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雲の手通信 第31号 - 日本健康太極拳協会 東京都支部
2007年1月 第31号 発行人;茶木 登茂一 =====このお便りは私が担当している太極拳教室のみなさんに毎月お届けしています。===== トピックス 今年も元気に太極拳! 各教室の皆さん、つつがなく迎春のこととお慶び申し上げます。今年も 太極拳のお付き合いをよろしくお願いいたします。私も楊名時太極拳普 及のためにいっそう努めてゆきたいと、思いを新たにしております。 「鶴の舞」とも言われる太極拳にちなんで、長寿を意味する『鶴寿』と え と てい がい いう吉語印を彫りました。右肩の印は今年の干支『丁亥』です。 健康盲語録 思わぬ“塗り絵の効用”! 雲の手通信・第23号(2006年4月)でもご紹介しました、私の属している「森下・鬼平熱愛倶楽 部」の『江戸名所図会』の塗り絵活動がついに丸善の目に止まり、その作品の展示会が開催されること になりました。塗り絵は脳の活性化やボケ防止に有効ということで、相変わらずのブームで、本屋さん の塗り絵コーナーにはたくさんの塗り絵の教材本が並んでいます。 『江戸名所図会』は江戸後期に発刊された江戸の名所667景を描いたいわば観光ガイドブックですが、 四季折々の風景や行事などが克明に描かれているので、折からの“江戸ブーム”もあり、これこそ究極 の塗り絵ということで丸善が取り上げてくれたものです。今回は主として日本橋周辺の景から24作品 が展示されますが、私の作品「新川酒問屋」も晴れて展示されることとなりました。思わぬ“塗り絵の 効用”ということでしょうか。会場近辺にお出かけの折にはちょっとお立ち寄りください。 場所 丸善日本橋店 WEST 館 日程 平成19年1月8日(月)~14日(日) テーマ 『日本橋。その先』 (旧丸善の先、高島屋の斜前、八重洲通り寄り)℡03-3273-3311 10時~20時(日休は19時) 森下・鬼平熱愛倶楽部塗り絵師による「江戸名所図会」塗り絵展 (関連書籍、塗り絵原画の販売等も行われる予定) えんとう 再掲・用語解説 円襠 ごんぶー 弓歩などの歩形を正面から見た場合に、股間部が丸く開いてアーチ状に保たれている姿勢を「円襠」と 呼んでいます。表現を変えると、膝とつま先の方向が一致している状態です。膝が内側に内旋したり(初 心者に良く見受けられます)、逆に外旋したりすると下肢の筋肉や関節に不必要な緊張を生むことになり ます。股関節を緩めてひろげることにより腰の低い安定した下半身が形成されます。襠とは袴やズボン の内股の部分を指す言葉です。 「太極拳の動きは腰が中心であること。腰はからだ全体のかなめであること」を楊名時先生はむかしか ら繰り返し述べておられます。最近、雑誌やテレビなどでも股関節を緩めることや骨盤のゆがみを直す ことの重要性が取り上げられるようになってきましたが大変結構なことですね。 左顧右眄~さこ・うべん~ ③ 【第1話 太極拳の源流を辿る】 2)『中国武術』とは これからしばらく「中国武術」の歴史についてお話してゆきますが、初めに「武術」という言葉、用語を ちょっと整理します。 日本ではあえて「中国武術」と呼んでいますが、もちろん中国では単に「武術」(ウーシュー)と言います。 「武術」とは各種の「武器術」(器械術とも言う)と「徒手格闘術」 (拳法)との総称です。元来戦場に おける戦いの技術から発展したことを考えれば武術の本質は武器術であり、最後に素手で闘うことに 備えての拳法、或いは武器術を習得するための身体強化、訓練法としての拳法と考えることも出来ま こん す。『太極拳』もこの「徒手格闘術」のひとつに分類されています。「武器術」には剣とか刀とか棍と かいろいろあるのはご承知のとおりです。 ということで、武術の種類、流派も無数にあります。それぞれ目的とするところ、得意とするものが さまざまなことは当然ですし、歴史的にも幾多の興亡、変遷がありましたが、唐から宋にかけてとくに 今日に繋がる武術の原型を見ることが出来ます。 すうざん 3)「嵩山少林寺」 中国で今日の「武術」に繋がるものとして特に有名なものは、一つは嵩山少林寺武術であり、もう一つは 宋朝の太祖「趙匡胤」(927~976)の兵法であるといわれています。 河南省嵩山少林寺は北魏時代の495年に創建された禅宗の古刹(達磨大師が始祖との俗説もある)です が、打ち続く戦乱政変により破壊されたり、移転したりの歴史を繰り返したあと、ようやく唐の太宗李世 民にその“武功”を認められて、現在地で再建され有名になりました。いわゆる自衛のための僧兵軍団を 抱える寺だったのですね。ですからこの唐時代から明代までは、少林寺の武術の表看板は「拳法」ではな く「棍術」 (棒ないし槍を使う武術)だったとされています。 ところで、 『少林寺拳法』というものがありますが、これは日本独特なもので、 『嵩山少林寺武術』とは全 く違う組織です。『少林寺拳法』は、1947年(昭和22年)に中国から帰国した、宗道臣氏(1911~ 1980)が日本の香川県多度津市で創設した拳法の流派のことです。1951年(昭和26年)には「金 剛禅総本山少林寺」として宗教法人の認証を取得していますので、あくまで禅の修行の一環としての拳 法ということです。世界各国にも支部を置いていますし、中国の嵩山少林寺とも交流しているようです。 【お断り;武術や太極拳の歴史ということになりますと、いろいろな異説がありましてなかなかこれが 史実とは断定できません。入手可能な文献、資料などを見た上でのあくまでも私個人の理解と見解であ ることをお含みのうえ今後お読み継ぎいただきたいと思います。】 お正月ですので、太極拳を詠んだ、それも旅先で作った旧作をいくつかご紹介します。 どうりー て ぎょくりゅうせつざん ど ん と 独立を決めてせり上ぐ掌の先に 玉 竜 雪山雲を呑吐す ちゅえうぇい 崩れ行く遺跡の壁に残りたる天女の舞は 雀 尾 に似て (中国・雲南省麗江) (カンボジア・プリアカーン遺跡) ゆんしょう 流れ来し雲にすっぽりつつまれて花野に舞えばこれぞ雲 手 湧き上がる積乱雲を切らんがに流汗淋漓の剣を振るえり (スイス・ツェルマット) (ベトナム・ホーチミン) グーグルなどで『雲の手通信』で検索すると第1号からすべてすぐご覧になれます。お試しください。