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「左ハンドル」の日本車!?
今泉慎也︵ベトナム︶ 元のアクセルやブレーキがつけられていた シートが助手席にあることや、助手席の足 ライバーズ・シートに装備されている電動 改造ではないかと思わせるのは、本来ド ベトナムの街角を走る左ハンドルの日本 もないようである。 ら、この改造もいつも徹底的にするわけで 日本語の表示は残されたままだというか はっきりとは分からなかったそうだ。元の 付いているドアと遜色ない仕上げで、自動 左ハンドルと言っても、単に輸出仕様車 と思われる位置に凹凸があることである。 車のうちどれだけがハンドルを付け替えら みてもすぐには分からないほど、きれいな が走っているのではない。右ハンドルの日 ダッシュボードの表面も少し日本車とは違 れたものか分からないけれども、ベトナム ドアでなかったことを除けば、よく見ても 本車を、現地で手際鮮やかに左ハンドル車 うようだ。日本国内でも車の改造が大好き で左ハンドルの日本車に乗る機会があれ 出来映えであった。 ∴∴ ∴■∴■㍉ ■∵∵㌧三二■ ■ 先日、初めてベトナムに滞在する機会が あったが、そのときに私が最も楽しみにし に改造してしまったものなのである。 な人は多いようであるが、素人の私にとっ ば、ぜひ助手席に乗って足元を確認してみ ていたものの一つが、﹁左ハンドルの日本 の出来の良さを繰り返し力説したが、改造 ては驚きであった。 ベトナムに行ったことのみる同僚は、そ 車﹂ である。 車というとフィリピンでみた運転席を金網 浮かび、正直のところあまり期待してはい げることができるというのは技術力が高い ないわけではない。それでも、美しく仕上 たしてここまでする必要があるのか疑問が は、自動車は確かに右側通行であるが、果 かもしれない。 乗られる方は少し覚悟された方がよろしい されたようである。左ハンドルの日本車に け替えは危険であるという理由で最近禁止 てはいかがであろうか。 なかった。 ことを示すものとして、賞賛すべきものな フランスの植民地であったベトナムで ︵旧サイゴン︶から、メコンデルタの中心 のであろう。それに、ベトナムの人々の亨 で囲んだ手造り風のタクシーがどうも頭に にあるカントー市まで行くために車をチャ ノへの﹁こだわり﹂が感じられ、何となく は、入国後すぐにやってきた。ホーチミン 普通の客は後部座席に座るところだが、 ベトナムで走っているバスには、日本から の改造にも目を見張るものがあるらしい。 ︵いまいずみ しんや/経済協力調査室︶ ただ、新聞報道によれば、ハンドルの付 ーターしたところ、お目当ての左ハンドル 親近感が湧いてきたりもする。 あこがれの﹁左ハンドル﹂車との出会い の高級︵?︶ 日本車に会うことができたの 私は躊跨なく助手席に陣取った ︵運転手は 輸入された中古バスが多い。左側通行の日 人から聞いたところによれば、中古バス きっと気さくな日本人だと思ってくれたに 本で車の左側につけられている昇降用ドア である。 違いない︶。後でコーヒーをおごってくれ が、車の右側にもつけられている。元から t た。問題の左ハンドル車は、実際に乗って f アジ研ワールド・トレンド No.3(1995.6)−56