Comments
Description
Transcript
PDF(318KB)
高知県 43系統の基幹業務システムを メインフレームからHP BladeSystemに移行、 先進の 「共通基盤システム」 を構築。 高知県が2000(平成12) 年度から取り組んできた基幹業務システムの再構築が、ついに完了し た。メインフレームで稼働していた120系統に及ぶシステムを段階的にオープン化。最終フェー ズでは、HP BladeSystemを中核プラットフォームとする 「共通基盤システム」 へ、43に及ぶ主要 な業務システムを一気に移行した。オープンテクノロジーの全面採用により基幹システムをダ 高知県 イメージキャラクター ウンサイジングするとともに、統合された先進的なITインフラストラクチャを実現している。 くろしおくん HP BladeSystemによる 目的 メインフレーム・リプレース ● 平成12年から取り組むメインフレームのダウンサイジング ● ベンダーロックインの回避と調達の適正化 ● 情報化計画 「こうち情報化戦略2008」 の推進 できない。その一方で、高知県はITにおける取り組みにおいても全 ● システム維持運用コストの計画的な削減 国地方自治体の中で特に注目される存在だ。理由の一端を、高知 温暖な気候と豊富な水産資源、日本最後の清流といわれる四万 十川ーー高知県を語る上でその豊かな自然環境を欠かすことは 県政策企画部 情報政策課 課長 伊藤博明氏は次のように語る。 高知県政策企画部 情報政策課 課長 伊藤 博明 氏 アプローチ 「私たちは、 『高知県方式』 と呼ばれる 『メインフレームからオー ● 業務ロジックを変更することなくシステムを刷新 プンシステムへの移行方法』 に関する特許を取得しています。こ ● 既存アプリケーションを書き換える必要のない 「高知県方 れは、オープン化にあたって新たにアプリケーションを開発しな 式」 による移行 い、つまり既存のアプリケーションをそのままオープンシステム ● 複数システムが共用する機能を 「共通基盤」 に集約 ● 業界標準のオープンテクノロジーを全面採用 へ移行するために独自に開発された手法です」 高知県では、メインフレームで稼働させていた120に及ぶ業務 システムの効果 ● 基幹業務システムをメインフレームからHP BladeSystem に移行 高知県政策企画部 情報政策課 主任 山 「ダウンサイジング」 「共通基盤システム構築」 によるITイ ● 稔氏 ● ● システムの段階的なダウンサイジングを進めてきた。2000(平 成12) 年からスタートしたプロジェクトでは、第1段階として財務・ 給与システムをUNIXサーバへ移行し、2台あったメインフレーム を1台に削減している。この際、長年にわたる改善が反映されて きた 「業務ロジック (=アプリケーション) 」 をそのまま移行するため に、独立系インテグレータである株式会社 高知電子計算センター ンフラのスリム化 (KCC) と共同開発したのが 「高知県方式」 だ。 業界標準テクノロジーによるベンダーロックインのないシ 「メインフレームからオープンシステムへ、ストレートコンバー ステムの実現 ジョンを実現したことで当初10億円と見込まれていたコストを データセンターの占有スペースを大幅に削減 2.6億円に抑え、メインフレームを1台撤去したことで年間の運 用コストも約2億円削減することができました。しかも、業務ロ ビジネスへの効果 高知県政策企画部 情報政策課 ジックをそのまま継承したため、システムを利用する職員に負 担をかけることもほとんどありませんでした」 (伊藤課長) ● 導入コスト、システム維持管理コストの大幅な削減 ● ランニングコスト削減による新規システム投資のリカバリ ● 職員の業務手順に影響を及ぼさないスムーズなシステム 語る。 「ひとつはIT調達の適正化、もうひとつはより一層のダウン 移行 サイジングです。今後5年間にわたって、ITに関わるコストをさら システム調達の公正化と運用コストの適正化 に削減していく方針を打ち出したのです」 主任 吉本 幸弘 氏 ● この成功を受けて、2004(平成16) 年にプロジェクトの第2段階 がスタートするのだが、新たな課題も生まれていた。伊藤課長は ITの調達価格を適正化するには、競争原理を働かせるのが原則 だ。オープンな業界標準テクノロジーを全面的に採用すれば、最 も優れた提案を適正な価格で採用することができ、メインフレー ムのように特定のベンダーに固定されることもなくなる。 伊藤課長は続ける。 「2台目のメインフレームを 『高知県方式』 で ダウンサイジングすることで、工期短縮を含めて開発費は大きく 削減できる見込みがありました。さらに、オープンなテクノロジー を採用してシステムの共通機能を全体最適の観点から統合すれ ば、導入後の運用も容易で、システム機能の追加や変更等にも柔 軟かつ安価に対応できると考え、これを入札要件として盛り込み ① メインフレームを廃止してオープンシステムに完全に移行す るとともに、運用保守にかかるコストも削減する ② サーバシステムをHP BladeSystemで共通基盤化し、複数の ました」 プロポーザル方式による競合の結果、ITパートナーとして指名さ れたのはKCC社。KCC社の提案には、メインフレームに代わる サーバプラットフォームとしてHP BladeSystemが選定されていた。 システムで重複している認証などの機能を統合する ③ 基幹系クライアント/サーバシステムをWebアプリケーショ ン化し、職員の個々の端末で使える環境とする 「共通基盤システムは、HP BladeSystemによって統合されたサー バ環境を構築し、その上にデータベース、アプリケーション、Web 「共通基盤システム」 を支える の3階層で構成する複数の基幹システムを稼働させています。シ 中核プラットフォーム ステムごとに実装され重複していたユーザ認証や大量印刷、バッ ダウンサイジング第2段階の最大のポイントは、全体最適の観点 からシステムインフラを全面的に見直し、 「共通基盤システム」 を 中心に再構築することにあった。その要件を整理すると次のよう になる。 クアップといった機能は、共通基盤機能として共用できるように しました。たとえば、認証機能ではシングルサインオンを実現し ています。職員の認証とアクセス認可を総合人事システムから抽 出したデータに基づいて一元的に行えるようになりましたので、 HP BladeSystemによりハードウェア基盤を統合 〈共通基盤システム〉 基幹業務アプリケーション ×43系統(旧メインフレーム) データベース(クラスタ) 認証サーバ アプリケーション ミドルウェア統合基盤 運用管理サーバ 帳票サーバ 外部連携サーバ バックアップ・サーバ ハードウェア統合基盤 HP BladeSystem Web、アプリケーション、 データベースで構成される 3階層システムを HP BladeSystemによる同一の ハードウェア基盤上に統合 管理上のメリットも大きいと思います」 (高知県政策企画部 情報 「県庁ネットワーク」 に採用された 政策課 主任 山 稔氏) 〈第3世代ブレード〉 共通基盤システムのプランは 「次期システム最適化計画」 として 2004(平成16) 年にまとめられ、2006年2月からKCC社とともに 実施に移された。第2段階でメインフレームから移行する対象 は、当初およそ70システムが想定されていたが、業務の見直し によって43まで絞り込まれた。 「KCCから提案を受けたHP BladeSystemには、計画段階から、省ス ペース化、障害リスクの低減と復旧の迅速化、容易な拡張性など への効果を想定していました。導入され運用段階に入ってからの 効果は、期待通りと言ってよいと思います」 (山 氏) HP BladeSystemには、サーバシステムの導入から稼働監視・運 用管理までライフサイクル全般をサポートする「HP ProLiant Essentialsソフトウェア」 が幅広く用意されており、これらのソフト ウェア群がシステムの導入・運用に大きな威力を発揮する。障害 発生を事前に検知しシステム停止前に対処が可能な 「HP Systems Insight Manager(SIM) 」 、サーバの遠隔地からのリモート操作を 可能にする 「Integrated Lights-Out(iLO) 」 といった定評ある管理ソフ トウェアが標準装備されていることもHP BladeSystemの特徴だ。 庁内の基幹業務を支えるシステムゆえに、その障害による業務 の停滞は許されないが、HP BladeSystemはメインフレームとは 異なるアプローチで高信頼性・高可用性への要求に応えている。 データベースサーバのクラスタ化がひとつ。もうひとつは、常に サーバシステムを監視し、障害発生の予兆を検知してプロアクティ ブに対処する方法だ。ハードウェア障害が発生した際に、予備の サーバブレードにシステム構成をすばやくコピーして物理的に入 れ替える。サーバブレードを抜き差しするだけでシステムを容易 に変更できるブレードの特徴を活かした、極めて現実的な管理ア プローチと言えよう。 「オープンな業界標準テクノロジーを全面的に採用したことでイ ニシャルコストは抑えられ、 『高知県方式』 によって移行作業の手 間もコストも大幅に低減されました。運用保守にかかるコストも 3∼4割削減されるため、新たなシステムへの投資は2年以内に 回収できる目途が立っています」 (伊藤課長) メインフレームが撤去された2007年6月、データセンターのサー バ占有スペースは大幅に削減されたという。 基幹業務を支える 「共通基盤システム」 に加え、 「県庁ネットワー ク」 には 〈第3世代ブレード〉 HP BladeSystem c-Classが採用され ている。県庁ネットワークは、イントラネットをはじめ、メールシ ステム、ファイル共有システムなどで構成されるいわゆる情報系 のシステムだ。採用の経緯を、高知県政策企画部 情報政策課 主 任 吉本幸弘氏は次のように語る。 「県庁ネットワークのシステムは、50台を超えるオープン系サー バで構成されていました。年度ごと目的ごとに増強されてきまし たので、ハードウェアやOSの種類・バージョンもバラバラ。それら が、2007(平成19) 年度から順次更新を迎えることになっていま した。ただ新しいサーバに入れ替えるのではなく、全体最適の観 点からサーバを統合していく、という方針のもとHP BladeSystem c-Classを採用しました。今後5年間にわたって40台以上のサーバ をブレードに入れ替えていく計画です」 2007年度は、まずインテル® Xeon® プロセッサーを搭載した 「HP ProLiant BL460c」サーバブレードを13台導入し、既存のサーバ をリプレース。さらに、c7000エンクロージャ (高さ10U:約44cm) に収容できるストレージブレード 「HP StorageWorks SB40c」 を3台 導入した。SB40cはコンパクトな筺体ながら2.5インチSASディス クドライブを6本搭載可能で、最大876GBのディスク容量を手軽 に増設できるユニークな製品だ。HP BladeSystem c-Classは、こ の計16ブレードを1つのエンクロージャへ高密度に集約した。 「HP BladeSystemに最初に注目したのは 『サーバ仮想化』 への取 組みの先進性でした。いずれ本システムでも仮想サーバ環境を 構築して、複数のサーバを集約するとともに、リソース配分を最 適化することでシステム全体のコストを削減していきたいと考え ています」 (吉本氏) 吉本氏は、冒頭で紹介した 「高知県方式」 によるダウンサイジン グ手法を、他の自治体へ提案するエバンジェリスト (伝道師) でも ある。 「 『高知県方式』 の採用が全国の自治体で進めば、高知県の IT産業は大きな発展が期待できます。全国で活躍する有力企業 の育成と、県内の雇用拡大にぜひつなげたい」 と吉本氏は展望 を語る。すでに 「高知県方式」 は福岡県で採用され、コスト削減・ 工期短縮の面で大きな効果をあげているという。本システムの 構築では、高知県におよそ2,500万円の著作権使用料をもたら した。 使用ハードウェア 「高知県と同様、メインフレームから脱却してオープン化を進め ● HP BladeSystem c-Class たいという自治体はたくさんあります。しかし、効率的・効果的に ● HP BladeSystem c7000 エンクロージャ それを進めていくノウハウがないというのが共通した課題です。 ● HP ProLiant BL460c 私たちは、この 『高知県方式』 によるダウンサイジングを積極的に HP StorageWorks SB40c 提案しつつ、財務・給与などのアプリケーション、ブレードによる ● 使用ソフトウェア 統合されたサーバ環境とともにパッケージ化していくことを考え ています」 (吉本氏) ● HP ProLiant Essentialsソフトウェア ● メインフレームに代わるオープンなプラットフォー HP Systems Insight Manager(SIM) 高知県において、 ● Integrated Lights-Out(iLO) ムとして採用されたHP BladeSystem。その優れたコスト削減効 果、基幹業務を安心して託すことのできる信頼性、柔軟な拡張性 は実証済みだ。HP BladeSystemは、今後さらに自治体システム のオープン化を推し進めていくポテンシャルを秘めている。 概要 高知県 所在地/高知市丸ノ内1丁目2番20号 県知事/尾 正直 職員数/3,762人 (一般行政部門・平成19年度) shttp://www.pref.kochi.jp/ お問い合わせはカスタマー・インフォメーションセンターへ 03-6416-6520 月∼金 9:00∼19:00 土 10:00∼17:00(日、祝祭日、年末年始および5/1を除く) HP BladeSystemに関する情報は http://www.hp.com/jp/bladesystem 記載されている会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。 記載事項は2008年2月現在のものです。 本カタログに記載されている内容は、予告なく変更されることがあります。 © Copyright 2008 Hewlett-Packard Development Company,L.P. 本カタログは、環境に配慮した用紙と 植物性大豆油インキを使用しています。 日本ヒューレット・パッカード株式会社 〒102-0076 東京都千代田区五番町7番地 CPB08212-01