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乳幼児の事故防止

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乳幼児の事故防止
『 乳幼児の事故防止 』
Q.今日は乳幼児の事故防止というテーマでお話を伺います。
子どもがベランダから転落したり、プールや海でおぼれたりと、時々痛ましいこどもの
事故のニュースを聞きますが、子どもの事故は多いものなのでしょうか。
A.はい、
「不慮の事故」による子どもの死亡は、0 歳を除く子どもの死亡順位の上位にあ
ります。残念ながら、長年にわたりこの傾向は変わっていないのです。
平成 25 年では、不慮の事故で亡くなった 0 歳から 9 歳までの子どもは全国で 304
人でした。
その内訳としては、0 歳では、不慮の窒息が最も多く 8 割強、1 歳から 4 歳までは交通
事故、不慮の窒息、不慮の溺死・溺水がそれぞれ 3 割、5 歳から 9 歳までは交通事故が
5 割、不慮の溺死・溺水が 3 割弱を占めています。
Q.不慮の事故といっても、年齢によって死亡原因が違っているのですね。
A.そうですね。子どもの事故は、子どもの成長発達と大きな関連があるんです。
また、ひとつの死亡事故の背後には、死亡にはいたらないものの長期の入院や通院を必
要とした例や家庭で手当をした例なども数多くあると言われています。
小さな子どもさんを育てていらっしゃる方は、ヒヤッとした思いを経験したことがある
方も多いのではないでしょうか。
子どもの事故防止には、幸い大事には至らなかったけど、ヒヤッ、ドキッとした小さ
な事故から対応を学んでいくことが大切です。
Q.年齢によってどんな事故が起こりやすいのでしょうか。
A.例えば、生後 5 か月を過ぎると子どもは見たものに何でも手を出すようになり、熱い
ものに触るなどしてやけどが多くなります。同時に何でも口にも入れるので誤飲事故も
多くなります。
6 か月を過ぎると寝返りがうてるようになり、子どもを 1 人で高いところに寝かせて
おくとそこからの転落事故が増えます。
7 か月頃からお座り、ハイハイ、つかまり立ち、一人歩きと、どんどんいろんなことが
できるようになりますが、やっとできるようになったばかりの頃は、バランスを崩して
すぐに転んでしまいますよね。この頃は転んだ拍子に周囲の硬いものなどにぶつけてし
まう打撲事故が増えるのです。
1 歳を過ぎるとさらに行動範囲は広がりますし、好奇心、探究心も強くなります。でも
危険なことが十分わからないので、水の事故や、道路への飛び出しなどの交通事故が増
えるのです。
Q.小さいお子さんの場合、自分では危険なことが分からないわけですから、親御さんは事
故にならないように十分注意していると思うのですが、それでも事故が起こってしまう
のはなぜなのでしょうか。
A.はい、お母さん、お父さん、ご家族のみんながそれぞれ、けがをしないよう、気を配り、
目を配って、子育てをされていらっしゃると思いますが、先ほども申し上げたとおり、
子どもの事故は、子どもの成長発達と大きな関連があるんですね。
昨日までできなかったことが今日できるようになっているかもしれない、もう十分危険
がわかっていると思って安心していたら事故にあってしまった、ということがあり得る
のです。
今までできなかったことができるようになることは子育ての大きな喜びですが、今ま
でと違った事故のリスクが発生することになり、まさに「目が離せない」ですよね。
近くに大人がたくさんいても、誰かが見てくれているはずだったのに誰も見ていなかっ
た時に、ちょっと目を離した隙に、事故は起こるかもしれないのです。
Q.そうですね。では、事故防止としてどんなことに気をつけていけばいいでしょうか。
A.はい、まず赤ちゃんの頃ですが、赤ちゃんの事故の大半は、お母さん、お父さんの目が
届く屋内で起こっています。この時期は不慮の窒息による死亡が一番多いです。ねんね
の頃は布団による窒息、吐いたミルクによる窒息などがあります。ふかふかの布団は避
け、ミルクを飲ませたあとはゲップをさせ、寝かせたあとも 10 分から 15 分くらいは気
をつけてみているようにしましょう。
赤ちゃんは何でも口に入れてなめて感触を確かめますが、はいはい時代の赤ちゃんは床
の落とし物を見つける名人ですし、つかまり立ちができるようになれば、テーブルの上
のたばこにも手が届いてしまいます。赤ちゃんの手の届くところにあるものはすべてな
めるもの、口に入れるもの、誤って飲み込むものと思って、片付けるようにしましょう。
子どもの誤飲事故は生後 8 ヶ月から急増するので、注意が必要です。誤飲するものとし
ては、たばこ、硬貨、薬品、石けん、おもちゃなどが多いですが、飲み込んだものによ
って対処が違いますので、注意が必要です。
たばこを間違って飲み込んだ場合は慌てて水を飲ませるのは厳禁です。口の中から掻き
出し急いで病院に行きましょう。子どもの手が届くところにたばこを絶対に置かないよ
うにしましょう。
ボタン電池を誤って飲み込んだ場合、消化管に穴が開く恐れがあるので、大至急病院を
受診しましょう。
Q.なるほど。1 歳過ぎの子どもではどうでしょうか。
A.はい、実は事故に合う年齢は 1 歳児が一番多いんです。一人歩きができるようになり、
家の中でも外でも行動範囲がぐんと広がります。好奇心も強いので、お母さんの使って
いる包丁を触ろうとしたり、電気ポットの湯気をつかもうと思ってやけどをしたり、き
らきら光る川の水をかまおうとして転落したりといった事故が起こります。
この時期も昆虫ゼリー、ジェル状洗剤を口にしたりといった誤飲事故は多いので注意
が必要です。口に箸や歯ブラシをくわえたまま転んでけがをする事故もおこりますので、
歩きながら、遊びながら、ものを口に入れないようにしましょう。
日本では外国に比べて、子どもの溺死、特に家の中での水の事故が多く発生していま
す。子どもは体格の割に頭が重いので、浴漕をのぞき込んで落ちて溺れてしまうことが
あります。また、深さ数センチの水位でもおぼれることがありますので、残し湯はしな
いようにし、風呂場に鍵をかけるなどひとりで入れないようにしましょう。
Q.では、次に3歳から小学校入学前までの時期はどんなことに注意が必要なのでしょう
か。
A.はい。3歳からは行動がますます活発になり活動範囲も広がり、親の手を離れて遊ぶ
ことも多くなってきます。
交通事故に遭うリスクも増えますので、交通事故防止のためには、横断歩道の渡り方な
ど交通ルールを教えることが大切です。また、自転車は身体に合ったものを選び、交通
量の多いところでは乗せないようにしましょう。また、児童や幼児が自転車に乗る場合、
ヘルメットの着用を習慣化したいものです。
話せば理解できるようになってきますから、危険な場所やものは何なのかということ、
身を守る方法について、十分時間をかけて教えてあげてほしいと思います。
Q.なるほど、お子さんの年代や行動範囲に合わせて、理解できるようによく話してあげ
る必要がありますね。
他に起こりやすい事故は何がありますか。
A.はい。子どもは食べ物を詰まらせやすいので、こんにゃくゼリー、餅などは注意して
与えていらっしゃると思います。子どもが詰まらせやすい食べ物としては、あめ、肉、
骨、野菜や果物、ミルク、種、ナッツ類などがあります。パンやごはん類もほおばって
大きな塊になってしまうと詰まる恐れがあります。
また、好奇心から鼻や耳に節分の豆や BB 弾などの異物を詰めてしまうこともありま
す。無理にとろうとするとかえって奥に押し込んでしまうことがありますので、耳鼻科
でとってもらうようにしましょう。
また、ベランダからの転落も要注意です。ベランダの棚の高さは110㎝以上で、足
をかけられるような構造でないか点検してみてください。そばにエアコンの室外機など
踏み台になるものがないかも注意しましょう。
新潟県は車社会、子どもを車に乗せておでかけすることは日常ですが、新潟県は6歳
未満全体のチャイルドシート使用率は 52.5%で、 全国 37 位です。1歳児未満の使用
率は 81.6%ですが、5歳児の使用率は 31.7%と低調です。車の事故は重大事故につな
がる恐れが大きいので、近くまでであってもチャイルドシートを使用する習慣をつけま
しょう。
また、車庫入れ車庫出しの際に、子どもを巻き込んでしまう事故を防ぐためにも、子
どもを乗せてから車を動かす、車を止めてから子どもを下ろすようにしましょう。
Q.毎年夏になると水の事故も心配ですが…。
A.はい。大人がいない時に川や池などには行かないように教えるとともに、子どもがよ
く行ったり、関心を持ちそうな場所を子どもの目線でチェックしておき、危険と思われ
る場所や遊び方については、お子さんによく言って聞かせることが大切です。
子どもの事故はご家族の配慮だけでは防ぎきれないものもあり、危ないところに柵を
設置したり、安全に配慮した遊具にするなど、環境面の改善は欠かせないのです。地域
で危険な場所について気がついた方は、率先して改善に向けて動いていただくことも大
変重要です。
Q.子どもの事故防止についてお話をお伺いしました。
これから子どもたちにとっては楽しい夏休みもあり、自然に親しむ機会も増えてきます。
大切な子ども達が不幸な事故に逢わないよう、親ごさんはもとより地域でも見守ってい
きたいものです。
今日はどうもありがとうございました。
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