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[特集] 高精度測位社会の到来(PDF/1068KB)
高精度な地理空間情報が社会基盤として整備されることにより、 さまざまな領域において次世代ソリューション開発が活発化することが予想される。 各分野で進み始めた位置情報の利活用や測位環境整備の現状を追った。 ◆ ◆ 観光行動の調査・分析 観光客向けナビゲーション アプリの開発 など 準天頂衛星、 GPS、 BLE…etc. 測位通信技術 観光分野 ● 測位手段 介護・福祉分野 ● ◆ ◆ 高齢者や子供の見守りサービス 障がい者を対象としたナビゲー ションシステムの開発 など アプリケーション・サービス 地理情報システム…etc. 位置情報データベース・API デジタル地図 屋外地図、 屋内地図、 3次元地図…etc. 高精度な測位環境の 整備と活用例 今、デジタル地図と位置情報に関する先端技術の研究が世 界中で活発化している。理由の一つは、次世代技術として実 次元の 現が期待されている自動運転技術の開発に、詳細なデジタル 地図の整備や高精度な測位技術が不可欠だからだ。 ︶ 、ダイムラーなど 年、 ノ 業 TomTom 社 と 提 携 し た。 こ れ に Google を加えた つの陣 営が、高精度な地図データや位置情報の研究開発にしのぎを ボッシュは、カーナビゲーションシステム大手のオランダ企 キ ア の 子 会 社 で デ ジ タ ル 地 図 サ ー ビ ス 大 手 の HERE 社を共 同 で 買 収 し た。 一 方、 ド イ ツ の 自 動 車 機 器 メ ー カ ー で あ る ドイツの自動車メーカーによる企業連合は、 争奪戦が行われている。アウディ、 世 界 を 見 渡 せ ば、 自 動 運 転 技 術 の 開 発 に 取 り 組 む さ ま ざ ま な 企 業 に よ っ て、 地 図 デ ー タ や 測 位 技 術 を 有 す る 企 業 の いった自動走行が可能となる。 せ る こ と に よ っ て、 減 速 し な が ら カ ー ブ を 安 全 に 曲 が る と ラで収集した速度や信号機、道路状況などの情報を組み合わ による高精度な位置情報と、車両に搭載したレーダーやカメ 地図データに、準天頂衛星や全地球測位システム︵ Î * - 2 0 1 5 B M W 精度な 次元地理空間情報の整備を進めている。 社や、地図情報会社のゼンリンが、自動運転を支援する高 図コンテンツを開発するパイオニア子会社のインクリメント 削っている。日本でも、カーナビゲーション用のデジタル地 3 を書き加えてもらうことで、より地域の実情に合った防災対 マップなどのデジタル地図データを公開し、地域住民に情報 働 に よ っ て も 進 め ら れ て い る。 千 葉 県 流 山 市 は、 ハ ザ ー ド を利用したソリューションの開発は、市民や民間企業との協 れていることもあり、防災に関わるデジタル地図と位置情報 体が所有するさまざまな情報がオープンデータとして開示さ する、減災に向けた取り組みが進められている。近年、自治 全なルートをカーナビやスマートフォンアプリを通じて提供 たとえば、避難勧告やハザードマップ、災害情報など多種 多様な情報を組み合わせて、現在位置から避難場所までの安 特に利活用を期待されているのが、防災や観光分野だ。 デジタル地図と位置情報は、自動運転だけでなく、さまざ まな分野のイノベーションを促進すると考えられる。中でも 3 P 取材・文/編集部 写真/栗原 剛 2 策に活かそうとしている︵P4 5 参照︶ 。 │ 観 光 分 野 で は、 観 光 客 の 位 置 情 報 を 収 集・ 分 析 し、 観 光 ルートの開発や出店計画など、マーケティング戦略に活用す 年から に る動きがある。観光庁では、観光客のニーズを把握して魅力 ある観光地を形成していくために、 Ó ä £ Î * - ベンチャーのナイトレイは、 よる位置情報を活用した観光行動の調査・分析手法の構築に 取り組んでいる ︵P6 参照︶ 。 独 自 の 技 術 に よ り、 投 稿 か ら 訪 日 外 国人の国籍や移 / - 7 参照︶ 。 │ 一方、技術面の進化が期待されるのは、 次元計測技術と 屋内測位技術だ。 次元デジタル地図が整備されれば、実際 のさまざまな情報を提供している︵P6 動・行動内容を解析して人気のエリアや施設、クチコミなど - Î 衛星と同等の電波や無線 を利用した 年 の実証実験を 年に実施。 年にも同様の実験 Ó ä £ È ︶ 、 今後さまざまな領域において新ソリューション開発の基盤 になると考えられる、デジタル地図と位置情報の動向と今後 / 年から情報通信研究機構︵ Ó ä £ { 東京大学、日立製作所と開発・実証を進めている。 の構築を目指し、 ワンストップで検索・閲覧できる﹁ 空間プラットフォーム﹂ を促そうと、公開されている地理空間情報を一元的に集約し 後は課題となるだろう。総務省では、新しいビジネスの創出 こうした活発な研究開発によってさまざまな領域で集積さ れる地理空間情報を、さらに幅広く利活用していくことも今 が実施される予定だ。 Ó ä £ x を呼びかけて、屋内外シームレスなナビゲーションサービス 術を活用したサービスを生み出すために、民間事業者に協力 が整備された社会の実現を見据えて、世界に先駆けて測位技 フォンなど情報機器の普及・高度化により高精度の測位環境 │ 9 参照︶ 。また、国土交通省は、スマート 月から期間限定で出口案内アプリの実証実験 る。東京地下鉄株式会社は、表参道駅・日本橋駅において、 測位などさまざまな技術が開発され、実証実験が行われてい ついては、 か、都市計画や防災にも役立てることができる。屋内測位に の街と同じような立体的な画像での道案内が可能になるほ Î * 12 を行っている ︵P8 Ó ä £ x の課題を紹介する。 N av i s 0 2 9 – F e b 2 0 1 6 3 高精度測位社会の到来 特集 交通分野 ● ◆ 高精度地図データと位置情報を 利用した自動運転技術 など 防災分野 ● ◆ 適切な避難ルートを示す アプリケーションの開発 ◆ 詳細な防災マップの作成 など