい
21
3.2.「建築と風景のデザイン」の設計
22
3.2.1. ステップのねらいと構成内容
23
1)ステップのねらい
23
2)ステップの構成内容
24
3.2.2. ステップ 1「オリエンテーション」
25
1)パワーポイントを用いて説明する
25
2)授業場所の条件設定
26
3.2.3. ステップ 2「良い建築と美しい風景」
1)良い建築、美しい風景の事例をスライド映像で紹介する
3.2.4. ステップ 3「美しい風景のポイント」
1)美しい風景のポイントを視点ごとに解説する
3.2.5. ステップ 4「まとめ」
1)「建築と風景のデザイン学習」の要点をまとめる
3.3.「まち歩きとまちなみ景観調査ワークショップ」の設計
3.3.1. ステップのねらいと構成内容
27
27
32
32
37
37
38
39
1)ステップのねらい
39
2)ステップの構成内容
40
3.3.2. ステップ 1「オリエンテーション」
41
1)パワーポイントを用いて説明する
41
2)アイスブレイクで緊張を解す
42
3.3.3. ステップ 2「まち歩き」
44
1)まち歩きテーマを設定する
44
2)インスタント・カメラの使用する
45
3)まち歩きマップを使用する
46
4)まち歩き記入シートを使用する
47
5)スタッフを各グループの“先生”とする
48
3.3.4. ステップ 3「景観調査のまとめ」
49
1)ガリバーマップを使用した景観調査のまとめ
50
2)項目ワークシートを使用した景観調査の整理
51
3)ふきだしをデザインする
52
4)2 色のシールを用いて表現する
53
5)景観調査のまとめ方を工夫する
54
3.3.5. ステップ 4「発表」
1)発表の形式を作る
3.4.「まちなみ景観計画づくりワークショップ」の設計
55
55
56
3.4.1. ステップのねらいと構成内容
57
1)ステップのねらい
57
2)ステップの構成内容
58
3.4.2. ステップ 1「オリエンテーション」
59
1)パワーポイントを用いて説明する
60
2)フォトモンタージュによる景観シミュレーションクイズ
61
3.4.3. ステップ 2「貼り絵づくり」
63
1)貼り絵シートを使用する
64
2)切り貼りシートを使用する
65
3)貼り絵計画前シートを使用する
70
3.4.4. ステップ 3「景観計画の作成とまとめ」の設計
71
1)景観計画ワークシートを使用する
71
2)貼り絵計画シートを使用する
72
3)キーワードシートを使用する
73
3.4.5. ステップ 4「発表」
1)発表の形式を作る
74
74
3.5.「まちなみ景観発表会」の設計
75
3.5.1. ステップのねらいと構成内容
76
1)ステップのねらい
76
2)ステップの構成内容
77
3.5.2. ステップ 1「オリエンテーション」
1)スライドショーで児童の取り組みを紹介する
3.5.3. ステップ 2「発表」
1)発表の形式を作る
3.5.4. ステップ 3「講評とまとめ」
1)実際に行われている取り組みを紹介する
78
78
79
79
81
81
3.6.吉良川小学校の結果事例
82
4. まとめ(設計の到達点と今後の課題)
95
4.1. 設計を通して“できたこと”
95
4.2. 今後の課題
97
資料編
目次
1. 高知市における小学校景観出前授業の概要
98
1.1. 小学校景観出前授業の背景
98
1.2. 小学校景観出前授業の目的
98
1.3. 小学校景観出前授業の実施内容
98
2. 2005 年度小学校景観出前授業における「景観まちづくりワークショップ」の設計
99
2.1.「景観まちづくりワークショップ」プログラムの構成と各ステップのねらい
99
2.2.「まち歩きとガリバー地図づくりワークショップ」の設計
100
2.2.1. ステップのねらいと構成内容
100
2.2.2. ステップ 1「オリエンテーション」
102
2.2.3. ステップ 2「まち歩き」
104
2.2.4. ステップ 3「景観調査のまとめ」
109
2.2.5. ステップ 4「発表」
112
2.3.「世界の建築物と景観」の設計
113
2.3.1. ステップのねらいと構成内容
113
2.3.2. ステップ 1「オリエンテーション」
115
2.3.3. ステップ 2「空間のデザイン」
116
2.4.「建築と風景のデザイン」の設計
117
2.4.1. ステップのねらいと構成内容
117
2.4.2. ステップ 1「オリエンテーション」
119
2.4.3. ステップ 2「貼り絵づくり」
120
2.4.4. ステップ 3「アーチ橋模型づくり」
124
2.5.「まちなみ景観計画づくりワークショップ」の設計
2.5.1. ステップのねらいと構成内容
126
127
3. 2006 年度小学校景観出前授業における「景観まちづくりワークショップ」の設計
128
3.1.「景観まちづくりワークショップ」プログラムの構成と各ステップのねらい
128
3.2.「まち歩きとガリバー地図づくりワークショップ 1」の設計内容
129
3.2.1. ステップのねらいと構成内容
129
3.2.2. ステップ 1「オリエンテーション」
131
3.2.3. ステップ 2「まち歩き」
133
3.2.4. ステップ 3「地区環境調査のまとめ」
139
3.2.5. ステップ 4「発表」
143
3.3.「建築と風景のデザイン」の設計
144
3.3.1. ステップのねらいと構成内容
144
3.3.2. ステップ 1「オリエンテーション」
146
3.3.3. ステップ 2「良い建築と美しい風景」
147
3.3.4. ステップ 3「美しい風景のポイント」
148
3.3.5. ステップ 4「まとめ」
149
3.4.「まち歩きとガリバー地図づくりワークショップ 2」の設計
150
3.4.1. ステップのねらいと構成内容
150
3.4.2. ステップ 1「オリエンテーション」
152
3.4.3. ステップ 2「まち歩き」
153
3.4.4. ステップ 3「景観調査のまとめ」
154
3.4.5. ステップ 4「発表」
155
3.5.「まちなみ景観計画づくりワークショップ」の設計
156
3.5.1. ステップのねらいと構成内容
157
3.5.2. ステップ 1「オリエンテーション」
158
3.5.3. ステップ 2「貼り絵づくり」
162
3.5.4. ステップ 3「景観計画の作成とまとめ」
167
3.5.5. ステップ 4「発表」
168
3.6.「まちなみ景観発表会」の設計
169
3.6.1. ステップのねらいと構成内容
170
3.6.2. ステップ 1「オリエンテーション」
171
3.6.3. ステップ 2「発表」
172
3.6.4. ステップ 3「講評とまとめ」
174
謝辞
175
引用・参考文献
176
本編
図・表・写真一覧
図 1.1:修士設計の構成
5
図 3.1:全体マップ
46
図 3.2:地区マップ
47
図 3.3:まち歩き記入シート
48
図 3.4:ガリバーマップ
50
図 3.5:項目ワークシート
51
図 3.6:ふきだしのデザイン
52
図 3.7:ガリバーマップのレイアウト
54
図 3.8:「まち歩きとまちなみ景観調査ワークショップ」発表形式
55
図 3.9:貼り絵づくりイメージ
63
図 3.10:貼り絵シート
64
図 3.11:貼り絵の主な視点例
64
図 3.12:建物シート
65
図 3.13:道シート
66
図 3.14:塀シート
66
図 3.15:樹木シート
67
図 3.16:花畑シート(ヒマワリ)
68
図 3.17:花畑シート(コスモス)
68
図 3.18:花畑シート(ナノハナ)
69
図 3.19:自由シート
69
図 3.20:景観計画ワークシート
71
図 3.21:貼り絵計画シート
72
図 3.22:キーワードシート
73
図 3.23:「まちなみ景観計画づくりワークショップ」発表形式
74
図 3.24:「まち歩きとまちなみ景観調査ワークショップ」発表形式(まちなみ景観発表会)
80
図 3.25:「まちなみ景観計画づくりワークショップ」発表形式(まちなみ景観発表会)
80
表 1.1:国土交通省による「景観まちづくり学習のモデル検証」実施概要
3
表 2.1:高知市における小学校景観出前授業の概要
6
表 2.2:「景観まちづくりワークショップ」プログラム表(2005 年度)
7
表 2.3:「景観まちづくりワークショップ」プログラム表(2006 年度)
8
表 2.4:「建築と風景のデザイン学習」検討表(2005 年度、2006 年度)
9
表 2.5:「まち歩きとまちなみ景観調査ワークショップ」検討表(2005 年度、2006 年度)
10
表 2.6:「まちなみ景観計画づくりワークショップ」検討表(2005 年度、2006 年度)
11
表 2.7:「まちなみ景観発表会」検討表(2005 年度、2006 年度)
13
表 2.8:「景観まちづくりワークショップ」子供・大人別の手法分類表
14
表 2.9:“楽しさ”の追及する(2005 年度、2006 年度)
16
表 2.10:“分かり易さ”を実現する(2005 年度、2006 年度)
17
表 2.11:“驚きのある体験”を持つ(2005 年度、2006 年度)
18
表 2.12:「景観まちづくりワークショップ」モデル設計に向けた総括表
19
表 3.1:「景観まちづくりワークショップ」プログラム構成
21
表 3.2:「建築と風景のデザイン学習」構成のねらい
23
表 3.3:「建築と風景のデザイン学習」ステップ表
24
表 3.4:景観構成要素の分類
27
表 3.5:「まち歩きとまちなみ景観調査ワークショップ」構成のねらい
39
表 3.6:「まち歩きとまちなみ景観調査ワークショップ」ステップ表
40
表 3.7:「まちなみ景観計画づくりワークショップ」構成のねらい
57
表 3.8:「まちなみ景観計画づくりワークショップ」ステップ表
58
表 3.9:計画の5W1H
72
表 3.10:「まちなみ景観発表会」構成のねらい
76
表 3.11:「まちなみ景観発表会」ステップ表
77
写真 3.1:スライド映像を用いた学習
25
写真 3.2:スライド映像を鮮明に映す条件設定
26
写真 3.3:自然なもの 1
28
写真 3.4:自然なもの 2
28
写真 3.5:自然なもの 3
28
写真 3.6:自然なもの 4
28
写真 3.7:建物 1
28
写真 3.8:建物 2
28
写真 3.9:建物群 1
29
写真 3.10:建物群 2
29
写真 3.11:まちなみ 1
29
写真 3.12:まちなみ 2
29
写真 3.13:庭 1
29
写真 3.14:庭 2
29
写真 3.15:道 1
30
写真 3.16:道 2
30
写真 3.17:ストリート・ファニチャー1
30
写真 3.18:ストリート・ファニチャー2
30
写真 3.19:橋 1
30
写真 3.20:橋 2
30
写真 3.21:港 1
31
写真 3.22:港 2
31
写真 3.23:生活 1
31
写真 3.24:生活 2
31
写真 3.25:ルール(事例 1)
33
写真 3.26:ルール(事例 2)
33
写真 3.27:ルール(事例 3)
33
写真 3.28:ルール(事例 4)
33
写真 3.29:視点場(事例 1)
34
写真 3.30:視点場(事例 2)
34
写真 3.31:視点場(事例 3)
34
写真 3.32:視点場(事例 4)
34
写真 3.33:背景(事例 1)
35
写真 3.34:背景(事例 2)
35
写真 3.35:背景(事例 3)
35
写真 3.36:背景(事例 4)
35
写真 3.37:偽物(事例 1)
36
写真 3.38:偽物(事例 2)
36
写真 3.39:偽物(事例 3)
36
写真 3.40:偽物(事例 4)
36
写真 3.41:「建築と風景のデザイン学習」のまとめ
37
写真 3.42:パワーポイントを用いたオリエンテーション
41
写真 3.43:緊張を解すためのアイスブレイク
42
写真 3.44:“誕生日チェーン”の風景 1
43
写真 3.45:“誕生日チェーン”の風景 2
43
写真 3.46:“人数を集めろ”の風景 1
43
写真 3.47:“人数を集めろ”の風景 2
43
写真 3.48:テーマを持ったまち歩き
44
写真 3.49:インスタント・カメラを使用したまち歩き
45
写真 3.50:グループの“先生”となるスタッフ
49
写真 3.51:2 色のシールを使ってガリバーマップに表現
53
写真 3.52:パワーポイントを用いたオリエンテーション
59
写真 3.53:フォトモンタージュによる景観シミュレーションクイズ
60
写真 3.54:フォトモンタージュ/電柱・電線の地中化 1
61
写真 3.55:フォトモンタージュ/電柱・電線の地中化 2
61
写真 3.56:フォトモンタージュ/農具の撤去 1
61
写真 3.57:フォトモンタージュ/農具の撤去 2
62
写真 3.58:フォトモンタージュ/ゴミの撤去 1
62
写真 3.59:フォトモンタージュ/ゴミの撤去 2
62
写真 3.60:貼り絵計画前シートを用いた貼り絵イメージの検討
70
写真 3.61:スライドショーを用いた児童の取り組み紹介
78
写真 3.62:「まちなみ景観発表会」の風景
79
写真 3.63:パワーポイントを用いた発表会のまとめ
81
写真 3.64:パソコン教室にて実施
82
写真 3.65:授業前の風景
82
写真 3.66:スライド映像を用いた授業風景 1
83
写真 3.67:スライド映像を用いた授業風景 2
83
写真 3.68:オリエンテーションの風景
84
写真 3.69:まち歩きの風景
84
写真 3.70:ガリバーマップ作成の作業風景 1
85
写真 3.71:ガリバーマップ作成の作業風景 2
85
写真 3.72:項目ワークシート作成の作業風景
86
写真 3.73:完成したガリバーマップ
86
写真 3.74:項目ワークシートを使用した発表風景
87
写真 3.75:地区の景観状況を紹介
87
写真 3.76:使用する貼り絵シートや景観計画ワークシート等のワークショップ道具
88
写真 3.77:貼り絵計画前シートを使用した計画のイメージづくり
88
写真 3.78:貼り絵づくりの風景
89
写真 3.79:貼り絵計画シートの作成風景
89
写真 3.80:完成したガリバーマップ
90
写真 3.81:キーワードシートを用いた地区の将来像の検討
90
写真 3.82:景観計画ワークシートを用いた景観計画の作成
91
写真 3.83:発表風景
91
写真 3.84:発表前の練習風景
92
写真 3.85:会場の風景
92
写真 3.86:発表風景 1
93
写真 3.87:発表風景 2
93
写真 3.88:吉良川に対する想いを地域に向けて発信 1
94
写真 3.89:吉良川に対する想いを地域に向けて発信 2
94
資料編
図・表・写真一覧
図 2.1:全体マップ
106
図 2.2:地区マップ
107
図 2.3:ガリバーマップ
109
図 2.4:ふきだしのデザイン
110
図 2.5:「まち歩きとガリバー地図づくりワークショップ」発表形式
112
図 2.6:貼り絵シート
120
図 2.7:背景シート(空)
121
図 2.8:背景シート(山)
122
図 2.9:花畑シート(ナノハナ)
122
図 2.10:樹木シート
123
図 3.1:全体マップ
135
図 3.2:地区マップ
136
図 3.3:まち歩き記入シート
137
図 3.4:ガリバーマップ
139
図 3.5:項目ワークシート
140
図 3.6:ふきだしのデザイン
141
図 3.7:「まち歩きとガリバー地図づくりワークショップ 1」発表形式
143
図 3.8:項目ワークシート
154
図 3.9:貼り絵シート
162
図 3.10:貼り絵の主な視点例
162
図 3.11:生垣シート
163
図 3.12:樹木シート
164
図 3.13:花畑シート(ヒマワリ)
165
図 3.14:花畑シート(コスモス)
165
図 3.15:花畑シート(ナノハナ)
166
図 3.16:景観計画ワークシート
167
図 3.17:「まちなみ景観計画づくりワークショップ」発表形式
168
図 3.18:「まち歩きとガリバー地図づくりワークショップ 2」発表形式(まちなみ景観発表会)
173
図 3.19:「まちなみ景観計画づくりワークショップ」発表形式(まちなみ景観発表会)
173
表 2.1:「景観まちづくりワークショップ」プログラム表(2005 年度)
99
表 2.2:「まち歩きとガリバー地図づくりワークショップ」ステップ表
101
表 2.3:「世界の建築物と景観」ステップ表
114
表 2.4:「建築と風景のデザイン」ステップ表
118
表 2.5:「まちなみ景観計画づくりワークショップ」ステップ表
127
表 3.1:「景観まちづくりワークショップ」プログラム表(2006 年度)
128
表 3.2:「まち歩きとガリバー地図づくりワークショップ 1」ステップ表
130
表 3.3:「建築と風景のデザイン」ステップ表
145
表 3.4:「まち歩きとガリバー地図づくりワークショップ 2」ステップ表
151
表 3.5:「まちなみ景観計画づくりワークショップ」ステップ表
157
表 3.6:「まちなみ景観発表会」ステップ表
170
写真 2.1:パワーポイントを用いたオリエンテーション
102
写真 2.2:テーマを持ったまち歩き
104
写真 2.3:インスタント・カメラを使用したまち歩き
105
写真 2.4:グループの“先生”となるスタッフ
108
写真 2.5:ふきだしへの記入
110
写真 2.6:2 色のシールを用いてガリバーマップに表現
111
写真 2.7:パワーポイントを用いた講義学習
115
写真 2.8:空間(事例 1)
116
写真 2.9:空間(事例 2)
116
写真 2.10:ルール(事例 1)
116
写真 2.11:ルール(事例 2)
116
写真 2.12:「貼り絵ボード」を用いたオリエンテーション
119
写真 2.13:「アーチ橋模型づくり」制作風景1
124
写真 2.14:「アーチ橋模型づくり」制作風景 2
125
写真 2.15:「アーチ橋模型づくり」制作風景 3
125
写真 3.1:パワーポイントを用いたオリエンテーション
131
写真 3.2:テーマを持ったまち歩き
133
写真 3.3:インスタント・カメラを使用したまち歩き
134
写真 3.4:グループの“先生”となるスタッフ
138
写真 3.5:ふきだしへの記入
141
写真 3.6:2 色のシールを用いてガリバーマップに表現
142
写真 3.7:スライド映像を用いた学習
146
写真 3.8:スライド映像による美しい風景の事例紹介
147
写真 3.9:スライド映像による風景のポイントの事例紹介
148
写真 3.10「建築と風景のデザイン」のまとめ
149
写真 3.11:テーマを持ったまち歩き
153
写真 3.12:パワーポイントを用いたオリエンテーション
158
写真 3.13:フォトモンタージュによる景観シミュレーションクイズ
159
写真 3.14:フォトモンタージュ/電柱・電線の地中化 1
160
写真 3.15:フォトモンタージュ/電柱・電線の地中化 2
160
写真 3.16:フォトモンタージュ/自転車の撤去
160
写真 3.17:「貼り絵ボード」を用いたオリエンテーション
161
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
1.はじめに
1.1.修 士設 計 の背 景
1.1.1.自 治 体 に お け る 景 観 条 例 の 制 定 と 景 観 法 の 制 定
1)自治体における景観条例の制定
わ が 国 の 景 観 ま ち づ く り は 、戦 後 の 急 速 な 都 市 化 の 進 展 の 中 で 、経 済 性 や 効 率 性 、機 能 性 が 重
視 さ れ た 結 果 、美 し さ へ の 配 慮 を 欠 い て い た こ と は 否 め な い 。し か し 、近 年 、都 市 あ る い は 農 村
の 景 観 形 成 施 策 が 注 目 さ れ 、各 都 道 府 県 、市 町 村 に お い て は 景 観 条 例 を 制 定 す る 自 治 体 が 増 え て
き た 。自 治 体 に お け る 景 観 条 例 は 1970 年 代 か ら 制 定 さ れ て い る 。代 表 的 な 地 区 と し て 、京 都 市 、
神 戸 市 等 が 挙 げ ら れ る 。 1972 年 に は 京 都 市 市 街 地 景 観 条 例 が 制 定 さ れ 、 横 浜 市 で は 1973 年 に
市 街 地 環 境 設 計 制 度 が 創 設 さ れ た 。 そ し て 、 こ れ ら に 続 い て 神 戸 市 で も 、 1978 年 、 都 市 景 観 条
例 を 制 定 し 、以 後 、現 在 ま で に い く つ も の 自 治 体 で 市 街 地 景 観 を コ ン ト ロ ー ル す る 同 様 の 取 り 組
み が な さ れ て お り 、 高 知 市 で は 、 1996 年 に 建 築 物 や 屋 外 広 告 物 に 対 す る ル ー ル や 基 準 を 定 め る
高知市都市美条例を制定している。
こ の よ う な 市 街 地 の 美 観 を 維 持 す る た め の 制 度 は 、 1919 年 の 市 街 地 建 築 物 法 制 定 当 時 か ら 、
す で に 「 美 観 地 区 」 が 用 意 さ れ て い た が 、 1970 年 代 に 至 る ま で は 景 観 に ま で 配 慮 す る 余 裕 が な
く、市民のコンセンサスが得にくかったことから、それまでに美観地区を指定したのは5都市、
運 用 は 2 都 市 に 過 ぎ な か っ た 。 そ し て 、 1970 年 代 以 降 の ダ イ ナ ミ ッ ク に 変 化 す る 都 市 景 観 を コ
ン ト ロ ー ル す る 制 度 と し て 柔 軟 性 が 求 め ら れ た 結 果 、地 方 自 治 体 の 独 自 の 制 度 が 各 地 で 創 設 さ れ
ることになった。
2) 景 観 法 の 制 定
わ が 国 初 の 景 観 に 関 す る 総 合 的 な 法 律 で あ る「 景 観 法 」は 、2004 年 6 月 11 日 に 全 会 一 致 で 成
立 し 、 同 年 6 月 18 日 に 公 布 さ れ た 。 景 観 法 は 、 景 観 を 整 備 ・ 保 全 す る た め の 基 本 理 念 を 明 確 に
し 、住 民 、事 業 者 、行 政 の 責 務 を 明 確 化 し て い る 。景 観 法 が 全 面 施 行 に よ り 、自 治 体 に と っ て 都
市 を 景 観 と い う 視 点 か ら 、市 民 と 共 に も う 一 度 き ち ん と 見 直 す 絶 好 の 機 会 と な っ て い る 。景 観 規
制 に 法 的 根 拠 が 樹 立 さ れ る こ と に よ っ て 、自 治 体 の 景 観 行 政 は 確 実 に 次 の 段 階 に 進 む こ と に な る 。
1
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
1.1.2.高 知 市 と 国 土 交 通 省 の 取 り 組 み
1)高知市による小学校景観出前授業の実施
高 知 市 で は 、 2005 年 度 よ り 、 こ れ か ら の 社 会 を 担 う 小 学 校 の 子 供 た ち ( 児 童 ) を 対 象 に 、 地
域の「景観」について意識する機会として、小学校景観出前授業を実施している。この企画は、
高 知 市 が 1996 年 4 月 に 高 知 市 都 市 美 条 例 を 制 定 、 2004 年 4 月 に は 、 景 観 法 も 制 定 さ れ た こ と
か ら 、全 体 が 調 和 し た 美 し い ま ち な み を 目 指 す 心 を 養 っ て も ら お う と 、2005 年 10 月 4 日 の「 都
市 景 観 の 日 」に 合 わ せ て 企 画 し た も の で あ る 。具 体 的 に は 、小 学 校 の 教 育 課 程 に お け る「 総 合 的
な 学 習 の 時 間 」一 環 と し て 、景 観 や 都 市 計 画 に つ い て 専 門 的 な 知 識 を 持 つ 本 大 学 と 高 知 市 と の 連
携 に よ り 、学 校 や 地 域 の 特 性 に 合 わ せ た 体 験 的 な 学 習 活 動 の 実 施 を 図 る と い う も の で 、高 知 市 内
の小学校を対象に実施している。
2)国土交通省による「景観まちづくり学習のモデル検証」の実施
国 土 交 通 省 で は 、 事 業 内 容 と し て 、「 美 し い ま ち な み 賞 」 や 「 景 観 形 成 ガ イ ド ラ イ ン 作 成 」 な
ど が 実 施 さ れ て い る 。そ の 1 つ に 、
「 景 観 ま ち づ く り 教 育 」が あ る が 、2007 年 度 よ り や っ と「 景
観 ま ち づ く り 学 習 」 に 視 点 を あ て 、 学 校 教 育 で 活 用 で き る 「景 観 ま ち づ く り 学 習 」の モ デ ル プ ロ グ
ラ ム (題 材 )の 検 証 を 行 う 研 究 を 進 め て い る 。実 施 概 要 と し て は 、
「 景 観 ま ち づ く り 学 習 」推 進 の た
め に 実 践 モ デ ル 校 を 全 国 の 小 学 校 に 募 集 し 、18 校 が モ デ ル 校 と し て 採 用 さ れ て い る 。こ こ で は 、
「 景 観 ま ち づ く り 学 習 」 を 、「 今 後 、 各 地 で 個 性 あ る 美 し い ま ち づ く り が 進 ん で い く よ う 、 景 観
に 関 心 を 持 ち 、良 好 な 景 観 づ く り を 自 ら の 問 題 だ と 考 え る 人 づ く り を ね ら い と し 、取 り 組 ん で い
くものである」と定義付けしている。
検 証 を 行 っ て い る モ デ ル プ ロ グ ラ ム は 11 種 類 が 用 意 さ れ 、 < 気 づ く > 、 < 調 べ る > 、 < 考 え
る > 、 < 行 動 す る > と い う 一 連 の 学 習 過 程 を 想 定 し 、 組 み 立 て ら れ て い る 。 最 初 は 、「 景 観 ( ま
ち や 自 然 の 見 た 目 )」 に 気 づ く こ と か ら 始 ま り 、 段 階 を 追 っ て 、 現 在 に 見 ら れ る 「 景 観 」 の 理 由
や 、「 景 観 」や 「 景 観 ま ち づ く り 」に つ い て 考 え る よ う 促 し 、「 景 観 ま ち づ く り 」 に 関 す る 具 体 的
な 行 動 に 繋 げ て い く と い う 展 開 と な っ て い る 。 実 施 概 要 を 表 1.1 に 示 す 。
2
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
表 1.1: 国 土 交 通 省 に よ る 「 景 観 ま ち づ く り 学 習 の モ デ ル 検 証 」 実 施 概 要
○主催
国土交通省都市・地域整備局都市計画課景観室
○実施目的
良好な景観づくりのためには、景観に関する意識の啓発、知識の普
及等を目的とした「景観まちづくり学習」が重要であるとの視点か
ら、文部科学省の協力も得て、当該取組の促進についての調査研究
を進めている。その取り組みの一環として、学校教育で活用できる
「景 観 ま ち づ く り 学 習 」の モ デ ル プ ロ グ ラ ム (題 材 )の 検 証 を 行 う 。
○実施内容
「景 観 ま ち づ く り 学 習 」の モ デ ル プ ロ グ ラ ム の 中 か ら 実 施 す る プ ロ グ
ラ ム を 主 に 「総 合 的 な 学 習 の 時 間 」を 用 い て 授 業 を 実 施 す る 。 実 施 モ
デ ル 校 は 、モ デ ル プ ロ グ ラ ム の 評 価 と 実 際 の 取 組 結 果 (具 体 の 実 施 内
容 )に つ い て 報 告 を 行 う 。
○実施期間
平 成 19 年 4 月 1 日 ∼ 9 月 30 日
○モデルプログラム
1.ひ そ ん で い る ぞ ! カ オ ・ か お ・ 顔
2.こ れ は ど こ だ ? 探 し て み よ う ま ち パ ー ツ
3.よ く よ く 見 れ ば あ の 場 所 に
4.ま ち の 色 ・ い ろ い ろ
5.こ ん な ま ち が 好 き ! ∼ 塀 も ま ち の 景 観 の 一 部 ∼
6.地 域 カ ル タ を つ く ろ う
7.住 み た い ま ち は ど ん な ま ち ? ∼ み ん な で 写 真 展 を 開 こ う ∼
8.看 板 か ら の 風 景 を 考 え る
9.わ た し た ち の み ち ∼ 思 い 出 の 風 景 ア ル バ ム を つ く ろ う ∼
10.わ た し た ち の 住 む ま ち こ ん な ま ち ∼ 校 歌 の 風 景 を 読 む ∼
11.地 域 景 観 プ ラ ン ナ ー に な ろ う
○実施モデル校
1. 北 海 道
北海道教育大学附属函館小学校
2. 山 形 県
金山町立金山小学校
3. 福 島 県
いわき市立中央台東小学校
4. 茨 城 県
桜川市立羽黒小学校
5. 茨 城 県
行方市立羽生小学校
6. 千 葉 県
市川市立宮田小学校
7. 東 京 都
世田谷区立桜丘小学校
8. 新 潟 県
妙高市立斐太南小学校
9. 長 野 県
長野市立後町小学校
10.愛 知 県
碧南市立大浜小学校
11.愛 知 県
豊田市立童子山小学校
12.愛 知 県
小坂井町立小坂井西小学校
13.三 重 県
紀北町立西小学校
14.岡 山 県
岡山市立福浜小学校
15.香 川 県
香川大学教育学部附属高松小学校
16.宮 崎 県
宮崎市立赤江小学校
17.宮 崎 県
日南市立油津小学校
18.宮 崎 県
日向市立富高小学校
3
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
1.1.3.子 供 を 対 象 と し た 「 景 観 ま ち づ く り 学 習 」 の 必 要 性
1) 現 在 ま で の ま ち づ く り 学 習 の 歴 史
学 校 教 育 に お け る「 ま ち づ く り 学 習 」は 、主 と し て 家 庭 科 や 社 会 科 で 扱 わ れ て き た 。家 庭 科 で
は 、 住 ま い 方 や 住 居 管 理 的 側 面 か ら 、 社 会 科 で は 小 学 校 3、 4 年 で 地 域 学 習 、 中 学 校 で は 地 理 的
分 野 を 中 心 に 、都 市 の 構 成 や 産 業 と 関 連 し な が ら 都 市 ・ 農 村 の 学 習 と し て 繰 り 広 げ ら れ た 。こ の
中 で 、家 庭 科 で は 、男 女 別 の 内 容 や 選 択 制 で あ っ た た め 一 貫 し て の 男 女 で の 教 育 が 実 施 さ れ た の
は 、 1980 年 代 に 入 っ て か ら で あ っ た 。 こ う し た 学 習 形 態 に 変 化 が あ っ た の は 、 生 活 科 の 誕 生 、
環 境 学 習 の 確 立 、総 合 的 な 学 習 の 時 間 の 創 設 、学 校 週 5 日 制 な ど に よ り 、子 供 主 体 の 学 習 展 開 の
舞 台 が 整 っ た と い え る 。し か し 、子 供 の 問 題 の 複 雑 化 ・ 多 様 化 に 加 え て 、学 力 問 題 、ゆ と り 教 育
な ど 、学 校 教 育 へ の 批 判 が 顕 著 化 し 、と り わ け 総 合 学 習 の あ り 方 に つ い て は 、様 々 な 議 論 が な さ
れ、学校現場はいささか混乱を来していると言っても過言ではない。
ま ち づ く り 学 習 に 関 す る 代 表 的 な 既 往 研 究 に は 、 梶 島 ら ( 梶 島 、 梅 澤 ,「 こ ど も の ま ち づ く り
学 習 教 材 と し て の 「 ま ち の な ぞ 解 き ブ ッ ク 」 の 有 用 性 に 関 す る 研 究 」 1996) の 研 究 が あ る 。 こ
の 研 究 で は 、子 供 の ま ち づ く り 学 習 は 、い ま だ に 体 系 だ っ て 実 践 さ れ て い る も の で は な い が 、現
在では、すでにいくつもの場面で行われていることを述べている。
2)「 景 観 ま ち づ く り 学 習 」 の 必 要 性 と 今 後 の 取 り 組 み
子供を対象としたまちづくり学習の中でも、特に「景観」に注目した「景観まちづくり学習」
は 、子 供 の ま ち へ の 関 心 を 高 め 、地 域 社 会 へ の 愛 着 を 育 む と 共 に 、次 世 代 の ま ち づ く り の 担 い 手
を 育 成 す る 上 で 重 要 な 学 習 テ ー マ の 一 つ と 言 え る 。ま た 、単 に 教 育 的 な 効 果 だ け で な く 、子 供 の
意 見 を 実 際 の 景 観 ま ち づ く り へ 活 か し て い く 上 で も 大 き な 可 能 性 を 有 し て い る 。小 学 校 な ど に お
け る 体 験 的 な 景 観 ま ち づ く り 学 習 は 、今 後 の 市 民 参 加 の 景 観 ま ち づ く り を 啓 発・推 進 す る 上 で も
重 要 で あ る 。し か し 、 子 供 の 目 を 通 し た「 景 観 」 の 研 究 や 空 間 認 識 の 研 究 に 関 し て は 、 池 田( 池
田 「 子 供 の 眼 で 見 た 都 市 景 観 」 1987) や 曲 田 ( 曲 田 ,「 子 供 の 景 観 認 識 に 関 す る 研 究 」 1996) ら
に よ っ て 近 年 蓄 積 が 進 ん で い る が 、「 景 観 ま ち づ く り 学 習 」 は 体 系 だ っ て 確 立 、 実 践 さ れ て い な
い 現 状 に あ る 。「 景 観 ま ち づ く り 学 習 」 の 到 達 点 を 確 認 し な が ら 、 子 供 主 体 の 景 観 ま ち づ く り 学
習 の あ り 方 を 掲 示 す る と 同 時 に 、こ れ ま で の 蓄 積 を 通 じ て 、そ の お も し ろ さ や 楽 し さ 、子 供 の 獲
得すべきものなどを具体的に示していくことが、私たちに求められていると言える。
4
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
1.2.修 士設 計 の目 的
本 修 士 設 計 は 、「 景 観 ま ち づ く り 学 習 」 の 先 駆 け と し て 、 学 校 教 育 の 中 で 活 用 で き る 子 供 を 対
象とした「景観まちづくりワークショップ」のモデル設計を行うことを目的とする。
1.3.修 士設 計 の方 法 と構 成
修 士 設 計 の 方 法 は 、私 が 当 初 よ り 企 画 、設 計 、実 施 に 携 わ っ て き た 2005 年 度 、2006 年 度「 小
学 校 景 観 出 前 授 業 」の 2 年 間 の 実 施 を 検 討( 総 括 )し 、そ れ を 基 に 子 供 を 対 象 と し た「 景 観 ま ち
づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 の モ デ ル 設 計 を 行 う 。 修 士 設 計 の 構 成 は 、 図 1.1 の 通 り で あ る 。
図 1.1 修 士 設 計 の 構 成
5
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
2.2005 年度、2006 年度小学校景観出前授業
「景観まちづくりワークショップ」の総括
2.1.2005 年 度 、 2006 年 度 小 学 校 景 観 出 前 授 業 の 実 施 概 要
2.1.1.高 知 市 に よ る 小 学 校 景 観 出 前 授 業 の 概 要
高 知 市 で は 、 2005 年 度 よ り 、 こ れ か ら の 社 会 を 担 う 小 学 校 の 子 供 た ち ( 児 童 ) を 対 象 に 、 地
域 の「 景 観 」に つ い て 意 識 す る 機 会 と し て 、小 学 校 景 観 出 前 授 業 を 実 施 し て い る 。小 学 校 景 観 出
前 授 業 の 実 施 概 要 を 表 2.1 に 示 す 。
表 2.1: 小 学 校 景 観 出 前 授 業 の 概 要
○主催
高知市都市整備部都市計画課
○実行
高 知 工 科 大 学 社 会 シ ス テ ム 工 学 科( 都 市 計 画 研 究 室・デ ザ イ ン 研 究 室 )
○実施目的
こ れ か ら の 社 会 を 担 う 小・中 学 校 の 児 童 生 徒 を 対 象 と し て 、景 観 や ま
ち づ く り に 関 す る 出 前 授 業 を 実 施 す る こ と に よ り 、児 童 生 徒 が 地 域 の
景 観 を 意 識 す る 機 会 と し 、併 せ て 児 童 の 保 護 者 や 地 域 コ ミ ュ ニ テ ィ に
対し、景観に対する意識の啓発を図ることを目的とする。
○実施内容
小 学 校 の 教 育 課 程 に お け る「 総 合 的 な 学 習 の 時 間 」の 一 環 と し て 、景
観や都市計画について専門的な知識を持つ本大学と高知市との連携
により、学校や地域の特性に合わせた体験的な学習活動の実施を図
る。
○実施校及び実施日
○ 高 知 市 立 江 ノ 口 小 学 校 ( 5 学 年 39 名 )
第 1 回 : 9 月 26 日 ( 月 ) 10:50∼ 15:40( 3∼ 6 時 間 目 )
第 2 回 : 10 月 18 日 ( 火 ) 14:00∼ 15:40( 5、 6 時 間 目 )
第 3 回 : 10 月 27 日 ( 木 ) 14:00∼ 15:40( 5、 6 時 間 目 )
2005 年 度
第 4 回 : 11 月 21 日 ( 月 ) 10:50∼ 15:40( 3∼ 6 時 間 目 )
○高知市立土佐山小学校(6 学年 6 名)
第 1 回 : 10 月 24 日 ( 月 ) 10:50∼ 15:40( 3∼ 6 時 間 目 )
第 2 回 : 10 月 25 日 ( 火 ) 10:30∼ 12:10( 3、 4 時 間 目 )
第 3 回 : 10 月 27 日 ( 木 ) 8:25∼ 15:40( 1、 2 時 間 目 )
第 4 回 : 11 月 14 日 ( 月 ) 10:30∼ 15:25( 3∼ 6 時 間 目 )
○ 高 知 市 立 三 里 小 学 校 ( 5 学 年 62 名 )
第 1 回 : 1 月 30 日 ( 火 ) 8:50∼ 15:40( 1∼ 6 時 間 目 )
2006 年 度
第 2 回 : 2 月 1 日 ( 木 ) 10:50∼ 12:30( 3、 4 時 間 目 )
第 3 回 : 2 月 5 日 ( 月 ) 8:50∼ 15:40( 1∼ 6 時 間 目 )
第 4 回 : 2 月 8 日 ( 木 ) 8:50∼ 12:30( 1∼ 4 時 間 目 )
第 5 回 : 2 月 16 日 ( 金 ) 14:00∼ 15:40( 5、 6 時 間 目 )
6
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子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
2.1.2.2005 年 度 小 学 校 景 観 出 前 授 業 の 概 要
2005 年 度 の「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 は 、 プ ロ グ ラ ム を 4 部 構 成 と し 、「 1.知 る 」 →
「 2.学 ぶ 」 → 「 3.学 ぶ 」 → 「 4.作 る 」 と い う 学 習 過 程 を 流 れ と し て 構 成 し た ( 表 2.2 参 照 )。 構 成
内 容 と し て 、 最 初 は 、 自 分 た ち ( 児 童 ) が 住 ん で い る 地 区 を 観 察 し 、「 景 観 」 の 視 点 か ら 良 い と
ころ、悪いところを“知る”ことに始まり、次に風景の見方、捉え方を「建築」と「土木」の視
点 か ら “ 学 ぶ ”。 最 後 に 、 自 分 た ち ( 児 童 ) が 住 ん で い る 地 区 を 良 く す る た め に 、 実 際 に 景 観 計
画を“作る”という展開になっている。
※ 設 計 内 容 は 、 資 料 編 『 2.2005 年 度 小 学 校 景 観 出 前 授 業 に お け る 「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ
ョップ」の設計』を参照。
表 2.2:「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 プ ロ グ ラ ム 表 ( 2005 年 度 )
回
キーワード
授業タイトルとねらい
「まち歩きとガリバー地図づくりワークショップ」
1
“知る”
授業形式
授業時間
ワーク
180 分
ま ち ( 地 区 ) を 観 察 し 、 景 観 と い う 視 点 か ら 「 良 い と こ ろ 」、
ショップ
「悪いところ」を“知る”
「世界の建築物と景観」
2
講義
90 分
講義
90 分
景 観 を「 建 築 」の 視 点 か ら ス ラ イ ド 映 像 を 用 い て 事 例 か ら“ 学
ぶ”
“学ぶ”
「建築と風景のデザイン」
3
景 観 を「 土 木 」の 視 点 か ら 、貼 り 絵 や ア ー チ 模 型 づ く り を 通 し
て“学ぶ”
「まちなみ景観計画づくりワークショップ」
4
“作る”
ワーク
180 分
自 分 た ち( 児 童 )が 住 ん で い る 地 区 の 将 来 像 を 考 え 、景 観 計 画
を“作る”
7
ショップ
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2.1.3.2006 年 度 小 学 校 景 観 出 前 授 業 の 概 要
2006 年 度 の「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 は 、 プ ロ グ ラ ム を 5 部 構 成 と し 、「 1.知 る 」→
「 2.学 ぶ 」 → 「 3.知 る 」 → 「 4.作 る 」 → 「 5.伝 え る 」 と い う 学 習 過 程 を 流 れ と し て 構 成 し た ( 表
2.3 参 照 )。構 成 内 容 と し て 、最 初 は 、自 分 た ち( 児 童 )が 住 ん で い る 地 区 を 観 察 し 、ま ず は ま ち
の こ と を“ 知 る ”こ と に 始 ま り 、次 に 風 景 の 見 方 、捉 え 方 を「 景 観 と 建 築 」の 視 点 か ら“ 学 ぶ ”。
そ し て 、 再 度 、「 景 観 」 の 視 点 か ら 地 区 を 観 察 し 、 良 い と こ ろ 、 悪 い と こ ろ を “ 知 る ” こ と で 、
自 分 た ち ( 児 童 ) が 住 ん で い る 地 区 を 良 く す る た め に 、 景 観 計 画 を “ 作 る ”。 最 後 に 、 作 成 し た
景 観 計 画 を 実 際 に 児 童 の 保 護 者 や 地 区 の 人 に 発 表 し 、“ 伝 え る ” と い う 展 開 に な っ て い る 。
※ 設 計 内 容 は 、 資 料 編 『 3.2006 年 度 小 学 校 景 観 出 前 授 業 に お け る 「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ
ョップ」の設計』を参照。
表 2.3:「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 プ ロ グ ラ ム 表 ( 2006 年 度 )
回
キーワード
授業タイトルとねらい
「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 1」
1
“知る”
授業形式
授業時間
ワーク
180 分
まずは、まち(地区)を観察し、地区環境をとして「良いとこ
ショップ
ろ 」、「 悪 い と こ ろ 」 を “ 知 る ”
「建築と風景のデザイン」
2
“学ぶ”
講義
90 分
「良い建築や美しい風景」を、スライド映像を用いて事例から
学び、さらに風景の見方、捉え方を“学ぶ”
「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 2」
3
“知る”
ワーク
180 分
ま ち( 地 区 )を 観 察 し 、景 観 と い う 視 点 か ら「 良 い と こ ろ 」、
「悪
ショップ
いところ」を“知る”
「まちなみ景観計画づくりワークショップ」
4
“作る”
ワーク
180 分
自分たち(児童)が住んでいる地区の将来像を考え、景観計画
ショップ
を“作る”
5 “伝える”
「まちなみ景観発表会」
発表会
自分たち(児童)の取り組みを地域に“伝える”
8
90 分
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2.2.2005 年 度 、 2006 年 度 「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 各 ス テ ッ プ の 検 討
2.2.1.「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」 の 検 討
2005 年 度 、 2006 年 度 に 実 施 し た 「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」 の 検 討 を 表 2.4 に 示 す 。
表 2.4:「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」 検 討 表 ( 2005 年 度 、 2006 年 度 )
2005 年 度
2006 年 度
S
実施内容
○ねらい
スライド形式の講義学習
1
・ 児 童 に「 良 い 建 築 、美 し い 風
景」をしってもらう
・世界中の様々な事例を紹介
し 、良 い 建 築 、美 し い 風 景 の
「価値軸」を養う
1.建 築 の 視 点
・「 空 間 を デ ザ イ ン す る 」 を テ
ー マ で 、建 築 物 や テ ー マ パ ー
ク な ど を 例 に 挙 げ 、そ れ ら が
機 能 的 、デ ザ イ ン 的 に 意 図 が
あ り 、深 く 考 え ら れ て 造 ら れ
ていることを講義した
2.土 木 の 視 点
・「 土 木 構 造 物 の 機 能 的 な 景 観
美 」 を し て 、 ロ ー マ の 2100
年 前 の ア ー チ 橋 、熊 本 の 2 0
0年前のアーチ橋の事例を
紹介した
○ねらい
○方法
貼り絵づくり
・ 貼 り 絵 シ ー ト は 、看 板 が 混 雑
し ゴミの放置によって景観
を損ねている場所を題材と
して使用した
・ 貼 り 絵 の 素 材 は 、以 下 2 つ と
した
1.花 畑 シ ー ト
2.樹 木 シ ー ト
○ねらい
・ 土 木 や 建 築 、も の づ く り に 関
心を持ってもらう。
アーチ橋模型づくり
3
実施内容
・ 景 観 と い う 視 点 か ら は 、建 築
と土木に分けて学習を行う
必要がなかった
○ねらい
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
○方法
○方法
・自 分 た ち の 手 で 風 景 は 変 え ら
れる
2
実施総括
・ 講 義 学 習 は 、パ ワ ー ポ イ ン ト
の ス ラ イ ド に 文 字 が 多 く 、児
童が理解しづらかった
・建 物 の 機 能 的 な 意 図 や デ ザ イ
ン に つ い て の 解 説 は 、専 門 的
な 要 素 が 含 ま れ て お り 、児 童
には難しかった
・「 景 観 と 建 築 に つ い て 」 に フ
ォ ー カ ス し 、学 習 を 一 回 と し
た
・スライドの文字を少なくし、
事例の写真を中心に構成し
た
1 .良 い 建 築 と 美 し い 風 景
・「 自 然 」「 建 物 」「 道 」 等 の 景
観を構成する要素ごとに事
例写真用いて紹介した
2 .美 し い 風 景 の ポ イ ン ト
・「 ル ー ル の あ る 風 景 」、「 ど こ
か ら 見 た ら 美 し い か 」等 の 風
景 の 見 方 、捉 え 方 を 解 説 し た
・ま ち な み 景 観 計 画 づ く り で 行
う方が児童に景観計画のイメ
ージを持ってもらうのに効果
的である
・貼 り 絵 の 土 台 と な る 場 所 が 抽
象的であった
・貼り絵として電柱を「隠す」
ゴ ミ を「 撤 去 す る 」と い う 視
点を児童が理解できなかっ
た
・ 貼 り 絵 の 素 材 と し て 、花 と 樹
木だけでは少ない
「まちなみ景観計画づくりワ
ークショップ」で実施
・景 観 学 習 に 直 接 関 連 し た も の
ではなかった
○方法
・テープや接着剤を使わずに、
マッチ箱を組み合わせて製
作した。
中止した
9
実施総括
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2.2.2.「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 の 総 括
2005 年 度 、2006 年 度 に 実 施 し た「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」の 検 討 を 表
2.5 に 示 す 。
表 2.5:「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 検 討 表 ( 2005 年 度 、 2006 年 度 )
2005 年 度
2006 年 度
S
実施内容
オリエンテーション
1
実施総括
実施内容
○ねらい
・児童に授業 の目 的と流れを説
明する
・簡単なゲームで緊張を解す
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
○方法
○方法
・授業の目的と 流 れを、パワー
ポイントを用いて説明した
・アイスブレイク(簡単なゲー
ム )に よ っ て 児 童 の 緊 張 を 解
し、グループ分けを行った
・授業の目的 や流 れを説明する
際に使用するパワーポイン
ト に 文 字 が 多 く 、児 童 に 伝 わ
りにくかった
○ねらい
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
○方法
まち歩き
○方法
・まち歩きテ ーマ を以下の 2 つ
とした。
1. 風 景 、 景 観 と し て 良 い と こ
ろ・おもしろいところ
2. 風 景 、 景 観 と し て 悪 い と こ
ろ・問題のあるところ
・インスタント・カメラを用い
て対象物を撮影した
・ 枚 数 は 各 班 20 枚 、 1 人 最 低 2
枚は撮影するものとした
・ ま ち 歩 き の 時 間 は 60 分 と し
た
・各班に児童 の安 全確保と時間
管 理 を 行 う た め 、学 生 を ス タ
ッフとして動員した
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
・ ま ち 歩 き の 時 間 を 、6 0 分 か ら
100∼ 120 分 に 変 更 し た
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
・ 6 0 分 の ま ち 歩 き で は 、回 れ な
い箇所が多かった
○ねらい
○ねらい
・地区の景観 情報 を一目で読み
取る
・普段とは違 う視 点で地区全体
を知る
景観調査のまとめ
3
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
○方法
○方法
1 .地 図 の ベ ー ス づ く り
・ ガ リ バ ー マ ッ プ は 1/300 の ス
ケ ー ル( 3 m × 4 m サ イ ズ )で 設
計した
・ガリバーマッ プ には、地区の
正確な情報が読み取れるよ
う に 、住 宅 地 図 を 拡 大 コ ピ ー
し、使用した
・地区の風景、景観として「良
い と こ ろ 」、「 悪 い と こ ろ 」 を
まとめる項目 シートをガリ
バー地図横に設けた
2 .作 業 上 の 方 法
・地図が読み取りやすいよう
に 、「 良 い と こ ろ 」、「 悪 い と
ころ」をシールで色分けし
た 。( 良 → 緑 、 悪 → 赤 )
1 .ワ ー ク シ ー ト 課 題
・ガリバーマ ップ に写真とふき
だ し を 貼 り 付 け た 際 に 、混 雑
して読み取るのに苦労した
・ 住 宅 地 図 に は 、「 建 物 の 個 人
名」や「街区番号」等の必要
以上の情報が多
・項 目 シ ー ト は 、
「 良 い と こ ろ 」、
「悪いところ」で分類した
が 、そ の 中 で さ ら に 分 類 す る
必要がある
2 .作 業 上 の 課 題
・ガリバーマ ップ と項目シート
を 一 体 化 し て い た が 、項 目 シ
ー ト 記 入 の 際 に 、各 班 が 同 時
に記入するのが困難で混雑
した
○ねらい
発表
4
・スライドの文字を少なくし、
イラストや写真を用いた児
童向けのパワーポイントデ
ザインを行った
○ねらい
・自分たちが 住ん でいる地区の
まちなみ景観の現況調査を行
う
・まちなみ景 観と して良いとこ
ろ、悪いところを再発見、再
認識する
2
実施総括
○ねらい
○ねらい
・ 各 班 の WS 内 容 を 共 有 化 さ せ
る
○方法
・各班リーダ ーと サブがガリバ
ー マ ッ プ に 乗 り 、リ ー ダ ー は
項 目 シ ー ト を 発 表 し 、サ ブ は
ガリバーマップの写真を紹
介 し 、地 区 の 景 観 状 況 を 発 表
する
1 .地 図 の ベ ー ス づ く り
・ 地 図 の 回 り に 70cm の 余 白 を
設けた
・住宅地図を イラ ストレーター
で 加 工 処 理 し 、ガ リ バ ー マ ッ
プとして使用した
・ 項 目 を 「 良 い と こ ろ 」、「 悪 い
と こ ろ 」の 中 で 以 下 の 9 つ に
分類した
1.た て も の 、 2.み ち 、 3.へ い 、
4.か ん ば ん 、 5.ひ ろ ば 、
6.農 地 、 7.み ど り 、 8.海 、
9.そ の 他
・ガリバーマ ップ と項目シート
を個別化した
2 .作 業 上 の 方 法
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
・項目シート とガ リバーマップ
が一体化しているため、発表
の際に聞いている児童が項目
シートの状況を読み取ること
ができない
10
○方法
・項目シートを個別化したた
め、発表の際に各班項目シー
トを持って発表する
・児童が発見 した 地区の景観と
し て 「 良 い と こ ろ 」「 悪 い と こ
ろ 」が 地 区 に い く つ あ る の か 、
項目個数が記入できれば読み
取りやすくなる
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
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―小学校景観出前授業の実践からー
2.2.3.「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 の 総 括
2005 年 度 、 2006 年 度 に 実 施 し た 「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 の 検 討 を 表 2.6
に示す。
表 2.6:「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 検 討 表 ( 2005 年 度 、 2006 年 度 )
2005 年 度
2006 年 度
S
実施内容
オリエンテーション
1
実施総括
実施内容
○ねらい
・児童に授業の目的と流れを
説明する
・簡単なゲームで緊張を解す
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
○方法
○方法
・ 授 業 の 目 的 と 流 れ を 、パ ワ ー
ポイントを用いて説明した。
・ ア イ ス ブ レ イ ク( 簡 単 な ゲ ー
ム )に よ っ て 児 童 の 緊 張 を 解
し、グループ分けを行った
・授 業 の 目 的 や 流 れ を 説 明 す る
際に使用するパワーポイント
に文字が多く、児童に伝わり
にくかった
・
「建築と風景のデザイン学習」
で 実 施 し た が 、景 観 計 画 づ く
りで行う方が児童に景観計
画のイメージを持ってもら
うのに効果的である
貼り絵づくり
2
・貼 り 絵 の 土 台 と な る 場 所 が 抽
象的であった
「 3.建 築 と 風 景 の デ ザ
イン」で実施
・ 貼 り 絵 と し て 電 柱 を「 隠 す 」、
ゴ ミ を「 撤 去 す る 」と い う 視
点を児童が理解できなかっ
た
・ 貼 り 絵 の 素 材 と し て 、花 と 樹
木だけでは少ない
○ねらい
・児 童 に 景 観 計 画 を 策 定 す る イ
メージを持ってもらう
・自 分 た ち の 手 で 風 景 は 変 え ら
れる、少し工夫するだけで風
景は変わることを学んでもら
う
○方法
・児 童 が ま ち 歩 き を 行 っ た 地 区
の景観として、問題のある写
真を題材(貼り絵シート)に
使用した
・ 貼 り 絵 の 視 点 は 、以 下 の 3 つ
とした
1.電 柱 を 地 中 化 す る
2.ゴ ミ を 撤 去 す る
3.緑 化 、 塀 を 生 垣 に す る
・ 貼 り 絵 の 素 材 は 、以 下 の 3 つ
とした
1.花 畑 シ ー ト
2.樹 木 シ ー ト
3.生 垣 シ ー ト
ワークシート構成
○ねらい
・各 班 考 え た 景 観 計 画 内 容 を ワ
ークシートにまとめる
・景 観 計 画 内 容 を シ ー ト に ま と
める
・景 観 計 画 内 容 を 一 目 で 読 み 取
る
○方法
景観計画の作成とまとめ
3
・スライドの文字を少なくし、
イラストや写真を用いた児
童向けのパワーポイントデ
ザインを行った
・景観計画のイメージを養う
ため、電柱の地中化やゴミの
撤去などの事例をモンタージ
ュで紹介し、児童に投げ掛け
ながら説明した
ワークシート構成
○ねらい
・地 区 全 体 の ま ち な み 景 観 計 画
を各班で考えた
・地区全体の地図を設けた
・シ ー ト に 以 下 の 4 つ の 項 目 を
設けた
1.地 区 の 景 観 資 源 の 抽 出
2.地 区 に 当 て は ま り そ う な 写
真の抽出
3 . 「 方 針 」「 計 画 」「 ル ー ル 」
の検討
4.感 想 の 記 入
・各 班 が ま ち 歩 き を 行 っ て い な
い 範 囲 も 含 ま れ 、具 体 的 な 景
観計画を策定するのが困難
である
・各 班 が 考 え た 景 観 計 画 内 容 を
一つ(一枚のシート)にまと
めた方が読み取りやすくなる
○ねらい
○方法
・地 区 の 景 観 と し て 良 い と こ ろ
を地図に表現するだけではな
く 、悪 い と こ ろ も 読 み 取 り 景 観
計画検討時に反映することが
必要である
11
・貼 り 絵 の 視 点 と し て 、
「色彩」
が欠けていた
○方法
・各 班 が ま ち 歩 き を 行 っ た 範 囲
の景観計画を策定する
・各 班 が 作 成 し た 貼 り 絵 シ ー ト
を景観計画用のガリバー地図
に貼り付け、計画内容を表現
する
・景観計画内容を自由に記入、
デザインできるワークシー
トを各班に用意した
・地 区 の 景 観 資 源 を ま ち な み 景
観調査で作成したガリバー
マップから良いところ読み
取り再認識する
・景観資源の分類項目として、
建 物 、樹 木 、道 路 、自 然 、そ
の他を用意した
実施総括
○ねらい
中止した
・ 景 観 計 画 と し て 、景 観 を 構 成
する要素ごとに項目分けを
行った方が景観計画として
も 具 体 化 し 、内 容 も 読 み 取 り
やすくなる
2007 年度 修士設計
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景観まちづくりワークショップのモデル設計
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○ねらい
・児童に景観計画を作成する
イメージを持ってもらう
○方法
・世界中の事例をまとめた景
観写真シートを用意した
・地区に当てはまりそうな写
真を切り貼りする項目を設
けた
景観計画の作成とまとめ
3
・用意した景観事例の写真に
は、地区に当てはまりそう
な事例が少なかった
○ねらい
○ねらい
・地区の景観資源をまちなみ
景観調査で作成したガリバー
マップから良いところ読み取
り再認識する
○方法
・「 方 針 」、「 計 画 」、「 ル ー ル 」
を策定する項目を設けた
・地区を以下 3 つのゾーンに
分類した
1.商 店 街 ゾ ー ン
2.住 宅 地 ゾ ー ン
3.駅 前 ゾ ー ン
・児童が景観計画の方針を考
える上でイメージしやすい
ように、キーワードシート
を用意した
・個人で選んだキーワードを
グループ内で検討し計画内
容を決めた
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
○方法
・ 各 ゾ ー ン に 「 方 針 」「 計 画 」
「ルール」を策定する内容
は児童には難しく、多くの
班が途中段階までしか作成
できなかった
・景観計画内容として、貼り
絵で作成した内容が中心と
なっていた
・地区にある良いところや悪
いところが計画に反映され
なかった
・景観計画内容を具体化す
るために地区のコンセプトを
考えた方が良い
・景観計画として、景観を構
成する要素ごとに項目分け
を行った方が景観計画とし
て も 具 体 化 し 、内 容 も 読 み 取
りやすくなる
○ねらい
○ねらい
・各 班 の WS 内 容 を 共 有 化 さ せ
る
発表
4
・貼 り 絵 で 行 っ た 内 容 も 含 め 、
グ ル ー プ 内 で 検 討 し 、自 由 に
記入できるようにワークシ
ートを改良した
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
○方法
○方法
・各班リーダーが景観計画ワ
ークシートの内容を発表し、
景観計画を紹介する
・各班リーダーとサブがガリ
バ ー マ ッ プ の 上 に 乗 り 、リ ー
ダーは景観計画シートを発
表 し 、サ ブ は ガ リ バ ー マ ッ プ
の貼り絵の内容を紹介する
12
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
2.2.4.「 ま ち な み 景 観 発 表 会 」 の 総 括
2005 年 度 、 2006 年 度 に 実 施 し た 「 ま ち な み 景 観 発 表 会 」 の 検 討 を 表 2.7 に 示 す 。
表 2.7:「 ま ち な み 景 観 発 表 会 」 検 討 表 ( 2005 年 度 、 2006 年 度 )
2005 年 度
2006 年 度
S
実施内容
実施総括
実施内容
○ねらい
・授業参観日を利用し、児童
の保護者や地域の住民に向
けて、児童が取り組みを発
表することで、まちなみ景
観の啓発を図る
発表
1
○方法
・まち歩きによって作成した
ガリバーマップとまちなみ
景観計画内容を1班から順
に紹介する
・まち歩きの際に撮影した写
真やまちなみ景観計画で作
成した貼り絵シートは一枚
一枚スクリーンに映し出し
た
実施していない
13
実施総括
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
2.3.子 供 を 対 象 と し た 「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 の 検 討
2.3.1.子 供 に 対 応 し た 手 法 の 採 用
「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」で 用 い る 手 法 と し て 、子 供 と 大 人 で 手 法 の 分 類 を 行 い 、子
供 に 対 応 し た 手 法 を 採 用 す る 。手 法 と し て 最 適 で あ る も の を「 ◎ 」、適 し て い る も の を「 ○ 」、あ
ま り 適 さ な い も の を 「 △ 」 と し て 分 類 を 行 っ た 。 各 ス テ ッ プ で 整 理 し た も の を 表 2.8 に 示 す 。
「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」で は 、視 覚 的 に 捉 え 易 い 写 真 中 心 の ス ラ イ ド 映 像 を 用 い た 学 習
手法を採用する。
「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」で は 、調 査 内 容 を 各 グ ル ー プ で 模 造 紙 に ま と
め る デ ス ク ワ ー ク よ り 、座 っ た り 、寝 転 が っ た り し て 自 由 に 楽 し く 作 業 で き る ガ リ バ ー マ ッ プ を
使用することが手法として、子供向けであると考える。
「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 で は 、 計 画 を 「 文 章 」 で ま と め る の で な く 、「 イ
メージ」で捉える貼り絵づくりを手法として採用する。
表 2.8:「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 子 供 ・ 大 人 別 の 手 法 分 類 表
手法
建築と風景のデ
スライド学習
PPT
使
用
ザイン学習
子供
大人
文章中心のスライド構成
△
○
写真中心のスライド構成
◎
○
まち歩きとまち
オリエンテーシ
口頭のみでの説明
△
△
なみ景観調査ワ
ョン
PPT
文章中心の構成
△
○
イラスト中心の構成
◎
△
アイスブレイク
◎
○
まち歩き
◎
○
まち歩きマップの使用
○
○
まち歩き記入シートの使用
○
○
景観調査のまと
ガリバーマップにまとめる
◎
△
め
模造紙(地図の入った)にまとめる
△
◎
項目ワークシートに整理する
◎
○
シールを使って位置情報を落とす
○
○
ふきだし(四方向対応)を使用する
○
○
ガリバーマップに乗って発表する
○
△
項目ワークシート
○
△
リーダーだけで発表する
△
◎
グループ皆(サブリー ダー等)で 協力して発
◎
△
ークショップ
使
用
地区の景観調査
発表
表する
まちなみ景観計
オリエンテーシ
口頭のみでの説明
△
△
画づくりワーク
ョン
PPT
文章中心の構成
△
○
イラスト中心の構成
◎
△
◎
△
ショップ
用
使
フォトモンタージュによるクイズ
14
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
景観計画の作成
文 章 で
地区ごとに方針を作成する
△
○
表 現 す
地区ごとに計画内容を作成する
△
○
る
地区ごとにルールを作成する
△
◎
景観計画のイメージを貼り絵で表
◎
△
△
○
△
◎
イ メ ー
ジ で 表
現する
現する
景観計画のイメージを絵で表現す
る
地区ごとに景観計画のゾーニング
を行う
景観計画のまと
ガリバーマップにまとめる
◎
△
め
模造紙(ワークシート)にまとめる
△
◎
景観構成要素ごとに計画を分類する
○
○
キーワードシートを使ってまとめる
◎
○
貼り絵設計シートに景観計画をまとめる
○
△
ガリバーマップを使用する
○
△
景観計画ワークシートを使用する
○
○
リーダーだけで発表する
△
◎
グループ皆(サブリー ダー等)で 協力して発
◎
△
ガリバーマップを使用する
○
△
景観計画ワークシートを使用する
○
○
リーダーだけで発表する
△
◎
グループ皆(サブリー ダー等)で 協力して発
◎
△
発表
表する
まちなみ景観発
表会
発表
表する
適正度:◎→最適である、○→適している、△→あまり適さない
次 に 、子 供 を 対 象 と し た「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」で 、追 及 し た 視 点 か ら 2005 年 度 、
2006 年 度 に 実 践 し た 工 夫 を 整 理 す る 。
15
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
2.3.2.“ 楽 し さ ” を 追 求 す る
通 常 の 授 業 の よ う に 口 頭 、文 章 が 中 心 と な っ た 授 業 で は 、
「集中力が持たない」
「飽きてしまう」
な ど の 理 由 か ら 、児 童 自 ら 学 び 、喜 び を 感 じ ら れ る よ う な“ 楽 し さ ”を 追 求 す る 必 要 が あ る 。2005
年 、 2006 年 の “ 楽 し さ ” の 追 求 で 、 実 践 し た 工 夫 を 以 下 の 表 2.9 に 示 す 。
表 2.9:“ 楽 し さ ” を 追 及 す る ( 2005 年 度 、 2006 年 度 )
2005 年 度
2006 年 度
1.ス ラ イ ド 映 像 ( 写 真 ) の 使 用
1.ス ラ イ ド 映 像 ( 写 真 ) の 使 用
建築と風景のデザイン
口 頭 や 文 章 が 中 心 と な る 学 習 方 法 で は な く 、ス
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
ラ イ ド 映 像( 写 真 )を 使 用 し た 学 習 に よ り 、様 々
な 事 例 を 紙 芝 居 的 な 要 素 を 含 め て 紹 介 す る“ 楽
しさ”を取り入れた。
※ 貼 り 絵 づ く り は 、ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー
クショップにて実施。
2.貼 り 絵 づ く り と ア ー チ 模 型 づ く り
貼り絵による実際に日常で眼にしている風景
に 手 を 加 え る こ と で 、疑 似 体 験 に も 近 い 景 観 を
変 化 さ せ る“ 楽 し さ ”と 、ア ー チ 模 型 づ く り に
よるモノづくりの“楽しさ”を取り入れた。
まち歩きとまちなみ景観調査
1.ア イ ス ブ レ イ ク の 実 施
1.ア イ ス ブ レ イ ク の 実 施
座 っ て 受 け る 授 業 と は 一 変 し て 、体 を 動 か す こ
と で 児 童 の「 遊 び た い 」と い う 気 持 ち を 刺 激 し 、
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
2.ま ち 歩 き の 実 施
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
“楽しく”学習を行った。
2.ま ち 歩 き の 実 施
3.ガ リ バ ー マ ッ プ の 導 入
屋 外 で の 授 業 、対 象 物 の 探 索 な ど 、児 童 に と っ
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
てイベント 性が強く、非日常的な“楽しさ”を
生む。
3.ガ リ バ ー マ ッ プ の 導 入
ガ リ バ ー( 巨 人 )に な れ る と い う 、非 日 常 的 ス
まちなみ景観計画づくり
ケ ー ル の 体 験 に よ り 、“ 楽 し く ” 作 業 で き る 。
1.貼 り 絵 づ く り
実際に日常で眼にしている風景に手を加える
( 貼 り 絵 す る )こ と で 、疑 似 体 験 に も 近 い 景 観
を変化させる“楽しさ”を与えた。
1.発 表 の 実 施
景観発表会
通 常 授 業 と 違 う 人 ( 保 護 者 や 地 区 の 人 )を 前 に
し た 非 日 常 的 な ス タ イ ル で 、自 分 た ち が 作 っ た
景 観 計 画 を 発 表 し 、自 慢 す る“ 楽 し さ ”を 与 え
※ 2005 年 度 は 実 施 し て い な い
た。
16
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
2.3.3.“ 分 か り 易 さ ” を 実 現 す る
学 習 の テ ー マ が「 景 観」で あ り 、こ の 分 野 は 掘 り下 げ る と 奥が 深 く、広 域 な 意 味 で考 え る と 幅
広 い 。大 人 で も な か な か 理 解 で き な い 分 野 を 、児 童 に 数 回 の 授 業 で 理 解 し て も ら う に は 、景 観 要
素 の 絞 り や ポ イ ン ト の 伝 え 方 等 、“ 分 か り 易 く ” 行 う 必 要 が あ る 。 2005 年 、 2006 年 の “ 分 か り
易 さ ” の 実 現 で 、 実 践 し た 工 夫 を 以 下 の 表 2.10 に 示 す 。
表 2.10:“ 分 か り 易 さ ” を 実 現 す る ( 2005 年 度 、 2006 年 度 )
2005 年 度
2006 年 度
1.ス ラ イ ド 映 像 ( 写 真 ) の 使 用
1.ス ラ イ ド 映 像 ( 写 真 ) の 使 用
建築と風景のデザイン
視覚的要素により理解を高めるようスライド
映像(写真)を中心とした“分かり易い”授業
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
2.学 習 の 回 数
景 観 の 視 点 は 、「 建 築 」「 土 木 」 と い っ た 多 く の
とした。
2.要 点 を 文 章 で ま と め る
切り口があるが、中でも児童の身近にある題
視 覚 的 な 要 素 の み だ け で な く 、キ ー ワ ー ド や 要
点 を 最 後 に 文 章 で ま と め て“ 分 か り 易 く ”伝 え
材、として「建築」の視点のみに絞った。
3.パ ワ ー ポ イ ン ト デ ザ イ ン
文 字 は な る べ く 減 ら し 、写 真 は ス ラ イ ド の 全 面
た。
に表示した。
4.要 点 を 文 章 で ま と め る
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
1.ま ち 歩 き マ ッ プ の 導 入
1.パ ワ ー ポ イ ン ト の デ ザ イ ン
まち歩きとまちなみ景観調査
ま ち 歩 き の ア イ テ ム と し て 、チ ー ム の 範 囲 の 確
視覚的に捕らえられるよう、文字は少なくし、
認、ルートの決定に使用した。
イラストや写真などで“分かり易く”伝えた。
2.ふ き だ し の デ ザ イ ン
2.ま ち 歩 き マ ッ プ の 導 入
ふ き だ し は 、地 図 上 に 貼 り 付 け る 際 、見 や す い
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
3.ま ち 歩 き 記 入 シ ー ト の 導 入
よう四方向に対応できるようにする。
3.項 目 シ ー ト の 導 入
まち歩きの際に、撮影した理由などを記入し、
ガリバーマップ横に調査対象地区の景観とし
て 「 良 い と こ ろ 」、「 悪 い と こ ろ 」 を 整 理 す る シ
次項の作業に備えるシートを用意した。
4.項 目 ワ ー ク シ ー ト の 個 別 化
前年度の項目シートはマップ横に設けていた
ートを設けた。
が発表時に一目で分類がわかるよう独立した。
まちなみ景観計画づくり
1.キ ー ワ ー ド シ ー ト の 導 入
1.パ ワ ー ポ イ ン ト の デ ザ イ ン
対象地域の景観計画のイメージの湧くキーワ
視覚的に捕らえられるよう、文字は少なくし、
ードをヒントとして与えた。
イラストや写真などで“分かり易く”伝えた。
2.貼 り 絵 づ く り 導 入
景 観 計 画 の イ メ ー ジ を“ 分 か り 易 く ”持 っ て も
らうために貼り絵を実施した。
3.景 観 計 画 ワ ー ク シ ー ト の 工 夫
2005 年 度 よ り 縛 り を な く し 、 児 童 が 自 由 に 記
入できるようシートを工夫した。
景観発表会
1.発 表 の 実 施
各グループでまち歩きをした場所について発
表 す る こ と で 、他 の グ ル ー プ の 地 区 と の 違 い を
※ 2005 年 度 は 実 施 し て い な い
知り、より景観の視点の見地を深める。
17
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
2.3.4.“ 驚 き の あ る 体 験 ” を 持 つ
今 回 の 授 業 で は 、景 観 の 見 地 を 養 う こ と が 大 き な 目 標 で あ る 。そ の た め 、身 近 な 地 域 で の 児 童
自 ら が 景 観 の 視 点 を 持 つ こ と が 、 目 標 達 成 の 一 歩 で あ る 。 し か し 、「 写 真 を 撮 る 」「 地 域 に 出 る 」
「 大 き な 地 図 に 乗 る 」な ど の 非 日 常 的 な 体 験 の 方 が 強 い 印 象 に な ら な い よ う 、景 観 に 視 点 を 向 け
る際に、新鮮な“驚きのある体験”を与えるような仕組みづくりを考えることが必要であった。
2005 年 、 2006 年 の “ 驚 き の あ る 体 験 ” を 持 つ で 、 実 践 し た 工 夫 を 以 下 の 表 2.11 に 示 す 。
表 2.11:“ 驚 き の あ る 体 験 ” を 持 つ ( 2005 年 度 、 2006 年 度 )
2005 年 度
2006 年 度
建築と風景のデザイン
1.ス ラ イ ド 映 像 ( 写 真 ) の 使 用
1.ス ラ イ ド 映 像 ( 写 真 ) の 使 用
見たことのないような世界中の美しい風景を
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
ス ラ イ ド 映 像 で 紹 介 す る こ と で“ 驚 き ”を 与 え
た。
2.ア ー チ 模 型 づ く り
接着剤や糊を使わなくてもマッチ箱を組み合
わせてアーチ橋が作れる“驚き”を与えた。
まち歩きとまちなみ景観調査
1.ま ち 歩 き の 実 施
1.ま ち 歩 き の 実 施
視 点 を 持 っ て 、ま ち を 歩 く こ と で 、日 常 で は 感
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
じ ら れ な か っ た“ 驚 き ”を 、発 見 を し て も ら っ
2.ガ リ バ ー マ ッ プ の 導 入
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
た。
2.ガ リ バ ー マ ッ プ の 導 入
3.発 表 の 実 施
迫 力 の あ る ガ リ バ ー マ ッ プ( 巨 大 な 地 図 ) に よ
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
る“驚き ”を与えた。また、各グ ループの成 果
が目に見える、新たな発見を確認してもらう。
3.発 表 の 実 施
普 段 の 授 業 で は 行 う こ と の な い 、「 人 前 で の 発
表」を“体験”してもらうために実施した。
まちなみ景観計画づくり
1 .発 表 の 実 施
1.フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ に よ る 景 観 ク イ ズ
普 段 の 授 業 で は 行 う こ と の な い 、「 人 前 で の 発
もとあった写真から何が消えたかを児童に投
表」を“体験”してもらうために実施した。
げかけて、関心を惹く。その変化の“驚き”を
引き出し、関心を高める。
2.発 表 の 実 施
同 左 ( 2005 年 度 参 照 )
景観発表会
※ 2005 年 度 は 実 施 し て い な い
18
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
2.3.5.「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 モ デ ル 設 計 に 向 け た 総 括
上 記 の 実 践 で き た こ と に 踏 ま え て 、で き な か っ た こ と 、さ ら な る 改 良 や 工 夫 が 必 要 で あ る こ と
を 整 理 し た 結 果 、 特 に “ 楽 し さ ” の 追 及 と “ 分 か り 易 さ ”の 実 現 の 面 で 、 モ デ ル 設 計 に 向 け て 必
要 な こ と を 表 2.12 に 記 す 。
「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」で は 、ス ラ イ ド 枚 数 制 限 や 事 例 の 見 せ 方 に 関 心 を 惹 く よ う な さ
ら な る 工 夫 が 必 要 で あ る 。「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 で は 、“ 分 か り 易 さ ”
の 点 で 、ま ち 歩 き マ ッ プ や 記 入 シ ー ト 、項 目 ワ ー ク シ ー ト な ど シ ー ト 面 に お け る 改 良 が 必 要 で あ
る 。「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 は 、 貼 り 絵 の 土 台 設 定 や 切 り 貼 り シ ー ト の 素 材
の 豊 富 化 等 の シ ー ト 面 、 ま た 、“ 計 画 ” を 考 え る と い う 視 点 が 不 足 し て い る た め 、“ 分 か り 易 さ ”
と“楽しさ”の両面から工夫した追加が必要である。
表 2.12:「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 モ デ ル 設 計 に 向 け た 総 括 表
“楽しさ”の工夫
“分かり易さ”の工夫
建築と風景のデザイン
1.授 業 を 行 う 環 境 の 検 討
1.ス ラ イ ド の 枚 数 制 限
暗幕のない教室では、風景写真のスライドシ
スライドの枚数が多く「飽きない」ようにす
ョーが鮮明に映らないことから、伝わりにく
るためにも枚数の制限が必要。
く、真っ暗な部屋で映像を見る映画館のよう
2.ス ラ イ ド の 見 せ 方 の 工 夫
な“楽しさ”を追求するためにも、授業場所
「 良 い と こ ろ 」「 悪 い と こ ろ 」 は 、 片 方 の 紹 介
等の環境設定が必要。
だけでなく、両方の視点で紹介するなどの工
夫が必要。
1.ま ち 歩 き マ ッ プ 、 記 入 シ ー ト の 工 夫
まち歩きマップや記入シートに撮影した場所
だけをチェックすると、ガリバーマップにま
とめる際に、どこが良いところで、悪いとこ
ろなのか分からなくなってしまうので、まち
歩きの際にも 2 色のシールを使用するなどの
まち歩きとまちなみ景観調査ワークショップ
工夫が必要。
2.項 目 ワ ー ク シ ー ト の 改 良
項目ワークシートに整理した際に、良いとこ
ろと悪いところがいくつあったのか、児童に
は分かりにくいため、数的に理解できるよう
に整理する景観要素ごとに個数の記入欄を設
けるなどの改良が必要。
3.ふ き だ し の 改 良
ふきだしのタイプが 2 つ(下と右の 2 方向)
しかなかったことから、ガリバーマップにま
とめる際に混雑し、発表の際にも児童が混乱
してしまったことから、ふきだしは、どの方
向にも対応できるような改良が必要。
4.ガ リ バ ー マ ッ プ の ま と め 方 の 工 夫
発表の際に、児童が写真の多さに混乱してし
まうことから、より発表が分かり易く且つス
ムーズに行えるように、シールからの引き出
し線の色も、良いところ、悪いところで分け
るなどの工夫が必要。
19
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
1.切 り 貼 り シ ー ト の バ リ エ ー シ ョ ン
1.フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ の バ リ エ ー シ ョ ン
切り貼りシートのバリエーションが少なかっ
電柱の地中化だけでは、景観計画のイメージ
たことから、視点に対応してバリエーション
が伝わりにくいのでバリエーションも増やす
を増やし、児童がいろんな素材を使えて“楽
ことが必要。また、より貼り絵がイメージブ
しく”作業できるような工夫が必要。
ルになるような工夫が必要。
2.貼 り 絵 の 土 台 の 検 討
貼り絵の土台は、実施者の視点で選んだもの
では、景観としてどこが悪いのか、児童には
理解できない部分があるため、児童がまち歩
まちなみ景観計画づくりワークショップ
きで撮った問題のある写真を使用するなどの
工夫が必要。
3.貼 り 絵 前 の イ メ ー ジ を つ く る
貼り絵をいきなり行うと児童は考え込んでし
まうので、どこをどのように変化させるのか
イメージを持たせる工夫が必要。
4.景 観 計 画 ワ ー ク シ ー ト の 改 良
地区の将来像の検討がないため、全体の景観
計画イメージが伝わりにくい。また、計画内
容をまとめるのは児童には難しく時間がかか
る た め 、ワ ー ク シ ー ト の さ ら な る 改 良 が 必 要 。
5.ふ き だ し の 改 良
貼り絵の計画内容をふきだしに記入すると計
画内容が読み取りにくくなり発表の際に混乱
するので、児童が計画を具体的に捕らえ易く
なるようなふきだしの改良が必要。
6. キ ー ワ ー ド シ ー ト 等 の 導 入
地区の将来像や計画内容を言葉(文章)にす
るのは児童にとって難しいため、キーワード
シートを導入するなどの工夫が必要。
1.取 り 組 ん だ 成 果 を 映 像 で 見 せ る
まち歩きで撮影した写真や景観計画で作った
まちなみ景観発表会
貼り絵が小さく、保護者や地区の人には見え
ないため、児童が“楽しく”自慢できるよう
な発表とするために、映像を用いて見せてあ
げるなどの工夫が必要。
20
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
3.子供を対象とした「景観まちづくりワークショップ」
のモデル設計
3.1.「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 プ ロ グ ラ ム の 構 成 と 各 ス テ ッ プ の ね ら い
3.1.1.プ ロ グ ラ ム の 構 成
プ ロ グ ラ ム は 、 4 部 構 成 と し 、「 1.学 ぶ 」 → 「 2.知 る 」 → 「 3.作 る 」 → 「 4.伝 え る 」 と い う 学 習
過 程 の 流 れ を 持 っ て 構 成 す る ( 表 3.1 参 照 )。 ま ず は 「 景 観 」 に つ い て “ 学 ぶ ” こ と に 始 ま り 、
次 に 自 分 た ち ( 児 童 ) が 住 ん で い る 地 区 を 観 察 し 、 地 区 に あ る 「 景 観 」 を “ 知 る ”。 そ し て 、 自
分 た ち( 児 童 )が 住 ん で い る 地 区 を 良 く す る た め の 計 画 を“ 作 る ”と い う 段 階 を 踏 み 、最 後 に 取
り組みを保護者や地区の人に“伝える”という展開になっている。
3.1.2.各 ス テ ッ プ の ね ら い
プ ロ グ ラ ム の 構 成 に 対 す る 各 ス テ ッ プ の ね ら い は 、 表 3.1 の 通 り で あ る 。
表 3.1:「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 プ ロ グ ラ ム 構 成
回
キーワード
授業タイトル
授業形式
授業時間
講義
90 分
「建築と風景のデザイン学習」
1
“学ぶ”
・ねらい
「良い建築や美しい風景」を、スライド映像を用いて事例
で紹介し、児童の価値軸を養う。さらには、美しい風景の
ポイントとして、風景の見方、捉え方を“学ぶ”
「まち歩きとまちなみ景観調査ワークショップ」
2
“知る”
ワーク
・ねらい
ショップ
180 分
まち(地区)を「景観」という視点から観察するまちなみ
景観調査を行い、良いところ、悪いところを“知る”
「まちなみ景観計画づくりワークショップ」
3
“作る”
ワーク
・ねらい
ショップ
180 分
自分たち(児童)が調査した地区のまちなみ景観としての
将来像を考え、まちなみ景観計画を“作る”
「まちなみ景観発表会」
4
“伝える” ・ねらい
発表会
自分たち(児童)のまちなみ景観に関する取り組みを、児
童の保護者や地区の人に発表して“伝える”
21
90 分
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
3.2.「 建築 と 風景 の デザ イ ン学 習 」の 設 計
22
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
3.2.「 建築 と 風景 の デザ イ ン学 習 」の 設 計
3.2.1.ス テ ッ プ の ね ら い と 構 成 内 容
1) ス テ ッ プ の ね ら い
「建築と風 景のデザイ ン学習」は 、ねらいに 対応して 4 つのステッ プで構成す る。構成の
ね ら い ( 全 体 の ね ら い 及 び 各 ス テ ッ プ の ね ら い ) を 表 3.に 示 す 。
表 3.2:「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」 構 成 の ね ら い
全体のねらい
各ステップのねらい
ス テ ッ プ 1: オ リ エ ン テ ー シ ョ ン
・児 童 に 授 業 の 目 的 と プ ロ グ ラ ム の 一 連 の 流 れ を 把 握 し て も
学ぶ
ス テ ッ プ 2: 良 い 建 築 と 美 し い 風 景
「 良 い 建 築 や 美 し い 風 景 」及 び 美
・ ま ず は 、児 童 に「 良 い 建 築 、美 し い 風 景 」を 知 っ て も ら う
し い 風 景 の 見 方 、捉 え 方 を 、ス ラ
ス テ ッ プ 3: 美 し い 風 景 の ポ イ ン ト
イ ド 写 真 を 用 い て 学 び 、「 景 観 」
・児 童 の 良 い 建 築 や 美 し い 風 景 に 対 す る 価 値 軸( 評 価 軸 )を
に関する基礎知識をつくる
らう
養う
ス テ ッ プ 4: ま と め
・学習の全体のまとめを行う
23
2007 年度 修士設計
子供を対象とした
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2) ス テ ッ プ の 構 成 内 容
「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」の ね ら い に 対 応 し た ス テ ッ プ の 構 成 と 主 な 内 容 を 、表 3.3 に 示
す 。 ス テ ッ プ は 、「 導 入 」 → 「 展 開 」 → 「 ま と め 」 と い う 流 れ を 持 っ て 構 成 す る 。 各 ス テ ッ プ の
設計内容の詳細を次に示す。
表 3.3:「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」 ス テ ッ プ 表
構成
No.
ステップ
主な内容
時間
導入
1
オリエンテーション
1.授 業 の 目 的 と 一 連 の 流 れ を パ ワ ー ポ イ ン ト で 説 明 す る
5分
1.「 自 然 な も の 」、「 建 物 」、「 ま ち な み 」、「 生 活 」 な ど 景
観 を 構 成 す る 要 素 ご と に 世 界 中 の 様 々 な 事 例 を 、ス ラ
イド写真を用いて解説する
2
良い建築と美しい風景
2.美 し い 風 景 の た め に 、景 観 を 構 成 す る 要 素 ご と に 、
「季
節 感 」、「 時 間 」、「 奥 行 き 」 な ど 、 必 要 な と し て 要 素 と
40 分
し て の 組 み 合 わ せ ( 例 :「 自 然 な も の 」 ×「 季 節 感 」)
を解説する
3.前 半 講 義 の ま と め を 行 う
1.「 ル ー ル の あ る 風 景 」 を テ ー マ に 、 ヨ ー ロ ッ パ に お け
展開
る 建 物 規 制 、看 板 規 制 、 色 彩 規 制 な ど の 美 し い 風 景 の
構成要素として必要なことを、事例を基に解説する
2.「 ど こ か ら み た ら 美 し い の か 」 を テ ー マ に 、 見 る 場 所
3
美しい風景のポイント
( 視 点 場 )に よ っ て 風 景 は 異 な る こ と に つ い て 事 例 を
紹介し、解説する
35 分
3.「 偽 物 は 使 わ な い 」 を テ ー マ に 、 色 鮮 や か な 果 物 を モ
チ ー フ に し た バ ス 停 や 休 憩 所 な ど を 事 例 に 、周 り の 風
景との調和について考える
4.後 半 講 義 の ま と め を 行 う
1.ス テ ッ プ 2、 3 の 要 点 を 箇 条 書 き に し た ス ラ イ ド を 用
まとめ
4
まとめ
いて、内容を再確認してもらう
2.全 体 の ま と め を 行 い 、 授 業 の 終 了 と す る
24
10 分
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―小学校景観出前授業の実践からー
3.2.3.ス テ ッ プ 1「 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 」
1) パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い る
○ねらい
・口頭のみでの説明ではなく、児童に視聴効果により“分かり易さ”を実現する
・ ス ラ イ ド を 利 用 し た “ 紙 芝 居 ” 的 な 要 素 に よ り 、“ 楽 し さ ” を 与 え 、 児 童 の 関 心 を 高 め る
・「 文 字 」 で は な く 、 イ ラ ス ト や 写 真 な ど の 「 ビ ジ ュ ア ル 」 を 多 く し 、“ 分 か り 易 く ” す る
○設計内容
「 景 観 ま ち づ く り 学 習 」の 全 体 の 目 的 と ス ケ ジ ュ ー ル や 作 業 の 内 容 を 、パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い
て 児 童 に 説 明 す る 。 ま た 、「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」 で は 、 言 葉 を い く ら 費 や し て も な か な
か 伝 え ら れ な い イ メ ー ジ を 、パ ワ ー ポ イ ン ト の ス ラ イ ド 映 像 を 通 し て 児 童 に 正 確 に 伝 え る 。映 像
を 映 す こ と に よ り 、注 意 力 を 集 中 さ せ た り 、話 し の き っ か け に し た り 、児 童 が す で に も っ て い る
関心を引き出すことなどに役立てることができる。
映 像 と ダ ブ ラ せ る こ と で 理 解 が 容 易 に な り 、言 葉 に 強 い 説 得 力 を も つ よ う に な る 。こ の 目 的 で
の映像は、教科書等の写真が持つ意味と同じである。
文 章 で は な く 、写 真 を 大 き く 拡 大 し て 提 示 す る こ と に よ り 全 体 像 を よ り 客 観 的 な 姿 で 捉 え ら れ 、
児 童 の お さ え た い 要 点 を 細 部 に わ た り そ の も の を ず ば り 示 す こ と が で き る 。ま た 、見 て い る も の
が 退 屈 し 、 だ れ て し ま わ な い よ う に 、 ス ラ イ ド は 1 コ マ の 映 写 を 20 秒 位 に す る よ う 留 意 す る 。
4∼5枚のコマを組にして映写するという工夫も大切である。
写 真 3.1: ス ラ イ ド 映 像 を 用 い た 学 習
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2) 授 業 場 所 の 条 件 設 定
○ねらい
・映像を鮮明に映すことで、スライド学習が持つ良さを引き出すための環境設定を行う
○設計内容
こ こ で は 、授 業 場 所 の 環 境 設 定 を 行 い 、映 像 を“ 鮮 明 ”に 映 す こ と で 、ス ラ イ ド 学 習 が 持 つ 良
さ を 引 き 出 し 、児 童 に は 、真 っ 暗 な 部 屋 で 美 し い 映 像 を 楽 し ん で も ら う 。現 在 の 普 通 教 室 の 構 造
で は 、ス ラ イ ド 利 用 は 難 し い 。理 想 的 に 考 え れ ば 、理 科 の 特 別 室 同 様 、暗 幕 の あ る 多 目 的 ホ ー ル
な ど の 特 別 教 室 が あ れ ば 非 常 に 良 い 。通 常 の 教 室 の 場 合 、児 童 が 多 け れ ば 、児 童 の 机 と 黒 板 の 間
が せ ま い た め 、た と え 教 室 前 の 角 に し ろ 、ス ク リ ー ン と プ ロ ジ ェ ク タ ー( 映 写 機 )を 置 く ゆ と り
が な い 。ま た 、暗 幕 が な い と 教 室 が 明 る す ぎ て 、う ま く 映 ら な い 。無 理 し て 使 う と す れ ば 、教 室
の 前 の 窓 側 の す み に ス ク リ ー ン を お き 、 窓 の 白 カ ー テ ン を つ る す 環 に 黒 カ ー テ ン を 幅 5m 位 つ る
して使うことになる。しかし、準備が大変である。
視 聴 覚 教 室 や 理 科 室 が 空 い て い る と き 、利 用 さ せ て も ら う が 、部 屋 を 暗 く し た り 、明 る く し た
り、素早くできるような体制を作ることが大切である。
写 真 3.2: ス ラ イ ド 映 像 を 鮮 明 に 映 す 条 件 設 定
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3.2.4.ス テ ッ プ 2「 良 い 建 築 と 美 し い 風 景 」
1) 良 い 建 築 、 美 し い 風 景 の 事 例 を ス ラ イ ド 映 像 で 紹 介 す る
○ねらい
・視覚的映像を活用する
・まずは、児童に「良い建築と美しい風景」を知ってもらう
・「 文 字 」 で は な く 、「 写 真 」 を 中 心 に “ 伝 わ り や す く ” 説 明 を 行 う
○設計内容
児 童 に「 良 い 建 築 と 美 し い 風 景 」を 知 っ て も ら う た め に 、景 観 を 構 成 す る 要 素( 景 観 資 源 )ご
と に 、事 例 を ス ラ イ ド 写 真 で 紹 介 す る 。景 観 構 成 要 素 は 表 3.4 の 通 り 分 類 で き る 。項 目 ご と に 10
枚程度のスライドを用意する。
表 3.4: 景 観 構 成 要 素 の 分 類
分類
構成要素
自然景観構成要素
天 空 、高 い 山 、低 い 山 、岩 石 、海 、河 川 、湖 沼 、水 辺 、田 園 広 葉 樹 林 、
(自 然 景 観 資 源 )
針葉樹林、動物、植物ふるさと的風景、鎮守の森
人文景観構成要素
歴史的建物、橋梁、ダム、道路、港湾、鉄塔、電柱、電線、造成地、
(人 文 景 観 資 源 )
裸地、草地、耕地、集落、寺、神社、教会、塔、城跡、庭園、船舶、
列車、自動車、看板
自然人文景観構成要素
渓 谷 を 背 景 に し た 橋 梁 、丘 陵 と 集 落 、海 と 航 行 中 の 船 舶 、道 路 と 走 行
(自 然 人 文 景 観 資 源 )
中の自動車、森林と神社、山岳と史跡、田園
景 観 を 構 成 す る 要 素 を 、 以 下 a∼ j の カ テ ゴ リ ー に 分 類 し 、 紹 介 す る 。
a.自 然 な も の
b.建 物
c.建 物 群
d.ま ち な み
e.庭
f.道
g.ス ト リ ー ト ・ フ ァ ニ チ ャ ー
h.橋
i.港
j.生 活
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a.自 然 な も の
景 観 構 成 要 素 と し て 、「 自 然 景 観 」 に 分 類 さ れ る 、 山 ・ 水 辺 ・ 空 ・ 森 ・ 花 な ど を 紹 介 す る 。 美
し い 風 景 の た め に は 、 自 然 ×季 節 感 ・ 時 間 、 自 然 ×奥 行 き が 重 要 で あ る こ と を 解 説 す る 。
写 真 3.3: 自 然 な も の 1
写 真 3.4: 自 然 な も の 2
写 真 3.5: 自 然 な も の 3
写 真 3.6: 自 然 な も の 4
b.建 物
景 観 構 成 要 素 と し て 、「 人 文 景 観 」 に 分 類 さ れ る 、 様 々 な 建 物 を 紹 介 す る 。 美 し い 風 景 の た め
に は 、 建 物 ×自 然 ( 背 景 )、 建 物 ×奥 行 き が 重 要 で あ る こ と を 解 説 す る 。
写 真 3.7: 建 物 1
写 真 3.8: 建 物 2
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c.建 物 群
景 観 構 成 要 素 と し て「 人 文 景 観 」に 分 類 さ れ る 建 物 群 を 紹 介 す る 。美 し い 風 景 の た め に は 、建
物 群 ×自 然( 背 景・中 庭 )、建 物 群 ×ス カ イ ラ イ ン 、建 物 群 ×軸 線 が 重 要 で あ る こ と を 解 説 す る 。
写 真 3.9: 建 物 群 1
写 真 3.10: 建 物 群 2
d.ま ち な み
景観構成要素として、
「 自 然 景 観 」に 分 類 さ れ る ま ち な み を 紹 介 す る 。美 し い 風 景 の た め に は 、
ま ち な み ×同 じ 素 材 の 連 続 、 ま ち な み ×に ぎ わ い が 重 要 で あ る こ と を 解 説 す る 。
写 真 3.11: ま ち な み 1
写 真 3.12: ま ち な み 2
e.庭
景 観 構 成 要 素 と し て 、「 人 文 景 観 」 に 分 類 さ れ る 庭 を 紹 介 す る 。 美 し い 風 景 の た め に は 、 庭 ×
自 然 ( 背 景 )、 庭 ×建 物 ・ 橋 ・ 道 = 人 工 物 が 重 要 で あ る こ と を 解 説 す る 。
写 真 3.13: 庭 1
写 真 3.14: 庭 2
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f.道
景 観 構 成 要 素 と し て 、「 自 然 人 文 景 観 」 に 分 類 さ れ る 道 を 紹 介 す る 。 美 し い 風 景 の た め に は 、
道 ×自 然 ( 背 景 )、 道 ×同 じ も の の 連 続 = 奥 行 き が 重 要 で あ る こ と を 解 説 す る 。
写 真 3.15: 道 1
写 真 3.16: 道 2
g.ス ト リ ー ト ・ フ ァ ニ チ ャ ー
景 観 構 成 要 素 と し て 、「 自 然 景 観 」 に 分 類 さ れ る ス ト リ ー ト ・ フ ァ ニ チ ャ ー を 紹 介 す る 。 美 し
い 風 景 の た め に は 、 ス ト リ ー ト ・ フ ァ ニ チ ャ ー ×道 が 重 要 で あ る こ と を 解 説 す る 。
写 真 3.17: ス ト リ ー ト ・ フ ァ ニ チ ャ ー 1
写 真 3.18: ス ト リ ー ト ・ フ ァ ニ チ ャ ー 2
h.橋
景 観 構 成 要 素 と し て 、「 人 文 景 観 」 に 分 類 さ れ る 橋 を 紹 介 す る 。 美 し い 風 景 の た め に は 、 橋 ×
川 、 橋 ×自 然 ( 背 景 ) が 重 要 で あ る こ と を 解 説 す る 。
写 真 3.19: 橋 1
写 真 20: 橋 2
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i.港
景 観 構 成 要 素 と し て 、「 人 文 景 観 」 に 分 類 さ れ る 港 を 紹 介 す る 。 美 し い 風 景 の た め に は 、 港 ×
自然(背景)が重要であることを解説する。
写 真 3.21: 港 1
写 真 3.22: 港 2
j.生 活
景観構成要素として、
「 自 然 人 文 景 観 」に 分 類 さ れ る 生 活 を 紹 介 す る 。美 し い 風 景 の た め に は 、
生 活 ( 日 常 ) ×季 節 感 、 生 活 ( 非 日 常 ) ×特 別 な 感 じ 、 生 活 ×… ら し い 風 景 、 他 に は な い 風 景 が
重要であることを解説する。
写 真 3.23: 生 活 1
写 真 3.24: 生 活 2
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3.2.5.ス テ ッ プ 3「 美 し い 風 景 の ポ イ ン ト 」
1) 美 し い 風 景 の ポ イ ン ト を 視 点 ご と に 解 説 す る
○ねらい
・児童の良い建築や美しい風景に対する価値軸(評価軸)を養う
○設計内容
児 童 の 価 値 軸 を 養 う た め に 、美 し い 風 景 の ポ イ ン ト に つ い て 、以 下 4 つ の 視 点 か ら 風 景 の 見 方 、
捉 え 方 を 解 説 す る 。ス ラ イ ド の 構 成 と し て は 、視 点 ご と に 良 い 事 例 と 良 く な い 事 例 を も と に 分 か
り易く解説を行う。
a.ル ー ル の あ る 風 景
b.ど こ か ら 見 た ら 美 し い か
c.背 景 に 注 意 す る
d.偽 物 は 使 わ な い
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a.ル ー ル の あ る 風 景
美 し い 風 景 の ポ イ ン ト と し て 、「 ル ー ル の あ る 風 景 」 を 日 本 と 世 界 ( ヨ ー ロ ッ パ な ど ) の 事 例
を 引 き 合 い に 出 し 、“ 分 か り 易 く ” 解 説 す る 。
・日本の場合
屋 根 の 形 や 色 彩 に 対 す る ル ー ル( 規 制 )が な く 、統 一 感 が な い こ と を 、事 例 を も と に 紹 介 す る 。
写 真 3.25: ル ー ル ( 事 例 1)
写 真 3.26: ル ー ル ( 事 例 2)
・ヨーロッパの場合
屋 根 の 形 や 色 彩 に 対 し て ル ー ル( 規 制 )が る こ と か ら 、統 一 感 が あ り 、美 し い 風 景 を 構 成 し て
い る こ と に つ い て 解 説 す る 。人 間 が 生 活 を 行 う 上 で も 様 々 な ル ー ル が あ る よ う に 、美 し い 風 景 を
つくるためにもルールが必要であることを伝える。
写 真 3.27: ル ー ル ( 事 例 3)
写 真 3.28: ル ー ル ( 事 例 4)
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b.ど こ か ら 見 た ら 美 し い か
美 し い 風 景 の ポ イ ン ト と し て 、「 ど こ か ら 見 た ら 、 快 適 で 美 し い か 」 風 景 を 眺 め る 場 所 も 非 常
に重要であることを児童に考えてもらう。
・良い事例
主 対 象( 眺 め る 対 象 )が 、自 然 景 観 で あ る 場 合 、眺 め る 場 所 で あ る 視 点 場 が 如 何 に 重 要 か を 分
か り 易 く 解 説 す る 。 ど こ か ら 見 た ら 、 快 適 で 美 し い か を 考 え る と 、「 見 る 場 所 ×見 る 場 所 の 居 心
地 」、「 見 る 場 所 ×風 景 を 切 り 取 る 」 こ と が 重 要 と な る 。
写 真 3.29: 視 点 場 ( 事 例 1)
写 真 3.30: 視 点 場 ( 事 例 2)
・良くない事例
荒れた場所から美しいものを眺めても魅力が半減してしまうことを、事例をもとに解説する。
写 真 3.31: 視 点 場 ( 事 例 3)
写 真 3.32: 視 点 場 ( 事 例 4)
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c.背 景 に 注 意 す る
美 し い 風 景 の ポ イ ン ト と し て 、「 背 景 に 注 意 す る 」 こ と に つ い て 解 説 す る 。 美 し い 風 景 を 構 成
す る た め に は 、主 対 象 の 周 囲 の 背 景( 副 対 象 )を 美 し く す る こ と が 非 常 に 重 要 と な る 。児 童 に は
事 例 を も と に 何 を 見 せ る か 背 景 に も 注 意 す る こ と を 、良 い 事 例 と 良 く な い 事 例 を も と に 解 説 す る 。
・良い事例
背 景 に 邪 魔 な も の が 何 も な く 美 し い 風 景 を 構 成 し て い る 事 例 を 紹 介 す る 。も し 背 景 に 、建 築 物
や看板、送電鉄塔などが見えると、美しい風景が台無しになることを解説する。
写 真 3.33: 背 景 ( 事 例 1)
写 真 3.34: 背 景 ( 事 例 2)
・良くない事例
背 景 に 邪 魔 を す る も の が あ り 美 し い 風 景 を 台 無 し に し て い る 事 例 を 紹 介 す る 。背 景 に 高 層 マ ン
シ ョ ン が あ る こ と に よ り 、美 し い 庭 園 や 歴 史 的 港 湾 の 落 ち 着 い た 雰 囲 気 を 、台 無 し に し て い る こ
とを解説する。
写 真 3.35: 背 景 ( 事 例 3)
写 真 3.36: 背 景 ( 事 例 4)
35
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d.偽 物 に は 配 慮 が 必 要
美 し い 風 景 の ポ イ ン ト と し て 、「 偽 物 に は 配 慮 が 必 要 」 で あ る こ と に つ い て 解 説 す る 。 具 体 的
に は 、本 物 が あ る に も 拘 ら ず 、偽 物 を 作 る ・ 使 う に は 、周 り の 美 し い 風 景 を 保 つ た め に 色 彩 な ど
の配慮が必要であることを伝える。
・良い事例
周 り の 景 観 を 考 え 、色 の 落 ち 着 い た オ ブ ジ ェ タ イ プ の 事 例 を 紹 介 す る 。下 記 の 写 真 事 例 は 、鳥
取 の 境 港 に あ る「 ゲ ゲ ゲ の 鬼 太 郎 ロ ー ド 」で あ る が 、本 物 同 様 の 使 わ ず に 色 彩 を 抑 え( ブ ロ ン ド
像)ており、周りの景観を考えた配慮があることを解説する。
写 真 3.37: 偽 物 ( 事 例 1)
写 真 3.38: 偽 物 ( 事 例 2)
・良くない事例
魚のバス停やフルーツバス停などのユニークでインパクトのある事例を紹介する。下記の
写真事例は、色彩が派手すぎて、背景よりも目立ってしまっている。港町で非常にユニーク
なオブジェタイプのバス停ではあるが、美しい風景をつくるためには、配慮が必要であるこ
とを解説する。
写 真 3.39: 偽 物 ( 事 例 3)
写 真 3.40: 偽 物 ( 事 例 4)
36
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3.2.6.ス テ ッ プ 4「 ま と め 」
1)「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」 の 要 点 を ま と め る
○ねらい
・最後にこれまでの学習の要点を分かり易くまとめ、重要なことを意識してもらう
○設計内容
学 習 の ま と め と し て 、 ス テ ッ プ 2 :「 良 い 建 築 と 美 し い 風 景 」 及 び ス テ ッ プ 3「 美 し い 風 景 の
ポ イ ン ト 」の 要 点 を 1 枚 の ス ラ イ ド に 分 か り 易 く 箇 条 書 き で ま と め 、メ モ を 取 っ て も ら う 。メ モ
を取ってもらう際に、より分かり易いように言葉をプラスし、理解してもらう。
「建築と風景のデザイン学習」まとめ
・ 自 然 ×季 節 感 の あ る 風 景
・奥行きのある風景
・他にはない、自慢の風景を探す
・ルールのある風景
・どこから見たら快適で美しいか考える
・背景にも注意する(何を見せるか?)
・偽物は使っていけない
写 真 3.41:「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」 の ま と め
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3.3.「 まち 歩 きと ま ちな み 景観 調 査ワ ー クシ ョ ップ 」 の設 計
38
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3.3.1.ス テ ッ プ の ね ら い と 構 成 内 容
2) ス テ ッ プ の ね ら い
「まち歩きとまちなみ景観調査ワークショップ」は、全体のねらいに対応して 4 つのステ
ッ プ で 構 成 す る 。 構 成 の ね ら い ( 全 体 の ね ら い 及 び 各 ス テ ッ プ の ね ら い ) を 表 3.5 に 示 す 。
表 3.5:「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 構 成 の ね ら い
全体のねらい
各ステップのねらい
ス テ ッ プ 1: オ リ エ ン テ ー シ ョ ン
・児童に授業の目的とプログラムの一連の流れを把握して
もらう
・ア イ ス ブ レ イ ク に よ っ て 、児 童 の 緊 張 を 解 し 、学 習 に“ 参
加”する準備段階を作る
ス テ ッ プ 2: ま ち 歩 き
知る
・自分たち(児童)が住んでいる地区のまちなみ景観とし
普段はあまり意識することのな
・身近な空間、見慣れた風景をまちなみ景観という視点か
ての現況調査を行う
い、自分たち(児童)の住む地区
ら、再発見・再認識してもらう
のまちなみ景観調査を行い、地区
ス テ ッ プ 3: 景 観 調 査 の ま と め
景 観 と し て 「 良 い と こ ろ 」、「 悪 い
・まち歩きを行った地区の現況が一目で読み取れるように
ところ」を再発見・再評価しても
らう
景観調査をガリバーマップにまとめる
・ま ち 歩 き を 行 っ た 地 区 の 景 観 情 報(「 良 い と こ ろ 」、
「悪い
と こ ろ 」) を 整 理 す る
ス テ ッ プ 4: 発 表
・調査した内容を整理し、発表を行うことで全体の共有化
を図る
・普段はあまりない人前での発表により、プレゼン力をつ
ける
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2) ス テ ッ プ の 構 成 内 容
「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」の ね ら い に 対 応 し た ス テ ッ プ の 構 成 と 主 な 内
容 を 、 表 3.6 に 示 す 。 ス テ ッ プ は 、「 導 入 」 − 「 展 開 」 − 「 ま と め 」 と い う 流 れ を 持 っ て 構 成 す
る。各ステップの設計内容の詳細を次に示す。
表 3.6:「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 ス テ ッ プ 表
構成
No.
ステップ
主な内容
時間
1.授 業 の 目 的 と 一 連 の 流 れ を パ ワ ー ポ イ ン ト で 説 明 す る
導入
1
オリエンテーション
2. ア イ ス ブ レ イ ク で 児 童 の 緊 張 を 解 し グ ル ー プ 分 け を 行
う
20 分
3.歩 く コ ー ス や 各 自 の 役 割 を 各 グ ル ー プ で 検 討 す る
1. テ ー マ に 沿 っ て ま ち 歩 き を 行 い 、 対 象 物 を イ ン ス タ ン
2
まち歩き
ト ・ カ メ ラ で 撮 影 す る ( 各 グ ル ー プ 20 枚 、 各 自 最 低 2
枚は撮影)
60 分
2.撮 影 し た 場 所 や 気 付 き を ま ち 歩 き マ ッ プ に 記 入 す る
1.ま ち 歩 き で 撮 影 し た 写 真 に 各 自 タ イ ト ル を つ け る
展開
2.ふ き だ し に 写 真 に 対 す る 気 付 き を 記 入 す る
3. ガ リ バ ー マ ッ プ 上 に あ る 撮 影 し た 場 所 に シ ー ル ( 良 →
緑、悪→赤)を貼り付ける
3
景観調査のまとめ
4.シ ー ル か ら 引 き 出 し 線 を 引 き 、写 真 と ふ き だ し を バ ラ ン
スよく貼り付ける
60 分
5.項 目 ワ ー ク シ ー ト に 、撮 影 し た 写 真 が 良 い と こ ろ 、悪 い
と こ ろ の 中 で 、 景 観 要 素 ( 建 物 、 道 、 塀 etc… ) ご と に
分類し、シールを貼り付ける
6.チ ー ム 名 と メ ン バ ー の 名 前 を 記 入 す る
1.完 成 し た ガ リ バ ー マ ッ プ を 囲 ん で 座 る
まとめ
4
発表
2. 各 グ ル ー プ の リ ー ダ ー と サ ブ が ガ リ バ ー マ ッ プ の 上 に
乗って地区景観を紹介する
3.最 後 に ま と め と 講 評 を 行 い 、 学 習 の 終 了 と す る
40
40 分
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3.3.3.ス テ ッ プ 1「 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 」
1) パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い て 説 明 す る
○ねらい
・口頭のみでの説明ではなく、児童に視聴効果により“分かり易さ”を実現する
・ ス ラ イ ド を 利 用 し た “ 紙 芝 居 ” 的 な 要 素 に よ り 、“ 楽 し さ ” を 与 え 、 児 童 の 関 心 を 高 め る
・「 文 字 」 で は な く 、 イ ラ ス ト や 写 真 な ど の 「 ビ ジ ュ ア ル 」 を 多 く し 、“ 分 か り 易 く ” す る
○設計内容
「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」の ス ケ ジ ュ ー ル や 作 業 の 内 容 を 、パ ワ ー ポ イ
ントを用いて児童に説明する。
「 3.2 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」と 同 じ ね ら い を 持 ち 、言 葉 を い
く ら 費 や し て も な か な か 伝 え ら れ な い イ メ ー ジ を 、イ ラ ス ト や 写 真 な ど の「 ビ ジ ュ ア ル 」を 用 い
て 、“ 分 か り 易 く ” 児 童 に 伝 え る 。 ま た 、 ス ラ イ ド を 利 用 し た “ 紙 芝 居 ” 的 な 要 素 に よ り 注 意 力
を 集 中 さ せ た り 、話 し の き っ か け に し た り 、児 童 が 持 っ て い る 関 心 を 引 き 出 す こ と な ど に 役 立 て
る。
写 真 3.42: パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い た オ リ エ ン テ ー シ ョ ン
41
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2) ア イ ス ブ レ イ ク で 緊 張 を 解 す
○ねらい
・「 こ れ か ら 何 が 始 ま る の か な 」、「 早 く 終 わ ら な い か な 」 な ど 、 楽 し み と 不 安 が 入 り 混 じ っ た 、
参 加 者 ( 児 童 ) の 身 構 え た 状 態 を リ ラ ッ ク ス さ せ 、“ 楽 し さ ” を 与 え る
・座って授業を受けるのではなく、体を動かすことで“楽しく”グループ分けを行う
・ チ ー ム 対 抗 な ど 、 全 員 が 協 力 し て ゲ ー ム を 行 う こ と で 、“ 仲 間 意 識 ” の 形 成 を 促 す
○設計内容
ア イ ス ブ レ イ ク は 、 直 訳 す れ ば 「 氷 ( ice) を 砕 く ( break)」 と い う 意 味 で あ る が 、 学 習 プ ロ
グ ラ ム に お い て は 、参 加 者 の 氷 の よ う に 固 ま っ た「 身 構 え た 状 態 」を リ ラ ッ ク ス さ せ 、学 習 を 進
める準備状態にすることを意味する。
ス テ ッ プ は 、「 導 入 」 − 「 展 開 」 − 「 ま と め 」 と い う 流 れ を も っ て 構 成 し て い る 。 こ の 流 れ を
ス ム ー ズ に し 、 学 習 の 効 果 を 高 め る に は 、「 導 入 」 は と て も 大 事 な 時 間 で あ る 。 な ぜ な ら 参 加 者
には“動機付け”の意味を持つからである。
「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 で は 、 既 存 の ア イ ス ブ レ イ ク 手 法 か ら 「 a.誕
生 日 チ ェ ー ン 」、「 b.人 数 を 集 め ろ 」 の 2 つ を 選 択 し 、 実 施 す る 。
写 真 3.43: 緊 張 を 解 す た め の ア イ ス ブ レ イ ク
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a.誕 生 日 チ ェ ー ン
所 要 時 間 : 10 分 程 度
人
数:何人でも
準
備:特になし
「 会 話 を し な い 」 と い う 条 件 で 、「 誕 生 の 月 日 順 」 に 並 ん で も ら う 。
並び終えたら順番に誕生日を発表してもらう。
言 葉 以 外 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 技 法 を 引 き 出 し 、自 ら 発 す る こ と の 大 切 さ に 気 付 く こ と が 出 来
る。誕生の月日順の他、氏名の五十音順、出身地の北から南順などでも可能である。
写 真 3.44:“ 誕 生 日 チ ェ ー ン ” の 風 景 1
写 真 3.45:“ 誕 生 日 チ ェ ー ン ” の 風 景 2
b.人 数 を 集 め ろ
所 要 時 間 : 10 分 程 度
人
数 : 10 人 以 上
準
備:特になし
指 導 者 の「 せ ー の 」の 掛 け 声 の 後 、指 導 者 と 参 加 者 が 一 緒 に 、手 拍 子 を 一 つ ず つ 増 や し な が ら 叩
く 。「 せ ー の 」 パ ン 、「 せ ー の 」 パ ン パ ン 、「 せ ー の 」 パ ン パ ン パ ン … … と 。 指 導 者 は 適 当 な と こ
ろ で「 は い ! 」と 声 を か け 、最 後 の 手 拍 子 の 数 の 人 数 で 誰 で も い い か ら 集 ま り 、手 を つ な い で 輪
に な る 。指 定 し た 人 数 が 集 ま ら な か っ た 方 に 簡 単 に 自 己 紹 介 を し て も ら う 。手 拍 子 の 数 は 減 ら し
たり増やしたりランダムにして繰り返す。また、グループ分けの際にも用いることができる。
写 真 3.46:“ 人 数 を 集 め ろ ” の 風 景 1
写 真 3.47:“ 人 数 を 集 め ろ ” の 風 景 2
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3.3.4.ス テ ッ プ 2「 ま ち 歩 き 」
1) ま ち 歩 き テ ー マ を 設 定 す る
○ねらい
・ ま ち 歩 き の テ ー マ 設 定 を 行 い 、身 近 な 空 間 、見 慣 れ た 風 景 を「 ま ち な み 景 観 」と い う 視 点 か ら
地区を探検・調査する“楽しさ”と景観資源を発見する“驚き”を与える
○設計内容
ま ち 歩 き で は 、 大 前 提 に あ る 「 景 観 」 を テ ー マ に し た 学 習 か ら 、「 景 観 」 の 視 点 に 絞 っ て 自 分
たちの調査対象地区のまち歩きを行う。
ま ち 歩 き の テ ー マ と し て は 、 ま ち 歩 き 調 査 を 行 う 際 に 特 徴 的 な 「 良 い と こ ろ 」、「 悪 い と こ ろ 」
を探すものとし、テーマを次の 2 点に設定する。
・まち歩きのテーマ
a.風 景 、 景 観 と し て 良 い と こ ろ 、 お も し ろ い と こ ろ
b.風 景 、 景 観 と し て 悪 い と こ ろ 、 問 題 の あ る と こ ろ
写 真 3.48: テ ー マ を 持 っ た ま ち 歩 き
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2) イ ン ス タ ン ト ・ カ メ ラ を 使 用 す る
○ねらい
・まち歩きのテーマに沿って対象物を撮影し、対象物を「ビジュアル」として残す
・撮影後すぐに写真を得ることができる
・撮影したその場で、写真を見ることが出来るという最大のメリットがある
○設計内容
ま ち 歩 き の 際 に 、テ ー マ に 沿 っ て 対 象 物 を 撮 影 す る た め に カ メ ラ を 使 用 す る 。カ メ ラ の 種 類 は 、
撮 影 後 す ぐ に 写 真 が 得 ら れ る カ メ ラ と し て 、「 イ ン ス タ ン ト ・ カ メ ラ 」 を 使 用 す る 。
イ ン ス タ ン ト ・ カ メ ラ は 、 各 班 に 1 台 ( 10 枚 撮 り ) 用 意 し 、 撮 影 枚 数 は 20 枚 と す る 。
写 真 3.49: イ ン ス タ ン ト ・ カ メ ラ を 使 用 し た ま ち 歩 き
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3) ま ち 歩 き マ ッ プ を 使 用 す る
○ねらい
・まち歩きの時間を考えて、効率的に地区を回って調査するためのルート確認を行う
・まち歩きで発見した景観資源等の場所の位置情報を落としておく“分かり易さ”を与える
○設計内容
ま ち 歩 き の 際 に 、ル ー ト の 確 認 や 地 区 の 景 観 情 報 を 記 入 で き る よ う に 、
「 a.全 体 マ ッ プ 」と「 b.
地 区 マ ッ プ 」の 2 つ の ま ち 歩 き マ ッ プ を 用 意 す る 。そ れ ぞ れ の ま ち 歩 き マ ッ プ に は 、ま ち 歩 き を
す る 際 の “ 目 印 ” と な る よ う 主 要 な 建 物 に 名 称 を 入 れ て 、“ 分 か り 易 さ ” を 実 現 す る 。
a.全 体 マ ッ プ
ま ち 歩 き の 全 体 範 囲 か ら 自 分 た ち( 児 童 )の ま ち な み 景 観 調 査 地 区 が ど の よ う な 位 置 付 け な の
かを確認把握するために使用する。
図 3.1: 全 体 マ ッ プ
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b.地 区 マ ッ プ
ま ち 歩 き の 時 間 を 考 え て 、効 率 的 に 地 区 を 回 っ て 調 査 で き る よ う に ル ー ト 確 認 に 使 用 す る 。ま
た 、マ ッ プ に は ま ち 歩 き で 発 見 し た 景 観 資 源 等 の 場 所 の 位 置 情 報 を 落 と し て お く 。ガ リ バ ー マ ッ
プ 作 成 時 に 効 率 的 に 且 つ“ 分 か り 易 く ”作 業 が 行 え る よ う に 、ガ リ バ ー マ ッ プ に 貼 り 付 け る 2 色
シ ー ル を 貼 り つ け る 。 シ ー ル の 大 き さ は 地 区 マ ッ プ の 大 き さ に 合 わ せ て 直 径 5mm 程 度 の も の と
する。
・風景、景観として良いところ、おもしろいところ→「緑色」のシール
・風景、景観として悪いところ、問題のあるところ→「赤色」のシール
図 3.2: 地 区 マ ッ プ
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4) ま ち 歩 き 記 入 シ ー ト を 使 用 す る
○ねらい
・まち歩きで発見した時の“気持ち・気付き”を、その場で文章として残しておく
・ ガ リ バ ー マ ッ プ 作 成 時 に 効 率 的 に“ 分 か り 易 い ”作 業 が で き る よ う に 、ま ち 歩 き で 発 見 し た 景
観情報を落としておく
○設計内容
撮影番号や撮影者、気付きを記入できる欄を設ける。
図 3.3: ま ち 歩 き 記 入 シ ー ト
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5) ス タ ッ フ を 各 グ ル ー プ の “ 先 生 ” に す る
○ねらい
・ ワ ー ク シ ョ ッ プ を 通 し て 、グ ル ー プ の“ 先 生 ”と し て 、児 童 が 混 乱 し な い よ う に 作 業 に 対 す る
助 言 と 手 伝 い に よ り 、“ 楽 し さ ” と “ 分 か り 易 さ ” を 与 え る
・まち歩きにおける児童の安全確保と時間管理、誘導を行う
○設計内容
ま ち 歩 き は 、児 童 の 安 全 確 保 と 時 間 管 理 、誘 導 を 行 う ス タ ッ フ を 動 員 す る 。ま た 、ワ ー ク シ ョ
ッ プ を 通 し て 、児 童 が 混 乱 し な い よ う に 、ス タ ッ フ を グ ル ー プ の“ 先 生 ”と し て 位 置 付 け 、作 業
に 対 す る 助 言 と 手 伝 い し て あ げ る こ と で 、学 生 と 触 れ 合 え る“ 楽 し さ ”と“ 分 か り 易 さ ”を 実 現
する。スタッフには、まち歩きのコースや注意点、作業内容など事前の打ち合わせをしておく。
写 真 3.50: グ ル ー プ の “ 先 生 ” と な る ス タ ッ フ
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3.3.5.ス テ ッ プ 3「 景 観 調 査 の ま と め 」
1) ガ リ バ ー マ ッ プ を 使 用 し た 景 観 調 査 の ま と め
○ねらい
・ ガ リ バ ー ( 巨 人 ) に な れ る と い う 、 非 日 常 的 ス ケ ー ル の 体 験 に よ り 、“ 楽 し く ” と “ 驚 き ” を
持って作業できる
・各グループが協力して、1 枚の巨大な地図を完成させる“達成感”の大きさがある
・ ガ リ バ ー マ ッ プ の 上 を 歩 き 回 っ た り 、 座 り 込 ん だ り 、 寝 転 が っ た り し な が ら 、“ 自 由 ” に 作 業
ができる
○設計内容
ガ リ バ ー マ ッ プ を 使 用 す る こ と で 、“ 楽 し さ ” と“ 驚 き ”を 追 求 す る 。ガ リ バ ー マ ッ プ の 原 本
は 、建 物 の 平 面 形 状 や 建 物 名 称 が 入 っ て い る 市 販 の 住 宅 地 図( ゼ ン リ ン な ど )を 使 用 す る 。ガ リ
バ ー マ ッ プ に は 、検 討 対 象 地 区 全 体 が 含 ま れ る よ う に し 、ま ち 歩 き で 撮 影 し た 写 真 や ふ き だ し が
貼 れ る よ う に ス ペ ー ス を 確 保 す る た め 、縦 横 に 70cm 程 度 の 余 白 を 設 け る 。ガ リ バ ー マ ッ プ の ス
ケ ー ル は 、 対 象 と す る 地 区 の 範 囲 や 状 況 に も よ る が 、 1/300∼ 1/500 と す る 。 ま た 、 児 童 が 作 業
し や す い よ う に 、ま ち 歩 き マ ッ プ と リ ン ク す る よ う に 、建 物 名 称 を 入 れ て お く 。建 物 の 色 は 、入
り付けたシールや写真よりも目立たないように、落ち着いた色(グレーなど)で統一する。
図 3.4: ガ リ バ ー マ ッ プ
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2) 項 目 ワ ー ク シ ー ト を 使 用 し た 景 観 調 査 の 整 理
○ねらい
・ ま ち 歩 き を 行 っ た 地 区 の 景 観 情 報(「 良 い と こ ろ 」、「 悪 い と こ ろ 」)を 整 理 し 、ガ リ バ ー マ ッ プ
と リ ン ク さ せ る こ と に よ り 、“ 分 か り 易 さ ” を 実 現 す る
・ 撮 影 し た 写 真 を 景 観 項 目 別 に 分 類 す る こ と で 、自 分 た ち( 児 童 )の 地 区 の 良 い と こ ろ 、悪 い と
ころは何か、視覚的に捉える“分かり易さ”を実現する
・ 項 目 ワ ー ク シ ー ト を 個 別 化 す る こ と で 、 地 区 の 景 観 と し て 「 良 い と こ ろ 」「 悪 い と こ ろ 」 を 景
観項目別に数的に理解を高める“分かり易さ”を実現する
○設計内容
ま ち 歩 き を 行 っ た 地 区 の 景 観 情 報 を 整 理 す る た め に 、図 3.5 の 通 り 項 目 ワ ー ク シ ー ト を 設 計 す
る 。項 目 ワ ー ク シ ー ト に は 、ガ リ バ ー マ ッ プ に 貼 り 付 け た シ ー ル と 同 じ も の を 貼 り 付 け 、項 目 分
けし、完成させる。
図 3.5: 項 目 ワ ー ク シ ー ト
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3) ふ き だ し を デ ザ イ ン す る
○ねらい
・ま ち 歩 き で 発 見し た 時 の“ 気 持 ち・気 付 き ”を 写 真 と 一 緒 に表 現 す る“ 楽 し さ”と“分 か り 易
さ”を実現する
○設計内容
漫 画 で 登 場 人 物 の 台 詞 を 表 現 す る 際 に 使 わ れ る「 ふ き だ し 」を シ ー ト 化 す る 。ま ち 歩 き で 撮 影
し た 写 真 に 対 し て 、自 由 に 使 用 で き る よ う に 4 タ イ プ( 四 方 向 対 応 )の ふ き だ し を 図 3.6 の 通 り
デザインし、用意する。
タイプ 1
タイプ 3
タイプ 2
タイプ 4
図 3.6: ふ き だ し の デ ザ イ ン
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4) 2 色 の シ ー ル を 用 い て 表 現 す る
○ねらい
・ 風 景 ・ 景 観 と し て 良 い と こ ろ 、悪 い と こ ろ を 色 分 け す る こ と で 、視 覚 的 な イ メ ー ジ に よ り 判 別
できる“分かり易さ”を実現する
○設計内容
ガ リ バ ー マ ッ プ に 調 査 内 容 を ま と め る 際 に 、風 景 ・景 観 と し て 良 い と こ ろ 、悪 い と こ ろ を 色 分
け す る 。色 分 け に は 、緑 色 と 赤 色 の 円 い 2 色 の シ ー ル を 使 用 す る 。ま た 、遠 く か ら で も 見 や す い
よ う に 、 直 径 20mm の 大 き な シ ー ル を 用 い る 。 色 の 意 味 合 い を 下 記 に 示 す 。
・緑色のシール
「 安 全 」、「 成 長 」 の 色 と し て の 意 味 合 い を 持 ち 、「 風 景 、 景 観 と し て 良 い と こ ろ 、 お も し ろ い
ところ」を緑で用いる。
・赤色のシール
「 警 告 」、「 禁 止 」 の 色 と し て の 意 味 合 い を 持 ち 、「 風 景 、 景 観 と し て 悪 い と こ ろ 、 問 題 の あ る
ところ」を赤で用いる。
写 真 3.51: 2 色 の シ ー ル を 使 っ て ガ リ バ ー マ ッ プ に 表 現
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5) 景 観 調 査 の ま と め 方 を 工 夫 す る
○ねらい
・ガリバーマップにまとめる写真やふきだしが見やすいようにレイアウトを考える
○設計内容
児 童 が ま ち 歩 き を 行 っ た 調 査 地 区 の 景 観 情 報 を 見 や す く 工 夫 し 、ガ リ バ ー マ ッ プ に レ イ ア ウ ト
す る 。 ガ リ バ ー マ ッ プ へ の レ イ ア ウ ト の 方 法 は 図 3.7 の 通 り で あ る 。
図 3.7: ガ リ バ ー マ ッ プ の レ イ ア ウ ト
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3.3.6.ス テ ッ プ 4「 発 表 」
1) 発 表 の 形 式 を 作 る
○ねらい
・ 調 査 し た 内 容 を 整 理 し 、発 表 を 行 う こ と で 全 体 の 共 有 化 を 図 り 、自 分 た ち( 児 童 )が 取 り 組 ん
だ成果を自慢できる“楽しさ”を与える
・普段はあまりない人前での発表により、プレゼン力をつける
○設計内容
「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」の 最 後 に 、グ ル ー プ ご と に 調 査 対 象 地 区 の 景
観 状 況 を 発 表 す る 。 発 表 の 形 式 と し て 、 図 3.8 の 通 り と す る 。 リ ー ダ ー は 、 項 目 ワ ー ク シ ー ト に
沿 っ て 発 表 す る 。サ ブ リ ー ダ ー は 、ガ リ バ ー マ ッ プ に 乗 っ て 、写 真 を 指 し 棒 で 指 し 、ふ き だ し に
書 か れ た 発 見 し た 魅 力 や 問 題 点 を 紹 介 す る 。調 査 し た 内 容 の 共 有 は も ち ろ ん 、普 段 は あ ま り な い
人 前 で の 発 表 を 体 験 し て も ら う こ と が 大 き な 設 計 の ポ イ ン ト で あ る 。ま た 、発 表 す る 人 、シ ー ト
を持つ人などグループ全員協力し、全員で発表に臨む体系を作る。
図 3.8:「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 発 表 形 式
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3.4.「 まち な み景 観 計画 づ くり ワ ーク シ ョッ プ 」の 設 計
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3.4.1.ス テ ッ プ の ね ら い と 構 成 内 容
1) ス テ ッ プ の ね ら い
「まちなみ景観計画づくりワークショップ」は、全体のねらいに対応して 4 つのステップ
で 構 成 す る 。 構 成 の ね ら い ( 全 体 の ね ら い 及 び 各 ス テ ッ プ の ね ら い ) を 表 3.7 に 示 す 。
表 3.7:「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 構 成 の ね ら い
全体のねらい
各ステップのねらい
ス テ ッ プ 1: オ リ エ ン テ ー シ ョ ン
・児童に授業の目的とプログラムの一連の流れを把握して
もらう
・電柱の地中化やゴミ撤去などの事例を、フォトモンター
ジュを用いたクイズ形式で紹介し、楽しく景観計画のイ
メージを養う
ス テ ッ プ 2: 貼 り 絵 づ く り
・幼児体験をもとに、誰しもが体験のある貼り絵で目に見
える形として、表現できる“楽しさ”を与える
・電柱を樹木に置き換えたり、まちの背景に自然の風景を
貼り付けたりするなど、自由に“楽しみ”ながら、景観
づくりを行う
作る
・少し工夫するだけで風景は変わる、自分たちの手で風景
自分たち(児童)がまち歩きで調
・目標空間イメージを 2 次元(貼り絵)で表現し、共有し
査した対象地区の将来像を考え、
まちなみ景観計画を作る
を変えられることを学んでもらう
てもらう
・実際に様々な景観の写真を組み合わせて、自分が良いと
思う景観づくりを行う
・景観計画を策定する上でのイメージを持ってもらう
ス テ ッ プ 3: 景 観 計 画 の 作 成 と ま と め
・景観計画内容が一目で読み取れるようにガリバーマップ
にまとめる
・自 分 た ち( 児 童 )が 住 ん で い る 地 区 の 景 観 計 画 を 作 成 し 、
景観計画ワークシートにまとめる
ス テ ッ プ 4: 発 表
・計画した内容を整理し、発表を行うことで全体の共有化
を図る
・普段はあまりない人前での発表により、プレゼン力をつ
ける
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2) ス テ ッ プ の 構 成 内 容
「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」の ね ら い に 対 応 し た ス テ ッ プ の 構 成 と 主 な 内 容 を 、
表 3.8 に 示 す 。 ス テ ッ プ は 、「 導 入 」 − 「 展 開 」 − 「 ま と め 」 と い う 流 れ を 持 っ て 構 成 す る 。 各
ステップの設計内容の詳細を次に示す。
表 3.8:「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 ス テ ッ プ 表
構成
No.
ステップ
主な内容
時間
1. 授 業 の 目 的 と 一 連 の 流 れ を パ ワ ー ポ イ ン ト で 説 明 す
導入
1
オリエンテーション
る
2. 景 観 計 画 の イ メ ー ジ を 養 う た め 、 電 柱 の 地 中 化 や ゴ
20 分
ミの撤去などの事例をモンタージュで紹介する
1.1 枚 の 貼 り 絵 に 対 し て 2 人 1 組 で 作 業 を 行 う た め 、
グループ内で組分けを行う(4 組程度)
2.貼 り 絵 を 行 う 前 に 、計 画 前 の シ ー ト( 貼 り 絵 シ ー ト )
2
貼り絵づくり
に、直したいところ・変えたいところのイメージを
60 分
書いてみる
3. 実 際 に 、 素 材 で あ る 切 り 貼 り シ ー ト を 使 っ て 、 問 題
のあるところに貼り絵をし、風景を変えてみる
1. 作 成 し た 貼 り 絵 シ ー ト に 基 づ き 、 計 画 内 容 ( 場 所 、
展開
課 題 、方 法 、実 施 者 etc… )を 景 観 計 画 シ ー ト に 記 入
する
2. が リ バ ー マ ッ プ に 貼 り 絵 シ ー ト と 景 観 計 画 シ ー ト を
3
景観計画の作成とま
とめ
併せて貼り付け、完成させる
3. 地 区 の 目 指 す べ き 景 観 の 将 来 像 ( コ ン セ プ ト ) を 、
60 分
キーワードシートから 1 人 3 枚切り抜き、グループ
内で検討する
4.地 区 の 将 来 像( コ ン セ プ ト )と 、景 観 計 画 シ ー ト( コ
ピー版)をワークシートにまとめる
5.チ ー ム 名 と メ ン バ ー の 名 前 を 記 入 す る
1.完 成 し た ガ リ バ ー マ ッ プ を 囲 ん で 座 る
まとめ
4
発表
2.各 グ ル ー プ の リ ー ダ ー が 景 観 計 画 内 容 を 発 表 す る
3.最 後 に ま と め と 講 評 を 行 い 、 学 習 の 終 了 と す る
58
40 分
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3.4.3.ス テ ッ プ 1「 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 」
1) パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い て 説 明 す る
○ねらい
・口頭のみでの説明ではなく、児童に視聴効果により“分かり易さ”を実現する
・ ス ラ イ ド を 利 用 し た “ 紙 芝 居 ” 的 な 要 素 に よ り 、“ 楽 し さ ” を 与 え 、 児 童 の 関 心 を 高 め る
・「 文 字 」 で は な く 、 イ ラ ス ト や 写 真 な ど の 「 ビ ジ ュ ア ル 」 を 多 く し 、“ 分 か り 易 く ” す る
○設計内容
「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」の ス ケ ジ ュ ー ル や 作 業 の 内 容 を 、パ ワ ー ポ イ ン ト
を用いて“分かり易く”児童に伝える。
『 3.3.ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ → 3.3.3.ス テ ッ プ 1「 オ リ エ ン テ ー シ ョ
ン 」 → 1) パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い て 説 明 す る 』 の 設 計 内 容 を 参 照 。
写 真 3.52: パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い た オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 2
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2) フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ を 用 い た 景 観 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ク イ ズ
○ねらい
・ も と の 写 真 か ら 何 が 消 え た の か 、 児 童 に 投 げ 掛 け 関 心 を 引 き 、“ 楽 し さ ” と “ 驚 き ” を 与 え る
・「 ア ハ 体 験 」 的 な 遊 び 心 を 持 っ て 、 単 純 に “ 驚 く ” と い う 楽 し さ を 皆 で 共 有 し て も ら う
・クイズ形式で、答えを“探す・考える楽しさ”を与える(クイズという遊びの面白さ)
・景観阻害要因を排除し改善した効果をアピールする
・電柱の地中化やゴミの撤去などの事例による景観の変化から景観計画の“イメージ”を養う
○設計内容
電 柱 の 地 中 化 、緑 化 、看 板 類 の 整 理 、海 岸 の 消 波 ブ ロ ッ ク 撤 去 な ど の 事 例 の 変 化 か ら 景 観 計 画
の イ メ ー ジ を 養 う た め に 、 フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ 【 (フ ラ ン ス )photomontage】 を 用 い る 。
児 童 に は フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ に よ る 景 観 の 変 化 か ら 、景 観 を 変 え る 、あ る い は 風 景 を つ く る こ
とができることを説明する。
フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ と は 現 況 の 写 真 を も と に 、完 成 時 の 景 観 を シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で き る シ ス テ
ムで、コンピュータ・グラフィックスより簡便な方法であるが、景観の検討には効果的である。
例 え ば 現 況 写 真 を ベ ー ス に 、コ ン ピ ュ ー タ 上 で 電 柱 や 電 線 の な い 状 況 を つ く り だ し 、そ の 効 果
を ア ピ ー ル す る 。さ ら に は 、屋 外 広 告 物 の 除 去 、既 存 建 物 の 色 彩 変 更 、ブ ロ ッ ク 塀 の 生 垣 化 な ど 、
景観阻害要因を排除し改善した効果をアピールする方法である。
写 真 3.53: フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ に よ る 景 観 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ク イ ズ
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Case 1
電柱・電線の地中化
現況
シミュレーション
写 真 3.54: フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ / 電 柱 ・ 電 線 の 地 中 化 1
現況
シミュレーション
写 真 3.55: フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ / 電 柱 ・ 電 線 の 地 中 化 2
Case 2
農具の撤去
現況
シミュレーション
写 真 3.56: フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ / 農 具 の 撤 去 1
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現況
シミュレーション
写 真 3.57: フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ / 農 具 の 撤 去 2
Case 3
ゴミの撤去
現況
シミュレーション
写 真 3.58: フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ / ゴ ミ の 撤 去 1
現況
シミュレーション
写 真 3.59: フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ / ゴ ミ の 撤 去 2
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3.4.4.ス テ ッ プ 2「 貼 り 絵 づ く り 」
○ねらい
・ 誰 し も が 幼 児 体 験 の あ る 貼 り 絵 で 、景 観 計 画 を 目 に 見 え る 形 と し て 、具 体 的 に 表 現 で き る“ 楽
しさ”と景観計画を策定する上でのイメージとしての“分かり易さ”を与える
○設計内容
貼 り 絵 は 、貼 り 絵 の 土 台 と な る「 貼 り 絵 シ ー ト 」と 、素 材 と な る「 切 り 貼 り シ ー ト 」で 構 成 し 、
実 際 に 様 々 な 景 観 素 材 を 組 み 合 わ せ て 、自 分( 児 童 )が 良 い と 思 う 景 観 計 画 づ く り を 行 っ て も ら
う 。「 貼 り 絵 シ ー ト 」 と 「 切 り 貼 り シ ー ト 」 の 設 計 内 容 を 次 に 示 す 。
図 3.9: 貼 り 絵 づ く り イ メ ー ジ
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1) 貼 り 絵 シ ー ト を 使 用 す る
○ねらい
・ま ち 歩 き で 行 っ た 景 観 調 査 か ら 、発 見 し た 景 観 上 問 題 の 多 い 写 真 を 貼 り 絵 の 土 台 と る す こ と で 、
まちなみ景観計画に具体性を持たせる
○設計内容
貼 り 絵 の ベ ー ス( 土 台 )は 、児 童 が ま ち 歩 き で 行 っ た 景 観 調 査 か ら 、発 見 し た 景 観 上 問 題 の 多
い 写 真 を 貼 り 絵 の 土 台 と し て 用 い る 。 貼 り 絵 台 紙 の 大 き さ は 、 A3 版 と す る 。
図 3.10: 貼 り 絵 シ ー ト
・ねらいに対応した貼り絵の視点例
図 3.11: 貼 り 絵 の 主 な 視 点 例
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2) 切 り 貼 り シ ー ト を 使 用 す る
○ねらい
・様々な素材を用いて、自分(児童)の手で風景を変える
・素 材 の バ リ エ ー シ ョ ン を 豊 富 化 し 、ど の 素 材 が 地 区 の 景 観 に 合 う か 、子 供 た ち に“ 考 え な が ら ”
作業を体験してもらう
○設計内容
ま ち な み 空 間 を 対 象 と し た 切 り 貼 り シ ー ト と し て 、「 建 物 シ ー ト 」、「 道 シ ー ト 」、「 塀 シ ー ト 」、
「 樹 木 シ ー ト 」、「 花 畑 シ ー ト 」、「 自 由 シ ー ト 」 の 6 種 類 を 用 意 す る 。
そ れ ぞ れ の 切 り 貼 り シ ー ト は 、空 間 イ メ ー ジ の 遠 近 感 を 出 す た め に い く つ か の 大 き さ を 用 意 し 、
児 童 に は 考 え な が ら 作 業 を し て も ら う 。ま た 、シ ー ト の サ イ ズ は 、貼 り 絵 の 台 紙 に 合 わ せ て 同 じ
A3 版 と す る 。 次 に 各 種 類 の 切 り 貼 り シ ー ト を 説 明 す る 。
a.建 物 シ ー ト
建 物 の 外 壁 や 屋 根 な ど を 修 復 ・ 改 善 す る た め に 、「 建 物 シ ー ト 」 を 用 意 す る 。
図 3.12: 建 物 シ ー ト
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b.道 シ ー ト
つぎはぎだらけの道路を直すために、バリエーションのある「道シート」を用意する。
図 3.13: 道 シ ー ト
c.塀 シ ー ト
ブロック塀や汚れた塀を変えられるようにバリエーションのある「塀シート」を用意する。
図 3.14: 塀 シ ー ト
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d.樹 木 シ ー ト
電 柱 の 地 中 化 や ゴ ミ の 撤 去 な ど を 行 え る「 樹 木 シ ー ト 」を 用 意 す る 。児 童 が 考 え な が ら 作 業 が
行えるように、様々な大きさや種類のある樹木を素材として用意する。
図 3.15: 樹 木 シ ー ト
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e.花 畑 シ ー ト
農 地 や 空 き 地 、道 沿 い の 景 観 を 良 く す る た め に 3 種 類 の「 花 畑 シ ー ト 」を 用 意 す る 。空 間 イ メ
ージの遠近感を出すために、花畑として奥行のある写真を切り貼りシートに用いる。
① ヒマワリ
図 3.16: 花 畑 シ ー ト ( ヒ マ ワ リ )
② コスモス
図 3.17: 花 畑 シ ー ト ( コ ス モ ス )
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③ ナノハナ
図 3.18: 花 畑 シ ー ト ( ナ ノ ハ ナ )
f.自 由 シ ー ト
用 意 し た 切 り 貼 り シ ー ト( 素 材 )以 外 に も 、児 童 の 自 由 な 発 想 を 生 か し 、ま た 自 由 に デ ザ イ ン
できる「自由シート」を用意する。
図 3.19: 自 由 シ ー ト
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3) 貼 り 絵 計 画 前 シ ー ト を 使 用 す る
○ねらい
・ 貼 り 絵 を 行 う 前 に 、具 体 的 な 景 観 計 画 の イ メ ー ジ を グ ル ー プ で 検 討 で き る“ 分 か り 易 さ ”を 与
える
・貼り絵を行う前と行った後ではどのように違うのか、変化を見ることができる
○設計内容
貼 り 絵 を い き な り 行 う の で は な く 、ま ず 具 体 的 な 空 間 イ メ ー ジ を 考 え て も ら う た め に 貼 り 絵 計
画 前 シ ー ト を 用 意 す る 。具 体 的 に は 、写 真 : の よ う に マ ジ ッ ク を 使 っ て 、貼 り 絵 の 大 ま か な イ メ
ー ジ 図 を グ ル ー プ 内 で 検 討 し 描 く 。シ ー ト は 、手 の 加 え て い な い 貼 り 絵 シ ー ト と 同 じ も の と す る
が 、 区 別 が つ く よ う に シ ー ト の サ イ ズ は A4 版 ( 貼 り 絵 シ ー ト : A3 版 ) と す る 。
ま た 、貼 り 絵 イ メ ー ジ の 検 討 だ け に 使 用 す る の で は な く 、貼 り 絵 を 行 う 前 と 行 っ た 後 で 、ど の
よ う な 景 観 の 変 化 が あ っ た の か を 分 か り 易 く 見 せ る た め に 、貼 り 絵 シ ー ト と 一 緒 に ガ リ バ ー マ ッ
プに貼り付ける。
写 真 3.60: 貼 り 絵 計 画 前 シ ー ト を 用 い た 貼 り 絵 イ メ ー ジ の 検 討
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3.4.5.ス テ ッ プ 3「 景 観 計 画 の 作 成 と ま と め 」
1) 景 観 計 画 ワ ー ク シ ー ト を 使 用 す る
○ねらい
・景観計画内容をシートにまとめる
・貼り絵で行った景観計画内容を景観要素ごとに分けて整理する
○設計内容
貼 り 絵 で 行 っ た 景 観 計 画 内 容 を ま と め る た め に 景 観 計 画 ワ ー ク シ ー ト を 設 計 す る 。具 体 的 に は 、
図 3.20 の 通 り 、 景 観 計 画 を 行 う に あ た っ て の 地 区 の 目 指 す べ き 将 来 像 を 考 え 、 貼 り 絵 で 行 っ た
景観計画内容を景観要素ごとに分類すために項目分けした記入欄を設ける。
図 3.20: 景 観 計 画 ワ ー ク シ ー ト
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2) 貼 り 絵 計 画 シ ー ト を 使 用 す る
○ねらい
・計画的視点を取り入れ、児童に「計画」というものを“分かり易く”考えてもらう
○設計内容
計 画 的 視 点 を 取 り 入 れ 、児 童 に「 計 画 」と い う も の を 考 え て も ら う た め に 、表 3.10 の 1∼ 5 の
項 目 内 容 を 図 3.20 の 通 り シ ー ト 化 す る 。
表 3.10: 計 画 の 5 W1H
5W
1H
1.When
いつ
×
実施時期はいつか
2.Where
どこで
1
実施場所はどこか
3.Who
誰が
4
実施者は誰か
4.What
何を
2
どんなことをやるのか
5.Why
なぜ
3
必要性はなにか
6.How
どのように
5
どのように実施するか
図 3.21: 貼 り 絵 計 画 シ ー ト
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3) キ ー ワ ー ド シ ー ト を 使 用 す る
○ねらい
・対 象 地 区 の 目 指 す べ き 将 来 像 を 考 え る 上 で 、イ メ ー ジ が 湧 く よ う な「 言 葉 」と し て の“ ヒ ン ト ”
を与える
○設計内容
地 区 の 目 指 す べ き 将 来 像 を 考 え る 上 で 、児 童 が イ メ ー ジ し や す い よ う な 、ま ち な み 景 観 キ ー ワ
ー ド を 設 定 す る 。キ ー ワ ー ド に は 、町 名 や 団 地 名 な ど 、具 体 的 な 将 来 像 が 作 れ る よ う に 、固 有 名
詞を入れる。
図 3.22: キ ー ワ ー ド シ ー ト
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3.4.6.ス テ ッ プ 4「 発 表 」
1) 発 表 の 形 式 を 作 る
○ねらい
・調査した内容を整理し、発表を行うことで全体の共有化を図る
・普段はあまりない人前での発表により、プレゼン力をつける
○設計内容
「 3.3.ま ち 歩 き ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」の 発 表 と 同 じ く 、
「まちなみ景観計画づくり
ワークショップ」の最後に、グループごとに作成した景観計画を発表する。発表の形式として、
図 3.23 の 通 り と す る 。リ ー ダ ー は 、景 観 計 画 ワ ー ク シ ー ト に 沿 っ て 発 表 す る 。サ ブ リ ー ダ ー は 、
ガリバーマップに乗って、貼り絵シートを指し棒で指し、計画内容を紹介する。
図 3.23:「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 発 表 形 式
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3.5.「 まち な み景 観 発表 会 」の 設 計
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3.5.1.ス テ ッ プ の ね ら い と 構 成 内 容
1) ス テ ッ プ の ね ら い
「まちなみ 景観発表会 」は、全体 のねらいに 対応して 3 つのステッ プで構成す る。構成の
ね ら い ( 全 体 の ね ら い 及 び 各 ス テ ッ プ の ね ら い ) を 表 3.10 に 示 す 。
表 3.10:「 ま ち な み 景 観 発 表 会 」 構 成 の ね ら い
全体のねらい
各ステップのねらい
ス テ ッ プ 1: オ リ エ ン テ ー シ ョ ン
・授業の目的とステップの一連の流れを把握してもらう
・児童の保護者にパワーポイントを用いたスライドショー
伝える
ス テ ッ プ 2: 発 表
児童の保護者や地区の住民、他の
・これまでの取り組みの成果を児童の保護者や地区の人、
学年の参加していない児童に向け
参加していない児童(他の学年)に向けて発表すること
て、児童が取り組みを発表し、伝
により、まちなみ景観の啓発を図る
えることで、まちなみ景観の啓発
を図る
でこれまで取り組みを紹介し、知ってもらう
・普段はあまりない人前での発表により、プレゼン力をつ
ける
ス テ ッ プ 3: 講 評 と ま と め
・児童の取り組みに対する講評を行い、景観を意識するこ
との重要性を保護者に伝える
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2) ス テ ッ プ の 構 成 内 容
「 ま ち な み 景 観 発 表 会 」 の ね ら い に 対 応 し た ス テ ッ プ の 構 成 と 主 な 内 容 を 、 表 3.11 に 示 す 。
ス テ ッ プ は 、「 導 入 」 − 「 展 開 」 − 「 ま と め 」 と い う 流 れ を 持 っ て 構 成 す る 。 各 ス テ ッ プ の 設 計
内容の詳細を次に示す。
表 3.11:「 ま ち な み 景 観 発 表 会 」 ス テ ッ プ 表
構成
No.
ステップ
主な内容
時間
1.景 観 ま ち づ く り 学 習 の 目 的 を 説 明 す る
導入
1
オリエンテーション
2.児 童 の こ れ ま で の 取 り 組 み を パ ワ ー ポ イ ン ト の ス ラ イ
20 分
ドショーで紹介する
1.各 グ ル ー プ が ガ リ バ ー マ ッ プ を 囲 ん で 座 る
2.ま ず 、「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」
における地区の景観状況をリーダーとサブが中心と
なって紹介する
展開
2
発表
3.続 け て 「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 で
60 分
策 定 し た 景 観 計 画 内 容 を 、同 じ く リ ー ダ ー と サ ブ が 中
心となって紹介する
※ 各 グ ル ー プ が 2→ 3 の 流 れ で 続 け て 発 表 を 行 う
1.児 童 の 取 り 組 み に 対 す る 講 評 を 行 う
2.景 観 に つ い て 意 識 す る こ と 、 考 え る こ と の 重 要 性 や 実
まとめ
3
講評とまとめ
際に行われている景観に関する取り組みについて紹
介する
3.ま と め を 行 い 、 発 表 会 の 終 了 と す る
77
10 分
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3.5.2.ス テ ッ プ 1「 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 」
1) ス ラ イ ド シ ョ ー で 取 り 組 み を 紹 介 す る
○ねらい
・児童の保護者にパワーポイントを用いたスライドショーでこれまで取り組み知ってもらう
・口頭のみでの説明ではなく、視聴効果を与えることができる
・オ リ エ ン テ ー シ ョ ン と い う 短 い 時 間 の 中 で 、素 早 く 理 解 し て も ら い 、児 童 の 発 表 に 向 け た 基 礎
を作る
○設計内容
児 童 の 保 護 者 に パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い た ス ラ イ ド シ ョ ー で こ れ ま で 取 り 組 み を 紹 介 し 、知 っ て
もらう。
「 3.2 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」の ス ラ イ ド 映 像 用 い た 学 習 と 同 じ ね ら い を 持 ち 、言 葉
で は な く 児 童 が 取 り 組 ん で い る 風 景( 写 真 )を 、映 像 と し て ス ラ イ ド シ ョ ー で 見 せ る こ と で 、保
護者や地区の住民、他学年の参加していない児童に“分かり易く”そして“素早く”伝える。
ス ラ イ ド の 構 成 と し て は 、「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」 → 「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ
ー ク シ ョ ッ プ 」→「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」と い う 流 れ で 学 習 の 過 程 を 紹 介 す
る。1 つの学習に対し 5 枚くらいのスライドを用意し、言葉と重ねて分かり易く説明する。
写 真 3.61: ス ラ イ ド シ ョ ー を 用 い た 児 童 の 取 り 組 み 紹 介
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3.5.3.ス テ ッ プ 2「 発 表 」
1) 発 表 の 形 式 を 作 る
○ねらい
・こ れ ま で の 取 り 組 み の 成 果 を 児 童 の 保 護 者 や 地 区 の 人 、他 学 年 の 参 加 し て い な い 児 童 に 向 け て
発表することにより、まちなみ景観の啓発を図る
○設計内容
こ れ ま で の 取 り 組 み の 成 果 を 児 童 の 保 護 者 や 地 区 の 人 、参 加 し て い な い 児 童( 他 の 学 年 )に 向
け て 発 表 す る 。 ま ず 、「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 に お け る 地 区 の 景 観 状 況
をリーダーとサブが中心となって紹介する。続けて「まちなみ景観計画づくりワークショップ」
で策定した景観計画内容を、同じくリーダーとサブが中心となって紹介する。
各 グ ル ー プ が「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」→「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ
ー ク シ ョ ッ プ 」の 流 れ で 続 け て 発 表 を 行 う 。ま た 、発 表 の 際 に は 、児 童 が ま ち 歩 き で 撮 影 し た「 写
真 」及 び ま ち な み 景 観 計 画 づ く り で 作 成 し た「 貼 り 絵 シ ー ト 」が 保 護 者 か ら 見 え づ ら い こ と を 考
慮し、スクリーンに拡大して映し出す。
写 真 3.62:「 ま ち な み 景 観 発 表 会 」 の 風 景
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・「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 発 表 形 式
図 3.24:「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 発 表 形 式 ( ま ち な み 景 観 発 表 会 )
・「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 発 表 形 式
図 3.25:「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 発 表 形 式 ( ま ち な み 景 観 発 表 会 )
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3.5.4.ス テ ッ プ 3「 講 評 と ま と め 」
1) 実 際 に 行 わ れ て い る 取 り 組 み を 紹 介 す る
○ねらい
・児 童 の 取 り 組 み に 対 す る 講 評 を 行 い 、景 観 を 意 識 す る こ と の 重 要 性 を 児 童 や 児 童 の 保 護 者 、地
区の人に伝える
○設計内容
発 表 会 の 最 後 に 、児 童 の 取 り 組 み の 講 評 と ま と め を 行 う 。実 際 に 行 わ れ て い る 景 観 に 関 す る 取
り 組 み や 景 観 に つ い て 意 識 す る こ と 、考 え る こ と の 重 要 性 に つ い て 講 義 す る 。講 義 に は 、パ ワ ー
ポ イ ン ト を 使 用 し 、短 い 時 間 で 、児 童 や 児 童 の 保 護 者 、地 区 の 人 に 分 か り 易 く( 専 門 用 語 は 極 力
使わない、写真などのビジュアルを用いるなど)伝える。
写 真 3.63: パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い た 発 表 会 の ま と め
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3.6.吉 良 川 小 学 校 の 結 果 事 例
こ こ で は 、 設 計 し た モ デ ル を 使 用 し 、 室 戸 市 立 吉 良 川 小 学 校 で 6 年 生 ( 20 名 ) を 対 象 に 実 施
した授業の様子を各ステップで紹介する。
「 1.建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」( 2007/10/11) 10:45-12:25
写 真 3.64: パ ソ コ ン 教 室 に て 実 施
写 真 3.65: 授 業 前 の 風 景
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写 真 3.66: ス ラ イ ド 映 像 を 用 い た 授 業 風 景 1
写 真 3.67: ス ラ イ ド 映 像 を 用 い た 授 業 風 景 2
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「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」( 2007/10/15) 10:45-14:40
写 真 3.68: オ リ エ ン テ ー シ ョ ン の 風 景
写 真 3.69: ま ち 歩 き の 風 景
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写 真 3.70: ガ リ バ ー マ ッ プ 作 成 の 作 業 風 景 1
写 真 3.71: ガ リ バ ー マ ッ プ 作 成 の 作 業 風 景 2
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写 真 3.72: 項 目 ワ ー ク シ ー ト 作 成 の 作 業 風 景
写 真 3.73: 完 成 し た ガ リ バ ー マ ッ プ
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写 真 3.74: 項 目 ワ ー ク シ ー ト を 使 用 し た 発 表 風 景
写 真 3.75: 地 区 の 景 観 状 況 を 紹 介
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「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」( 2007/10/18) 10:45-14:40
写 真 3.76: 使 用 す る 貼 り 絵 シ ー ト や 景 観 計 画 ワ ー ク シ ー ト 等 の ワ ー ク シ ョ ッ プ 道 具
写 真 3.77: 貼 り 絵 計 画 前 シ ー ト を 使 用 し た 計 画 の イ メ ー ジ づ く り
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写 真 3.78: 貼 り 絵 づ く り の 風 景
写 真 3.79: 貼 り 絵 計 画 シ ー ト の 作 成 風 景
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写 真 3.80: 完 成 し た ガ リ バ ー マ ッ プ
写 真 3.81: キ ー ワ ー ド シ ー ト を 用 い た 地 区 の 将 来 像 の 検 討
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写 真 3.82: 景 観 計 画 ワ ー ク シ ー ト を 用 い た 景 観 計 画 の 作 成
写 真 3.83: 発 表 風 景
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「 ま ち な み 景 観 発 表 会 」( 2007/11/10) 14:00-14:20
写 真 3.84: 発 表 前 の 練 習 風 景
写 真 3.85: 会 場 の 風 景
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写 真 3.86: 発 表 風 景 1
写 真 3.87: 発 表 風 景 2
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写 真 3.88: 吉 良 川 に 対 す る 想 い を 地 域 に 向 け て 発 信 1
写 真 3.89: 吉 良 川 に 対 す る 想 い を 地 域 に 向 け て 発 信 2
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4. まとめ(設計の到達点と今後の課題)
4.1. 設 計 を 通 し て “ で き た こ と ”
今 回 、子 供 を 対 象 と し た「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」の モ デ ル を 設 計 す る に あ た り 、
「景
観 」を テ ー マ と し た 授 業 の 連 続 性 に 配 慮 し た プ ロ グ ラ ム の 構 成 と 3 つ の 視 点 の 追 求 を 行 っ た 。以
下に、設計を通して実現することができた点を考える。
① 授業の連続性への配慮
ま ず 、「 景 観 」 を テ ー マ と し た 授 業 の 連 続 性 を 配 慮 し た プ ロ グ ラ ム 構 成 と し て 、 2 年 間 の 実 践
を通して検討を重ね、改善していった点を以下に示す。
提 案 1 :「 1.知 る 」 → 「 2.学 ぶ 」 → 「 3.学 ぶ 」 → 「 4.作 る 」
2005 年 度 は 、
「 1.探 す 」→「 2.学 ぶ 」→「 3.学 ぶ 」→「 4.作 る 」の 流 れ で 、実 施 を 行 っ た が 、
「景
観 」 の 基 礎 知 識 が な い 状 態 で の ま ち 歩 き で は 、「 景 観 」 の 視 点 で 、 良 い と こ ろ 、 悪 い と こ ろ を 探
すことができず、地区の景観計画を作る際に、調査内容がうまく反映できなかった。
提 案 2 :「 1.知 る 」 → 「 2.学 ぶ 」 → 「 3.知 る 」 → 「 4.作 る 」 → 「 5.伝 え る 」
2006 年 度 で は 、
「 1.知 る 」→「 2.学 ぶ 」→「 3.探 す 」→「 4.作 る 」→「 5.伝 え る 」の 流 れ で 、
「ま
ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り WS」を 第 1 回 と 第 3 回 に 、ま ず は ま ち を“ 知 る ”ま ち 歩 き と 、
「景
観 」 に つ い て の 知 識 を “ 学 ん だ ” 上 で 、地 区 に あ る 景 観 資 源 を“ 知 る ” ま ち 歩 き に 分 け て 実 施 し
た 。 さ ら に 、 児 童 の 取 り 組 み を 保 護 者 や 地 区 の 人 に “ 伝 え る ”「 ま ち な み 景 観 発 表 会 」 を 追 加 し
た 。授 業 の 連 続 性 と し て は 配 慮 し た が 、ま ち 歩 き を 2 度 実 施 す る の は 、児 童 に と っ て は 新 鮮 味 が
な く 、ま た 、安 全 面 を 考 え た ス タ ッ フ の 確 保 や「 総 合 学 習 の 時 間 」と し て 、限 ら れ て い る 時 間 の
中で実施するのは難しい。
最 終 提 案 :「 1.学 ぶ 」 → 「 2.知 る 」 → 「 3.作 る 」 → 「 4.伝 え る 」
モ デ ル の 最 終 提 案 と し て 、「 1.学 ぶ 」 → 「 2.知 る 」 → 「 3.作 る 」 → 「 4.伝 え る 」 の 流 れ で 、 ま ず
「 景 観 」に 関 す る 基 礎 知 識 を 身 に 付 け た 上 で 、ま ち 歩 き に よ る ま ち な み 景 観 調 査 を 行 い 、発 見 し
た 良 い と こ ろ や 問 題 の あ る と こ ろ を 反 映 さ せ た ま ち な み 景 観 計 画 づ く り 行 う 。最 後 に 取 り 組 ん だ
内 容 を 保 護 者 や 地 区 の 人 に 伝 え る こ と で 学 習 の ま と め と す る 。「 景 観 」 を テ ー マ と し た 学 習 で 、
授業の連続性に配慮できた。
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―小学校景観出前授業の実践からー
② 3 つの視点の追及
今 回 、子 供 を 対 象 と し た「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」の モ デ ル を 設 計 す る に あ た り 、以
下の3つの視点を方針として設定し、考慮した。
1.“ 楽 し さ ” を 追 及 す る
2.“ 分 か り 易 さ ” を 実 現 す る
3.“ 驚 き の あ る 体 験 ” を 持 つ
− 1.“ 楽 し さ ” を 追 及 す る −
「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」で は 、世 界 中 の 風 景 を ス ラ イ ド 映 像( 写 真 )化 し 、目 で 見 る“ 楽
し さ ” を 与 え る こ と が で き た 。「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 で は 、 ガ リ バ ー
マップを用いて、ガリバー(巨人)になれるという、非日常的スケールの体験による“楽しさ”
を 追 求 す る こ と が で き た 。さ ら に「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」で の 、幼 児 体 験 を
も と に 、誰 し も が 体 験 の あ る 貼 り 絵 で 目 に 見 え る 形 と し て 、表 現 す る“ 楽 し さ ”や「 ま ち な み 景
観 発 表 会 」 で の 、自 分 た ち ( 児 童 ) が 作 成 し た 内 容 を 保 護 者 や 地 区 の 人 に 自 慢 す る “ 楽 し さ ” な
ど、体験的な学習による“楽しさ”を与える仕組みづくりができた。
表 3.11:“ 楽 し さ ” を 追 求 す る
ステップ
内容
1.建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習
・世界中の風景をスライド映像(写真)化
2. ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調
・アイスブレイクの実施
査ワークショップ
・まち歩きによる探検、調査の実施
・自由に作業のできるガリバーマップの導入
3. ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ
ークショップ
4.ま ち な み 景 観 発 表 会
・フォトモンタージュによる景観クイズの実施
・貼り絵づくりの実施
・取り組みの成果を自慢できる発表の実施
− 2.“ 分 か り 易 さ ” を 実 現 す る −
「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」で は 、ス ラ イ ド 映 像 を 用 い て 視 覚 的 に 捉 え て も ら う“ 分 か り 易
さ ” を 実 現 す る こ と が で き た 。「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 で は 、 項 目 ワ ー
ク シ ー ト を 用 い て 、 地 区 の 景 観 状 況 を 数 的 に 理 解 し て も ら う “ 分 か り 易 さ ” を 実 現 し 、「 ま ち な
み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」で は 、計 画 を「 文 章 」で は な く 、貼 り 絵 づ く り な ど の ビ ジ ュ
ア ル を用 い た「イ メ ー ジ 」で ま と め る“ 分 か り 易 さ”な ど を 実現 で き た。特 に「 言葉 」を 費 や し
て も な か な か 伝 え ら れ な い イ メ ー ジ を 、視 覚 的 な も の を 使 っ て 伝 え る“ 分 か り 易 さ ”に 配 慮 し た
仕組みづくりができた。
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表 3.11:“ 分 か り 易 さ ” を 実 現 す る
ステップ
1.建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習
内容
・良い建築や美しい風景の事例をカテゴリーに分けて紹介
・学習の要点を解説
2. ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調
査ワークショップ
・説明で使用するパワーポイントのビジュアル化
・まち歩きマップ、まち歩き記入シートの使用
・項目ワークシートを用いた地区の景観情報の整理
3. ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ
ークショップ
・貼り絵づくりによる景観計画の作成
・キーワードシートの使用
・計画の検討が行える貼り絵計画シートの使用
− 3.“ 驚 き の あ る 体 験 ” を 持 つ −
「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」で は 、ス ラ イ ド 映 像 で 普 段 見 た こ と の な い 世 界 中 の 美 し い 風 景
が 、 目 に 飛 び 込 ん で く る と い う “ 驚 き ” を 与 え る こ と が で き た 。「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー
ク シ ョ ッ プ 」で は 、フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ に よ る 景 観 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ク イ ズ な ど を 実 施 し 、景 観
が 変 化 す る “ 驚 き ” な ど 、「 写 真 を 撮 る 」「 地 域 に 出 る 」「 大 き な 地 図 に 乗 る 」 な ど の 非 日 常 的 な
体 験 以 外 に も 新 鮮 な “ 驚 き ” を 与 え る よ う な 仕 組 み づ く り か ら 、“ 驚 き の あ る 体 験 ” を 持 つ こ と
ができた。
表 3.11:“ 驚 き の あ る 体 験 ” を 持 つ
ステップ
内容
1.建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習
・見たことのない世界中の様々な美しい風景の紹介
2. ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調
・視点を持ったまち歩きの実施
査ワークショップ
・非日常的スケールのガリバーマップの使用
・ワークショップの最後に「人前での発表」を実施
3. ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ
・フォトモンタージュによる景観シミュレーションの実施
ークショップ
以 上 か ら 、 今 回 、 子 供 を 対 象 と し た 「 景 観 ま ち WS」 は 、 過 去 2 年 度 ( 計 7 回 ) の 実 践 結 果 の
まとめを経て、一応、モデルとしての完成をみた。
4.2. 今 後 の 課 題
今 後 の 課 題 と し て は 、設 計 し た モ デ ル で 次 年 度 、後 輩 に 実 践 し て も ら い 、子 供 た ち や WS 実 施
者 等 か ら の 評 価 が 必 要 に な る と 考 え る 。ま た 、小 学 校 の 先 生 等 が 実 践 で き る よ う な マ ニ ュ ア ル を
作成することも今後の課題として挙げられる。
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1. 高知市における小学校景観出前授業の概要
1.1.小 学 校 景 観 出 前 授 業 の 背 景
高 知 市 が 1996 年 4 月 に 高 知 市 都 市 美 条 例 を 制 定 、 2004 年 4 月 に は 、 景 観 法 も 制 定 さ れ た こ
と か ら 、全 体 が 調 和 し た 美 し い ま ち な み を 目 指 す 心 を 養 っ て も ら お う と 、2005 年 10 月 4 日 の「 都
市景観の日」に合わせて企画したものである。
1.2.小 学 校 景 観 出 前 授 業 の 目 的
こ れ か ら の 社 会 を 担 う 小・中 学 校 の 児 童 生 徒 を 対 象 と し て 、景 観 や ま ち づ く り に 関 す る 出 前 授
業 を 実 施 す る こ と に よ り 、児 童 生 徒 が 地 域 の 景 観 を 意 識 す る 機 会 と し 、併 せ て 児 童 生 徒 の 保 護 者
や地域コミュニティに対し、景観に対する意識の啓発を図ることを目的とする。
1.3.小 学 校 景 観 出 前 授 業 の 実 施 内 容
小 学 校 の 教 育 課 程 に お け る「 総 合 的 な 学 習 の 時 間 」の 一 環 と し て 、景 観 や 都 市 計 画 に つ い て 専
門 的 な 知 識 を 持 つ 本 大 学 と 高 知 市 と の 連 携 に よ り 、学 校 や 地 域 の 特 性 に 合 わ せ た 体 験 的 な 学 習 活
動の実施を図る。
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2.2005 年度小学校景観出前授業における
「景観まちづくりワークショップ」の設計
2.1.「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 プ ロ グ ラ ム の 構 成 と 各 ス テ ッ プ の ね ら い
2005 年 度 の「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 は 、 プ ロ グ ラ ム を 4 部 構 成 と し 、「 1.知 る 」→
「 2.学 ぶ 」 → 「 3.学 ぶ 」 → 「 4.作 る 」 と い う 学 習 過 程 を 流 れ と し て 構 成 し た ( 表 2.1 参 照 )。 構 成
内 容 と し て 、 最 初 は 、 自 分 た ち ( 児 童 ) が 住 ん で い る 地 区 を 観 察 し 、「 景 観 」 の 視 点 か ら 良 い と
こ ろ 、悪 い と こ ろ を“ 知 る ”こ と に 始 ま り 、次 に 風 景 の 見 方 、捉 え 方 を 建 築 と 土 木 の 視 点 か ら“ 学
ぶ ”。 最 後 に 、 自 分 た ち( 児 童 ) が 住 ん で い る 地 区 を 良 く す る た め に 、 実 際 に 景 観 計 画 を “ 作 る ”
という展開になっている。
表 2.1:「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 プ ロ グ ラ ム 表 ( 2005 年 度 )
回
キーワード
授業タイトルとねらい
「まち歩きとガリバー地図づくりワークショップ」
1
“知る”
授業形式
授業時間
ワーク
180 分
ま ち ( 地 区 ) を 観 察 し 、 景 観 と い う 視 点 か ら 「 良 い と こ ろ 」、
ショップ
「悪いところ」を“知る”
「世界の建築物と景観」
2
講義
90 分
講義
90 分
景 観 を「 建 築 」の 視 点 か ら ス ラ イ ド 映 像 を 用 い て 事 例 か ら“ 学
ぶ”
“学ぶ”
「建築と風景のデザイン」
3
景 観 を「 土 木 」の 視 点 か ら 、貼 り 絵 や ア ー チ 模 型 づ く り を 通 し
て“学ぶ”
「まちなみ景観計画づくりワークショップ」
4
“作る”
ワーク
180 分
自 分 た ち( 児 童 )が 住 ん で い る 地 区 の 将 来 像 を 考 え 、景 観 計 画
を“作る”
99
ショップ
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2.2.「 まち 歩 きと ガ リバ ー 地図 づ くり ワ ーク シ ョッ プ 」の 設 計
2.2.1.ス テ ッ プ の ね ら い と 構 成 内 容
1) ス テ ッ プ の ね ら い
・「 ま ち 歩 き 」 に よ っ て 、 楽 し み な が ら 景 観 を 体 感 し て も ら う
・普 段 は あ ま り 意 識 す る こ と の な い 自 分 た ち の 住 む ま ち の 地 区 景 観 と し て「 良 い と こ ろ 」、
「悪い
ところ」を発見してもらう
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2) ス テ ッ プ の 構 成 内 容
「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」は 、ね ら い に 対 応 し て 4 つ の ス テ ッ プ で 構
成 す る 。 ス テ ッ プ の 構 成 と 主 な 内 容 を 、 表 2.2 に 示 す 。 ス テ ッ プ は 、「 導 入 」 − 「 展 開 」 − 「 ま
とめ」という流れを持って構成する。各ステップの設計内容の詳細を次に示す。
表 2.2:「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 ス テ ッ プ 表
構成
No.
ステップ
主な内容
時間
1.授 業 の 目 的 と 一 連 の 流 れ を パ ワ ー ポ イ ン ト で 説 明 す る
導入
1
オリエンテーション
2.ア イ ス ブ レ イ ク で 児 童 の 緊 張 を 解 し 、 グ ル ー プ 分 け を
行う
20 分
3.歩 く コ ー ス や 各 自 の 役 割 を 各 グ ル ー プ で 検 討 す る
1.テ ー マ に 沿 っ て ま ち 歩 き を 行 い 、 対 象 物 を イ ン ス タ ン
2
まち歩き
ト ・ カ メ ラ で 撮 影 す る ( 各 グ ル ー プ 20 枚 、 各 自 最 低
2 枚は撮影)
60 分
2.撮 影 し た 場 所 や 気 付 き を ま ち 歩 き マ ッ プ に 記 入 す る
展開
1.ま ち 歩 き で 撮 影 し た 写 真 に 各 自 タ イ ト ル を つ け る
2.ふ き だ し に 写 真 に 対 す る 気 付 き を 記 入 す る
3.ガ リ バ ー マ ッ プ 上 に あ る 撮 影 し た 場 所 に シ ー ル ( 良 →
3
景観調査のまとめ
緑、悪→赤)を貼り付ける
4.シ ー ル か ら 引 き 出 し 線 を 引 き 、 写 真 と ふ き だ し を バ ラ
60 分
ンスよく貼り付ける
5.ガ リ バ ー マ ッ プ 横 の 項 目 シ ー ト に グ ル ー プ 名 と メ ン バ
ーの名前、項目欄にシールを貼り付け、完成させる
1.完 成 し た ガ リ バ ー マ ッ プ を 囲 ん で 座 る
まとめ
4
発表
2.各 グ ル ー プ の リ ー ダ ー と サ ブ が ガ リ バ ー マ ッ プ の 上 に
乗って地区景観を紹介する
3.最 後 に ま と め と 講 評 を 行 い 、 学 習 の 終 了 と す る
101
40 分
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2.2.2.ス テ ッ プ 1「 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 」
1) パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い て 説 明 す る
○ねらい
・口頭のみでの説明ではなく、児童に視聴効果を与えることができる
・スライドを利用した“紙芝居”的な要素により、児童の関心を高めることができる
○設計内容
「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」の ス ケ ジ ュ ー ル や 作 業 の 内 容 を 、パ ワ ー ポ
イ ン ト を 用 い て“ 分 か り 易 く ” 児 童 に 伝 え る 。ま た 、 ス ラ イ ド を 利 用 し た“ 紙 芝 居 ” 的 な 要 素 に
よ り 注 意 力 を 集 中 さ せ た り 、話 し の き っ か け に し た り 、児 童 が 持 っ て い る 関 心 を 引 き 出 す こ と な
どに役立てる。
写 真 2.1: パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い た オ リ エ ン テ ー シ ョ ン
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2) ア イ ス ブ レ イ ク で 緊 張 を 解 す
○ねらい
・「 こ れ か ら 何 が 始 ま る の か な 」、「 何 か 一 つ で も い い か ら 学 び た い 」、「 早 く 終 わ ら な い か な 」 な
ど、楽しみと不安が入り混じった、参加者(児童)の身構えた状態を“リラックス”させる
・ 短 い 時 間 の 中 で 、“ 楽 し く ” グ ル ー プ 分 け を 行 う
・チーム対抗や全員が協力して、ゲームを行うことで“仲間意識”の形成を促す
○設計内容
ア イ ス ブ レ イ ク は 、 直 訳 す れ ば 「 氷 ( ice) を 砕 く ( break)」 と い う 意 味 で あ る が 、 学 習 プ ロ
グ ラ ム に お い て は 、参 加 者 の 氷 の よ う に 固 ま っ た「 身 構 え た 状 態 」を リ ラ ッ ク ス さ せ 、学 習 を 進
める準備状態にすることを意味する。
学 習 プ ロ グ ラ ム は 、す べ て「 導 入 」−「 展 開 」−「 ま と め 」と い う 流 れ を も っ て 構 成 し て い る 。
こ の 流 れ を ス ム ー ズ に し 、 学 習 の 効 果 を 高 め る に は 、「 導 入 」 は と て も 大 事 な 時 間 で あ る 。 な ぜ
なら参加者には“動機付け”の意味を持つからである。
ここでは、既存のアイスブレイク手法から次の 2 つを選択した。
a.誕 生 日 チ ェ ー ン
所 要 時 間 : 10 分 程 度
人
数:何人でも
準
備:特になし
「 会 話 を し な い 」 と い う 条 件 で 、「 誕 生 の 月 日 順 」 に 並 ん で も ら う 。
並び終えたら順番に誕生日を発表してもらう。
言 葉 以 外 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 技 法 を 引 き 出 し 、自 ら 発 す る こ と の 大 切 さ に 気 付 く こ と が 出 来
る。誕生の月日順の他、氏名の五十音順、出身地の北から南順などでも可能である。
b .人 数 を 集 め ろ
所 要 時 間 : 10 分 程 度
人
数 : 10 人 以 上
準
備:特になし
指 導 者 の「 せ ー の 」の 掛 け 声 の 後 、指 導 者 と 参 加 者 が 一 緒 に 、手 拍 子 を 一 つ ず つ 増 や し な が ら 叩
く 。「 せ ー の 」 パ ン 、「 せ ー の 」 パ ン パ ン 、「 せ ー の 」 パ ン パ ン パ ン … … と 。 指 導 者 は 適 当 な と こ
ろ で「 は い ! 」と 声 を か け 、最 後 の 手 拍 子 の 数 の 人 数 で 誰 で も い い か ら 集 ま り 、手 を つ な い で 輪
に な る 。指 定 し た 人 数 が 集 ま ら な か っ た 方 に 簡 単 に 自 己 紹 介 を し て も ら う 。手 拍 子 の 数 は 減 ら し
たり増やしたりランダムにして繰り返す。また、グループ分けの際にも用いることができる。
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2.2.3.ス テ ッ プ 2「 ま ち 歩 き 」
1) ま ち 歩 き テ ー マ を 設 定 す る
○ねらい
・ ま ち 歩 き の テ ー マ 設 定 を 行 い 、身 近 な 空 間 、見 慣 れ た 風 景 を「 ま ち な み 景 観 」と い う 視 点 か ら
地区を調査し、景観資源の再発見・再認識してもらう
○設計内容
ま ち 歩 き で は 、 大 前 提 に あ る 「 景 観 」 を テ ー マ に し た 学 習 か ら 、「 景 観 」 の 視 点 に 絞 っ て 自 分
たちの調査対象地区のまち歩きを行う。
ま ち 歩 き の テ ー マ と し て は 、 ま ち 歩 き 調 査 を 行 う 際 に 特 徴 的 な 「 良 い と こ ろ 」、「 悪 い と こ ろ 」
を探すものとし、テーマを次の 2 点に設定する。
・まち歩きのテーマ
a.風 景 、 景 観 と し て 良 い と こ ろ 、 お も し ろ い と こ ろ
b.風 景 、 景 観 と し て 悪 い と こ ろ 、 問 題 の あ る と こ ろ
写 真 2.2: テ ー マ を 持 っ た ま ち 歩 き
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2) イ ン ス タ ン ト ・ カ メ ラ を 使 用 す る
○ねらい
・まち歩きのテーマに沿って対象物を撮影し、対象物を「ビジュアル」として残す
・撮影後すぐに写真を得ることができる
・撮影したその場で、写真を見ることが出来るという最大のメリットがある
○設計内容
まち歩きの際に、テーマに沿って対象物を撮影するためにインスタント・カメラを使用した。
イ ン ス タ ン ト ・ カ メ ラ は 、 各 班 に 1 台 ( 10 枚 撮 り ) 用 意 し 、 撮 影 枚 数 は 20 枚 と す る 。
写 真 2.3: イ ン ス タ ン ト ・ カ メ ラ を 使 用 し た ま ち 歩 き
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3) ま ち 歩 き マ ッ プ を 使 用 す る
○ねらい
・まち歩きの時間を考えて、効率的に地区を回って調査するためのルート確認を行う
・まち歩きで発見した景観資源等の場所の位置情報を落としておく
○設計内容
ま ち 歩 き の 際 に 、ル ー ト の 確 認 や 地 区 の 景 観 情 報 を 記 入 で き る よ う に 、
「 a.全 体 マ ッ プ 」と「 b.
地 区 マ ッ プ 」の 2 つ の ま ち 歩 き マ ッ プ を 用 意 す る 。そ れ ぞ れ の ま ち 歩 き マ ッ プ に は 、ま ち 歩 き を
する際の“目印”となるよう主要な建物に名称を入れて、分かり易くする。
a.全 体 マ ッ プ
ま ち 歩 き の 全 体 範 囲 か ら 自 分 た ち( 児 童 )の ま ち な み 景 観 調 査 地 区 が ど の よ う な 位 置 付 け な の
かを確認把握するために使用する。
図 2.1: 全 体 マ ッ プ
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b.地 区 マ ッ プ
ま ち 歩 き の 時 間 を 考 え て 、効 率 的 に 地 区 を 回 っ て 調 査 で き る よ う に ル ー ト 確 認 を 行 う 際 に 使 用
する。また、マップにはまち歩きで発見した景観資源等の場所の位置情報を落としておく。
図 2.2: 地 区 マ ッ プ
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4) ス タ ッ フ を 各 グ ル ー プ の “ 先 生 ” に す る
○ねらい
・まち歩きにおける児童の安全確保と時間管理、誘導を行う
・ ワ ー ク シ ョ ッ プ を 通 し て 、グ ル ー プ の“ 先 生 ”と し て 、児 童 が 混 乱 し な い よ う に 作 業 に 対 す る
助言と手伝いしてあげる
○設計内容
ま ち 歩 き は 、児 童 の 安 全 確 保 と 時 間 管 理 、誘 導 を 行 う ス タ ッ フ を 動 員 し た 。ま た 、ワ ー ク シ ョ
ッ プ を 通 し て 、児 童 が 混 乱 し な い よ う に 、ス タ ッ フ を グ ル ー プ の“ 先 生 ”と し て 位 置 付 け 、作 業
に 対 す る 助 言 と 手 伝 い し て あ げ る こ と で 、“ 分 か り 易 さ ” を 追 求 す る 。 ス タ ッ フ に は 、 ま ち 歩 き
のコースや注意点、作業内容など事前の打ち合わせをしておく。
写 真 2.4: グ ル ー プ の “ 先 生 ” と な る ス タ ッ フ
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2.2.4.ス テ ッ プ 3「 景 観 調 査 の ま と め 」
1) ガ リ バ ー マ ッ プ を 使 用 す る
○ねらい
・ ガ リ バ ー ( 巨 人 ) に な れ る と い う 、 非 日 常 的 ス ケ ー ル の 体 験 に よ り 、“ 楽 し く ” 作 業 で き る
・各グループが協力して、1 枚の巨大な地図を完成させる“達成感”の大きさがある
・ ガ リ バ ー マ ッ プ の 上 を 歩 き 回 っ た り 、 座 り 込 ん だ り 、 寝 転 が っ た り し な が ら 、“ 自 由 ” に 作 業
ができる
○設計内容
ガ リ バ ー マ ッ プ を 使 用 す る こ と で 、“ 驚 き ” と “ 楽 し さ ” を 追 求 す る 。 ガ リ バ ー マ ッ プ の 原 本
は 、建 物 の 平 面 形 状 や 建 物 名 称 が 入 っ て い る 市 販 の 住 宅 地 図( ゼ ン リ ン な ど )を 使 用 す る 。ガ リ
バ ー マ ッ プ に は 、検 討 対 象 地 区 全 体 が 含 ま れ る よ う に す る 。ガ リ バ ー マ ッ プ の ス ケ ー ル は 、対 象
と す る 地 区 の 範 囲 や 状 況 に も よ る が 、1/300∼ 1/500 と す る 。ま た 、児 童 が 作 業 し や す い よ う に 、
ま ち 歩 き マ ッ プ と リ ン ク す る よ う に 、建 物 名 称 を 入 れ て お く 。ま た 、地 区 の 景 観 情 報 を 整 理 す る
ために項目シートをガリバーマップ横に設ける。
図 2.3: ガ リ バ ー マ ッ プ
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3) ふ き だ し を デ ザ イ ン す る
○ねらい
・まち歩きで発見した時の“気持ち・気付き”を写真と一緒に表現する
○設計内容
漫 画 で 登 場 人 物 の 台 詞 を 表 現 す る 際 に 使 わ れ る「 ふ き だ し 」を シ ー ト 化 す る 。ま ち 歩 き で 撮 影
した写真に対して、2 タイプ(二方向対応)のふきだしを図の通りデザインし、用意する。
タイプ 1
タイプ 2
図 2.4: ふ き だ し の デ ザ イ ン
写 真 2.5: ふ き だ し へ の 記 入
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4) 2 色 の シ − ル を 用 い て 表 現 す る
・ 風 景 ・ 景 観 と し て 良 い と こ ろ 、悪 い と こ ろ を 色 分 け す る こ と で 、視 覚 的 な イ メ ー ジ に よ り 判 別
し易いように工夫する
○設計内容
ガ リ バ ー マ ッ プ に 調 査 内 容 を ま と め る 際 に 、風 景 ・景 観 と し て 良 い と こ ろ 、悪 い と こ ろ を 色 分
けする。色分けには、緑色と赤色の円い 2 色のシールを使用する。
・緑色のシール
「 安 全 」、「 成 長 」 の 色 と し て の 意 味 合 い を 持 ち 、「 風 景 、 景 観 と し て 良 い と こ ろ 、 お も し ろ い
ところ」を緑で用いる。
・赤色のシール
「 警 告 」、「 禁 止 」 の 色 と し て の 意 味 合 い を 持 ち 、「 風 景 、 景 観 と し て 悪 い と こ ろ 、 問 題 の あ る と
ころ」を赤で用いる。
写 真 2.6: 2 色 の シ ー ル を 用 い て ガ リ バ ー マ ッ プ に 表 現
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2.2.5.ス テ ッ プ 4「 発 表 」
1) 発 表 の 形 式 を 作 る
・調査した内容を整理し、発表を行うことで全体の共有化を図る
・普段はあまりない人前での発表により、プレゼン力をつける
○設計内容
ワ ー ク シ ョ ッ プ の 最 後 に 、グ ル ー プ ご と に 調 査 対 象 地 区 の 景 観 状 況 を 発 表 す る 。発 表 の 形 式 と
し て 、図 の 通 り と す る 。リ ー ダ ー は 、項 目 シ ー ト 内 容 を 発 表 す る 。サ ブ リ ー ダ ー は 、ガ リ バ ー マ
ッ プ に 乗 っ て 、写 真 を 指 し 棒 で 指 し 、ふ き だ し に 書 か れ た 発 見 し た 魅 力 や 問 題 点 を 紹 介 す る 。調
査 し た 内 容 の 共 有 は も ち ろ ん 、普 段 は あ ま り な い 人 前 で の 発 表 を 体 験 し て も ら う こ と が 大 き な 設
計のポイントである。
図 2.5:「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 発 表 形 式
112
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子供を対象とした
景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
2.3.「 世界 の 建築 物 と景 観 」の 設 計
2.3.1.ス テ ッ プ の ね ら い と 構 成 内 容
1) ス テ ッ プ の ね ら い
・世界の建築物の事例学習から景観との関係性について学ぶ
113
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―小学校景観出前授業の実践からー
2) ス テ ッ プ の 構 成 内 容
「 世 界 の 建 築 物 と 景 観 」は 、ね ら い に 対 応 し て 4 つ の ス テ ッ プ で 構 成 す る 。ス テ ッ プ の 構 成 と
主 な 内 容 を 、 表 2.3 に 示 す 。 ス テ ッ プ は 、「 導 入 」 − 「 展 開 」 − 「 ま と め 」 と い う 流 れ を 持 っ て
構成する。各ステップの設計内容の詳細を次に示す。
表 2.3:「 世 界 の 建 築 物 と 景 観 」 ス テ ッ プ 表
構成
No.
ステップ
導入
1
オリエンテーション
主な内容
1. 授 業 の 目 的 と 一 連 の 流 れ を パ ワ ー ポ イ ン ト で 説 明 す
る
時間
5分
○前半講義
1. 建 築 物 や テ ー マ パ ー ク な ど を 例 に 挙 げ 、 そ れ ら が 機
能的、デザイン的に意図があり、深く考えて造られ
40 分
ていることを講義する
2. 前 半 講 義 の ま と め を 行 う
展開
2
空間のデザイン
○後半講義
1.横 浜 、鎌 倉 な ど の 日 本 の 優 れ た 建 築 物 、シ チ リ ア 島 、
リスボン、パリなどのヨーロッパの街並みなどを、
スライド写真を用いて紹介する
35 分
2. ス カ イ ラ イ ン や 色 彩 の 統 一 等 の ル ー ル に つ い て 説
明する。
3. 後 半 講 義 の ま と め を 行 う
1.ス テ ッ プ 2、3 の 要 点 を 箇 条 書 き に し た ス ラ イ ド を 用
まとめ
3
まとめ
いて、内容を再確認してもらう
2.全 体 の ま と め を 行 い 、 授 業 の 終 了 と す る
114
10 分
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2.3.2.ス テ ッ プ 1「 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 」
1) パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い て 講 義 す る
○ねらい
・口頭のみでの説明ではなく、児童に視聴効果を与えることができる
・スライドを利用した“紙芝居”的な要素により、児童の関心を高めることができる
・「 文 字 」 だ け で は な く 、 イ ラ ス ト や 写 真 な ど の 「 ビ ジ ュ ア ル 」 を 多 く し 、“ 分 か り 易 く ” す る
○設計内容
オリエンテーションで児童に授業の目的やプログラム及びステップの一連の流れを把握して
も ら う た め に 、パ ワ ー ポ イ ン ト を 使 用 し て 説 明 し た 。ま た 、ス ラ イ ド を 利 用 し た“ 紙 芝 居 ”的 な
要 素 に よ り 注 意 力 を 集 中 さ せ た り 、話 し の き っ か け に し た り 、児 童 が 持 っ て い る 関 心 を 引 き 出 す
ことなどに役立てる。
写 真 2.7: パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い た 講 義 学 習
115
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2.3.3.ス テ ッ プ 2「 空 間 の デ ザ イ ン 」
1) ス ラ イ ド 映 像 を 用 い て 事 例 紹 介 す る
○ねらい
・美しい風景をつくるポイントを学んでもらう
・事例を用いて、デザイン的に意図があり考えられて造られていることを学んでもらう
○設計内容
ス ラ イ ド 映 像( 写 真 )を 用 い て 、様 々 な 事 例 を 紹 介 し 、そ れ ら が デ ザ イ ン 的 に 、意 図 が あ り 深
く 考 え ら れ て 造 ら れ て い る こ と を 解 説 す る 。ま た 、ス カ イ ラ イ ン や 色 彩 の 統 一 等 、美 し い 風 景 を
つくるポイントを解説する。
a.空 間 の デ ザ イ ン
様 々 な 事 例 写 真( 非 日 常 の 空 間 デ ザ イ ン な ど )を も と に 、個 々 の デ ザ イ ン 的 な 意 図 を 解 説 す る 。
写 真 2.8: 空 間 ( 事 例 1)
写 真 2.9: 空 間 ( 事 例 2)
b.ル ー ル の あ る 風 景
屋 根 の 形 や 色 彩 に 対 し て ル ー ル( 規 制 )が る こ と か ら 、統 一 感 が あ り 、美 し い 風 景 を 構 成 し て
いることについて解説する。
写 真 2.10: 空 間 ( 事 例 1)
写 真 2.11: 空 間 ( 事 例 2)
116
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2.4.「 建築 と 風景 の デザ イ ン」 の 設計
2.4.1.ス テ ッ プ の ね ら い と 構 成 内 容
1) ス テ ッ プ の ね ら い
・「 風 景 を 変 え て み る 」、「 橋 の 模 型 を つ く る 」 と い う プ ロ グ ラ ム を 実 施 し 、 美 し い 風 景 を 作 る 方
法を考える
117
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2) ス テ ッ プ の 構 成 内 容
「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 」は 、ね ら い に 対 応 し て 4 つ の ス テ ッ プ で 構 成 す る 。ス テ ッ プ の 構 成
と 主 な 内 容 を 、 表 2.4 に 示 す 。 ス テ ッ プ は 、「 導 入 」 − 「 展 開 」 − 「 ま と め 」 と い う 流 れ を 持 っ
て構成する。各ステップの設計内容の詳細を次に示す。
表 2.4:「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 」 ス テ ッ プ 表
構成
No.
ステップ
導入
1
オリエンテーション
主な内容
1. 授 業 の 目 的 と 一 連 の 流 れ を パ ワ ー ポ イ ン ト で 説 明 す
る
時間
5分
1. 電 柱 の 地 中 化 や 緑 化 、 ゴ ミ の 撤 去 な ど を 、 貼 り 絵 ボ
ードによって、風景を変える、あるいは風景をつく
ることができることを説明する
2
貼り絵づくり
2.1 枚 の 貼 り 絵 に 対 し て 2 人 1 組 で 作 業 を 行 う た め 、
グループ内で組分けを行う(4 組程度)
30 分
3.実 際 に 、素 材 で あ る 切 り 貼 り シ ー ト( 2 種 類:樹 木 シ
ート、花畑シート)を使って、問題のあるところに
貼り絵をし、風景を変えてみる
展開
1. 土 木 構 造 物 の 機 能 的 な 景 観 美 を 紹 介 す る た め 、 ロ ー
マや熊本など世界各地のアーチ橋の事例を紹介し、
素材となる石の組み合わせのみで支えられるアーチ
3
アーチ橋模型づくり
橋が何百年も持ち続けることを紹介する
2.ア ー チ 橋 模 型 の 制 作 に あ た り 、 3 人 1 組 を つ く り 、
40 分
作業の役割分担を各グループで行う
3. テ ー プ や 接 着 剤 を 使 わ ず に 、 マ ッ チ 箱 を 組 み 合 わ せ
てアーチ橋の模型を制作する
1. 貼 り 絵 づ く り 、 ア ー チ 橋 模 型 づ く り の 取 り 組 み に 対
まとめ
4
まとめ
する講評を行う
2.ま と め を 行 い 、 授 業 の 終 了 と な る
118
10 分
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2.4.2.ス テ ッ プ 1「 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 」
1) 貼 り 絵 ボ ー ド を 使 用 す る
○ねらい
・口頭のみでの説明ではなく、児童に視聴効果を与えることができる
・ボードを利用した“紙芝居”的な要素により、児童の関心を高めることができる
・「 文 字 」 で は な く 、 イ ラ ス ト や 写 真 な ど の 「 ビ ジ ュ ア ル 」 で 、“ 分 か り 易 く ” す る
○設計内容
オリエンテーションで児童に授業の目的やプログラム及びステップの一連の流れを把握して
もらうために、パワーポイントを使用して説明した。
ま た 、貼 り 絵 を 行 う に あ た り 、電 柱 の 地 中 化 、緑 化 、看 板 類 の 整 理 、海 岸 の 消 波 ブ ロ ッ ク 撤 去
な ど の 事 例 に よ る 景 観 の 変 化 か ら 、景 観 を 変 え る 、あ る い は 風 景 を つ く る こ と が 自 分 た ち で で き
る こ と を 説 明 す る 。 景 観 の 変 化 を イ メ ー ジ ブ ル に す る た め 、「 貼 り 絵 ボ ー ド 」 を 、 用 い て “ 分 か
り易く”解説した。
写 真 2.12:「 貼 り 絵 ボ ー ド 」 を 用 い た オ リ エ ン テ ー シ ョ ン
119
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2.4.3.ス テ ッ プ 2「 貼 り 絵 づ く り 」
1) 貼 り 絵 シ ー ト を 使 用 す る
○ねらい
・児童の手で直してもらうために、景観を損ねている場所を貼り絵の題材とする
○設計内容
「 貼 り 絵 シ ー ト 」は 、貼 り 絵 の ベ ー ス と し て 設 計 を 行 う 。看 板 が 混 雑 し 、ゴ ミ の 放 置 に よ っ て
景観を損ねている場所を事前に撮影し、貼り絵の題材として使用した。
図 2.6: 貼 り 絵 シ ー ト
120
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2) 切 り 貼 り シ ー ト を 使 用 す る
○ねらい
・様々な素材を用いて、自分(児童)の手で風景を変える
・素 材 の バ リ エ ー シ ョ ン を 豊 富 化 し 、ど の 素 材 が 地 区 の 景 観 に 合 う か 、子 供 た ち に“ 考 え な が ら ”
作業を体験してもらう
○設計内容
様々な素材を用いて、自分(児童)の手で風景を変えるために、切り貼りシートを設計した。
a.背 景 シ ー ト ( 空 )
建物の高さを揃えることや電柱・電線など地中化するために、背景として「空」を用意する。
図 2.7: 背 景 シ ー ト ( 空 )
121
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b.背 景 シ ー ト ( 山 )
建物や電柱・電線などで隠されていた背景を見せるために、背景として「山」を用意する。
図 2.8: 背 景 シ ー ト ( 山 )
c.花 畑 シ ー ト
農 地 や 道 沿 い の 景 観 を 良 く す る た め に「 花 畑 シ ー ト 」を 用 意 す る 。花 の 種 類 は「 菜 の 花 」と し
た。
図 2.9: 花 畑 シ ー ト ( ナ ノ ハ ナ )
122
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d.樹 木 シ ー ト
電 柱 の 地 中 化 や ゴ ミ の 撤 去 な ど を 行 え る「 樹 木 シ ー ト 」を 用 意 し た 。児 童 が 考 え な が ら 作 業 が
行えるように、様々な大きさや種類のある樹木を素材として用意する。
図 2.10: 樹 木 シ ー ト
123
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2.4.4.ス テ ッ プ 3「 ア ー チ 橋 模 型 づ く り 」
1) マ ッ チ 箱 を 組 み 合 わ せ て 模 型 を 作 製 す る
○ねらい
・土 木 構 造 物 の 機 能 的 な 景 観 美 を 紹 介 す る こ と と 併 せ て 、土 木 や 建 築 、も の づ く り に 興 味 を 持 っ
てもらう
○設計内容
身近にある「マッチ箱」を利用して、アーチ橋の模型を製作する。
製 作 の ポ イ ン ト と し て 、テ ー プ や 接 着 剤 を 使 わ ず に 、マ ッ チ 箱 を 組 み 合 わ せ て ア ー チ 橋 の 模 型
を制作するという“驚き”を与える。
・「 ア ー チ 橋 模 型 づ く り 」 制 作 風 景 1
3 人 1 組のグループに分かれて、協力しながらアーチ橋の模型を作る
写 真 2.13:「 ア ー チ 橋 模 型 づ く り 」 制 作 風 景 1
124
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・「 ア ー チ 橋 模 型 づ く り 」 制 作 風 景 2
テープや接着剤を一切使わずに、マッチ箱を組み合わせてアーチ橋の模型を完成させる。
写 真 2.14:「 ア ー チ 橋 模 型 づ く り 」 制 作 風 景 2
・「 ア ー チ 橋 模 型 づ く り 」 制 作 風 景 3
児童が作成したアーチ橋模型。
写 真 2.15:「 ア ー チ 橋 模 型 づ く り 」 制 作 風 景 3
125
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2.5.「 まち な み景 観 計画 づ くり ワ ーク シ ョッ プ 」の 設 計内 容
2.5.1.ス テ ッ プ の ね ら い と 構 成 内 容
1) ス テ ッ プ の ね ら い
・景 観 学 習 を 経 て 、自 分 た ち の 理 想 と す る 景 観 の 姿 を 見 出 し 、そ れ を 実 現 す る た め の 具 体 的 な 景
観計画の作成を行う
126
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2) ス テ ッ プ の 構 成 内 容
「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」は 、ね ら い に 対 応 し て 4 つ の ス テ ッ プ で 構 成 す る 。
ス テ ッ プ の 構 成 と 主 な 内 容 を 、 表 2.5 に 示 す 。 ス テ ッ プ は 、「 導 入 」 − 「 展 開 」 − 「 ま と め 」 と
いう流れを持って構成する。各ステップの設計内容の詳細を次に示す。
表 2.5:「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 ス テ ッ プ 表
構成
No.
ステップ
主な内容
時間
1. 授 業 の 目 的 と 一 連 の 流 れ を パ ワ ー ポ イ ン ト で 説 明
導入
1
オリエンテーション
する
2.ア イ ス ブ レ イ ク で 児 童 の 緊 張 を 解 し 、グ ル ー プ 分 け
20 分
を行う
1.「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り 」で 作 成 し た ガ リ
バ ー マ ッ プ か ら 、景 観 資 源( 建 物 、道 路 、樹 木 、自
然 etc… ) を 抽 出 し 、 ワ ー ク シ ー ト に シ ー ル を 貼 り
2
景観資源の再確認
付けてプロットする
2. 様 々 な 景 観 の 写 真 を ま と め た 景 観 イ メ ー ジ フ ォ ト
60 分
から、地区に当てはまりそうな写真を切り抜く
3.切 り 抜 い た 写 真 は 、ゾ ー ン ご と に 区 分 け さ れ た シ ー
ト欄に貼り付けてまとめる
展開
1.ゾ ー ン 分 け さ れ た 地 区 の 方 針 ( 景 観 の 将 来 像 ) を 、
キーワードシートから 1 人 3 枚切り抜き、グルー
プ 内 で 検 討 し 、決 定 内 容 を ワ ー ク シ ー ト に ま と め る
3
景観計画の策定
2.方 針 に 基 づ い た 景 観 計 画 を 、ゾ ー ン 分 け さ れ た 地 区
ごとに検討し、ワークシートにまとめる
60 分
3.決 定 し た 景 観 計 画 に 基 づ い て 、ゾ ー ン 分 け さ れ た 地
区のルールを検討し、ワークシートにまとめる
4.景 観 計 画 を 行 っ た 感 想 を 各 人 が 記 入 す る
1. 各 グ ル ー プ の リ ー ダ ー が 策 定 し た 景 観 計 画 内 容 を
まとめ
4
発表
発表する
2.最 後 に ま と め と 講 評 を 行 い 、 学 習 の 終 了 と す る
127
40 分
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3.2006 年度小学校景観出前授業における
「景観まちづくりワークショップ」の設計
3.1.「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 プ ロ グ ラ ム の 構 成 と 各 ス テ ッ プ の ね ら い
2006 年 度 の「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 は 、 プ ロ グ ラ ム を 5 部 構 成 と し 、「 1.知 る 」→
「 2.学 ぶ 」 → 「 3.知 る 」 → 「 4.作 る 」 → 「 5.伝 え る 」 と い う 学 習 過 程 を 流 れ と し て 構 成 し た ( 表
3.1 参 照 )。構 成 内 容 と し て 、最 初 は 、自 分 た ち( 児 童 )が 住 ん で い る 地 区 を 観 察 し 、ま ず は ま ち
の こ と を“ 知 る ”こ と に 始 ま り 、次 に 風 景 の 見 方 、捉 え 方 を「 景 観 と 建 築 」の 視 点 か ら“ 学 ぶ ”。
再 度 、「 景 観 」 の 視 点 か ら 地 区 を 観 察 し 、 良 い と こ ろ 、 悪 い と こ ろ を “ 知 る ” こ と で 、 自 分 た ち
( 児 童 ) が 住 ん で い る 地 区 を 良 く す る た め に 、 景 観 計 画 を “ 作 る ”。 最 後 に 、 作 成 し た 景 観 計 画
を 実 際 に 児 童 の 保 護 者 や 地 区 の 人 に 発 表 し 、“ 伝 え る ” と い う 展 開 に な っ て い る 。
表 3.1:「 景 観 ま ち づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 プ ロ グ ラ ム 表 ( 2006 年 度 )
回
キーワード
1
“知る”
授業タイトルとねらい
「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 1」
授業形式
授業時間
ワーク
180 分
まずは、まち(地区)を観察し、地区環境をとして「良いとこ
ショップ
ろ 」、「 悪 い と こ ろ 」 を “ 知 る ”
「建築と風景のデザイン」
2
“学ぶ”
講義
90 分
「良い建築や美しい風景」を、スライド映像を用いて事例から
学び、さらに風景の見方、捉え方を“学ぶ”
「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 2」
3
“知る”
ワーク
180 分
ま ち( 地 区 )を 観 察 し 、景 観 と い う 視 点 か ら「 良 い と こ ろ 」、
「悪
ショップ
いところ」を“知る”
「まちなみ景観計画づくりワークショップ」
4
“作る”
ワーク
180 分
自分たち(児童)が住んでいる地区の将来像を考え、景観計画
ショップ
を“作る”
5 “伝える”
「まちなみ景観発表会」
発表会
自分たち(児童)の取り組みを地域に“伝える”
128
90 分
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3.2.「 まち 歩 きと ガ リバ ー 地図 づ くり ワ ーク シ ョッ プ 1」の 設 計
3.2.1.ス テ ッ プ の ね ら い
1) ス テ ッ プ の ね ら い
・ま ち 歩 き を 行 い 、普 段 は あ ま り 意 識 す る こ と の な い ま ち の 良 い と こ ろ や 悪 い と こ ろ を 発 見 し て
もらう
129
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2) ス テ ッ プ の 構 成 内 容
「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 1 」は 、ね ら い に 対 応 し て 4 つ の ス テ ッ プ で
構 成 す る 。ス テ ッ プ の 構 成 と 主 な 内 容 を 、表 3.2 に 示 す 。ス テ ッ プ は 、
「 導 入 」−「 展 開 」−「 ま
とめ」という流れを持って構成する。各ステップの設計内容の詳細を次に示す。
表 3.2:「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 1」 ス テ ッ プ 表
構成
No.
ステップ
主な内容
時間
1.授 業 の 目 的 と 一 連 の 流 れ を パ ワ ー ポ イ ン ト で 説 明 す る
導入
1
オリエンテーション
2.ア イ ス ブ レ イ ク で 児 童 の 緊 張 を 解 し 、 グ ル ー プ 分 け を
行う
20 分
3.歩 く コ ー ス や 各 自 の 役 割 を 各 グ ル ー プ で 検 討 す る
1.テ ー マ に 沿 っ て ま ち 歩 き を 行 い 、 対 象 物 を イ ン ス タ ン
2
まち歩き
ト ・ カ メ ラ で 撮 影 す る ( 各 グ ル ー プ 20 枚 、 各 自 最 低
2 枚は撮影)
60 分
2.撮 影 し た 場 所 や 気 付 き を ま ち 歩 き マ ッ プ に 記 入 す る
1.ま ち 歩 き で 撮 影 し た 写 真 に 各 自 タ イ ト ル を つ け る
展開
2.ふ き だ し に 写 真 に 対 す る 気 付 き を 記 入 す る
3.ガ リ バ ー マ ッ プ 上 に あ る 撮 影 し た 場 所 に シ ー ル ( 良 →
緑、悪→赤)を貼り付ける
3
調査のまとめ
4.シ ー ル か ら 引 き 出 し 線 を 引 き 、 写 真 と ふ き だ し を バ ラ
ンスよく貼り付ける
60 分
5.項 目 ワ ー ク シ ー ト に 、 撮 影 し た 写 真 が 良 い と こ ろ 、 悪
い と こ ろ の 中 で 、 景 観 要 素 ( 建 物 、 道 、 塀 etc… ) ご
とに分類し、シールを貼り付ける
6.チ ー ム 名 と メ ン バ ー の 名 前 を 記 入 す る
1.完 成 し た ガ リ バ ー マ ッ プ を 囲 ん で 座 る
まとめ
4
発表
2.各 グ ル ー プ の リ ー ダ ー と サ ブ が ガ リ バ ー マ ッ プ の 上 に
乗って地区環境を紹介する
3.最 後 に ま と め と 講 評 を 行 い 、 学 習 の 終 了 と す る
130
40 分
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3.2.2.ス テ ッ プ 1「 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 」
1) パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い て 説 明 す る
○ねらい
・口頭のみでの説明ではなく、児童に視聴効果を与えることができる
・スライドを利用した“紙芝居”的な要素により、児童の関心を高めることができる
・「 文 字 」 で は な く 、 イ ラ ス ト や 写 真 な ど の 「 ビ ジ ュ ア ル 」 を 多 く し 、“ 分 か り 易 く ” す る
○設計内容
「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 1」 の ス ケ ジ ュ ー ル や 作 業 の 内 容 を 、 パ ワ ー
ポイントを用いて児童に説明する。言葉をいくら費やしてもなかなか伝えられないイメージを、
イ ラ ス ト や 写 真 な ど の 「 ビ ジ ュ ア ル 」 を 用 い て 、“ 分 か り 易 く ” 児 童 に 伝 え る 。 ま た 、 ス ラ イ ド
を 利 用 し た“ 紙 芝 居 ”的 な 要 素 に よ り 注 意 力 を 集 中 さ せ た り 、話 し の き っ か け に し た り 、児 童 が
持っている関心を引き出すことなどに役立てる。
写 真 3.1: パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い た オ リ エ ン テ ー シ ョ ン
131
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2) ア イ ス ブ レ イ ク で 緊 張 を 解 す
○ねらい
・「 こ れ か ら 何 が 始 ま る の か な 」、「 何 か 一 つ で も い い か ら 学 び た い 」、「 早 く 終 わ ら な い か な 」 な
ど、楽しみと不安が入り混じった、参加者(児童)の身構えた状態を“リラックス”させる
・ 短 い 時 間 の 中 で 、“ 楽 し く ” グ ル ー プ 分 け を 行 う
・チーム対抗や全員が協力して、ゲームを行うことで“仲間意識”の形成を促す
○設計内容
ア イ ス ブ レ イ ク は 、 直 訳 す れ ば 「 氷 ( ice) を 砕 く ( break)」 と い う 意 味 で あ る が 、 学 習 プ ロ
グ ラ ム に お い て は 、参 加 者 の 氷 の よ う に 固 ま っ た「 身 構 え た 状 態 」を リ ラ ッ ク ス さ せ 、学 習 を 進
める準備状態にすることを意味する。
学 習 プ ロ グ ラ ム は 、す べ て「 導 入 」−「 展 開 」−「 ま と め 」と い う 流 れ を も っ て 構 成 し て い る 。
こ の 流 れ を ス ム ー ズ に し 、 学 習 の 効 果 を 高 め る に は 、「 導 入 」 は と て も 大 事 な 時 間 で あ る 。 な ぜ
なら参加者には“動機付け”の意味を持つからである。
ここでは、既存のアイスブレイク手法から次の 2 つを選択した。
a.誕 生 日 チ ェ ー ン
所 要 時 間 : 10 分 程 度
人
数:何人でも
準
備:特になし
「 会 話 を し な い 」 と い う 条 件 で 、「 誕 生 の 月 日 順 」 に 並 ん で も ら う 。
並び終えたら順番に誕生日を発表してもらう。
言 葉 以 外 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 技 法 を 引 き 出 し 、自 ら 発 す る こ と の 大 切 さ に 気 付 く こ と が 出 来
る。誕生の月日順の他、氏名の五十音順、出身地の北から南順などでも可能である。
b .人 数 を 集 め ろ
所 要 時 間 : 10 分 程 度
人
数 : 10 人 以 上
準
備:特になし
指 導 者 の「 せ ー の 」の 掛 け 声 の 後 、指 導 者 と 参 加 者 が 一 緒 に 、手 拍 子 を 一 つ ず つ 増 や し な が ら 叩
く 。「 せ ー の 」 パ ン 、「 せ ー の 」 パ ン パ ン 、「 せ ー の 」 パ ン パ ン パ ン … … と 。 指 導 者 は 適 当 な と こ
ろ で「 は い ! 」と 声 を か け 、最 後 の 手 拍 子 の 数 の 人 数 で 誰 で も い い か ら 集 ま り 、手 を つ な い で 輪
に な る 。指 定 し た 人 数 が 集 ま ら な か っ た 方 に 簡 単 に 自 己 紹 介 を し て も ら う 。手 拍 子 の 数 は 減 ら し
たり増やしたりランダムにして繰り返す。また、グループ分けの際にも用いることができる。
132
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景観まちづくりワークショップのモデル設計
―小学校景観出前授業の実践からー
3.2.3.ス テ ッ プ 2「 ま ち 歩 き 」
1) ま ち 歩 き テ ー マ を 設 定 す る
○ねらい
・まち歩きのテーマ設定を行い、身近な空間、見慣れた風景から地区を調査し、資源の再発見・
再認識してもらう
○設計内容
ま ず は 、自 分 た ち の 住 ん で い る ま ち を 知 っ て も ら う た め に 、テ ー マ を「 景 観 」と い う 枠 に 絞 ら
ず 、「 地 区 環 境 」 と い う 枠 で 設 定 す る 。
ま ち 歩 き の テ ー マ と し て は 、 ま ち 歩 き 調 査 を 行 う 際 に 特 徴 的 な 「 良 い と こ ろ 」、「 悪 い と こ ろ 」
を探すものとし、テーマを次の 2 点に設定する。
・まち歩きのテーマ
a.地 区 環 境 と し て 良 い と こ ろ 、 お も し ろ い と こ ろ
b.地 区 環 境 と し て 悪 い と こ ろ 、 問 題 の あ る と こ ろ
写 真 3.2: テ ー マ を 持 っ た ま ち 歩 き
133
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2) イ ン ス タ ン ト ・ カ メ ラ を 使 用 す る
○ねらい
・まち歩きのテーマに沿って対象物を撮影し、まちの姿を「ビジュアル」として残す
・撮影後すぐに写真を得ることができる
・撮影したその場で、写真を見ることが出来るという最大のメリットがある
○設計内容
まち歩きの際に、テーマに沿って対象物を撮影するためにインスタント・カメラを使用した。
イ ン ス タ ン ト ・ カ メ ラ は 、 各 班 に 1 台 ( 10 枚 撮 り ) 用 意 し 、 撮 影 枚 数 は 20 枚 と す る 。
写 真 3.3: イ ン ス タ ン ト ・ カ メ ラ を 使 用 し た ま ち 歩 き
134
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3) ま ち 歩 き マ ッ プ を 使 用 す る
○ねらい
・まち歩きの時間を考えて、効率的に地区を回って調査するためのルート確認を行う
・まち歩きで発見した景観資源等の場所の位置情報を落としておく
○設計内容
ま ち 歩 き の 際 に 、ル ー ト の 確 認 や 地 区 の 景 観 情 報 を 記 入 で き る よ う に 、
「 a.全 体 マ ッ プ 」と「 b.
地区マップ」の 2 つを用意する。それぞれのまち歩きマップには、まち歩きをする際の“目印”
となるよう主要な建物に名称を入れて、分かり易くする。
a.全 体 マ ッ プ
ま ち 歩 き の 全 体 範 囲 か ら 自 分 た ち( 児 童 )の ま ち な み 景 観 調 査 地 区 が ど の よ う な 位 置 付 け な の
かを確認把握するために使用する。
図 3.1: 全 体 マ ッ プ
135
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b.地 区 マ ッ プ
ま ち 歩 き の 時 間 を 考 え て 、効 率 的 に 地 区 を 回 っ て 調 査 で き る よ う に ル ー ト 確 認 を 行 う 際 に 使 用
する。また、マップにはまち歩きで発見した景観資源等の場所の位置情報を落としておく。
図 3.2: 地 区 マ ッ プ
136
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4) ま ち 歩 き 記 入 シ ー ト を 使 用 す る
○ねらい
・ガ リ バ ー マ ッ プ 作 成 時 に 作 業 が し や す い よ う に 、ま ち 歩 き で 発 見 し た 景 観 情 報 を 落 と し て お く
・まち歩きで発見した時の“気持ち・気付き”を、その場で文章として残しておく
○設計内容
ま ち 歩 き の 際 に 、撮 影 番 号 や 撮 影 者 、気 付 き を 記 入 で き る よ う に「 ま ち 歩 き 記 入 シ ー ト 」を 設
計する。
図 3.3: ま ち 歩 き 記 入 シ ー ト
137
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5) ス タ ッ フ を 各 グ ル ー プ の “ 先 生 ” に す る
○ねらい
・まち歩きにおける児童の安全確保と時間管理、誘導を行う
・ ワ ー ク シ ョ ッ プ を 通 し て 、グ ル ー プ の“ 先 生 ”と し て 、児 童 が 混 乱 し な い よ う に 作 業 に 対 す る
助言と手伝いしてあげる
○設計内容
ま ち 歩 き は 、児 童 の 安 全 確 保 と 時 間 管 理 、誘 導 を 行 う ス タ ッ フ を 動 員 し た 。ま た 、ワ ー ク シ ョ
ッ プ を 通 し て 、児 童 が 混 乱 し な い よ う に 、ス タ ッ フ を グ ル ー プ の“ 先 生 ”と し て 位 置 付 け 、作 業
に 対 す る 助 言 と 手 伝 い し て あ げ る こ と で 、“ 分 か り 易 さ ” を 追 求 す る 。 ス タ ッ フ に は 、 ま ち 歩 き
のコースや注意点、作業内容など事前の打ち合わせをしておく。
写 真 3.4: グ ル ー プ の “ 先 生 ” と な る ス タ ッ フ
138
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3.4.4.ス テ ッ プ 3「 地 区 環 境 調 査 の ま と め 」
1) ガ リ バ ー マ ッ プ を 使 用 す る
○ねらい
・ ガ リ バ ー ( 巨 人 ) に な れ る と い う 、 非 日 常 的 ス ケ ー ル の 体 験 に よ り 、“ 楽 し く ” 作 業 で き る
・各グループが協力して、1 枚の巨大な地図を完成させる“達成感”の大きさがある
・ ガ リ バ ー マ ッ プ の 上 を 歩 き 回 っ た り 、 座 り 込 ん だ り 、 寝 転 が っ た り し な が ら 、“ 自 由 ” に 作 業
ができる
○設計内容
ガ リ バ ー マ ッ プ を 使 用 す る こ と で 、“ 驚 き ” と “ 楽 し さ ” を 追 求 す る 。 ガ リ バ ー マ ッ プ の 原 本
は 、建 物 の 平 面 形 状 や 建 物 名 称 が 入 っ て い る 市 販 の 住 宅 地 図( ゼ ン リ ン な ど )を 使 用 す る 。ガ リ
バ ー マ ッ プ に は 、検 討 対 象 地 区 全 体 が 含 ま れ る よ う に す る 。ガ リ バ ー マ ッ プ の ス ケ ー ル は 、対 象
と す る 地 区 の 範 囲 や 状 況 に も よ る が 、1/300∼ 1/500 と す る 。ま た 、児 童 が 作 業 し や す い よ う に 、
まち歩きマップとリンクするように、建物名称を入れておく。
図 3.4: ガ リ バ ー マ ッ プ
139
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2) 項 目 ワ ー ク シ ー ト を 使 用 す る
○ねらい
・ ま ち 歩 き を 行 っ た 地 区 環 境 の 情 報 (「 良 い と こ ろ 」、「 悪 い と こ ろ 」) を 整 理 す る
・ガリバーマップの情報とリンクさせることで、地区環境の情報を読み取りやすくする
・ 撮 影 し た 写 真 を 項 目 別 に 分 類 す る こ と で 、自 分 た ち( 児 童 )の 地 区 の 良 い と こ ろ 、悪 い と こ ろ
は何か、視覚的に捉えることができる
・ 項 目 ワ ー ク シ ー ト を 個 別 化 す る こ と で 、 地 区 環 境 と し て 「 良 い と こ ろ 」「 悪 い と こ ろ 」 を 景 観
項目別に数的に理解を高める
○設計内容
ま ち 歩 き を 行 っ た 地 区 環 境 の 情 報 を 整 理 す る た め に 、図 3.5 の 通 り 項 目 ワ ー ク シ ー ト を 設 計 す
る 。項 目 ワ ー ク シ ー ト に は 、ガ リ バ ー マ ッ プ に 貼 り 付 け た シ ー ル と 同 じ も の を 項 目 分 け し 、貼 り
付けて完成させる。
図 3.5: 項 目 ワ ー ク シ ー ト
140
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3) ふ き だ し を デ ザ イ ン す る
○ねらい
・まち歩きで発見した時の“気持ち・気付き”を写真と一緒に表現する
○設計内容
漫 画 で 登 場 人 物 の 台 詞 を 表 現 す る 際 に 使 わ れ る「 ふ き だ し 」を シ ー ト 化 す る 。ま ち 歩 き で 撮 影
した写真に対して、2 タイプ(二方向対応)のふきだしを図の通りデザインし、用意する。
タイプ 1
タイプ 2
図 3.6: ふ き だ し の デ ザ イ ン
写 真 3.5: ふ き だ し へ の 記 入
141
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4) 2 色 の シ − ル を 用 い て 表 現 す る
・ 風 景 ・ 景 観 と し て 良 い と こ ろ 、悪 い と こ ろ を 色 分 け す る こ と で 、視 覚 的 な イ メ ー ジ に よ り 判 別
し易いように工夫する
○設計内容
ガ リ バ ー マ ッ プ に 調 査 内 容 を ま と め る 際 に 、風 景 ・景 観 と し て 良 い と こ ろ 、悪 い と こ ろ を 色 分
けする。色分けには、緑色と赤色の円い 2 色のシールを使用する。
・緑色のシール
「 安 全 」、「 成 長 」 の 色 と し て の 意 味 合 い を 持 ち 、「 風 景 、 景 観 と し て 良 い と こ ろ 、 お も し ろ い
ところ」を緑で用いる。
・赤色のシール
「 警 告 」、「 禁 止 」 の 色 と し て の 意 味 合 い を 持 ち 、「 風 景 、 景 観 と し て 悪 い と こ ろ 、 問 題 の あ る と
ころ」を赤で用いる。
写 真 3.6: 2 色 の シ ー ル を 用 い て ガ リ バ ー マ ッ プ に 表 現
142
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3.4.5.ス テ ッ プ 4「 発 表 」
1) 発 表 の 形 式 を 作 る
・調査した内容を整理し、発表を行うことで全体の共有化を図る
・普段はあまりない人前での発表により、プレゼン力をつける
○設計内容
ワ ー ク シ ョ ッ プ の 最 後 に 、グ ル ー プ ご と に 調 査 し た 地 区 の 状 況 を 発 表 す る 。発 表 の 形 式 と し て 、
図 3 の 通 り と す る 。リ ー ダ ー は 、項 目 ワ ー ク シ ー ト に 沿 っ て 発 表 す る 。サ ブ リ ー ダ ー は 、ガ リ バ
ー マ ッ プ に 乗 っ て 、写 真 を 指 し 棒 で 指 し 、ふ き だ し に 書 か れ た 発 見 し た 魅 力 や 問 題 点 を 紹 介 す る 。
調 査 し た 内 容 の 共 有 は も ち ろ ん 、普 段 は あ ま り な い 人 前 で の 発 表 を 体 験 し て も ら う こ と が 大 き な
設 計 の ポ イ ン ト で あ る 。ま た 、発 表 す る 人 、シ ー ト を 持 つ 人 な ど グ ル ー プ 全 員 協 力 し 、全 員 で 発
表に臨む体系を作る。
図 3.7:「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 1」 発 表 形 式
143
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3.3.「 建築 と 風景 の デザ イ ン」 の 設計
3.3.1.ス テ ッ プ の ね ら い と 構 成 内 容
1) ス テ ッ プ の ね ら い
・「 良 い 建 築 、 美 し い 風 景 」 に つ い て 学 び 、 児 童 の 価 値 軸 ( 評 価 軸 ) を 養 う
144
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2) ス テ ッ プ の 構 成 内 容
「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 」は 、ね ら い に 対 応 し て 4 つ の ス テ ッ プ で 構 成 す る 。ス テ ッ プ の 構 成
と 主 な 内 容 を 、 表 3.3 に 示 す 。 ス テ ッ プ は 、「 導 入 」 − 「 展 開 」 − 「 ま と め 」 と い う 流 れ を 持 っ
て構成する。各ステップの設計内容の詳細を次に示す。
表 3.3:「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 」 ス テ ッ プ 表
構成
No.
ステップ
主な内容
時間
導入
1
オリエンテーション
1.授 業 の 目 的 と 一 連 の 流 れ を パ ワ ー ポ イ ン ト で 説 明 す る
5分
1.「 自 然 な も の 」、「 建 物 」、「 ま ち な み 」、「 生 活 」 な ど 景
観 を 構 成 す る 要 素 ご と に 世 界 中 の 様 々 な 事 例 を 、ス ラ
イド写真を用いて解説する
2
良い建築と美しい風景
2.美 し い 風 景 の た め に 、景 観 を 構 成 す る 要 素 ご と に 、
「季
節 感 」、「 時 間 」、「 奥 行 き 」 な ど 、 必 要 な と し て 要 素 と
40 分
し て の 組 み 合 わ せ ( 例 :「 自 然 な も の 」 ×「 季 節 感 」)
を解説する
3.前 半 講 義 の ま と め を 行 う
1.「 ル ー ル の あ る 風 景 」 を テ ー マ に 、 ヨ ー ロ ッ パ に お け
展開
る 建 物 規 制 、看 板 規 制 、 色 彩 規 制 な ど の 美 し い 風 景 の
構成要素として必要なことを、事例を基に解説する
2.「 ど こ か ら み た ら 美 し い の か 」 を テ ー マ に 、 見 る 場 所
3
美しい風景のポイント
( 視 点 場 )に よ っ て 風 景 は 異 な る こ と に つ い て 事 例 を
紹介し、解説する
35 分
3.「 偽 物 は 使 わ な い 」 を テ ー マ に 、 色 鮮 や か な 果 物 を モ
チ ー フ に し た バ ス 停 や 休 憩 所 な ど を 事 例 に 、周 り の 風
景との調和について考える
4.後 半 講 義 の ま と め を 行 う
1.ス テ ッ プ 2,3 の 要 点 を 箇 条 書 き に し た ス ラ イ ド を 用 い
まとめ
4
まとめ
て、内容を再確認してもらう
2.全 体 の ま と め を 行 い 、 授 業 の 終 了 と す る
145
10 分
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3.3.2.ス テ ッ プ 1「 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 」 の 設 計
1) パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い て 講 義 す る
○ねらい
・口頭のみでの説明ではなく、児童に視聴効果を与えることができる
・スライドを利用した“紙芝居”的な要素により、児童の関心を高めることができる
・「 文 字 」 で は な く 、 イ ラ ス ト や 写 真 な ど の 「 ビ ジ ュ ア ル 」 を 多 く し 、“ 分 か り 易 く ” す る
○設計内容
「建築と風景のデザイン」では、言葉をいくら費やしてもなかなか伝えられないイメージを、
パ ワ ー ポ イ ン ト の ス ラ イ ド 映 像 を 通 し て 児 童 に 正 確 に 伝 え る 。映 像 を 映 す こ と に よ り 、注 意 力 を
集 中 さ せ た り 、話 し の き っ か け に し た り 、児 童 が す で に も っ て い る 関 心 を 引 き 出 す こ と な ど に 役
立てることができる。
映 像 と ダ ブ ラ せ る こ と で 理 解 が 容 易 に な り 、言 葉 に 強 い 説 得 力 を も つ よ う に な る 。こ の 目 的 で
の映像は、教科書等の写真が持つ意味と同じである。
文 章 で は な く 、写 真 を 大 き く 拡 大 し て 提 示 す る こ と に よ り 全 体 像 を よ り 客 観 的 な 姿 で 捉 え ら れ 、
児 童 の お さ え た い 要 点 を 細 部 に わ た り そ の も の を ず ば り 示 す こ と が で き る 。ま た 、見 て い る も の
が 退 屈 し 、 だ れ て し ま わ な い よ う に 、 ス ラ イ ド は 1 コ マ の 映 写 を 20 秒 位 に す る よ う 留 意 す る 。
4∼5枚のコマを組にして映写するという工夫も大切である。
写 真 3.7: ス ラ イ ド 映 像 を 用 い た 学 習
146
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3.3.3.ス テ ッ プ 2「 良 い 建 築 と 美 し い 風 景 」
1) 世 界 中 の 事 例 を ス ラ イ ド 写 真 で 紹 介 す る
○ねらい
・視覚的映像を活用する
・まずは、児童に「良い建築と美しい風景」を知ってもらう
・「 文 字 」 で は な く 、「 写 真 」 を 中 心 に “ 伝 わ り や す く ” 説 明 を 行 う
○設計内容
児 童 に「 良 い 建 築 と 美 し い 風 景 」を 知 っ て も ら う た め に 、景 観 を 構 成 す る 要 素( 景 観 資 源 )ご
とに、事例をスライド写真で紹介する。
景 観 を 構 成 す る 要 素 を 、 以 下 a∼ j の カ テ ゴ リ ー に 分 類 し 、 紹 介 す る 。
a.自 然 な も の
h.橋
i.港
b.建 物
c.建 物 群
d.ま ち な み
e.庭
f.道
g.ス ト リ ー ト ・ フ ァ ニ チ ャ ー
j.生 活
写 真 3.8: ス ラ イ ド 映 像 に よ る 美 し い 風 景 の 事 例 紹 介
147
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3.3.4.ス テ ッ プ 3「 美 し い 風 景 の ポ イ ン ト 」
1) 美 し い 風 景 の ポ イ ン ト を 視 点 ご と に 解 説 す る
○ねらい
・児童の良い建築や美しい風景に対する価値軸(評価軸)を養う
○設計内容
児 童 の 価 値 軸 を 養 う た め に 、美 し い 風 景 の ポ イ ン ト に つ い て 、以 下 4 つ の 視 点 か ら 風 景 の 見 方 、
捉え方を解説する。スライドの構成としては、視点ごとに“分かり易く”解説を行う。
a.ル ー ル の あ る 風 景
美 し い 風 景 の ポ イ ン ト と し て 、「 ル ー ル の あ る 風 景 」 を 日 本 と 世 界 ( ヨ ー ロ ッ パ な ど ) の 事 例
を引き合いに出し、分かり易く解説する。
b.ど こ か ら 見 た ら 美 し い か
美 し い 風 景 の ポ イ ン ト と し て 、「 ど こ か ら 見 た ら 、 快 適 で 美 し い か 」 風 景 を 眺 め る 場 所 も 非 常
に重要であることを解説する。
c.背 景 に 注 意 す る
事例をもとに何を見せるか「背景にも注意する」ことを、事例をもとに解説する。
d.偽 物 は 使 わ な い
美 し い 風 景 の ポ イ ン ト と し て 、「 偽 物 に は 配 慮 が 必 要 」 で あ る こ と に つ い て 解 説 す る 。
写 真 3.9: ス ラ イ ド 映 像 に よ る 風 景 の ポ イ ン ト の 事 例 紹 介
148
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3.3.5.ス テ ッ プ 4「 ま と め 」
1)「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」 の 要 点 を ま と め る
○ねらい
・最後にこれまでの学習の要点を分かり易くまとめ、重要なことを意識してもらう
○設計内容
学 習 の ま と め と し て 、 ス テ ッ プ 2 :「 良 い 建 築 と 美 し い 風 景 」 及 び ス テ ッ プ 3「 美 し い 風 景 の
ポ イ ン ト 」の 要 点 を 1 枚 の ス ラ イ ド に 分 か り 易 く 箇 条 書 き で ま と め 、メ モ を 取 っ て も ら う 。メ モ
を取ってもらう際に、より分かり易いように言葉をプラスし、理解してもらう。
「建築と風景のデザイン」まとめ
・ 自 然 ×季 節 感 の あ る 風 景
・奥行きのある風景
・他にはない、自慢の風景を探す
・ルールのある風景
・どこから見たら快適で美しいか考える
・背景にも注意する(何を見せるか?)
・偽物は使っていけない
写 真 3.10:「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 」 の ま と め
149
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3.4.「 まち 歩 きと ガ リバ ー 地図 づ くり ワ ーク シ ョッ プ 2」の 設 計
3.4.1.ス テ ッ プ の ね ら い と 構 成 内 容
1) ス テ ッ プ の ね ら い
・
150
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2) ス テ ッ プ の 構 成 内 容
「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 2」は 、ね ら い に 対 応 し て 4 つ の ス テ ッ プ で
構 成 す る 。ス テ ッ プ の 構 成 と 主 な 内 容 を 、表 3.4 に 示 す 。ス テ ッ プ は 、
「 導 入 」−「 展 開 」−「 ま
とめ」という流れを持って構成する。各ステップの設計内容の詳細を次に示す。
表 3.4:「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 2」 ス テ ッ プ 表
構成
No.
ステップ
主な内容
時間
1.授 業 の 目 的 と 一 連 の 流 れ を パ ワ ー ポ イ ン ト で 説 明 す る
導入
1
オリエンテーション
2.第 1 回 WS と 同 じ グ ル ー プ に 分 か れ る
20 分
3.歩 く コ ー ス や 各 自 の 役 割 を 各 グ ル ー プ で 検 討 す る
1.テ ー マ に 沿 っ て ま ち 歩 き を 行 い 、 対 象 物 を イ ン ス タ ン
2
まち歩き
ト ・ カ メ ラ で 撮 影 す る ( 各 グ ル ー プ 20 枚 、 各 自 最 低
2 枚は撮影)
60 分
2.撮 影 し た 場 所 や 気 付 き を ま ち 歩 き マ ッ プ に 記 入 す る
1.ま ち 歩 き で 撮 影 し た 写 真 に 各 自 タ イ ト ル を つ け る
展開
2.ふ き だ し に 写 真 に 対 す る 気 付 き を 記 入 す る
3.ガ リ バ ー マ ッ プ 上 に あ る 撮 影 し た 場 所 に シ ー ル ( 良 →
緑、悪→赤)を貼り付ける
3
景観調査のまとめ
4.シ ー ル か ら 引 き 出 し 線 を 引 き 、 写 真 と ふ き だ し を バ ラ
ンスよく貼り付ける
60 分
5.項 目 ワ ー ク シ ー ト に 、 撮 影 し た 写 真 が 良 い と こ ろ 、 悪
い と こ ろ の 中 で 、 景 観 要 素 ( 建 物 、 道 、 塀 etc… ) ご
とに分類し、シールを貼り付ける
6.チ ー ム 名 と メ ン バ ー の 名 前 を 記 入 す る
1.完 成 し た ガ リ バ ー マ ッ プ を 囲 ん で 座 る
まとめ
4
発表
2.各 グ ル ー プ の リ ー ダ ー と サ ブ が ガ リ バ ー マ ッ プ の 上 に
乗って地区景観を紹介する
3.最 後 に ま と め と 講 評 を 行 い 、 学 習 の 終 了 と す る
151
40 分
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3.4.2.ス テ ッ プ 1「 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 」
「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 2」 の ス ケ ジ ュ ー ル や 作 業 の 内 容 を 、 パ ワ ー
ポイントを用いて児童に説明する。
※『 3.2.ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 1 → 3.2.2.ス テ ッ プ 1「 オ リ エ ン テ ー シ
ョ ン 」』 の 設 計 内 容 を 参 照 。
152
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3.4.3.ス テ ッ プ 2「 ま ち 歩 き 」
※ 下 記 の 「 ま ち 歩 き の テ ー マ 」 を 除 く 設 計 内 容 は 『 3.2.ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ
ョ ッ プ 1 → 3.2.3 ス テ ッ プ 3「 ま ち 歩 き 」』 を 参 照 。
1) ま ち 歩 き テ ー マ を 設 定 す る
○ねらい
・ ま ち 歩 き の テ ー マ 設 定 を 行 い 、身 近 な 空 間 、見 慣 れ た 風 景 を「 ま ち な み 景 観 」と い う 視 点 か ら
地区を調査し、景観資源の再発見・再認識してもらう
○設計内容
ま ち 歩 き で は 、 大 前 提 に あ る 「 景 観 」 を テ ー マ に し た 学 習 か ら 、「 景 観 」 の 視 点 に 絞 っ て 自 分
たちの調査対象地区のまち歩きを行う。
ま ち 歩 き の テ ー マ と し て は 、 ま ち 歩 き 調 査 を 行 う 際 に 特 徴 的 な 「 良 い と こ ろ 」、「 悪 い と こ ろ 」
を探すものとし、テーマを次の 2 点に設定する。
・まち歩きのテーマ
a.風 景 、 景 観 と し て 良 い と こ ろ 、 お も し ろ い と こ ろ
b.風 景 、 景 観 と し て 悪 い と こ ろ 、 問 題 の あ る と こ ろ
写 真 3.11: テ ー マ を 持 っ た ま ち 歩 き
153
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3.4.4.ス テ ッ プ 3「 景 観 調 査 の ま と め 」
※ 下 記 の 項 目 ワ ー ク シ ー ト を 除 く 設 計 内 容 は 『 3.2.ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ
プ 1 → 3.2.4 ス テ ッ プ 3「 調 査 の ま と め 」』 を 参 照 。
2) 項 目 ワ ー ク シ ー ト を 使 用 す る
○ねらい
・ ま ち 歩 き を 行 っ た 地 区 の 景 観 情 報 (「 良 い と こ ろ 」、「 悪 い と こ ろ 」) を 整 理 す る
・ガリバーマップの情報とリンクさせることで、地区の景観情報を読み取りやすくする
・ 撮 影 し た 写 真 を 景 観 項 目 別 に 分 類 す る こ と で 、自 分 た ち( 児 童 )の 地 区 の 良 い と こ ろ 、悪 い と
ころは何か、視覚的に捉えることができる
・ 項 目 ワ ー ク シ ー ト を 個 別 化 す る こ と で 、 地 区 の 景 観 と し て 「 良 い と こ ろ 」「 悪 い と こ ろ 」 を 景
観項目別に数的に理解を高める
○設計内容
まち歩きを行った地区の景観情報を整理するために、図の通り項目ワークシートを設計する。
項 目 ワ ー ク シ ー ト に は 、ガ リ バ ー マ ッ プ に 貼 り 付 け た シ ー ル と 同 じ も の を 項 目 分 け し 、貼 り 付 け
て完成させる。
図 3.8: 項 目 ワ ー ク シ ー ト
154
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―小学校景観出前授業の実践からー
3.4.5.ス テ ッ プ 4「 発 表 」
※ 『 3.2.ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 1 → 3.2.5.ス テ ッ プ 4「 発 表 」』 の 設 計
内容を参照。
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3.5.「 まち な み景 観 計画 づ くり ワ ーク シ ョッ プ 」の 設 計
3.5.1.ス テ ッ プ の ね ら い と 構 成 内 容
1) ス テ ッ プ の ね ら い
・景 観 学 習 を 経 て 、自 分 た ち の 理 想 と す る 景 観 の 姿 を 見 出 し 、そ れ を 実 現 す る た め の 具 体 的 な 景
観計画の作成を行う
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2) ス テ ッ プ の 構 成 内 容
「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」は 、学 習 の ね ら い に 対 応 し て 4 つ の ス テ ッ プ で 構
成 す る 。 ス テ ッ プ の 構 成 と 主 な 内 容 を 、 表 3.5 に 示 す 。 ス テ ッ プ は 、「 導 入 」 − 「 展 開 」 − 「 ま
とめ」という流れを持って構成する。各ステップの設計内容の詳細を次に示す。
表 3.5:「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 ス テ ッ プ 表
構成
No.
ステップ
主な内容
時間
1. 授 業 の 目 的 と 一 連 の 流 れ を パ ワ ー ポ イ ン ト で 説
明する
導入
1
オリエンテーション
2.景 観 計 画 の イ メ ー ジ を 養 う た め 、電 柱 の 地 中 化 や
20 分
ゴミの撤去などの事例をモンタージュで紹介す
る
1.1 枚 の 貼 り 絵 に 対 し て 2 人 1 組 で 作 業 を 行 う た
め、グループ内で組分けを行う(4 組程度)
2
貼り絵づくり
2.実 際 に 、素 材 で あ る 切 り 貼 り シ ー ト( 3 種 類 : 生
垣シート、樹木シート、花畑シート)を使って、
60 分
問題のあるところに貼り絵をし、風景を変えて
みる
展開
1.作 成 し た 貼 り 絵 シ ー ト に 基 づ き 、計 画 内 容( 変 更
点)をふきだしに記入する
2. が リ バ ー マ ッ プ に 貼 り 絵 シ ー ト と ふ き だ し を 併
3
景観計画の作成とまとめ
せて貼り付け、完成させる
60 分
3.貼 り 絵 で 行 っ た 内 容 も 含 め て 、グ ル ー プ 内 で 計 画
内容について議論し、ワークシートにまとめる
4.チ ー ム 名 と メ ン バ ー の 名 前 を 記 入 す る
1.完 成 し た ガ リ バ ー マ ッ プ を 囲 ん で 座 る
まとめ
4
発表
2. 各 グ ル ー プ の リ ー ダ ー が 景 観 計 画 内 容 を 発 表 す
る
3.最 後 に ま と め と 講 評 を 行 い 、 学 習 の 終 了 と す る
157
40 分
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3.5.2.ス テ ッ プ 1「 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 」
1) パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い て 説 明 す る
○ねらい
・口頭のみでの説明ではなく、児童に視聴効果を与えることができる
・スライドを利用した“紙芝居”的な要素により、児童の関心を高めることができる
・「 文 字 」 で は な く 、 イ ラ ス ト や 写 真 な ど の 「 ビ ジ ュ ア ル 」 を 多 く し 、“ 分 か り 易 く ” す る
○設計内容
「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」の ス ケ ジ ュ ー ル や 作 業 の 内 容 を 、パ ワ ー ポ イ ン ト
を用いて児童に説明する。
※『 3.2.ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 1 → 3.2.2.ス テ ッ プ 1「 オ リ エ ン テ ー シ
ョ ン 」』 の 設 計 内 容 を 参 照 。
写 真 3.12: パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い た オ リ エ ン テ ー シ ョ ン
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2) フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ を 用 い た 景 観 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ク イ ズ
○ねらい
・景観阻害要因を排除し改善した効果をアピールする
・電柱の地中化やゴミの撤去などの事例による景観の変化から景観計画の“イメージ”を養う
・も と に あ っ た 写 真 か ら 何 が 消 え た の か 、児 童 に 投 げ 掛 け て 関 心 を 引 き 、共 に 楽 し く 学 習 で き る
・「 ア ハ 体 験 」 的 な 遊 び 心 を 持 っ て 、 単 純 に “ 驚 く ” と い う 楽 し さ を 皆 で 共 有 し て も ら う
・クイズ形式で、答えを“探す・考える楽しさ”を与える(クイズという遊びの面白さ)
○設計内容
電 柱 の 地 中 化 、緑 化 、看 板 類 の 整 理 、海 岸 の 消 波 ブ ロ ッ ク 撤 去 な ど の 事 例 の 変 化 か ら 景 観 計 画
の イ メ ー ジ を 養 う た め に 、 フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ 【 (フ ラ ン ス )photomontage】 を 用 い る 。
児 童 に は フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ に よ る 景 観 の 変 化 か ら 、景 観 を 変 え る 、あ る い は 風 景 を つ く る こ
とができることを説明する。
フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ と は 現 況 の 写 真 を も と に 、完 成 時 の 景 観 を シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で き る シ ス テ
ムで、コンピュータ・グラフィックスより簡便な方法であるが、景観の検討には効果的である。
例 え ば 現 況 写 真 を ベ ー ス に 、コ ン ピ ュ ー タ 上 で 電 柱 や 電 線 の な い 状 況 を つ く り だ し 、そ の 効 果
を ア ピ ー ル す る 。さ ら に は 、屋 外 広 告 物 の 除 去 、既 存 建 物 の 色 彩 変 更 、ブ ロ ッ ク 塀 の 生 垣 化 な ど 、
景観阻害要因を排除し改善した効果をアピールする方法である。
写 真 3.13: フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ に よ る 景 観 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ク イ ズ
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Case 1
電柱・電線の地中化
現況
シミュレーション
写 真 3.14: フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ / 電 柱 ・ 電 線 の 地 中 化 1
現況
シミュレーション
写 真 3.15: フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ / 電 柱 ・ 電 線 の 地 中 化 2
Case 2
自転車の撤去
現況
シミュレーション
写 真 3.16: フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ / 自 転 車 の 撤 去
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3) 貼 り 絵 ボ ー ド を 使 用 す る
○ねらい
・口頭のみでの説明ではなく、児童に視聴効果を与えることができる
・ボードを利用した“紙芝居”的な要素により、児童の関心を高めることができる
・「 文 字 」 で は な く 、 イ ラ ス ト や 写 真 な ど の 「 ビ ジ ュ ア ル 」 で 、“ 分 か り 易 く ” す る
○設計内容
貼 り 絵 を 行 う に あ た り 、電 柱 の 地 中 化 、緑 化 、看 板 類 の 整 理 、海 岸 の 消 波 ブ ロ ッ ク 撤 去 な ど の
事 例 に よ る 景 観 の 変 化 か ら 、景 観 を 変 え る 、あ る い は 風 景 を つ く る こ と が 自 分 た ち で で き る こ と
を 説 明 す る 。景 観 の 変 化 を イ メ ー ジ ブ ル に す る た め 、図 を も と に「 貼 り 絵 ボ ー ド 」を 用 い て 解 説
する。
写 真 3.17:「 貼 り 絵 ボ ー ド 」 を 用 い た オ リ エ ン テ ー シ ョ ン
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3.5.3.ス テ ッ プ 2「 貼 り 絵 づ く り 」
1) 貼 り 絵 シ ー ト を 使 用 す る
○ねらい
・ま ち 歩 き で 行 っ た 景 観 調 査 か ら 、発 見 し た 景 観 上 問 題 の 多 い 写 真 を 貼 り 絵 の 土 台 と る す こ と で 、
まちなみ景観計画に具体性を持たせる
○設計内容
貼 り 絵 の ベ ー ス( 土 台 )は 、児 童 が ま ち 歩 き で 行 っ た 景 観 調 査 か ら 、発 見 し た 景 観 上 問 題 の 多
い 写 真 を 貼 り 絵 の 土 台 と し て 用 い る 。 貼 り 絵 台 紙 の 大 き さ は 、 A3 版 と す る 。
図 3.9: 貼 り 絵 シ ー ト
・ねらいに対応した貼り絵の視点例
図 3.10: 貼 り 絵 の 主 な 視 点 例
162
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2) 切 り 貼 り シ ー ト を 使 用 す る
○ねらい
・様々な素材を用いて、自分(児童)の手で風景を変える
・素 材 の バ リ エ ー シ ョ ン を 豊 富 化 し 、ど の 素 材 が 地 区 の 景 観 に 合 う か 、子 供 た ち に“ 考 え な が ら ”
作業を体験してもらう
○設計内容
ま ち な み 空 間 を 対 象 と し た 切 り 貼 り シ ー ト と し て 、「 生 垣 シ ー ト 」、「 樹 木 シ ー ト 」、「 花 畑 シ ー
ト 」、「 自 由 シ ー ト 」 を 用 意 す る 。
そ れ ぞ れ の シ ー ト は 、空 間 イ メ ー ジ の 遠 近 感 を 出 す た め に い く つ か の 大 き さ を 用 意 す る 。台 紙
の 大 き さ は 、 A3 版 と す る 。
a.生 垣 シ ー ト
ブロック塀や汚れた塀を変えられるように生垣シートを設計する。
図 3.11: 生 垣 シ ー ト
163
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b.樹 木 シ ー ト
電 柱 の 地 中 化 や ゴ ミ の 撤 去 な ど を 行 え る「 樹 木 シ ー ト 」を 設 計 す る 。児 童 が 考 え な が ら 作 業 が
行えるように、様々な大きさや種類のある樹木を素材として用意する。
図 3.12: 樹 木 シ ー ト
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c.花 畑 シ ー ト
農 地 や 空 き 地 、道 沿 い の 景 観 を 良 く す る た め に 季 節 の あ る 3 種 類 の 花 の 素 材 、① ヒ マ ワ リ 、②
コスモス、③ナノハナを設計する。
① ヒマワリ
図 3.13: 花 畑 シ ー ト ( ヒ マ ワ リ )
② コスモス
図 3.14: 花 畑 シ ー ト ( コ ス モ ス )
165
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③ ナノハナ
図 3.15: 花 畑 シ ー ト ( ナ ノ ハ ナ )
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3.5.4.ス テ ッ プ 3「 景 観 計 画 の 作 成 と ま と め 」
1) 景 観 計 画 ワ ー ク シ ー ト を 使 用 す る
・景観計画内容をシートにまとめる
・貼り絵で行った景観計画内容を景観要素ごとに分けて整理する
○設計内容
貼 り 絵 で 行 っ た 景 観 計 画 内 容 を ま と め る た め に 景 観 計 画 ワ ー ク シ ー ト を 設 計 す る 。具 体 的 に は 、
図 3.16 の 通 り 、 景 観 構 成 要 素 ご と に 項 目 分 け し た 記 入 欄 を 設 け る 。 児 童 に は 、 貼 り 絵 で 行 っ た
景観計画内容をまとめるだけにしてもらうことで、分かり易さを追求する。
図 3.16: 景 観 計 画 ワ ー ク シ ー ト
167
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3.5.5.ス テ ッ プ 4「 発 表 」
1) 発 表 の 形 式 を 作 る
・調査した内容を整理し、発表を行うことで全体の共有化を図る
・普段はあまりない人前での発表により、プレゼン力をつける
○設計内容
「 3.2.ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 1」 の 発 表 と 同 じ く 、 ワ ー ク シ ョ ッ プ の 最
後 に 、グ ル ー プ ご と に 作 成 し た 景 観 計 画 を 発 表 す る 。発 表 の 形 式 と し て 、図 3.17 の 通 り と す る 。
リ ー ダ ー は 、景 観 計 画 ワ ー ク シ ー ト に 中 心 に 発 表 す る 。サ ブ リ ー ダ ー は 、ガ リ バ ー マ ッ プ に 乗 っ
て、貼り絵シートを指し棒で指し、計画内容を紹介する。
図 3.17:「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 発 表 形 式
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3.6.「 まち な み景 観 発表 会 」の 設 計
3.6.1.ス テ ッ プ の ね ら い と 構 成 内 容
1) ス テ ッ プ の ね ら い
・児童の保護者や地区の住民に、児童の視点からみた地区のまちなみ景観を伝える
・児 童 の 保 護 者 や 地 区 の 住 民 に 向 け て 、児 童 が 取 り 組 み を 発 表 す る こ と で 、ま ち な み 景 観 の 啓 発
を図る
169
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2) ス テ ッ プ の 設 計
「 ま ち な み 景 観 発 表 会 」は 、ね ら い に 対 応 し て 3 つ の ス テ ッ プ で 構 成 す る 。ス テ ッ プ の 構 成 と
主 な 内 容 を 、 表 3.6 に 示 す 。 ス テ ッ プ は 、「 導 入 」 − 「 展 開 」 − 「 ま と め 」 と い う 流 れ を 持 っ て
構成する。各ステップの設計内容の詳細を次に示す。
表 3.6:「 ま ち な み 景 観 発 表 会 」 ス テ ッ プ 表
構成
No.
ステップ
主な内容
時間
1.景 観 ま ち づ く り 学 習 の 目 的 を 説 明 す る
導入
1
オリエンテーション
2. 児 童 の こ れ ま で の 取 り 組 み を ス ラ イ ド シ ョ ー で 紹 介
20 分
する
1.各 グ ル ー プ が ガ リ バ ー マ ッ プ を 囲 ん で 座 る
2.ま ず 、
「まち歩きとガリバー地図づくりワークショッ
プ 2」 に お け る 地 区 の 景 観 状 況 を リ ー ダ ー と サ ブ が
展開
2
発表
中心となって紹介する
3. 続 け て 「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」
60 分
で策定した景観計画内容を、同じくリーダーとサブ
が中心となって紹介する
※ 各 グ ル ー プ が 2→ 3 の 流 れ で 続 け て 発 表 を 行 う
1.児 童 の 取 り 組 み に 対 す る 講 評 を 行 う
2. 景 観 に つ い て 意 識 す る こ と 、 考 え る こ と の 重 要 性 や
まとめ
3
講評とまとめ
実際に行われている景観に関する取り組みについて
紹介する
3.ま と め を 行 い 、 発 表 会 の 終 了 と す る
170
20 分
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3.6.2.ス テ ッ プ 1「 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 」
1) ス ラ イ ド シ ョ ー で 児 童 の 取 り 組 み を 紹 介 す る
○ねらい
・児童の保護者に、児童が行ってきたこれまで取り組み知ってもらう
・児童の発表に向けた基礎を作る
○設計内容
児 童 の 発 表 の 前 に 、 保 護 者 に こ れ ま で の 取 り 組 み を 知 っ て も ら う た め 説 明 を 行 う 。「 ま ち 歩 き
と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 1」 → 「 建 築 と 風 景 の デ ザ イ ン 学 習 」 → 「 ま ち 歩 き と ガ リ
バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 2」 → 「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 と い う 流 れ で
学習の過程を紹介する。
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3.6.3.ス テ ッ プ 2「 発 表 」
1) 発 表 の 形 式 を 作 る
○ねらい
・こ れ ま で の 取 り 組 み の 成 果 を 児 童 の 保 護 者 や 地 区 の 人 、他 学 年 の 参 加 し て い な い 児 童 に 向 け て
発表することにより、まちなみ景観の啓発を図る
○設計内容
こ れ ま で の 取 り 組 み の 成 果 を 児 童 の 保 護 者 や 地 区 の 人 、参 加 し て い な い 児 童( 他 の 学 年 )に 向
け て 発 表 す る 。 ま ず 、「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 2」 に お け る 地 区 の 景 観
状 況 を リ ー ダ ー と サ ブ が 中 心 と な っ て 紹 介 す る 。続 け て「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ
プ」で策定した景観計画内容を、同じくリーダーとサブが中心となって紹介する。
各 グ ル ー プ が「 ま ち 歩 き と ま ち な み 景 観 調 査 ワ ー ク シ ョ ッ プ 」→「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ
ークショップ」の流れで続けて発表を行う。
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・「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 2」 発 表 形 式
図 3.18:「 ま ち 歩 き と ガ リ バ ー 地 図 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 2」 発 表 形 式 ( ま ち な み 景 観 発 表 会 )
・「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 発 表 形 式
図 3.19:「 ま ち な み 景 観 計 画 づ く り ワ ー ク シ ョ ッ プ 」 発 表 形 式 ( ま ち な み 景 観 発 表 会 )
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3.6.4.ス テ ッ プ 3「 ま と め 」
1) 実 際 に 行 わ れ て い る 取 り 組 み を 紹 介 す る
○ねらい
・児 童 の 取 り 組 み に 対 す る 講 評 を 行 い 、景 観 を 意 識 す る こ と の 重 要 性 を 児 童 や 児 童 の 保 護 者 、地
区の人に伝える
○設計内容
発 表 会の 最 後 に 、児童 の 取 り組 み の 講 評と ま と め を行 う 。実 際 に行 わ れ てい る 景 観 に 関
する取り組みや景観について意識すること、考えることの重要性について講義する。
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謝辞
本 修 士 設 計 を 進 め る に あ た っ て 、多 数 の 方 々 か ら 多 大 な 御 指 導 、御 厚 意 を 頂 き ま し た こ と 、大
変感謝しております。
指 導 教 官 で あ る 大 谷 英 人 教 授 に は 、知 識 の 乏 し い 私 に 対 し 、基 礎 か ら の 知 識 を 与 え て 頂 き ま し
た 。ま た 、ご 多 忙 中 で あ り な が ら 、副 指 導 教 官 で あ る 吉 田 晋 准 教 授 、重 山 陽 一 郎 准 教 授 に は 、伝
わりにくい私の説明に対し、親身に耳を傾けてくれ、ご教授下さりました。
指導していただいた方々には深く感謝いたします。
ま た 、小 学 校 景 観 出 前 授 業 の 実 践 に お い て は 、大 谷 英 人 教 授 を は じ め 、吉 田 晋 准 教 授 、重 山 陽
一 郎 准 教 授 、高 知 市 都 市 整 備 部 都 市 計 画 課 の 職 員 の 皆 様 方 、ま た 、大 谷 研 究 室 の 皆 様 に 大 変 お 世
話になりましたことを、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
これまで 3 年間、多くの子供たちと携わってきましたが、素直なところ、パワフルなところ、
挙 げ 出 し た ら 限 が な い か も し れ ま せ ん が 、自 由 に 発 想 を 拡 げ て い く チ カ ラ や 、新 し い こ と を 思 い
つ く チ カ ラ に は 大 変 驚 か さ れ ま し た 。そ ん な 子 供 た ち を 見 て 、実 施 者 と し て 用 意 し た「 枠 」に 囚
わ れ ず に 、自 分 達 で「 枠 」を 拡 げ て い く 自 由 な 発 想 力 に 、私 自 身 も 子 供 た ち か ら 学 ん だ こ と は 非
常に多かったと思います。
平 成 14 年 か ら 義 務 教 育 課 程 に 導 入 さ れ た 「 総 合 的 な 学 習 の 時 間 」 に よ り 、 体 験 学 習 は こ れ か
ら も 増 え る と 思 い ま す が 、そ の 中 で 創 意 工 夫 を 生 か し た 具 体 的 な 学 習 活 動 が 子 供 た ち の こ れ か ら
に 繋 が る と 考 え ま す 。こ れ ま で 、高 知 市 内 及 び 県 内 実 施 し て き た 小 学 校 景 観 出 前 授 業 が 、子 供 た
ち に と っ て 、大 き な キ ッ カ ケ と な れ ば と 思 い ま す 。小 学 校 景 観 出 前 授 業 は こ れ か ら も 続 く 予 定 で
す。今後も、楽しみにして見守りたいと思います。
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引用・参考文献
・ 三 船 康 道 +ま ち づ く り コ ラ ボ レ ー シ ョ ン ( 2002)「 ま ち づ く り キ ー ワ ー ド 事 典 」、 学 芸 出 版 社
・ 世 田 谷 ま ち づ く り セ ン タ ー ( 1993)「 参 加 の デ ザ イ ン 道 具 箱 」、 世 田 谷 ま ち づ く り セ ン タ ー
・ ヘ ン リ ー ・ サ ノ フ ( 1993)「 ま ち づ く り ゲ ー ム
環 境 デ ザ イ ン ワ ー ク シ ョ ッ プ 」、 晶 文 社
・ 子 供 と ま ち づ く り 研 究 会 ( 1996)「 こ ど も と ま ち づ く り
面 白 さ の 冒 険 」、 風 土 社
・ 社 団 法 人 日 本 建 築 学 会 ( 2005)「 景 観 法 と 景 観 ま ち づ く り 」、 学 芸 出 版 社
・ 景 観 ま ち づ く り 研 究 会 ( 2005)「 景 観 法 を 活 か す 」、 学 芸 出 版 社
・ 中 村 昌 広( 1989)
「 ま ち づ く り へ の 参 加 の 新 し い 局 面 と そ の 道 具 と し て の「 ガ リ バ ー 地 図 」」、
1989 年 度 第 24 回 日 本 都 市 計 画 学 会 学 術 研 究 論 文 集
・ 曲 田 清 維( 1993)
「 子 ど も の 景 観 認 識 に 関 す る 研 究 − 町 並 み に お け る 小 景 観 の 評 価 − 」、1993
年 度 第 28 回 日 本 都 市 計 画 学 会 学 術 研 究 論 文 集
・ 梶 島 邦 江 ・ 梅 澤 隆 ( 1996)「 こ ど も の ま ち づ く り 学 習 教 材 と し て の 「 ま ち の 謎 解 き ブ ッ ク 」
の 有 用 性 に 関 す る 研 究 」 1996 年 度 第 31 回 日 本 都 市 計 画 学 会 学 術 研 究 論 文 集
・ 大 谷 英 人 ( 2005)「 ま ち づ く り ノ ー ト 」、( 株 ) 若 竹 ま ち づ く り 研 究 所
・ 佐 藤 滋 ( 2005)「 ま ち づ く り デ ザ イ ン ・ ゲ ー ム 」、 学 芸 出 版 社
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