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R学会と管理科学協会共催の国祭会議 およびヨーロッパの交通事情
6 0 0 4 0巻 1 2号 ( 1 9 8 8.1 2 ) 生 産 研 究 UDC0 6 1. 3:6 5 60 2( 4) 調 査 報 告 ヨーロッパOR学会 と管理科学協会共催の国際会議 および ヨーロッパの交通事情 EUROI XTI MSXXⅥ1 日O i n tCo nf e r e nc ea ndTr a n s po r t a t i onSys t e mi nEur o pe 桑 原 雅 夫* Mas aoKUWAHARA 筆者 は三好研究助成金の援助 を得て,本年 7月 5日よ り 7月2 1日までの約 2週間 にわたって,国際会議 (ヨー ネ ックが 2つ連続 して存在 するような道路 を扱 っている 点が, 目新 しい研究である. ロッパOR学会 と管理科学協会共催 の国際会議)での発表 発表 された研究 はどれ も新鮮 なテーマが多 く, 自分 自 を兼 ねて, ヨーロッパ各国の交通事情 の視察 を行 った. 身の研究視野 を広 げる意味 において有意義であった こと その概要 を簡単 に紹介 したい. 1.ヨー ロッパOR学会 と管理科学協会共催 の国際会議 ( EUROI XTI MSm Jol ' ntConf er enc e) この国際会議 は,オペ レー ションズ リサーチ,管理工 or i al は吉 うまで もない.一般 の研究発表 に加 えて,Tut Se s s i onとい うセ ッシ ョンが設 け られ,いわゆるその分野 では名 の しれた研究者が その分野の研究の経緯,今後の 研究方向について講演 を行 った。交通 ネッ トワー ク分析 学,制御工学, コンピューターサイエ ンス等の非常 に幅 c haelFl or i an教 の大家で あるモ ン トリオール大学のMi 広 い分野 をカバー してお り,今 回が第 1回 日の国際会議 or i an教授 を始 めその 授の講演が特 に印象的であった.Fl であった.第 1回目 とい うことで,私 自身 この国際会議 他 にも論文では度々お目にかかっている各国の研究者, についての前 もっての知識 はあま り無か ったわ けである. s ki n,S.Daf e r mos 等 に実際 に会 って た とえば,M .Da ところが昨年の夏,アメ リカ合衆国 に留学 中にお世話 に 言葉 を二言三言交わ し,論文か らのイメージ と比較 した なった カ リフォルニ ア大 学バ ーク レー校 の Da ganz o教 りして楽 しむの も, こうした国際会議 な らではの経験で ckmann教授 よ り, この会議での研 授 とエール大学のBe あった. またバ ーク レー時代 の友 人 や他 の会議 で知 り 究発表の依頼の手紙 を受 け取 り,今 回出席 の運 び となっ 合 った研究者 との再会 も心 を和 ませて くれた. たわ けである. r t e Dau会 議 はパ リ地下 鉄 2号 線 の西側 終 着 駅 Po phi neにあるパ リ大学のDauphi ne 校舎 で行 われ,約4 0カ 2.西 ドイツ, スペ インの交通事情 国際会議の後,パ リ北駅か ら鉄道で 9時間ほ どかけて 西 ドイツの ミュンヘ ンを訪れた. フランス東部か らドイ 0 0 人余 りの研究者が参加 していた。開催 国の フラ 国か ら9 ツの西部 にかけての田園風景 は実 にの どかで美 しい もの ンスをはじめ西 ドイツ,イギ リス等の西欧諸 国 とアメ リ であった. ミュンヘ ン工科大学 で研究 中の藤 田氏 ( 清水 カ合衆国か らの参加者が圧倒 的 に多 く,アジアか らの参 建設)の案内で大学構 内,オ リンピック公園内の建築物 加者 は日本,台湾か らそれぞれ 3,4名程度で非常 に僅 等の市 内見学 を行 った. オ リンピック公園は市 内の北に かであった.会議 は類似 したテーマ ごとに2 9の平行 セ ッ 位置 した ミュンヘ ンオ リンピック ( 1 97 2 )の施設 を利用 シ ョンに分 けられてお り,交通関係 では分布交通量分析, した広々 とした市民公園である。 ネ ッ トワー ク分析,輸送計画問題,待 ち合 わせ理論等 に ドイツの高速道路 アウ トバ ー ンを一度走 ってみ ようと 関す るセ ッシ ョンが設 け られ,その他の分野 については BMW を借 りて, ミュンヘ ンか らロマ ンティック街道沿 線形 弓 巨 線形計画法,最適制御理論,在庫管理計画,荏 いにウルム, ローテンプル グまで走 った.高速道路の規 営計画,エキスパー トシステム等,広範 な分野 にわたっ 格 自体 は日本 とほ とん ど同 じであるが,原則 として最高 た会議であった. 速度制限がな くベ ンツ,BMW といった 日本 で は高級車 筆者 は前述のBe c kmann教授 を座長 とす る " 輸送計 画 が疾走 していた.私 も日本 で は1 2 0 km/ h程 度 の速度 で の近似連続 モデ リング ' とい うセ ッシ ョンにて,… 道路上 走 った経験 は何度かあったが,アウ トバーンでは追い越 の二連続 ボ トルネ ックにお ける均衡待 ち行列パ ター ン' ' 5 0 km/ h程 度 の た め1 2 0 し車線 を走 る速 度 が 最 低 で も1 と題 す る発表 を行 った。騒音 ,排気 ガス等の環境問題や km/ hの速度 で追 い越 し車線 に入 る と,あっ と言 う間に 旅行時間の浪費等の問題の原因であ るボ トルネ ックでの 後続車が接近 して恐 ろし くてだめである.私 も次第 に右 待 ち行列パ ター ンを求 めようとす る研究 は,1 9 8 0年代 当 側走行 に慣 れるにつれ速度 を上 げ,いつ しか追 い越 し車 初 よ り通勤交通 を対 象 に行われて きた.本研究 もそれ ら 8 0km/ hで突 っ走 っていた. なん とBMW の走行安 線 を1 一連 の研究 の流 れ に沿 った もので あ るが,特 にボ トル 定性 の良い ことか !高速道路での走 り方の 日本 との余 り * 東京大学生産技術研究所 第 5部 1 6 の違 い に呆 然 とす る と同時 に, ドイ ツで なぜベ ンツ, 4 0 巻1 2 号 ( 1 9 8 8 1 2 ) 生 産 研 究 バルセロナ市内の幹線道路 (グラシアス通 り) どこも均一料金性 で東京 と比 べ る と特 に出改札 での簡略 の車が生産 されているのか理解 で きた。 これ ら は決 して高級車ではな く,タ クシー のほ とん どがベ ンツ 化が計 られていた。そこには,あ ま り厳 しく出3●しをイ テっ であった事か らもわか るように広 く愛 されている車 なの て利用運賃 を とりたてて も,費 用 ばか りか さんで収入 は BMW等 である。 それほ ど増 えない とい う西洋的な合理性があるようだ。 ミュンヘ ンを後 に し,ス ベ イ ンのバル セロナ,グ ラナ ダ,マ ドリー ドを訪問 した。バル セロナでは,バ ルセロ JR,私 鉄,地 下鉄等の異 なった運営組織 が入 り交 じり広 い地域でサー ビス を提供 している東京 において,均 一料 ナ大学で教鞭 を とるF SabHa氏 金性 を導入 した り改札の省力化 を推進す る事 は多々 問題 と会 って最近 の話題 を 聞 いたが,ソ ウルの次のオ リンピック開催地であるとい い うものの,利 用F巨 が あると│ま 離 によって区分 された現 う ことで,オ リンピックに関わ る物資の輸送計画案づ く 行料金性 と多 くの人員配置が本当に合理的なシステムで りに忙 しい毎 日を送 って い るとの ことで あった。バル セ あるのか どうか疑 間 を抱 いているのは,私 だけではない ロナの南西 ,北 東 にそれぞれ位置す るモ ンジェイ ックや であろう。 ティビダボの丘 の上 では,す でに各種 スタジアムの建設 工事が開始 されていた。 西 ドイツ,ス ペ イ ンにおいて,わ が 国 と多少異 なる信 3 お わ り に 交通 とは離れ て印象的だった事 は,ヨ ー ロ ッパ の美術 館 の充実ぶ りである。世界的に有名 なルー ブル,プ ラ ド 号制御 が行われているのに気付 いた。 た とえば,わ が国 美術館 は もちろん,小 さな都市 にで も (特に ミュンヘ ン では黄現示 は青現示の後 のみに現れ るが,西 ドイツでは 赤現示 の後 に も黄現示が用 い られている。信号待 をして 近郊 で)か な り立派 な美術館が建 て られていた。芸術 の 伝統のある ヨー ロ ッパ で は,き っ と音楽 について も同様 い る車 は,黄 色が出 ることによって もうす ぐ信号が青 に の事が言 えるのであろうが,残 念 なが ら私の滞在期間 に 変わ ることがわか るため,発 進遅れが小 さ くな り,交 差 点容量 が多少改善 され るのであろう。 また,全 赤時間の 音楽祭 な どの催 しには接す ることが出来 なかった。ただ, バル セロナ 旧市街地 の路地裏で聞 こえて きたアルベ ニ ス 設定の方法 もわが国 と異な ってお り, ドイツにおける こ や グラナ ドスの ギ ター 曲 は,ギ ター を趣 味 とす る者 に の ような信号制御 方法の安全性 と交差点容量 に関す る吟 とって この上 ない楽 しみであった。 今 回の ヨー ロ ッパ 訪 間 の直 前 までバ ンコク,シ ンガ ポール に約 2月 滞在 していた私 は,今 年 いろいろな国々 味 は興味深 い点 である。 一 方バル セロナでは,お そ らく歩行者 の多 い交差点 で あろうか,信 号 が青 の時 に右左折 しようとす る車が交差 の交通事情,生 活状況 に接す る機会 に恵 まれた。非常 に 方向の道路 の横断歩道の手前 まで進 んだ後,交 差方向の 大 まか に言 えば,バ ンコクの東京 にも勝 る渋滞現象,シ ンガポールや ミュンヘ ンのか な り整然 とした車 の流れ, 信号 が青 になるまで待 たなければな らない とい う規制 の 交差点 がかな りあった。歩行者の安全性 を考 えた方法で あろうが,右 左折車が多 い と直進車 をブ ロ ックして しま その中間 くらいの道路混雑 を見せ るパ リや,ス ペ イ ン各 うことにな り,交 差側 の道路の横断歩道 の取 り付 け位置 地の さまざまな交通状況等 に接す ることがで きたわ けで ある。 ここに述 べ た事 は,ヨ ー ロ ッパ に何度か足 を運 ん を右左折交通量 に従 って決 めることが重要であろう。 だ ことのある人 であれば,す ぐに気付 くことばか りであ 今 回私 が訪間 した都市 のほ とん どは,地 下鉄路線網 の 整備 されて い る都市 であった。パ リ, ミ ュンヘ ン,バ ル なかった私 に とっては初 めての体験であ り,今 後 の研究 セロナ,マ ドリー ド各地 とも,都 市 の広が りの程度の違 の大 きな刺激 となった。最後 に,こ の機会 を与 えて下 さつ いはあるが,中 心部 で は東京 と同程度 の密度 で地下鉄駅 た三好財団,東 京大学生産技術研究奨励会 に厚 くお礼 申 が配置 されてお り, 日中の運行 間隔 もおおむね同程度で し上 げて,幸艮告 を終わ ることとす る。 あった。各地の地下鉄の システムは非常 に類似 してお り, ろうが,こ れ まで 日本 とアメ リカ合衆 国 しか見た ことの (三好研究助成報告書 1988年 8月 10日受理)