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食品中の機能性成分を活用した新しい食品素材の開発 .

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食品中の機能性成分を活用した新しい食品素材の開発 .
食品中の機能性成分を活用した新しい食品素材の開発
静岡大学 農学部 村田健臣 河岸洋和 朴龍洙
焼津水産化学工業㈱ 又平芳春 兎束直昭
〔研究内容〕
高齢化や心身ストレスに起因する各種疾患が社会問題化している今日,予防医学的側面から食品中の健康
維持に貢献する機能性成分が注目されている.しかしながら,生理作用は未解明な部分が多く,食品素材とし
て実用化に至っていないものが多い.たとえば,乳児にとって最適な食品である母乳には,牛乳中にはない多
様なミルクオリゴ糖が含まれているが,大量調製が困難であるためその機能性の解明が遅れている.一方,県内
で豊富に生産されている栽培キノコや富士山麓などに自生する野生キノコ成分の生理機能研究は未だ発展途
上にある.そこで本研究では,酵素工学的な手法を駆使して各種ミルクオリゴ糖を量産化すること,栽培および
野生キノコから新しい機能性成分を探索することにより,新しい機能性成分を開拓し,新規な食品素材を開発す
ることを目的とした.
ミルクオリゴ糖の重要な構成単位である N-アセチルラクトサミン (Galβ1,4GlcNAc) は.すでに共同研究企業
の焼津水産化学工業㈱において量産化に成功している.そこで,この二糖を出発原料にして,市販ウシ胎児血
清の 80%飽和硫安沈殿画分を酵素源とし,この粗酵素画分に含まれるβ1,3GlcNAc 転移酵素およびβ1,4Gal
転移酵素により,N-アセチルラクトサミン関連三糖および四糖のワンポット合成を行うことに成功した.さらに,本
オリゴ糖の大量合成系の確立のために,昆虫細胞遺伝子発現系を用いてヒト由来(β3GnT)の大量発現をおこ
なった.発現したタンパク質が細胞内に蓄積,分解されないよう細胞内の翻訳後修飾を活発化させるためにヒト
由来カルネキシン共発現系を構築した.その結果,シャペロンを導入した細胞は,導入しなかった細胞の酵素
活性に比べ,約 4 倍高く,更にウイルス発現系に比べ,11 倍高い発現系の樹立に成功した.
栽培あるいは野生キノコを多く入手し,レクチン,オリゴ糖類,多糖類などの糖質関連分子の抽出・分画を行い
これら分子の単離,構造決定,機能性の評価を試みた.本年度は,食用キノコの一種であるトキイロヒラタケから
新規レクチンを見出したので,これを精製し,諸性質,機能性を明らかにした.その結果,それぞれキトオリゴ糖,
乳糖に特異性を有する2種類のレクチンを単離することに成功した.
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