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ビーンズ・フォーラム 2010
第1部
講演 1
テーマ:
「豆」は日本人の不老長寿食
~今日は「豆の力と文化」を見直す日です~
食文化史研究家
西武文理大学客員教授
綜合長寿食研究所所長
永山久夫 氏
1932 年、福島県生まれ。食文化史研究家。
食文化研究所、綜合長寿食研究所所長。西武文理大学客員教授。
古代から明治時代までの食事復元研究の第一人者。
長寿食や健脳食の研究者でもあり、長寿村の食生活を長年にわたり調査している。
著書に「永山豆腐店 - 豆腐をどーぞ」
(一二三書房)
「
、頭イキイキ血液サラサラの食事術」
(講談社+α新書)
「
、和
食の起源」
、
「日本人は何を食べてきたのか」
(青春出版社)
、
「万葉びとの長寿食」
(講談社)
、
「健康食なっとう」
、
「健康食みそ」
(農山漁村文化協会)
、
「和食のすすめ」
、
「ひとり鍋のすすめ」
(春秋社)
、
「日本古代食事典」
(東
洋書林)
、
「100 歳食入門」
、
「みそ和食」
、
「100 歳食 レシピ編」
(家の光協会)など多数がある。現在、夕刊フ
ジにて「昔々の健康食」連載中。
新聞の連載、テレビ、ラジオにレギュラー出演も多く、講演では古代食や長寿食、情報化時代の頭脳食など
のテーマで理解しやすく、しかも愉快な語り口で笑いが絶えない。
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ビーンズ・フォーラム 2010
連載したのですが、長寿村で元気で長生きしてい
る方たちは朝起きるのが早いのです。早起きして
何をするかというと、家の周りの畑で大根、ニン
ジン、ネギなど普段食べる野菜を、年中栽培して
います。畑の手入れをしていると、だんだん太陽
が上ってきます。そうすると、一生懸命これを拝
みます。何で拝むのか理由を色々と調べてもあま
り分からないのですが、明治の初めには日本民族
の 80%はお百姓さんで、農業にとって一番大事な
のは太陽です。今年も凶作や冷害がないようにと
拝むのですが、実は脳の中には幸せホルモン「セ
ロトニン」があって、朝日を浴びることによって
セロトニンが増えます。
皆さん、こんにちは。今日は豆のお話をいたし
ます。
日本の昔話は、大抵は「昔むかし、あるところ
におじいさんとおばあさんがいました。
」で始まり
ます。昔は、おじいさんもおばあさんも「あると
ころ」にしか住んでいなかった。しかし、昔のお
じいさん、おばあさんは自立していたのだと思い
ます。例えば、
「桃太郎」のおじいさん、おばあさ
んだと川の近く、あるいは山のふもととか、あま
り人けがないようなところで生活しています。こ
れは、健康に自信があるからです。どうしたら、
そんなに自立して長生きを楽しめるのか、考えて
みたいと思います。
幸せホルモン「セロトニン」
■日本人はもっと健康について考えるべき
皆さんは病院や薬にお金を払い過ぎています。
私たちが税金として納める金額は 1 年に約 40 兆
円です。そのうちの 35 兆円を病院や薬に使ってし
まう。ざっと平均して1人当たり 27 万 6 千円です。
高齢化すればするほど、この額は増えていきます。
ですから、病気になったら仕方ないとは思います
が、その前に自分で昔のおじいさん、おばあさん
のように健康管理をして欲しい。食物やライフス
タイルを良くするとか、もっと健康について考え
て欲しいのです。そうすると、日本はもっと形の
違った健康国家になると思います。
■セロトニンは朝日を浴びると増える!
私はずっと長寿村の食生活を研究しており、あ
る新聞に「長寿の食卓」というタイトルで6年間
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■セロトニンは時代の変化を乗り切る力のもと
今は、デフレが続くなど先行きの見通しが立た
ない非常に暗い時代ですが、環境に負けてしまう
ともっと暗くなってしまう。時代の変化を乗り切
る力のもとはセロトニンだと思います。
「早起きは
三文の徳」というのは、実はセロトニンを自分の
中に作りなさいという意味だと思います。セロト
ニンの出る方は、いつもニコニコしています。セ
ロトニンはハピネスホルモンとも言われ「幸せホ
ルモン」と訳されています。ですから、まずセロ
トニンの出る人間になって欲しい。今の日本人に
は、それが少な過ぎると思います。物事を必要以
上にマイナス思考、あるいは悲観的にとらえてし
まう。それでは、朝日を浴びること以外で、どう
したらセロトニンを増やすことができるのか、豆
を通して考えてみたいと思います。
まめぢからとセロトニン
■「まめぢから」とは
昔は、豆を食べることを「まめぢから」を頂戴
すると言いました。
「まめぢから」は、豆の力と書
きます。私は東北の福島県生まれですが、特に東
北地方ではしょっちゅう冷害や凶作があり、まず
命の力、命の基本、命の土台をしっかり自分で作
らないと生き残れない時代がずっと続いてきまし
た。このため。例えば、小豆の場合、昔は毎月1
日と 15 日に食べる習慣がありました。定期的に、
あるいは毎日何らかの豆を食べてその成分を摂る
ことにより、食べた人の健康だけではなく、心の
豊かさ、あるいは幸せを育てていたのではないで
講演1:「豆」は日本人の不老長寿食
しょうか。
明治の初めに、イギリスの女性旅行家のイザベ
ラ・バードという人が日本に来て、各地を歩いて
色々な記録を残しています。その記録を見ると、
「この国の人たちは決して豊かではないが、どこに
行っても小ざっぱりしていて人に優しい。いつも
ニコニコしている。この国の人たちは何でこんな
に幸せなのだろう。
」というようなことを書いてい
ます。これは、多分、過剰に欲望を持たず、今現
在で満足する精神的な強さを持っていたことに加
え、
「まめぢから」を活かして、セロトニンが増え
るような食生活をしていたためと考えられます。
■セロトニンのもとになる
必須アミノ酸トリプトファン
セロトニンは幸せホルモンですから、それが出
る方はいつもニコニコしている。ニコニコしてい
るから人に好かれます。人に好かれると情報が集
まってきます。それと同時に免疫力を強くする。
だから病気になり難い。なっても早く治ってしま
う。それがセロトニンの力です。
一方、暗くなると、今度は夕日。朝日を浴びる
とセロトニンが増えるのですが、暗くなるとセロ
トニンはメラトニンに変わります。メラトニンは、
睡眠を促進する効果があるのですが、
「若返りホ
ルモン」として老化防止の効果もあるとされ、ア
メリカではサプリメントとして売られ、日本では
医者が薬として処方しています。しかし、薬やサ
プリメントとして摂る必要は全然ないと思います。
実は、食物からアミノ酸であるトリプトファン
を摂ると、体内ではそれをもとにセロトニンが作
られるのです。昼間にセロトニンを作って、暗く
なるとメラトニンになります。メラトニンは自分
で作る睡眠薬みたいなものですから、ぐっすり眠
れるわけです。幸せな人はよく眠れ、不幸せな人
は眠れない。だからますます不幸せになって、自
分を追い込んでしまう。皆さん、眠れていますか、
大丈夫ですか、不幸せではありませんか。もっと
笑ったらどんなものでしょうか。
トリプトファンは、必須アミノ酸のうちの1つ
です。皆さんの身体のたんぱく質は 20 種類のアミ
ノ酸でできていますが、そのうちの 9 種類を必須
アミノ酸と言います。これらは体の中では作れな
いので、食物を通して摂らないといけない。日本
人はこんなに長生きしているのに、多分、これが
うまく摂れていない。だから医者にかかる、病院
に払うお金が少しも減らない。毎年 1 兆円ずつ増
えて、とうとう 35 兆円になってしまった。ですか
ら、そんなにお金を払わないで、長いこの人生を
楽しんで欲しいと思います。世界中の人達が日本
人に注目していると思います。あんなに老人ばか
りになって、これからどういう年のとり方をして
いくのだろう、どういう国作りをしていくのだろ
う、どういう社会を作っていくのだろうと関心を
持っているはずです。どこの国もこれから高齢化
に向かっていきます。老人国家になっていきます。
私たち日本人は、その先頭に立っています。です
から、手本になれるような、そういう年のとり方
をして欲しい。そうすると、とりあえず明るくなっ
て欲しい。イザベラ・バードさんが、日本人は何
て素晴らしい民族だろうと称賛したような、そう
いう素朴で明るい人間にもう一回なって欲しい。
そうなるためには、セロトニンがなかったら難し
いと思います。
■トリプトファンを多く含む豆のたんぱく質
トリプトファンは必須アミノ酸ですから、毎日
の食事から摂らなくてはならない。一体何に含ま
れているのかというと、あらゆる食物の中で最も
多いのは鰹節ですが、大豆、小豆、いんげんまめ
等どの豆にも平均してトリプトファンがたくさん
含まれています。文部科学省科学技術・学術審議
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ビーンズ・フォーラム 2010
会が公表している「五訂増補食品標準成分表」と
いう資料があります。赤い表紙の本で、普通の本
屋でも売っています。この中に「アミノ酸組成表」
という項目があり、それを見ると、豆にはトリプ
トファンが多いことが分かります。ですから、
「ま
めぢから」を利用して欲しい。昔は鰹節の出汁で
豆をしょっぱく煮て、
「さいまめ」と呼んでいまし
た。
「さい」というのは、おかずという意味の「菜」
です。つまり、おかずの豆ということで、そうやっ
てトリプトファンの多いものを食べていた。この
ように、まず豆料理を食べる。特にこれは大事だ
と思います。
■カレーライスに入れて欲しい豆
最近、
「クールジャパン」という言葉が、先進国
を中心に使われています。
「格好いい日本」とい
う意味です。これには、日本独特のファッション、
アニメ、漫画等が含まれているのですが、日本料
理、寿司等も入っています。最近では、日本発の
カレーライスがクールジャパンの中に入りました。
私はニューヨークによく行くのですが、アメリカ
人で、ハンバーガー等のアメリカンスタイルの軽
食やファーストフードからカレーライスに切りか
える方が増えています。しかも、日本式に作られ
たカレーライスを食べてしまうと、その味のとり
こになってしまう、リピーターになってしまう。
これには実は秘密があります。鰹節と昆布による
出汁の文化は日本独特のものですが、日本ではこ
の出汁で材料を煮込んでからカレーパウダーやカ
レールーを入れるため、非常に深みのある味が出
てきます。これが、現在、世界的に人気の高い日
本のカレーライスです。
ミンで、抗酸化力が非常に強い。そのため、老化
を防ぐのに役立つ。そこに豆も入れて欲しいので
す。もともとカレーはインドを出発してイギリス
に行き、そこから明治の初めに日本に入ってきて、
今や日本人の国民食と言っても良いくらい皆さん
食べておられる。もともとインドのカレーには色々
な豆が入っていましたが、多分、イギリス流に変
化していく歴史の途中で抜けてしまった。でも、
今後は意識して食べて欲しい。もし自分の家で作
るのでしたら、出汁を使って材料を煮てから、カ
レールーあるいはカレーパウダーを入れ、さらに
3 種類の豆を入れて欲しい。色や大きさの違う色々
な豆がありますが、豆の色はほとんどの場合アン
トシアニンで、抗酸化成分です。さらに、どの豆
も共通してたんぱく質の含有量が多い。つまり、
アミノ酸が多いということになるのですが、その
アミノ酸の中でもセロトニンのもとになるトリプ
トファンが多い。ですから、今度カレーを作ると
きには、豆を入れてみてください。味が違います。
コクが出てきます。そして、セロトニンによって、
「何でこんなに明るくなってしまったのだろう」
、
「どこでも笑っているのはどうしてだろう」という
くらい、いつもニコニコするはずです。そういう
常に明るいキャラクターを自分で作って欲しいの
です。それが多分、皆さんの基本的な免疫力にな
るはずです。
また、笑うことによって、ナチュラルキラー細
胞も増えます。NK細胞とも言いますが、免疫力
を高める細胞です。現在、日本人は 3 人の 1 人が
癌で死亡し、2 人に 1 人に癌細胞があります。私
も多分、癌細胞を持っているはずです。しかし、
癌という病気にはならない。それは、私たちは免
疫力を持っているからです。しかし、ストレスや
偏食などいい加減な食生活をしていると、その免
疫力が低下してしまう。免疫力を強くする1つの
手段として笑いがあります。
「笑う門には福来たる」
と言いますが、多分、
「福」というのは免疫力を
強くする何かだと思います。福の神かもしれない。
そういう食べ方をして、とにかく明るい日本人に
なって欲しいのです。
■豆には成長ホルモンのもととなる
アルギニンも豊富
カレーは、もっと研究した方が良いと思います。
カレー粉の黄色というのは 30%から 40%はターメ
リック、つまりウコンです。その主成分はクルク
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それともう1つは、成長ホルモンを強くして欲
しい。成長ホルモンというと子供が成長するとき
に利用する物質のようにとられますが、そうじゃ
ない。生きている限り成長ホルモンは大事です。
講演1:「豆」は日本人の不老長寿食
ところが、年をとればとるほど成長ホルモンの量
は少なくなってしまいます。ですから、私たちは
年をとるのに比例して、成長ホルモンを増やす成
分を摂る必要がある。それはアルギニンというア
ミノ酸です。これは子供にとっては必須アミノ酸
ですが、大人にとっては必須アミノ酸ではありま
せん。これも「アミノ酸組成表」を見てもらえば
分かるのですが、豆類に多く含まれています。
「まめぢから」で
元気で魅力のある年のとり方を!
■再認識すべき「食」の大切さ
「まめぢから」とは昔の人はうまく言ったなと思
うのですが、その「力」というのは、生命力、病
気にならない免疫力、あるいは自然治癒力のよう
な病気を治してしまう力のことを意味しています。
基本的に、私たちは食物を摂ることによって、そ
のような力を強くしてきた民族で、それが世界で
一番うまかったのだと思う。その結果として、
現在、
日本人は世界で一番長生きしている。
ところが、残念ながら男性が駄目になりつつあ
ります。ついこの間まで、ジャパン・アズ・ナンバー
ワンの長寿だったのが、
今では世界で 5 番目になっ
てしまった。しかし、女性は今でもナンバーワン
です。平均寿命は男女を平均すると 83 歳ですが、
女性は 86 歳、男性は 79 歳です。平均的にいうと、
女性は旦那さんが死んでから7年間は1人で生き
なくてはらない。だから、女性は旦那さんが死ん
でから 2 年くらいたったら再婚すべきです。2 年
ぐらいしたら再婚相手の男性がまた死んでしまう
可能性がある。そしたら、再々婚すべきです。そ
の男も死んでしまうかもしれない。そしたら、ま
た再婚すれば良いのです。そのためには、皆さん
健康で魅力がなかったら、絶対に男は振り向かな
いと思うし、男だって同じだと思う。これからは、
そういう年のとり方をする時代です。
そのためには、
「食」しかない。
「食」が頭の機
能を作ると同時に心も作ります。だって、生きて
いるから心がある訳ですから。生きているという
ことは、何かを食べているという意味です。そう
いう意味で、これから最初にお話した昔話のおじ
いさん、おばあさんのように自立性の高い生活を
送るためには、明日からではもう遅いと思う。今
日から豆を食べて欲しい。毎日食べる必要はない
が、豆を食べる習慣をつけて欲しい。そうすると、
トリプトファンが摂れます、アルギニンが摂れま
す。どちらも元気で魅力のある年のとり方をする
上で大変役に立ちます。
豆は煮るのがちょっと大変ですが、命の糧と思
えばそんな時間くらい何でもない。優先順位で考
えたら、やはり食事にかける時間は、一番優先さ
せるべきだと思います。そういうことを考えて、
これから食生活をすれば、人生楽しくなっていく。
■日本人の若さの秘密はイソフラボン
それから、豆にはイソフラボンも含まれていま
す。特に、大豆にはたくさん含まれています。最
近、更年期が早くなっています。つまり、平均的
にいえば、女性ホルモンであるエストロゲンがだ
んだん少なくなってしまうような年のとり方をし
ていて、これは問題だと思います。私は講演を頼
まれて何回かアメリカへ行ったことがあります。
ニューヨークで講演をした時、
「日本の女性は世界
で一番長生きの上、年をとっても娘のように肌が
すべすべしている。どうしたらそのように上手に
年をとれるのか。若い表情のまま年をとれるのか。
」
と聞かれましたが、その答えは、味噌汁を食べて
いるからです。朝、ホテルで和食コースを頼むと、
必ず味噌汁が付いていて、豆腐とワカメが入って
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ビーンズ・フォーラム 2010
います。豆腐と味噌には、どちらにもイソフラボ
ンが含まれています。イソフラボンは豆類に含ま
れています。イソフラボンは、植物性の女性ホル
モンです。年をとったらイソフラボンですよ。
「ま
めぢから」をもう一回見直して、食卓の上に再現
して欲しい。
■世界に発信すべき日本の豆食文化
最近、色々な面で日本人の自信がなくなるよう
なデータしか出てこない。国民総生産も中国に抜
かれ、韓国に抜かれる可能性もあります。しかし、
物の生産高とか、どれだけ輸出したとか、そうい
う競争の仕方じゃなくて、もっと文化的で健康的
で成熟した国になっていけば良い。日本は、これ
から老人ばかりになります。現在は 23%である 65
歳以上の方の割合が、あと 20 ~ 30 年で 40%にな
ります。2 人に1人は 65 歳以上です。そういう国
に何かちょっかいを出す国があったら、世界中の
人が日本側に立つような、そういう尊敬される、
親しまれる国になるためには、私たち1人ひとり
が健康で明るく年をとらなければ駄目だと思う。
それで世界中に長生きの実力を見せてあげる。そ
うしたら、
「日本に行って長寿食を食べよう」
、あ
るいは「日本に行って日本のお年寄りと一緒に会
話をして食事をしたい」
、そういう人が増えてくる。
これからはそういう選択をすべきだと思います。
そうすると、一にも二にも心の健康、脳の健康、
もちろん体全体の健康が必要になってきます。そ
のためには「食」が鍵になりますが、今、何が一
番問題かというと、脂肪の摂り過ぎ傾向が強い。
皆さんは、1日に 2,000kcal 弱のカロリーを摂って
いるはずですが、脂肪はせいぜい上限が 25%、で
きれば 20%くらいが一番良い。これを突破すると、
多かれ少なかれ何かの問題が起こります。現状の
27%は、脂肪を摂り過ぎています。コレステロー
ルあるいは中性脂肪は健康に大事ですが、摂り過
ぎると色々問題が起こるわけです。それでは、そ
れを軌道修正するのには何が良いか。そこで豆が
登場してくるわけです。
アメリカに農務省というのがあります。ここで、
アルツハイマーと闘う食べ物、癌と闘う食べ物、
心臓病と闘う食べ物のベスト 20 を発表していま
す。その上位に豆がランクされています。ニュー
ヨークに行くと、今まで豆腐くらいは売っていた
のですが、最近は味噌も納豆も売っている。それ
から小豆も売っています。多分、これは日本の影
響が大きいと思うのですが、豆は世界的に非常に
10
注目される食材になりつつあります。
■まだまだある豆のちから
豆に含まれる成分について色々お話をしてきま
したが、もう1つ大事なのはサポニンです。小豆
を煮たときに泡立つ成分です。
このサポニンも摂っ
て欲しい。サポニンの「サポ」というのはシャボ
ンから来ています。シャボンというのは石けんと
いう意味です。石けんは体の外側にできたたんぱ
く質の死骸、つまり垢を落とすために使います。
サポニンは体の中に入れると、体の中に溜めては
いけない中性脂肪、あるいはコレステロールを洗
い流す働きがあります。ですから、昔の人は、そ
ういう成分が入っていることを知らなかったと思
いますが、
毎月 1 日と 15 日に小豆を食べることよっ
て、そういう効果を得ていた。
皆さんはインターネットとか携帯電話を使って
いると思います。そうすると、脳をものすごく使っ
ているはずです。脳は 1 時間に 5 グラムのブドウ
糖を消費します。だから、情報化時代が進めば進
むほどブドウ糖の消費は増えるはずです。1 時間
に 5 グラムのブドウ糖を完全燃焼させるためには、
ビタミン B1 が欠かせない。これもまた豆にはた
くさん含まれています。
豆の力をまとめると、長寿時代に対応する力が
ある、情報化時代に対応する力がある、あるいは
心が萎えてしまうような時代に対応する力もある。
成分的にいうと、先ほど言ったように、トリプト
ファン、アルギニン、あるいはサポニン、イソフ
ラボンといった成分です。
時間がきてしまいましたので、最後にみんなで
笑いませんか。笑うとナチュラルキラー細胞が増
えます。ナチュラルキラー細胞は、癌細胞をやっ
つける働きがあります。私が笑いますから、皆さ
んも笑ってくれますか。アハハハハハ。ありがと
うございました。
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