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異文化を学ぶこと エリ・ユリ 皆さん、こんにちは。私はインドネシアのエリ
異文化を学ぶこと エリ・ユリ 皆さん、こんにちは。私はインドネシアのエリ・ユリと申します。去年の 10 月から、日 本語や日本文化を勉強するため、一年間の予定で岡山大学に留学しています。 来日して 4 ヶ月経った今年の 2 月、2 ヵ月半の春休みがやってきました。こんな長い休み はインドネシアではありません。休みをどう過ごそうか迷っていたところ、和江さんとい う日本人の友達が遊びに来ました。いろいろな話をしているうちに、二人で旅行すること になりました。 2 月 5 日から 20 日まで、北海道、東京、京都などを旅行しました。北海道では、ちょう ど札幌の雪祭りの最中で、生まれて初めて見た雪の彫刻に興奮しました。東京では、人の 歩き方の早さに驚きました。また、皆がきちんと一列に並んで電車に乗ることに感心しま した。京都では、金閣寺、清水寺、そして二条城の建築と庭園の美しさに心打たれました。 2 週間の旅行をホテルに泊まりながら続けることは、大変高くつきます。そこで私が今まで に知り合った日本人の友達の家に泊めてもらうことにしました。 ある日、食事の時、 「エリさん。どうでしたか、日本料理、好きですか。」と友達のお母さ んに聞かれました。「はい、好きです。」と答えました。「あら、じゃあ、どうして全部食べ なかったんですか。味が口に合わないですか。」と、また聞かれました。「いえ、いえ。あ のー、ご飯、わざと残したんですけど・・・。 」と私は答えました。それを聞いた家族の人 たちはびっくりして「え、どうしてですか。」と全員そろって私に尋ねました。「インドネ シアでは、誰かの家でご馳走されたら、全部食べるのはガツガツしていることを表すので、 少し残します。だから、どんなに好きでも、どんなにお腹が空いていても、全部は食べま せん。」と私は説明しました。和江さんは、 「ああ、そうですか、でも全部食べなかったら、 もったいないでしょう。作ってくれた人に対しても失礼だから、日本では、飲み物も全部 飲んで、食べ物もきれいに食べますよ。」と教えてくれました。その事を聞いて、私はびっ くりして、すぐお母さんに「お母さん、全部食べなくてごめんなさい。」と謝りました。 インドネシアでは、食べているとき音を出すのは失礼なことですから、私は食事中何も話 さず、うどんをいただくとき「スースー」と音を出さないように気をつけました。また、 私の国では口を直接お皿や茶碗につけるのは行儀が悪いと言われているので、味噌汁をい ただくとき、テーブルに置いてあったスプーンで少しずつ飲みました。その様子を見てい た家族の人たちが、「日本では、食事は、楽しくするものだと考えられています。食事をし ながらいろいろな話しもします。また、そばは『ズルズル(ズーズー)』と音を立てて食べ るのよ。味噌汁やうどんのスープなどは、茶碗から直接飲むんです。 」と、いろいろな習慣 の違いを教えてくれました。 それから、ある夜の 9 時頃のことでした。家族の皆がお風呂に入る前に「エリさん、先に 入ってください。」と言われました。私は、「すみません。夜は入らないので、明日の朝 5 時に入ってもいいですか。」と尋ねました。 「ええ、5 時ですか。私たちは、まだ寝ている時 間なのに、どうしてそんなに早く起きるの。」と聞かれました。私は、「お祈りしなければ ならないから、朝早く起きないといけないんです。小さい頃、両親に、夜シャワーを浴び ると、体の骨に悪い影響を与えるのでやめなさい、と言われました。インドネシアでは、 みんな朝シャワーを浴びて、そのあとでお祈りをする習慣になっています。」と答えました。 このように、日本とインドネシアとは、文化や習慣の違いがたくさんあります。母国では、 日本文化を少しは勉強しましたが、他国の文化や習慣は自分が体験しないと分かりません。 私は日本に住んで、日本の文化や習慣に触れる度に、ますます日本という国が魅力的に思 えました。けれども文化の違いは、時として摩擦の原因にもなります。人を傷つけてしま うこともあります。 今、スピーチに参加している皆さんも、日本の文化と自分の文化の違いをいろいろ感じて いらっしゃることでしょう。また、会場にいらっしゃる皆さんも、そのような体験がおあ りのことと思います。けれども違いを感じた時、自分の国の文化は素晴らしく、他の国の 文化は劣っていると考えるのは間違いではないでしょうか。文化に優劣はありません。文 化はそれぞれの国、固有の豊かさがあるのです。ですから、お互い異なる文化を非難し合 うのではなく、異なる文化を理解することにより、自分の国の文化はもっと豊かになると 思うのです。 21 世紀は、地球がますます狭くなる時代です。皆さん、お互いに異文化を楽しく学び、 自分の国も、自分の人生も、より豊かなものにしていきましょう。 ご清聴ありがとうございました。