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Page 1 Page 2 文学部論幾 第48号 地域科学篇 37〜46 1995 中央
熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System Title 中央アメリカにおける新しい観光の動向 Author(s) 池田, 光穂 Citation 文学部論叢, 48(地域科学篇): 37-46 Issue date 1995-02-28 Type Departmental Bulletin Paper URL http://hdl.handle.net/2298/12709 Right 文学部論叢 第48号 地域科学篇 37−46 1995 中央アメリカにおける新しい観光の動向 An Emerging Trend of Tourism in Central America. 池 田 光 穂 Mitsuho IKEDA 近年、中央アメリカ地域は国際観光の拠点として注目を浴びているm。その 理由は以下の3点にまとめることができる。 第1点は、政治的状況の変化である。コスタリカの隣国ニカラグアでは、内 戦で勝利し12年間政権についていたサンディテスタ政権が1990年2月の大統領 選挙で敗北し親米派の政権が就いた。92年1月にはメキシコシティで中央アメ リカのエルサルバドルの共和国政府とゲリラ組織ファラブソド・マルチ民族解 放披線が停牧合意した。冷披構造の終結後の政治的再編は、この地域への観光 開発に関心をもつ投資家への長大の追い具になっている。 中央アメリカおよぴカリブ海地域における政治的安定は、イデオPギーとは 無縁の多くの観光客にとって、この地域への魅力を増大させた。観光大国メキ シコには、低予算のバックパッカーから超豪華な海浜リゾークーまで様々な客 あしらいのタイプり観光がそろっているが、前世紀末から始まるこの国への旅 行はすでにポピュラーになりすぎた感がある。他方、南アメリカはコロンビア の麻薬紛争、ペルーの政治的不安定などで、この数年間の国際観光客は激減し ている。その意味で、ヨーロッパおよび南北両大陸アメリカの観光客たちに とって、安全な中央アメリカは魅力ある旋先の候補として急速に浮上したα〉。 弟2点は、客をもてなす例の中央アメリカの人びとにとっての観光開発の魅 力の向上である。バナナ、コーヒー、砂糖きび、綿花など、この地域の伝統的 な輸出農作物の国際市場価格は長期的に伸び悩んでおり、将来にわたって飛躍 一37−