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グルカルポ・リ登山報告書(LP2011秋

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グルカルポ・リ登山報告書(LP2011秋
Osaka City University Alpine Club
Mt.Gurkarpo Ri
6891m
Expedition
2011
登山報告書
ネパールヒマラヤ
グルカルポ・リ峰
登山隊
6891 m
大阪市立大学山岳会
大阪市北区中之島 3-3-23
中之島ダイビル 805 号
JTC株式会社
内
TEL(06)4803-8200
FAX(06)4803-8850
2011
地域
山名
目標
ランタン山群
グルカルポ・リ峰
ランタン・プロジェクト
「グルカルポ・リ(68 91m )登山隊2011秋」未登報 告
伴
明
グルカルポ・リは、ランタン・ヒマール、ランタン氷河左岸に位置し、モリモトベー
スキャンプ(4572m)から見ると、北のペンタンカルポ・リ(6865m)と南の
ランシサ・リ(6427m)にはさまれた東方に伸びる長大な氷河の奥に、ドーム状の
偉容 を際 立 たせ て天 空を 限 って いる 。
1998年秋に北大山岳会隊が北西稜に達したが頂上までの稜線をたどれず撤退、2
007年秋にはランタン・リを諦めたフランス隊がグルカルポ・リの正面にルートを開
拓し 40 0 mの ヒマ ラヤ ひ だ雪 氷壁 を 登っ て 頂上 に達 し た。
ランタン・プロジェクトの一環としてグルカルポ・リを候補にあげ、フランス隊と同
ルートを取って頂上に達する計画を立て、2011年春決行と決めた。その直前3月1
1日の東日本大震災により計画を半年延ばし、2011年10月日本を出発することに
なっ た。
結果は5627mまでの未登に終わった。メンバー、シェルパの体調良好、C2C3
用の テン ト /食 料/ 登攀 用 具す べて 荷 上げ さ れた C2 デ ポサ イ ト( 55 44 m)にて 、
10月21日たった1日降り続いた120cmの積雪によりC2プラトーへ上がる二つ
のルートのいずれもが表層ナダレの危険増大し、退却のやむなきに至った。夜間マイナ
ス16度のC2 デポサイトで過ごした6夜は、凍りつくテント内で3人共1時間半ご
とに目覚めて小便に出るという地獄、昼間は21日以外快晴の氷河内温度は連日30度
近く まで 上 昇す ると いう 天 国、毎日 の 気温 は 天国 と地 獄 を行 った りき た りと 忙し か った 。
以下 は未 登 の報 告で ある 。
期間
:
20 11 年1 0 月3 日日 本 出発 ∼ 11 月7 日 帰国 。3 5日 間 。
メン バー
:
シェ ルパ
:
伴
明
( 71 才 )・ ・・ 大阪 市立 大 学山 岳会 会員
佐々 木惣 四 郎( 69 才 )・ ・・
兵頭 渉
( 63 才 )・ ・・
ミン ・テ ン バ
( 3 0才 )
パサ ン・ シ ェル パ( 3 6才 )
サン ゲ・ シ ェル パ( 3 6才 )
コッ ク
: ダワ
( 4 0才 )
キッ チン ボ ーイ : 2名
ポー ター : 往3 名 、復 なし 。
ろば
:ド ンチ ェ→ モ リモ トB C 1 0 頭、 モリ モ トB C→ シャ ブ ルベ シ
費用
7 頭。
:1 .テ ント 、 登攀 用具 他 共同 装 備用 山岳 会 特別 費 ¥5 5 2, 43 2 .‐
2 .メ ンバ ー 個人 負担 金 ¥ 6 43 ,8 7 8. ‐/ 名
10 月3 日 、伴 、兵 頭は 成 田発 、佐 々 木は 関 空発 →B K K着 。¥ 2. 7 /B HT .
空 港近 くの G RA ND IN N CO ME HO TE L泊 。
10 /4 、 B KK →K T M。 TI B ET GU ES T H OU SE 泊 。
¥ 1. 02 / NR P( 5 0年 前 はな んと ¥ 50 .‐ /N R P! )。
10 /5 、 カ トマ ンズ は 1週 間続 く ダサ イ ン祭 りで 官 公庁 他休 み。
10 /6 、 ご く最 近6 8 00 m以 上 の登 山 料が 14 0 0ド ルに アッ プ され た。
グルカルポ・リはEXPEDITION MOUNTAIN扱いとなりリ
エゾン・オフィサー代1800ドル追加、シェルパ、コックの保険代アッ
プ、以上の条件を満たした上で観光省登山局(ダサイン期間中特別オープ
ン) デペ ン ドラ 課長 より 登 山許 可取 得 。
10 /7 、 カ トマ ンズ を 貸切 中型 バ スに て 出発 、ト リ スリ 経由 ドン チ ェ泊 。
10 /8 ∼ 14 、毎 日晴 天 。
ドンチェ→シャブルベシ→ラマホテル→ランタン→キャンジン(キャンジ
ン・リ手前のピーク4400mまで高度順化)→ランシサ・カルカ→モリ
モトBC着。ドンチェ→モリモトBCまでろば10頭に50∼60kg/
頭の荷物をかつがせる。モリモトBC(4572m)をグルカルポ・リ登
山隊のBCとする。ここは一辺200m正三角形の平坦な草地で、左側に
6 8 8mの大岩があり、東辺に小川、朝夜は凍る。モリモト・ピーク
が西 空に 頭 を出 して ヤク が 草を 食む す ばら し いテ ント サ イト 。
10 /1 5 、晴 れ時 々曇 り 。
BC 08: 40 →C 1 デポ サ イト (4 8 18 m) 1 2: 30→ BC 1 6 :4 0
ラマホテルから3人とも毎日ダイアモックス1錠飲んでおり以後も飲み続
けるが、高山病らしき症状まったく現れずSPO2も90前後、ただし毎
昼夜小便の出る回数きわめて多し。ここBCはランタン氷河本流右岸にあ
り東のグルカルポ・リから幅300mほどの氷河が直角に合流する地点。
この氷河に入って山なす土砂、岩石、岩屑の間をうねうねと登り進む。4
時間かかっても氷河内の雪線に届かなかったが、ひとまずそこをC1 デ
ポサイトとし荷物を置いてBCへ戻る。ここからは純白でヒマラヤひだの
厳しいキュンカ・リがモリモト・ピークの北に見えた。ランシサ・リを目
指す フラ ン ス隊 4人 がこ の サイ トに C 1を 張 って いた 。
10 /1 6 、晴 れ。 朝マ イ ナス 3度 。
休養。コックのダワはマッシュルーム/トマト/チーズ入りピザとかアッ
プルパイ、ケーキを作ってくれ、おかゆもよく出るが、いつも3人では到
底食べきれない量を作る。シェルパのパサンはエヴェレスト8回、ランタ
ン・リルン東南稜を2004年岩手の山岳会隊含め2回頂上まで登った経
験あ り。サ ンゲ はダ ージ リ ン登 山学 校 の教 官 でこ れま た エヴ ェレ スト 数 回、
氷壁登攀のヴェテラン、どちらもボッカ力は日本人の倍以上あり。サーダ
ー格のテンバはノドにデキモノができてKTMの病院通い。ドンチェまで
の隊荷の搬送、ドンキーの手配をやった後KTMに帰り10/26、C2
デポサイトからの撤収日にBCから上がってきて以後KTMへの復路に
同行 。
10 /1 7 、晴 れ。 朝2 度 。
BC 07:45 →C 1 デ ポサ イト 12:4 0
コック、キッチンボーイをBCに残し、3メンバー、2シェルパ、1シェ
ルパ見習いでC1 デポサイトに上がりテント2つ張って泊まる。西方、
シャルバチョムが東面の岩壁を鎧のごとく張りめぐらして大きく見える。
ここ は、北 側ペ ンタ ン カル ポ・リ のア イス ブ ロ ック を累 々 と連 ねた 側壁 と 、
南側 ラン シ サ・ リの 側壁 の 間の 大き な 氷河 の ど真 ん中 に 位置 して いる 。
10 /1 8 、晴 れ。 朝0 度 。
C1 デ ポ サイ ト 8 :1 5→ C 1( 53 0 0m ) 1 2: 15
3人のシェルパでテント、食料、登攀用具すべて荷上げしてくれ、メンバ
ーは 個人 装 備/ カメ ラ/ 通 信用 具/ 薬 品な ど をか つぐ 。兵 頭 2 3Kg、佐 々木
20 Kg、 伴 10Kg ぐら い。 C1 へ は氷 河の 土 砂 、岩 屑に 積 もっ た堅 雪の 上 を
ゆるやかに登っていく。左からはペンタンカルポ・リ上部にアイスブロッ
クを連ねた雪岩まじりのルンゼが多数この氷河に落ち込んでいるが、ブロ
ックナダレはほとんど起きず、ルート上もナダレの心配はない。右のラン
シサ・リからのブロック崩壊もない。西方には北から南へキュンカ・リ、
モリモト・ピーク、シャルバチョム、ヤンザ・ツエニー、ランタン・リル
ンが 勢ぞ ろ いし てい る。
10 /1 9 、晴 れ。 朝マ イ ナス 4度 。
C1 10:15 →C 2 デ ポサ イト (5 5 44 m) 1 2: 30→ C1 1 4:0 0
全員で荷上げ。C2 デポサイトはこの氷河のどんずまりの雪原で、真正
面にC2(5800m)予定プラトーへ上がる200m高さのブロック状
氷壁が連なり、その左寄り正面に逆くの字の雪のルンゼがスベリ台状に光
ってみえる。東南の方向にはドルジェ・ラクパの北稜/西北稜/西稜、ウ
ルキ ンマ ン の北 稜、、南 側は ラ ンシ サ・リ の 東 稜側 面で フ ラン ス隊 がテ ン ト
を張った雪原が見える。北の方向にはペンタンカルポ・リとグルカルポ・
リと の間 の 氷河 がせ りあ が り、 北大 隊 がと り つい た北 西 稜が 望見 され る 。
10 /2 0 、晴 れ夕 刻よ り 雪。 朝マ イ ナス 2 度。
C1 08:30 →C 2 デ ポサ イト 10:0 0
全員で氷河最奥雪原のC2 デポサイトに上がりテント2張りで泊まる。
C2 C3 用 のテ ント /食 料 /登 攀用 具 すべ て 集結 。夕 刻 より 降雪 チラ ホ ラ、
12 日間 続 いた 晴天 がく ず れる 気配 。
フランス隊はブロックのかけらがテントを襲ったとかで全員引き上げてし
まっ た。
10 /2 1 、終 日雪 。風 は なく 深々 と 降る 。 深夜 マイ ナ ス1 6度 。
10 /2 2 、晴 れ。
昨日1日間の積雪量は浅い所で80cm、深い所で120cm。C2プラ
トーへ上がる正面逆くの字ルンゼ左側は、見るからに表層ナダレの起こり
そうな気配がありありとしており、すくなくとも今日1日は動けず、ここ
C2 デ ポ サイ トで 沈殿 。
10/23、昨晩夜中、伴のセキ、ノドの痛み、悪寒とまらず、抗生剤を飲んでテント
に居 る。 ヴ ェロ ック スが き いた 。
佐々木、兵頭、シェルパ3人で正面逆くの字左の雪壁をラッセルしながら
登るが、下から30%ぐらい登ったあたりで、トップの兵頭のすぐそばか
ら長さ60m幅20mの表層ナダレが発生、幸い誰も巻き込まれずにすん
だが、ただちに登るのを止めてC2 デポサイトまで下山した。この正面
ルートは少なくともあと1週間ぐらい晴天が続いて雪が静まらないと手が
つけ られ な い。
10 /2 4 、晴 れ。
全員で、昨日の正面ルート基部から200m氷壁下の雪原を右上し、C2
プラトーへ上がれそうな小山への雪稜ルートをトライする。雪稜ルートの
下端やや上部に出た所で雪稜上部を見上げたが、雪稜右側の急斜面沿いに
しかルートはとれず、この斜面も表層ナダレの危険性きわめて大きいこと
を観察するに及んで、そこからC2 デポサイトのテント場へ下山した。
メンバーはもちろん、シェルパたちもC2プラトーへ上がる正面ルートと
小山雪稜ルートのいずれも現在の積雪状態では表層ナダレの危険性大きい
ことで意見一致、今回はここまででこれ以上グルカルポ・リ頂上を目指す
のを 断念 し た。
10 /2 5 、晴 れ、 夕刻 よ りく も湧 き 出す 。
兵頭はシェルパを連れてこの氷河最上部からのレンポ・ガン、ドルジェ・
ラクパの写真をとりに行くも、氷河最上部はクレバス多くとても通過でき
ず、フラ ン ス隊 ラン シ サ・リC 2 あた りか らの 写真 をと る にと どま る 。佐 々
木も 鼻、 ノ ドの 粘膜 がや ら れセ キが 出 る。 兵 頭は 快調 。
10 /2 6 、晴 れ。
C2 デ ポ サイ ト 10: 0 0→ BC 18:0 0
昨夕の雲の出方からみて今日はてっきり雪かと思いきや、ピーカン。全員
BCまで下山する。途中で下からテンバが撤収ボッカのために上がってき
た。降りとはいえヒマラヤで8時間超の行動はきつい。BCは夜マイナス
2度と暖かい。いっぺんに食欲回復。夜はいつも満天の星空。夜中小便6
回。
10 /2 7 、2 8、 晴れ 。
ろば が下 か ら上 がっ てく る のを 待っ て 2日 間 BC で休 養 。
10 /2 9 ∼1 1/ 5、 曇 り時 々晴 れ 。
BC→キャンジン→ランタン→ラマホテル→シャルパガオン→シャブルベ
シ→ カト マ ンズ 帰着 。
11 /6 、 K TM 発。
11 /7 、 成 田へ 伴/ 兵 頭、 関空 へ 佐々 木 帰国 。
以上
グルカルポ・リ
登 山を終えて
佐々木
惣四 郎
20 0 7年 のフ ラン ス 隊の 記録 を 見て 、登 るの はこ の 山だ と感 じて 早 速提 案し た の
であ るが 、判 断が 少し 甘 すぎ た様 だ。山を 正 面か らみ て、とて も美 し く、登 り 安い と思
った の であ る が、 実 際に は 45 7 2m の ベー スキ ャ ンプ に 入っ て 、荷 揚 げを 始 めた ら 、
とて も一 筋 縄で は行 かな い と思 った 。
まず モ レー ン 超え から 始 まっ た ので ある が、 ウン ザ リす る ほど 長く 、 C1
デポ サ
イト まで 、丸 々4 時 間の 道の り であ る。アプ ロー チと し ては 当然 では あ るも のの 、予 想
に反 して の 長さ には 閉口 し た。下り は、少し は早 いか と 思っ たが 、や はり 3 時間 半で ほ
とん ど変 わ らず。あ せり は禁 物 だと 言い 聞か せて 我慢 、我 慢で 乗 り切 った も のの 、何 回
もの 往復 は 、と ても 我慢 で きな いと 、 まず 思 って しま っ た。
C1
デポ サ イト か らの 登り は 、比 較的 雪 が現 われ て 、通 常 のル ート に なっ た もの
の、正面 から 見た の と違 い奥 が 深い 。つ まり 写真 では 深 さが 圧縮 され て、短 く感 じる の
であ る。
C2 へ のル ート が始 ま った 途端 に 、新 雪 に見 舞わ れ て、C 2 も C 2
なっ て 、新 雪が 落ち 着 くの を待 つ 事に なっ た 。こ の C1 か ら C 2
デ ポサ イ トと
デ ポ サイ トも 、ゆる
い登 りの プ ラト ー状 況で あ った が 、こ れも 最 初 の写 真で は とて も想 像で き なか った 深 さ
なの であ る 。
C2
デポ サ イト は 55 44 m で、 周囲 の 風景 も断 然 違っ て きた 。特 に 、ラ ン タン
氷河 を挟 ん だ側 の山 は、 モ リモ トピ ー クを 挟 んで 、シ ャ ルバ チュ ウー ム (6 70 7 m)
とキ ュン カ・リ( 6 59 9m )が あり 、特 に、キュ ンカ・リ は 美し い。グル カル ポ 側は 、
当初 の写 真 の印 象よ り、段々 と 大き くな る感 じで 、と ても 最初 の 印象 とは 思 えな い。す
ぐ横 にド ル ジェ ラク パ( 69 6 6m )西 稜が 雄大 な姿 を 見せ てい るが 、肩 を 並べ る難 し
さを 感じ さ され た。
C2
デポ サ イト か らC 2へ の 高度 差は 3 00 m余 で ある が 、新 雪を ま とい 危 なっ
かし い氷 壁 とな って いて 、シェ ル パは 雪崩 が 危な いと フ ァイ トロ スし て しま った 。まず
C2 が設 営 でき ない と 、C 2か ら の4 00 m の雪 壁を 越 えて C3 に入 れ ず、C 3か ら4
00 mの ヒ マラ ヤヒ ダか ら の登 頂も 全 く実 現 しな い 。新 雪の 落 ち着 くの を 待っ たの であ
るが 、何 日も 待つ 事 もで きず 、自 分 から TO Pを きっ て 登る 自信 もな か った 。結 局
別
のル ート か らの C2 設営 を もく ろん だ ので あ るが 、ルー トが 長く な りす ぎ 、撤 退の 選択
とな って し まっ た。
撤退 で は、雪 の つい たモ レ ーン 越え で、7時 間強 も かか って しま い、暗 闇の ベー ス
キャ ンプ 着 18 時と なっ て しま い疲 れ た。
あと か ら思 うに この 山 は、や はり 難し い 山で ある 。通常 のク ラ シッ クル ー トが ない
ので ある 。 要は ヒマ ラヤ ヒ ダを 登ら な いと 頂 上に 行け な い山 なの では な いか ?
小生 に とっ ては 、なか なか 手 に負 えな い 難物 であ っ たに も拘 わら ず 、1 5 日間 での
登頂 を狙 っ た事 にな る 。こ れが 今 回最 大の 反 省点 にな る 様に 思っ た 。チ ャン ス があ れば
再度 挑戦 し たい と思 う。
聖者の白い山
兵頭
渉
モ レー ン で埋 め尽 くさ れ た約 1k m 幅の 氷 河横 断に 2 時間 。標 高 差 1 00 m を 稼
ぐの に2 時 間。 100 m 先の 仲間 と の距 離が な か なか 詰ま ら ない 。C 1 予 定地 の手 前
4818m に隊 荷 (フ ィ ック ス ザイ ル、 ス ノー バ ー、 高 所テ ント 、 高所 食 )、 高 所用
個人 装備 を デポ する 。ド ンチ ェで 酒 を断 ち、ラマ ホテ ル( 2 502m )で 山 さん の用
意し てく れ たダ イヤ モッ ク スを 一日 一 錠飲 み 始め 、高度 順化 を 優先 させ た おか げ
か 、体 調は す こぶ る良 い 。に も かか わら ず こ のス ロー ス ピー ド! 、5 50h p の空 気
は確 実に 運 動能 力を 低下 さ せる 。
連 日 の好 天 の下 、 C1 建 設、 C2
デ ポ サイ トへ の 荷揚 げ 、 C2
デポ サ イト 建
設は 順調 に 進ん だが 、一昼 夜 続い た降 雪で 上 部キ ャン プ への ルー トを 開 拓で きず
に撤 退を 決 意し た。
グル カル ポ・リ登 頂の ポイ ン トは ( 1)高度 順 化 、(2 )天候 、( 3)上 部 2 カ 所 の各 々
400mの ヒマ ラ ヤ襞 (雪 氷壁 ) の登 下行 技 術・ 装備 とし 計 画、 準備 した 。
(1)高 度順 化 /SP O2 は 10 /9( 240 0m)∼ 10 /24( 5 544 m)∼ 10 /28 (46 0 0m) 期間
を通 し て 82 ∼99 、 頭痛 ・ 食欲 減 退・ 横 臥時 の息 苦 しさ ・ 歩 行時 の 息切 れ 無く す
こぶ る順 調 であ った 。ただ 、入 山か ら五 日 間 下痢 に悩 ま され た 。カ トマ ン ズで 食
べた 生野 菜 サラ ダの 洗浄 水 に原 因が 有 った よ うだ 。
(2)天候 / モ ンス ー ン 開け を 狙 って 登 山 期 間 を設 定 し たが 、 見 事的 中 し た。 連
日 の 好天 に 出 来 す ぎ感 が あ っ た 。 C2
デ ポ サ イ トで の た っ た 一昼 夜 の 降 雪 で事
態は 一変 し た 。4 日 間の 予 備日 では 少な す ぎ る事 を痛 感 した 。ここ ヒマ ラ ヤで は
日程 的な 登 頂確 率上 げる 為 に 10 日間 以上 の 予備 日を 設 定す る事 が必 須 であ ろう 。
(3)上 部 2 カ所 の各 々 400 mの ヒマ ラヤ 襞 (雪 氷壁 ) の登 下行 技術 ・ 装備 /今
回は 試す こ とが 出来 なか っ た 。要 素技 術 は国 内の 冬山 で 訓練 で き る が 、高 高 度 ・
長大 さは 体 力 、耐 力 、強 い精 神 力が 必要 で あ ろう 。逆説 的 では 有る がこ れ がヒ マ
ラヤ 登山 の 醍醐 味と 私は 思 って いる 。
(4)その 他 ‐ 費用 削 減 につ い て /航 空 運 賃 は タイ
エ アー > エ ア
チ ャ イナ に
替え る事 に より 半額( 約 72、00 0 円)、キ ャラ バン 中は バ ッテ ィ利 用と し コ ッ ク ・
キッ チン 設 備代 を削 減 、海 外 山岳 登山 保 険代 理店( 兵頭 個 人の 事 )の 見直 し で約
7 万円 減、 高 所食 のネ パー ル での 調達 、 など によ り個 人 負担 が 約 1 6 万円 削 減出
来る 。今 後 の山 行は 、や は り個 人負 担 は 5 0 万 円/ 一回 が 限度 と思 う。
(5)そ の 他‐ 突破 力に つ いて /今 回 は荷 揚 げ、ル ート 工作 な ど多 くを シェ ル パ
に負 わせ た 。トレ ッキ ング ピ ーク 以外 の 登山 では 先頭 力・突破 力の 有る 隊 員 を 2
名以 上加 え た隊 編成 で臨 み 登頂 確率 を 上げ る のが 望ま し いと 強く 感じ ま した 。
以 上、 雑 感・ 反省 ・今 後 の展 望で あ る。
山 頂を 踏 めな かっ たの は 残念 でな り ませ ん が、初見 の輝 く山 々、氷 河の 登下 行 、
標 高 5600m での ラ ッセ ル、 大 いに 愉し み まし た。
山 岳会 の 皆さ ん、 ラン タ ン・ プロ ジ ェク ト の皆 さん
素晴 らし い ラン タン の山 々 へ行 きま し ょう 。
衛星携帯電話の利用について
兵頭
渉
今 回、 THU RAY A の SAT -PHONE+ 携帯 型 S OLA R パネ ルを レ ンタ ルし ま した 。
メー ル は SM S と E-mai l ア ドレ スへ 送 信で き ると 、説 明 書き に有 り、 E-m ai l は
2∼ 3日 お きに メー ルを 送 りま した が 届か な かっ た様 で す。SM S は T HUR AY A 端 末
間し か送 受 信出 来な い事 が 事前 に判 っ てい た ので 試し ま せん でし た。
電 話は 電 波状 況が あま り よく なく 明 瞭な 通 話は 出来 ま せん でし た 。し か もキ ャ
ンジンより奥に行くと衛星電波は受信しているのに衛星電話オペレーターが
CHINA と 表 示さ れ音 声通 話、音声 問 合せ 等が 一切 使え な くな りま した 。以 下は 兵
頭の 推定 で す。根 拠 は私 の GPS に 搭載 され て いる 非常 に 大ま かな 地図 で の電 話使
用場 所(国 )と SAT-PH ON E で の衛 星電 話オ ペ レー タの 表 示が
CH INA
とな るの
がほ ぼ一 致 して いま す。 私の GPS では ラ ンシ サカ ルカ よ り奥 、モ リモ ト BC より
東側 は中 国 とな って いま す 。つ ま り国 境線 が ネパ ール 側 に入 り込 んで い る。そ れ
故、SAT- PHO NE の 電 源を オン に し衛 星電 波を 検索 した 際 、T HUR A YA は SA T -P HON E
の使 用場 所を SAT -PHONE に搭 載し た G PS 情 報を 元に 割 り出 しそ の国 の 衛星 電話
オペ レー タ にア カウ ント の 照会 をす る 。わが SA T -P HON E は N EPAL の 衛星 電話 オ
ペレ ータ の アカ ウン トを 契 約し てい た ため 無 効と 判断 さ れた 。
ランタンプロジェクトの対象の大半はチベットとの国境線上にある為
THURAYA は使 えな い と判 断し ま す。
カラスの攻撃
兵頭
今 回 C1' デポ サ イト (48 18m )、C2
渉
デポ サ イト( 55 44m)テ ント 側室 に 置い て
いた 食料 の 一部 がカ ラス の 攻撃 で損 耗 しま し た。
C1'デ ポサ イ ト(4 81 8m) では 、ビニ ール 紐 製 の袋(土 嚢 用の 袋を 想 起さ れた い )
3袋 が食 い 破ら れビ スケ ッ ト 36 人 食( 3 人
1 2 回 )、小倉 一口 羊 羹 2 0 ヶ 、ラー
メ ン 10 袋、 ポ カリ スエ ッ ト粉 末 1 0 袋 が 持ち 去ら れて し まい まし た。
C2
デ ポ サ イ ト ( 554 4m ) で は テ ン ト 側 室 に 置 い て い た ベ ー コ ン 4 袋 、 魚 肉
ソー セー ジ 10 本、ウ イダ ーイ ン ゼリ ー5 袋 、そ の 他が 側室 の裾 か ら進 入し て 中
から 持ち 去 られ てし まい ま した 。
カ ラス は どの 高度 まで つ いて くる か 判り ま せん が、今後 は 1 00 リ ッタ ー 程の プ
ラス ティ ッ クド ラム に入 れ て荷 揚げ 、 デポ を する こと が 必要 と思 いま す 。
行
日 付
曜日
10月3日
月
内
動
記
録
容
泊地高度
関空11: 45発 -TG 62 3-1 5: 35バンコク
晴
成田11: 00発 -TG 64 1-1 5: 30バンコク
10月4日
火
バンコク10: 15 -TG 31 9-1 2: 25カトマンズ
晴
10月5日
水
カトマンズで準備(装備、食料チェック )
晴
10月6日
木
カトマンズ
晴
パーミッション手続き(ダサインの為特別扱い)
10月7日
金
カトマンズ
=>
10月8日
土
ドンチェ
10月9日
日
シャブルベシ
10月1 0日
月
ラマホテル
10月1 1日
火
ランタン
10月1 2日
水
キャンジンゴンパ
10月1 3日
木
キャンジンゴンパ
10月1 4日
金
ランシサカルカ
10月1 5日
土
ドンチェ(車5時間)
1950m
晴
1461m
晴
2502m
晴
3432m
晴
3866m
晴
3866m
晴
4102m
晴
4572m
晴
4572m
晴時々曇り
シャブルベシ手前で路上落石の為、車通行止め
=>
シャブルベシ
=>
ラマホテル
=>
=>
ランタン
キャンジンゴンパ
=>
キャンジン・リ手前(44 00m)
高度順化ハイキング、登山準備
=>
=>
ランシサカルカ
モリモトベースキャンプ
登山準備
ベースキャンプ
<=>
C 1ʼデポサイト(4818m )
ボッカ(歩荷)
10月1 6日
日
ベースキャンプで休養
4572m
晴
10月1 7日
月
ベースキャンプ-C 1ʼデポサイト
4818m
曇り
10月1 8日
火
C1ʼデポサイト
5300m
晴
10月1 9日
水
C1
5300m
晴
10月2 0日
木
C1
5544m
晴、夕刻より雪
10月2 1日
金
C2ʼデポサイト沈殿
5544m
終日雪
10月2 2日
土
C2ʼデポサイト沈殿
5544m
早暁雪止む、晴
の字正面ルンゼルー ト
5544m
晴
C2ʼデポサイト> C2ルート工 作、右リッジルート、リッジ乗越 し
5544m
晴
5544m
晴
4572m
晴時々雪のち曇り
4572m
晴
4572m
晴
3866m
晴
3866m
晴
3866m
曇り
2502m
曇り
1461m
曇り
<=>
=>
=>
C1
C2ʼデポサイト(5544 m)
へボッカ
C 2ʼデポサイト
降雪、視界不良
雪が沈むのを待つ
10月2 3日
日
C2ʼデポサイト> C2ルート工 作、逆
く
560 0mで雪崩発生。本ル ート放棄。
10月2 4日
月
10月2 5日
火
562 7mで雪崩リスク有り 、本ルート放棄。
C2ʼデポサイト沈殿 。ランシサ東稜末端雪原
N28
12′ 47. 5″、E 085
10月2 6日
水
C2ʼデポサイト
10月2 7日
木
モリモトBC
=>
558 1m
44′ 19 .6″へ偵察
モリモトB C
沈殿
荷下ろしドンキー待ち
10月2 8日
金
モリモトBC
沈殿
荷下ろしドンキー待ち
10月2 9日
土
モリモトBC =>
10月3 0日
日
キャンジン沈殿
10月3 1日
月
キャンジン
キャン ジン
<=>
リルンBC(4316m)
往復
墓参、メモリアルプレート確認
11月1日
火
キャンジンゴンパ
=>
11月2日
水
ラマホテル
シャブルベシ
=>
ラマホテル
シャルパゴン経由
11月3日
木
シャブルベシ
11月4日
金
カトマンズ
=>
11月5日
土
カトマンズ
11月6日
日
13: 50カトマンズ
カトマンズ
(車 6時間)
曇り時々晴
曇り時々晴
パーミッション預け金チェックアウト
TG320‐ 18 :25
曇り時々晴
晴
バンコク23: 30 -TG 62 2,2 3: 50- TG 642
11月7日
月
7:0 0関空, 8:1 0成田
晴
$単価
数量
USD計
$1400
1
$1400
2リエゾン代
$1800
1
$1800
.
シェルパ装備代&日当
$1300
3
$3900
シェルパ保険代(生命保険、事故保険)
$450
3
$1350
コック保険代
$150
1
$150
コック装備代&日当
$900
1
$900
BC、トレック装備、炊事道具1式レント
$1000
1
$1000
ポーター日当、トレックコスト(輸送、
$1500
3
$4500
$600
1
$600
<グルカルポ・リ
経費報告>
2011/11/07
1登山料(ロイアリテイ) メンバー
3人
日本円
食事)シェルパ高所食
エージェント手数料
個人
$15600
小計
3.装備代(メンバー)
酸素ボンベ
4L
350気圧(緊急用)
レグレーター(レンタル)
EPI ガス
個人
4.食料
5.渡航費+viza($40+$39+700BH)
6.カトマンズ滞在費
6 日間 宿泊$66/人
換算@83.80 (2011.2)
個人負担
7 特別会 計分
1
$360
$200
1
$200
$10
33
$330
$890
小計
¥1000/day
高所用
$360
¥17000
3
¥51000
¥148280
3
¥444840
¥18000
3
¥54000
¥183280
(1)
$16490
合 計¥ 643900( 1+2)/人
3=
$400
6
$2400
$150
2
$300
$50
6
$300
$8.75
40
$350
$3.5
30
$105
アイススクリュー
$40
10
$400
雪スコップ
$70
2
$140
$110
6
$660
$80
6
$480
マット
$40
6
$240
衛星電話(レンタル)
$250
1
$250
$50
3
$150
$8
14
$112
$40
1
$40
ザイル
50m
8mm
フィックスロープ
200m
6
8mm
カラビナ
スノーバー
60cm
コッフェル、炊事用具
EPI
¥460621( 2)
.装備代(共同装備)
4 人用
高所テント
(¥ 1381862)
4人用
ヘッド
プラスチックドラム
100L 用
60L 用
荷物整理袋
デポ代(KTM & Kyanjun)6 カ月間
.トランシーバー、バッテリー、デジメモ
換算@ 84. 5 ( 20 11. 2)
特別会計合計
¥ 552612 ( 3+ 4)
¥51780
小計
$5927( 3)
(¥ 500832)
¥51780( 4)
写真‐1(C1
デポサイト
4818m)
写真‐3(C2
デポサイト
5544m)
写真‐4(逆くの字ルンゼルート、雪崩現場)
写真‐2(C1
5300m)
写真‐5(最高到達地点
N28
12′28.2″、E085
5627m
45′14.0″
写真‐6(ランシサ氷河を挟んで
にて)
写真‐7(また来ます。逆くの字、スノーリッジ
BC
隊員 H
ドルジェ・ラクパの北西稜)
何れから上るか?)
荷役ロバ
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