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中国南京シンポジウム - 関歯科/矯正歯科医院

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中国南京シンポジウム - 関歯科/矯正歯科医院
中国南京シンポジウム
中国南京訪問と学術カンファレンス( NOV.12-13, 2010 )
[ 2010 Nanjing International Technology Transfer Conference]
< November 12-13,2010 Nanjing,China >
中国南京シンポジウム
NOV.12-13.2010
【目次】
P.2 はじめに・・・
P.3 南京訪問の経緯
中国南京訪問と学術カンファレンス
P.6 中国江蘇省南京へ
P.9 紫金山にある南
京国際会議ホテルへ
P.10 江蘇省主催の
レセプションパーティー
P.11 分科会
P.12 南京口腔病院
P.16 南京市内の見学
Nanjing
と友人主催の歓迎会
P.19 南京第一病院
P.21 南京『貴賓楼』で
の懇親会
P.23 そして帰国…
中国南京の「夫子廟(フウシビョウ)」景区
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はじめに…
今回、旧知の同級生の計らいで中国南京で開催される、日中民間外交の一つである南京市と江蘇省主催
の技術交流のシンポジウムに参加し、日本の歯科事情、及びインプラント等に特化した専門症例の発表を
行う機会を頂きました。
[ 2010 Nanjing International Technology Transfer Conference]
< November 12-13,2010 Nanjing,China >
という名目のカンファレンスで、江蘇省と南京市の共同主催の大掛かりな技術交流の一環です。
南京に行って先ず感じたのが、このカンファレンスの力の入れように正直「たいへんなことになってるな...」
というのが第一印象でした。
各国のビジネスマン達はホテル会場でのプレゼンとなっていたようですが、医科と歯科の分科会は実際の
『口腔病院』と、『南京第一病院』の中のカンファレンスルームおよび VIP 来客ルーム内での専門分野のド
クター達との交流となりました。
2
今回なかなか触れられない中国の歯科事情について、実際に訪問してみた感想をレポートにまとめました
ので、ご興味のある方はご覧ください。
南京訪問の経緯
今回お世話になった私の友人は、中小ながら IT の分野で仕事をしている SE(システムエンジニア)集団を
束ねる会社のトップで、クライアントからの依頼を受けてのオリジナルシステムを構築する事を、仕事の一
翼としている、人情味あふれる魅力的な人物であります。
同窓会がきっかけとなり、当医院の HP の作製も担当してもらった人物です。
多分、もっと様々なニーズの仕事をこなしていると思いますが、分野の違う私にはうまく説明できないため、
この程度でご勘弁ください。詳しくは彼の会社の HP < http://www.cool-si.co.jp/index.html >をご覧く
ださい。
そもそも今回の訪中は、昨年35年振りの同窓会で偶然といっていい再会を果たして以来、交友が深まって
いく過程で起こった偶発的なイベントだったのです。
オール・ジャパンのメンバーです
折しも、尖閣問題や、反日デモ、日中トップ会談のキャンセル等で、新聞紙面をにぎわせている中、何故中
国訪問か...? と普通に思うところではありますが、日本の 10 倍の人口を抱える国民が皆反日か..?.とい
えば決してそうではないと思い、今回の降って湧いたような話に乗らせていただいたのです。
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出鼻をくじかれたような、なんともタイミングの悪い社会情勢の中での訪中話ではありましたが、こんな機会
がなければ多分一生中国、南京に行くことは無かったかもしれないとの確信もあり、千載一遇のチャンスと
の想いも相まって、内容等はあまり理解しないまま、同級生との旅行気分での計画となりました。
共に同行したもう一人の同級生はガンの第4の治療である NK 細胞を使った治療をしている第一人者でし
た。
現在、新聞紙上でも何かと話題のガンの免疫療法の一つである NK(ナチュラルキラー)細胞を使った、ガ
ン細胞のピンポイント治療で効果を上げている。彼は銀座で開業している内科医(腫瘍内科医)です。専門
分野はそれぞれ違いますが、医療というくくりでは一緒です。
現在彼は、京都にある免疫細胞培養施設で培養したナチュラルキラー細胞を使用してガンの治療に役立
てています。私が説明すると認識違いの事もあるやもしれませんので、このガン治療に興味のある方は次
の HP をご覧ください。
<http://www.myclinic.ne.jp/ginza7/pc/>
彼もまた、中学、高校の同級生で、今回の旅行はもはや、必然に近い偶然としか言い表しようのない、再会
同級生メンバーでの訪中となった次第です。
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もともと一介の歯科の開業医で、大学で教鞭を執っているわけでもなく、いわゆる学会やセミナーでおなじ
みの顔の先生でもない私が、日中の技術交流のシンポジウムに参加すること自体、自分でもとても不思議
な気がいたします。
矯正やインプラントの分野において技術紹介するならば、当然私より適任者がいる事は百も承知ですが、
ここは乗り掛かった船の延長で沈没覚悟の「気合い」だけで引き受けちゃいました。
「旅の恥はかきすて...」との言葉もあります。中国南京で私が何を講演しようが日本で非難されることはきっ
とないに違いありません。普段行っている治療の方法と、自身の経時的な症例だけを紹介する事に恥じ入
る事はないのです...と思うとなんか気が大きくなり、調子に乗ってしまいました。今回は症例の発表がメイン
でしたので、矯正症例とインプラント症例を各 10 症例づつ持参いたしました。
少々話はずれますが、私が大切にしているものの一つに 『縁(えん)』 があります。
学校で友人に会うのも『縁』、伴侶に合うのも『縁』、35 年振りの同窓会で再会をするのも『縁』であるし、今
回の訪中もきっと何かの『縁』だと思っています。
『袖すれ合うも何かの縁...』とも言います。
また、徳川家指南役の柳生一族の家訓に『小才は縁に会っても縁に気付かず 中才は縁に気付くも縁を生
かさず 大才は袖すれ合う縁をも活かす』ともあります。
この縁を活かして大成功をおさめようとは思いませんが、この良縁に身を委ねようと思い中国南京へ向か
った次第です。
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もうひとつ大切に思っている事は、自分の 『勘(カン)』 です。
開業を考え、ここで診療しようと思いたったのも『勘』、テナントから脱却し、戸建て開業に踏み切ったのも
『勘』、都内にマンションを購入した時も『勘』だった...。
振り返ってみれば、どれも成功する保証、確証は全くなく、周囲の反対を押し切って借金をしたが、自分の
その時の『勘』は間違ってはいなかった。
今回の訪中は、まさにこの不思議な『縁(えん)』と自分の『勘(カン)』が共鳴した結果の産物であったと思い
ます。この、他の日本の歯科医達がなかなか経験できないであろう舞台をセッティングしてくれた同級生に
本当に感謝しています。
ただ、南京市の会場に着き、レセプションパーティーに参加したあたりから、思っていたよりも大掛かりな接
待攻勢に、共に参加した内科医の友人と「ずいぶんたいへんなことになっちゃったね....」と話ながらも、ずい
ぶんと酒量が増していきました。
乾杯の文化は日本と少々違い、お互いの絆を強くする為の欠くことのできない儀式のようなものだというこ
とを聞いていたが、確かにそのような感じがした。
日本では食前酒は食欲を喚起するためのものだが、中国では友好を深めるアイテムになっているようだっ
た。名刺代わりに 40 度を超える白酒(バイチュウ)を注ぎあい、一気に飲み干し、酒杯を逆さにして全部飲
んだ事を互いに確認しあい、話が始まる…。今回中国の乾杯文化にも触れた楽しい旅でした。
中国江蘇省 南京へ
中国東方航空の搭乗口は新成田空港第2ターミナルの一番奥にあった。多少疎外感のあるターミナルポジ
ションだったが航空路線参入が遅かったためなのだろうか?
南京への直行便は週2日(木曜と日曜)しかないため、木曜出発、日曜帰国のスケジュールでした。上海に
飛ぶ際は羽田からのフライト便があるのだが、この点がちょっと難点だろうか?
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成田から中国東方航空 MU776 便にてほぼ定刻どおりに出発し、約3時間のフライト予定で南京に出発し
た。時差は1時間。ほとんど国内旅行と変わらない旅だった。機内のサービスも悪くはないが、3時間のフラ
イト時間を考えると食事のサービスは不要なのだが...機内食は日本人にしてみるとちょっと微妙かも? た
だ、おつまみのザーサイは本格的な味付けでとてもおいしかった。
久しぶりの海外旅行(?)だったが、とても快適な空の旅だった。機内で Departure Card をもらいパスポー
ト片手に諸々記載する面倒は仕方ないが、旅慣れた友人のおかげですぐ終わり、中国への入国準備もす
ぐ済んだ。南京は霧が多く、この時期天候による離発着の遅れが多くあるようだが、運が良かったのか、ほ
ぼ定刻に南京空港に到着した。
3時間のフライトはあっという間で、気が付いたら着陸準備に入っていた。アナウンスは中国語、英語と最
後にたどたどしい日本語であったが、日本語より英語の方がわかり易かった。着陸地は中国南京空港。タ
ーミナル直結ではないため、タラップを降りてバスに乗り込み、入国審査ゲートへ。
ほとんどが、観光というよりビジネス主体の渡航客のように思えた。日本と違い、中国の空港は軍事利用も
されるため写真を撮って捕まってもいけないと思い、南京空港の写真は撮らずじまいだった。
個人の旅行だと、空港から南京市内までタクシーかバスらしいのだが、今回の旅は友人の計らいで移動も
食事も観光も全て至れり尽くせりの超 VIP な待遇となっていた。
空港から南京市内までは約 40 分位だっただろうか?
中国・南京市の城壁
途中は至る所でマンション建築の工事が行われており、古い建造物の周囲に新しい近代的なビルが着々
と建設されている様は、一昔前の日本の様だった。
南京市を囲む石作りの城壁は歴史を感じさせる景観だった。
この修復管理には日本人からの多額の寄付があてられていると説明を受けた。
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昔の南京大虐殺の悪しきイメージは時の流れと共に薄れてきているようだが、我々日本人としても正しい歴
史認識を持たなければならないと感じた。
何事も、反省なくしては前に進まない。次回、もし南京を訪れる機会があったら、目をふさぎたくなるような
歴史資料館にも足を運びたい。
さて、初めて中国南京を見た感想は、一言で言うと「活力に溢れた青天井の国...」といったところだ。歴史を
回顧している余裕が無いほど、至る所でせわしく工事が行われていた。
そのせわしさが、かえって歴史を忘れさせているのかは不明だが、南京の人たちは皆友好的で、居心地が
良かった。
そこかしこが工事中の為なのか、季節のためなのか良く分からないが、済んだ空気とは言えない感じも含
めて中国を実感したが、空気と水は「ただ」という感覚の今の日本は世界から見ればかなり特殊なのだろう。
ほどなく南京市内に入ってまず驚かされたのは交通事情だ。南京市内は朝夕は車のラッシュでかなり混雑
している。クラクションも鳴りっぱなしだ。日本の単発のクラクションではなく、3秒以上鳴らし続けるクラクシ
ョン音は、私には喧嘩を売っているように思えたが、中国では普通らしい。また、車線変更にはウィンカーを
出さず、接触ギリギリの割り込みが普通のようだ。遠慮してたらいつまでたっても前に進まないため、チキン
レースのような車線変更で平然と運転してくれている運転手さんの技術には脱帽だ。4~5 ㎝の間隔を平気
ですり抜ける運転間隔が無いと、免許を持っていても中国南京のラッシュ時の運転は無理ではないだろう
か?
何十回も南京を訪れている友人も、決して自分では運転しないらしい。
また、洗車の習慣が無いのか、水が不足しているのか、どうなのか解りませんが、ほとんど埃だらけの車ば
かりが目に付いた。ベンツや BM、レクサスといった高級車は流石に手入れも行き届いているようだったが、
ほんの一部だ。細かな事は気にしないお国柄なのだろう。というか、中国大陸特有の天候のためなのか不
明だが、洗車をしてもすぐに埃だらけになりそうな感じのため、無駄なことはしないのだろうか?ただ、北京
在住のビジネスマンによれば少なくとも北京や上海ではそのようなことはないらしい。
日本では洗車場は多く見かけるが、そういえば洗車しているような場所は見当たらなかった。日本のような
洗車ビジネスは中国には受けると思うのだが...?
さらに驚かされたことは、ヘルメットなしで2~3人乗りは普通ともいわんばかりに、バイクが車の間を縫って
いく様は日本では見る事はない。おまけに、自転車に改造エンジンをつけた、形は自転車だがバイクのよう
なスピードの改造自転車(?)が車道を平気で走っている。
「自転車にはねられないように気をつけてね!!」とアドバイスされたことはこの事だったのかと納得した。
発展途上の勢いのある時期は些細なことには目が届かないのだろう。
この風景を見ると、日本は規制でがんじがらめのような気がして、かえって融通が利かない気がしてならな
い。
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紫金山にある南京国際会議ホテルへ
空港から約 40 分位だろうか?
インターナショナルコンフェレンスホテルオブ南京(南京国際会議大酒店)は中山陵風景区内に位置する。ホテ
ルは別荘や各種客室などからなり、各種レストランが 26 軒、1000 人収容の大ホール、6種の言語の同時翻訳
ホール、大小18の会議室、設備の充実したビジネスセンター、娯楽施設などがあるビジネスマンにはうってつけ
のホテルだ。
南京市内の渋滞を抜け、軽井沢の周囲を思わせる、ちょっとリゾートっぽい一角にあるホテルへ着いた。日
本でそのホテルを HP で調べると4つ星のホテルであったが、着いたホテルは5つ星の自己申告表示が...
言った者勝ちの中国らしさが伺える一面だろうか?
サービスはやはり日本が一番のように感じたが、日本に追いつくのは時間の問題だろう。
紫金山(しきんさん)は中華人民共和国江蘇省南京市北東部に位置する山。
紫金山にある紫金山天文台は中国最大規模の天文台で、その歴史も古く、毛沢東など歴代の指導者達が
必ず訪問するというくらい由緒正しい(?)天文台らしいが、今回は講演の都合上見る事は出来なかった。
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次回の訪中の折には是非行ってみたい所だ。
山頂は山頂公園として整備されており、山頂からは南京市内が一望できるそうだ。
紫金山の一角に中山陵があり、そこには孫文の墓がある。
中山陵は中華民国の臨時大総統である孫文の陵墓ということだ。孫文(字は中山)は、清朝を倒した辛亥
革命の指導者である。明孝陵、中山陵は南京を代表する観光地なのだそうだ。南京といえば孫文の陵墓で
ある中山陵があることで中国人なら誰でも知っているほど有名らしい。南京に来たのだから中山陵を見学し
なければ南京観光の意味が無いが、ここもまた、時間の関係で次回のお楽しみとなった。
江蘇省主催のレセプションパーティー
日本ではなかなか見ない赤がバックのパネルにシンポジウム開催の文字。品川プリンスの飛天の間のよう
な(もう少し狭いが...)大広間に丸テーブルがいくつも並んでいた。
このレセプション会場は、宿泊ホテルではなく、中山陵の中の迎賓館のような所で行われたようだ。色々な
ホテルからこの会場にシンポジウム出席者がバスで送迎されてきたようだ。
指定されたテーブルには 8~10 人位が座れる大きさだ。よく解らないまま、指定された席に座り、乾杯が終
わると次から次へ食事が運ばれてきた。左隣は中国語しか話せない中国人だったようで、乾杯しか意思の
疎通ができなかった。右隣は、上海でもビジネスを展開する日本人だった。インフラ関係のビジネス展開を
中国で行っているらしかった。日本で報じられている反日デモや、尖閣問題はビジネスには全く関係ないよ
うな話だったが、多分ビジネス内容にもよるのだろう。パイプがあればビジネスの話は障害なく進むらしい。
会社の大小より、人間関係がビジネスの基本のようだ。その点は日本より融通が効く。
さて、レセプションパーティで次々に運ばれてくる料理は、中国風フランス料理のフルコースメニューだった。、
和食の繊細さと、フランス料理のこだわりには及ばないものの、かなりのボリュームで美味しかった。質より
量といった感も否めないが、私には十分すぎるもてなしに感じた。このパーティーには、かなりの時間と費
用がかかったと思われるが、全て江蘇省持ちといわれ、技術交流には太っ腹の中国政府の意気込みを感
じられた。招待客をもてなす心は、日本の文化と似たところがあり、言葉こそ違えど根底に流れる気質はそ
う変わらないのではないのだろうか。
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分科会
今回のシンポジウムの明文は『CO2 削減の技術交流』であったが、実際はインフラから建築資材、車の部
品、公的整備...等の大型プロジェクトの売り込みプレゼンが主体だったようだ。そんな中にあって、医科、歯
科の分科会は日本の医療技術機器の導入というより、一般開業医レベルの治療紹介というような要望が
あったのかもしれない。レセプションの大義名分とは少々離れた医科・歯科の分科会はちょっと特別だった
ような気がした。
[日本のおみくじのようなもので、お金を結んで投げて祈願をするらしい]
レセプションパーティーが終わった翌日、午前中に南京市内の『口腔病院』に伺った。
南京市内で唯一の歯科専門病院らしい。
中国では基本的に開業医(歯科も含めて)はいないらしい。
ほとんどが研修を受けた後、大きい病院に勤務する様になるという。
ただ、中国の若者は医者、歯医者になるよりも政府役人や会社設立を目指し起業する希望が多いという話
だ。この話は2日目に伺った『南京第一病院』の産婦人科教授で病院長に聞いた話で信憑性が高い。病院
長の肩書を持つ産婦人科の先生でも、この1年間衣服を買った事はないと話していた。どちらの病院の先
生方も質素な感じで、成金感覚は全くない様に思えた。私服も派手さは全くなく、白衣を脱いでしまえばとて
も医者には見えない。(それが普通なのだろうが...)
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南京口腔病院
南京市内の交通量の多いメインストリート沿いにその病院はあった。
南京は田舎町という先入観があるかもしれないが、市内には近代的な高層建築も多数あり、近い将来大き
く変化するだろう楽しみな活気のある街という印象だった。
近代的な高層建築物の横には古い建築物があったりする、少し不思議な景観もそこかしこにある。日本で
もそうだが、街の総合開発にはいろいろと問題があるのかもしれない。南京でもバブルのころの日本のよう
な地上げ屋のようなものが存在するのか、少々心配になった。もし、土地の個人所有が認められているの
であれば、地上げ屋の天国かもしれない…。
車の渋滞で少々遅れたが、『南京口腔病院』入口には、出迎えの人が沢山並んでいた。病院長と、矯正や
外科の教授クラスのドクター達であったと後で聞かされた時には恐縮してしまった。
病院の外観は、さほど大きいとは言えないが、結構古くからある歯科専門病院ということだった。
10 階位ある全てのフロアは全てのフロアは歯科のための診療階となっている。
患者は随分と多いような感じがしましたが、一般開業医のいない(多分… )南京に唯一という口腔専門病
院ということを加味すると、少々少なめかもしれない。
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イメージとしては渋谷 109 位の広さで、丸いビルを四角くして少々歴史ある感じにした建物を想像して頂く
とちょうどよいかもしれません。
1階は総合受付のスペース。
2階より上が診療科別の診療室件各医局となっているようだった。少し驚いたことは、口腔病院 7 階フロア
は他の階と違い、赤ぬけた仕様になっており、特別診療フロアとなっていると説明を受けたことだ。このフロ
アは患者がドクターと時間を指名、指定できる、特別診療エリアということだった。公的病院ではっきりと一
般診療と、特別診療エリアを分けていること自体、驚きであったが、特診室ニーズは多いらしい。お金持ち
はこの階の診療室を利用するらしい。日本でいう差額診療がはっきりと診療階で隔離されているようだ。
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今回はインプラントと矯正症例のプレゼンテーションのため、矯正科と口腔外科の階、及び特別診療室に
あるインプラント処置室を見学させていただいた。
予定時間が過ぎていたこともあり、駆け足での見学後、通されたところは矯正階にあるカンファレンスルー
ムのようなところだった。
既に医局員たちだろうか、多くの Dr.達が集まっていた。病院長か医局長のような方の挨拶後、紹介され、
当医院で行っている矯正症例を数例紹介した。本来はインプラント治療主体でのプレゼンを用意していた
が、矯正科でのプレゼンのため、矯正治療主体でのプレゼンに切り替えての紹介になった。
当初、Dentist 向けのプレゼンではなく、一般の高所得者向けの講演のように思っていたが、聴講者は同業
者のみということでかえって話はし易かった。
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プレゼン後、医局長らの治療例も紹介され、通訳を介してだったが、いいコミュニケーションが得られたよう
な気がした。
驚いたことに、紹介された矯正治療例は私が使っている MEAW(マルチループ エッジワイズ アーチ ワイ
ヤー)が使われていた。
もともと、この治療は韓国出身でアメリカのボストンで開業していた Dr.Kim(残念ながら他界した)が紹介し
た方法で、日本でも神奈川歯科大学の佐藤貞夫教授が広めた矯正の治療方法である。MEAW の学会も
でき、個々の歯をコントロールする方法として高い評価を得、この治療を取り入れている矯正専門医も多く
いる。
中国南京の歯科専門病院でこの方法を使い矯正治療を行っていたことについては、非常に喜ばしくも思え
た。
この日の昼は、市内のホテル内の中華バイキングに招待された。
中国は、日本と同様、来賓を大切にする文化があるようだ。知人、友人をもてなす心は日本人以上かもし
れない。
日本のようにお洒落なお店がそこかしこにあるわけではないが、十分すぎるくらいに来客をもてなす心は伝
わってきた。
とても感激した一日だった。
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南京市内の見学と友人主催の歓迎会
『南京口腔病院』プレゼンの後、友人の案内で南京市内を見学した。
南京の市内は、どことなくノスタルジックな雰囲気のする、落ち着く街並みだった。
孔子が勉強したとされる観光5つ星ランクの『夫子廟(ふうしびょう)』は結構多くの観光客で賑わっ
ていた。南京の有数な歓楽街でもあり夜遅くまで賑わっているようだ。
16
一角には路地があり、孔子ゆかりの建物の周囲を囲んでいた。路地沿いには小さな土産屋が並んでおり、
日本でいう横丁(よこちょう)のような感じだ。
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素敵な歓迎会の席には、乾杯のためのアルコール度数の高いバイチュウと、歓迎の胡弓の生演奏、異常
に高音階な歌、駒芸等で楽しませてくれた。
18
南京第一病院
翌日は南京市で一番大きな規模の『南京第一病院』での講演だった。
当初、2日目の講演は私の友人の「ガン免疫療法」に関する最新医療事情の講演のみの予定だったが、急
遽インプラントと矯正の話題も...との依頼があったため、2人で講演を行うこととなった。
「ガン免疫療法」の話は、全くの専門外だったが、友人の説明がうまく、かなり有効な治療法のように思えた。
一言に免疫療法といっても、様々な方法があり、また、どこにできるガンなのかによって治療効果が異なる
事もよくわかった。
更に、ガン細胞をピンポイント攻撃する免疫細胞を培養する大変さもよく理解できた。
免疫療法はよく高額療法と揶揄されるが、この培養の労力を考えればいた仕方ないのかもしれない。「免
疫療法」が多く普及すればコストが下がり、ガンに対する新治療の恩恵を受けられる人が増えるのに...と思
ったのは私だけではないはずだ。
19
ただ、今の日本の医療制度では、最新治療の恩恵を享受できる患者さんはかなり限られるのではないだろ
うか?
生きる事にお金がかかるのは仕方が無いことかもしれないが、もし最新の治療でガンが治るのなら、国費
を投じて率先して治療法を開拓してもらいたい。「2番じゃダメでしょうか...?」などと悠長なことを言っていな
いで、研究費を国費で投じれば、医療先進国の日本ならきっとできるはずだと思うのだが...??
医療では日本を追いかけている中国だが、あと数年で追いつかれるかもしれない。
中国のドクター達は、それだけ海外技術に対してアグレッシブさを感じさせる目の輝きと情熱を持ち合わせ
ていた。
さて、私の講演ですがここではインプラントの症例を中心に紹介させてもらった。
約5症例の経時的インプラント症例と、当医院のインプラント術前準備についての紹介をさせていただく時
間を頂戴した。
「南京第一病院」の歯科診療室も見学させていただく事ができた。
診療機器は、見た感じでは「口腔病院」の歯科専門病院の方が揃っているようにも見えたが、ここの病院で
もインプラント治療は標榜科目として案内板があり、通常診療と同様盛んにおこなわれているようだった。
20
インプラント特診室(個室)も見せていただいたが、日本での診療室の方が明るく清潔に思えたが、10 年前
は日本の医療事情も似たような環境だったような気がする。医療の進歩はめまぐるしく変わる。日本の 10
年より、これからの中国の 10 年の方が進歩は早いかもしれない。
南京『貴賓楼』での懇親会
『南京第一病院』のプレゼン後、市内『貴賓楼』(さも高級そうな中華店)に、腫瘍外科、口腔外科、矯正科の
医局員たちとの懇親会があった。
私の隣には「南京第一病院」の婦人科医局長が座っていた。私服になると、日本の医者のような派手さは
なく、地味だがインテリジェンス溢れる女性だった。日本の女性のようにお洒落にはあまり興味はないらしく、
21
一年間洋服を買ったことが無いと言っていた。
大きな丸テーブルに本場中華(南京料理)の数々、乾杯は「白酒(バイチュウ)」という 40 度以上位の蒸留
酒。
食前酒を飲むような小さなショットグラスのような酒器に次から次へと注ぎに来る....。
日本と違うのは、自分でも同じように注ぎ、「乾杯(カンペー)」と同時に一気に空ける。その後は、グラスを
逆さにし、飲み干したことをお互い確認し、互いの距離が縮まるようだ。「中国ビジネスを成功に導くために
は、先ずお酒に強くなければならない…」というのは確かにうなづける。
なんか、学生時代に戻ったような飲み方のようだった。驚くべきは、女
性も結構一気に飲んでいた事だ。話に聞く限りでは、「白酒(バイチュ
ウ)」は蒸留酒らしく、次の日にはあまり残る事はないらしい。
確かに、日本酒を飲みすぎた翌日よりも「白酒(バイチュウ)」を飲みす
ぎた翌日の方が残らない感じだった。
中国では、この「白酒(バイチュウ)」での乾杯の儀式ができないと、商
談に支障をきたすらしい。恐るべき中国文化の一端を垣間見た感じだ
ったが、意外と飲み慣れると美味しいお酒だ。日本の酒に例えると「泡
盛」が一番近いだろうか?
アルコールが好きな人には是非中国の「白酒(バイチュウ)」を薦めたい。
22
そして帰国…
歓迎会でしこたま飲んだ翌日の朝は 5 時にチェックアウトだった。
朝の航空便に間に合うように早朝に出発しなければならなかったが、意外と前日のお酒も残っておらず、も
う少し南京を見てから帰りたいという思いを抱きながらホテルを後にした。
今回の中国での講演、及びインプラント医、矯正医との懇親会は私にとって非常に有意義なものとなった。
他国の文化、医療事情に接する事ができ、また南京市内の大きな病院も見学する事ができた。同じ仕事を
している中国のドクター達と意見を交わし、医療交流ができた事が何よりも嬉しかった。
今回の私の貴重な経験は姉妹提携した病院間であってもなかなか難しい事だったようにも思える。
中国南京の歯科医療事情は、私の見た限りでは病院側の医療設備、患者側のデンタル IQ 等は日本と同
じレベルとは言い難いかもしれないが、近い将来追いつかれる事は間違いないと確信した。
今回のシンポジウムで感じたような、アグレッシブさは今の日本にはなく、むしろ追い抜かれる危機感すら
感じさせる体験だった。
パクリ上手な国との批判はあるだろうが、かつての日本もそのような時期はあったはずだ。
パクリのやりすぎは感心しないが、医療に関しての手技は真似ることから始まる。インプラントや矯正の手
技を真似るということはとても大切なことだ。
今回の私の拙い症例発表が、訪問先の南京の専門医達の勉強になったとは思えないが、少なからずお互
い多少の刺激にはなったのではないだろうか?
今回の訪中は同級生のお陰で実現した。
この貴重な体験をプロディユースしていただいた彼には感謝してもしきれない思いだ。
このレポートの場を借りて、再度お礼を言わせて頂きます。
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Fly UP