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MSMのHIV感染症対策の体制整備(PDF:3718KB)
平成25年3月14日(木) 重点都道府県等エイズ対策担当課長連絡協議会 MSMのHIV感染対策の体制整備 宝塚大学看護学部 日高 庸晴 MSMのHIV感染予防対策は喫緊の課題 ■HIV感染は・・・いつ、どこで、だれが? ■現状を示す疫学データを直視することから始める ■流行の主流は男性同性間性的接触である ■感染経路、集団の特性に合致した情報提供・提供方法が不可欠 ■異性間性的接触に偏重した予防対策では、MSM対策にはならない ■MSMの学齢期に関係する学校教育の課題 肯定的なセクシュアリティ情報が少ない 男性同性間によるHIV予防教育が圧倒的に欠如 自尊感情が傷つく経験が多くある(いじめ被害、など) HIV予防対策に取り組むにあたって、当面緊急の対象は誰か? 効果的な予防対策とは? http://www.gay-report.jp 日本国籍HIV感染者/AIDS患者の年次推移 (人) 日本国籍HIV感染者の年次推移(感染経路別) 1100 1000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 (人) 日本国籍AIDS患者の年次推移(感染経路別) 1100 1000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 男性同性間性的接触(MSM) 男性異性間性的接触 女性異性間性的接触 その他・不明 平成23年エイズ発生動向年報 日本国籍HIV感染者/AIDS患者の地域別年次推移 (人) 日本国籍HIV感染者の地域別・感染経路別の 年次推移[関東・甲信越] 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 (人) 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 (人) 日本国籍AIDS患者の地域別・感染経路別の 年次推移[関東・甲信越] 日本国籍HIV感染者の地域別・感染経路別の 年次推移[東京] 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 (人) 日本国籍AIDS患者の地域別・感染経路別の 年次推移[東京] 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 男性同性間性的接触(MSM) 男性異性間性的接触 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 女性異性間性的接触 その他・不明 平成23年エイズ発生動向年報 日本国籍HIV感染者/AIDS患者の地域別年次推移 (人) 日本国籍HIV感染者の地域別・感染経路別の 年次推移[近畿] (人) 250 250 200 200 150 150 100 100 50 50 0 0 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 (人) 日本国籍HIV感染者の地域別・感染経路別の 年次推移[九州] 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 日本国籍AIDS患者の地域別・感染経路別の 年次推移[近畿] 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 (人) 日本国籍AIDS患者の地域別・感染経路別の 年次推移[九州] 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 男性同性間性的接触(MSM) 男性異性間性的接触 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 女性異性間性的接触 その他・不明 平成23年エイズ発生動向年報 日本国籍男性新規報告数における同性間性的接触の割合 (%) 100 80 HIV/AIDS男性報告数における同性間性的接触の割合(2009~2010年の2年間) n=2839 75.1 75.0 74.4 73.9 68.8 68.3 66.7 51.9 60 51.6 47.7 40 20 0 島 高 大 大 沖 東 愛 石 宮 青 群 新 北 熊 福 神 山 広 全 鹿 京 岐 奈 香 佐 岩 長 兵 千 岡 福 滋 愛 埼 栃 長 鳥 宮 静 和 山 福 茨 三 富 徳 山 秋 根 知 分 阪 縄 京 知 川 城 森 馬 潟 海 本 岡 奈 形 島 国 児 都 阜 良 川 賀 手 崎 庫 葉 山 井 賀 媛 玉 木 野 取 崎 岡 歌 口 島 城 重 山 島 梨 田 島 府 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 山 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 府 県 都 県 県 県 県 県 県 道 県 県 川 県 県 県 県 県 HIV男性報告数における同性間性的接触の割合(2009~2010年の2年間) n=1982 (%) 100 80 79.7 79.4 78.5 78.2 76.9 76.1 73.3 60.4 60.3 58.7 60 40 20 0 滋 佐 熊 大 宮 石 大 愛 北 東 神 沖 福 京 岩 山 群 新 島 香 高 全 鹿 広 青 奈 鳥 宮 岐 岡 兵 千 愛 埼 長 長 福 和 栃 静 福 茨 富 山 徳 三 山 秋 賀 賀 本 分 城 川 阪 知 海 京 奈 縄 岡 都 手 形 馬 潟 根 川 知 国 児 島 森 良 取 崎 阜 山 庫 葉 媛 玉 崎 野 井 歌 木 岡 島 城 山 口 島 重 梨 田 県 県 県 県 県 県 府 県 道 都 川 県 県 府 県 県 県 県 県 県 県 島 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 山 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 AIDS男性報告数における同性間性的接触の割合(2009~2010年の2年間) n=857 (%) 100 80 60 40 20 0 70.0 65.9 62.2 58.6 56.1 51.5 43.9 37.8 35.7 21.1 山 島 高 青 沖 新 大 愛 広 宮 群 大 東 岐 福 鹿 全 山 栃 石 福 奈 長 熊 北 神 静 京 岩 千 兵 岡 香 愛 長 滋 三 鳥 佐 宮 埼 茨 秋 福 富 和 山 徳 梨 根 知 森 縄 潟 分 知 島 城 馬 阪 京 阜 岡 児 国 形 木 川 井 良 崎 本 海 奈 岡 都 手 葉 庫 山 川 媛 野 賀 重 取 賀 崎 玉 城 田 島 山 歌 口 島 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 府 都 県 県 島 県 県 県 県 県 県 県 道 川 県 府 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 山 県 県 県 県 県 MSMのHIV感染対策の企画、実施評価の体制整備に関する研究―平成23年度 総括・分担研究報告書―をもとに作成 300 400 その他・不明 400 350 女性・異性間性的接触 350 男性・異性間性的接触 300 男性・同性間性的接触 400 350 300 男性・異性間性的接触 男性・同性間性的接触 年 450 その他・不明 女性・異性間性的接触 男性・異性間性的接触 男性・同性間性的接触 年 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 人 450 250 250 200 200 150 150 100 100 50 50 0 0 日本国籍HIV感染者の性別、感染経路別の年次推移 [35-44歳] 人 450 400 350 300 250 250 200 200 150 150 100 100 50 50 0 0 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 450 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 日本国籍HIV感染者の性別、感染経路別の年次推移 日本国籍HIV感染者の性別、感染経路別の年次推移 [15-24歳] 日本国籍HIV感染者の性別、感染経路別の年次推移 [25-34歳] 人 その他・不明 女性・異性間性的接触 年 日本国籍HIV感染者の性別、感染経路別の年次推移 [50歳以上] 人 その他・不明 女性・異性間性的接触 男性・異性間性的接触 男性・同性間性的接触 年 出典:平成23年エイズ発生動向年報 MSMにおけるHIV/AIDS有病率の推定 厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業「MSMのHIV感染対策の企画、実施、評価の体制整備に関する研究」 地域差なし 人口10万人対 罹患率 110 日本国籍MSM及びMSM以外男性の 日本成人男性(20-59歳)人口における 推定HIV/AIDS発生率の推移 感染経路別推定罹患率の年次推移 100 発 生 率 人 口 1 0 万 対 HIV(MSM) HIV(MSM以外男性) AIDS(MSM) AIDS(MSM以外男性) 90 80 73.2 70 63.9 60 50 47.9 40 30 20 97.4 79.8 103.7 42.6 43.2 11.6 10.4 12.4 17.6 17.6 22.0 19.8 23.9 10 0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 人口10万人対 各地域成人男性における感染経路別 発生率 推定発生率の年次推移 50 40 東北(MSM) 東北(MSM以外男性) 関東(MSM) 関東(MSM以外男性) 東京都(MSM) 東京都(MSM以外男性) 東海(MSM) 東海(MSM以外男性) 近畿(MSM) 近畿(MSM以外男性) 九州(MSM) 九州(MSM以外男性) 30 25.8 24.5 29.3 32.0 20 12.0 10 8.7 AIDS 36.1 31.3 22.1 東京 厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研 究事業「MSMのHIV感染対策の企画、実 施、評価の体制整備に関する研究」 34.7 29.3 35.4 東京 33.2 近畿 32.2 東海 24.9 26.3 23.0 27.3 24.9 14.8 14.9 14.1 10.2 7.4 9.2 7.4 関東 12.4 4.1 0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 東北 九州 男性同性間のHIV感染対策 セクシュアルマイノリティ に対する社会の偏見と差別 →同性愛者としての 生活を困難に 性的指向・同性間の性感染症予防に 関する情報提供がMSMの生育過程に 行われていない →自尊感情の傷付きと低下 不十分な社会的環境 社会環境の 構築が重要 存在の不可視化 実際の同性愛者の 存在は不可視化 1980年後半 広く国民に啓発運動が 行われるようになった HIV感染 無防備なセックス 男性同性間の性的接触による HIV感染のリスク 啓発資材に記載される情報は異性愛を 対象にしたものが大半を占める →同性間の感染予防に関する情報が乏しい 参考文献:市川誠一(2009)日本のHIV/AIDSの動向とその対策の方向性, 名古屋市立大学紀要(8)1-5 日高庸晴, 市川誠一, 木原正博(2004)ゲイ・バイセクシュアル男性のHIV感染リスク行動と精神的健康 およびライフイベントに関する研究, 日本エイズ学会誌第6巻3号165-173 思春期のライフイベント平均年齢 (研究参加者1,025人) 中学校・高校の学齢期に相当 Yasuharu Hidaka, PhD 教育現場でのセクシュアリティ教育や同性愛に関する情報の圧倒的不足 親へのカミングアウトの困難13-15%程度 学校教育における同性愛や セクシュアリティに関する情報の取り扱い 20 親へのカミングアウト率 16.4 15.6 2011_PC 17.3 15.8 15.3 2011_モバイル 13.4 13.4 13.1 10 0 8.0 7.8 10代 20代 40代 30代 50代以上 親以外へのカミングアウト率 50 48.9 48.4 47.1 45.9 43.8 40.9 35.2 33.7 25.2 25 19.2 平成17年度 厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業 男性同性間のHIV感染対策とその評価に関する研究(研究代表者 市川 誠一) 0 10代 20代 30代 40代 50代以上 平成23年度 厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業 HIV感染予防対策の個別施策層を対象にしたインターネットによるモニタリング調査・認知行動理論による予防介入と 多職種対人援助職による支援体制構築に関する研究(研究代表者 日高庸晴) 学齢期のいじめ被害とHIV感染 学校教育における環境改善も急務のひとつ これまでの学校教育で、 異性間のエイズ予防について 情報を得たことがある 80% 「ホモ・おかま・おとこおんな」 といった言葉で いじめられたことがある 80% 68.8% 63.9% 60% 47.8% 50.4% 60% 52.6% 38.7% 40% 33.1% 30.3% 55.8% 66.5% 53.4% 71.6% 53.3% 「ホモ・おかま・おとこおんな」 といった言葉以外で いじめられたことがある 80% 60% 40% 40% 20% 20% 51.8% 39.4% 54.8% 50.0% 39.5% 43.3% 24.1% 20% 0% 0% 2007 2008 2011 (PC) 2011 (mob) 0% 2007 2008 2011 (PC) 2007 HIV陰性 2008 HIV陽性 2011 (PC) ■いじめ被害割合が高率 ■セクシュアリティの肯定的受容の困難 ■自尊感情、自己肯定感の低下 ■メンタルヘルスの悪さ(44%抑うつ傾向) ■平均年齢19-20歳で男性と初交経験 ■HIV感染リスク行動(コンドーム不使用) 若年MSM:学齢期の予防介入・自尊感情を涵養 成人MSM:大人になったMSMにメンタルヘルス支援 平成23年度 厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業 HIV感染予防対策の個別施策層を対象にしたインターネットによるモニタリング調査・認知行動理論による予防介入と 多職種対人援助職による支援体制構築に関する研究 (研究代表者 日高 庸晴) HIV感染予防啓発におけるパートナーシップ HIV感染の拡大防止には ・訴求性のある啓発資材・手法の展開 ・MSM層への啓発の浸透 ・予防啓発活動の効果・評価 ・有効な啓発の継続と行政施策連携 ・HIV感染者への支援(共生) ● 研究者 医療者 CBO/NGO コミュニティ ● ● ● 行政 ● ● ● ● 当事者性を重視した啓発資材と普及方法 啓発資材の開発とその普及は地域ボランティア(CBO/NGO)と協働、 ゲイメディア、ゲイビジネス等の関係者の協力を得つつ普及を促進す るネットワークを構築することが必要である。 NGOと連携・コミュニティセンターの活用 意思決定と対策の実施に、当事者の声を反映する ・知識の普及・・・意識の向上・・・行動の変容 訴求性の 高い啓発資材 連携先: 国・自治体 エイズ予防財団 行政感染症担当 他コミュニティ団体 医療機関 教育機関 など 当事者の 言葉 と アイデア 有効な 資材普及 ハッテン場 クラブ バー CBO 予防意識を 啓発する資材 コンドーム 常用率促進 バー バー バー クラブ インター ネット サークル サークル 同性愛者等のHIVに関する相談・支援事業 厚生労働省 同性愛者等のHIVに関する相談・支援事業 NPO法人 ぷれいす東京 (東京) 電話相談 (大阪) CHARM コミュニティセンター事業 予* 防 の 感 た染 め症 の ・ 研エ 修イ ズ HIV HIVマップ *HIV陽性者 等支援事業 HIV *同性愛者等 向けHPによる 検査相談等情 報提供 公益財団法人 エイズ予防財団 NPO法人 CHARM * 検同 査性 相愛 談者 の 等 普向 及け 仙台 Zel (やろっこ) 東京 akta (akta) 大阪 dista (MASH大阪) *印は戦略研究後のMSM向け新規事業 名古屋 rise (Angel Life Nagoya) 博多 haco (Love Act Fukuoka) 那覇 mabui (nankr) 同性間性的接触による感染に対する普及啓発 3.HIV・エイズ対策(P.145) 男性同性愛者への普及啓発として、NGOの協力の下、 平成15年に東京・新宿2丁目にコミュニティセンター “akta”、大阪・堂山町にドロップインステーション “DISTA”が開設され、地方の中核都市においても、同 様の取り組みが進みつつある。また、それらのコミュ ニティセンターを活用した普及啓発の方法についての 研究も実施されている。 API-NET(エイズ予防情報ネット)コミュニティーセンター MSMのHIV感染対策のためのコミュニティーセンター 2003 大阪 dista、東京 2004 名古屋 2005 福岡 haco 2009 仙台 ZEL 3N(現在 akta 名古屋“rise” ≪ ALN rise) 大阪“dista” ★ 仙台“ZEL”≪やろっこ ≪ MASH大阪 沖縄 mabui ★ 福岡 “haco”≪LAF ★ ★ ★ ★ 東京“akta” ≪ akta 沖縄“mabui” ≪nankr コミュニティセンターについて コミュニティセンターは、ゲイ・バイセクシュアル男性が利用する商業施設が集積 する地域にあり、ゲイバー、ハッテン場、ゲイショップ、メディア、サークルなど のネットワークを介したNGOのコミュニティベースの啓発活動を実効的に進める 活動拠点である。 またこれらの啓発活動のニーズや効果を評価する調査研究について、研究者と当事 者が協働して実施していく場としての役割も持っている。 ①当事者が集う「場」としてのコミュニティセンター HIVや性感染症の情報に無関心だった人を呼び込み、コミュニティにおいて、 エイズをめぐる様々な課題を可視化させ、予防やケアへの支援環境を構築する。 ②予防活動の「拠点」としてのコミュニティセンター 予防活動の「拠点」、MSMを対象とした予防啓発のベース基地。東京、大阪で は、ゲイ向け商業施設利用者を対象としたアウトリーチ活動により、HIV抗体検査 受検割合やコンドーム常用割合に啓発資材と関連した効果を示している。 ③連携の「ハブ」としてのコミュニティセンター コミュニティに向けたインターフェイス、そして研究者、行政関係者、医療・支 援関係者との連携における「ハブ」としての役割がある。 参考文献:塩野徳史, 市川誠一(2010)MSMのHIV感染対策におけるコミュニティセンター事業の意義, 病原微生物検出情報(31)229-230 戦略研究 ・戦略研究は、国民の健康を維持・増進させるために実施される 大型臨床介入研究である。 ・行政的に優先順位の高い疾患・健康障害を標的として、その予 防・治療介入および診療の質的改善介入などの有効性を検証し、 健康・医療政策立案に資する科学的な臨床エビデンスを創出する ことを目的としている。 5年間に及ぶ大型介入研究 自殺、糖尿病、がんなどが選定。 エイズ予防対策の更なる推進を図るため、 平成18年度から平成22年度まで厚生労働科学研究費補助金 「戦略研究(エイズ予防のための戦略研究)」の実施が決定 (厚生科学審議会科学技術部会が(財)エイズ予防財団を実施主体に選定) 目 標:5年間でHIV抗体検査受検者を2倍にし、 エイズ発症者数を25%減尐させる エイズ予防のための戦略研究 課題1 首都圏および阪神圏の男性同性愛者を対象としたHIV抗体 検査の普及強化プログラムの有効性に関する地域介入研究 成果目標: MSM(男性と性行為を有する男性)のHIV抗体 検査受検者数を2倍に増加させる MSMのAIDS発症者数を25%減尐させる 目的: 男性同性愛者を対象に、効果的な啓発普及・広報戦 略を策定し、HIV抗体検査受検者数・AIDS発症者を指 標として、その効果を検証する。 1)啓発普及 2)検査機会の拡大 3)相談体制の整備 試験期間:平成19年10月~平成22年12月 HIV抗体検査 受検者数増加 介入地域: 首都圏:東京・神奈川・千葉 阪神圏:大阪・京都・兵庫 HIV感染 早期発見 医療機関 への受診 エイズ患者の減尐 新規感染者の減尐 対象:MSM エイズ予防のための戦略研究 課題1 首都圏および阪神圏の男性同性愛者を対象とした HIV抗体検査の普及強化プログラムの有効性に関する地域介入研究 ① 当事者参加型体制 NGOとの協働体制 ・当事者参加により、同性愛者等に必要な情報や、 訴求性の高い啓発普及を行う体制の整備 ②受検促進のための広報戦略に向けた体制の準備 普及啓発・広報 支援・相談体制 MSM対応検査体制 ・受検意思を促進する啓 発、安心して受検できる 検査機関、検査前・後の 不安や悩みが相談でき る機関の広報 ・受検行動や受療行動 を支援する相談体制の 整備 ・MSMが受けやすい保 健所や公的検査機関、 クリニックを確保し、受検 機会を整備する ③ 広報戦略を評価する調査体制 受検者動向調査 ・MSMの受検動向や啓発普及効果を把握するため の調査体制を整備 MSM首都圏/検査体制・「あんしんHIV検査 サーチ」 ↑PCサイト モバイル サイト → MSM首都圏/検査体制・「あんしん」プロジェクト 行政と地域の連携 保健所職員研修 東京都、横浜市、神奈川県、千葉県などと 共催 2008年 2009年 2010年 HIV抗体検査に関わる保健所職員対象の研 修を企画。また、人材を提供。 多様なMSMのありように触れてもらう機会 を提供。全員参加の ロールプレイなどを実施。役者は、 全員ゲイのスタッフが担当。 2010年度できる!キャンペーン 「そっちも大丈夫でしょ?」そんな風に言われたら、本当のこと言えないよ・・・。 リスキーなことをくりかえしていたのは、知るのが怖かったからなんだ・・・。 自分自身を曝けだして、泣きじゃくって、やっと自分自身を真っ直ぐに見 る事が出来るようになれた。 咳が治まらない友人に勧めたHIV検査。結果は「陽性」で即入院の切羽詰 まった状況だった。言って良かった。今も彼といっしょにいられるから。 HIV抗体検査受検者における広報資材の認知率 100% 首都圏定点保健所 90% 80% 首都圏戦略資材 阪神圏戦略資材 首都圏行政広報 大阪行政広報 AC・財団広報 課題2資材 70% 67% 70% 60% 58% 64% 64% 58% 56% 49% 50% 60% 55% 45% 40% 40% 30% 50% 24% 18% 20% 3% 10% 57% 2% 0% 0% 4% 5% 6% 0% 0% 2009 2010 3% 0% 1% 7% 9% 0% 0% 2009 2010 3% 2% 1% 1% 0% 2007 2008 MSM以外の男性 2007 2008 女性 平成18~22年度 厚生労働科学研究費補助金 エイズ対策研究事業 エイズ予防のための戦略研究 首都圏および阪神圏の男性同性愛者を対象としたHIV抗体検査の普及強化プログラムの有効性に関する地域介入研究 研究成果報告概要版 2007 2008 2009 MSM 2010 大阪で実施「選べるSTI検査1,000円キャンペーン(夏)」 実施期間 内容 2012年6月1日〜8月31日 MSMに理解のある診療所において<HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎・クラミジア> の検査が1,000円で受けられるキャンペーンを実施 通常検査では上記5つの性感染症が、 迅速検査ではクラミジアをのぞいた4つの性感染症の検査が受検可能 広報:MSMへ訴求力のあるものや資材を毎月MSM商業施設へ配布した。 商業施設向けフライヤー4種 結果 ハッテン場専用マグネット4種類 紙資材1種類 受検者数は235名(昨年実施したキャンペーンでは3ヶ月で189名) 通常検査受験者数52名(迅速検査受験者数183名) 受検者のうちHIV陽性が6名(梅毒6名 B型肝炎抗原陽性3名 クラミジア抗原陽性3名) クリニック・診療所の医師から、陽性結果と一緒に渡される資材から、陽性の人のためのサービスやプロ グラムを知り、利用するに至った人がいることが確認された。これまでのクリニック検査キャンペーンを きっかけに、クリニック・診療所と地域サービスの連携が強化されてきていることが示唆された。 厚生労働科学研究費補助金 エイズ対策研究事業 「MSMのHIV感染対策の企画、実施、評価の体制整備に関する研究」 1) 商業施設との連携(予防啓発/検査普及) 東北 やろっこ バー連携 宮城・東北 件数(率) 29件(88%) 他の商 業施設 等 ショップ マッサージ ハッテン場 クラブ等 スポーツ系 首都圏 akta ぷれいす 東海 ALN 近畿 MASH大阪 福岡 LAF 沖縄 nankr 東京 495件(73%) 神奈川 28件(70%) 埼玉1件(13%) 千葉1/7(14%) 栄 37件(93%) 伏見 5件(50%) 岐阜 1店舗 キタ 131件(83%) ミナミ 44件(77%) 新世界 11件(20%) 博多 65件(94%) 小倉 16件(100%) 鹿児島 1店舗 38件 (100%) 離島 3件 (100%) ハッテン場 ショップ等 クラブ等 サークル系 ・ショップ ・ハッテン場 ハッテン場: ショップ等: クラブ等 ハッテン場 イベント等 スポーツ系 ショップ ハッテン場 宿泊施設 クラブ等 スポーツ系 ①地域の状況に応じて、Safer sexキャンペーン、NLGR、クリニック検査キャン ペーン等が実施された。②地方NGO(HaaT愛媛)にLiving Together計画が導入 された。③首都圏では予防啓発や薬物使用防止の啓発に参加する商業施設と ネットワークを構築し、検査施設を掲載する情報資材ヤローページを配布した。 ④阪神圏ではハッテン場と連携し、クリニック検査キャンペーン広報を開発した。 厚生労働科学研究費補助金 エイズ対策研究事業 「MSMのHIV感染対策の企画、実施、評価の体制整備に関する研究」 2) 行政との連携(予防啓発/検査普及) 東北 保健所 仙台市、 MSM対応 東北各県保 研修 健所合同 HIV検査 広報協力 仙台市 MSM 対象検査 仙台市 首都圏 東海 近畿 福岡 沖縄 東京都 愛知県 大阪府 福岡県 沖縄県 埼玉県 名古屋市 大阪市 福岡市 神奈川県 横浜市 千葉県 東京都、 愛知県 大阪府 福岡県 沖縄県 新宿区 名古屋市 大阪市 福岡市 港区 岐阜県 埼玉、千葉 神奈川 横浜 新宿区 名古屋市 クリニック クリニック 沖縄県MSM 保健所 NLGR検査会 検査7機関 検査1機関 向けHIV検 6月/11月 /6月 査キャン M検/12月 ペーン 岐阜県MSM向 検査/12月 自治体・保健所とゲイNGOとの連携交換会、エイズ担当者対象のMSM対応研 修会、行政/NGO協働による検査広報、予防啓発広報が行われた。 過去6ヶ月間の性行動とコンドーム常用の経年変化 % 100 2012年 89.3 88.5 87.1 87.2 82.3 81.4 81.5 90 80 70 76.7 85.7 87.4 83.7 89.8 83.3 75.4 60 全体 n=7888 セックスあり (過去6ヶ月) n=7082 50 40 32.6 33.1 33.9 33.1 31.1 32.9 30.4 30 アナルセックスあり (過去6ヶ月) 20 n=5902 10 0 2003 2005 2007 2008 2011 2011 2012 PC モバイル n=2060 n=5731 n=6282 n=5525 n=3685 n=6757 n=7888 n=1842 n=5073 n=5472 n=4817 n=3157 n=5907 n=7082 n=1413 n=4173 n=4456 n=3924 n=2381 n=4945 n=5902 コンドーム常用 (過去6ヶ月) n=1974 平成23年度 厚生労働科学研究費補助金 エイズ対策研究事業 HIV感染予防対策の個別施策層を対象にしたインターネットによるモニタリング調査・認知行動理論による予防介入と 多職種対人援助職による支援体制構築に関する研究 (研究代表者 日高 庸晴) コンドーム常時使用割合(過去6ヶ月間にアナルセックス経験者) 年齢別 ▲10代 40代 繁華街来訪群 vs. 非来訪群 20代 30代 ◆ 50代~ 全体 ▲コンドーム常用率(繁華街来訪群) ●コンドーム常用率(非来訪街群) % ■コンドーム常用率(全体) % 50 50 40 40 30 30 20 20 10 10 N= 2,062 5,731 6,282 5,525 3,685 6,757 7,888 0 中間集計 0 平成23年度 厚生労働科学研究費補助金 エイズ対策研究事業 HIV感染予防対策の個別施策層を対象にしたインターネットによるモニタリング調査・認知行動理論による予防介入と 多職種対人援助職による支援体制構築に関する研究 (研究代表者 日高 庸晴) 自治体における多部局との連携(取組の紹介) 横須賀市性的マイノリティ関係7課長会議(2013年2月) 教育委員会のみならず市長部局との連携 わが国初の試み MSMを含む性的マイノリティの健康問題の解決に寄与するために関係7課長会議を組織 出席者: 市民部長、人権男女共同参画課長、児童相談所長、こども育成部・こども青少年支援課長、 保健所・健康づくり課長、教育委員会生涯学習課長、教育指導課長、支援教育課長 神奈川県性的マイノリティ人権・教育推進連絡会議を発足(2012年10月) 研究班(H24年度日高班)とNPO法人SHIPの呼びかけにより、 神奈川県内の6自治体11部署15人の出席、MSMのHIV予防啓発を人権の観点から 実施することを目指す 従来のエイズ予防教育・性教育の統括部署は学校体育課やスポーツ体育課等で あるが、人権教育の視点を加えて、教育現場でMSM理解を推進することを模索。 ■実証データに基づいた施策を実現していくこと ■包括的なHIV予防対策の実現を目指す試みを 当面緊急の対象はMSMとして施策を打ち出す ■流行の主流は男性同性間性的接触である ■検査環境の整備と予防行動の促進キャンペーン ■HIV感染リスク行動の背景要因の理解 ■近接健康課題と連携した取り組み (例えば、メンタルヘルス、自殺対策、薬物対策など) 社会環境の構築ー社会的包摂ー 意思決定と施策の実施に当事者の声を活かす ■学校教育 ■保健所、感染症担当 ■こころの健康センター ■相談機関 ■MSM当事者が集まる場所ー繁華街の商業施設 ■コミュニティセンター ■NGO/CBO 等 http://www.gay-report.jp