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消費者における食肉の「おいしさ」とは[PDF:497KB]

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消費者における食肉の「おいしさ」とは[PDF:497KB]
平成 23 年度問題別研究会
「消費者ニーズに応えるおいしい高付加価値化国産食肉生産」
3)消費者における食肉の「おいしさ」とは
日本女子大学家政学部食物学科 飯田文子
1、はじめにー若年層の調査からみた肉類の消費傾向
1980 年代の飽食の時代を経て、90 年代に若者の食のみだれが、指摘されはじめた。そ
れまでの 1 汁 3 菜の食形式にとらわれず、夕食に 1 品もののみ、さらには、麺のみ、イン
スタントフードのみ、等の食生活の変容が報告(変わる家族・変わる食卓 岩村暢子 2003
年出版他)されはじめたのである。著者も 1994 から 2004 年の約 10 年間、大学生および
日本女子大学通信教育の学生、食肉に関する全国規模の調査などを行ってきたので、その
一例からみえる現代の中年層を中心とした消費者層の意識調査、また、実態調査にあたる
官能評価から消費者の求めるものを特に肉類に焦点をあてて考察してみたい。
はじめにどのような料理が好まれるか、都内 24 大学 508 名の調査(1997 年)を行った
結果を示した。現在 14 年が経過しているので、当時 18 歳から 22 歳であった大学生は、
今は 32 歳から 36 歳である。そこで、当時の大学生の意識を振り返ってみたい。表1に、
大学生に予備調査を行い抽出された良く食べる料理・好きな料理名を示す。調査では、こ
の中から、良く食べる料理と好きな料理を選んでもらった。
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男女とも、万人に好まれ、良く食べる料理は「カレーライス」、男子学生の好きな料
理は「ステーキ・ハンバーグ」
、良く食べる料理は「ラーメン・チャーハン・ピラフ」で
あった。女子学生の好きな料理は「グラタン・ドリア」
、良く食べる料理は「サンドイ
ッチ・スパゲチィ・サラダ」であった。男子学生は「豚肉・牛肉」などの肉類を好む
が、女子は「鶏肉・豚肉」が少し入った程度のもので、男女とも良く食べるものは、
炭水化物中心の料理と考えられた。以上より、肉類の消費は、肉そのものは、御馳走
感のある、特別な日の料理で、通常は少量の肉を料理に混ぜて消費するのが主流であ
ろうと考えられた。
さらにその中で主菜となる、牛肉・豚肉・鶏肉・魚肉の割合を 10 となるように答え
てもらうと以下のようになった。
1 年生はやや鶏肉好き、次いで魚、豚肉、牛肉の順であった。学生時代は、給食やお
弁当に用いられやすい、鶏肉に親しみがあるものと推察された。上級生になると鶏肉と
牛肉が並び好まれ、次いで、豚肉、魚となり食経験が豊かになり、牛肉嗜好が増加した
ものと推察された。
また、1999 年平均年齢 35 歳女性に対するアンケートで牛肉・豚肉・鶏肉の食べる比
率を調査すると以下のようになり、豚肉・鶏肉・牛肉の順であった。これは、家庭で食
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べられる頻度を代表していると考えられた。
2、牛肉のイメージと脂肪交雑に関する価値意識
次に男女 302 名による調査を行った。属性は以下のとおりである。
牛肉についてのイメージを調査すると、高級という言葉が最も高い割合で出現する。
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牛肉が大好きな人は 24%、好きな人が 51%、普通以下が 25%で、牛肉は大多数の人に
好まれる食材であることがわかる。大好きな人が高い項目は、牛肉は「ご馳走」
「栄養源で
ある」
「牛肉は安心して食べられる食材」
「奥深い味わいがある」など、牛肉好きが伺える
が、普通以下の人が高い項目は、
「高くても安全な牛肉買いたい」
「安くても調理法でおい
しい」
「高い牛肉なら他の肉を買う 」であり、牛肉好きとは異なった考え方をしていた。
アンケートによる牛肉の霜降りに対するイメージは、牛肉好きの人は霜降り好きで、
「霜
降りはおいしい」
「霜降りは高級」
「食感がすき」
「味が好き」
「香りがすき」
「うま味が好き」
「くどくない」
「安い霜降りがあればもっと食べたい」。
それに対し、普通以下の人は「沢山たべられない」
「肥満が心配」
「霜降りの少ない牛肉
が食べたい」
「おいしい赤身が食べたい」であった。
そこで、次に全国規模の 2000 名の調査を行った。霜降り好きは男女では男性、そして
年齢の高い層で好まれることがわかった。赤身好きはまったく逆の結果であった。
(7が大いにそう思う、1がまったく思わない。
)
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黒毛和種去勢牛 38 頭による官能評価の「総合評価」でも、好まれる脂肪含量には最適
な量があることがわかった。
3、豚肉の脂肪交雑と官能評価結果
豚肉の脂肪交雑と食味の関係では、脂肪交雑 No.2 以下、N0.3、N0.4 以上で、「きめ
の粗さ」以外で、官能評価値が高値であった。豚肉においては、食感が大切であり、脂肪
が入っている肉ほどやわらかく、高く評価されたと考えられた。
4、鶏肉の官能評価
鶏肉の官能評価においても、食感は大切であり、それ以外のマイナス因子(鶏くささ)
のないものが好まれた。以下に官能評価・主成分分析・重回帰分析結果を示す。
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5、今後の展望
現在の日本において、肉は従来日本人の伝統文化である魚と同等に好まれ、良く食され
ている。中でも牛肉・豚肉・鶏肉はそれぞれ同等に好まれていた。 牛肉は高級なイメージ
で、日常というより、特別な日に食される傾向にあり、そのイメージは霜降り和牛からき
ているが、多すぎる脂肪交雑は必ずしもそれが消費者ニーズに合致しているとは言い難い。
消費者は、赤身嗜好も 4 分の 1 ほどおり、適度な脂肪含量のうま味の強い牛肉が求めら
れている。 若年層ほどこの傾向が強いことから、今後ますますこの傾向は強くなっていく
と考えられる。
豚肉は、日常良く食べるものとして最もポピュラーであり、市場に出ている肉はほとん
どが食味は良かったが、脂肪交雑の入ったやわらかい肉は今後求められていくと推察され
た。鶏肉と豚肉、脂肪の少ない牛肉は、食感が大切と考えられ、マイナス因子(肉くささ
など)のないことも消費者ニーズに応えるおいしい高付加価値化食肉生産としては、重要
であろうと考える。
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