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2014年第87号 - 福岡市立病院機構
福岡市立こども病院・感染症センターWeb 広報 87号(偶数月 15 日発行) 病院の理念 Fukuoka Children’s Hospital すべてのこども達とご家族の健康と明るい未来を 願い、時代にふさわしい病院を目指します。 み ら い 〒810-0063 福岡市中央区唐人町 2-5-1 Tel 092-713-3111 Fax 092-713-3120 ホームページ http://www.fcho.jp/childhp For the future of our children 目 次 診療科・部門だより 眼科 内分泌・代謝科 新生児科 看護部(4 階病棟) 看護部(5 階病棟) 栄養管理室 医療安全管理室 トピックス 人事往来・あとがき ………… 1 ………… 1 ………… 2 ………… 2 ………… 3 ………… 3 ………… 4 ………… 4 ………… 5 ………… 5 新病院の外観!! 診療科・部門だより アイパッチ 片眼にシールのような眼帯をつけているお子 さんをご覧になったことはないでしょうか? 片眼の遠視・近視・乱視が強い場合、もしく は斜視や眼瞼下垂から片眼の視力が不良の場合、 あるいは弱視となる恐れがある場合、遮閉法と いって良い方の眼を隠して苦手な方の眼を鍛え るという弱視訓練があります。シールのような アイパッチから眼鏡に付ける布パッチ、眼鏡を すりガラスのようにする眼鏡箔などいろいろ あります。視力が伸びる時期というのは限られ ていて、おおよそ就学前、とくに 5 歳以下で施 行すると効果が出やすいです。 では、いったいどれくらいアイパッチをすれ ば良いのかというと、少なくとも 1 日 2 時間 以上はした方が良いというデータがあります。 眼科 瀧 瑠美子 効果は時間に比例するといわれていますので できれば長時間頑張ってもらいたいところです が、容易ではありませんので短時間でも続けて もらうことが重要です。また、遮閉することで 視力が若干下がることもありますので、時間に ついては視力をみながら決めていきます。 最近は、保育園・幼稚園でアイパッチや眼鏡 の装用に協力的な施設も増えてきて、眼科医 としては喜ばしい限りです。個人差があり、短 時間で効果が認められる場合がある一方、なか なか視力の向上に結び付かない場合もあり、 外来で視力を測る度に「視力が伸びています ように」と願っています。周りで、アイパッチ をしているお子さんを見かけられたら、温かく 見守っていただけますと嬉しいです。 内分泌・代謝科の特徴と受診時のお願い 当科は、こどもの内分泌疾患(ホルモンの 病気) 、 糖尿病および生活習慣病の診療を行って います。 対象となる疾患は多岐にわたりますが、 新患の約半数は成長障害を心配しての受診です。 小児の内分泌疾患自体、成長と関連することが 多く、 受診後は数年に亘る経過観察が必要です。 また、生涯にわたって治療を必要とする疾患 が多いことも特徴であり、遺伝的相談が必要な 場合もあります。当科の糖尿病診療では、看護 師、栄養士、薬剤師が糖尿病療養指導士の資格 を取得し、チーム医療として取り組めるように なりました。今後も、福岡、九州、西日本に おける小児の内分泌、糖尿病診療の中心となる べく、また研究面では新たな情報発信ができる ように努力していきたいと考えております。 最後に、受診時のお願 いです。初診では 30 分〜 1 時間かけて診察を行い ますので、緊急の場合を 除き、受診予約をお願い します。緊急を要する疾 患では、担当医から、直 接、ご連絡くださるよう にお願いします。また、 内分泌・代謝科 内分泌の病気は成長と 都 研一 関連しますので、出生時 の情報と成長の経過が 重要です。母子手帳と身長・体重の記録(○ 歳 △ ヵ月の時、□ cm、◇ kg の形式で)を忘れ ずにご持参ください。 新生児科から一言 RS ウイルス感染症の季節になりました。RS ウイルスは,乳幼児の呼吸器感染症の重要な 原因であり、細気管支炎や肺炎を起こします。 予定日より早く生まれた赤ちゃん(在胎 36 週 未満) ,生まれつき呼吸器(肺)や心臓に病気を 持っている赤ちゃん,免疫不全を伴う赤ちゃん やダウン症の赤ちゃんが感染すると,重症化 しますので注意が必要です。1 年を通じて感染 が見られますが, 特に秋から春頃に流行します。 福岡ではここ数年 8 月頃から感染の流行が認め られています。 パリズビマブ(商品名:シナジス®)は,一 シナジス接種の目的は、 般的な予防接種とは異なり,遺伝子組み換え そのため RS ウイルスに対する免疫システムを 技術により作られたモノクローナル抗体です。 維持するために毎月の接種が必要になります。 乳幼児の免疫システムは未発達であり抗体を 接種対象の赤ちゃんは,忘れずに接種してくだ 作る力が弱く,さらに早産児はお母さんから受 さい。 RS ウイルスに対する免 疫のサポートを作り,RS ウイルス感染症の重症化 を防ぐことにありますが、 絶対に罹らないという訳 ではありません(お間違 いなく)。シナジスの場合、 直接抗体を注射しますの 新生児科 高畑 靖 で,時間の経過とともに抗体量が減少します。 けとる抗体の量が少ないなどの特徴があります。 診察室前のアート(新病院) 外来診察室 4 階病棟の卒業式 4 階病棟には主に先天性の心臓疾患を有する お子さん達が、手術やカテーテル検査・治療 目的で入院されます。乳・幼児が多くを占め、 ほとんどが 15 歳以下ですが、10 代後半から 20 代の「成人移行期」の入院もあります。小さい 頃からこの病院で治療を受けておられ、今後も 心臓をより良い状態に保つとともに、成人後の 診療体制を整える、つまり、こども病院からの 卒業の為の検査入院です。 私は 20 年程前に 4 階病棟に配属されておりま したが、当時入院中だったお子さんやご家族と 再会する機会も多くなりました。 新米のお母さんに抱かれて泣き続けていた 赤ちゃんが成人し、ベテランお母さんの荷物を 持って退院されていく姿や、何回も入院を繰り 返していた赤ちゃんが、立派な社会人となり 一人で入院し、自分の病気をしっかり理解し、 自己管理されている姿に時 の流れを感じると共に、病 気と向き合いながら家族で 乗り越えてこられた、これ までの道のりが想像され、 胸が熱くなります。ご本人 は笑顔で、お母さんは涙で 退院され、次のステージを 4 階病棟 応援しながらその「卒業」 井口 早苗 を見送ります。 こども病院もあと 1 か月 で現病院を卒業し、いよいよ新病院へ移転とな ります。私たち循環器病棟の看護師は「循環器 疾患のこども達に、安全・有効な治療を提供す る」を目標に今後も、より専門性の高い看護ケ アの提供とお子さんやご家族に寄り添った支援 を行っていきたいと 思っております。 感謝の気持ち 5 階病棟は外科と整形外科の混合病棟です。 入院児の年齢は、生後数日から大学生までと幅 広く,様々な年代と関わりながら日々過ごして います。乳・幼児には癒され,学童期のこども 達からは楽しい話を聞かせてもらい,思春期で あれば、将来の夢について語り,さらにご家族 の方との世間話と,毎日の関わりを楽しんで います、 在職 3 年目ですが,当初は上手くいかない ことも多く,落ち込むことがありました。そん な時、 いつも助けてくれるのが子ども達でした。 頼りない私でも「好きだ」、と言って笑顔で話し かけてくれる姿,手術や治療への不安・痛みに 立ち向かう姿,リハビリを頑張っている姿を見 る度,励ましと元気を貰っています。 子ども達は自分の病気と懸命に向き合い,私 達の想像以上に強い気持ちで乗り越えていき ます。 院内学級前の通路(新病院) それは家族の方も同じで, 我が子が治療を受ける姿を 見 て 、 最 初 は 陰 で 涙 を流 さ れ な が ら も 子 ど も には 笑顔で励まされるお母さん, 手術直後ほとんど寝ないで 子どもの体を擦るお父さん など、家族一体で乗り越え られる姿や家族の方の支え 5 階病棟 に何度も救われました。皆 谷口 史夏 様のお陰で今の私があり, 全ての出会いが宝物です。 働いていると「ありがとう」と言って頂ける事 が多いのですが,私の方こそ皆様への感謝の 気持ちで一杯です。 11 月から新病院で,益々パワーアップする こども病院ですが,私も皆様の笑顔や力の源と なれるよう,成長していきたいと思います。 ひだまりギャラリー(新病院) 心躍るピカピカの厨房 11 月 1 日の新病院開院に向けて準備が大詰め ミルクの分量を計量する を迎えています。 栄養管理室にとって移転日は, 装置,瓶に充填したミル 現病院最後の朝食を提供する一方、新病院では クごと殺菌する装置等を お引越しをがんばったこどもたちを迎えるため 導入し,今までより更に, の昼食・ミルクの準備と,昼食から本格的な 衛生・精度管理の徹底 食事を提供するため,早朝 5 時台より 2 つの厨 したミルクを提供できる 房を同時に稼働しながらのスタートとなります。 環境となりました。 新病院の厨房では準備がすすむにつれ,少し 管理栄養室 下村 瑞代 安全で美味しい給食・ ずつ『静』から『動』モードに突入しています ミルクの提供に向け,このすばらしい環境に が,食材が搬入される前なので冷蔵庫も稼働 負けないよう,管理栄養士と給食委託会社の していない厨房内は,機械音もない静けさに包 スタッフが一丸となって,開院に向けラスト まれています。その中で銀色に輝く調理機器が スパートです。 凄然と並んだ様は,凛とした美しさがあり,稼 働前の真新しい厨房でしか味わえない光景を, 作業の手を止めない程度に堪能しています。 また,厨房内にある調乳室(写真)には,調乳 水生成装置,ミルクを撹拌・調整する装置, 医療安全管理室って? 医療安全管理室は 2010 年 5 月に設置され, 室長に内科系副院長,副室長に専従の看護師が 配置されています。室長・副室長以外にも兼任 で薬剤部長,検査部長,臨床工学部副技士長, 看護部安全管理委員会委員長及び副委員長,事 務局総務係長などで安全管理室が構成されて います。今年 4 月に配属され、戸惑う事ばかり でどうにか半年が過ぎました。前任者により, 大方の道筋がつけられているのでそれに沿って 活動しているつもりですが,踏み外している 部分につきましてはご指摘をお願いいたします。 医療安全管理室の業務はインシデント・レポ ートの収集,分析及び改善策の検討が大きなウ エイトを占めていますがその他にも次のような 活動を行っています。 *委員会の開催 報告された全レポートを医療安全推進員会で 検証し,必要に応じて防止策を検討する。その 他、必要と考えられる項目についても検討し、 安全管理委員会に報告します。 *医療安全研修の開催 全職員対象の医療安全研修を、年2回以上 開催することとされており, 平成 26 年度は現病 院で1回開催しました。新病院移転後にも開催 を予定しています。その他にも看護師向けの研 修も行っています。 *安全ラウンドの実施 救 急 カ ー ト ・ 規 制 医薬 品・USB メモリー等の管理状況 について各部署で確認した り,看護部安全管理委員会 と共同で KYT ラウンド, 安全パトロール(注射・与薬 に関するマニュアル遵守状 況確認)も行っています。 医療安全管理室 *医療安全に関する情報の 黒木 文江 提供 日本医療安全機能評価機 構からの医療安全情報(毎月),PMDA 医療安全 情報(不定期)などのメール配信や医療安全ニュ ースの発行を行っています。 レベル 0 の報告を増やす取り組みが浸透し、 インシデント・レポートの報告件数は増加して います。また多くのスタッフが安全研修に参加 していただいたことに感謝しております。でき れば関わりあいたくない部署ではありましょう が今後もご協力をお願いいたします。 ちなみに新病院での安全管理室は 2 階の講堂 に一番近い部屋が確保されています。講堂の 帰りにでも気軽に声をかけてください。 10月6日「福岡市立こども病院」竣工記念式を行いました 平成26年10月6日,東区香椎照葉5丁目に移転開院する「福岡市立こども病院」の竣工記念 式が現地で開催されました。当日は,福岡市長や福岡市議会,福岡県知事や都市圏自治体,各医療 団体・関係病院,地元関係者・工事関係者など約120名の方々にご出席いただきました。 福重院長からは「一人でも多くの子ども達の健康快復のため励んでいきたい。」との挨拶があり, 式典終了後には,今後の病院の発展を祈念して,関係者による記念植樹が行われました。 新しいこども病院は,敷地面積が現病院の2倍,延床面積が1.7倍となり,手術室や新生児室・ 集中治療室・重症治療室なども拡充され,どこにも増して安心・安全な医療環境が整いました。 また,受診者用の駐車台数は現在の3倍となり,個室主体の病棟や各種利便施設,来春完成予定の 患児家族滞在施設「ふくおかハウス」の整備と相まって,最適な療養環境を提供できるものと考え ております。 新病院の完成までには,多くの方々のご理解・ご支援をいただいたところであり,この場を借り まして心より御礼申し上げます。 今後とも,皆様方の変わらぬご支援の程よろしくお願いいたします。 事務局長 宮崎 芳之 人事往来(敬称略) 採用・転入 9 月 1 日付 医師 杉部 清佳 退職・転出 9 月 30 日付 医師 大塚 佳満 (麻酔科) (循環器科) 内藤 亜祐子 (放射線科) あとがき 10月に入り暑さも和らぎ、朝夕は冷え込むようになりました。スポーツ、読書、食欲etc. 楽しい イベントが目白押しの秋ですが、今年はなんといっても「新病院の秋」でしょう! 11月1日、アイランドシティの新病院がいよいよ開院します。青い海と豊かな緑に囲まれた新しい こども病院で、子供たちの明るくかわいい笑顔に会える日が待ち遠しいですね。 薬剤部 池田 隆史 87 号 平成 26 年 10 月 15 日発行 福岡市立こども病院・感染症センター広報委員 みなさんの支援の輪が、 病気とたたかう子どもとその家族に 「我が家のぬくもり」を与えます。 ふくおかハウス建設募金 は、 入院中のお子さんに付き添うご家族のための滞在施設を、新しいこども病院に建設する ための募金活動です。「ふくおかハウス」は、「公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ チャリティーズ・ジャパン」により運営が行われ、善意の寄付とボランティアの支援に よって患児家族をサポートします。 病気の子どもとその家族に滞在場所を提供するだけでなく、不安な日々を送る家族が、 スタッフや他の家族と語らい、互いに励まし合いながら、精神的な負担もこのハウスで 癒すことができるのです。 病気とたたかう子どもと家族のために、「ふくおかハウス」建設に向けた募金に是非 ご支援をお願いします。 ふくおかハウス施設概要 ●「ふくおかハウス」イメージ ○場所 福岡市東区香椎照葉5丁目1-1 新しいこども病院敷地内 ○規模 鉄骨造・2階建、16部屋、1,466.95㎡ キッチン、リビング、プレイコーナー、 多目的室(図書室)他 ○名称 ○開設時期 「ドナルド・マクドナルド・ハウス ( 「ふくおかハウス」 ) ふくおか」 平成27年3月頃(予定) ※図はイメージであり、今後変更になることがあります。 [問い合わせ先]ふくおかハウス建設募金委員会事務局 ☎092-692-3746 詳しくはホームページをご覧ください http://www.fcho.jp/fukuokahouse_bokin/