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事故を減らすコミュニケーション
事故を減らすコミュニケーション 【 関■ ‐ 書報│1飯 島運送.(有 )..長 谷 1 依子 ll‐ 私は運送会社で、車の仕事の予定を決める「配車係」という担当です。配車係 になつた時、私はまだ若 くて、運 転手さん達 は私よりずっと年上で、そして私は女なので「本当に私で出来 るのだろうか?」 と不安でいつぱいでした。 その不安はすぐに的中し、すつかり自信をなくしてしまったことがあります。 運転手さんの仕事は、予定では夕方 5時 までには終わると思 つていても、道路が混んでいたり、どこかで事故があっ て渋滞にまきこまれたりすると、帰社するのが遅 くなり、翌日の予定を急に変更しなくてはならない事がよくあります。 配車担当者が、年配者だつたら運転手さん達も、もつと言う事を聞いてくれるかもしれないけれど、新人の私の組 んだ配車には、皆さん予定通りに終了しない仕事の不満を大いにぶ ちまけていくものでした。 私 はどうしたらいいか分からずに、ただただ謝り続けていました。運転手さん達 とのコミュニケーションが出来て いないと、不思議なもので、この頃は小さな車庫内での事故も多くて、私は己の不甲斐なさを、痛感 していました。 ある日、年の近 い運転手さんが私を見 かねたのかこんなアドバ イスをしてくれたのでした。「なんかオドオドしす ぎだよ。配車担当者は、もつと自信を持 つて指示 しないと駄目だよ。皆が君のこと甘く見るぜ。 」 い いいん ルール にするには、どうし ?考 たら だろう えた末、私は自分に を作る事にしました。 甘く見られな 様 まず、運転手さんには丁寧語でしか話し掛けてていなかったのですが、心がけて少 し砕けた会話 に変えていきま した。こうすることで、年齢の差の距離を少しづつ縮ませていこうと思いました。 また、運転手さん達と少しでも仲良く出来るように、運転手さんの作業服のボタンが取れていたら、さりげなく付 けてあげるなど、なにかと世話を焼くようにしました。そして、昼食時間が合えば、一緒に食事をする事を、努めて 行なうようにしました。一緒にご飯を食べながら、雑談の中で私の仕事上での相談をしている内に、私が困 つてい る事を皆に知ってもらうことが少しずつ出来て、知らず知らずの間に、スムーズに仕事が流れるようになっていった のです。 ある日、「何故うちの会社 は、つまらない事故が多いの ?」 と、私は運転手さんに聞いてみたことがありました。 すると運転手さん達も、その立場から、いろいろな対処方法の意見を言います。例えば、車庫に黄色い日立つライ ンを引いて車を駐車する場所をわかり易くすると良いのでは・・など、名案がい くつもあるのです、私 はそれらを、 ただ聞き流すのはもつたいないと思うようになりました。運転手さん達 は、シャイな性格 の人が多いので、自分から 率先して会社や社長に意見する事が得意ではありません。そこで、私が代わりに意見書を作成 して提出すことにし ました。この意見はすぐに採用され、お陰で車庫内での接触事故は、劇的に少なくなりました。 こんな事を体験 している内に、私自身だんだんと仕事に自信を持てるようになり、変わっていることに気付くので した。 私は今、間違いなくいうことが出来ます。良い仕事を行うのも、事故を減らすのも、人と人との繋がり、円満なコ ミュニケーションが不可欠なのだということです。私は、これからも人と人との繋がりを大切 にした仕事を続けてい きたいと思っています。 安 全 運転 の秘訣 【 貯 lf概 】 ‐飯島運送(有 )鈴 木‐ .亨 私は、運送会社に就職して三十年。 交通事故を起こしたくないと、日頃から思 つている。それは、会社にも家族にも迷惑をかけること、心配をかける ことが嫌だからだ。 重大事故は、誰だつて起 したくないのは当たり前だ。だが自分 が幾ら気をつけていたって、見知らぬ相手が安全 運転を心がけているとは限らない。 また、運にも左右される。だから私 は、運はどうにもできないが、せめて私だけでも、自分ができる精一杯の安 全運転をしようと心に決めている。 今日は皆さんに、その方法を教えようと思う。 その 1に 、自分が毎日、仕事で使っている車を大切にする。 朝の日常点検はもちろん、エンジンをかける時、走行中も、車から聞こえる微 かな音を聞き逃さないようにしてい る。だから私は運転中もラジオや音楽を聞かない。例えば、万一ファンベル トが延びてしまっていたとしても、切れ てしまう前に必ず聞こえるであろうベル トが滑る小さな音を、聞き漏らしてしまいたくないのだ。 その2は 、荷物の積み込みをするため、車から離れる時にも、必ず車を思う意識を忘れない。 「車が傾 いてはいないか?」 、「タイヤに亀裂が無いか?」 、「ランプにヒビは無いか?」 車から離れてこそ見える、車両の確認をしているのだ。 その3、 走行中は、道路を走つているたくさんの車の中で、「わたしが一番、運転が下手くそだ。 」 と、思うように している。自意識過剰な傲 つた気持ちは、事故の元だからである。人間は謙虚さが一番だ。 その 4、 仕事をしているとストレスは必ずあるが、私はいつも優 しい気持ちを持つ事を忘れない。運転中に危険 な追い抜きをかけられてイライラする気持ちになることもあるが、そんなときは妻の顔を思い出す。 共働きである我が家の妻は、毎日フルタイムで働いてくれている。 「今も頑張 つて仕事をしているのだろうな―。 」 と、思うと小さな事でイライラして大声を出したくなっている自分 が恥ずかしくなる。そして不愉快な運転をしてくる相手に、優 しい気持ちで「どうぞお先に │」 と譲る事ができるの である。 道路をノロノロと、歩いているお年寄りを見かけたら、四十二歳の若さで亡 くなった父親を思い出すことにしてい る。実際のオヤジには、親孝行できなかつたが、その分をここで恩返ししよう!と 、良い意味で気持ちをすり替えて、 「オヤジ、気を付けてゆつくり行けよ。 」 と自分自身にゆとりを持つ。 最後に、交通事故はお金がかかるということを忘れないでおきたい。 うちが共働きなのは、年金も当てにならない昨今、老後夫婦二人、南の島で安泰に暮らす夢の為に貯全をしてい るからだ。事故で車が壊れてしまったら、とても高い修理費がかかる。身体を怪我してしまったら、いくらお金がか かるか分からないのだ。老後の壮大な計画がパーになってしまう。 後悔は後からでは間に合わない。交通事故とは本 当に馬鹿馬鹿 しいものである。 私の定年まであと十数年、私はこれからもこの方法で、無事故無違反を目指 していきたい。 6 質向上は不可欠なものになります。 我 々は公道 を利用 していますので、ひと度事故を起 こせば交通渋滞 につながり、大きな経済的損失を招きます。 その礎となるのが「安全輸送」です。「安全」と「安心」を提供し「信頼」を勝ち取るため「安 運送会社におかれては、 「グリーン経営認証取得」の我が社においても環境保全活動の取り組みを全社 全最優先」に企業活動を行い、又、 的に行い、一人一人が安全に対する取組みを実施、経営者、運行管理者、乗務員の信頼関係で結ばれてこそ、安 全が成り立つと思つています。 あの 事故 の教 訓 か ら │1離 IF411市 議 送 (株 )1蹴木■正和 もう15年 も前の出来事です。 東京の倉庫会社で荷物を 10ト ントラックに手積みで満載 し、福島に向け出発しました。首都高速を経て、常磐自 動車道の谷和原 :Cで 降りました。幹線道路を数分走行後、脇道に入りました。脇道と言 つても、大型 トラックが問 題なく走れる道幅で、当時良く利用した慣れた道です。この走り慣れた脇道で、この先事故を起 こすとは考えもしま せんでした。 流れに沿 つて時速 55 Kmで 走行 していました。この道路、事故を起こすまで気にもせず走行していましたが、実 は制限速度は時速 40 Kmで す。ある意味スピード違反です。高速道路を走行 した直後のせいか、時速 55 Kmが や スピー けに遅く感 じていました。そのため、 必然と車間距離も詰まってしまったのかもしれません。その様な状況の中、 ドメーターで速度を確認し、視線を前方に戻しました。 すると、あってはならない光景が目の前に飛び込んできました。なんと右折待ちの渋滞の列ができていたのです。 一瞬に背筋が凍りつきました。慌てて急ブレーキをかけるも「時すでに遅 し」で全く間に合わず、渋滞 の列の最後 三台と次々 尾 に追突し、鈍 い衝突音とともにタイヤのゴム臭が辺リー面を覆いました。一台だけでは収まらず、二台。 に衝突し、自車を含め4台 の事故となってしまったのです。 その時 「一体何 が起きたのだろう、どうしよう」と半ばパニック状態に陥りました。 トラックから飛び降り、すぐ 事故の相手の元にむかいました。追突してしまった最初の車両は2ト ントラックで、3人 の女性でした。その前は軽 ワゴン車の女性、先頭 は2ト ン保冷車の男性で した。全員出血するケガはしていないようでしたが、突然の衝撃で 首やお腹の痛みを訴えている方もいました。 救急車を手配 しようとしましたが、救急車は必要ないとのことでした。携帯電話で 110番 通報 しました。「事件 か 「場所 は?」 、 「けが人は?」 などと質問が相次ぎました。パニック状態で何を話したか記憶がありません。 事故か?」 、 「携帯電話でもしていたのか !」 など、 警察官が現場に来るまで相手の方に「ちゃんと前見て運転 していないのか │」 、 厳 しい言葉を受けました。携帯電話や居眠りは一切 していませんでしたが、私はただ謝るしかありませんでした。 正直、その場から立ち去りたい気持ちに駆られました。警察官が到着するまでの約 20分 がものすごく長く感じま した。 、「前車を発見 したのはどの 警察官が数名現場に至1着 し、実況見分が行われました。「ブレーキはどこで掛けたか」 辺か」 、「なぜ発見が遅れたのか」 、「居眠りをしていなかったか」などを問われました。事故の直接原因は速度超過 と車間距離不足、前方不注視でした。 間接的な原因は、いつもの走 りなれた道で危険が潜んでいることなど考えず、ただ漫然運転となっていたことは 確かです。 後 日、被害者のケガの状況報告がありました。先頭の保冷車の男性にケガは無か つたようです。他 の 4名 の女性 は「頚椎捻挫により2週 間程度の治療を要す」との診断で、通院するとの事でした。 8 事故 から約 lヵ 月後、所轄の警察 から呼び出しがあり、取調べを受けました。不安な気持ちで臨んでいると、担 当の警察官の方はとても寛大で不安がだいぶ和 らぎました。帰りに警察の方に言われました。「あなたの上司は、こ の事故 に対 し誠心誠意を持 つて対応 している。感謝しなさい」 と。自分 が起こした事故なのに上司にも迷惑を掛け てしまつたと痛感 し、改めて反省しました。 郵便で通知 が届きました。内容 は「免許停止 60日 」という職業 ドライバーにとっ 警察 からの呼び出しから数週間後、 「免許停止 30日 」なのですが、 実はこの事故を起こす2ヶ て辛い結果です。この事故の点数は8点 だつたので本来なら 「免許停止 60日 」となっ そのときの 1点 が加算され累積 9点 となり 月前程にシー トベル ト未装着で交通取締 りを受け、 てしまったのです。シー トベル トで取締りを受けた時は、「たかが 1点 」 と思っていましたが「されど 1点 」になって ― しまいました。 後日、指定された日に運転免許センターヘ行き丸 2日 間、講習と実技をきっちり受けました。身の引き締まる思い でした。 講習を受け、免許停止期間が 29日 短縮されましたが、残りの約 lヵ 月は運転ができません。当時の勤務先では助 手として働かせてもらえましたが、現在のような不況の状況では解雇もあり得たかもしれません。 「運が悪い」 この事故の被害者の方とは、3ヵ 月で示談が成立 しました。違反者講習を受けた時、受講者の会話で、 と言 つている人がいましたが、本当に「運が悪い」だけなのでしょうか。 反対に、無事故無違反のドライバーは「運 が良い」だけなのでしょうか。交通社会 においては、運を良くするも 悪くするも、自分自身ではないかと思います。決して神様が決める訳ではなく、日ごろの行動や考え方によって変わ 「なぜこんなことをしてしまつたのだろう」とか「運 るのではないかと私 は思つています。事故や違反を起 こしてから、 が悪い」 と思う前 に、まず自らの運転 に対する意識を変えて事故や違反を起 こさないよう工夫する必要があると思 います。 ある安全運転講習ビデオで 「逃げ道のスペースを作る」と見 たことがあります。信号待ち時、停止線より少し手 前に止まつてスペースを作 つておけば、万一追突されても、横断歩道の歩行者を守ることができる。 また、片側 2車 線の道路で隣の車と並走 しなければ、その分 スペースができ、いざとい う時、そのスペースに逃 げることができるというものです。これはほんの一例ですが、この様なJヽ さな工夫の積み重ねが事故を未然 に防い でくれるのです。 あの事故を教訓に、車間距離は多すぎるぐらい取 つて走 っています。車間距離を大きく取 つたことで、ヒヤリとし たことが減りました。また、 大型車がひと度事故を起 こすと事故も大きくなってしまうと頭 に据えるようになりました。 免許を取得して 20年 近くなりますが、違反 はあのシートベル ト未装着 1回 のみです。あの 1点 の重みや事故を起 こした時の幸い思いを時々振り返り、事故や違反を起 こさない工夫を模索 しながらハンドルを握る毎日です。 私は、この体験記を書くことで、当時の事故を再び回顧することができて非常に良い機会 となりました。被害者 も加害者もそして周囲の人たちすべてが悲惨な目に合わないためにも、日本全国から事故が無くなるよう願 つてやみ ません。 ずっと十才の友達 『内輪差』という言葉を初めて知つたのは、小学校四年生の時だつた。 その日の朝礼は、いつもと全く雰囲気が違つていて、先生方に笑顔を浮かべる様子すら無かつた。 ・ ・ ・?何 だろう?何 かあつたのかな?』 子供ながらに不思議に思つた。やがて、 『 いつも通り校長先生が段上に上がり、 手にしていた紙袋から二つに割れた黄色いヘルメットを頭上に掲げた。 9