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2013年度 - 公益社団法人京都保健会

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2013年度 - 公益社団法人京都保健会
京都保健会 2013 年度事業報告
1.はじめに
2013 年度の特徴と位置づけを以下としました。
1. 2013 年度は吉祥院病院リニューアル工事が完了します。京都市内病院構造転換第一期完了年度であ
ると同時に、第二期事業計画(2013~2017 年度)の初年度として位置づけます。第二期事業の柱は「2017
年度に中央病院本館リニューアル着手をめざすこと」です。消費税増税、公共料金値上げ等厳しい経営
環境のなかでも事業計画執行が可能になるように事業活動・経営活動を展開します。
2. 全日本民医連第 40 期第 2 回評議員会決定から、今後 1 年間の重点課題について具体化をはかります。
3. 理事会で決定する事業計画の遂行と予算執行に全力でとりくみます。
4. 公益社団法人としてふさわしい法人の事業活動を前進させます。
2.中央病院リニューアルをめざす事業活動の到達と経営活動の概況
2013 年度は、京都市内病院構造転換第一期事業計画を完了すると同時に、中央病院本館リニューアルを
中心とする次期事業計画づくりをスタートする年度として、事業活動を展開しました。
京都民医連中央病院の「地域完結型医療をめざす病棟再編課題」では、本館南 2 階病棟(産婦人科・乳腺
外科)の 4 床を西館へ移動し、西 2 階病棟(障害者施設)52 床、西 3 階病棟(医療療養)50 床を 4 月より稼動し
ました。回復期リハビリ病床を 12 床増床(障害者施設病床 12 床減)して急性期・がん等のリハビリテーションを
強化する計画は医師体制が確保出来なかったこと等により具体化出来ませんでした。大腸肛門病センター、
腎循環器センター、化学療法、緩和ケア、乳腺外科、泌尿器科、リハビリテーション科等、各診療科の診療支
援技術分野の強化を進めながら、救急、集中治療、急性期・がん等のリハビリテーションの強化をはかり、チ
ーム医療推進として認知症ケアチームを発足しました。急性期病院に必要な施設整備として細菌検査室を開
設、感染管理の質向上をめざしました。第三者評価のとりくみでは、新たに、医療機能評価付加機能評価(緩
和ケア病棟)を受審しました(2014 年 5 月認定)。臨床研究の活性化、QI指標にもとづく医療活動を評価し医
療安全の質向上にも経年的にとりくみました。第1回がん診療地域連携セミナーを開催しました。設備環境整
備では手術室空調を改修、療養環境整備では全職員の総意を集め美化推進チームによる持続的な療養環
境の改善をすすめました。
最重要課題である医師確保と養成(研修含む)分野では、2013 年 4 月から初期研修医 7 名、後期研修医 1
名があらたに研修を開始しました。2014 年度初期研修医は 3 年連続フルマッチしました。合わせて、専門医
制度に対応できる後期研修の整備、医学部教育(実習受け入れ)等を継続強化してきました。既卒医師確保
プロジェクト、医師労働改善、女性医師就業支援のとりくみも継続しました。あらたに、救急科専門医認定施
設、日本リハビリテーション医学会認定基幹研修施設となりました。認定看護師は 2014 年度に計画している
分も含めて、認知症看護、脳卒中リハビリテーション看護、救急看護、集中ケアコースに研修派遣し、帰任す
れば計 12 名となる予定です。ワーク・ライフ・バランス推進プロジェクトのとりくみや、「育ちあう・成長しあう職場
づくり」も継続して推進してきました。教育病院の機能を高めるため、2014 年 3 月に教育研修センター(南館)
を開設しました。
まちづくりでは、災害対策の強化として、防災訓練を地域で連携してとりくみました。京都中・右京健康友の
会との共同では、地域支部活動への参加、会員拡大等にとりくみましたが大きな前進をはかることに成功して
いません。シャトルバス送迎運行は、路線拡大・変更でネットワーク強化と利便化をはかりました。
経営活動では、外来収益は透析、外来化学療法の収益増に加えて、救急患者の受け入れ増、大腸肛門
病センター、腎循環器センター等のとりくみ強化により患者・収益増となり予算を達成しましたが、入院収益は
予算未達成、前年からも減少しました。要因は、下半期の外科医師専門研修派遣、泌尿器科医師の退職に
よる患者数の減少、手術収益の減少、第4四半期より回復期リハ病床 12 床増・障害者施設病床 12 床減を見
込んだ予算計画の未実施によるものです。いずれの課題も「医師体制の確保」がポイントです。事業費用は
人件費(退職給付引当繰入予定計上と常勤費用の減少)、減価償却費減等で予算内執行となり、結果、2 年
連続で利益目標を達成しました。市内病棟構造転換事業による病床移動で 411 床化した病棟を、地域完結
型医療をめざす病棟へ再編する課題、京都市西北部の急性期・教育病院機能を前進させる課題は 2014 年
度以降に引き継ぎます。
吉祥院病院はハード面で困難が予想された現地立替を無事遂行し、京都市初の複合型サービス事業を
10 月から開始、「機能強化型在宅療養支援病院」の機能を前進させる形を整えました。外来医療では新しい
慢性疾患医療活動計画が下半期より軌道に乗り始めました。入院医療では、安定した看護体制確保の課題
は抱えつつも、ベットコントロールの改善を継続、前期を上回る占床率と入退院数を実現しました。4 月からは、
リハビリ施設基準の届出を行い、入院リハビリテーションを本格的に再開しました。在宅医療では在宅専門医
研修施設の認定を受け、在宅患者入院連携パスの運用も試みも開始しました。半年間のリニューアル工事期
間を抱えての事業展開のなか、経営活動では、収益は入院・外来とも予算未到達、費用は上半期にリニュー
アル関連と職員確保(主に看護師)費用の超過により発生した大幅な赤字を下半期で取り戻すことが出来ず、
経営改善は足踏みしました。市内病院構造転換事業の成功という点では、2014 年度の黒字化は必須の課題
です。
京都協立病院は、「在宅医療の強力なネットワークとしてさらなる強化をはかる」、「友の会とともに一部署一
地域貢献活動をすすめる」、「防災マニュアルの見直し」、「高齢者医療・ケアのさらなる向上」、「予算を達成し、
次期事業を可能にする経営と組織を探求する」ことを事業・経営活動方針の柱にして活動を進めました。前年
より更に厳しくなった医師体制の下、県連的支援も受けて奮闘しました。経営活動では、入院医療を担う医師
体制の厳しさと外科常勤医なしでの疾患幅の減、次年度に向けた病棟機能の変更準備等で入院延数が予
算・前年ともに減少、稼働率も上がりませんでした。収益は前年を確保したものの予算は未達成でした。外来
では患者数が予算を下回っているのに加えて日当円も下回り、予算・前年とも未達成となりました。費用では
人材委託比率 87.4%の改善が急務です。
法人全体の入院患者件数は 99.9%・▲11 人、延患者件数は 100.3%・725 人でした。件数は中央減、吉祥
院・協立微増、延件数は中央・吉祥院微増、協立減です。在宅含む外来患者件数、延べ件数はともに減少し
ました。在宅は増加傾向であり、純粋な外来患者減が続いています。1人医師体制になった吉祥院こども診
療所の患者減が特記されます。健診は 110.8%で吉祥院の増加が顕著です。ワクチンは小児ワクチンを中心
に減少しました。介護事業では、訪問看護(訪問リハ含む)は件数・延べ数とも 105%と伸ばしました。訪問介護
はわかばの減少が顕著です。職員体制の縮小が主要因ですが、2014 年度に向けて立て直しがはかられてい
ます。通所介護はあやべを除き苦戦、利用者確保に成功していません。居宅支援は北西部で人事異動を行
い、共通の目標にむかって改善がはかられつつあります。
職員状況は、常勤換算で対前期 101.4%です。中央病院の看護補助加算類上げによる看護助手、診療支
援課独立による事務、細菌検査室開設による臨床検査技師、リハビリ強化による理学療法士、吉祥院病院の
複合型サービス開設による介護福祉士の定数増などの事業活動が反映しています。しかし、定数の関係では
看護師、作業療法士、薬剤師等、計画通りに確保が進まない職種も多く存在しています。医師は研修医を確
保したことによって総数は横ばいですが、理事会所属の常勤医が減り、嘱託医が増える構成に変化していま
す。中央病院開設、新たな診療所建設を担ってきた医師が順次定年退職を迎える中で、現行の事業所を維
持していくことすら厳しい状況に更に拍車がかかっています。再来年からは初期研修医の定数減がほぼ確定
しています。定数枠数の初期研修医の確保、後期研修医の確保と養成と合わせて、中堅・ベテラン問わず民
医連に医師を向かい入れることが保健会の発展方向を描くための最重点課題です。
3.医連運動の前進と共同組織活動
友の会の組織拡大は、依然として「秋の月間頼み」の域を出ておらず、一進一退の状況が続いています。
地域でまちづくりを推進する支部活動は、いくつかの地域で画期的な実践がされていますが、それらの経験
を友の会全体へ広げるという点で大きく立ち遅れています。監事監査では「友の会へ向き合う事業所・法人の
姿勢の弱さが友の会活動の低迷だけでなく、民医連運動にも現れていると感じる。保健会・事業所が乗り越え
るべき課題として正しく認識すべき。このまま推移すれば、中央病院リニューアル計画にも重大な影響を与え
るだろう」と指摘を受けました。地域理事・社員会議(京都府北部、京都市北西部、京都市南部)では、法人全
体の事業活動や到達を報告し、意見交換を行うとともに、友の会が質的・量的前進をはかるために必要な組
織的課題を実際の友の会活動と照らし合わせながら、また、他法人の経験も交えながら情報提供を行い、議
論を進めてきましたが、飛躍をつくるには至っていません。
監事監査では、「事業所管理者とのヒヤリングで民医連らしさにこだわる姿を感じることが出来なかったこと
が残念」との講評もありました。その時々に提起される民医連運動課題に対しては真摯に向き合ってとりくんで
いますが、激突・激変の情勢に立ち向かう実践の飛躍が求められます。
4.公益法人としてふさわしい活動の前進
公益法人として認可を受けて3年が経過し、引き続き、「地域医療貢献・支援のため地域中核病院及び関連
病院の専門的医療を提供する事業」、「地域中核病院及び関連病院による救急、高度医療の充実に資する
事業」、「医療に関わる人材育成・地域貢献を担う事業」、「当会設立趣旨による社会的役割としての受療権の
保障」の公益目的事業に沿った事業活動を、中央病院を中心に着実に進めてきました。無料低額診療事業
は 72,473 人(9.34%)が利用、減免額は 132,816 千円でした。前年度比では、入院の減免数が 135.4%と増加、
減免額は入院で 15.7%伸びました。
企業の社会的責任を果たすとりくみとしては、第6回理事会で「環境方針」を確認、2014 年度上期中の環境
マネジメント「エコアクション21」の審査、認証、登録をめざしてとりくみをすすめました。公益法人にふさわしい
会計活動を進めるため、会計監査人による法定監査の補完を主目的とする内部監査を継続強化しました。リ
ハビリ部の設立、介護事業部長の専任化など法人機能強化に向けたとりくみを進めました。
以上
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