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調査結果の概要
Ⅱ 調査結果の概要 本調査の目的は、沖縄県民の保健・医療・福祉に関する意向や要望を把握し、今後の 県レベルでの「保健医療計画」の策定及び推進の基礎資料を得ることにある。調査期間 は平成 19 年上旬、調査対象は沖縄県全域(41 市町村)に住む満 20 歳以上の成人男女 であった。調査対象は 2,000 名であったが、市町村別に人口の比例配分により抽出した 際、対象者が 10 名に満たなかった町村については、幅広い意見を聴取するため、その 数の 10 倍を対象者として抽出し、集計の際に 10 分の 1 に割り戻した(そのため回答 者数が一部小数点表示となった) 。その結果、無作為抽出法で選ばれた 2,484 人(男性 1,239 名、女性 1,245 名)に対して調査票を郵送により配布した後、調査員が訪問回収 した(一部地域を除く)。 回収率は 46.2%、有効回答率は 45.9%であった。各設問の回答は、年齢階級別・男女 別(それぞれ 426.1 名、474.5 名)および年齢階級別・地域別(都市部:608 名、準都 市部:230 名、その他の地域:69.8 名)にグラフ化し、属性の違いによる回答の傾向を 把握・検討した。 1 基本属性 回答者の年齢階級別内訳を見ると、最も多いのが 50∼59 歳(20.3%) 、次いで 30∼ 39 歳(17.7%) 、40∼49 歳(17.3%)であった。収入を得る仕事があると回答した人 の割合は、全体の 59.7%であった。職業の内訳を見ると、最も多いのが事務職(16.5%) で、次いで販売・サービス(15.7%) 、労務・技能工(9.9%)の順であった。 BMI 指数は、 男性は女性に比べ、 比較的若い世代である 30 代から肥満の割合が多く、 約 4 割を占めた。60 代男性は 49.1%と、約 2 人に 1 人が肥満であった。女性は、50∼ 70 代の肥満の割合が 4 割を超えた。20 歳の頃の体重と現在の体重の変化量の平均値を 見ると、女性は 20 代から 50 代まで加齢とともに徐々に増加しているが、男性は 20 代 から 30 代にかけて大幅に体重が増加する傾向が見られた。 現在の生きがいについて、男性は女性に比べて「趣味やスポーツ活動」「仕事」を選 択する人が多く、女性は男性に比べて「子どもや孫の成長」「友人・知人とのながり」 を選択する人が多い傾向にあった。 2 健康に対する意識・健康づくり 最近の健康状態について、男女ともに 20 代から 70 代まで「まあ健康な方だと思う」 と回答した人の割合が多かった。健康を保つために大切なことについて、地域別に見る と、「その他の地域」では「あくまで自分自身が節制につとめる」や「健康に良いと思 われることを積極的に行う」を選択した人の割合が多く、健康に対する意識が「都市部」 や「準都市部」に比べて比較的高かった。健康を保つために行っていることについて、 男女とも、加齢とともに「定期的に健康診断を受けるようにしている」人の割合が多か った。 嗜好に関しては、女性では若い世代ほど甘いものをよく食べる人の割合が多かった。ま 5 た 20∼30 代において外食が多い人の割合は男女ともほぼ同じだが、40∼50 代では男 女に大きな相違がみられた。規則正しい食事をしている人の割合は、20 代男性で約 4 人に 1 人と少ない割合であった。 意識的に運動するよう心がけている人の割合について、男女ともに 60 代で最も多く、 ストレスをいつも感じる人の割合は、男女ともに 40 代(男性:29.6% 女性:30.1%) が最も多かった。 「毎日の生活が充実している」と回答した人の割合を地域別でみると、「その他の地 域」が「都市部」、 「準都市部」に比べて全体的に高かった。性別では男性は 50 代(58.8%)、 女性は 80 代以上(61.5%)でその割合が最も少ない傾向がみられた。 うつ病ではないかと思ったらどうするかということについて、男性は全体的に「もう しばらく様子を見て決める」と回答した人の割合が多かった。また、男性は「我慢する」 と回答した人の割合が女性に比べて多い一方、女性は「誰かに相談する」と回答した人 の割合が多い傾向がみられた。 この 1 年間に健康診断を受けたと回答した人の割合について、 男性は 70 代 (85.5%) 、 女性は 80 代以上(84.6%)で最も多かった。最も少ないのは、男性は 20 代(51.3%) 、 女性は 30 代(47.9%)であった。地域別で見ると、 「都市部」は 20 代(52.6%)、 「準 都市部」及び「その他の地域」は 30 代(それぞれ 44.4%、46.5%)で受診率が低い傾 向があった。「その他の地域」の 40∼70 代の受診率は 8 割強であった。 生活習慣病になりかけたら保健師から個別に指導を受けたいと回答した人の割合に ついて、男性は 20 代(63.8%) 、女性は 40 代及び 70 代(69.8%)で最も多かった。 地域別に見ると、「その他の地域」の 40 代(93.8%)が最も多い割合を示していた。 3 かかりつけ医 医療機関を受診するときに、軽い病気は診療所に行き、重い病気は病院に行くという 考えについて「その通りだと思う」と回答した人の割合を見ると、男女とも 70 代(男 性:68.5% 女性 67.9%)が最も多かった。一方、軽い病気だと思った場合でも、診療 所ではなく、まず病院へ行ったことがあると回答した人の割合について、男女ともに 80 代以上で最も多く(男性:82.3% 女性:69.2%)、加齢とともに多くなる傾向にあ った。軽い病気だと思っても病院へ行く理由として、男女とも「病院の方が診療科目が 多く設備が整っているから」と回答した人の割合が最も多かった。その他 60 代以上で は「かかりつけの病院があるから」と回答した人の割合が多かった。 「病気になるといつも相談するかかりつけの医師がいる」人の割合は男女とも 80 代 以上で最も多く(男性:61.9% 女性:69.2%) 、加齢とともに多くなる傾向にあった。 反対に、「かかりつけの医師・医療機関はない」と回答した人の割合は、男女とも 20 代で最も多かった(男性 66.7% 女性:70.3%)。 「かかりつけ医」を持たない理由として、男女とも「あまり病気をしないから」と回答 した人の割合が最も多かった。 6 4 薬局・後発医薬品 薬局は「患者が自由に選べることを知っている」と回答した人の割合について、男性 は 30 代(67.9%) 、女性は 50 代(80.6%)で最も多かった。20∼70 代では男性よりも 女性の方がその割合が多かった。 「かかりつけ薬局」を知っている人の割合について、男性は 80 代以上(72.6%)、女性 は 70 代(71.2%)で最も多かった。反対に最も少ないのは、男性は 20 代(22.6%) 、 女性は 30 代(45.6%)であった。 「かかりつけ薬局」を知っている人のうち、利用して いる人の割合を見ると、男女とも加齢とともに多くなる傾向にあった。 後発医薬品を知っている人の割合について、男性は 30 代(58.7%) 、女性は 20 代 (66.4%)で最も多く、若い世代ほど知っている人の割合が多い傾向にあった。後発医 薬品を処方してもらったことがない人の割合について、男性は 60 代(56.0%)女性は 40 代(64.3%)で最も多かった。地域別では、60 代以降、 「都市部」 「準都市部」では、 後発医薬品を処方してもらった傾向がみられたが、逆に「その他の地域」では、処方し てもらったことがないという回答が、加齢するに従い、多くを占めていた。 後発医薬品を処方してもらいたいと思う人の割合について、男性は 20∼50 代で「薬 代が安くなるなら処方してもらいたい」人の割合が多く、60 代以上では「医師が薦め るなら処方してもらいたい」人の割合が多かった。一方、女性では加齢に従い、「わか らない」という回答が多くなる傾向がみられた。 5 医療機関の選び方 医療機関を選ぶ際、参考にするものとして男女とも「家族、友人、知人からの情報」 を選択する人が最も多かった。女性は 20∼50 代で「広告」 、20∼30 代で「インターネ ット」を参考にする人が男性よりも多かった。地域別でみると「準都市部」の 20∼40 代は「インターネット」を選択する人が多く、 「その他の地域」では 40 代以上で「保健 所など行政機関や医師会の情報」を選択する人が多かった。 体が不調の際、どのような医療機関を選ぶかについて、男性は 20∼60 代で「地域の 比較的大きな病院」を、70 代以上で「かかりつけの医師」を選択する人が多かった。 女性は 20∼40 代で「症状によって診療所や病院を選択する」を、60 代以上で「かかり つけの医師」を選択する人が多かった。地域別で見ると、 「都市部」の 70 代以上で「か かりつけの医師」を選択する人の割合が多かった。 利用する医療機関の場所が自分の住む市町村にあると回答した人の割合について、男 女ともに半数以上を占めていた。しかし地域別では、「その他の地域」で比較的に他市 町村の医療機関を利用する傾向がみられた。 医療機関までの所要時間は、 「15 分未満」及び「15∼30 分」を選択する人が大半で あった。地域別で見ると、 「その他の地域」では 50∼60 代で「30 分∼1 時間」を、80 代以上で「1 時間以上」を選択する人が多い傾向にあった。 この 1 年間に医療機関を変えたことがある人の割合について、 男性は 70 代 (19.5%) 、 女性は 20 代(14.8%)で最も多かった。医療機関を変えたと回答した人の理由として、 男女とも「自分や家族の判断で変えた」人の割合が多かった。 医療機関の詳細な情報について知りたいと回答した人の割合について、男性は 30 代 (76.7%) 、女性は 40 代(64.5%)で最も多かった。医療機関の詳細な情報について特 に知りたくないと回答した人の理由について、男女とも 60∼70 代で「医療のことは医 師に任せる」を選択する人が多かった。 7 6 在宅医療 自宅での療養を望む場合どこに相談するかについて、男性は 20∼60 代まで「病院・ 診療所」を、70 代以上は「かかりつけの医師」を選択する人が多かった。女性は 30 代 を除いて「かかりつけの医師」を選択する人が多かった。 家族に在宅で看護・介護が必要な人がいると回答した人の割合について、男性は 60 代(13.1%)、女性は 70 代(13.9%)で最も多かった。また 80 代以上では、介護が必 要な人がいるという回答者は男性で 0%であったのに対し、同年齢の女性では 7.7%で あった。地域別で見ると、 「その他の地域」は 20∼30 代、 「準都市部」は 40 代、 「都市 部」では 50 代以上で在宅で看護・介護が必要な人が家族にいると回答した割合が多かった。 特に必要としているサービスに対する回答は、男性の 20 代では「リハビリテーショ ンの指導」、 「住宅改修」という回答が多く、その後加齢と共に「ヘルパーによる援助」 、 「通所介護」の回答が多い傾向にあった。女性では、20 代から「通所介護」 、そして加 齢に従い、 「ヘルパーによる援助」の回答も多くなる傾向がみられた。 「自宅で最期まで療養したい」と回答した人の割合について、男性は 20 代及び 80 代 以上で最も多かった。一方、女性は 20∼50 代で「自宅療養→緩和ケア」、60 代以降は 「自宅療養→入院」との回答が多かった。地域別では、 「その他の地域」の 70 代以降で 「なるべく早く医療機関に入院したい」と回答する人が目立った。 自宅で最期を迎えたいと回答した人の割合は、男性は 40 代、女性は 80 代以上で最 も多く、地域別では「都市部」のほぼ全年齢層で最も多かった。一方、 「準都市部」 「そ の他の地域」では、高齢になるに従い何処で最期を迎えたいかが「わからない」と回答 する傾向があった。自宅で最期を迎えたくないと回答した人の理由として、男女とも「介 護してくれる家族に負担がかかりすぎる」からという人の割合が最も多かった。 7 医療機関への要望 現在の医療に対する満足度について、男女とも「満足している」人が最も多かった。 一方、「不満である」人の割合は、男性で 40 代、女性で 80 代以上が最も多かった。 今後特に充実を望む医療として、男女ともに「がん対策」を選択する人が最も多かっ た。また、加齢とともに「高血圧や心臓病対策」、 「糖尿病等の生活習慣病対策」、 「脳卒 中対策」を選択する人が多くなる傾向にあった。20∼30 代の女性は「小児救急を含む 小児医療」 、 「周産期医療」を、80 代以上は「在宅医療」を選択する人の割合が多かった。 地域別の傾向として、「都市部」で「がん対策」を、「準都市部」で「小児医療」「救 命救急医療」を、 「その他の地域」で「へき地医療」を充実してほしいと要望する人が比 較的多かった。 8