Comments
Description
Transcript
﹃東アジアの結婚と女性 ﹄ ﹃顳顬﹄
婚姻形態と動向、などを論述したものであ 化と女性独身現象、更に現代台湾の女性の 新 刊 紹 介 る。 本 書 は、 著 者 に と っ て の 第 一 句 集 で あ り、平成十二年から二十四年までに詠まれ ﹃顳顬﹄ 三栖隆介著 ︵二○一二年九月 勉誠出版 A5判 二 二七頁 税込二五二〇円︶ ︹劉 一鳴︺ 仁平道明編 ﹃東アジアの結婚と女性 文学・歴史・宗教﹄ 女性は、人類歴史が父系社会に入って以 来、男性の従属地位に置かれ、自分の思う た句を年代順に集めた一冊である。その一 ままに生きられず、﹁圧迫﹂﹁拘束﹂を受け き方を典型的に示すものの一つとされる 者の関連論文を十六篇収めたものである。 序論を除いて日本・中国・韓国・台湾の学 ら考察し、展望しようとするものであり、 度について、文学作品に見られる問題点か またその背景となっている思想・宗教・制 花冷や朱線増えゆく注釈書 校門で煙草吸ふ母運動会 深海の如冷房の大書庫へ 刺青を恥ぢぬ腕や更衣 夏期講座最前列にいつもの子 立冬やまた図書館に奴が居る ﹁萬﹂﹁古﹂知らぬ生徒や秋暑き いにしへ 本論集の所収論文は、国別で配列し、そ れぞれ日本の上代から近世までの結婚事 西日濃き岩波文庫置かぬ書肆 よろづ 情、中国の古代と現代の結婚及び漢籍に書 ている。それは如何なることか、女性の生 ﹁結婚﹂から窺うことができるのであろう。 古書店の匂ひ親しき薄暑かな 部を以下に掲げる。 本論集は儒教の文化圏にあった東アジア の女性の結婚を中心に、その歴史と変化、 かれた女性の結婚、それに韓国の婚姻風俗 被災地の地酒眠らせ冷蔵庫 カラマーゾフ読破へ逸る夜の秋 や朝鮮時代の女性の結婚及び韓国の家族変 くづし字のいよよくづるる炎暑かな 学生時代より近世文学を専攻している研 究者としての顔や、教壇に立つ際の教育者 としての顔が句から垣間見える。是非とも 多くの人に味読していただきたい一冊であ る。 ︵二〇一二年九月 本阿弥書店 四六判 二一〇頁 税込二九四〇円︶︹長田和也︺ 〔 〕 75