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計画全文 - 長野県

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計画全文 - 長野県
長野県環境エネルギー戦略
~第三次 長野県地球温暖化防止県民計画~
2013(平成 25)年2月
長
野
県
目 次
第1部 基本事項
3
第2節 計画根拠・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
第3節 計画期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
第4節 定義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
第1節 計画策定の趣旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第2部 現状と課題
第1章 国際社会
第1節 地球温暖化対策をめぐる状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第2節 環境エネルギー政策をめぐる状況・・・・・・・・・・・・・・・・・
第3節 海外自治体の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第2章 国内
5
6
7
8
第2節 環境エネルギー政策をめぐる状況・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
第3節 国内自治体の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
第1節 地球温暖化対策をめぐる状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第3章 長野県
第1節 地球温暖化の影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第2節 国際エネルギー動向の影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第3節 エネルギー制約状況の影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第4節 地球温暖化対策等の地域への効果・・・・・・・・・・・・・・・・・
第5節 これまでの長野県の取組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
13
14
15
16
17
第3部 目標
第1章 ビジョン
第1節 基本目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第2節 目指す具体的な姿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第2章 目標
第1節 目標設定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第2節 温室効果ガス総排出量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第3節 最終エネルギー消費量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第4節 最大電力需要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第5節 自然エネルギー導入量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第6節 自然エネルギー発電設備容量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第7節 エネルギー自給率・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
-1-
19
20
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27
28
第4部 政策
第1章 エネルギー需要を県民の手でマネジメントする
第1節 エネルギーの消費量を減らす・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第2節 エネルギーを特性に応じて適切に使う・・・・・・・・・・・・・・・
第2章 再生可能エネルギーの利用と供給を拡大する
第1節 再生可能なエネルギーによる発電を拡大する・・・・・・・・・・・・
第2節 再生可能な熱・燃料を拡大する・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第3章 総合的な地球温暖化対策を推進する
第1節 地球温暖化を抑制する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第2節 地球温暖化に適応する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
32
38
39
45
47
51
第5部 実行
第1章 関係主体の役割
第1節 国の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第2節 県の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第3節 市町村の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第4節 関係団体の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第2章 県民への期待 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第3章 地域への期待
第1節 4広域・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第2節 エリア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第4章 県の実行体制
52
52
52
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第1節 進捗管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58
第2節 実行体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59
第3節 評価・見直し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59
第4節 調査・研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59
体系・制度・施策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60
「長野県環境エネルギー戦略」政策体系
制度・詳細
資 料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 78
地球温暖化対策に関する動向
長野県における地球温暖化の現状と予測される影響
「長野県環境エネルギー戦略」位置付け
「長野県環境エネルギー戦略」策定経過
目標の設定・等算出根拠及び将来推計
目標の達成による長野県への経済影響推計
自然エネルギーのポテンシャル
「長野県環境エネルギー戦略」実行体制
用語解説
本文図表一覧
-2-
第1部 基本事項
第1節 計画策定の趣旨
長野県は、2002(平成 14)年度に「長野県地球温暖化防止県民計画」
(以下「県民計画」という。
)を
策定しました。その後、2005(平成 17)年度に国で策定された「京都議定書目標達成計画」を踏まえて、
2007(平成 19)年度に県民計画を改定し、地球温暖化対策を推進してきました。
2009(平成 21)年度の長野県の温室効果ガス総排出量は、基準年度(1990(平成2)年度)比で森林
吸収量を含めて 2.8%減にとどまり、2012(平成 24)年度までに、森林吸収量を加味した基準年度比6%
削減という県民計画の目標の達成は厳しい状況になっています。また、森林吸収量を除く温室効果ガス
総排出量でみると、この間増大傾向を示し、2009(平成 21)年度は基準年度比 8.7%増となるなど、こ
の間の温室効果ガスの排出抑制の取組が十分ではないことが明らかであるとともに、地球温暖化の影響
が県内で顕在化しつつある可能性もあります。
加えて、2011(平成 23)年3月 11 日の東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故、その後の浜岡
原子力発電所の停止措置等により、国全体のエネルギーの供給体制及び長野県におけるエネルギーをめ
ぐる情勢が大きく変化しています。エネルギーの供給状況を見据えながらエネルギー使用の過度の集中
を抑制するなど、エネルギーの量的バランスに配慮すると同時に、エネルギー利用に際して適切なエネ
ルギー源を用いることなど、エネルギー利用の効率性に配慮することの重要性が高まっています。
このようなことから、より実効性の高い地球温暖化対策を展開するとともに、省エネルギー(省エネ)
と自然エネルギーの推進に加え、エネルギーの適正利用を図る施策や過度な集中的利用(ピーク)の抑
制を図る施策、地域主導のエネルギー事業による地域の自立を図る施策(以下「環境エネルギー政策」
という。
)を統合的に実施することが喫緊の課題となっています。
そこで、長野県は、地球温暖化対策と環境エネルギー政策を統合して推進するため、現行の第二次県
民計画の計画終了時期である本年度に、第三次の県民計画として「長野県環境エネルギー戦略~第三次
長野県地球温暖化防止県民計画~」
(以下「本計画」という。
)を策定することにしました。
図表 1-1 地球温暖化対策と環境エネルギー政策の関係
フロン類等対策
エネルギー適正利用
省エネルギー
吸収・固定化
ピーク抑制
自然エネルギー
自然エネルギー
適応策
エネルギー自立地域
地球温暖化対策
環境エネルギー政策
Climate Change Policy
Sustainable Energy Policy
-3-
第2節 計画根拠
本計画は「地球温暖化対策の推進に関する法律(平成 10 年法律第 117 号)
」
(以下「地球温暖化対策
推進法」という。
)第 20 条の3第3項に基づく地方公共団体実行計画(区域施策編)です。
また、
「長野県地球温暖化対策条例(平成 18 年長野県条例第 19 号)
」
(以下「条例」という。
)第8条
に基づく地球温暖化対策を推進するための計画です。
「長野県総合5か年計画」及び「長野県環境基本
計画」の下位計画として位置付けられています。
第3節 計画期間
本計画の期間は、2013(平成 25)年度から 2020(平成 32)年度までの8年間です。
第4節 定義
1 温室効果ガス
本計画における温室効果ガスとは、地球温暖化対策推進法第2条第3項で規定する次の物質です。
① 二酸化炭素(CO2)
② メタン(CH4)
③ 一酸化二窒素(N2O)
④ ハイドロフルオロカーボン類(HFCS)
⑤ パーフルオロカーボン類(PFCS)
⑥ 六ふっ化硫黄(SF6)
2 自然エネルギー
本計画における「自然エネルギー」とは、次の「自然エネルギー源」を利用して得られるエネルギー
です。
① 太陽光
② 風力
③ 小水力(発電規模3万kW未満)※
④ 太陽熱
⑤ 地熱その他の自然界に存する熱
⑥ バイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの
で、化石燃料を除く)
※ 小水力については、
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平
成23年法律第108号)
」
(以下「固定価格買取制度」という。
)に基づく調達対象となる水力発電
の規模とする。
3 再生可能エネルギー
本計画における「再生可能エネルギー」とは、前項で規定する「自然エネルギー」に、一般水力※発電
を加えたものです。
※ 一般水力については、固定価格買取制度に基づく調達対象とならない水力発電の規模とする。
-4-
第2部 現状と課題
第1章 国際社会
第1節 地球温暖化対策をめぐる状況
1 地球温暖化の現況と見通し
2007(平成 19)年の「気候変動に関する政府間パネル第4次評価報告書」
(以下「IPCC報告書」と
いう。
)によると、世界の平均地上気温は 1906(明治 39)年から 2005(平成 17)年の 100 年間に 0.74
(0.56~0.92)℃上昇し、平均海面水位は 20 世紀を通じて 17(12~22)cm 上昇しました。最近 50 年間
の気温上昇の速度は過去 100 年間のほぼ2倍に増大し、海面上昇の速度もより大きくなっています。
IPCC報告書は、気候システムに地球温暖化が起こっていると断定し、20 世紀半ば以降に観測され
た世界平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガス濃度の増加によってもたらされた可能性
が非常に高いと指摘しています。21 世紀末(2090 年~2099 年)の平均気温上昇は、環境の保全と経済の
発展を地球規模で両立させた社会で約 1.8(1.1~2.9)℃とする一方、今のような高度成長を続ける化石
エネルギー源を重視した社会で約 4.0(2.4~6.4)℃と予測しています。
2 国連気候変動枠組条約に基づく地球温暖化対策の取組
1997(平成9)年に京都で開催された「気候変動枠組条約締約国会議(以下「COP」という。
)」で
は、日本を含む先進各国の温室効果ガス排出量について、法的拘束力をもつ削減約束を定めた「京都議
定書」が採択されました。京都議定書では、2008(平成 20)年から 2012(平成 24)年まで、先進国が各
年の温室効果ガスの排出量の平均を基準年(1990 年)から削減する割合を定められ、日本の削減割合は
6%とされました。
また、2011 年に南アフリカ・ダーバンで開催されたCOP17 において、すべての締約国が参加する新
たな法的枠組みの構築に向けた交渉の開始、京都議定書第二約束期間の設定と第二約束期間の実施規則
に関する合意がなされています。
-5-
第2節 環境エネルギー政策をめぐる状況
1 世界のエネルギー情勢
世界のエネルギー消費量(一次エネルギー)は、1965(昭和 40)年の 38 億 toe(原油換算トン、tonne
of oil equivalent)から年平均 2.6%で増加し続け、2008(平成 20)年には 113 億 toe に達しています。近
年では、経済成長の著しいアジア大洋州地域でエネルギー消費量が伸びています。国際エネルギー機関
(IEA)は、現行のエネルギー政策が国際的に続いた場合、北米大陸等でのシェール革命(シェール
ガス等の産出増加)の影響を踏まえても、今後も国際石油価格の上昇が続くと予測しています。
2 世界の自然エネルギー情勢
「21 世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク(REN21)
」は、世界の自然エネルギー発電設備
容量について、2010(平成 22)年で 312 ギガワット(GW)と推計しています。そのうち、風力発電が
198GW、バイオマス発電が 62GW、太陽光発電が 40GW、地熱発電が 11GW、その他が1GWです。
近年では、世界各地で自然エネルギーの導入が急速に進んでいます。REN21 は 2010(平成 22)年に
世界で新たに導入された総発電容量約 194GWのうち、自然エネルギーと水力がおよそ半分を占め、風力
発電容量が約 39GW、太陽光発電容量が約 17GW増加したと推計しています。
国際連合環境計画(UNEP)の「自然エネルギー投資の潮流 2011」によると、自然エネルギーへの
投資も伸びています。2010(平成 22)年の自然エネルギーへの投資総額(アセットファイナンス、ベン
チャーキャピタル、プライベートエクイティ投資、株式購入、研究開発投資を含む。
)は 2,110 億$と推
計されています。これは、2005(平成 17)年の自然エネルギーへの投資総額 409 億$の5倍です。
図表 2-1 世界の最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合(2010 年)
(熱利用)
(水力)
(電力)
(再生可能エネルギー)
(バイオ燃料)
(世界全体のエネルギー)
(伝統的バイオマス)
(原子力)
(化石燃料)
図表 2-2 世界の総発電量に占める再生可能エネルギーの割合(2011 年)
(化石燃料と原子力)
(水力)
(水力を除く再生可能エネルギー)
【出典】 RENEWABLES 2012 GLOBAL STATUS REPORT(REN21)(訳は長野県による)
-6-
第3節 海外自治体の状況
1 自治体主導による持続可能な地域づくり
世界の多くの自治体が、温室効果ガス排出量を削減し、自然エネルギーを促進するための取組をして
います。目標の設定や市民への啓発から、規制、税制、建築、交通、開発などの具体的な施策や事業に
まで、総合的な計画・取組を進める例も多くあります。先進的な取組を進めている地域・都市としては、
東京・ロンドン(イギリス)・ストックホルム(スウェーデン)・フライブルク(ドイツ)・シンガポ
ール・マスダール(UAE)・ポートランド(アメリカ)・クリチバ(ブラジル)・サムソ島(デンマーク)・
ギュッシング(オーストリア)などが知られています。
近年では国内外の自治体間で取組の知見を共有し、新たな施策や事業を展開するプログラムが増えて
います。持続可能な地域・都市づくりの知見を総合化し、地域・都市の課題解決モデルとして海外展開
する例も出ています。例えば、中国・唐山市の人口 100 万人規模のエコタウン開発は、ストックホルム
など欧州の持続可能な地域づくりの知見を全面導入しています。
2 先進自治体間の国際ネットワーク
代表的なものとしては「世界大都市気候先導グループ(The Large Cities Climate Leadership Group : C
40)
」があります。C40 は、世界の大都市が連携して温室効果ガスの削減に取り組むためのネットワーク
で、2005(平成 17)年にロンドンの提案によって創設されました。ロンドンのほか、東京・ニューヨー
ク(アメリカ)
・ロサンゼルス(アメリカ)
・パリ(フランス)
・ベルリン(ドイツ)
・モスクワ(ロシア)
・
北京(中国)など世界的な大都市が参加しています。首長の参加するサミットを2年に1回開催し、低
炭素都市を形成するための情報及び意見交換を行っています。他にも自治体間の国際ネットワークとし
ては「イクレイ(ICLEI)-持続可能性をめざす自治体協議会」などがあります。県内では、飯田市がイ
クレイに参加しています。
3 意欲ある自治体間での目標と取組の共有
欧州連合(EU)は 2009(平成 21)年の「エネルギー・気候変動政策パッケージ」で、2020(平成 32)
年までに温室効果ガスを 1990 年比で 20%削減、最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合
を 20%、エネルギー効率を 20%引き上げる「3つの 20(20・20・20)」を目標としています。欧州での
「市長誓約(the Covenant of Mayors)」は、このEUの政策目標を上回る取組を地域で行うことをEU
域内の自治体が宣言するもので、欧州の 2000 以上の自治体が賛同署名しています。署名した自治体は、
地域での目標達成のために行動計画を策定します。
4 持続可能な自治体の認定・支援プログラム
ドイツ環境省は、2007 年から「100%再生可能エネルギー地域」プログラムを実施しています。これは、
エネルギー自立地域を目指す地域を「100%再生可能エネルギー地域」と認定し、自治体に対して専門的
なコンサルタントを提供するとともに、自治体間のネットワークを形成する施策です。自然エネルギー
への完全移行という目標を議会等で決定していること、具体的な取組を実際に進めていること、中間目
標を達成することが求められます。同様の施策は、オーストリア(気候エネルギーモデル地域プログラ
ム)やスイス(エネルギー都市認証制度)においても実施されています。
-7-
第2章 国内
第1節 地球温暖化対策をめぐる状況
1 国内の温室効果ガス排出状況
日本の 2010(平成 22)年度の温室効果ガス総排出量は 12 億 5,800 万t- CO2 でした。基準年度となる
1990(平成2)年度の総排出量(12 億 6,100 万t- CO2)と比べ、0.3%下回りました。
温室効果ガスのうち、2010(平成 22)年度の二酸化炭素排出量は 11 億 9,200 万t- CO2(基準年度比
4.2%増)でした。排出量の部門別内訳は、産業部門4億 2,200 万t- CO2(同 12.5%減)
、運輸部門2億
3,200 万t- CO2(同 6.7%増)
、業務その他部門2億 1,700 万t- CO2(同 31.9%増)
、家庭部門1億 7,200
万t- CO2(同 34.8%増)でした。
特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(平成 13 年法律第 64 号。以下
「フロン回収・破壊法」という。)で定義されているうちの温室効果ガス HFCs 及び PFCs、SF6 のフロン
類、並びに CH4 と N2O(以下「フロン類等」という。)の 2010(平成 22)年度の排出量は、HFCs が 1,830
万t- CO2(同 9.7%減)
、PFCs が 340 万t- CO2(同 75.8%減)
、SF6 が 190 万t- CO2(同 89.0%減)
、CH4
が 2,040 万t- CO2(同 38.8%減)
、N2O が 2,210 万t- CO2(同 32.4%減)となっています。
なお、2007(平成 19)年度の温室効果ガス総排出量は 13 億 6,500 万t- CO2 で、基準年度と比べ 8.2%
上回っていました。温室効果ガス総排出量は、それまで基準年度から増加傾向を続けていましたが、2008
(平成 20)年の9月からの世界同時不況等による影響で、2008(平成 20)年度及び 2009(平成 21)年
度の温室効果ガス総排出量は減少しました。その後、景気回復に伴う製造業等の活発化と猛暑厳冬によ
り、2010(平成 22)年度及び 2011(平成 23)年度の温室効果ガス総排出量は、2009(平成 21)年度よ
り増加しています。
2 国の方針
国は、地球温暖化対策推進法に基づき、京都議定書目標達成計画を定め、各主体の対策や森林吸収、
京都メカニズムの活用により、同議定書第一約束期間の目標達成を目指してきました。
2013(平成 25)年度以降の取組に関しては、2009(平成 21)年にコペンハーゲン(デンマーク)で開
催されたCOP15 における「コペンハーゲン合意」に基づき、
「すべての主要国による公平かつ実効性あ
る国際的枠組みの構築と意欲的な目標の合意を前提として、温室効果ガスを 2020(平成 32)年度までに
25%(1990 年度比)削減する」との目標を国連気候変動枠組条約事務局に提出しました。
国は、2010(平成 22)年度に「新成長戦略」を策定し、地球温暖化対策を中心に環境と経済の持続的
な好循環を生み出していく基本方針を打ち出し、7つの戦略分野の筆頭として「グリーン・イノベーシ
ョンによる環境・エネルギー大国戦略」を掲げました。
また、東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故を受け、地球温暖化対策をめぐる大きな状況変化
が生じたとして、国は地球温暖化対策について、全般的な見直し及び検討を行っています。COP17 で
は、京都議定書第二約束期間について、温室効果ガス排出削減義務を負わず、報告義務を引き続き行う
と表明したほか、2012(平成 24)年3月に 2020(平成 32)年の削減目標について「目標の詳細情報は後
日提出する」旨、条約事務局に通報しています。一方で、2012(平成 24)年度に策定した「日本再生戦
略」において、11 の成長戦略の筆頭として「グリーン成長戦略」を掲げ、環境と経済の持続的な好循環
を生み出していく基本方針の継続を決定しています。
3 国の取組
国は、地球温暖化対策推進法に基づき、京都議定書目標達成計画の策定、都道府県や政令指定都市な
どの主要な地方自治体による「地方公共団体実行計画」の策定の促進を行っているほか、大規模な温室
-8-
効果ガス排出事業者への排出量の算定・報告制度等を導入しています。また、
「エネルギーの使用の合理
化に関する法律(昭和 54 年法律第 49 号)
」
(以下「省エネ法」という。
)に基づき、エネルギー使用量の
多い事業者や運輸事業者に対する省エネに係る中長期計画書の提出、住宅・建築物における省エネの措
置の届出などの省エネ対策を進めています。
新たな政策としては、地球温暖化対策のための税を 2012(平成 24)年 10 月から導入したところです。
これは、全化石燃料を課税ベースとする現行の石油石炭税に、二酸化炭素排出量に応じた税率を上乗せ
するものです。一方、国内排出量取引制度については、産業に対する負担や雇用への影響、海外の同制
度の動向と効果などを見極め、慎重に検討を行うこととしています。
低炭素型の都市・地域構造への転換については、都市・交通の低炭素化及びエネルギー利用の合理化
を推進するため、
「都市の低炭素化の促進に関する法律(平成 24 年法律第 84 号)
」
(以下「エコまち法」
という。
)が 2012(平成 24)年 12 月から施行されています。また、総合的な取組を促進するため、意欲
ある市区町村を「環境未来都市」
「環境モデル都市」として認定・支援しています。長野県内では、飯田
市が「環境モデル都市」に認定されています。
自然エネルギーについては、2012(平成 24)年7月から固定価格買取制度が施行されています。これ
は、自然エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を、国が定
める一定の期間と価格で電気事業者が買い取ることを義務付けるものです。
フロン類等の対策については、廃棄時回収率が約3割と低いこと、使用中の冷蔵・冷凍・空調機器か
らの冷媒フロン類の漏洩(使用時排出)などが従前の見込みより多いこと、主に冷媒分野で HFCs への転
換が進むことで HFCS・PFCS・SF6 の排出量が増加し、2020(平成 32)年には約 5,600 万t- CO2(BAU
ケース)まで増加する見込みであることから、国は対策強化を検討しています。
地球温暖化に関する研究では、
「温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究」など現象解明、影響
評価、将来予測及び対策に関する調査研究を進め、2009(平成 21)年度に「日本の気候変動とその影響」
を公表し、翌年度には自治体等の適応策実施を支援することを目的として「気候変動適応の方向性」を
公表しました。
-9-
第2節 環境エネルギー政策をめぐる状況
1 国内のエネルギー需給の状況
2010(平成 22)年度の日本のエネルギーバランスを俯瞰すると、インプットとなる一次エネルギー供
給は 22,091 1015Jで、発電や輸送等のエネルギー転換に伴い 7,117 1015Jが失われ、最終エネルギー消費と
しては 14,974 1015Jのエネルギーをアウトプットとして利用しています。
一次エネルギー供給の内訳は、石油 8,853 1015J、石炭 4,982 1015J、天然ガス 4,234 1015J、原子力発電
2,495 1015J、水力・自然エネルギー等 1,528 1015Jです。発電には 9,162 1015Jが投入され、3,978 1015Jが電
力として産出され、3,591 1015Jが最終エネルギー消費として利用されています。平均の発電効率は約 40%
です。都市ガスには 1,737 1015Jが投入され、1,716 1015Jが産出され、そのまま最終エネルギー消費として
利用されています。石油製品及び輸送用燃料には 7,915 1015Jが投入され、輸送用燃料として 3,363 1015J、
産業用石油製品として 2,758 1015J、灯油等の民生用石油製品として 1,346 1015Jが産出され、最終エネルギ
ー消費として利用されています。
最終エネルギー消費の内訳は、産業 6,572 1015J、業務 2,818 1015J、運輸旅客 2,133 1015J、家庭 2,154 1015
J、運輸貨物 1,297 1015Jです。
日本の年間発電電力量(実績)の構成で見ると、2010(平成 22)年度で原子力 30.8%、天然ガス(LNG)
火力 27.2%、石炭火力 23.8%、石油等火力 8.3%、一般水力 7.8%、揚水 0.9%、自然エネルギー等1.2%
となっています。
図表 2-3 日本のエネルギーバランス・フロー概要(2010 年度)
【出典】 「エネルギー白書 2012」
(注) 1 本フロー図は、我が国のエネルギーフローの概要を示すものであり、細かいフローについては表現されていない。特
に転換部門内のフローは表現されていないことに留意。
2 「石油」は、原油、NGL・コンデンセートのほか、石油製品を含む。
3 「石炭」は、一般炭、無煙炭のほか、石炭製品を含む。
4 「自家用発電」の「ガス」は、天然ガス及び都市ガス。
5 資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」から作成。
- 10 -
2 自然エネルギーの状況
自然エネルギー発電(小水力とバイオマスを除く。
)の設備容量は、2010(平成 22)年末の累積で約
659 万kWです。
太陽光発電の設備容量は、2010(平成 22)年末の累積で 361.8 万kWです。日本は 2004(平成 16)年
末まで世界最大の導入国でしたが、一時期、設置補助金を廃止する一方、ドイツとスペインが固定価格
買取制度によって普及を進めたため、2010(平成 22)年末には世界第4位に低下しました。
太陽熱利用機器(温水器等)の 2010(平成 22)年の設置台数は、約 170 万台です。第2次石油ショッ
クを経て、1990 年代前半にピークを迎えましたが、新規設置台数が年々減少してきました。
風力発電の設備容量は、2010(平成 22)年末の累積で 244.2 万kW(1,814 基)です。世界の中では、
日本は 2010(平成 22)年末で第 12 位です。東北地方 26%、九州 16%、北海道 12%の順です。
水力発電(揚水を含む。
)の設備容量は、2010(平成 22)年度末で 4,811 万kWです。また、同年度末
の未開発地点は 2,464 地点であり、その多くが小規模等であることから、今後の主体は小水力と考えられ
ます。
2010(平成 22)年に利用されたバイオマスエネルギーは、原油換算 1,091 万klで、一次エネルギー
供給に占める割合は 1.91%です。これらの多くは、廃棄物の焼却に伴うエネルギーです。
地熱発電の設備容量は、2010(平成 22)年末の累積で約 53 万kW(15 地点)
、2010(平成 22)年末
で世界第8位です。近年は、運転開始までのリードタイムが長いことなどから、設置が停滞しています。
3 国の方針
国は、東日本大震災及び原子力発電所事故を受け、原子力重視の「エネルギー基本計画」を白紙とし、
「原発に依存しない社会の一日も早い実現」
「グリーンエネルギー革命の実現」
「エネルギー安定供給の
確保」「電力システム改革の断行」
「地球温暖化対策の着実な実施」を柱とする「革新的エネルギー・環
境戦略」を 2012(平成 24)年9月に策定しました。
図表 2-4 日本における再生可能エネルギーの導入状況
年間発電電力量の構成(2010 年度)
石油等
8.3%
石炭
23.8%
水力
8.7%
自然エネ等
1.2%
LNG
27.2%
原子力
30.8%
【出典】「エネルギー白書 2011」に基づき作成
- 11 -
第3節 国内自治体の状況
1 計画・条例
地球温暖化対策推進法に基づく地方公共団体実行計画(区域施策編)と地球温暖化対策を推進するた
めの条例は、2011(平成 23)年度末までに、すべての都道府県で策定しています。そのうち、他の環境
条例とは別に、地球温暖化対策に特化した条例を制定しているのは、長野県を含め 17 道府県です。
近年は地方公共団体実行計画とは別に、環境エネルギー政策の観点を重視した戦略・方針等を策定す
る例もあります。
「東京都再生可能エネルギー戦略」
(2006 年度)
、
「山形県エネルギー戦略」
(2011 年度)
、
「自然エネルギー立県とくしま推進戦略」
(2011 年度)
、
「京都府地球温暖化対策プラン(再生可能エネル
ギー戦略)
」
(2011 年度)
、
「東京都省エネ・エネルギーマネジメント推進方針」
(2012 年度)等です。
2 産業・業務
2011(平成 23)年度末までに、事業者に対して温室効果ガスの排出を抑制するための計画書提出を求
めている都道府県は、長野県を含め 30 都道府県です。
そのうち東京都は、2010(平成 22)年度より世界で初めてオフィスビルも対象に含む温室効果ガス削
減の義務付け及び排出量取引制度を導入しました。また、東京都(2005 年度~2009 年度)
、横浜市や京
都市では、計画書に加え、事業者に対する指導、助言を行う制度を導入しています。
3 家庭
2011(平成 23)年度末までに、家庭の対策として家電の省エネラベルの掲出を販売事業者に義務付け
ている都道府県は、長野県を含め 11 都道府県です。
先駆的な取組としては「東京都家庭の省エネ診断員制度」があります。これは、統括団体のスタッフ
約 4,000 人が「東京都認定節電アドバイザー」として、家庭の節電・省エネ対策を助言するものです。
4 建築物
2011(平成 23)年度末までに、建築主に対して建築物からの温室効果ガスの排出を抑制するための計
画書の提出やラベリングを求めている都道府県は、長野県を含め 15 都道府県です。
先進的な取組としては、東京都の対策があります。環境配慮の計画を提出する「建築物環境計画書制
度」
、マンションの広告に環境性能のラベルを表示する「マンション環境性能表示制度」
、大規模開発に
てエネルギーの有効利用の計画を提出する「地域におけるエネルギーの有効利用計画制度」
、ビル等の建
築や取引にて相手方に評価書を交付する「建築物省エネルギー性能評価書制度」からなります。
5 交通・まちづくり
2011(平成 23)年度末までに、自動車販売事業者に対して購入者へ自動車の環境情報の説明を義務付
けている都道府県は、長野県を含め 14 都道府県です。
富山市は、地域の拠点を「お団子」に、公共交通を「串」に見立てた「お団子と串」の公共交通を軸
とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを目指し、LRT(次世代型路面電車)の整備や中心市街
地等の活性化、居住誘導策、自転車の市民共同利用等をパッケージにして推進しています。
6 自然エネルギー
2011(平成 23)年度末までに、建築主に対して新築時に建築物への自然エネルギーの導入若しくは導
入検討を義務付けている都道府県は、東京都、京都府、神奈川県の3都府県です。
京都府は、2012(平成 24)年度から、床面積 2,000 ㎡以上の新増築を行なう建築主が建築確認申請を
する際、一定規模以上の自然エネルギー設備の導入を義務付けています。
- 12 -
第3章 長野県
第1節 地球温暖化の影響
温室効果ガス排出抑制の措置が国際的に取られず、高い経済成長が続いた場合、日本全国及び長野県
において 2100(平成 112)年までに年間平均気温が2℃から5℃上昇すると予測されています。世界規
模で最も厳しい排出抑制策を行ったとしても、今後、数十年間にわたって地球温暖化の影響は避けられ
ません。それに伴い、生物多様性や農林業、観光業、水利への影響のほか、災害の発生状況の変化や新
たな疾病の発生、熱中症などの健康への影響が懸念されます。
長野県の社会・経済は広く国内外とつながっており、他地域での地球温暖化の影響がサプライチェー
ン(供給連鎖)を通じて、長野県に影響することも懸念されます。
長野・松本・飯田・軽井沢・諏訪における年平均気温や冬日日数、最大積雪深などの経年変化を見る
と、いずれの地点においても昇温傾向が確認され、冬日は減少、夏日は増加傾向にあります。最大積雪
深は、年による変動が大きく、単調に増加あるいは減少の傾向はみられません。
一方で、地球温暖化の影響の可能性が疑われている高温化現象に関連して、長野県内での熱中症の疑
いによる救急搬送人員は、2007(平成 19)年度 274 人、2008(平成 20)年度 329 人、2009(平成 21)
年度 169 人、2010(平成 22)年度 809 人、2011(平成 23)年度 700 人、2012(平成 24)年度 703 人で、
増加傾向が見られます。
影響評価については精緻な研究が必要であるものの、現在までの研究成果から、長野県の自然環境へ
の地球温暖化の影響は、既に顕在化しつつある可能性があるといえます。
図表 2-5 気温上昇量の将来予測(日本全域・長野県を囲む領域)
[長野県]
[日本全域]
6.0
6.0
MIROC-Nagano
MIROC-Japan
5.0
RCM-Nagano
5.0
RCM-Japan
4.0
4.0
3.0
3.0
2.0
2.0
1.0
1.0
-
2000
2010
2020
2030
2040
2050
2060
2070
2080
2090
2100
2000
2010
2020
2030
2040
2050
2060
2070
2080
2090
【出典】 肱岡 靖明(国立環境研究所主任研究員)氏 作成
(注) 1 図「長野県」:経緯・経度で区切った長野県がすっぽりと含まれる矩形の領域を設定。
1990年頃の気温を基準とし、その領域の平均気温の上昇量を計算。
2 図「日本全域」:同じ予測を日本全域で実施。
3 MIRCO:東京大学・国立環境研究所・海洋研究開発機構が共同開発している大気海洋結合気候モデル。
空間解像度約100㎞。IPCC A1B シナリオを基に計算。
4 RCM:気象庁 気象研究所が開発した水平空間解像度が20㎞の地域気候モデル。
IPCC A2シナリオを基に計算。(2031~2050年・2081~2100年)
- 13 -
2100
第2節 国際エネルギー動向の影響
日本の化石燃料の輸入総額は、新興国の需要増や中東情勢の不安定化等による国際価格の変動によっ
て大きく変化する構造となっています。IEAは、シェール革命を踏まえても、国際的には化石燃料の
価格上昇が続くと予測しています。
1998(平成 10)年度に 5.2 兆円であった化石燃料の輸入総額は、2008(平成 20)年度に 25 兆 9,830
億円の過去最高額となり、翌年度は世界同時不況による国際価格低下で 13 兆 3,720 億円に減少しました
が、2010(平成 22)年度には 16 兆 2,180 億円と再び上昇傾向に転じています。この分だけ、国内の富が
海外に流出したことになります。
長野県の化石燃料の輸入総額は、統計上の都合から実際の金額を示すことは困難ですが、都道府県別
県内総生産の割合から按分して試算すると、次のとおりです。
過去最大となった 2008(平成 20)年度を例にします。都道府県別県内総生産の総額(505 兆 160 億円)
のうち、長野県は 1.59%(8兆 350 億円)を占めていました。そこで、同年度の化石燃料輸入総額(25
兆 9,830 億円)に対し、長野県の県内総生産の割合(1.59%)で按分すると、4,157 億円となります。
同年度の長野県の主な経済活動別の総生産を見ると、農林水産業が 1,573 億円、建設業が 3,709 億円、
金融・保険業 3,723 億円、卸売・小売業 5,407 億円、不動産業1兆 1,713 億円、サービス業1兆 8,799 億
円、製造業2兆 702 億円でした。按分による試算ではありますが、相当な額の県民の富が化石燃料の輸
入代金として海外に流出していると考えられます。
また、国際エネルギー価格の高騰は、寒冷地である長野県では、県民生活への直接的な負担増にもな
ります。1人当たり県民所得(年間)は、2000(平成 12)年度の 313 万 1,000 円をピークに低下傾向に
あり、2008(平成 20)年度には 273 万 1,000 円となっています。他方、1世帯当たりの光熱費(月額×
12 か月)は県庁所在地の長野市で見ると、2000(平成 12)年度 20 万 628 円から、2008(平成 20)年度
の 29 万 4,816 円に増加しています。
(総務省「家計調査年報」に基づきます。統計上の都合から、県庁所
在地の光熱費としました。
)
以上のとおり、長野県は国際エネルギー価格が経済及び家計に対して一定の影響を与える構造となっ
ています。エネルギー費用を削減できる社会・経済構造に転換できれば、それだけ県民生活の安定化と
地域経済の活性化に資すると考えられます。
図表 2-6 化石燃料輸入総額の推移・国際石油価格予測
実績
予測
$124
$ 125
$122
125
$120
$116
$ 108
$ 100
20
10
5.3%
75
5
4.4%
$62
3.6%
3.4%
石油価格
3.4%
50
2.7%
$ 37
$29
1.2%
1.3%
6.1 7.0
1.5% 1.6%
化石エネルギー
輸入額のGDP比
2.8%
1.9%
1.7%
1.5%
化石エネルギー
輸入額
1.0%
1.0%
5.2 5.2 7.7
7.9 7.6
石油価格(USD/barrel)
化石エネルギー輸入額(兆円)
30
化石エネルギー輸入額のGDP比(%)
100
25
8.6 9.7 13.4 17.3 18.7 26.0 13.4 16.2 20.4
0
1996
2000
2005
2010
2015
2020
2025
2030
2035
【出典】 石油連盟統計資料、国際エネルギー機関資料、米国エネルギー情報局資料より作成
(注) 化石エネルギー輸入額とそのGDP比は、石油連盟統計資料「原油・石油製品輸入金額」より原油・粗油、サフナを除く
石油製品、LNG、石炭の輸入額の合算から算出。石油価格の実績は、米国エネルギー情報局資料より。石油価格の予
想は、IEAのWEO2011 の現行政策シナリオ。
- 14 -
第3節 エネルギー制約状況の影響
東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故により、伸び続ける需要を所与としつつ、エネルギー供
給を拡大していくという、従来の国のエネルギー政策及び供給事業者の方針は抜本的な見直しを迫られ
ています。新興国のエネルギー需要の急増や国際価格の高騰傾向も相まって、エネルギー供給に一定の
制約があるものと認識されています。
長野県を含む中部電力管内においても、2011(平成 23)年5月の国の要請による浜岡原子力発電所の
運転停止に伴い、エネルギー供給、とりわけ電力に一定の制約がある状況となりました。その後、同管
内では他の電力会社管内ほどではないものの、電力需要の抑制が求められています。
エネルギー制約状況が認識される以前は、自然エネルギーの普及や省エネの推進に比べ、エネルギー
使用の過度の集中を抑制することやエネルギー利用に際して適切なエネルギー源を用いることには、十
分な関心と政策が向けられてきませんでした。そのため、突如としてエネルギー制約状況が発生した東
日本大震災の直後は、東京電力管内を中心に無理な節電や計画停電が行われ、混乱しました。
中部電力管内における 2010(平成 22 年)年度の1時間単位の電力需要分布(電力ロードカーブ)を見
ると、100 万kWが一年間(8760 時間)のうちわずか 50 時間(年間時間の 0.57%)の需要のために必要
となっています。この 50 時間分のエネルギー利用の一部(最大で約 2700 万kWのうちの 100 万kW・
約 3.7%)を別の時間帯に「シフト」できれば、その分だけ供給設備を整備する必要がなくなり、供給コ
ストの抑制につながります。
また、発電効率(電気の生産効率)は約 40%(2010 年度・全国)であるため、電気以外のエネルギー
でも賄える利用(例えば、暖房、給湯、煮炊きなど)に際しては、エネルギー全体の流れを踏まえた多
様なエネルギーの利用が考えられます。電気以外のエネルギーでも賄える利用について、電気以外のエ
ネルギーに「チェンジ」し、電気を使わなければならない利用に電気を集中させることができれば、一
次エネルギー供給から最終エネルギー消費までの全体プロセスの中で、エネルギー効率を高めることに
なります。
長野県内へのエネルギー制約状況の悪影響を抑制するためには、無理を重ねるやみくもな「がまんの
節電」ではなく、適切な情報や仕組みに基づくスマートな「エネルギーマネジメント」が求められます。
図表 2-7 中部電力(株)の夏のピーク電力
2010 年度
(H22)
電力[万kW]
年間[時間]
夏4ヶ月[時間]
2609~2709
42
42
2559~2709
88
88
2509~2709
131
131
← 8月8~10日の11時から17時に集中
2011 年度
(H23)
最大2520万kW
2010年夏比▲7%
節電後も、ピーク需要は短時間
【出典】 歌川 学(長野県環境審議会 地球温暖化対策専門委員会 委員)氏 作成
- 15 -
電力[万kW]
年間[時間]
夏4ヶ月[時間]
2420~2520
14*
14*
2370~2520
25
20
2320~2520
53
35
第4節 地球温暖化対策等の地域への効果
日本経済は 10 年以上にわたりデフレから脱却できない状況が続いています。国は長期にわたるデフレ
の背景として「需給ギャップの存在、企業や消費者の成長期待の低下、デフレ予想の固定化といった要
因」があり、そのため「需要不足や物価の下落が所得を減少させ、デフレ予想と成長期待の低下を生み、
更なる需要の下押しと物価の下落圧力をもたらすという状況」が続き、
「原油等の輸入価格上昇によるコ
スト増が生じても、新興国との厳しい競争に直面している分野などでは製品やサービスの価格を引き上
げることができず、賃金や収益が圧縮されてきた」
(日本再生戦略)と分析しています。
長野県経済においても、県内総生産(名目)は、2000(平成 12)年度の8兆 9,007 億円をピークに 2003
(平成 15)年度まで急激に減少し、その後は徐々に回復したものの、2008(平成 20)年の金融危機と世
界同時不況の影響により再び減少するなど、国内外の経済変動の影響を強く受けています。
こうした中、従来は経済と対立する概念と考えられていた環境、とりわけ環境エネルギー政策の地域
に対するプラスの効果が見直されています。需要増による需給ギャップ縮小が、デフレ対策になるとも
期待されています。地球温暖化対策等の地域への効果として、本来の目的である環境保全のほか、大き
く次の7つが期待できます。
第一に、地域の富が海外に流出することの抑制です。その分の富を地域での消費や投資に回すことが
可能になります。
第二に、取組に伴って生じる地域での消費や投資の拡大です。省エネは設備投資や建築工事の増加に
つながります。自然エネルギーの普及は製造だけでなく、地域での販売や設置工事の増加を意味します。
第三に、地域への富の流入の増加です。国内の人や企業が、海外からの化石燃料ではなく、地域から
の自然エネルギーに切り替えることで、その分のお金が新たに地域へ流入します。
第四に、海外リスクへの耐性の強化です。エネルギーは経済変動や国際紛争の影響を強く受ける物資
です。エネルギー利用の効率化とエネルギー供給能力を高めることにより、海外リスクの影響を抑制し、
地域の生活・経済の安定力を増すことができます。
第五に、地域の魅力の増大です。低炭素まちづくりは、過度な自動車依存や冷暖房依存からの脱却な
どを目指し、あらゆる人にとって快適なまちをつくることを意味します。国の環境未来都市構想も同様
の考え方に立脚しています。
第六に、イノベーションの誘発です。イノベーションは多様な知識・背景を持つ人々が協働して課題
解決に取り組むことから生まれます。自然エネルギーや省エネはあらゆる分野で様々な知恵を必要とし
ていますので、イノベーション誘発の種になると考えられます。
第七に、地域の誇りを確かにすることです。生活や経済の必需品であるエネルギーについて、地域の
自己決定力、すなわち自治を強めることになります。
図表 2-8 地球温暖化対策等の地域への7つの期待と効果
内
容
1
地域への富の投資・消費の拡大 ⇒ 地域の富の海外流失の抑制
2
省エネの設備投資等の増加、自然エネの普及 ⇒ 地域での消費・投資の拡大
3
自然エネへの切り替え ⇒ 地域への富の流入増加
4
エネルギー利用の効率化・エネルギー供給能力の向上 ⇒ 海外リスクへの耐性強化
5
あらゆる人とって快適な(低炭素)まちづくり ⇒ 地域の魅力の増大
6
省エネ、自然エネに必要な知恵 ⇒ イノベーションの誘発
7
地域の自己決定力(=自治)の強化 ⇒ 地域の誇りの確立
- 16 -
第5節 これまでの長野県の取組
1 県内の温室効果ガス排出状況
長野県内の 2009(平成 21)年度の温室効果ガス総排出量は、基準年度の 1990(平成2)年度と比較す
ると、8.7%増加しており、全国の温室効果ガス総排出量の同時期の変化率-4.1%より高くなっています。
森林吸収量を加味すると、基準年度比で 2.8%減の 14,884 千t- CO2 となりました。
長野県の特徴としては、温室効果ガスの約9割を占める二酸化炭素において、自動車を中心とする運
輸部門からの排出割合が、全国値が 19.0%であるのに対し、長野県は 24.9%、また、家庭部門からの排
出割合についても、全国値が 13.4%であるのに対し、長野県は 18.0%と高くなっていることがあげられ
ます。
2009(平成 21)年度のフロン類等の排出は、1,069 千t- CO2 でした。基準年度の 2,185 千t- CO2 と
比較すると、51.1%の削減となっています。
図表 2-9 県内の温室効果ガス総排出量の推移
(単位:万トン)
2,000
2012年度目標 1,438万トン
125%
森林吸収量
90年度比
1,710
1,746
1,670
130%
1,664
1,632
120%
1,500
1,531
115%
1,426
1,488
114.0%
111.7%
110%
109.1%
1,000
108.7%
106.6%
105%
100%
100.0%
97.2%
95%
500
93.1%
森林吸収量を加味した割合
(90年度比)
90%
85%
80%
0
2000
(H12)
1990
(年度) (H2)
2005
(H17)
2007
(H19)
2008
(H20)
2009
(H21)
長野県(2009(平成21)年度)
全国(2009(平成21)年度)
CO2
以外
6.4%
その他CO2
1.0%
CO2以外
5.3%
その他
CO2
12.3%
産業
32.1%
家庭
18.0%
産業
26.0%
家庭
13.4%
運輸
19.0%
運輸
24.9%
業務
17.9%
- 17 -
業務
23.7%
2 取組の経緯
長野県の取組が始まったのは、1990(平成2)年度に庁内各部局が連携して地球規模の環境問題に取
り組む体制(長野県地球環境問題連絡会議)ができてからです。2000(平成 12)年度に改定した長野県
環境基本計画からは、地球環境問題への対応を施策の重要な柱として位置付けました。
総合的な取組としては、県民計画と条例があります。
県民計画は、県内で排出される温室効果ガスを 2010(平成 22)年度までに基準年度と比べ6%削減す
ることを目標に、地球温暖化対策推進法に基づく計画として 2003(平成 15)年度に策定しました。しか
し、県内の温室効果ガスは、2007(平成 19)年度で基準年度比 14.0%増加し、全国の伸び率 9.0%より高
い状況でした。そこで、2007(平成 19)年度に県民計画を改訂しました。
第二次県民計画は、県内の温室効果ガスの総排出量を、森林吸収量を加味した上で、2012(平成 24)
年度までに基準度比で6%削減するという目標を掲げ、現在の長野県の施策根拠となっています。
地球温暖化の課題を解決するためには地域の一人ひとりの取組が必要との認識に立ち、実効性のある
地球温暖化対策を推進するため、事業者などに対し、排出抑制計画等の作成・提出や適切な環境情報の
説明などを求める条例を制定し、2007(平成 19)年2月 20 日から施行しています。
2011(平成 23)年度には、第二次県民計画の期間が翌年度に終了すること及び東日本大震災に伴う状
況の変化が生じたことから、有識者による「長野県地球温暖化対策戦略検討会」を設置し、従来の施策
を全般的に見直すとともに、長期ビジョンや戦略等について、提言書として取りまとめました。
3 取組の課題
県内の温室効果ガスの排出抑制が大きく進んでいないことから、現在の地球温暖化対策は、実効性に
課題があると考えられます。これまでの対策は、普及啓発の手法を多用し、効果が不確かな面がありま
した。分野ごとの課題は次のとおりです。
家庭部門では、家電省エネラベル掲出制度でラベル掲出を義務化するとともに、省エネ診断事業で省
エネ取組を支援し、信州エコポイント事業や減 CO2 アクションキャンペーンで県民の環境意識を涵養し
てきました。一方で、診断事業は実施規模が小さく、他は実効性が十分でないという課題があります。
産業・業務部門では、排出抑制計画書制度によって大規模排出事業者の自主的な取組を促進するとと
もに、省エネ診断や補助金等によって中小事業者の自主的な取組を支援してきました。一方で、計画や
取組の実効性を高める仕組みやフロン類等の対策を促す仕組みが十分ではありませんでした。
運輸部門では、自動車環境計画書制度によって運輸事業者の自主的取組を促進するとともに、自動車
環境性能説明制度で燃費に優れた自動車普及を促進したり、アイドリング・ストップ実施周知制度や普
及啓発によって県民意識を涵養したりしてきました。また、市町村を中心とした地域協議会等による地
域公共交通の確保維持への取組が広がっています。今後は、これらの取組の実効性を高めていく必要が
あります。
建築物の分野では、建築物環境配慮計画書制度によって、延べ床面積 2,000 ㎡以上の新増築に関して、
環境配慮の建築を促進してきました。一方で、同制度は定量的なエネルギー性能を客観的に評価、向上
を促すような制度にはなっていないなど、実効性が十分でないという課題があります。
自然エネルギーの分野では、再生可能エネルギー計画書制度によって電気事業者に計画的な導入を求
めるとともに、産官学民の協働で自然エネルギー信州ネット(以下「信州ネット」という。
)を 2011(平
成 23)年度に立ち上げ、県民や事業者による自然エネルギーの事業化や積極的導入を推進しています。
一方、同計画書制度の実効性が低いことや自然エネルギー事業に関する諸課題(人材育成、立地場所、
初期投資、規制など)
、建築物の新増築の際に設備設置を促す仕組みがないことなどの課題があります。
適応の分野では、環境保全研究所が国の先端研究に積極的に参加し、県内の山岳生態系や産業への影
響評価や情報収集、適応策構築手法の開発等の取組を進めています。一方、広範な観測体制の構築や適
応策の推進に関する専門機関の連携体制が十分でないなどの課題があります。
- 18 -
第3部 目標
第1章 ビジョン
第1節 基本目標
1 基本目標
本計画の最上位目標及び目指す社会の姿、そして全体を貫くコンセプトとしての「基本目標」を「持
続可能で低炭素な環境エネルギー地域社会をつくる」とします。
2 基本目標の趣旨
「持続可能で低炭素な環境エネルギー地域社会」とは、
「経済は成長しつつ、温室効果ガス総排出量と
エネルギー消費量の削減が進む経済・社会構造」を有する社会のことです。具体的には、次の実現を目
指すものです。
① 県民生活及び事業活動におけるエネルギー利用の効率化が高度に進んでいます。
② 大半のエネルギー利用が地域に根ざした分散型の自然エネルギーによって賄われています。
③ 温室効果ガスの排出抑制とともに、森林の保全と活用による吸収が進んでいます。
④ 自然エネルギー事業や省エネ投資が地域経済の活力の源になっています。
⑤ 国際的なエネルギーリスクや地球温暖化の進行によるリスクへの耐性を備えています。
これを市町村や一定のコミュニティ等の地域レベルでみれば、
「エネルギー自立地域」の実現を目指すも
のとなります。
3 基本目標の指標
2010(平成 22)年度を基準として、県内総生産(実質)
・県内温室効果ガス総排出量・県内エネルギー
消費量の相関図を毎年作成・更新し、基本目標「持続可能で低炭素な環境エネルギー地域社会をつくる」
の進捗状況を評価する(傾向を見る)指標とします。
図表 3-1 日本とドイツにおける
国内総生産(GDP)、エネルギー消費量、温室効果ガス(GHG)排出量の傾向比較(1990-2009)
日本におけるGHG,GDP及びエネルギー消費量の
[ 日本 ]
トレンド(1990年ー2009年)
ドイツにおけるGHG,GDP及びエネルギー消費量の
[ ドイツ ]
トレンド(1990年ー2009年)
40%
4 0%
GDPとエネ、GHGが連動
GDPとエネ、GHGが分離
30%
3 0%
20%
2 0%
10%
1 0%
0%
0%
1 9909 1 9 2 93 94 95 96 97 98 992 0000 1 0 2 03 0 4 05 06 07 08 09
1 99 09 1 92 9 3 94 9 5 9 6 97 98 99 20 0001 0 2 03 04 05 0 6 0 7 08 09
-10%
-1 0%
-20%
-2 0%
-30%
-3 0%
GHG(日本)
GDP( 日本)
エネルギー(日本)
GHG(ドイツ )
1
【出典】 栗田 郁真(京都大学経済研究所 研究員)氏 作成
(注)1 国立環境研究所、世界銀行資料により作成。
2 説明書きは長野県による。
- 19 -
GDP (ドイツ)
エネルギー( ドイツ)
第2節 目指す具体的な姿
1 県民生活
2030(平成 42)年の長野県では、省エネ・自然エネルギーに配慮した住宅が普及するとともに、農や自
然の恵みと触れあいながら、温かな人間関係のもとで心身豊かな暮らしが実現しています。
ほとんどの建物の屋根に、太陽
光発電パネルや太陽熱温水器
が設置されています。
日中の照明には太陽光を活用できる
とともに、ひさしを設けて夏の直射日
光を防ぎ、冬の日光は取り入れられ
るようになっています。
県産材の木製サッシなど
を活用した断熱性能の
高い省エネ住宅が普及
し、夏は涼しく、冬は暖
かい生活を送れます。
高断熱化により、家
の 中 で の 温 度 差が
低減し、ヒートショッ
クのおきにくい環境
になっています。
次世代自動車が蓄電池
の役割を果たし、電力
のピークカットにつなが
っています。
庭には、薪置場や菜園が
あり、農や自然に親しめる
信州らしいライフスタイル
が営まれています。
広い居間にストーブが置
かれ、家全体を暖めるとと
もに、家族団らんの場とな
っています。
暖房や給湯には、太陽熱
や地中熱、薪、チップ、ペ
レットなどの自然エネルギ
ーが活用されています。
- 20 -
生ゴミが堆肥として畑に
戻され、新鮮で美味しい
野菜となり、健康的な生
活を支えています。
2 コミュニティ
2030(平成 42)年の長野県では、市町村やコミュニティ単位の「エネルギー自立地域」が県内各地で広
がり、
人々は快適な暮らしや充実した社会生活を営んでいます。
地域主導型の自然エネルギービジネスが、
地域に雇用を生み出し、経済を活性化し、地域の自立を持続的に支えるものになっています。
農林業を元気にする循
環型の自然エネルギー
利用が進んでいます。
自然エネルギーを活用した観光地
に、多くの人が訪れています。
畜産系バイオマス・木質
バイオマス⇒発電⇒地
域熱供給・売電
地域住民による事業
体が小水力発電を行
い、収益は、地域の
まちづくり活動に使
われています。
県産材を利用した省
エネ住宅が普及し、
中古住宅のリフォー
ムも進んでいます。
公共交通が充実し、歩行者や
自転車利用者にとって、安全・
快適な街になっています。
エネルギーの自給率が高まり、災
害にも強い街になっています。
多くの住宅やマンション、ビ
ルが、自然エネルギーを活
用し、自然エネルギーにつ
いての学びの場にもなって
います。
多くの事業者が省エネを徹底し、環
境ビジネスや自然エネルギー事業
が盛んになっています。
低炭素な次世代自動車が
普及しています。カーシェ
アリングやパークアンドライ
ドも広がっています。
図表 3-2 エネルギー自立地域の7要素
1 民主性・協働性・オーナーシップ
地域の住民、事業者、行政等、地域社会一体となった目標や地域づくりの指針の策定、共有
2 参加性・公開性
低炭素まちづくりや自然エネルギー事業などにおける地域住民、事業者等の資金面、技術面、経営面等での参加
3 省エネ型ライフスタイル・ビジネススタイル
省エネ性能・自然エネルギーの導入された住宅・建築物、高効率機器の導入等により省エネ型のライフスタイル・ビジネススタイルの実践
4 公共的・地域主導型自然エネルギービジネスの創出
地域の自然エネルギー資源、技術、資金を活用し、地域の多様な者が参加する事業体による自然エネルギー事業の立ち上げ、利益を地域
還元する公共的自然エネルギー事業の創出、普及
5 低炭素まちづくり
都市機能等の集積、利便性の高い公共交通機関の整備、エネルギーの面的利用等の低炭素まちづくりの実践
6 地域主導型省エネビジネスの創出
生産、流通、消費段階等のライフサイクルにおいてエネルギー消費の少ない機器・製品・サービスを提供するビジネスの振興
7 エネルギーの自給、経済と環境のデカップリング
経済成長をしつつ温室効果ガス排出量やエネルギー消費量が削減される地域、当該地域で必要なエネルギーの大半を当該地域内で生み
出すことのできる地域
- 21 -
第2章 目標
第1節 目標設定
本計画の目標として次の5指標を用います。それぞれ、短期:2020(平成 32)年度、中期:2030(平
成 42)年度、長期:2050(平成 62)年度の目標値を定めます。また、以下の目標を用いて「エネルギー
自給率」の図表を作成し、目標の進捗状況を分かりやすく示します。
① 温室効果ガス総排出量
② 最終エネルギー消費量
③ 最大電力需要
④ 自然エネルギー導入量
⑤ 自然エネルギー発電設備容量
第2節 温室効果ガス総排出量
1 基準年度
1990(平成2)年度
15,311 千t- CO2
2 排出係数及び森林吸収
目標の進捗状況をみる温室効果ガス総排出量は、県内の排出抑制の取組の効果をより的確に評価する
ため、2010(平成 22)年度の中部電力の排出係数に固定します。また、毎年の排出係数及び森林吸収量
を反映させた温室効果ガス総排出量についても、参考として毎年の結果を示します。
3 目標
短期:2020(平成 32)年度
10%削減
▲1,500 千t- CO2(排出量 13,800 千t- CO2)
中期:2030(平成 42)年度
30%削減
▲4,600 千t- CO2(排出量 10,700 千t- CO2)
長期:2050(平成 62)年度
80%削減
▲12,200 千t- CO2(排出量 3,100 千t- CO2)
図表 3-3 温室効果ガス総排出量の削減目標
(千トン
-CO2)
16,000
1990年度比
▲10%
1990年度比
▲30%
1990年度比
▲80%
12,000
17,099
8,000
15,311
16,640
13,800
10,700
4,000
3,100
0
1990年度
(平成2年度)
[基準年度]
2000年度
(平成12年度)
2009年度
(平成21年度)
- 22 -
2020年度
(平成32年度)
[短期目標]
2030年度
(平成42年度)
[中期目標]
2050年度
(平成62年度)
[長期目標]
4 目標設定の考え方
短期、中期目標については、国の中央環境審議会の報告「2013 年以降の対策・施策に関する報告書」
(以下「中環審報告」という。
)を基本に、本計画に盛り込まれる対策の内容と相当レベルの対策を想定
している中位ケース(合理的な誘導策や義務付け等を行うことにより重要な低炭素技術・製品等の導入
を促進することを想定したケース、国の対策・施策を強化・補完・上乗せ・横出し)を基に目標を設定
しました。その際、長野県に典型業種が所在しないエネルギー多消費産業を除くなど、長野県の実情に
適合する補正を行い、試算しました。
長期目標については、国の第4次環境基本計画(2012 年4月閣議決定)において 80%削減を 2050(平
成 62)年の目標としており、中環審報告においても低位・中位・高位いずれも同じ 80%削減となってい
ることから、国と同じ目標にしました。
5 短期・中期・長期に関する部門別排出量及び削減目標
図表 3-4 短期・中期目標に関する部門別排出量及び削減目標
(単位:千トン-CO2)
2020(H32)年度
1990
(H2)
年度
部門等
2000
(H12)
年度
2009
(H21)
年度
2030(H42)年度
削減目標
90年度比
削減目標
90年度比
産業部門
4,201
4,209
4,330
3,904
▲ 7.1 %
3,234
▲ 23.0 %
業務部門
2,578
3,355
3,945
3,206
24.4%
2,231
▲ 13.4 %
運輸部門
3,870
4,843
4,143
3,447
▲ 10.9 %
2,584
▲ 33.2 %
家庭部門
2,317
2,834
2,992
1,946
▲ 16.0 %
1,326
▲ 42.8 %
その他CO2
160
184
161
153
▲ 4.4 %
140
▲ 12.5 %
2,185
1,674
1,069
1,144
▲ 47.6 %
1,185
▲ 45.8 %
15,311
17,099
16,640
13,800
▲ 10.0 %
10,700
▲ 30.0 %
11.7%
8.7%
▲ 10.0 %
CO2以外
合
計
(90年度比)
-
-
▲ 30.0 %
-
図表 3-5 部門別排出量の推移
(千トン)
産業
家庭
業務
運輸
その他CO2
CO2以外
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
1990
(H2)
1991
(H3)
1992
(H4)
1993
(H5)
1994
(H6)
1995
(H7)
1996
(H8)
1997
(H9)
1998
(H10)
1999
(H11)
2000
(H12)
2001
(H13)
2002
(H14)
2003
(H15)
2004
(H16)
2005
(H17)
2006
(H18)
2007
(H19)
2008
(H20)
2009 2020 2030
(H21) [短期] [中期]
(年度)
- 23 -
第3節 最終エネルギー消費量
1 基準年度
2010(平成 22)年度
18.6 万TJ
2 目標
短期:2020(平成 32)年度
15%削減
▲2.8 万TJ(消費量 15.8 万TJ)
中期:2030(平成 42)年度
30%削減
▲5.6 万TJ(消費量 13.0 万TJ)
長期:2050(平成 62)年度
40%削減
▲7.4 万TJ(消費量 11.2 万TJ)
図表 3-6 最終エネルギー消費量の削減目標
(単位:万TJ)
区分
2010
2020
2030
2050
(H22)
(H32)
(H42)
(H62)
[基準年度] [短期目標] [中期目標] [長期目標]
燃料
6.8
5.4
4.7
4.1
熱
5.2
4.3
3.3
3.1
電気
6.6
6.1
5.0
4.0
計
18.6
15.8
13.0
11.2
(万TJ)
電気
熱
燃料
20.0
6.8万TJ
2010年度比
▲15%
2010年度比
▲40%
2010年度比
▲30%
15.0
5.4万TJ
4.7万TJ
10.0
5.2万TJ
燃料
4.1万TJ
熱
3.1万TJ
4.3万TJ
3.3万TJ
5.0
6.6万TJ
6.1万TJ
5.0万TJ
4.0万TJ
電気
0.0
2010
(H22)
[基準年度]
2020
(H32)
[短期目標]
2030
(H42)
[中期目標]
2050
(H62)
[長期目標]
(年度)
3 目標設定の考え方
温室効果ガス総排出量の目標設定の考え方と同様の手法で最終エネルギー消費量を算出しました。
- 24 -
第4節 最大電力需要
1 基準年度
2010(平成 22)年度
297 万kW
2 目標
短期:2020(平成 32)年度
15%抑制
▲45 万kW(最大需要 252 万kW)
中期:2030(平成 42)年度
25%抑制
▲74 万kW(最大需要 223 万kW)
長期:2050(平成 62)年度
45%抑制
▲134 万kW(最大需要 163 万kW)
図表 3-7 最大電力需要の削減目標
(万kW)
350
300
297万kW
250
2010年度比
▲15%
2010年度比
▲25%
2010年度比
▲45%
252万kW
200
223万kW
150
163万kW
100
50
0
2010
(H22)
[基準年度]
2020
(H32)
[短期目標]
2030
(H42)
[中期目標]
2050
(H62)
[長期目標]
(年度)
3 目標設定の考え方
長野県の最終エネルギー消費量の削減率と 2011
(平成 23)
年度の中部電力管内における節電実績から、
対策中位ケースを実施すると想定して目標を設定しました。なお、長野県の最大電力発生が冬期にあり、
冬期のピーク時消費は夏期のピークより小口主体の利用も多く、時間も夏期のように短時間で終わらな
い特徴があります。
- 25 -
第5節 自然エネルギー導入量
1 基準年度
2010(平成 22)年度
1.1 万TJ(最終エネルギー消費量に占める割合 6.0%)
2 目標
短期:2020(平成 32)年度
1.7 万TJ(対基準年度増加率 55.1%)
(基準年度最終エネルギー消費量に占める割合 9.3%)
中期:2030(平成 42)年度
2.5 万TJ(対基準年度増加率 124.5%)
(基準年度最終エネルギー消費量に占める割合 13.5%)
長期:2050(平成 62)年度
3.8 万TJ(対基準年度増加率 243.5%)
(基準年度最終エネルギー消費量に占める割合 20.7%)
図表 3-8 自然エネルギー導入量の拡大目標
(単位:TJ)
区分
2010
2020
2030
2050
(H22)
(H32)
(H42)
(H62)
[基準年度] [短期目標] [中期目標] [長期目標]
電気
熱
自動車燃料
計
10,428
11,932
14,406
18,412
775
5,438
10,062
19,376
2
6
689
696
11,205
17,376
25,157
38,484
(TJ)
40,000
対2010年度増加率
243.5%
電気
35,000
熱
18,412TJ
30,000
自動車燃料
対2010年度増加率
124.5%
電気
25,000
14,406TJ
対2010年度増加率
55.1%
20,000
19,376TJ
15,000
11,932TJ
10,000
熱
10,428TJ
10,062TJ
5,000
775TJ
2TJ
0
2010
(H22)
[基準年度]
5,438TJ
6TJ
689TJ
2020
(H32)
[短期目標]
2030
(H42)
[中期目標]
自動車燃料
696TJ
2050
(H62)
[長期目標]
(年度)
3 目標設定の考え方
固定価格買取制度の導入、長野県内のポテンシャルや近年の導入動向等を踏まえて設定しました。こ
の目標は、国のエネルギー・環境会議「エネルギー・環境に関する選択肢」
(以下「エネ環報告」という。
)
や EU の再生可能エネルギー普及シナリオに照らしても妥当なレベルと考えられます。
- 26 -
第6節 自然エネルギー発電設備容量
1 基準年度
2010(平成 22)年度
10 万kW(最大電力需要に占める割合 3.6%)
(既設の小水力発電を除く)
2 目標(新設の小水力発電を含む)
短期:2020(平成 32)年度
30 万kW(対基準年度増加率 200%)
(基準年度最大電力需要に占める割合 10%)
中期:2030(平成 42)年度
60 万kW(対基準年度増加率 500%)
(基準年度最大電力需要に占める割合 20%)
長期:2050(平成 62)年度
90 万kW(対基準年度増加率 800%)
(基準年度最大電力需要に占める割合 30%)
図表 3-9 自然エネルギー発電設備容量の拡大目標
(単位:万kW)
区分
2010
2020
2030
2050
(H22)
(H32)
(H42)
(H62)
[基準年度] [短期目標] [中期目標] [長期目標]
太陽光発電
9.9
25.1
47
59.5
小水力発電
0
1.2
5.2
14.1
バイオマス発電
0.64
3.2
5.7
10.8
その他
0.07
0.5
2.1
5.6
計
10.61
30
60
90
(万kW)
100
90万kW
対2010年度増加率 800%
太陽光発電
90
小水力発電
80
59.5万kW
バイオマス発電
その他
70
60万kW
対2010年度増加率 500%
太陽光発電
60
47.0万kW
50
30万kW
対2010年度増加率 200%
40
30
14.1万kW
小水力発電
25.1万kW
20
9.9万kW
5.2万kW
バイオマス発電
0.0万kW
10.8万kW
10
5.7万kW
1.2万kW
3.2万kW
0.64万kW
0
2010
(H22)
[基準年度]
2020
(H32)
[短期目標]
2030
(H42)
[中期目標]
その他
2050
(H62)
[長期目標]
(年度)
3 目標設定の考え方
長野県内のポテンシャルや固定価格買取制度による導入量、近年の導入動向等を踏まえて設定しまし
た。
- 27 -
第7節 エネルギー自給率
1 エネルギー自給率について
本計画の目標(最終エネルギー消費量、最大電力需要、自然エネルギー導入量、自然エネルギー発電
設備容量)を基に県内におけるエネルギーの自給率(長野県内で自給することのできるエネルギーは、
自然エネルギー及び一般水力発電であることから、再生可能エネルギーの自給率を意味します。
)を以下
の考え方で算出します。
①
エネルギー消費量で算出する指標
本指標は、電力だけでなく、燃料等のエネルギー全体を含めて実際使用された量で算出するもので、
本計画に基づく「エネルギー需要を県民の手でマネジメントする」
「再生可能エネルギーの利用と供給を
拡大する」を評価する指標として活用するものです。
②
電力に関し「設備容量」で算出する指標
本指標は、本計画に基づき推進する「エネルギーを特性に応じて適切に使う」
「再生可能なエネルギー
による発電設備を拡大する」の進捗状況を図る指標として活用するものです。
③
既存の水力発電の状況
長野県の水力発電設備のうち、既存の一般水力発電設備は、11 箇所、67.4 万kWの発電設備容量であ
り、東京電力株式会社、関西電力株式会社及び中部電力株式会社の経営する発電所で占めています。
小水力発電に該当する3万kW未満の水力発電設備は、175 箇所、95.9 万kWの発電設備容量です。
図表 3-10 既存の水力発電の状況
一般水力
(単位:箇所、万kW)
合 計
小水力
事業者名
設備箇所数
発電設備容量
設備箇所数
発電設備容量
設備箇所数
発電設備容量
東京電力(株)
4
14.4
23
20.9
27
35.3
関西電力(株)
5
37.7
14
14.7
19
52.4
中部電力(株)
2
15.3
79
32.7
81
48
長野県
0
0
17
10.1
17
10.1
その他
-
-
42
17.5
42
17.5
合 計
11
67.4
175
95.9
186
163.3
【出典】長野県内の新エネルギー設備導入状況(2012(平成 24)年4月1日現在)より作成
- 28 -
2 エネルギー自給率の推計(目標が達成されたケースで試算)
①
エネルギー消費
エネルギー消費量でみるケース
消費量でみるケース
県内で一年間に使うエネルギー量に対して、県内で再生可能エネルギー(自然エネルギーの電気・熱・
燃料+既存の水力発電の電気)の量をどれだけ生み出したか、その割合を見る指標です(燃料について
は県内への供給量)
。
「2010 年度の県内最終エネルギー消費量(TJ)
」をベースとして、再生可能エネルギーの供給量(T
J)と省エネによるエネルギー消費需要減の効果(TJ)を用いて試算しました。
自然エネルギーの供給量(TJ)
エネルギー
自給率(%)
+ 既存の水力発電供給量(TJ)
=
最終エネルギー消費量(TJ)
図表 3-11 再生可能エネルギー自給率目標(年間消費量)
(単位:%)
2010
2020
2030
2050
(H22)
(H32)
(H42)
(H62)
[基準年度]
[短期目標]
[中期目標]
[長期目標]
年度
6.0
自給率
11.0
19.3
34.4
図表 3-12 最終エネルギー消費量・再生可能エネルギー供給量の推移
自動車燃料
(万TJ)
熱
電気
20
最終エネルギー消費量
18
16
最終エネルギー消費量
14
12
10
8
34.4%
19.3%
6
3.8万TJ
11.0%
6.0%
2.5万TJ
4
1.7万TJ
1.1万TJ
2
0
2010
(H22)
[基準年度]
2020
(H32)
[短期目標]
2030
(H42)
[中期目標]
2050
(H62)
[長期目標]
(年度)
- 29 -
②
発電設備容量でみるケース
県内の最大電力需要(年間のうちもっとも電気を使った瞬間・ピーク)に対して、再生可能エネルギ
ー発電設備(自然エネルギー発電設備+既存の水力発電設備)の容量(発電能力)が、県内にどれだけ
存在するか、その割合を見る指標です。
「2010 年度の県内最大電力需要(kW)
」をベースとして、再生可能エネルギーの発電設備容量(kW)
と省エネによる電力需要減の効果(kW)を用いて試算しました。
自然エネルギー発電設備容量(kW)
エネルギー
自給率(%)
+ 既存の水力発電設備容量(kW)
=
最大電力需要(kW)
図表 3-13 再生可能エネルギー自給率目標(発電設備容量)
(単位:%)
年度
2010
2020
2030
2050
(H22)
(H32)
(H42)
(H62)
[基準年度]
[短期目標]
[中期目標]
[長期目標]
58.6
自給率
76.6
100.3
155.1
図表 3-14 最大電力需要・再生可能エネルギー発電設備容量の推移
(万kW)
既存の水力
350
自然エネルギー
最大電力需要
最大電力需要
300
155.1%
100.3%
250
76.6%
自然エネルギー
58.6%
200
150
既存の水力
100
50
0
2010
(H22)
[基準年度]
2020
(H32)
[短期目標]
2030
(H42)
[中期目標]
2050
(H62)
[長期目標]
(年度)
- 30 -
第4部 政策
図表 4-1 「長野県環境エネルギー戦略」政策体系
持続可能で低炭素な
環境エネルギー
地域社会をつくる
エネルギー需要を
県民の手でマネジメントする
エネルギーの消費量を
減らす
エネルギーを効率よく使用し、
省エネ型の家庭用機器や
産業機器を普及する
家庭
省エネ政策パッケージ
事業活動
省エネ政策パッケージ
快適な省エネまちづくりを
進める
建築物
省エネ政策パッケージ
交通・まちづくり
省エネ政策パッケージ
エネルギーを特性に応じて
適切に使う
再生可能エネルギーの
利用と供給を拡大する
再生可能なエネルギーによる
発電を拡大する
再生可能な熱・燃料を
拡大する
総合的な地球温暖化
対策を推進する
地球温暖化を抑制する
熱は熱で賄う
自然エネルギー
政策パッケージ
エネルギーを利用する
時間帯が過度に
集中することを避ける
電力需要抑制対策
自然エネルギー発電設備の
設置を拡大する
自然エネルギー
政策パッケージ
既存の水力発電
設備の有効利用と
新規自然エネルギー
開発を進める
長野県公営電気事業
自然エネルギー熱供給
設備の設置を増やす
自然エネルギー
政策パッケージ
電気自動車など次世代
自動車の普及と非化石
燃料への利用転換
を進める
交通・まちづくり
省エネ政策パッケージ
廃棄物の発生抑制、
再使用、リサイクルを進め、
フロン類等の大気中への
漏出を防止する
長野県廃棄物処理計画
フロン類等対策
地球温暖化に適応する
木材利用の拡大や森林
整備による二酸化炭素
の吸収・固定化を促進する
長野県森林づくり指針
地球温暖化の
影響把握と予測を行う
地球温暖化適応策
パッケージ
地球温暖化の影響への
適応策を様々な主体で
進める
- 31 -
第1章 エネルギー需要を県民の手でマネジメントする
第1節 エネルギーの消費量を減らす
1 エネルギーを効率よく使用し、省エネ型の家庭用機器や産業機器を普及する
【指標】
電気・ガス・石油製品使用量
【家庭省エネ政策パッケージ】
〈家庭のエネルギー消費を効率化・抑制する〉
①
家庭用機器の高効率化
家電など家庭で使われる機器について、購入や買替の機会を捉えての高効率機器の選択・転換を促進
します。
そのため、従来から実施している「家電の省エネラベル掲出制度」
(販売店における省エネラベルの掲
出義務)を拡充し、電気使用量の多い現行の3機器(エアコン、冷蔵庫、テレビ)に加え、電気便座と
蛍光灯器具を対象とします。今後も、統一省エネラベルの対象が拡大次第、制度の対象とする機器を追
加します。
②
家庭用機器の効率的使用
県民に対して、夏季・冬季のキャンペーン「信州省エネ大作戦」などを通じて、省エネ手法に係る情
報を広く提供します。
また、県民の求めに応じて、ライフスタイルを診断し、環境に配慮できる手法を助言します。そのた
め、広範に家庭の省エネ行動を支援する新たな「家庭の省エネサポート制度」を構築し、実施します。
これは、実効性の高い省エネ行動の定着を目指すもので、企業や団体が県民との接点機会を活用して行
う省エネアドバイザーによる個別の県民に対する省エネアドバイス・省エネ診断活動と、市町村等と協
力して行う省エネ講習会を連携させて実施します。県は、省エネアドバイス等を担う統括団体の認定、
省エネアドバイザーの研修、アドバイス等ツールの作成等を担います。
図表 4-2 「家庭省エネ政策パッケージ」体系
家庭
省エネ政策パッケージ
家庭のエネルギー消費を
効率化・抑制する
家庭用機器の
高効率化
家庭用の高効率
機器への転換・選択を
促進する
家電の省エネラベル
掲出制度
家庭用機器の
効率的使用
省エネに係る情報を
提供する
家庭の
省エネサポート制度
生活様式を診断し、
助言する
- 32 -
【事業活動省エネ政策パッケージ】
〈事業活動のエネルギー消費を効率化・抑制する〉
①
大規模事業者の取組促進
一定規模以上の温室効果ガスを排出している大規模事業者(エネルギーの需要サイド)については、
事業者自身によるエネルギー使用状況の把握を確実に促すとともに、効率化と排出抑制を計画的に進め
られるようにします。省エネは、運用と設備更新のいずれにおいても、光熱費の減少によって投資回収
でき、事業者のコスト削減にも資することから、事業活動用の機器の効率的な使用の徹底など、運用面
の着実な省エネに結びつく取組を促すとともに、高効率な機器への計画的な転換を促進します。
そのため、従来から実施している「排出抑制計画書制度」
(事業者が目標や取組の計画を作成し、結果
を県に報告する制度)を拡充するとともに、現行の「自動車環境計画書制度」と統合し、事業者対策の
柱となる「事業活動温暖化対策計画書制度」とします。
拡充の内容は、対象事業者の拡大(県内事業所で合計して原油換算 1,500kl/年以上のエネルギーを
使用している事業者等)、計画年度の複数年度化(現行は単年度)
、交通や物流等の視点の追加、県によ
る助言・指導・評価・表彰等の実施などです。
エネルギーの供給サイドに関しては、電気やガス等のエネルギー供給事業者やそれらの事業者団体な
どに対し、エネルギー供給における低炭素化や再生可能エネルギーの普及・供給拡大に係る取り組みを
促すため、現行の「再生可能エネルギー計画書制度」を発展させ、エネルギー供給事業者に対する「エ
ネルギー供給温暖化対策計画書・協定制度」を導入します。
②
中小規模事業者の取組促進
一定規模以下の温室効果ガスを排出している中小規模事業者については、意欲的な事業者であること
を外部から評価できるようにします。また、先進的な取組をしている事業者の知見を、中小規模事業者
に普及します。
意欲的な中小規模事業者の見える化・評価については、そうした事業者が「事業活動温暖化対策計画
書制度」へ任意で参加できるようにします。任意参加することで、県による助言・評価・表彰などを受
けられます。さらに、エネルギー管理の手法でもあるエコアクション 21 などの環境マネジメントシステ
ム(以下「EMS」という。
)の導入に向けた研修会の開催や、県が財やサービスを調達する際に価格以
外にEMSの取組を考慮する仕組みづくりの検討などによりEMSの導入促進を図り、事業者のエネル
ギー管理の取組を支援します。
事業者間の知見の普及については、従来から実施している「信州省エネパトロール隊への活動支援」
「省
エネセミナーの開催」
「事例集の作成・頒布」を引き続き実施します。
③
他の事業者の模範となる先進的なモデルづくり
事業者が温室効果ガスの排出抑制について、一定の基準を満たす意欲的な取組を自主的に行うことを
促進するため、県と事業者間での「協定制度」を設けます。
これは、省エネやフロン類等の対策、未利用エネルギーの活用等について、意欲的な目標を設定し、
目標達成のための取組を実施する事業者と複数年度の協定を締結するものです。事業者は、県に対して
取組状況・結果を報告し、県は、事業者に対して支援を行います。
④
事業者間の連携・協力の促進
地球温暖化対策における事業者間の理解や知見の共有、切磋琢磨を促進します。
県は従来から設けられている病院、商業施設、宿泊事業者による「長野県温暖化対策病院協議会」
「長
野県温暖化対策商業施設協議会」
「長野県温暖化対策宿泊施設協議会」の活性化や組織化を推進し、病院
や事業者が取り組む自主的な温暖化対策の推進、宿泊事業者が取り組むアメニティ軽減につながる取組
や環境負荷軽減活動などを支援します。
- 33 -
また、県内の事業者の効果的な対策導入に資するため、得られた優良事例の情報は、差し支えない範
囲で県から情報提供します。
図表 4-3 「事業活動省エネ政策パッケージ」体系
事業活動
省エネ政策パッケージ
事業活動のエネルギー
消費を効率化・抑制する
大規模事業者の
取組促進
エネルギー使用状況を
把握し、効率化・抑制を
計画する
事業活動温暖化対策
計画書制度
事業活動用の機器を
効率的に使用する
事業活動用の機器を
高効率化する
中小規模事業者の
取組促進
意欲的な事業者の
取組を評価する
事業活動温暖化対策
計画書の任意提出制度
事業者間での知見の
普及を促進する
信州省エネパトロール隊の
支援
他の事業者の模範となる
先進的なモデルづくり
高度な目標を掲げ、
取り組む事業者を
支援する
事業者向け協定制度
事業者間の連携・協力の
促進
事業者間での知見の
普及を促進する
業種・業態別協議会
2 快適な省エネまちづくりを進める
【指標】
エネルギー性能別の新築建築数・交通分担率
【建築物省エネ政策パッケージ】
〈環境エネルギーに配慮された建築物を普及する〉
①
新築建築物の取組促進
建築主が建築物の新築や購入を行う際、建築物のエネルギー性能を客観的に見える化し、建築物の環
境や省エネ性能に配慮して選択することを促進します。高度な環境エネルギー性能を有する建築物の普
及方策を検討し、導入します。併せて、講習会の開催など建築事業者による環境エネルギーに関する建
築技術の向上を支援します。
建築主の選択促進に関しては、従来から実施している「建築物環境配慮計画書制度」を大幅に拡充し、
建築物における「環境エネルギー性能検討制度」を実施します。主には、建築主が建築事業者の情報提
供に基づき、建築物の環境エネルギー性能を検討すること、中規模以上の建築物について建築主が環境
エネルギー性能を建築物に掲示するよう努めること、大規模建築物における建築物環境エネルギー計画
の県への届出を進めます。
県有施設に関しては、県有財産のファシリティマネジメントにおける県有施設の省エネ改修等に係る
協議制度を通じて、環境エネルギー性能に配慮した新築を促進するほか、県の協議制度の仕組みや経験
を市町村などに対しても発信していきます。
高度な環境エネルギー性能を有する建築物の普及については、エコまち法に基づく低炭素建築物新築
等計画の認定の促進、ふるさと信州・環の住まい認定制度の活用や、環境エネルギー性能の高い住宅、
- 34 -
建築物の設計、技術、機能等を評価する仕組みなど、新たな知見を取り入れた施策を検討、導入してい
きます。
建築技術の向上促進については、県と主要な県内関係団体によって組織している「長野県住まいづく
り推進協議会」と連携し、技術講習会の開催や評価ツールの普及などを実施するとともに、国の 2020(平
成 32)年度まで段階的に建築物の断熱性能を規制する方針(
「低炭素社会に向けた住まいと住まい方」の
推進方策について中間とりまとめ)に着実に対応できるよう取り組みます。
②
既築建築物の取組促進
所有者による既存の建築物の断熱性能向上の取組、とりわけ既存住宅の断熱改修を促進します。ビル
などの事業用の建築物については、
「事業活動温暖化対策計画書制度」を通じて対策を促します。
県有施設に関しては、県有財産のファシリティマネジメントにおける県有施設の省エネ改修等に係る
協議制度を通じて、環境エネルギー性能に配慮した改築を促進するほか、県の協議制度の仕組みや経験
を市町村などに対しても発信していきます。
既存住宅については、リフォーム助成制度等の活用や環境エネルギー性能の診断の仕組み等、環境エ
ネルギー性能を高める改修を誘導できるよう、新たな知見を取り入れた施策を検討、導入します。
「長野
県住まいづくり推進協議会」と連携し、建築事業者の住宅リフォーム技術の向上への取組も支援します。
図表 4-4 「建築物省エネ政策パッケージ」体系
建築物
省エネ政策パッケージ
環境エネルギーに
配慮された建築物を
普及する
新築建築物の
取組促進
国による省エネ建築
規制を前提とする
環境エネルギーに
配慮された建築物の
選択を促進する
建築物に係る
環境エネルギー性能
検討制度
高度に配慮された
建築物の普及を
促進する
低炭素建築物新築等
計画認定の促進
ふるさと信州・環の
住まい認定制度
既築建築物の
取組促進
- 35 -
建築事業者の
技術向上を促進する
長野県住まいづくり
推進協議会
既存住宅の断熱
改修を促進する
リフォーム助成制度等
【交通・まちづくり省エネ政策パッケージ】
〈環境エネルギーに配慮されたまちづくりを進める〉
①
環境負荷の低い交通・運輸への転換
環境エネルギーに配慮されたまちづくりにおいては、二酸化炭素排出割合が高い運輸、特に交通に関
する取組が重要であり、公共交通の維持・活性化、自動車から公共交通利用への転換促進、物流の効率
化の促進は、交通政策と環境エネルギー政策の両面から重要になります。したがって、個別の施策レベ
ルのみならず、交通政策全般で連携を図ります。
交通政策と環境の連携については、長野県の交通のあり方を示す「長野県新総合交通ビジョン」にお
いて、環境エネルギー政策の視点を盛り込みます。
公共交通の維持・活性化については、市町村が中心となり取り組んでいる地域協議会などにおいて、
地域の実情に応じた効果的な方策の検討を支援するなど、住民の生活に欠かせない地域公共交通の確保
維持を促進していきます。
自動車から公共交通利用への転換については、事業所への通勤や商業施設等の来客の交通について、
事業者が自主的に転換を促進するよう「通勤・来客交通計画書制度」を設け、
「事業活動温暖化対策計画
書制度」と一体で運用します。また、公共交通利用促進の取組として、従前から実施している「バス・
電車ふれあいデー」を継続して実施します。
物流の効率化については、事業者が自主的かつ関係事業者と連携して効率化を促進するよう「物流計
画書制度」を設け、
「事業活動温暖化対策計画書制度」と一体で運用します。
②
自動車使用に伴う環境負荷の低減
長野県の地理的特性により今後も自動車の使用が続くと考えられることから、自動車使用に伴う環境
負荷の低減は重要です。そこで、環境負荷の低い自動車への転換や普及を促進します。運転時の環境負
荷を無理なく低減していくことも促進します。
環境負荷の低い自動車の普及については、「自動車環境情報提供制度」
(販売者に購入者への自動車の
環境性能の説明を義務付け)を基本に、販売事業者による環境マイスター認定の取組との連携を強化し、
実効性を高めます。県と関係団体、事業者で構成する「長野県温暖化対策次世代自動車推進協議会」を
通じて、効果的な方策を検討・推進するとともに、次世代自動車の普及に資する環境の整備を進めます。
運転時の環境負荷の低減については、
「アイドリング・ストップ実施周知制度」
(駐車場へのアイドリ
ング・ストップ呼びかけ掲示の義務付け)を引き続き実施します。
③
環境負荷の低いまちづくり・面的取組の促進
環境エネルギーに配慮されたまちづくりを計画的に進める観点から、都市計画と環境エネルギー政策
の連携を図ります。大規模な開発に際しては、排熱や上下水の熱など、未利用エネルギーの面的な有効
活用を促進します。まちづくりの主体である市町村による環境まちづくりを促進します。
都市計画と環境政策の連携については、県全体の「長野県都市計画ビジョン」
、広域単位の「圏域マス
タープラン」
、都市計画区域単位の「区域マスタープラン」の改定時を捉え、低炭素都市づくりの視点を
盛り込むよう努めます。未利用エネルギーの活用についても、大規模な建築(床面積 10,000 ㎡以上の建
築物の新築等)に関して「未利用エネルギー活用検討制度」を設け、建築物における「自然エネルギー
導入検討制度」と一体で運用します。
市町村の環境エネルギーに配慮されたまちづくりの促進については、県と市町村で構成する「地球温
暖化対策・自然エネルギー研究会」(以下「市町村研究会」という。)を通じて、エコまち法における低
炭素まちづくり計画の策定に必要な情報や専門的な知見を提供します。
長野県では、地理的特性から広域単位で都市機能等の集積や土地利用の在り方及び交通体系を検討し
ていくことが必要であることから、圏域レベルでの都市計画、交通政策及び環境エネルギー政策が連携
して施策を講じていく手法の研究についても検討します。
- 36 -
図表 4-5 「交通・まちづくり省エネ政策パッケージ」体系
交通・まちづくり
省エネ政策パッケージ
環境エネルギーに
配慮された
まちづくりを進める
環境負荷の低い
交通・運輸への転換
交通政策と環境政策の
連携を図る
長野県新総合交通ビジョン
公共交通を
維持・活性化する
広域幹線バス路線補助
自動車から公共交通
利用への
転換を促進する
通勤・来客交通
計画書制度
(事業活動計画書制度と一体)
物流計画書制度
物流の効率化を促進する
(事業活動計画書制度と一体)
自動車使用に伴う
環境負荷の低減
環境負荷の低い
自動車を普及する
自動車環境情報
提供制度
長野県温暖化対策
次世代自動車
推進協議会
次世代自動車の
普及環境整備
環境負荷の低い
まちづくり・面的取組の
促進
運転時の環境負荷
低減を促進する
アイドリング・ストップ
実施周知制度
都市計画と環境政策の
連携を図る
都市計画方針の策定
未利用エネルギーの
面的活用を促進する
未利用エネ活用
検討制度
(自然エネ導入検討制度と一体)
市町村の
環境まちづくりを
支援する
- 37 -
市町村研究会
第2節 エネルギーを特性に応じて適切に使う
1 熱は熱で賄う
【指標】
自然エネルギー熱導入量
【自然エネルギー政策パッケージ】
○ グリーン熱
電気以外のエネルギーでも賄える熱利用(暖房や給湯、煮炊きなど)に際しては、発電効率などエネ
ルギー全体の流れを踏まえた多様なエネルギーの利用が考えられます。
熱利用における自然エネルギーの活用は、発電よりも比較的簡易かつ安価な機器で可能であるため、
エネルギー効率や費用対効果の観点からも有効です。そこで、長野県では自然エネルギーによる熱を「グ
リーン熱」として、普及を促進します。
(施策体系については、第2章第2節を参照してください。
)
2 エネルギーを利用する時間帯が過度に集中することを避ける
【指標】
最大電力需要
【電力需要抑制対策】
〈エネルギー利用の分散化を促進する〉
①
エネルギー需給情報の把握
環境エネルギー政策の推進や県民の取組の基礎とするために、エネルギーの需給情報を把握し、県民
に提供することが必要です。そのため、
「再生可能エネルギー計画書制度」を「エネルギー供給温暖化対
策計画書・協定制度」へ発展させ、エネルギー供給事業者による県内への供給実績の報告・公表を促し
ます。
②
使用時間帯等の集中回避(シフト・チェンジ)
エネルギー需要が高まる夏季及び冬季を中心に、需要の時間帯が過度に集中しないよう、エネルギー
利用の時間帯をずらす(シフト)
、エネルギー効率の高い機器への買替えや電気以外のエネルギー源の活
用(チェンジ)など、事業者及び家庭での需要を分散・抑制する行動を促進します。そこで、効果的な
需要の分散・抑制を促しつつ、無理な行動によって事業活動や生活に支障が生じないよう、適切な情報
提供と行動の呼びかけによる夏季・冬季のキャンペーン「信州省エネ大作戦」を引き続き実施します。
効果的な手法やエネルギーの特性に係る情報については、事業者に対しては「事業活動温暖化対策計
画書制度」や「信州省エネパトロール隊への活動支援」
「省エネセミナーの開催」
「事例集の作成・頒布」
「事業者協議会」を通じて、家庭に対しては「家庭の省エネサポート制度」を通じて普及を進めます。
図表 4-6 「電力需要抑制対策」体系
電力需要抑制対策
エネルギー利用の
分散化を促進する
エネルギー需給情報の
把握
エネルギー供給事業者
から情報提供を受ける
エネルギー供給温暖化
対策計画書・協定制度
使用時間帯等の
集中回避
(シフト・チェンジ)
事業者・家庭での
行動を促進する
信州省エネ大作戦
- 38 -
第2章 再生可能エネルギーの利用と供給を拡大する
第1節 再生可能なエネルギーによる発電を拡大する
1 自然エネルギー発電設備の設置を拡大する
【指標】
自然エネルギー発電設備容量
【自然エネルギー政策パッケージ】
本政策パッケージの各施策は、固定価格買取制度の積極的な活用と、非売電分のグリーンエネルギー
証書化の推進を基本方針としています。
以下の自然エネルギー政策パッケージを講じることで、
1村1自然エネルギープロジェクトを契機とし、
地域主導型の自然エネルギー事業の展開を通じて地域社会を活性化するとともに、地域に必要なエネルギ
ーを地域内で賄うエネルギーの自給率を向上させ地域の自立を図る「エネルギー自立地域」へと発展させ
ていきます。
〈自然エネルギー普及の地域主導の基盤を整える〉
①
自然エネルギーの情報を広範な県民間で共有する体制
自然エネルギー源の活用について、県民の中から主体的な担い手が多く生まれるよう、基礎となる情
報や知見を県民、各地域で共有する場の設置や運営を促進します。2011(平成 23)年度に県や事業者、
NPO、専門家等で結成された信州ネット等と連携し、自然エネルギーに係る情報や知見を県民、各地
域で共有する場づくりを提供します。また、より県民に身近な場として、自然エネルギーに係る地域協
議会の設置や活動を促進・支援し、地域の事業者や行政、住民等の情報共有や事業化に向けた連携の場
づくりを進めます。市町村との連携については、全市町村担当者に呼びかけて開催する市町村研究会の
活用により行います。
自然エネルギー事業の基礎となる事項やデータ等については、長野県内の自然エネルギーポテンシャ
ル情報の提供のほか、地域主導型の自然エネルギーの事業化に向けた手引き等の検討、整備を行い、専
門的な情報についての公表・提供を進めます。
②
自然エネルギー事業の知見を生み、改良し、普及する仕組み
県民の間で自然エネルギー事業に関する知見を広げていくために、信州ネットや自然エネルギーに係
る地域協議会などにおける自然エネルギー事業に関する人材育成や専門家派遣等の中間支援機能を支援
します。さらに、自然エネルギー事業に係る技術的、経営的なノウハウを提供し、地域の自然エネルギ
ー事業のインキュベートを行う「地域環境エネルギーオフィス」の創出を促進します。
自然エネルギー事業の起業・事業化に対しては、地域主導型のビジネスモデルの立ち上げを支援しま
す。その際、地域の資源、技術、資金を活用した地域の事業体により売電事業等を行い、収益を地域社
会に還元する公共性の高い地域主導型の事業モデルを創出すること、県有施設や未利用地を活用した革
新的な地域主導型の自然エネルギー事業を創出することに重点を置きます。
また、このような地域主導型ビジネスモデルのノウハウや経験を信州ネットや自然エネルギーに係る
地域協議会を通じて、共有・発信していきます。
先駆的なビジネスモデルの開発にあたっては、総合特区制度(規制緩和・支援措置等をセットにした
特区制度)等の国の制度も活用して、産官学民でともに取り組むモデル事業を推進します。
自然エネルギーの起業・事業化に際して、供給設備の初期投資の調達を円滑に進めるため、中小企業
- 39 -
向け融資制度の検討、活用を進めます。地域金融機関からのプロジェクトファイナンス等による融資や
市民出資の活用を円滑化するため、金融機関や関係団体とともに自然エネルギー事業の経済性、公共性
の評価について研究を行うなど、多様な資金調達の仕組みづくりに取り組んでいきます。
関連事業については、
「長野県ものづくり産業振興戦略プラン」などに基づき、長野県の地域特性に応
じた費用対効果の高い自然エネルギー供給設備や関連機器等の開発を支援するとともに、例えば、県内
産の太陽光発電パネル、パワーコンディショナー、架台の活用など「Made in 信州」による自然エネルギ
ーの事業化を進めるため、県内事業者によるサプライチェーンの構築を促進します。
③
自然エネルギー事業の経験を促進し、リスクを軽減する取組
自然エネルギー普及の最大の壁が経験とノウハウの不足にあることから、
「1村1自然エネルギープロ
ジェクト」の登録を通じて、ある程度の経験蓄積が進んでいる地域から、経験がほとんどない地域に対
してまで、情報提供、人材育成、専門家派遣など、地域のニーズにあった支援を行ないます。加えて、
自然エネルギーの事業化支援、地域活性化の観点からの自然エネルギーの活用支援、防災拠点における
自然エネルギー供給設備の導入による災害に強い環境エネルギーに配慮したまちづくり支援等を進めて
いきます。また、取組間の経験交流、ネットワーク化の支援等を通じ、地域での自然エネルギー事業の
経験蓄積を支援します。
各種の規制が事業のリスクになっている面もあることから、現場の声を反映して、国に対して政策及
び規制改革を積極的に提言します。市町村や信州ネット、地域協議会などを通じて現場での支障事例や
政策提案を適宜集約し、国への要望や知事会等での提案に活かします。特に、自然エネルギーの推進に
積極的な道府県で構成する「自然エネルギー協議会」を国や事業者への提案を行う場として活用します。
さらに、供給サイドからの自然エネルギーの普及に係る環境整備が必要不可欠であることから、
「エネ
ルギー供給温暖化対策計画書・協定制度」を通じて、エネルギー供給事業者が自然エネルギーの普及・
供給拡大のための取組を計画的に推進できるようにします。
〈自然エネルギー種別ごとの促進策を講じる〉
①
太陽光発電
長野県は、2010(平成 22)年度最大電力需要の約3倍に相当する太陽光発電設備容量のポテンシャル
(8,867MW)があります。太陽光発電については、固定価格買取制度を活用して、未利用地や建築物の屋
根を活用したメガソーラー事業や住宅における太陽光発電の導入を促進します。また、信州ネット等と
連携して、長野県内における太陽光発電の発電量実績を公開・共有できる仕組みの構築を推進します。
太陽光発電を設置できる場所(資源)は、主に屋根と未利用地に分かれます。
(1) 屋根
新築建築物の屋根については、建築物における「自然エネルギー導入検討制度」により普及を進め
ます。これは、住宅や建築物の建築主が建築事業者による自然エネルギーの情報提供に基づき、その
導入可能性を検討すること、一定規模以上の建築物について建築主が自然エネルギー設備の情報を掲
示するよう努めたり、導入検討の結果を県に届けたりする制度です。
設備導入に必要な多大な初期投資が導入の最大の障害になっていることから、中小企業向け制度融
資を継続していくとともに、既築の住宅や建築物については、屋根貸しモデルやリース方式、あるい
は初期投資ゼロで自ら導入するビジネスモデル(以下「初期投資軽減モデル」という。
)を確立すると
ともに、地域主導の事業体による事業の展開を支援します。県有施設については、「おひさま BUN・
SUN メガソーラープロジェクト」を実施し、技術的、経営的なノウハウを広く県内に発信・共有する
とともに、積載荷重に問題のない県有施設の屋根貸しやリース活用を積極的に進め、また、市町村の
公共施設の屋根貸しの取組も促進します。
- 40 -
(2) 未利用地
未利用地については、市町村・土地所有者と、事業者との間で相互のニーズをマッチングさせる情
報ルートがほとんどなく、事業の壁になっていることから、土地の転用などに困難のない一般的な未
利用地について、市町村・土地所有者と、事業者との間をつなぐ「メガソーラーマッチング窓口」に
よって、普及を進めます。
②
小水力発電
長野県における小水力発電の潜在的可能性は、2010(平成 22)年の環境省「再生可能エネルギー導入
ポテンシャル調査報告書」によると、1,648 地点、90.1 万kW となっています。小水力発電については、
事業を行う地域主導の事業主体を立ち上げていくこと、水利権を円滑に取得し、費用対効果の高い設備
を導入していくことが必要です。小水力発電事業の実施にあたっては、適地選定から事業の実施まで幅
広い技術や経営、制度上の知見、経験が必要となることから、きめ細やかな支援が求められています。
このことから、まず小水力発電の案件形成段階の支援として、適地選定、事業者育成、地域の合意形
成、事業計画策定に係る技術、許認可手続き、経営に係る支援を行う「小水力発電キャラバン隊」を立
ち上げ、地域の状況を踏まえたオーダーメードのサポートを行います。また、水利権の取得可能性、申
請の容易性も踏まえた適地の選定を促すため、水利権相談窓口を県庁に設置します。さらに、研修啓発
事業や小水力発電手引き等の整備を進めていきます。
小水力発電の事業化段階においては、地域の事業者が行う流量調査等の導入可能性の調査・検討、概
略設計等の事業開発について支援を行います。Made in 信州の水力発電の技術の活用、資金調達のサポー
ト等によるモデル事業も促進します。
また、長野県公営電気事業による小水力発電の新規設置など、県自らが小水力発電設備の設置や事業
を行うことを通じて、その知見を広く公開、共有します。さらに、規制については、水利権など小水力
発電推進に関する必要な改革を国に求めていきます。
小水力発電を設置できる場所(資源)は、主に河川と非河川に分かれます。
(1) 河川
一般河川については、大規模水力発電と同様に、数千kW級の小水力発電の新規建設は取水や環
境などへの影響から合意が得られにくくなってきています。そこで、河川への影響が少ない規模で
の小水力発電の普及を中心に推進します。
砂防堰堤については、土砂災害対策に影響を及ぼさず、河川への影響も少ないものについては小
水力発電の普及を推進します。
既存ダムの放流水については、新たな環境負荷を与えない未利用落差であることから、小水力発
電での活用を推進します。
(2) 非河川
農業用水路については、安定した流量が確保され、発電のために新たな取水施設の建設を要しな
いなどメリットがあります。小水力発電のモデル地区を立ち上げ、その建設から運営の過程で明ら
かとなる課題を検証し、モデル地区で得られた検証結果を、今後、導入を予定している地区にフィ
ードバックすることにより、農村地域における小水力発電の普及を推進します。
上下水道については、有効落差を利用した小水力発電の適地を市町村と連携して検討し、普及を
推進します。
③
バイオマス発電
バイオマス発電で用いる燃料(資源)は、主に木質バイオマスと非木質バイオマスに分かれます。
- 41 -
(1) 木質バイオマス
〔安定的な燃料供給確保〕
長野県は、全国3番目の豊かな森林資源がありながらも素材生産量は全国 19 番目(2011 年度)で、
また、県内の民有林は年間約 190 万m3 の成長量がありますが、2011(平成 23)年度の素材生産量は
15 万6千m3 で年間成長量の約8%の利用にとどまっており、製材等の利用に加えてエネルギーでの
活用策が喫緊の課題になっています。
計画的な素材生産が可能な即戦力となる林業経営団地(一体的に搬出間伐を行う区域)を全県で
設定するとともに、搬出間伐、路網整備、高性能林業機械の導入等を促進し、現場でのチップ化等
の先導的なモデルの構築を図ります。また民有林に加え、国有林との連携を図り、技術と経営感覚
を持ったリーダー等の担い手育成などを進め、安定供給体制を構築します。
原木の安定的な需要先となる集中型の製材工場の設置などにより、需要側からの牽引によって生
産性・効率性と分業のもとでの新しいシステムを備えた林業を創生することを通じて、年間の成長
量の範囲で木材のカスケード利用による木質バイオマスの生産量を 2020(平成 32)年度に 34 万6
千 m3(2009 年度の約8倍)を確保することを目指します。また、街路樹等の剪定枝等の未利用資源
の活用も推進します。
〔発電所・熱電併給所〕
産官学連携による「信州F・POWERプロジェクト」の推進により、製材端材や建築に利用し
ない低質材を資源として用いる熱電併給型木質バイオマス発電施設を集中型の製材工場に併設する
ことを支援します。現在のシステムで集材が可能な塩尻から半径 50km圏内を基本に、輸送システ
ムの蓄積改良により集材が可能な 100km圏内も含めて、同プロジェクトの原木生産拠点地域と位置
づけます。
(地域内で薪やペレットとして、熱利用で使われるものを除く。)その他の地域において
は、燃料の調達が比較的容易なところにおける製材所併設発電所や木材の安定供給が確保される場
所における低質材を用いる専焼木質バイオマス発電所等の地産地消型の設備の導入を推進していき
ます。また、発電で発生する余熱を有効に利用し、熱電併給の事業モデルを促進します。
(2) 非木質バイオマス
下水処理場については、下水道処理人口普及率の向上に伴い安定的に発生する下水汚泥の有効活
用を図るため、バイオマス燃料への変換利用が有効とされています。県有の下水処理場において消
化ガス発電事業を進め、その知見を市町村と共有するなど、資源として利用価値の高い下水汚泥の
エネルギー利用を推進していきます。
畜産・食品系バイオマスについては、水分量が多くこれまであまり利用が進んでいませんでした
が、微生物の嫌気性発酵によるメタンガスを利用するなど発電と温熱利用を推進していきます。
④
その他
(1) 地熱・温泉熱発電
地熱発電については、風致又は景観に及ぼす影響の予測や影響を軽減するための措置を実施する
など、自然公園などの風致景観や生物多様性に対する影響に配慮しつつ普及を進めます。本県は温
泉が多く存在する地域であるため、地域とのコンセンサスを得ながら促進するとともに、バイナリ
発電など温泉利用や自然保護との両立を図りうる地熱発電及び温泉熱発電の普及を推進します。
(2) 風力発電
風力発電については、風致又は景観に及ぼす影響の予測や影響を軽減するための措置を実施する
など、自然環境や景観等に配慮しつつ、適地に普及を推進します。特に、水源の涵養や山地災害の
防止等のため森林機能の保全が特に必要な地域、鳥の風車への衝突事故(バードストライク)をは
じめ自然環境、生態系に少なからず影響を及ぼすおそれのある地域、希少野生動植物の生息、生育
に影響を及ぼすおそれがある地域、風力発電施設(関連施設を含む。
)の建設により景観に少なから
ず影響を及ぼす稜線の地域では、慎重に検討します。
- 42 -
図表 4-7 「自然エネルギー政策パッケージ」体系
自然エネルギー
政策パッケージ
自然エネルギー
普及の
地域主導の
基盤を整える
自然エネルギーの
情報を広範な県民間
で共有する体制
自然エネルギー
事業の知見を生み、
改良し、普及する
仕組み
国の固定価格
買取制度の
積極的な活用を
前提とする
地域住民との
情報共有の場をつくる
自然エネルギー
信州ネット等との連携
地域協議会との連携
制度、技術、事業等に係る
情報を整備、提供する
市町村研究会
調査・研究成果の
広範な提供
人材育成、専門家派遣を担う
中間支援組織を支援する
地域環境エネルギー
オフィスの創出促進
県民による起業・事業化を
支援する
地域主導型の自然エネルギー
事業化支援
中小企業向け融資
産官学民によるモデル事業を
推進する
総合特区によるモデル事業
地域金融機関等との連携による
資金調達の仕組みづくり
県内事業者によるサプライ
チェーン構築を促進する
自然エネルギー供給設備等の
開発支援
地域での経験蓄積を支援する
1村1自然エネルギー
プロジェクトの登録
自然エネルギー
事業の経験を促進し、
リスクを軽減する取組
非売電分の
グリーン
エネルギー
証書化推進を
前提とする
環境エネルギーに配慮した災害
に強いまちづくりへの支援施策
事業化に向けた支援施策
地域の活性化に向けた自然
エネルギー活用支援施策
太陽光発電
政策・規制改革を提言する
市町村等現場の声を踏まえた
国への提言活動
エネルギー供給側からの
普及環境の整備を促進する
エネルギー供給温暖化対策
計画書・協定制度
屋根
新築建築物
自然エネルギー導入検討制度
既存の公共施設・事業所
屋根貸しモデルの確立
(県有施設活用プロジェクト)
既存の住宅
初期投資軽減モデルの確立
未利用地
メガソーラーマッチングの推進
耕作放棄地
農業振興に資する事業化支援
一般河川
相談窓口・技術支援・
事業化支援
砂防堰堤
相談窓口・技術支援・
事業化支援
既存ダムの放流水
相談窓口・技術支援・
事業化支援
農業用水路
相談窓口・技術支援・
事業化支援
自然エネルギー
種別ごとの
促進策を講じる
未利用地
小水力発電
河川
非河川
自然エネルギー協議会を通じた
政策提言活動
土地改良施設を活用した
普及推進
バイオマス発電
木質バイオマス
非木質バイオマス
グリーン熱
太陽熱
バイオマス熱
上下水道
相談窓口・技術支援・
事業化支援
発電所・熱電併給所
県産材供給体制の整備
安定的な燃料供給確保
総合的な林業再生事業
(造林・再生対策・高性能林業機械)
下水汚泥
処理場での発電事業の推進
畜産・食品系バイオマス
事業化支援
新築建築物
自然エネルギー導入検討制度
既築建築物
初期投資軽減モデルの確立
新築建築物
自然エネルギー導入検討制度
既築建築物
初期投資軽減モデルの確立
普及環境の整備
バイオマス熱供給設備の
普及支援
カーボンオフセットの推進
安定的な燃料供給
薪・バイオマス燃料の
流通システムの構築支援
面的な利用
県産材供給体制の整備
熱電併給所による
地域熱供給推進
その他
地中熱
新築建築物
自然エネルギー導入検討制度
・事業化支援
温泉熱
温泉地
事業化支援
雪氷熱
雪室
事業化支援
地熱・温泉熱発電
バイナリ発電等の事業化支援
風力発電
適切な場所・手法の検討
バイオ燃料
事業化支援
- 43 -
影響想定マップ・ガイドラインの
提供
2 既存の水力発電設備の有効利用と新規自然エネルギー開発を進める
【指標】
県内にある水力発電所の発電設備容量
【長野県公営電気事業】
〈既存の水力発電所を効率的に管理・運用するとともに、自然エネルギーの普及・拡大に向け積極的に取
り組む〉
①
効果的な電気事業の展開
長野県電気事業は、長期的に、健全で安定した経営が確保される見通しであることから、公営企業と
して継続します。ただし、今後も国の動向を注視し、経営形態を含め、適切かつ柔軟に対応していきま
す。
また、水力発電所の新規開発・技術支援等により、地域社会に貢献するととともに、さらなる自然エ
ネルギーの普及・拡大に寄与することを、企業局の新たな役割とします。
②
自然エネルギーの普及・拡大
企業局では、固定価格買取制度を活用して、新たに小水力発電所を建設します。
また、既存の水力発電所においても、同制度による売電を行い、得られた利益の一部を活用して、自
然エネルギー施策の支援を行います。
③
企業局のノウハウを自然エネルギー普及へ活用
公営電気事業を通じて積み重ねてきた知見と経験は、自然エネルギー事業の県内への普及にあたり、
それを支援するため活用できると考えられます。そこで、企業局に「中小規模水力発電技術支援チーム」
を設け、市町村やNPOなど、県内で小水力発電事業に取り組む事業主体に対し、専門的な助言による
支援を実施します。
図表 4-8 「長野県公営電気事業」体系
長野県公営電気事業
既存の水力発電所を
効率的に管理・運用
するとともに、自然
エネルギーの普及・
拡大に向け積極的に
取り組む
効果的な電気事業の
展開
公営事業としての継続
自然エネルギーの
普及・拡大
新規水力発電所の建設
自然エネルギー施策を
財政的に支援
企業局のノウハウを
自然エネルギー
普及へ活用
- 44 -
中小規模水力発電
技術支援
第2節 再生可能な熱・燃料を拡大する
1 自然エネルギー熱供給設備の設置を増やす
【指標】
自然エネルギー熱導入量
【自然エネルギー政策パッケージ】
〈自然エネルギー普及の地域主導の基盤を整える〉
第2章第1節を参照してください。
〈自然エネルギー種別ごとの促進策を講じる〉
○ グリーン熱
寒冷地の長野県では、暖房や給湯等の熱分野において、自然エネルギー源の利用が有効です。一方、普
及のための国の制度が十分に整っていないため、普及は遅れています。そのため、市町村研究会や信州ネ
ット等と連携して情報共有の場をつくりつつ、需要サイドに対しては自然エネルギー導入検討制度、供給
サイドに対しては新しいビジネスモデルの立ち上げ支援をしていきます。ビジネスモデルの立ち上げ支援
にあたっては、県有施設における場所貸しも検討します。また、グリーン熱利用の見える化を進めていき
ます。
(1)太陽熱
長野県の大半の地域が太陽熱の適地ですが、導入件数が減少しています。新築建築物の屋根につい
ては「自然エネルギー導入検討制度」において、発電設備に優先して、熱利用を検討するようにしま
す。また、民間事業者による太陽熱利用の見える化の取組支援により太陽熱導入の効果を発信してい
きます。既築建築物については、リース方式や直接熱供給事業等の初期投資軽減モデルを検討し、普
及を進めます。
(2)バイオマス熱
公共施設、事業所、家庭における木質バイオマス(薪、チップ、ペレット)をエネルギー源とする
ストーブ及びボイラーの導入を促進します。新築建築物については「自然エネルギー導入検討制度」
により普及を進めます。既築建築物では初期投資軽減モデルを検討し、薪・ペレットストーブ等の普
及を進めます。安定的な燃料供給確保として、薪・ペレットの宅配・販売網を推進するとともに、需
要側と供給側と一体となった地域資源循環システムなど、バイオマス熱利用のモデルづくり及び当該
システムの県内への普及を支援します。下水汚泥、畜産・食品系バイオマスを活用した熱利用の普及
も進めます。
(3)地中熱(地下熱)
既築の建築物への設備設置は工事とコストの両面から見て困難であることから、地中熱については、
「自然エネルギー導入検討制度」により新築建築物を中心に普及を進めます。低い導入コスト等普及
性の高い技術、手法による地中熱利用の実証等を支援するほか、公共施設の新築時等における地中熱
利用の検討を促進します。
(4)温泉熱
温泉地については、低・中温域の温泉熱の利用が可能で、特に低温域(25~35℃)の排湯熱では、
熱交換器やヒートポンプによる温泉熱利用システムを推進します。初期投資軽減モデルも検討し、普
及を進めます。
- 45 -
(5)雪氷熱
豪雪地では、冷熱で野菜などを保存する雪室・氷室や冷熱を室内に循環させる冷房システムなど、
雪や氷の持つ冷熱による雪氷熱利用システムの普及を推進します。また、雪室や氷室で保存した野菜
等を自然エネルギーを活用した付加価値の高い商品として販売することなど、自然エネルギーの利用
と地域経済の活性化等を結びつける取組を促進します。
2 電気自動車など次世代自動車の普及と非化石燃料への利用転換を進める
【指標】
低公害車保有車両数
【交通・まちづくり省エネ政策パッケージ】
〈次世代自動車の普及〉
化石燃料に直接的な依存をしない、あるいは依存の度合が低い次世代自動車の普及を進めます。
【自然エネルギー政策パッケージ】
〈バイオ燃料〉
廃食用油や菜種油等から生産されるバイオディーゼル燃料(BDF)等のバイオ燃料について、関係
法令等の規制や食料作物との競合等に配慮した適正な利活用を念頭に推進します。
- 46 -
第3章 総合的な地球温暖化対策を推進する
第1節 地球温暖化を抑制する
1 廃棄物の発生抑制、再使用、リサイクルを進め、フロン類等の大気中への漏出を防止す
る
【指標】
廃棄物部門温室効果ガス排出量・フロン回収量
【長野県廃棄物処理計画】
〈循環型社会の形成を推進する〉
県が 2011(平成 23)年2月に策定した「長野県廃棄物処理計画(第三期)」に基づき、3R
(Reduce/Reuse/Recycle)の推進による焼却量の抑制、燃やさざるを得ない廃棄物の焼却処分における熱
回収・利用の推進により温室効果ガスの排出を抑制します。
①
廃棄物の排出抑制の推進
レジ袋削減や食べ残し削減などの身近な取り組みにより、ごみの排出抑制を推進します。また、一般
廃棄物処理の有料化制度や、排出事業者の自主的な排出抑制の取組の支援、EMSの導入推奨により、
廃棄物の排出抑制を推進します。
②
再使用の推進
リターナブル容器の使用や学校給食におけるびん牛乳の利用などを推進します。また、県民・事業者
が個々に取り組むリユースについても推進します。
③
リサイクルの推進
各種リサイクル法(容器包装廃棄物・使用済み家電・食品廃棄物・建設系廃棄物・使用済み自動車等)
の円滑な推進を図ります。また、市町村・県民・事業者が取り組むリサイクルを推進します。
④
3Rの総合的な取組の推進
ごみの分別収集の推進、産業廃棄物減量化・適正処理実践協定の推進、環境美化活動の取組、環境教
育・環境学習などにより、3Rの総合的な取組を推進します。
図表 4-9 「長野県廃棄物処理計画」体系
長野県廃棄物処理計画
循環型社会の形成を
推進する
廃棄物の排出抑制の
推進(リデュース)
再使用の推進
(リユース)
リサイクルの推進
(リサイクル)
3Rの総合的な取組の
推進
- 47 -
【フロン類等対策】
〈フロン類等の漏出防止と回収・破壊を促進する〉
①
ノンフロン製品等の普及の促進
既にノンフロン製品などが実用化している業務用冷凍・冷蔵機器分野、ダストブロワー、断熱材など
においては、その普及を促進するための対策を促します。そのため、事業者との「協定制度」において
フロン類等を対象とし、意欲的な事業者の取組を支援します。
②
事業活動におけるフロン類等の漏出防止
事業者が使用するフロン類等の管理を一層促進します。意欲的な事業者による特別な漏出防止等の取
組を支援する仕組みも設けます。
COP17 で対象となった三ふっ化窒素(NF3)と一部の HFCS 及び PFCS については、国で定める温室効
果ガスの対象となった場合に、県の温室効果ガスの対象に含めるとともに、
「事業活動温暖化対策計画書
制度」の中で、事業者に使用量の報告を求めます。
フロン類等の管理促進については、
「事業活動温暖化対策計画書制度」においてガス別の管理を行うよ
うにするとともに、管理手法や漏出防止策を示し、対策を促します。
意欲的な事業者の取組を、事業者との「協定制度」においてフロン類等を対象とすることを通じて支
援します。また、国の動向を注視しつつ、効果的な実態把握の手法を検討します。
③
フロン類等の確実な回収・破壊
フロン回収・破壊法、
「使用済自動車の再資源化等に関する法律(平成 14 年法律第 87 号)
」
(自動車リ
サイクル法)
、
「特定家庭用機器再商品化法(平成 10 年法律第 97 号)
」
(家電リサイクル法)の適正執行に
よって、フロン類等の確実な回収及び破壊を促進します。
図表 4-10 「フロン類等対策」体系
フロン類等対策
フロン類等の漏出
防止と回収・破壊を
促進する
ノンフロン製品等の
普及の促進
ノンフロンの事業用機器の
導入を促進する
事業者向け協定制度
事業活動における
フロン類等の漏出防止
使用するフロン類等の
管理を促進する
事業活動温暖化対策
計画書制度
特別な漏出防止等の
取組を促進する
事業者向け協定制度
フロン回収・破壊法等を
適正に執行する
フロン回収・破壊法等の
執行
フロン類等の
確実な回収・破壊
- 48 -
2 木材利用の拡大や森林整備による二酸化炭素の吸収・固定化を促進する
【指標】
民有林の間伐面積・用途別素材生産量
【長野県森林づくり指針】
〈暮らしを守る森林づくりを推進する〉
間伐をはじめとする適切な森林整備を推進し、森林の公益的な機能を高度に発揮させていく必要があ
ります。 特に、地球温暖化防止対策として、森林の二酸化炭素吸収機能の発揮が期待されており、こう
した観点からも森林整備の推進が重要となっています。
○ 多様な森林整備の推進
二酸化炭素の吸収源としての機能が十分に発揮されるよう、
「長野県森林づくり県民税」などを活用し、
公益的な機能に配慮しながら、林内路網等の生産基盤の整備や低コストな利用間伐などの集約化施業を
推進します。また、適切な主伐・植栽を実施して林齢の多様化を図るなど、持続的に資源が供給できる
森林づくりを推進します。
〈木を活かした産業づくりを推進する〉
林業が地域の独自性を活かしながら、木材をはじめとする様々な林産物等、森林資源の価値を最大限
に活かせるよう、地域の関係者の協力・連携による地域ぐるみの取組を推進する必要があります。
○ 信州の木の利用促進
県産材利用指針に基づき、住宅や公共建築物等を中心とし、土木用材や家具などの様々な用途での県
産材の利用拡大を推進し、二酸化炭素の吸収・固定を促進します。
〈森林を支える地域づくりを推進する〉
活力に満ちた魅力ある地域づくりのためには、森林資源や森林空間を最大限に活かした多様な産業の
創造と、そのための人づくりを推進していく必要があります。
○ 森林の多面的利用の推進
山村地域の貴重な現金収入源である特用林産物の生産振興を図るとともに、森林セラピー等、森林と
他産業とを結びつけた新たな森林産業の創造や山村の6次産業化に向けた取組を推進します。また、森
林による二酸化炭素吸収量について、県産材利用による二酸化炭素固定量の認証や木質バイオマスによ
るカーボンオフセットを推進します。
- 49 -
図表 4-11 「長野県森林づくり指針」体系
長野県森林づくり指針
暮らしを守る森林づくりを
推進する
多様な森林整備の推進
施業集約化と
森林整備を推進する
吸収源対策としての
間伐等の推進
木を活かした産業づくりを
推進する
信州の木の利用促進
様々な分野での利用を
拡大する
公共建築物・住宅等への
県産材の利用拡大
森林を支える地域づくりを
推進する
森林の多面的利用の推進
新たな森林産業を
創造する
県産材利用による
CO2固定量の認証
木質バイオマスによる
カーボンオフセットの推進
図表 4-12 森林の二酸化炭素吸収量と成長量(参考)
(m3)
(千t-CO2)
2,500,000
2,500
成長量(m3)
森林吸収量(千t‐CO2)
2,064
2,020
2,000,000
約2,000
2,000
1,756
1,467
1,500,000
1,500
1,408
1,000,000
1,000
500,000
500
0
0
2006(H18)
2007(H19)
2008(H20)
2009(H21)
2010(H22)
2011(H23)
2012(H24)
2013(H25)
2014(H26)
2015(H27)
2016(H28)
2017(H29)
2018(H30)
2019(H31)
2020(H32)
【出典】 長野県林務部森林政策課 作成
(注) 1 2010(H22)までは実績(林野庁公表資料)。
2 今後は、高齢級化が進み、成長量は減少していくと仮定。
3 森林の二酸化炭素吸収源の対象となる森林(森林経営対象森林:1990 年以降森林整備等の作業が行われた森林等)
面積については、整備等が進んできたため、今後の増加は少なくなると仮定。
- 50 -
第2節 地球温暖化に適応する
1 地球温暖化の影響把握と予測を行う
【指標】
「気候変動モニタリング(観測)体制」参加機関・団体・個人数
2 地球温暖化の影響への適応策を様々な主体で進める
【指標】
「信州・気候変動適応プラットフォーム」参加機関・団体数
【地球温暖化適応策パッケージ】
〈地球温暖化の影響による県内への被害を抑制する〉
①
地球温暖化の影響を把握し、予測する
地球温暖化の県内への影響を測るためのデータは、県内の様々な機関や団体、個人において別々に収
集されているため、それらの様々な情報やデータを収集・統合します。
そのため、長野県環境保全研究所を中心に、国や県、市町村の関係機関、県内に所在する研究機関、
大学、団体、専門家で構成する「気候変動モニタリング(観測)体制」を構築し、有益なデータを観測
している機関等の間で、観測データの共有や融通を可能にし、恒常的な観測・研究体制の構築を目指し
ます。
②
地球温暖化の影響への適応策を進める
地球温暖化への適応を進めるための技術や手法は、県内の様々な機関において別々に研究・開発が進
められているため、それらの機関の間で地球温暖化の影響に関する情報と認識の共有を進めるとともに、
適応の手法、技術、政策を分野連携で検討・推進します。
そのため、相互の情報交換、情報共有を促進し、ネットワークの強化を図り、科学的情報に基づく長
野県の地球温暖化対策のための施策の推進に寄与することを目的として、長野県環境保全研究所を中心
に、国や県、市町村の関係機関、県内に所在する研究機関、団体、大学等で構成する「信州・気候変動
適応プラットフォーム」を構築します。これにより、防災対策の一層の推進、農業分野での新たな品種
の開発や工業分野での新技術の開発などが期待できます。
図表 4-13 「地球温暖化適応策パッケージ」体系
地球温暖化適応策
パッケージ
地球温暖化の
影響による県内への
被害を抑制する
地球温暖化の影響を
把握し、予測する
県内の様々な情報や
データを収集・統合する
気候変動
モニタリング(観測)
体制の構築
地球温暖化の
影響への適応策を
進める
適応の手法、技術、
政策を分野連携で
検討・推進する
信州・気候変動適応
プラットフォーム
- 51 -
第5部 実行
本計画は、行政庁としての長野県の行政計画であると同時に、県内で地球温暖化対策等に取り組む各
主体の取り組みに対して方向性を示し、相互の連携・協働を推進するための計画でもあります。本計画
を実行し、基本目標を実現するためには、広範な県民の参加と取組が不可欠です。
そこで、県の実行体制を示すとともに、地球温暖化対策等に中心的に取り組む主体の役割、様々な県
民に期待される役割、並びに各地域に期待される方向性を示します。
第1章 関係主体の役割
第1節 国の役割
県には、国に期待する役割について、様々な機会を捉えて要望を行ったり、政策を提案したりするこ
とが求められます。
環境先進国として地球温暖化対策等における国際合意の牽引
地球温暖化に関する影響予測や知見、対策技術等の研究及び開発の推進
国全体及び地域において温室効果ガス排出やエネルギー消費実態、削減余地、費用対効果などを的
確に把握するための統計情報の整備と提供
極めて多量の温室効果ガスを排出している事業所や大規模なエネルギー供給事業者等、全国での展
開が効果的な分野における実効性高い施策の実施
環境に係るコストを原因者が負担するための施策や税制の実施
自然エネルギー普及を促進するための施策や制度改革、環境整備の実施
地域における実効性のある取組に対する支援の実施
第2節 県の役割
県には、県民に対して、情報を公開し、説明責任を果たしながら役割を果たすことが求められます。
環境先進県を目指す志と不断の努力
国内外の先進地域との交流と政策の研究
地球温暖化対策等の率先実行による県民への模範の提示
国等の情報を活用した県内の温室効果ガス排出等の的確な把握と情報提供
市町村や県民、事業者等の取組を促進するための情報提供や環境教育の推進
大規模な事業所や建築物、交通等、広域での展開が効果的な分野における実効性高い施策の実施
家庭や自然エネルギー等における市町村や県民、事業者等の取組に対する支援の実施
第3節 市町村の役割
県には、市町村に期待する役割について、密接に連携し、様々な機会を捉えて情報や意見を交換した
り、政策を共に研究したりすることが求められます。
環境に配慮した地域づくりを進めるための方針の提示
国内外の先進地域との交流と政策の研究
- 52 -
地球温暖化対策等の率先実行による住民への模範の提示
住民や事業者等の取組を促進するための情報提供や環境教育の推進
家庭や小規模な事業所、まちづくり等、地域での展開が効果的な分野における実効性の高い施策
の実施
自然エネルギー事業における住民や事業者との協働の推進
第4節 関係団体の役割
1 長野県地球温暖化防止活動推進センター
長野県地球温暖化防止活動推進センター(以下「県センター」という。
)には、国や県、市町村と協力
しつつ、県内での地球温暖化対策等の取組を支援する役割が求められます。とりわけ、長野県地球温暖
化防止活動推進員や事業者、民間団体等と協力して、効果的な情報提供や専門的な助言をすることが期
待されます。
2 長野県地球温暖化防止活動推進員
地球温暖化防止活動推進員には、国や県、市町村、県センターと協力しつつ、県内での地球温暖化対
策等の取組に参加する役割が期待されます。とりわけ、子どもたちや家庭、小規模な事業所等の地球温
暖化対策等に対して、情報提供や助言をすることが期待されます。
3 自然エネルギー信州ネット
信州ネットには、国や県、市町村と協力しつつ、県内での自然エネルギー事業の普及展開に資する活
動が期待されます。とりわけ、地域主導型の自然エネルギー事業における共通の課題を解決したり、必
要な人材を育成したりすることが期待されます。
4 自然エネルギーに係る地域協議会
県内各地で活動している自然エネルギーに係る地域協議会には、国や県、市町村、関係団体等と協力
しつつ、地域での自然エネルギー事業の普及展開に資する活動が期待されます。とりわけ、地域での連
携体制を構築したり、地域主導の自然エネルギー事業を実施したりすることが期待されます。
- 53 -
第2章 県民への期待
1 生活者
家庭における省エネの心がけ。買い物におけるマイバッグの持参、環境に配慮されたエコ製品選
択の心がけ。
公共交通や自転車、徒歩による外出。燃費性能を重視した自動車の購入。エコドライブを心掛け
た運転。
断熱性能や機器の効率性の重視と自然エネルギーを導入した住宅の建築・リフォーム。
環境イベントや活動への積極的な参加。地球温暖化やエネルギーのことについて、生活の様々な
機会をとらえての子どもたちとの対話。
2 事業者
事業活動に携わる全員による、製品・サービスの生産・物流・提供のプロセスで発生するエネル
ギーや廃棄物排出量の把握と削減。
物品や機器、自動車の調達におけるグリーン購入とトップランナー導入。断熱性能や機器の効率
性の重視と自然エネルギーや未利用エネルギーを活用した建築・開発。
より環境に配慮された製品・サービスの開発、自然エネルギー事業への参入などによる環境ビジ
ネスの積極的な展開。
経営者における実践(地球温暖化による影響の理解、環境に配慮した経営、環境CSR活動、従
業員への環境教育とエコドライブ講習の実施、ノーマイカー通勤と環境ボランティア活動の推奨)
。
3 農業者
ハウス栽培用燃料の木質バイオマスや地中熱利用への転換と次世代型トラックの利用などによる
生産・輸送時の省エネや自然エネルギー活用の推進。
未利用地や用水路、農業施設の屋根、副産物を活用した自然エネルギーに係る事業への取組。そ
の事業収入を農業経営の副収入とする「半農半エネ」の実践。
地球温暖化による農業への影響を理解した長期的な農業経営の見通しへの活用。
4 林業者・森林所有者
計画的な間伐及び県産材利用を推進し、林業・木材産業の活性化による健全な森林づくりで二酸
化炭素の吸収・固定化に貢献。
林業や製材により発生する低質材や端材、おが屑を活用した木質バイオマス発電・熱供給の推進
による収益性の向上。
地球温暖化による林業への影響を理解し、長期的な林業経営の見通しへの活用。
森林が地球温暖化防止のための吸収源として重要な役割を有していることの自覚と健全な森林づ
くりのための計画的な間伐等による適正な管理の推進。
5 学生・子ども
家庭や学校における省エネの心がけ。買い物におけるマイバッグの持参、環境に配慮されたエコ
製品選択の心がけ。公共交通や自転車、徒歩による外出。
信州の豊かな自然の中での遊びや学習。環境問題について学び、どうすれば解決できるのか、家
族や学校の先生、まわりの友人たちとの話し合い。
環境イベントや活動への積極的な参加。
- 54 -
6 学校関係者
学生・子どもがエコライフを送るための手助け(家庭や学校における省エネの方法、エコ製品や
サービスを選択する時の目安、徒歩通学のための安全確保など)
。
学校における授業や地域における活動による環境問題解決や環境ビジネス、自然エネルギー活用
に取り組む人材の育成。
7 建築事業者
建築・設計時における省エネ型の建物と自然エネルギー活用の施主への積極的な提案。
あらゆる建築・設計における省エネ建築やエネルギーに関する知識の積極的な取り入れ。
8 交通事業者
公共交通の利便性・快適性・安全性の向上に向けた、更なる積極的な取組の推進。省エネ型や次
世代型の車両の積極的な導入。
行政や住民との連携強化による地域の実情に応じた公共交通の確保と維持・発展。
9 自然エネルギー事業者
地域での雇用確保や資金の活用。地域の産業としての自然エネルギー事業の定着・活性化。
多くの県民が自然エネルギー事業に参画できるための情報やノウハウの普及と地域での積極的な
連携・協力。
県民が設置した自然エネルギー設備を長期使用するためのメンテナンスやサポートの充実。
事業により得られた利益の自然エネルギー普及や持続可能な地域づくりへの還元。
10 金融事業者
県民や事業者による省エネ設備投資や自然エネルギー事業に対するプラス面の積極的評価による
初期費用など事業や活動を資金面から後押し。
地域での自然エネルギー普及に貢献する、新たなファイナンスモデルの研究。
地球温暖化による経済への影響を理解し、長期的な県内経済の見通しへの活用。
11 研究者・専門家
省エネや自然エネルギー、地球温暖化への適応などに係る研究や技術開発、研究者・専門家間の
連携による積極的な推進。
県民や事業者、行政への専門的な知見の積極的な提供。
大学における講義や地域における活動による環境問題解決や環境ビジネス、自然エネルギー活用
に取り組む人材の育成。
12 公務員
県民の模範となる地域でのエコライフの推進。自らの事務における職場環境負荷の低減の推進。
地球温暖化やエネルギーを考慮した施策の企画による業務の推進。
職員への環境教育の積極的な推進と地域の事業者の模範となる環境配慮型のビジネススタイルの
確立。
- 55 -
第3章 地域への期待
第1節 4広域
1 東信地域
①
地球温暖化対策の取組
現行の省エネ基準により定められている地域区分において、東信地域の大部分が高い断熱性能を求め
られる省エネ基準の地域区分Ⅱ地域に分類されており、建築物における省エネの効果が期待できます。
世帯当たり保有自家用乗用車の割合が高く、次世代自動車の普及による取り組みの効果が期待できます。
②
自然エネルギーの取組
自然エネルギーについては、積雪が少なく夏冷涼で日射量が豊富なことから、太陽光発電などを活用し
た取り組みが期待されます。当該地域には豊富な森林資源を中心としたバイオマスや、上水道などでポテ
ンシャルの高い小水力などの活用も有望とされています。
自然エネルギーの普及にあたっては、市町村や民間団体等と連携したエネルギーの地産地消の普及が期
待されます。
2 南信地域
①
地球温暖化対策の取組
一定規模以上の製造業事業所が数多くあることから、事業活動における省エネの効果が期待できます。
世帯数や市町村数も多くあることから、家庭部門においては、省エネ講習会をきめ細かく行うことによ
る効果が期待できます。
②
自然エネルギーの取組
自然エネルギーについては、通年で比較的温暖で積雪も少なく日射量が豊富であり、全国発の市民出
資による太陽光発電の普及がスタートしていることから、太陽光を活用した取り組みが期待されます。
森林が地域面積の 81%を占めることから、これらの森林整備により発生する間伐材などのバイオマス活
用、上水道・農業用水などでポテンシャルの高い小水力も有望とされています。
自然エネルギーの普及にあたっては、市町村や民間団体等と連携したエネルギーの地産地消の普及が期
待されます。
3 中信地域
①
地球温暖化対策の取組
ホテル・旅館営業施設数や新設住宅着工戸数が多いことから、建築物における省エネの効果が期待で
きます。また、環境資源を活かした観光が盛んであったり、カーフリーデーの取組が行われていたりす
ることから、環境に配慮した交通・まちづくりに係る取組が期待できます。
②
自然エネルギーの取組
自然エネルギーについては、全国的に日射量が豊富なことによる太陽光、県下4地区の中で地域面積
に占める森林の割合が 84%と一番高いことによるバイオマス、特に大規模プロジェクトの推進や地域林
業の活性化が期待されます。また、農業用水などを活用した小水力発電や温泉地域が多いことから温泉
熱や地熱利用についても、有望とされています。
自然エネルギーの普及にあたっては、市町村や民間団体等と連携したエネルギーの地産地消の普及を期
待します。
- 56 -
4 北信地域
①
地球温暖化対策の取組
世帯数、一定規模以上の製造業事業所、商業事業所やサービス事業所の数が多いことから、事業活動
における省エネや家庭における省エネの効果が期待できます。新設住宅着工戸数や保有自家用乗用車台
数が多いことから、建築物における省エネや次世代自動車の普及による効果も期待できます。
②
自然エネルギーの取組
自然エネルギーについては、県内でも積雪量が比較的多いことによる雪氷熱の利用や、温泉地域が多
いことによる温泉熱利用が期待されます。
また、豊かな水流を利用した小水力、間伐材やきのこ栽培から発生する廃培地などの木質バイオマス、
太陽光といった環境と調和した自然エネルギーの普及など、市町村や民間団体等との協働による自然エ
ネルギーを活用した地域づくりが期待されます。
第2節 エリア
1 都市エリア
環境、快適さ、にぎわいが並び立つまちづくりが期待されます。環境では、個別の建物のエネルギー
効率を高めるとともに、電力や排熱を巧みに融通しあうスマートな街。快適さでは、公共交通や自転車、
徒歩での移動がしやすい街、景観の美しい街。にぎわいでは、街を歩く人がたくさんいる上に、さらに
地域や環境の活動が活発で、住民同士の絆が強い街。このような街は、魅力的な街として国際的にも輝
くことになるでしょう。
2 郊外・農山村エリア
環境、美しさ、ゆとりの地域づくりが期待されます。環境では、地域の自然資源を活用してエネルギ
ーを生み出す「エネルギー自立地域」や気候変動に適応した生活。生物多様性も十分に保全されます。
美しさでは、県産材を利用した住宅と田畑、森林が融合した日本の原風景。ゆとりでは、豊かな人間関
係とコミュニティが大切にされ、地域で生産された食材を旬産旬消で楽しめる落ち着きのある暮らし。
このような地域は、住んでいる人の満足度が高いだけでなく、心と身体を癒せる地域として、都市部や
県外、国外から多くの人が訪れることになるでしょう。
3 山岳エリア
生物多様性の保全、持続可能な利用、厳粛さをコンセプトとした地域の維持・創出が期待されます。
生物多様性では、地球温暖化による影響予測にも配慮した希少な野生動植物種やそれらの生息・生育地
域となる重要な地域の厳格な保全など。持続可能な利用では、循環を損なわない範囲での資源活用や環
境に配慮した観光・入山。厳粛さでは、自然・生き物への感謝や次世代への継承。このような地域は、
人と自然の共生が成立している長野県の象徴的な地域として、国内外に発信され、また、認識されるこ
とになるでしょう。
- 57 -
第4章 県の実行体制
第1節 進捗管理
1 進捗管理の方針
①
全庁組織による実行
知事及び全部局長で構成する「長野県省エネルギー・自然エネルギー推進本部」
(以下「推進本部」と
いう。
)を本計画の実行組織とします。
②
毎年の状況把握と公表
毎年、基本目標を含む目標及び指標に関するデータを収集し、その状況を公表します。
③
外部有識者によるチェック
県民や専門家などの外部有識者で構成する「長野県環境審議会」
(以下「環境審議会」という。
)に本
計画に係る施策の状況、並びに目標及び指標の状況を報告します。
④
全庁組織へのフィードバック
毎年、全庁組織に対し、本計画に係る施策の状況、目標及び指標の状況、並びに環境審議会等から出
された意見を報告します。
⑤
中間的見直しと必要に応じた見直し
計画5年目となる 2017(平成 29)年度を中間的な見直し時期として予め定めます。全庁組織へのフィ
ードバックや国内外の動向、社会経済情勢の変化などに基づき、必要に応じた見直しも適宜行います。
2 進捗状況の把握と公表
①
把握する目標・指標
・基本目標に係る指標(県内総生産・温室効果ガス総排出量・最終エネルギー消費量の相関図)
・温室効果ガス総排出量
・最終エネルギー消費量
・最大電力需要
・自然エネルギー導入量
・自然エネルギー発電設備容量
・エネルギー自給率
・第4部で定める各指標(施策の進捗を適確に把握するため、必要に応じて見直す)
②
公表の方法
・記者発表(プレスリリース)
・県公式ホームページ
・
「長野県環境白書」への記載
・市町村及び関係団体への通知
- 58 -
第2節 実行体制
1 県全体での実行:長野県省エネルギー・自然エネルギー推進本部(推進本部)
地球温暖化対策等に係る施策は広範な領域に及ぶことから、全庁組織である推進本部において、施策
の検討や調整、進捗状況のフィードバックなどを行い、全庁的に計画を実行します。推進本部は、知事
(本部長)
、副知事(副本部長)及び全部局長で構成します。
2 市町村との連携:地球温暖化対策・自然エネルギー研究会(市町村研究会)
地球温暖化対策等に係る施策は、市町村との連携が重要です。県内の全市町村に呼びかけて開催する
研究会において、県の方針や施策について説明するとともに、市町村からの情報や意見によるフィード
バックを行い、連携して計画を実行します。市町村研究会は、県及び市町村の政策担当者で開催します。
第3節 評価・見直し
1 評価
環境審議会に本計画に係る施策の状況、並びに目標及び指標の状況を報告します。環境審議会の委員
から出された意見については、県民から寄せられた意見とともに、推進本部に報告します。環境審議会
は、長野県環境基本条例第 25 条を設置根拠とし、学識経験者など 30 人以内の委員で構成されます。
2 見直し
本計画と密接に関連する「長野県総合5か年計画(計画期間:2013 年度~2017 年度)
」及び「長野県
環境基本計画(計画期間:2013 年度~2017 年度)
」との連携及び整合を図るため、本計画の中間的な見
直し時期と両計画の改定作業の時期を同じくし、本計画5年目となる 2017(平成 29)年度を見直し時期
として予め定めます。
一方で、推進本部へのフィードバックや国内外の動向、社会経済情勢の変化などに基づき、予め定め
た見直し時期でなくても、必要に応じた見直しを適宜行います。
第4節 調査・研究
1 今後の課題
本計画の実行と並行して、本計画に定める政策が十分な効果を上げなかった場合、若しくは社会情勢
の変化により政策効果を本計画よりも早期に拡大する必要がある場合について、採るべき施策や手法に
係る調査・研究を進めておく必要があります。
家庭や事業活動、交通等、個人や小規模な事業者にまで効果的かつ徹底的な取組を広げる施策や手法
にも、課題が残されています。自然エネルギーの熱利用・燃料利用、地球温暖化への適応策についても
課題が残されています。これらは、長野県のみならず、国内外の他地域においても課題となっています。
他の政策領域との狭間にも課題があります。例えば、自然素材の長寿命建築や知識産業の活性化など
は、長期的に見れば、地球温暖化対策等に貢献する取組であるものの、地球温暖化対策等の視点からの
施策や手法が確立していないという課題です。
2 政策の調査・研究
政策の調査・研究に当たっては、国内外の先進事例や研究成果などを積極的に収集するとともに、県
における部局横断的な議論と県の外部に対する発信を積極的に推進します。
- 59 -
体 系 ・制 度 ・施 策
目 次
「長野県環境エネルギー戦略」政策体系・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61
制度・詳細・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69
家庭の省エネサポート制度
事業活動温暖化対策計画書制度
建築物における環境エネルギー性能検討制度・自然エネルギー導入検討制度
自然エネルギー施策
エネルギー供給温暖化対策計画書・協定制度
- 60 -
長野県環境エネルギー戦略
持続可能で
低炭素な
環境
エネルギー
地域社会
をつくる
エネルギー
需要を
県民の手で
マネジメント
する
~第三次長野県地球温暖化防止県民計画~
エネルギーを効率よく使用し、
省エネ型の家庭用機器や
産業機器を普及する
政策体系
家庭
省エネ政策パッケージ
家庭のエネルギー消費を
効率化・抑制する
事業活動
省エネ政策パッケージ
事業活動のエネルギー消費を
効率化・抑制する
建築物
省エネ政策パッケージ
環境エネルギーに配慮された
建築物を普及する
エネルギーの
消費量を
減らす
快適な省エネまちづくりを進める
国による省エネ建築規制を
前提とする
交通・まちづくり
省エネ政策パッケージ
- 61 -
環境エネルギーに配慮された
まちづくりを進める
家庭用機器の高効率化
家庭用の高効率機器への
転換・選択を促進する
家電の省エネラベル掲出制度
家庭用機器の効率的使用
省エネに係る情報を提供する
家庭の省エネサポート制度
生活様式を診断し、助言する
大規模事業者の取組促進
エネルギー使用状況を把握し、
効率化・抑制を計画する
事業活動温暖化対策計画書制度
事業活動用の機器を
効率的に使用する
事業活動用の機器を
高効率化する
意欲的な事業者の
取組を評価する
事業活動温暖化対策計画書の
任意提出制度
事業者間での知見の
普及を促進する
信州省エネパトロール隊の支援
他の事業者の模範となる
先進的なモデルづくり
高度な目標を掲げ、
取り組む事業者を支援する
事業者向け協定制度
事業者間の連携・協力の促進
事業者間での知見の
普及を促進する
業種・業態別協議会
新築建築物の取組促進
環境エネルギーに配慮された
建築物の選択を促進する
建築物に係る
環境エネルギー性能検討制度
高度に配慮された
建築物の普及を促進する
低炭素建築物新築等計画認定の促進
中小規模事業者の取組促進
ふるさと信州・環の住まい認定制度
建築事業者の技術向上を
促進する
長野県住まいづくり
推進協議会
既築建築物の取組促進
既存住宅の断熱改修を
促進する
リフォーム助成制度等
環境負荷の低い
交通・運輸への転換
交通政策と環境政策の
連携を図る
長野県新総合交通ビジョン
公共交通を維持・活性化する
広域幹線バス路線補助
自動車から公共交通利用への
転換を促進する
通勤・来客交通計画書制度
(事業活動計画書制度と一体)
物流の効率化を促進する
物流計画書制度
(事業活動計画書制度と一体)
環境負荷の低い
自動車を普及する
自動車環境情報提供制度
自動車使用に伴う
環境負荷の低減
長野県温暖化対策
次世代自動車推進協議会
次世代自動車の普及環境整備
環境負荷の低いまちづくり・
面的取組の促進
運転時の環境負荷低減を
促進する
アイドリング・ストップ実施周知制度
都市計画と環境政策の
連携を図る
都市計画方針の策定
未利用エネルギーの
面的活用を促進する
未利用エネ活用検討制度
(自然エネ導入検討制度と一体)
市町村の環境まちづくりを
支援する
市町村研究会
- 62 -
エネルギーを
特性に応じて
適切に使う
再生可能
エネルギーの
利用と供給を
拡大する
熱は熱で賄う
自然エネルギー
政策パッケージ
(略)
エネルギーを利用する時間帯が
過度に集中することを避ける
電力需要抑制対策
エネルギー利用の分散化を
促進する
自然エネルギー発電設備の
設置を拡大する
自然エネルギー
政策パッケージ
自然エネルギー普及の
地域主導の基盤を整える
再生可能な
エネルギー
による発電を
拡大する
国の固定価格買取制度の
積極的な活用を前提とする
非売電分のグリーンエネルギー
証書化推進を前提とする
自然エネルギー種別ごとの
促進策を講じる
- 63 -
エネルギー需給情報の把握
エネルギー供給事業者から
情報提供を受ける
エネルギー供給温暖化対策
計画書・協定制度
使用時間帯等の集中回避
(シフト・チェンジ)
事業者・家庭での行動を
促進する
信州省エネ大作戦
自然エネルギーの情報を
広範な県民間で共有する体制
地域住民との
情報共有の場をつくる
自然エネルギー信州ネット等との
連携
地域協議会との連携
制度、技術、事業等に係る
情報を整備、提供する
市町村研究会
調査・研究成果の
広範な提供
人材育成、専門家派遣を担う
中間支援組織を支援する
地域環境エネルギーオフィスの
創出促進
県民による起業・事業化を
支援する
地域主導型の自然エネルギー
事業化支援
中小企業向け融資
産官学民によるモデル事業を
推進する
総合特区によるモデル事業
地域金融機関等との連携による
資金調達の仕組みづくり
県内事業者によるサプライ
チェーン構築を促進する
自然エネルギー供給設備等の
開発支援
地域での経験蓄積を支援する
1村1自然エネルギー
プロジェクトの登録
自然エネルギー事業の知見を
生み、改良し、普及する仕組み
自然エネルギー事業の経験を
促進し、リスクを軽減する取組
環境エネルギーに配慮した災害に
強いまちづくりへの支援施策
事業化に向けた支援施策
地域の活性化に向けた自然
エネルギー活用支援施策
太陽光発電
政策・規制改革を提言する
市町村等現場の声を踏まえた
国への提言活動
エネルギー供給側からの
普及環境の整備を促進する
エネルギー供給温暖化対策
計画書・協定制度
屋根
新築建築物
自然エネルギー導入検討制度
既存の公共施設・事業所
屋根貸しモデルの確立
(県有施設活用プロジェクト)
既存の住宅
初期投資軽減モデルの確立
未利用地
メガソーラーマッチングの推進
耕作放棄地
農業振興に資する事業化支援
一般河川
相談窓口・技術支援・
事業化支援
砂防堰堤
相談窓口・技術支援・
事業化支援
既存ダムの放流水
相談窓口・技術支援・
事業化支援
農業用水路
相談窓口・技術支援・
事業化支援
未利用地
小水力発電
河川
非河川
自然エネルギー協議会を通じた
政策提言活動
土地改良施設を活用した
普及推進
バイオマス発電
木質バイオマス
非木質バイオマス
- 64 -
上下水道
相談窓口・技術支援・
事業化支援
発電所・熱電併給所
県産材供給体制の整備
安定的な燃料供給確保
総合的な林業再生事業
(造林・再生対策・高性能林業機械)
下水汚泥
処理場での発電事業の推進
畜産・食品系バイオマス
事業化支援
再生可能な
熱・燃料を
拡大する
既存の水力発電
設備の有効利用と
新規自然エネルギー
開発を進める
長野県公営電気事業
自然エネルギー熱供給設備の
設置を増やす
自然エネルギー
政策パッケージ
(略)
交通・まちづくり
省エネ政策パッケージ
(略)
既存の水力発電所を効率的に
管理・運用するとともに、自然
エネルギーの普及・拡大に向け
積極的に取り組む
電気自動車など
次世代自動車の普及と
非化石燃料への利用転換を進める
- 65 -
グリーン熱
太陽熱
バイオマス熱
新築建築物
自然エネルギー導入検討制度
既築建築物
初期投資軽減モデルの確立
新築建築物
自然エネルギー導入検討制度
既築建築物
初期投資軽減モデルの確立
普及環境の整備
バイオマス熱供給設備の
普及支援
カーボンオフセットの推進
安定的な燃料供給
薪・バイオマス燃料の
流通システムの構築支援
面的な利用
県産材供給体制の整備
熱電併給所による地域熱供給推進
その他
地中熱
新築建築物
自然エネルギー導入検討制度
・事業化支援
温泉熱
温泉地
事業化支援
雪氷熱
雪室
事業化支援
地熱・温泉熱発電
バイナリ発電等の事業化支援
風力発電
適切な場所・手法の検討
バイオ燃料
事業化支援
効果的な電気事業の展開
公営事業としての継続
自然エネルギーの普及・拡大
新規水力発電所の建設
自然エネルギー施策を
財政的に支援
企業局のノウハウを
自然エネルギー普及へ活用
中小規模水力発電技術支援
- 66 -
影響想定マップ・ガイドラインの提供
総合的な
地球温暖化
対策を
推進する
長野県廃棄物処理計画
循環型社会の形成を推進する
フロン類等対策
フロン類等の漏出防止と
回収・破壊を促進する
長野県森林づくり指針
暮らしを守る森林づくりを
推進する
廃棄物の発生抑制、再使用、リサイクルを
進め、フロン類等の
大気中への漏出を防止する
地球温暖化を
抑制する
木材利用の拡大や森林
整備による二酸化炭素の
吸収・固定化を促進する
木を活かした産業づくりを
推進する
森林を支える地域づくりを
推進する
地球温暖化に
適応する
地球温暖化の
影響把握と予測を行う
地球温暖化の影響への
適応策を様々な主体で進める
- 67 -
地球温暖化適応策
パッケージ
地球温暖化の影響による
県内への被害を抑制する
廃棄物の排出抑制の推進
(リデュース)
再使用の推進
(リユース)
リサイクルの推進
(リサイクル)
3Rの総合的な取組の推進
ノンフロン製品等の
普及の促進
ノンフロンの事業用機器の
導入を促進する
事業者向け協定制度
事業活動における
フロン類等の漏出防止
使用するフロン類等の
管理を促進する
事業活動温暖化対策計画書制度
特別な漏出防止等の
取組を促進する
事業者向け協定制度
フロン類等の確実な回収・破壊
フロン回収・破壊法等を
適正に執行する
フロン回収・破壊法等の執行
多様な森林整備の推進
施業集約化と
森林整備を推進する
吸収源対策としての
間伐等の推進
信州の木の利用促進
様々な分野での利用を
拡大する
公共建築物・住宅等への
県産材の利用拡大
森林の多面的利用の推進
新たな森林産業を
創造する
県産材利用による
CO2固定量の認証
地球温暖化の影響を把握し、
予測する
県内の様々な情報やデータを
収集・統合する
気候変動モニタリング(観測)
体制の構築
地球温暖化の影響への
適応策を進める
適応の手法、技術、政策を
分野連携で検討・推進する
信州・気候変動適応
プラットフォーム
- 68 -
木質バイオマスによる
カーボンオフセットの推進
家庭の
家庭の省エネサポート制度
エネサポート制度
目的
県民の省エネ行動を直接支援するため、企業や団体が県民との接点機会に行う省エネアドバイ
スや省エネ診断を実施する制度を構築・運用することで、温暖化対策のより一層の推進を図る。
<5年間で10万世帯の省エネ行動をサポート>
制度の
制度の概要
県が登録した企業・団体に属する省エネアドバイザーが、県等が作成したハンドブックや省エネ
に関する資料等を用いて、県民との様々な接点機会を通じて、省エネアドバイスや省エネ診断を実
施する。
・省エネアドバイス、省エネ診断の実施方法
①省エネアドバイス; 省エネ手法のアドバイス、情報提供
②簡 易 診 断 ; 簡易アンケートでエネルギー使用量の診断や簡易アドバイスの実施
③訪 問 診 断 ; オーダーメイドの省エネ手法の診断・指導
・省エネ講習会の実施方法
県などが作成した講習会資料等を活用して、市町村等が自治会等で実施する学習会などで、
省エネ講習会を実施する。
制度の
制度のスキーム
省エネアドバイス等実施体制
エネアドバイス等実施体制
長野県
○制度の
制度の運営・
運営・周知
○統括団体の
統括団体の募集認定
○省エネアドバイザーの
エネアドバイザーの研修・
研修・登録・
登録・公表
団体認定
認定申請
研修 登録証
交付
受講
連携・協働
活動報告
統括団体(公的団体,
公的団体,企業,NPO
企業,NPO等
,NPO等)
家庭
○省エネアドバイザーの
エネアドバイザーの確保・
確保・育成 省エネアドバイザー
○省エネアドバイス等
エネアドバイス等の実施
(募集・受付・問合せ等の対応を含む)
技
術
的
支
援
等
訪問診断
申込み
アドバイス等
アドバイス等の実施
講習会実施体制
必要に応じて調整・支援
市町村等
講習会申込み
講習会申込み
○省エネアドバイス等
エネアドバイス等の広報
(公民館活動など)
○省エネ講習会
エネ講習会の
講習会の実施
講習会の
講習会の開催
県の役割
・家庭の省エネサポート制度の運営、周知、統括団体の認定
・省エネアドバイザーの研修、登録及び公表
・統括団体への支援、指導、助言等
・家庭の省エネ行動推進のための人材育成、講習会資料等の作成・提供
- 69 -
施策の
施策の変更点
<従来
<従来の
従来の施策>
施策>
<再構築後
<再構築後>
再構築後>
「省エネ行動
エネ行動の
促進施策」 から、
から、
行動の促進施策」
「省エネ診断実施
エネ診断実施」
診断実施」 への移行過程
への移行過程
「実効性が
実効性が高く、省エネ行動
エネ行動の
行動の定着」
定着」
を目指す
目指す施策へ
施策へ
・減CO2アクションキャンペーン
エコ活動を募集、優良な事例を発信
○家庭の省エネサポート制度の運用
○市町村などが実施する講習会の支援
・信州エコポイント
省エネ活動や省エネ設備機器購入を
インセンティブで支援
・家庭の省エネ診断、講習会
訪問診断、地域省エネ講習会の開催
行動の
行動の促進施策
実効性・
実効性・省エネ行動
エネ行動の
行動の定着
イメージ図
長野県地球温暖化対策戦略検討会提言書 参考資料(抜粋)
抜粋)
〔Q4〕あなたは、普段の生活の中で、地球温暖化防止
のためどに、どの程度環境に配慮していますか。
n=520
少し配慮して
配慮して
いる67.5%
67.5%
いる
〔Q8〕省エネルギー、自然エネルギー、地球温暖化対策を進めるために、あなたが個人で取
組んでいることは何ですか。 n=520
こまめな省エネ
LED照明などの高効率照明に取替える
自転車や徒歩で移動する
省エネルギー性能の高い家電製品に切替える
住宅の断熱性能を向上させる
公共交通機関で移動する
エコカーや次世代自動車(電気自動車など)を購入・利用する
特に何もしていない
給湯器などの設備を高効率なものに切替える
自然エネルギー設備(太陽光発電パネルなど)を導入する
できるだけ自動車の相乗りをして移動する
その他
カーシェアリングをしている
80.8%
35.0%
33.5%
29.6%
21.7%
13.7%
10.6%
9.8%
9.8%
9.2%
7.3%
3.1%
0.8%
0%
10% 20%
30% 40% 50% 60%
70% 80% 90%
実施目標と
実施目標と課題
(1) 実施目標 (
実施目標 ( 5ヵ年間)
年間)
省エネ
講習会参加
○省エネアドバイス・省エネ診断 約10万世帯
アドバイス
2.5万世帯
①省エネアドバイス ; 9.3 万世帯
9.3万世帯
約 3%
約12%
②簡 易 診 断 ; 0.5 万世帯
約16 %
簡易診断
③訪 問 診 断 ; 0.16万世帯
参加世帯数の
参加世帯数の内訳
12.5 万世帯 0.5万世帯
0.6%
○省エネ講習会 約 2.5万世帯
訪問診断
<算出:省エネ診断>
統括団体を 5~10 程度を想定。
① 省エネアドバイス 約10万世帯 (推計)
② 簡易診断 ①の5%
③ 訪問診断 ①の1%+講習会参加者2.5万世帯の2.5%
*H23実績;講習会参加のうち2.5%が訪問診断を受診
<算出:省エネ講習会>
約5,000世帯×5年間=約25,000世帯
0.16万世帯
0.2%
未参加
66.9万世
帯, 84%
(2)課題
○未参加世帯へのアプローチ
○効果の高い訪問診断世帯の確保
課題は、制度運用と平行して研究する。
。
長野県内 79万4千世帯
(H22.10.1現在)
- 70 -
講習会
アドバイス
簡易診断
訪問診断
未参加
事業活動温暖化対策計画書制度
目的
事業活動に伴う温室効果ガスの排出量が相当程度多い事業者を対象とした排出削減を促進
〈3年間(1計画期間)で300事業者の排出削減をサポート〉
対象者(次のいずれかに該当
のいずれかに該当する
該当する事業者
する事業者)
事業者)
○ 【エネルギーを多量に使用している事業者】
★ 範囲の拡大
県内に設置している事業所の前年度のエネルギー使用量の合計が原
油換算で1,500kl/年以上の事業者
<現行>省エネ法のエネルギー管理指定工場の要件に該当する事業所を県内に有
現行制度
カバー分
3,770
千t-CO2
産業・業務 3,300
(47.7%)
7,898
千t-CO2
千t-CO2
(41.8%)
する事業者など(205社)
828
千t-CO2
○ 【自動車を多く使用している事業者】
★ 範囲の拡大、現行の自動車環境計画書制度を統合
前年度の3月31日現在において、200台以上の自動車(県内に使用の本
拠があるもの)を使用する事業者
<現行>200台以上の自動車を使用するトラック・バス事業者、350台以上の自動車を
使用するタクシー業者(5社)
(10.5%)
新制度カバー分
現行制度カバー分
42千t-CO2
(0.9%)
○ 【温室効果ガスを多量に使用している事業者】
★ 新設(温対法に基づく「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」の対象事業者
4,134
より範囲が広い)
千t-CO2
運輸
4,177
(99.0%)
千t-CO2
1千t-CO2
(0.1%)
県内に設置している事業所の前年度の5.5ガス(非エネルギー起源CO2、CH4、
N20、HFC、PFC、SF6)の排出量の合計が3,000t-CO2/年以上の事業者
*省エネ法:エネルギーの使用の合理化に関する法律(昭和54年法律第49号)
*温対法:地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年法律第117号)
※いずれも2008年度実績
計画書・
計画書・報告書の
報告書の作成、
作成、提出、
提出、公表
○ 対象事業者は、最大3ヵ年の温室効果ガスの排出抑制に係る計画書を作成
★計画年度の複数年度化 ← <現行>単年度計画
★計画項目に交通・物流等、新たな観点の対策を追加
(従業員のノーマイカー通勤対策、集客施設等利用者の交通対策、荷主の取組 など)
★重点対策を設定(基礎的な運用対策を必須項目、設備更新対策を選択項目と設定)
○ 中小事業者の任意提出制度の創設(対象外の事業者も計画書の作成提出が可能)
○ 計画書提出事業者は、取組実績等について毎年度報告書を作成
○ 事業者と県はそれぞれ計画書と報告書を公表
県による助言
による助言・
助言・指導、
指導、評価、
評価、表彰
県による現地調査
による現地調査、
現地調査、勧告等
○ 計画書の作成から取組までサポート(助言・指導)
○ 計画書の内容やその実施状況の確認
などに係る現地調査・助言指導を実施
○ 計画書内容や取組実績の評価、結果の公表
○ 県は取組実績で高評価の事業者を表彰できる
- 71 -
○ 計画書等の提出などを行わない事業者
に対し、県が勧告・公表できる
新しい温暖化対策計画書制度の流れ
年度
対象事業者
単年度計画から
複数年度計画へ
長野県
H28年度までの
計画書(案)の作成
支援・
支援・アドバイス
改正ポイント
計画書(
計画書(案)への助言
への助言
現行制度の場合
提出
H28年度までの
計画書の作成
計画書の公表
計画書の公表
計画書の受理
改正ポイント
評価結果の
評価結果の通知
計画書の
計画書の評価
(
第
1 H26
次
計
画
期
間
H26年度の計画書
の作成・提出
計画書に基づく
取組の推進
計画書に基づく
取組の推進
計画書と
計画書と評価結果の
評価結果の公表
)
3
年
間
支援・
支援・アドバイス
改正ポイント
取組の
取組の確認・
確認・助言・
助言・指導
(H26~
26~H28年度
28年度)
年度)
H27
・
H28
実施状況報告書
の作成・提出・
公表
(H26年度分)
提出
実施状況報告書
の作成・公表
(H26年度分)
(H27年度分)
実施状況報告書の受理・公表
(H26年度分)
(H27年度分)
(毎年度繰り返し)
H31年度までの
計画書(案)の作成
実施状況報告書の受理・公表
(H28年度分)
改正ポイント
評価結果の
評価結果の通知
第1次計画期間(
次計画期間(H26~
26~
H28年度
28年度)
年度)の評価・
評価・結果公表
~
(
第
2
次
計
画
期
H29
間
提出
実施状況報告書の
作成・公表
(H28年度分)
改正ポイント
)
3 H31
年
間
優良事業者の
優良事業者の表彰
支援・
支援・アドバイス
H31年度までの
計画書の作成
計画書(
計画書(案)への助言
への助言
(以下 第1次計画期間と同様)
- 72 -
建築物における環境エネルギー性能検討制度・
自然エネルギー導入検討制度
目的
建築物の環境エネルギー性能を客観的に評価する制度及び建築時に併せて自然エネルギー設備の
設置を検討する制度を導入することにより、建築物の省エネルギー及び自然エネルギー導入の推進を
図り、もって温室効果ガス排出量の削減を促進する。
〈5年間で30,000棟の建築物をサポート〉
対象行為
対象者
○ 検討義務・・・建築主
建築主 (
建築主 (依頼
(依頼により
依頼により設計者等
により設計者等
が
が環境エネルギー
環境エネルギー性能
エネルギー性能の
性能の情報提供)
情報提供)
○ 届出義務、掲示努力義務・・・建築主
建築主
○ 建築物の新築
新築、
新築、改築
(改築
改築は、建築物単体で捉えた場合に
改築
新築、建替えに当たるもの)
制度の
制度の概要
対象建築物数の
対象建築物数 の 推計
2,000m2
以上
104件
104 件
○ 建築物環境
建築物環境エネルギー
建築物環境エネルギー性能検討制度
エネルギー性能検討制度
建築物
建築物の
建築物の環境エネルギー
環境エネルギー性能
エネルギー性能を
性能を客観的に
客観的に評価でき
評価でき
る
る指標に
指標に基づき、建築主が建築時に省エネルギー性能
を検討し、より省エネルギーに配慮した建築物の選択を
促す制度
○ 建築物自然
建築物自然エネルギー
建築物自然エネルギー導入検討制度
エネルギー導入検討制度
建築時における自然エネルギー導入の可能性の説明
に基づき、建築主に設備導入の検討を促す制度
対象除外
24 件
300m2
未満
10023件
件
10023
※ 平成23年度長野県建築等業務報告より
(建築確認等申請件数、省エネルギー法届出件数)
建築物環境エネルギー性能検討制度
環境エネルギー
性能検討
(建築主)
環境エネルギー
性能掲示
(建築主)
建築物自然エネルギー導入検討制度
環境エネルギー
性能届出
(建築主)
自然エネルギー
導入可能性検討
(建築主)
○
○
○
10,000㎡以上
○
○
2,000㎡未満
~
300㎡以上
○
○
備考
未利用エネルギー
活用検討結果届出
(建築主)
○
○
○
×
×
×
○
○
○
努力義務
○
○
×
○
努力義務
努力義務
○
10㎡以下
仮設
文化財
冷暖房等不要
自然エネルギー
導入検討結果届出
(建築主)
努力義務
努力義務
300㎡未満
~
10㎡超
自然エネルギー
設備情報掲示
(建築主)
○
努力義務
10,000㎡未満
~
2,000㎡以上
300 m2 ~
2,000m2
未満
397 件
○
(移行期間は
努力義務)
×
×
(移行期間は
努力義務)
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
・建築主からの依頼
により情報提供
・県への届出
・出入口等への掲示
・建築主からの依頼
・県は公表、助言でき
・戸建住宅を除く
により情報提供
る
普及啓発
・県への届出
・県への届出
・出入口等への掲示
・県は公表、助言でき ・県は公表、助言でき
・戸建住宅を除く
る
る
県による指導
による指導・
指導・勧告等
制度の普及を図るため、指針・マニュアルを作成の
上、各種講習会を実施し、制度の普及に努める
○ 環境エネルギー性能評価指標の取得講習会
○ 建築物省エネルギー技術講習会
○ 自然エネルギー導入マニュアルの作成
- 73 -
○ 届出の内容について省エネルギー基準
等に基づき指導
指導・
指導・助言をすることができる
助言
○ 届出、報告等の提出などを行わない場
合については、勧告
勧告・
勧告・公表できる
公表
建築物環境エネルギー性能検討制度・自然エネルギー導入検討制度のフロー
延床面積
「300㎡以下」
延床面積
「300㎡~2,000㎡未満」
延床面積
「2,000㎡i以上」
長野県
頒布支援
評価ツール
評価ツール
環境エネルギー
環境エネルギー性能
エネルギー性能の
性能の計算
配布
説明マニュアル
説明マニュアル
環境エネルギー
環境エネルギー性能
エネルギー性能+
性能+自然エネルギー
自然エネルギー導入
エネルギー導入 導入 の情報提供
届出
環境エネルギー
環境エネルギー
計画書
内容確認・
内容確認・公表
21日
( 建築物
( 建築物の
建築物の工事着工 )
工事着工 )
届出
環境エネルギー計画
書変更の届出
内容確認・受理
(変更工事の着手)
環境エネルギー性能評価指標 条件
( 建築物
( 建築物の
工事完了 )
建築物の工事完了 )
① 環境エネルギー性能を客観
的に評価できること
遅滞なく
環境エネルギー
環境エネルギー性能掲示
エネルギー性能掲示(
性能掲示(努力義務)
努力義務)
② 施主等にわかりやすく表示
できること
+
③ 新省エネルギー基準に対応
できること
自然エネルギー
自然エネルギー設備情報掲示
エネルギー設備情報掲示(
設備情報掲示(努力義務)
努力義務)
建築物の地球温暖化対策制度における長野県の役割
省エネルギーに関する規制
建築物環境エネルギー性能評価制度
環境エネルギー
性能検討
(建築主)
環境エネルギー
性能掲示
(建築主)
建築物自然エネルギー導入検討制度
省エネルギー
措置届出
(建築主)
省エネルギー
基準適合
(建築主)
環境エネルギー
性能届出
(建築主)
自然エネルギー
導入可能性検討
(建築主)
自然エネルギー
設備情報掲示
(建築主)
自然エネルギー
導入検討結果届出
(建築主)
権限
国
長野県
国
長野県
国
長野県
国
長野県
国
長野県
国
長野県
国
長野県
国
長野県
2,000㎡以上
○
-
○
H28~
-
×
○
△
任意
○
努力
義務
×
○
×
○
×
○
努力
義務
×
○
2,000㎡未満
~
300㎡以上
○
-
○
H30~
-
×
○
×
○
努力
義務
×
×
×
○
×
○
努力
義務
×
×
300㎡未満
~
10㎡超
×
-
○
H32~
-
×
○
(移行期
間は努力
義務)
×
×
×
×
×
○
(移行期
間は努力
義務)
×
×
×
×
※ 凡例 ○ は制度が規定されていること を示す。
- は制度の役割分担がない(できない)こと
× は制度を適用していないこと
- 74 -
自然エネルギー施策
【太陽光発電推進施策のイメージ】
太陽光発電推進プラン (地域エネルギー事業者創出)
長野県の自然エネルギーポテンシャルの大半を占める太陽光発電を活用して、自然エネルギーの普及を地域経済の活性化に結び付
ける「地域エネルギー事業者」を創出
ポテンシャルの大半を占める屋根において、採算性がとれ持続的運営が可能な屋根貸しモデルの検討、新たな発電フィールドの開拓
地域主導によるメガソーラー事業等の推進(地域エネルギー事業者の創出)
導入ステップ
第1段階
第2段階
情報共有・情報基盤整備・
人材育成・研修
市町村研究会
自然エネルギー信州ネット
太陽光部会への協力
導入可能性の調査・検討/
概略設計
地域主導型の自然エネルギービジネス創出を支援
発電事業の技術・経営手法の共有
拡大、発電フィールドの提供、マッチング
地域エネルギー事業者、初期投資軽減モデルの創出、資金調達方法の検討
第3段階
おひさまBUN
おひさまBUN・
BUN・SUNメガソーラープロジェクト
SUNメガソーラープロジェクト 等
モデル事業の促進
費用対効果の高い導入技術の実践
県有施設及びその周辺の公共的施設の屋根を複数取りまとめた屋根貸しによ
る太陽光発電事業(豊田終末処理場が1件目)
メガソーラー
マッチング窓口
/総合特区
制度の活用
ビジネス
モデル・
初期投資軽減
モデル創出
メガソーラー
の推進
/屋根貸し
モデルの推進
資金調達の
サポート
実地での技術開発・
サプライチェーン支援
【小水力発電推進施策のイメージ】
小水力発電推進プラン (上下水道・農業用水・砂防堰堤)
県内市町村、土地改良区、民間事業者が比較的取り組みやすい分野から、モデルを創出し経験を蓄積
産官学民連携による支援スキームを構築し、技術面、制度面の高いハードルに対して支援
導入ステップ
第1段階
情報共有・
情報基盤整備・
人材育成・研修
第2段階
水利権
相談窓口
小水力発電キャラバン隊
河川課
温暖化対策課
企業局中小規模水力技術支援チーム、
長土連自然エネルギー推進室、
温暖化対策課、農地整備課、砂防課等
導入可能性の調査・検討/
概略設計
第3段階
・適地、事業者マッチング
・地域の合意形成
・事業計画策定支援
・資金調達支援
・技術的、許認可手続き支援
研修啓発事業
小水力発電
手引等の整備
地域主導型の自然エネルギービジネス創出を支援
小水力発電キャラバン隊
モデル事業の促進
費用対効果の高い導入技術の実践
施設管理者等
発電事業の希望者
実地での技術開発・
サプライチェーン支援
- 75 -
発電施設建設モデル事業
資金調達のサポート
【バイオマスエネルギー推進施策のイメージ(発電)】
バイオマスエネルギー推進プラン (熱電併給)
長野県が推進するバイオマス発電事業は林業創生と一体となった熱電併給を原則
= 針葉樹の搬出間伐、未利用の広葉樹の利活用、熱電併給による採算性の向上により、林業の採算性を高め、 雇用を拡大し、持
続可能な森林経営を実現
導入ステップ
第1段階
信州F・POWER 協議会 等
情報共有・
情報基盤整備・
人材育成・研修
木材安定供給体制の構築
発電事業の詳細設計
地域熱供給システムの事
業モデルの検討
「信州F・POWERプロジェクト」
塩尻市における集中型の木材加工施設の整
備と木質バイオマス発電施設の併設、地域へ
の熱供給を一体的に進める事業
・塩尻から50㎞圏内:F・
POWER プロジェクトの着実な
実施
・その他地域:地産地消・小
規模の熱電併給事業の推進
総合的な林業再生事業
第2段階
導入可能性の調査・検討/
概略設計
第3段階
地域主導型の自然エネルギービジネス創出を支援
信州F・POWER協議会 等
モデル事業の促進
費用対効果の高い導入技術の実践
(需要)
熱電併給設備の導入可能性の調査・検討/概略設計
安価な熱供給システム
小規模発電技術
資金調達のサポート
実地での技術開発・
サプライチェーン支援
【バイオマスエネルギー推進施策のイメージ(熱利用)】
バイオマスエネルギー推進プラン (熱利用)
長野県が推進する熱利用事業は、民間企業主体型のビジネス及び地域協働型事業の併存により、林業創生や地域の雇用創出による
森林環境保全への貢献
バイオマス資源の安定的な燃料供給システムとバイオマス熱利用の需要と供給を一体的に推進
冷暖房バイオマスボイラーの開発、環境省ガイドラインを満たす高効率薪・ペレットストーブの開発等、技術開発と運用が一体となった
事業の創出
導入ステップ
第1段階
・薪、ペレットとして活用するものは地域
内利用を優先
市町村研究会
第2段階
第3段階
情報共有・情報基盤整備・
人材育成・研修・
資源の供給体制整備
自然エネルギー信州ネット
バイオマス部会への協力
導入可能性の調査・検討/
概略設計
地域主導型の自然エネル
ギービジネス創出を支援
供給体制整備:
総合的な林業再生事業
需要の創出
(ペレットストーブ・ボイラー導入支援)
モデル事業の促進
費用対効果の高い導入技術の実践
資金調達のサポート
地域協働型需要・供給
システムのモデルづくり
民間主体型の
薪・ペレット供給
初期投資軽減モデルの
創出
冷暖房ボイラ
高性能ストーブ
実地での技術開発・
サプライチェーン支援
- 76 -
エネルギー供給温暖化対策計画書・協定制度
1 目 的
○
エネルギー供給者側から温暖化対策や自然エネルギーの普及・供給拡大を促進
○
エネルギー供給情報の県民への提供
2 内 容
既存の計画書制度のスキームを活かしつつ、協定制度を新たに加えることにより、幅広くエ
ネルギー供給側からの温暖化対策等を促進する。
区分
計画書制度
協定制度
県内に電力を供給している事業者
県内でエネルギーを供給する者を構
対象者
成員とする県単位の事業者団体
対象事業者は、最大3ヵ年の温暖
県は、エネルギー供給に係る事業
化対策等の促進に係る計画書を作成 者団体と、エネルギー供給側からの
する。
温暖化対策等の促進に係る協定を締
結するよう努める。
[想定される計画内容]
・
[想定される計画内容]
自然エネルギーの普及・供給拡 ・
大のために講じる措置
・
自然エネルギーの普及・供給拡
大のために講じる措置
温暖化対策の促進のために講じ ・
温暖化対策の促進のために講じ
内 容
る措置
る措置
・
その他の事項
○
計画書を提出した事業者は、取 ○
○
・
その他の事項
事業者団体と県は、それぞれ協
組実績等について、毎年度報告書
定内容(報告内容等を含む。)を公
を作成する。
表する。
事業者と県は、それぞれ計画書
と報告書を公表する。
(参考)現行の再生可能エネルギー計画書制度
■
目的
再生可能エネルギー(電気)の供給拡大
■ 対象者
県内に電気を供給している事業者
■ 内容
* 対象事業者は、単年度の、再生可能エネルギー供給量の割合の拡大に係る計画書を作成
・再生可能エネルギー(電気)供給量の割合の拡大に関する方針や目標
・目標の達成に向けて講じる措置
・その他
* 計画書を提出した事業者は、取組実績等について、毎年度報告書を作成
* 事業者と県はそれぞれ計画書と報告書を公表
- 77 -
資
料
目 次
資料1 地球温暖化対策に関する動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 79
資料2 長野県における地球温暖化の現状と予測される影響・・・・・・・・・・・ 82
資料3 「長野県環境エネルギー戦略」位置付け・・・・・・・・・・・・・・・・ 90
資料4 「長野県環境エネルギー戦略」策定経過・・・・・・・・・・・・・・・・ 91
資料5 目標の設定・算出根拠及び将来推計・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 95
資料6 目標の達成による長野県への経済影響推計・・・・・・・・・・・・・・・131
資料7 自然エネルギーのポテンシャル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・136
資料8 「長野県環境エネルギー戦略」実行体制・・・・・・・・・・・・・・・・148
資料9 用語解説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・149
資料 10 本文図表一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・159
- 78 -
資料1 地球温暖化対策に関する動向
国際社会の主な動き
国内の主な動き
長野県の主な動き
年
月
内容
11
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)
の設置
1988
(昭和63
昭和63)
63)
月
内容
月
内容
1990
8 IPCC第1次評価報告書の提出
10 地球温暖化防止行動計画の決定
11 長野県地球環境問題連絡会議の設置
(平成2
平成2)
1992
5 気候変動枠組条約の採択
(平成4
平成4)
環境と開発に関する国際連合会議(リオ・
6 サミット)の開催(ブラジル:リオ・デ・ジャネ
イロ)
1993
3
(平成5
平成5)
エネルギーの使用の合理化に関する法律
(省エネ法)(1979年制定)の改正
11 環境基本法の制定
1994
3 気候変動枠組条約の発効
12 環境基本計画の策定
(平成6
平成6)
1995
3 COP1の開催(ドイツ:ベルリン)
(平成7
平成7)
12 IPCC第2次評価報告書の提出
1996
7 COP2の開催(スイス:ジュネーブ)
3 長野県環境基本条例の制定
(平成8
平成8)
1997
4
(平成9
平成9)
12
COP3の開催(日本:京都)
京都議定書の採択
11
COP4の開催(アルゼンチン:ブエノスアイ
6 地球温暖化対策推進大綱の策定
レス)
1998
(平成10
平成10)
10)
新エネルギー利用等の促進に関する特別
4 長野県環境基本計画の策定
措置法の制定
12 地球温暖化対策推進本部の設置
6
省エネ法の改正(トップランナー方式の導
入等)
10
地球温暖化対策の推進に関する法律(温
対法)の制定
10 COP5の開催(ドイツ:ボン)
4
地球温暖化対策の推進に関する基本方
針の策定
11 COP6の開催(オランダ:ハーグ)
12 新・環境基本計画の策定
4 IPCC第3次評価報告書の提出
4 グリーン購入法の制定
1999
(平成11
平成11)
11)
7
環境保全のための長野県庁率先実行計
画の策定
2000
(平成12
平成12)
12)
2001
2 県庁舎ISO14001認証の取得
(平成13
平成13)
13)
7 COP6(再開会合)の開催(ドイツ:ボン)
4 長野県環境基本計画の改定
10 COP7の開催(モロッコ:マラケシュ)
長野県地球温暖化防止活動推進セン
5 ター(社団法人長野県環境保全協会)の
指定
9 長野県地球温暖化防止実行計画の策定
9
- 79 -
長野県庁率先実行計画(第2次改定版)
の策定
国際社会の主な動き
国内の主な動き
長野県の主な動き
年
月
2002
(平成14
平成14)
14)
内容
月
内容
持続可能な開発に関する世界首脳会議
8 (リオ+10)の開催(南アフリカ:ヨハネスブ
ルグ)
3 地球温暖化対策推進大綱の見直し
10 COP8の開催(インド:ニューデリー)
6
電気事業者による新エネルギー等の利用
に関する特別措置法(RPS法)の制定
6
温対法・省エネ法(建築物への省エネ措
置の届出義務等)の改正
月
内容
6 エネルギー政策基本法の制定
2003
12 COP9の開催(イタリア:ミラノ)
4 RPS法の施行
4 長野県地球温暖化防止県民計画の策定
(平成15
平成15)
15)
10 エネルギー基本計画の策定
2004
12
(平成16
平成16)
16)
COP10の開催(アルゼンチン:ブエノスア
イレス)
9
地球温暖化防止「長野県職員率先実行計
画」(第3次改定版)の策定
3
長野県地球温暖化対策条例の制定、一
部施行
2005
1 EU域内排出量取引制度の開始
4 京都議定書目標達成計画の閣議決定
2 京都議定書の発効
6
温対法(事業者のGHG排出量報告等)の
改正
11 COP11の開催(カナダ:モントリオール)
8
省エネ法(エネルギー管理工場の原油換
算による指定等)の改正
11 COP12の開催(ケニア:ナイロビ)
4 第3次環境基本計画の閣議決定
(平成17
平成17)
17)
2006
(平成18
平成18)
18)
6
2007
9
(平成19
平成19)
19)
国連気候変動に関するハイレベル会合の
開催(アメリカ:ニューヨーク)
温対法(排出権取引のための口座開設
等)の改正
3 エネルギー基本計画の第一次改定
11 IPCC第4次評価報告書の提出
2 長野県地球温暖化対策条例の全面施行
5
全県機関の環境管理システム「エコアク
ション21」の認証・取得
12 COP13の開催(インドネシア:バリ)
2008
4 京都議定書第一約束期間の開始
3 京都議定書目標達成計画の改定
12 COP14の開催(ポーランド:ポズナン)
5
2 長野県地球温暖化防止県民計画の改定
(平成20
平成20)
20)
省エネ法(事業者単位の規制強化)の改
正
6 温対法(事業者単位の規制強化)の改正
6
ストップ温暖化!減CO2(げんこつ)アク
ションキャンペーンの開始
県における地球温暖化現象の実態に関
する調査研究報告書の出版(環境保全研
究所)
7 低炭素社会づくり行動計画の閣議決定
1
IRENA(国際再生可能エネルギー機関)
11 太陽光発電の余剰買取制度開始
の設立
2 第2次長野県環境基本計画の策定
12
COP15の開催(デンマーク:コペンハーゲ
ン)
8 信州エコポイント事業の開始
2009
(平成21
平成21)
21)
12 事業者向け省エネ診断事業の開始
- 80 -
国際社会の主な動き
国内の主な動き
長野県の主な動き
年
月
内容
月
内容
月
内容
2010
11 COP16の開催(メキシコ:カンクン)
6 エネルギー基本計画の第二次改定
7 家庭向け省エネ診断事業の開始
(平成22
平成22)
22)
10 地球温暖化対策基本法案の閣議決定
3
東日本大震災・福島第一原子力発電所事
環境保全のための「長野県職員率先実行
4
故の発生
計画」(第4次改定版)の策定
8
再生可能エネルギー促進法(FIT法)の制
定
2011
11 COP17の開催(南アフリカ:ダーバン)
(平成23
平成23)
23)
2012
6
(平成24
平成24)
24)
国連持続可能な開発会議(リオ+20)の開
7 固定価格買取制度(FIT法)の開始
催(ブラジル:リオ・デ・ジャネイロ)
11 COP18の開催(カタール:ドーハ)
温暖化影響及び適応策の立案を目的とし
たクールアース推進調査研究事業の開始
(環境保全研究所)
9 都市低炭素化促進法(エコまち法)の制定
9 革新的エネルギー・環境戦略の策定
10 地球温暖化対策税の施行
- 81 -
産官学民連携の自然エネルギー推進のた
7 めの全県的ネットワーク(自然エネルギー
信州ネット)の設立
4 1村1自然エネルギープロジェクトの開始
資料2 長野県における地球温暖化の現状と予測される影響
長野県環境保全研究所
1
長野県における温暖化の実態
図表 1 県内5地点における年平均気温の経年変化
1-1 気温
1)気温の長期変化傾向
環境保全研究所では、長野県における温暖化の実態
を把握するため、気象庁などの気象資料の解析および、
気象資料のほとんど得られない山岳地域における独
自の気象観測や気候復元の調査研究を実施している。
世界、日本の年平均気温はこの 100 年間で約1℃程
度上昇しているが、長野県内でも近年気温は上昇傾向
にある。県内の気象台および測候所で記録された気温
も各地で上昇傾向にあり(図表1)
、特に最近の 1981
年~2011 年における気温の上昇スピードは、10 年あ
たり 0.35~0.52℃の上昇となり、この 100 年間の上昇
スピードと比較すると約3~5倍にも達する。
一方、既存の気象観測点が無い山岳地域では、独自
に8ヶ所(木曽駒ヶ岳・乗鞍岳・八ヶ岳・飯綱高原・
霧ケ峰・茶臼岳・八方尾根・高峰高原)の地点におい
て(図表2)、1996 年以降気温等の観測を開始し現在
データの蓄積段階にある。これらの観測データは都市
図表 2 独自の気象観測地点
【出典】気象庁地上気象観測資料より作成
4
2
3
年枝伸長量 (cm)
5
6
図表 3 ハイマツの年枝伸長量
1980
1985
1990
1995
年
- 82 -
2000
2005
2010
化などの人為的なバイアスがなく気候変動を正確に捉えるために重要であると同時に、温暖化に対して脆弱と
いわれる高山帯への影響を評価する上で有効な情報になると考えられる。
また、山岳地においては過去の気候を復元するため、木曽駒ヶ岳の高山帯で得られたハイマツの年枝伸長量
の計測を行ったところ、過去 30 年間におけるハイマツの年枝伸長量は有意な増加傾向を示し(図表3)、この
値は前年の7月の平均気温の変化と有意な正の相関が得られた。このことから、木曽駒ヶ岳においても夏季の
気温が上昇傾向にあることが推定された。
2)近年の気温変化傾向
県内の気象台および測候所5地点での、近年(1981 年~2012 年)の月別日平均気温・日最高気温・日最低
気温の 10 年間あたりの変化傾向を示した(図表4)
。表で色が付いている欄は、気温の変化傾向が有意であり、
色が濃いほど気温の変化傾向が大きいことを表している。
一見して明らかなように、多くの地点で、2月と9月・10 月に平均・最高・最低いずれもが顕著な上昇傾
向にあることが認められる。特に、2月と9月の最高気温、2月と 10 月の最低気温の上昇傾向が著しく、長
野・松本・軽井沢では 10 年間で 1.0℃以上の日最高気温の上昇傾向が認められた。これに対し、3~5月は多
くの地点で有意な気温変化が認められなかった。最寒月の気温が上昇していること、秋の気温が上昇し夏が長
期化していること、春の気温は大きく変化してないことが、近年の気温変化の傾向といえる。
図表 4 長野県内5地点での近年の月別日平均・最高・最低気温の 10 年あたりの変化傾向
(1981 年~2012 年)
【出典】 気象庁地上気象観測資料
(注)数字は 10 年あたりの気温上昇量(℃)。赤色欄は気温変化傾向が統計的に有意(優位水準5%)。
飯田は、2002(平成 14)年4月末に統計切断があったため参考情報。
また、県内 28 地点のアメダス観測値から 10 年間あたりの気温変化量を見てみると、ほとんどの地点で、近
年(1981~2011 年)、日最高気温・日最低気温の年平均値ともに上昇傾向にあることが認められた(図表5)。
図表5では、有意な値を示した地点を色付き●印で示し、気温の変化傾向が大きいほど色を濃くしてある。
- 83 -
図表 5 長野アメダス地点における 10 年間あたりの気温変化量(℃/10 年、年平均値)
日最高気温変化量
日最低気温変化量
【出典】 気象庁アメダス気温(1981~2011 年)より算出
図表 6 県内 5 地点における寒候期(12 月~3月)の最
大積雪深の経年変化
県内 28 地点を平均すると、10 年あたりの日最高
気温の上昇量は 0.54℃/10 年、
日最低気温は 0.32℃
/10 年であった。また、多くの地点で日最高気温の上
昇量が、日最低気温の上昇量を上回った(飯田・軽井
沢・諏訪以外の地点)
。
過去 100 年間程度の気温変化傾向はこれとは逆に、
日最低気温の気温上昇量が日最高気温の気温上昇量
を上回り、気温の日較差が縮小していることが指摘さ
れていたが、近年は日較差が大きくなる傾向にある。
1-2 積雪
近年の温暖化傾向による積雪深への影響を明らか
にするため、長野県内の 5 地点における過去 100 年~
50 年間の最大積雪深の変化を示した(図表6)。この
図からも見てとれるが、最大積雪深には気温のような
直線的な増加あるいは減少の傾向は確認されなかっ
た。
【出典】気象庁地上気象観測資料より作成
- 84 -
2
長野県における温暖化の予測
2-1 気温
日本全域及び長野県(長野県及び長野県を囲む領域)における平均気温の将来予測の計算結果を示す(図表
7・8)
。この図は、2つの気候モデル(RCM20、MIROC)を使って、1981~2000 年の平均値を0とした上昇量
を 2001~2100 年まで示したものである。2つの気候モデルによる結果には幅がみられるものの、21 世紀末ま
での間に2~5℃の気温上昇が予測された。長野県を囲む領域の気温上昇量(図表8)は、日本全体の平均と
比較して若干高めの値になった。これは、一般に、北半球では北に行くほど、標高が高くなるほど上昇量が高
めとなる傾向を反映したものと考えられる。
図表 8 長野県を囲む領域の気温上昇量の予測
6.0
MIROC-Japan
5.0
1981-2000年平均値からの気温上昇量[℃]
1981-2000年平均値からの気温上昇量[℃]
図表 7 日本全域の気温上昇量の予測
RCM-Japan
4.0
3.0
2.0
1.0
2000
2010
2020
2030
2040
2050
2060
2070
2080
2090
6.0
MIROC-Nagano
RCM-Nagano
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
-
2100
2000
2010
年
2020
2030
2040
2050
2060
2070
2080
2090
2100
年
【出典】 肱岡 靖明(国立環境研究所主任研究員)氏 作成
(注)1 社会経済シナリオ
IPCC は第 4 次評価報告書にて、将来の社会の変化を大きく分けて 4 つのシナリオで示し、シナリオごとに将来の温室効果
ガスの排出量の変化、平均気温の変化、海面上昇量を予測した。上記の予測では、そのうちA1B:高成長社会シナリオ(各エ
ネルギー源のバランスを重視)と、A2:多元化社会シナリオを利用している。A2シナリオは、4つの中でもっとも温室効果ガス
の排出量が多いシナリオであり、A1Bシナリオはそれに次いで多い。
2 日本を対象とした気候モデル
日本を対象とした主な気候予測モデルは、主に以下の2つがある。
・ RCM20(Regional Climate Model 20km):文部科学省・気象庁気象研究所が開発した水平空間解像度が 20km の地域気候
モデル。ここでは、A2シナリオを元に計算。計算は、2031~2050 年と 2081~2100 年の2つの期間に分けて実施。
・ MIROC(Model for Interdisciplinary Research on Climate):東京大学・国立環境研究所・海洋研究開発機構が共同で開発を
行っている大気海洋結合気候モデル。空間解像度は約 100km。ここでは、A1B シナリオを元に計算。MIROC は世界の他の
全球気候モデルより高めに気温が予測される傾向がある。
- 85 -
2-2 積雪
長野県(中北部)と周囲の地域(日本海側)について、最大積雪深が今後どのように変化するかを予測した
(図表9・10)
。
図表9は、予測された 2030 年代の最大積雪深の平均値と観測された 1990 年代の最大積雪深の平均値との差
を示した分布図である。総じて山岳域では最大積雪深の減少量が大きい傾向が認められる。特に北アルプス北
部などの山岳域では最大 90cm もの最大積雪深の減少が予測されているところもある。
図表 10 は、1990 年代の最大積雪深の平均値に対する 2030 年代の最大積雪深の平均値の変化の割合を示して
いる。長野県内では、標高の高い場所と標高の低い平地で最大積雪深の変化の割合が小さく、両者の間となる
標高 1000m 前後の地域で最大積雪深の変化の割合が大きい。特に最大積雪深の減少率が大きいのは、北信では
標高 500~1000m 付近、中信・南信では標高 1000~1500m 付近であった。これは、気温が0度となる標高が、
県の北部で低く南部で高いことを反映していると考えられる。
図表 9 2030 年代と 1990 年代の最大積雪深差
図表 10 1990 年代に対する 2030 年代の最大積雪
深の変化の割合
2030年代と1990年代の最大積雪深差
最大積雪深の変化率(2030年代/1990年代)
増
加
増
加
富山県
長野県
減
少
日本海沿岸域における温暖化に伴
う積雪の変化予測と適応策のため
の先進的ダウンスケーリン グ手法の
開発 (代表:木村富士男)
日本海沿岸域における温暖化に伴
う積雪の変化予測と適応策のため
の先進的ダウンスケーリン グ手法 の
R ECCA 開発 (代表:木村富士男)
灰色実線・点線は等高線
灰色実線・点線は等高線
図提供: 海洋研究開発機構
減
少
図提供: 海洋研究開発機構
IPCC第4次報告書でも引用されている全球気候モデルMIROC(A2シナリオ)
による温暖化情報を用いたダウンスケーリングの結果(2030年代の気候場:
2020~2049年平均)。予測
予測の
予測の不確実性は
不確実性は考慮されていないことに
考慮されていないことに注意
されていないことに注意。
注意。
IPCC第4次報告書でも引用されている全球気候モデルMIROC(A2シナリオ)
による温暖化情報を用いたダウンスケーリングの結果(2030年代の気候場:
2020~2049年平均)。予測
予測の
予測の不確実性は
不確実性は考慮されていないことに
考慮されていないことに注意
されていないことに注意。
注意。
【出典】海洋研究開発機構
(注)独立行政法人海洋研究開発機構地球環境変動領域次世代モデルプログラム陸面課程モデリング研究チーム。本研究
は、気候変動適応研究推進プログラム RECCA(Research Program on Climate Change Adaptation)と、環境省環境研究総
合推進費S-8「温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究」の共同研究の成果である。
3
長野県への温暖化影響予測
3-1 山岳生態系
気候変動による長野県の山岳地域への影響を把握するため、研究所では、生物分布情報を用いた温暖化影響
の解析やフィールド調査をベースとした温暖化影響の把握に関する調査を行うとともに、環境省環境研究総合
推進費「S-8温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究」の他の研究機関と共同しながら山岳生態系へ
の温暖化影響予測に取り組んでいる。
- 86 -
研究テーマは、①生物分布情報を利用した温暖化影響予測・評価(希少植物及び湿原の分布、訪花昆虫)②
高地生物への温暖化影響予測・評価(高山植物・ライチョウ・開花フェノロジーとマルハナバチ・山地渓流魚
への影響)であり、現在継続中である。
3-2 森林生態系
図表 11 ブナの分布適域(長野県周辺)
3-2-1 ブナ
森林生態系のひとつの代表的な樹種
としてブナをとりあげ、長野県及びその
周辺域におけるブナの分布適域の変化
を予測した(図表 11)
。ブナの現在の実
際の分布(A)と現在の気候条件に基づ
き計算されたブナの分布(確率)(B)
を比較すると、図中の赤色の部分(分布
確率が 0.5 より大きい箇所)がほぼ現在
のブナ生育地と重なり、この条件を用い
たモデルがブナの分布をよく再現して
いることがわかる。この関係を利用して、
気候モデルの RCM20 を用いた 2031-2050
年のブナの分布適域の予測(C)と
【出典】森林総合研究所
2081-2100 年のブナの分布適域の予測
(E)、
(注) (A)実際のブナの分布、(B)~(F)は各気候条件におけるブナ分布確率の予測
別の気候モデルの MIROC による 2031-2050
年のブナの分布適域の予測(D)と 2081-2100 年のブナの分布適域の予測(F)を図に示した。RCM20 と MIROC
の両気候モデルともに時間が経過するほど、赤色の箇所が減少しており、気温上昇が進むことでブナの分布適
域が縮小し、より標高の高い部分のみが適域として残ることが予測された。このことは、現在のブナ生育域の
うち標高の低い部分は適域から外れ、今後ブナの更新が起こらなくなる(新しいブナが育たず、他の樹種へと
徐々に置き換わる)ことを意味している。
【出典】
松井哲哉, 田中信行, 八木橋勉, 小南裕志, 津山幾太郎, 高橋潔 (2009) 温暖化にともなうブナ林の適域の変化予測と影響評価.
地球環境, 14(2), 165-174,松井哲哉主任研究員・田中信行主任研究員(森林総合研究所)
3-2-2 マツ枯れ
今後、気温が上昇した場合、長野県内のマツ枯れ危険域がどのように変化するかを予測した(図表 12)
。こ
の予測では、マツ枯れ発生の原因となるマツノザイセンチュウやその媒介者であるマツノマダラカミキリの活
動が気温によって制限されるという関係を利用している。国内のマツ林では、15℃を閾値(しきい値)とする
積算気温(MB 指数:月平均気温から 15℃を引いた値を毎月求め、それがプラスとなる月の値を合計して求め
られる)を用いてマツ枯れリスクの高い地域を推定することが出来る 1)。
計算に使用した気温データは、気象庁が作成した「メッシュ気候値 2000」の1km メッシュの月平均気温で
ある。
「現在」の分布域は、メッシュ気候値 2000 の気温(1971 年~2000 年の平均値)を利用して MB 指数を計
- 87 -
算し、「+1℃」~「+6℃」の図はそれぞれ「現在」から月平均気温が1℃~6℃単純に上昇したと仮定して
MB 指数を計算している。
MB 指数とマツ枯れの危険度の関係は、MB 指数が 19 未満は自然抑制域(気温が低いため、マツノザイセンチ
ュウやマツノマダラカミキリの活動が抑制されている領域)、MB 指数が 19 以上 22 未満は移行域(場所により
マツ枯れが起こり始める領域)、MB 指数が 22 以上は危険域(マツ枯れが発生する危険性が高い領域)となって
いる。「現在」では県内の平地とその縁辺部に限られるマツ枯れ危険域が、気温が上昇するにつれより標高の
高い場所へ広がるという予測結果となった。平均気温が 6℃上昇すると県内の標高約 1700m 未満の地域は、ほ
ぼ全域がマツ枯れ危険域になると予測される。
図表 12 マツ枯れ危険域の予測(長野県)
※予測結果利用上の注意点
県内の全メッシュがマツ枯れの自然
抑制域・移行域・危険域のいずれかに分
類されているが、実際にはマツが生育し
ていない場所も含まれている。本図は、
気象庁のメッシュ気候値 2000 による現
状の気候データ(1971~2000 年の平均
値)を利用して作成されており、水平解
像度は約1km である。
なお、本図は気温条件からみたマツ枯
れ危険域の推移の予測図であり、無降水
期間などの条件は考慮されていない。ま
た、マツ枯れの移行域・危険域に入ると
即座にマツ枯れが発生するのではなく、
マツノマダラカミキリが媒介したマツノ
ザイセンチュウがマツの個体内に侵入し
なければマツ枯れは発生しない。
【出典】森林総合研究所
【出典】
MB 指数による温暖化時の長野県の松枯れリスクの評価,大丸裕武・中村克典(2008)マツ枯れ.地球温暖化「日本への影響」-最新の科学的
知見-, 温暖化影響総合予測プロジェクトチーム, 環境省地球環境研究総合推進費 S-4 報告書, p.28 を改変
3-3 産業
3-3-1 スキー産業への影響
地球温暖化による積雪深への影響予測(図表9・10)の結果は、長野県のスキー産業にとって気候変動が
懸念材料となりうることを示唆している。たとえば、2030 年代に県内のほとんどの地域で最大積雪深が現在
より 15~30%程度減少することや、県内では南部で最大積雪深の減少率が高めになる傾向があることなどで
ある。
- 88 -
3-3-2 農業への影響(リンゴの生育適地の変化)
長野県内におけるリンゴの生育適地がどのように変化するかについて予測を行なった(図表 13)
。
1)リンゴ生育適地の変化
(a)は、リンゴ栽培農家の分布(2000 年農林業センサス、2000 年時点のリンゴ栽培農家数、旧市区町村
単位)であり、図の赤が濃いほど栽培農家数が多いことを示している。
(b)は、下記2)のリンゴ生育適地
に関する気温条件を適用して推定されたリンゴ生育適地(1981~2000 年時点)の分布である。この推定には、
農林水産省の農業環境技術研究所が開発したアメダスメッシュ化データを利用した。
(c)および(d)は、
気候モデル(MIROC、A1B シナリオ)を利用した将来のリンゴ生育適地の予測であり、
(c)は 2031~2050 年代、
(d)は 2081~2100 年代における適地の予測結果となっている。予測では、今世紀末の気温上昇量が概ね4℃
以上になると、現在の場所において現状のリンゴ品種・栽培方法で現状の品質を維持することが難しくなるこ
とを意味している。ただし、予測に用いた気候モデル(MIROC)は、世界の他の全球気候モデルより気温が高
めに計算される傾向があることには注意する必要がある。
2)リンゴの生育適地に関する気象条件
図表 13 リンゴ栽培適域の将来予測(長野県)
【出典】埼玉県環境科学国際センター、長野県環境保全研究所
(注) 高い経済成長が続くシナリオ(A1B)を基に、気温上昇量が比較的大きいモデルにより予測。
生育適地の予測は、果樹指導指針(長野県・全国農業協同組合連合会長野県本部, 2006)で示された長野県
のリンゴの生育適地の気温条件に基づき行った。果樹の栽培条件としては、気温以外の気象要素や地形・土壌
などの条件も関係するが、上記文献では気温以外の気象要素に関する定量的な記述がないため、今回の予測は
気温条件のみで行っている。
- 89 -
資料3 「長野県環境エネルギー戦略」位置付け
法律
条例
環境教育等による環境保全の
取組の促進に関する法律
環境基本法
長野県環境基本条例
地球温暖化対策の推進に
関する法律
長野県地球温暖化対策条例
長野県総合5か年計画
策 定
義 務
基本
計画
長野県環境基本計画
長野県環境エネルギー戦略
~第三次 長野県地球温暖化防止県民計画~
連携
長野県ファシリティ
マネジメント基本方針
環境保全のための
「長野県職員率先実行計画」
長野県水環境保全総合計画
長野県「水循環・資源循環
のみち2010」構想
生物多様性ながの県戦略
長野県廃棄物処理計画
長野県ものづくり
産業振興戦略プラン
長野県食と農業農村
振興計画
長野県森林づくり指針
長野県住生活基本計画
長野県新総合交通ビジョン
都市計画区域マスタープラン
関連
計画
- 90 -
資料4 「長野県環境エネルギー戦略」策定経過
1 審議等経過
年 月 日
会
議
内
容
長野県環境審議会
・新制度構築について(諮問)
[県民計画の改定・条例の改正]
・専門委員による調査、検討を決定
地球温暖化対策
専門委員会(第1回)
・委員長及び副委員長の選任
・長野県地球温暖化対策戦略検討会か
らの提言及び論点
・今後の検討スケジュール
・全委員によるプレゼンテーション
建築TF[タスクフォース]
(第1回)
・制度改正による論点(対象・評価ツール
等)の検討
産業・業務TF(第1回)
・新制度対象者、目標設定及び削減対
策の検討
自然エネルギーTF
(第1回)
・自然エネルギー導入目標、年度目標等
の検討
6月14日
家庭・適応策TF
(第1回)
・新制度(家庭の省エネ診断)の検討及
び整理
6月15日
ステークホルダー会議
(第1回)
・長野県地球温暖化対策戦略検討会か
らの提言書(10のポイント)
・各団体からの意見、質疑
6月21日
企画TF(第1回)
・第2回専門委員会に提案する論点(名
称・期間・体系等)の検討及び整理
7月13日
企画TF(第2回)
・第2回専門委員会に提案する論点(目
標・指標・交通対策等)の検討及び整理
産業・業務TF(第2回)
・新制度及び協定制度の骨子の検討
自然エネルギーTF
(第2回)
・自然エネルギー(電気・熱)導入目標、
政策手法のマトリクス分析の検討
建築TF(第2回)
・エネルギー性能評価制度及び自然エネ
ルギー導入検討制度の骨子の検討
地球温暖化対策
専門委員会(第2回)
・論点(名称・目標・新制度等)の検討
8月22日
建築TF(第3回)
・建築物の性能を評価する指標の検討
8月23日
産業・業務TF(第3回)
・新制度の詳細事項の検討
地球温暖化対策
専門委員会(第3回)
・計画中間報告案について
・条例改正の主要事項骨子案について
2012(平成24)年
4月24日
6月1日
6月11日
備
6月13日
7月18日
7月19日
8月3日
9月7日
- 91 -
開催地:松本市
考
年 月 日
会
9月13日
長野県環境審議会
9月24日
~11月2日
議
県民意見募集
(パブリックコメント)
内
容
備考
・新制度構築について(中間報告)
[新計画(案)・条例改正骨子(案)]
36 件
・長野県環境エネルギー戦略
「12のポイント」
・出席者からの意見、質疑
10月12日
地域懇談会
(諏訪地区)
10月16日
地域懇談会
(上小地区)
〃
出席者:37 名
10月17日
地域懇談会
(長野地区)
〃
出席者:30 名
10月18日
地域懇談会
(木曽地区)
〃
出席者:23 名
開催地:長野市
出席者:30 名
出席者:36 名
10月19日
ステークホルダー会議
(第2回)
・長野県環境エネルギー戦略
「12のポイント」
・新制度(事業活動、建築物、家庭)につ
いて
・各団体からの意見、質疑
10月22日
地域懇談会
(松本地区)
・長野県環境エネルギー戦略
「12のポイント」
・出席者からの意見、質疑
10月23日
地域懇談会
(大北地区)
〃
出席者:27 名
10月24日
地域懇談会
(北信地区)
〃
出席者:29 名
10月26日
地域懇談会
(上伊那地区)
〃
出席者:25 名
10月30日
地域懇談会
(佐久地区)
〃
出席者:30 名
10月31日
地域懇談会
(下伊那地区)
〃
出席者:28 名
11月8日
建築TF(第4回)
・エネルギー性能検討制度及び自然エネ
ルギー導入検討制度の骨子修正案の検
討
12月21日
地球温暖化対策
専門委員会(第4回)
・計画最終報告案について
・条例改正主要事項(案)について
長野県環境審議会
1月15日
・新制度構築について(答申案)
[新計画(案)・条例改正主要事項(案)]
1月24日
・環境審議会会長から知事へ答申
2013(平成25)年
- 92 -
2 検討体制
知事
諮問
答申
環境審議会
ステークホルダー会議
(35団体参加)
設置
報告
地球温暖化対策
専門委員会
地域懇談会
(県内10ヶ所開催)
意見
詳細検討
案提示
パブリックコメント
(9/24~11/2)
タスクフォース
3 長野県環境審議会 地球温暖化対策専門委員会
氏 名
一方井 誠治
所 属 ・ 職 等
武蔵野大学 環境学部 教授
【委員長】
高木 直樹
信州大学 工学部 教授
【副委員長】
青木 和壽
有限会社 和建築設計事務所 代表取締役
今泉 太爾
一般社団法人 日本エネルギーパス協会 理事
歌川 学
独立行政法人 産業技術総合研究所 主任研究員
大林 ミカ
公益財団法人 自然エネルギー財団 ディレクター
田中 克己
飯田市 地球温暖化対策課 課長補佐
並木 光行
信州大学 工学部 教授〈特定雇用〉
宮入 賢一郎
自然エネルギー信州ネット 事務局長
宮下 正一
社団法人 長野県建築士会 理事
桃井 貴子
特定非営利活動法人 気候ネットワーク 東京事務所 スタッフ
山下 紀明
特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所 主任研究員
- 93 -
(五十音順・敬称略)
4 長野県環境審議会地球温暖化対策専門委員会 タスクフォース
部
門
企画
産業・業務
建築
家庭・適応策
自然エネルギー
自給戦略
議 事 内 容 等
県:環境部(環境政策課・温暖化対策課)
オブザーバー:一方井 委員長/高木 副委員長
県:環境部(温暖化対策課)/商工労働部(産業政策課)
オブザーバー:歌川 委員/桃井 委員/山下 委員
県:環境部(温暖化対策課)/林務部(県産材利用推進室)/建設部(住宅課・建築指導課)
オブザーバー:高木 副委員長/青木 委員/今泉 委員/宮下 委員/山下 委員
県:環境部(環境政策課・温暖化対策課・環境保全研究所)
オブザーバー:歌川 委員/並木 委員/宮入 委員/桃井 委員
県:環境部(温暖化対策課)/農政部(農地整備課)/林務部(県産材利用推進室)
オブザーバー:大林 委員/田中 委員/宮入 委員/山下 委員
5 長野県地球温暖化対策ステークホルダー会議 参加団体
(五十音順)
特定非営利活動法人いいだ自然エネルギーネット山法師・特定非営利活動法人上田市民エネルギー
自然エネルギー信州ネット・信州気候フォーラム・諏訪湖クラブ
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン・NPO地域づくり工房・中部電力株式会社長野支店
一般社団法人長野県LPガス協会・長野県ガス協会・一般社団法人長野県環境保全協会
社団法人長野県経営者協会・社団法人長野県建設業協会・社団法人長野県建築士会
一般社団法人長野県建築士事務所協会・長野県工務店協会・社団法人長野県産業環境保全協会
一般社団法人長野県自動車販売店協会・一般社団法人長野県商工会議所連合会・長野県商工会連合会
長野県小水力利用推進協議会・長野県消費者団体連絡協議会・長野県石油商業組合・長野県タクシー協会
社団法人長野県宅地建物取引業協会・長野県地中熱利用促進協議会・長野県中小企業団体中央会
長野県電機商業組合・社団法人長野県トラック協会・公益社団法人長野県バス協会・長野県弁護士会
長野県旅館ホテル組合会・日本労働組合総連合会長野県連合会(連合長野)
特定非営利活動法人みどりの市民・特定非営利活動法人南信州おひさま進歩
- 94 -
資料5 目標の設定・算出根拠及び将来推計
1 基本目標
(1)デカップリング
基本目標「持続可能で低炭素な環境エネルギー地域社会をつくる」の意味として、第3部で提示している
「経済は成長しつつ、温室効果ガス総排出量とエネルギー消費量の削減が進む経済・社会構造」は「デカッ
プリング」と呼ばれる。政府資料は、次のように説明している。
これまでの社会では、経済成長に比例してエネルギー消費も増えるとされてきました。企業活動が活発になり、生活
が豊かで便利になれば、電力やガスをたくさん使うのはもっともなように思われます。
デカップリングとは、これに対して一定の経済成長や便利さを維持しつつも、エネルギー消費を減らしていく、即ち
両者を「切り離す」という考え方です。 例えば、資源の再利用・循環利用を行う、エネルギー多消費の産業構造を改
める、これまでにない手法で省エネすることにより、デカップリングは可能です。
ドイツでは、過去 20 年の間、日本以上に高い経済成長を続けつつ、一次エネルギー消費や温室効果ガスを減らして
います。再生可能エネルギーの導入やコジェネによる地域熱供給体制の構築、住宅の断熱化などにより、関連雇用を大
幅に増やしつつ、エネルギー効率を高めてきました。
日本は世界で最も省エネが進んでいると言われてきましたが、エネルギー消費が増え続けてきたことも事実です。し
かし、日本でもここ数年デカップリングの傾向が出始めているという指摘もあります。
デカップリングの実現は、社会の仕組みを変え、経済成長のあり方を改めることに繋がり、グリーンエネルギー革命
の一断面といえるでしょう。 (内閣官房国家戦略室「始めようグリーンエネルギーの社会」ホームページより引用)
(2)欧州におけるデカップリング
デカップリングは、ドイツだけでなく、欧州全体に共通した傾向である。図表1は、EU(欧州連合)の中
の西欧 15 ヶ国(27 ヶ国のうち旧東欧 10 ヶ国および京都議定書で途上国扱いのキプロス、マルタ2ヶ国、計
12 ヶ国を除く。
)の経済成長(GDP)と温室効果ガス排出量を合算して、指数化したものである。EU は 2012
GDP,温室効果ガス(1990年=1)
年までの8%目標をこの 15 ヶ国の共同で達成するもの。
1.5
1.4
1.3
1.2
1.1
1.0
図表1 欧州 15 ヶ国のデカップリング
0.9
0.8
歌川 学(地球温暖化対策専門委員)氏 作成
1990 1995 2000 2005 2010
温室効果ガス
GDP
この背景には、①排出量取引制度や環境税、固定価格買取制度等の効果的な地球温暖化対策・環境エネル
ギー政策の導入、②地球温暖化対策に伴う産業の光熱費の負担減、③省エネルギーや自然エネルギーに関連
する産業の発展、④知識産業の発展に伴う産業構造の転換があると考えられる。
(3)グリーン成長
地球温暖化対策等に伴う経済活性化は「グリーン成長」と呼ばれる。環境省や専門家、民間団体では、効果
を図表2のとおり試算している。効果の仕組みは図表3のとおり。
- 95 -
図表2 グリーン成長に係る試算例
試算者
投資額
経済波及効果
雇用効果
環境省再生可能エネルギ
試算前提
再エネを 16~18%(大
-
GDP 増加 26 兆円
59 万人
ー普及方策検討会
規模水力を含む)
藤川・下田「温暖化対策の
経済効果」中央環境審議会
-
233~287 兆円/10 年
165 万~190 万人
ロードマップ小委員会
2020 年に温室効果ガ
ス 25%削減を実現す
地球環境と大気汚染を考
る場合の試算
30.7 兆円/年(一次)
165 万人(一次)
6.5 兆円/年(二次)
50 万人(二次)
18 兆円(一次)
88 万人(一次)
22 兆円(一次・二次)
117 万人(一次・二次)水力を含む)
12.8 兆円/年
える全国市民会議
植田・梶山「国民のための
再エネを 25%(大規模
8.4 兆円/年
エネルギー原論」
36.7 万人(製造と運用
ドイツ(実績)
-
-
-
の直接雇用)
(2010)
【出典】
エネルギーシナリオ市民評価パネル「持続可能なエネルギー社会の実現のために~Ⅰ.発電の費用に関する評価報告書」(2011 年)から引用
生
対策投資で削減。
投資回収後は利益に。
用
省エネ、再 可能
エネルギーへの
対策投資が、企業
需要・雇 に(グ
リーン成長)
対策前
光熱費
対策後
光熱費
図表3 グリーン成長の仕組み
歌川 学(地球温暖化対策専門委員)氏 作成
対策をする企業
対策投資を受注する企業
(4)長野県の状況
長野県では図表4のとおり、それぞれ連動傾向があり、デカップリングの傾向は見られない。
図表4 長野県の実質 GDP、最終エネルギー消費量、CO2 排出量の推移
注:実質 GDP(百万円)は長野県「県民経済計算」
(実質。1990~95 年度は平成7暦年価格、1996 年度以降
は平成 12 暦年価格)
。両系列は接続していない。 最終エネルギー消費(TJ)は、資源エネルギー庁「都
道府県別エネルギー消費統計」の長野県分。CO2 排出量(千トン)は、長野県環境部温暖化対策課調べ。
- 96 -
2 温室効果ガス総排出量
(1)目標値
1990(H2)年度の温室効果ガス総排出量は、15,311 千 t-CO2 である。1990(H2)年度を基準とし、2020(H32)
年度には 10%、2030(H42)年度には 30%削減することを目標とした。なお、2050(H62)年度の削減目標は、
国の第四次環境基本計画(2012(H24)年 4 月 27 日閣議決定)と同様に 80%削減することとした。
図表5 温室効果ガス排出量の目標値
単位:千 t-CO2
目標年度
2020 年度
2030 年度
2050 年度
温室効果ガス排出量(削減率(%)
)
13,800
(▲10%)
10,700
(▲30%)
3,100
(▲80%)
(2)将来推計
削減対策を実施した場合と実施しない場合の将来推計は図表6のとおりである。なお、2050(H62)年度は、
試算に基づく国の将来推計値※1が存在しないため、推計を行っていない。
図表6 温室効果ガス排出量の将来推計
単位:千 t-CO2
目標年度
1990 年度
2020 年度
2030 年度
2050 年度
削減対策を実施しない場合(BAU ケース※1)
15,311
16,001
14,497
-
削減対策を実施した場合(削減率(%)
)
15,311
(0%)
14,018
(▲8%)
11,144
(▲27%)
-
(3)目標設定の考え方
1)国の目標値
国の革新的エネルギー・環境戦略(2012(H24)年9月 14 日、エネルギー・環境会議)では、温室効果
ガス排出量および最終エネルギー消費量等について 2020(H32)年、2030(H42)年の目標値が示されてい
る。長野県の目標値設定では、国の施策との整合を図るため、同戦略の算定根拠となる中央環境審議会の
資料をベースに目標値を試算した。試算にあたっては、対策・施策による国の削減量を整理し、その合計
値を「削減量」
、削減対策を実施しない場合(BAU ケース)に占める割合を「削減率」とした。
図表7 算定根拠となる中央環境審議会の資料
名
称
備
考
2013 年以降の対策・施策に関する報告書(地球温暖化対策の選択肢の
中央環境審議会第 109 回
原案について)
(平成 24 年 6 月、中央環境審議会地球環境部会)
(2012 年6月 13 日)資料
出典1
対策導入量等の根拠資料(平成 24 年6月 13 日、国立環境研究所 AIM
出典2
出典1の別冊1
プロジェクトチーム)
2013 年以降の対策・施策に関する検討小委員会における議論を踏まえ
出典3
たエネルギー消費量・温室効果ガス排出量等の見通し(平成 24 年6月
出典1の参考資料
13 日、国立環境研究所 AIM プロジェクトチーム)
2)検討ケース
中央環境審議会では、温室効果ガス排出量および最終エネルギー消費量の見通しの試算を 2020(H32)年、
2030(H42)年について行っている。その組み合わせは、マクロフレーム(2通り)
、原発比率(5通り)
、
対策・施策の強度(3通り)を想定し、30 通りである。
- 97 -
図表8 中央環境審議会による試算の組み合わせ
【出典】国立環境研究所 AIM プロジェクトチーム「2013 年以降の対策・施策に関する検討小委員会における
議論を踏まえたエネルギー消費量・温室効果ガス排出量等の見通し」
(2012 年 6 月)p.20
図表9 中央環境審議会の示した6ケース
【出典】中央環境審議会地球環境部会「2013 年以降の対策・施策に関する報告書」
(2012 年6月)
- 98 -
この試算を踏まえ、中央環境審議会は、国の目標値の原案として図表9のとおり、6ケースを示した。
この6つのケースのうち、原案2-1と原案2-2を参考に、長野県の高位・中位・低位それぞれの 2020
(H32)年及び 2030(H42)年の目標値を試算した。
・ 経済については慎重シナリオ(2011~2020 年度の平均成長率を実質 1.1%)を採用
・ 2030(H42)年の発電電力量に占める原子力発電の割合を 15%と仮定
なお、慎重シナリオの前提として用いた国のマクロフレームは、図表 10 のとおりである。
図表 10 慎重シナリオにおける国のマクロフレーム
【出典】前掲「2013 年以降の対策・施策に関する報告書」
(4)試算方法
1)削減対策を実施しない場合(BAU ケース)の温室効果ガス排出量
環境省試算の国の将来推計値※1から導いた国の BAU ケースの温室効果ガス排出量を、直近年度の国及び
県の温室効果ガス排出量の比で按分し、県の将来推計値を試算した。
長野県 CO2 排出量(目標年度 BAU)
=長野県 CO2 排出量(2008 年度)×(国 CO2 排出量(目標年度 BAU)÷国 CO2 排出量(2010 年度)
)
なお、国の BAU ケースの温室効果ガス排出量は、国が試算した温室効果ガス排出量の将来推計値を「省
エネ対策を実施した後」と考え、これに同じく「対策による削減量」※2 を加算することで試算した。
国 CO2 排出量(目標年度 BAU)
=国 CO2 排出量(目標年度)+対策による削減量(目標年度)
- 99 -
2)削減対策による削減量
環境省試算の国の削減量の将来推計値※2を、対策ごとに指標を設け、国と県の指標※3の比で按分し、長
野県の削減対策による削減量とした。
長野県削減対策による削減量(目標年度)
=Σ{国の対策ごとの削減量×(長野県の指標÷国の指標)}
① 按分に用いた指標
按分に用いた指標は、次の理由から主に総合エネルギー統計から部門ごとのエネルギー使用量を用いた。
・ 生産、活動指標で必ずしも比例按分に適当なものが得られない(生産額などでは誤差が大きい)
。
・ 対策が進み、県のエネルギー量が相対的に減少すれば、その後の当該県の国全体に対する対策分担
率は減るものとして評価でき、方向性としても一致する。
ただし、長野県の実態に近づけるため、以下の対策ではエネルギー使用量以外の指標を用いた。
・ 運輸部門(鉄道・船舶・航空)
:鉄道駅数(地域交通年報平成 17 年)
・ 代替フロン等3ガス部門 :建築着工面積(建築着工統計調査報告 2010 年)
:電子部品デバイス製造品出荷額(工業統計 2010 年)
・ 廃棄物部門:産業廃棄物の排出量(日本統計年鑑平成 20 年度)
:一般廃棄物排出量(一般廃棄物実態調査報告 2010 年)
・ 農業部門:耕地面積(日本の統計 2012 年)
② 長野県の実態に合った対策の抽出
国の目標値とその対策の効果の大きさを長野県の規模に合わせて縮小して計算した。しかし、国全体
の特性と長野県の特性とは異なり得るため、国において部門ごとに仮定した対策が、長野県の実態に適
合しているかどうかをさらに検討する必要があった。特に、以下の対策については、長野県での寄与率
が小さいと思われるため、長野県の目標値設定にあたっては、除外した。
図表 11 除外した対策
部門
産業部門
対策名
対策①エネルギー多消費産業
推計対象とする分野
鉄鋼業、セメント業、紙パルプ、石油化学
対策①マグネシウム溶解時の SF6 フ
代替フロン等3ガス部門
金属(マグネシウム、アルミニウム)生産分野
リー化
3)削減対策を実施した場合の温室効果ガス排出量
国の将来推計から試算した長野県における1)から2)を差し引き、削減対策を実施した場合の温室効
果ガス排出量とした。
長野県 CO2 排出量(目標年度)
=長野県 CO2 排出量(目標年度 BAU)-長野県削減対策による削減量(目標年度)
【出典及び参考】
※1:環境省中央環境審議会「2013 年以降の対策・施策に関する報告書(地球温暖化対策の選択肢の原案について)(2012 年6月)」
の別冊1のうち「2013 年以降の対策・施策に関する検討小委員会における議論を踏まえたエネルギー消費量・温室効果ガス
排出量等の見通し(2012 年6月 13 日、国立環境研究所 AIM プロジェクトチーム)
」に基づく慎重ケースの原発比率 15%場合
の温室効果ガス排出量
※2:前掲「2013 年以降の対策・施策に関する報告書」の別冊 1 のうち「対策導入量等の根拠資料(2012 年6月 13 日、国立環境研
究所 AIM プロジェクトチーム)
」
※3:
「総合エネルギー統計」を主とする統計データ
- 100 -
3 最終エネルギー消費量
(1)目標値
2010(H22)年度の最終エネルギー消費量は、18.6 万 TJ である。削減対策を実施した場合、2010(H22)年
度を基準とし、2020(H32)年度には 15%、2030(H42)年度には 30%削減することを目標とした。なお、2050
(H62)年度の削減目標を環境省試算の国の将来推計値※1と同様に 40%削減とした。
図表 12 最終エネルギー消費量の目標値
単位:万 TJ
目標年度
2020 年度
2030 年度
2050 年度
最終エネルギー消費量(削減率(%)
)
15.8
(▲15%)
13.0
(▲30%)
11.2
(▲40%)
(2)将来推計
削減対策を実施した場合と実施しない場合の将来推計は、図表 13 のとおりである。なお、2050(H62)年
度は、経済産業省試算の国の将来推計値※2が存在しないため、推計を行っていない。
図表 13 最終エネルギー消費量の将来推計
単位:万 TJ
目標年度
2010 年度
2020 年度
2030 年度
2050 年度
削減対策を実施しない場合(BAU ケース)
18.6
18.0
17.6
-
削減対策を実施した場合(削減率(%)
)
18.6
(0%)
15.6
(▲16%)
13.6
(▲27%)
-
(3)目標設定の考え方
目標設定の考え方は、温室効果ガス排出量と同様である。
(4)算出方法
1)削減対策を実施しない場合(BAU ケース)の最終エネルギー消費量
経済産業省試算の国の将来推計値から導いた国の BAU ケースにおける最終エネルギー消費量の増減率
(2010(H22)年度比)を、直近年度の県の最終エネルギー消費量に乗じ、県の将来推計値を試算した。
長野県最終エネルギー消費量(目標年度 BAU)
=長野県最終エネルギー消費量(2010 年度)×(1+国最終エネルギー消費量の増減率(目標年度 BAU)
)
2)削減対策による削減量
環境省試算の国の削減量の将来推計値を、対策ごとに指標を設け、国と県の指標※3の比で按分し、長野
県の削減対策による削減量とした。
長野県削減対策による削減量(目標年度)
=Σ{国の対策ごとの削減量×(長野県の指標÷国の指標)}
試算にあたっては、最終エネルギー消費量の単位を、国で試算されている「原油換算値百万 kL」から「熱
量万 TJ」に変換した。以下の対策については、最終エネルギー消費量が試算されていなかったため、CO2
排出量から排出係数を用いて、熱量を推計した。なお、按分に用いた指標と長野県の実態に合った対策の
抽出についての考え方は、温室効果ガス排出量と同様である。
- 101 -
・ 運輸部門(自動車)
:対策エコドライブ、カーシェアリング、燃料の低炭素化
・ 運輸部門(鉄道・船舶・航空) :鉄道、船舶、航空分野のエネルギー消費原単位改善
・ 代替フロン等3ガス
:すべての対策(9種類)
3)削減対策を実施した場合の最終エネルギー消費量
国の将来推計から試算した長野県における削減対策を実施しない場合(BAU ケース)の最終エネルギー消
費量から削減対策による削減量を差し引き、削減対策を実施した場合の最終エネルギー消費量とした。
長野県最終エネルギー消費量(目標年度)
=長野県最終エネルギー消費量(目標年度 BAU)-長野県削減対策による削減量(目標年度)
【出典及び参考】
※1:前掲「2013 年以降の対策・施策に関する報告書」の別冊1のうち「対策導入量等の根拠資料」
※2:総合資源エネルギー調査会基本問題委員会(第 27 回)資料5「エネルギーミックスの選択肢の原案に関する基礎データ」
(2012
年6月、資源エネルギー庁)p.16~19
※3:
「総合エネルギー統計」を主とする統計データ
4 最大電力需要
(1)目標値
2010(H22)年度の最大電力需要は、297 万 kW である。削減対策を実施した場合、2010(H22)年度を基準
とし、2020(H32)年度には 15%、2030(H42)年度には 25%、2050(H62)年度には 45%を削減することを
目標とした。
図表 14 最大電力需要の目標値
単位:万 kW
目標年度
2020 年度
2030 年度
2050 年度
最大電力需要(削減率(%)
)
252
(▲15%)
223
(▲25%)
163
(▲45%)
(2)将来推計
削減対策を実施した場合の将来推計は図表 15 のとおりである。
図表 15 最大電力需要の将来推計
単位:万 kW
目標年度
2010 年度
2020 年度
2030 年度
2050 年度
削減対策を実施した場合(削減率(%)
)
297
(0%)
254
(▲14%)
221
(▲25%)
170
(▲43%)
(3)目標設定の考え方
最大電力需要の削減については、国で試算された目標値等はない。このため、東日本大震災後の中部電力
管内における最終エネルギー消費量及び最大電力需要の節電実績(平成 23 年)を用いて、試算した最終エネ
ルギー消費量から最大電力需要の目標値を試算した。その際の前提条件は次のとおりである。
前提1:
「長野県・最大電力需要の削減目標」を「中部電力・平成 23 年の節電」と同程度と仮定
前提2:
「長野県・最終エネルギー消費量のうち、電気による削減率」と「長野県・電力需要量の削減率」
を近似値と仮定
前提3:
(長野県・最終エネルギー消費量(電気)の基準年度比)
:
(長野県・最大電力需要の基準年度比)
=(節電後の中部電力・電力需要量の前年度比)
:
(節電後の中部電力・最大電力需要の前年度比)
- 102 -
(4)算出方法
1)削減対策を実施した場合の最大電力需要
① 平成 23 年中部電力管内での節電実績を整理
中部電力提供データより平成 23 年および平成 22 年の実績値を用いて、電力需要量および最大電力需要
について、それぞれ前年度比を求めた。
前年度比 =1- 削減率
=1- (平成 23 年実績値 / 平成 22 年実績値)
② 長野県の最大電力需要の基準年度比を試算
前提3より、長野県の最大電力需要の基準年度比は以下のように試算した。
長野県・最大電力需要の基準年度比
=(長野県・最終エネルギー消費量(電気)の基準年度比)
×(節電後の中部電力・最大電力需要の前年度比)÷(節電後の中部電力・電力需要量の前年度比)
③ 長野県の「最大電力需要」および「最大電力需要の削減率」を試算
基準年度の最大電力需要 297 万 kW に削減率をかけることで試算した。
長野県・最大電力需要
=(長野県・基準年度の最大電力需要)×(長野県・最大電力需要の基準年度比)
長野県・最大電力需要の削減率
=(長野県・最大電力需要の基準年度比) - 1
5 自然エネルギー発電設備容量
(1)目標値
これまでの導入量、増加率及び FIT 導入後の計画検討状況やポテンシャル等を踏まえて、2020(H32)年度
の目標値を推計した。
(2010(H22)年度の最大電力需要の 10%)その他は、2030(H42)年度に向けては同率
の 20%、2050(H62)年度には 30%とし、自然エネルギー発電設備容量を拡大していく目標とした。
図表 16 自然エネルギー発電設備容量の目標値
単位:万 kW
目標年度
2020 年度
2030 年度
2050 年度
自然エネルギー発電設備容量の目標
30
60
90
- 103 -
図表 17 自然エネルギー発電設備容量の目標イメージ
(万kW)
100
90万kW
対2010年度増加率 800%
太陽光発電
90
小水力発電
80
59.5万kW
バイオマス発電
その他
70
60万kW
対2010年度増加率 500%
太陽光発電
60
47.0万kW
50
30万kW
対2010年度増加率 200%
40
30
14.1万kW
小水力発電
25.1万kW
20
9.9万kW
5.2万kW
10.8万kW
バイオマス発電
0.0万kW
10
5.7万kW
1.2万kW
3.2万kW
0.64万kW
0
2010
(H22)
[基準年度]
2020
(H32)
[短期目標]
その他
2030
(H42)
[中期目標]
2050
(H62)
[長期目標]
(年度)
(2)目標値の内訳
1)太陽光発電
これまでの住宅用太陽光発電の導入傾向、メガソーラーの検討状況やポテンシャル等を踏まえて、目標
値とした。
図表 18 太陽光発電設備容量の目標値
単位:万 kW
目標年度
2010 年度
自然エネルギー(電気)の導入目標
2020 年度
9.9
25.1
2030 年度
2050 年度
47.0
59.5
2)小水力発電
FIT 導入後の小水力発電の検討状況、開発のリードタイム※1、ポテンシャル等を踏まえて、2020(H32)
年度の目標値を設定した。2050(H62)年度の目標値は、環境省試算の長野県における導入可能量※2とした。
また、2030(H42)年度の目標値は、2020(H32)年度と 2050(H62)年度の目標値を線形補間し設定した。
なお、既存水力発電の 163.3 万 kW は目標には含めないこととした。
図表 19 小水力発電設備容量の目標値
単位:万 kW
目標年度
2010 年度※
自然エネルギー(電気)の導入目標
2020 年度
0
1.2
2030 年度
5.2
2050 年度
14.1
※既存の小水力発電設備容量を目標に含めないため。
3)バイオマス発電
FIT 導入後のバイオマス発電の検討状況、資源ポテンシャル等を踏まえて、2020(H32)年度の目標を設
定した。環境省試算の国の目標値※3を、国と県のバイオマス有効利用熱量※4の比で按分し、2050(H62)年
度の目標値とした。2020(H32)年度と 2050(H62)年度の目標値を線形補間し、2030(H42)年度の目標を
設定した。
- 104 -
図表 20 バイオマス発電設備容量の目標値
単位:万 kW
目標年度
2010 年度
自然エネルギー(電気)の導入目標
2020 年度
0.64
2030 年度
3.2
2050 年度
5.7
10.8
4)風力発電
環境省試算の長野県における導入可能量を 2050(H62)年度の目標値とした。また、風力発電設備の稼働
までのリードタイムを5年間※5として、2017(H29)年度からの普及を見込み、2050(H62)年度目標値か
ら線形補間した。
図表 21 風力発電設備容量の目標値
単位:万 kW
目標年度
2010 年度
自然エネルギー(電気)の導入目標
2020 年度
0.0653
2030 年度
0.5
2050 年度
1.6
4.0
5)地熱発電
環境省試算の長野県における導入可能量を 2050(H62)年度の目標値とした。また、地熱発電の稼働まで
のリードタイムを 10 年間※6として、2022(H34)年度からの普及を見込み、2050(H62)年度目標値から線
形補間した。
図表 22 地熱発電設備容量の目標値
単位:万 kW
目標年度
2010 年度
自然エネルギー(電気)の導入目標
2020 年度
0
2030 年度
0
2050 年度
0.3
0.9
6)温泉熱発電
独立行政法人産業技術総合研究所の調査資料※7を基に推計した長野県内の導入可能量を 2050(H62)年
度の目標値とした。2030(H42)年度の目標値は、温泉熱発電の稼働までのリードタイムを 10 年として、
2022(H34)年度から 2050(H62)年度までを線形補間し、算出した。
図表 23 温泉熱発電設備容量の目標値
単位:万 kW
目標年度
2010 年度
自然エネルギー(電気)の導入目標
2020 年度
0
2030 年度
0
0.2
2050 年度
0.7
【出典及び参考】
※1:
「地域密着型 小水力発電事業の進め方」
(長野県、http://www.pref.nagano.lg.jp/kankyo/ondanka/23jikyu-community-model/
jikyu-community.htm)を参考に設定。
※2:
「平成 22 年度 再生可能エネルギーポテンシャル調査報告書」
(2011 年4月、環境省)に記載のある FIT 単価 20 円で 20 年間(地
熱のみ 15 年間)買取シナリオの導入可能量。
※3:環境省中央環境審議会「2013 年以降の対策・施策に関する検討小委員会の 2012 年4月 19 日の参考資料6」のデータ。
※4:
「NEDO バイオマス賦存量・有効利用可能量の推計」
(http://app1.infoc.nedo.go.jp/biomass/biomas/download/index.html)
のデータ(2012 年 11 月時点)
。
※5:民間企業の事例を参考に設定した。
※6:
「日本・アイスランド地熱エネルギーフォーラム 2010 資料」
(2010 年 11 月、日本地熱開発企業協議会)
※7:
「日本温泉・鉱泉分布図及び一覧(第2版)
(CD-ROM 版)
」
(平成 17 年3月、独立行政法人産業技術総合研究所)のデータ
- 105 -
6 自然エネルギー熱(太陽熱等)の導入目標
(1)目標値
目標値は、太陽熱、バイオマス熱、温泉熱、地中熱、雪氷熱の目標値を合算し、2020(H32)年度、2030(H42)
年度及び 2050(H62)年度の目標値を設定した。なお、2050(H62)年度の導入目標値は、以下の合算値に相
当するものとした。
・ 2010(H22)年度の長野県の産業部門における石油燃料・ガス消費量の 50%を低温熱利用とし、この
50%を自然エネルギーで賄う。
(石油燃料・ガス消費量の 25%)
・ 2010(H22)年度の長野県の家庭部門と民生業務部門における低温熱利用の 50%
図表 24 熱利用の目標値
単位:万 kL(原油換算)
目標年度
2010年度
自然エネルギー(熱)の導入目標
2020年度
2
2030年度
14
2050年度
26
50
(2)目標値の内訳
1)太陽熱
経済産業省の試算値※1より算出した県内のポテンシャルや導入状況を勘案し、2050(H62)年度の目標値
を設定した。2020(H32)年度、2030(H42)年度の目標値は、今後の導入見込量や他の自然エネルギー熱
(バイオマス熱・地中熱・温泉熱・雪氷熱)の目標値を参考に算出した。
図表 25 太陽熱の目標値
単位:万 kL(原油換算)
目標年度
2010 年度
自然エネルギー(熱)の導入目標
2020 年度
1.0
5.8
2030 年度
2050 年度
10.4
20.1
2)バイオマス熱
環境省試算の国の目標値※2を、国と県のバイオマス有効利用熱量※3の比で按分し、県の目標値とした。
この按分で 2050(H62)年度の目標値を設定し、基準年度と 2050(H62)年度を線形補間し、2020(H32)
年度、2030(H42)年度の目標値を設定した。
図表 26 バイオマス熱の目標値
単位:万 kL(原油換算)
目標年度
自然エネルギー(熱)の導入目標
2010 年度
2020 年度
1.0
6.5
2030 年度
2050 年度
12.0
22.9
3)地中熱
環境省試算の国の目標値を、国と県の新築建物の比で按分(戸建は戸数、事務所・店舗・病院・診療所
は床面積※4)し、県の目標値とした。この按分で 2020(H32)
、2030(H42)
、2050(H62)年度の目標値を
設定した。
図表 29 地中熱の目標値
単位:万 kL(原油換算)
目標年度
2010 年度
自然エネルギー(熱)の導入目標
2020 年度
0
- 106 -
0.12
2030 年度
0.23
2050 年度
0.43
4)温泉熱
独立行政法人産業技術総合研究所の調査資料※5と総務省試算※6の条件値を参考として推計した、長野県
内の導入可能量を県の 2050(H62)年度の目標値とした。2020(H32)年度、2030(H42)年度の目標値は、
2010(H22)年度を基準に 2050(H62)年度の目標値を線形補間し、算出した。
図表 27 温泉熱の目標値
単位:万 kL(原油換算)
目標年度
2010 年度
自然エネルギー(熱)の導入目標
2020 年度
0
2030 年度
1.6
2050 年度
3.3
6.5
5)雪氷熱
総務省試算※6による長野県内の導入可能量を県の 2050(H62)年度の目標値とした。2020(H32)年度、
2030(H42)年度の目標値は、2010(H22)年度を基準に 2050(H62)年度の目標値を線形補間し、算出した。
図表 28 雪氷熱の目標値
単位:万 kL(原油換算)
目標年度
2010 年度
自然エネルギー(熱)の導入目標
2020 年度
0
2030 年度
0.01
2050 年度
0.03
0.06
【出典及び参考】
※1:
「平成 22 年度新エネルギー等導入促進基礎調査事業(太陽光発電及び太陽熱利用の導入可能量に関する調査)
」
(平成 23 年2月
経済産業省)
※2:前掲「2013 年以降の対策・施策に関する検討小委員会の 2012 年4月 19 日の参考資料6」のデータ。
※3:
「NEDO バイオマス賦存量・有効利用可能量の推計」
(http://app1.infoc.nedo.go.jp/biomass/biomas/download/index.html)
のデータ(2012 年 11 月時点)
。
※4:
「建築着工統計調査報告 時系列一覧 年度計 平成 23 年分 【建築物】構造別・用途別 都道府県別」
(http://www.mlit.go.j
p/sogoseisaku/jouhouka/sosei_jouhouka_tk4_000002.html)
※5:
「日本温泉・鉱泉分布図及び一覧(第2版)
(CD-ROM 版)
」
(平成 17 年3月、独立行政法人産業技術総合研究所)
※6:
「再生可能エネルギー資源等の賦存量等の調査についての統一的なガイドライン」
(平成 23 年3月 緑の分権改革推進会議(総
務省)
)
7 自動車対策による化石燃料削減の目標
(1)自動車対策による目標値
環境省試算の自動車対策による国の CO2 削減率※1を、県内の自動車で使用される燃料使用量※2・※3と掛け合
わせ、県の目標値とした。
図表 30 自動車対策による化石燃料削減の目標値
単位:万 kL(原油換算)
項目
2010年度※
2020年度
2030年度
2050年度
保有台数減+燃費向上
0
25
42
63
次世代自動車普及
0
11
19
21
バイオエタノール普及
0
0
1.752
1.752
※:2010 年度は基準年度のため0となる。
- 107 -
【出典及び参考】
※1:
「次世代自動車普及戦略」
(2009 年 5 月、環境省 次世代自動車普及戦略検討会)
※2:
「自動車輸送統計・自動車燃料消費量統計年報 第 48 巻第 13 号平成 22 年度分」
(国土交通省 http://www.mlit.go.jp/k-touke
i/jidousya/jidousya.html)
※3:
「自動車保有台数統計データ(2009 年3月末)
」
(一般社団法人自動車検査登録情報協会 http://www.airia.or.jp/number/inde
x.html)
(2)バイオディーゼル普及の目標値
環境省の資料における国の増加率目標※1を、長野県に適用し、目標値を設定した(長野県も同じ増加率で
増えるとした)
。
図表 31 バイオディーゼル普及の目標値
単位:万 kL(原油換算)
項目
2010年度
バイオディーゼル普及
2020年度
0.006
2030年度
0.016
2050年度
0.026
0.045
【出典及び参考】
※1:
「輸送用エコ燃料の普及拡大について」
(2006 年5月 環境省エコ燃料利用推進会議 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/bi
ofuel/index.html)
8 自然エネルギー導入量の目標
(1)目標値
自然エネルギー及び既存水力発電を合わせた再生可能エネルギー導入量の目標値は図表 32 のとおり。供給
量の目標値を求めるにあたり、電気は設備容量の目標値から発電量を求め、単位をジュールに換算した。ま
た、熱と自動車燃料も目標値が原油換算のため、単位をジュールに換算した。
図表 32 自然エネルギー導入量の目標値
単位:TJ
分類
2010年度
電気
熱
自動車燃料
合
計
(TJ)
40,000
2020年度
2030年度
2050年度
10,428
11,932
14,406
18,412
775
5,438
10,062
19,376
2
6
689
696
11,205
17,376
25,157
38,484
図表 33 自然エネルギー導入量の目標イメージ
対2010年度増加率
243.5%
電気
35,000
熱
18,412TJ
30,000
自動車燃料
対2010年度増加率
124.5%
電気
25,000
14,406TJ
対2010年度増加率
55.1%
20,000
19,376TJ
15,000
11,932TJ
10,000
熱
10,428TJ
10,062TJ
5,000
5,438TJ
自動車燃料
775TJ
689TJ
696TJ
6TJ
0
2TJ
2010
(H22)
[基準年度]
2020
(H32)
[短期目標]
2030
(H42)
[中期目標]
2050
(H62)
[長期目標]
(年度)
- 108 -
(2)目標値の内訳
1)電気
再生可能エネルギー年間発電量は、設備容量の目標値に利用率を乗じて算出した。年間導入量は、図表
34 のとおり。また、年間導入量の算出に必要な設備容量の目標値は図表 35、利用率は図表 36 のとおり。
図表 34 自然エネルギー(及び既存一般水力発電)導入量
単位:TJ
分類
太陽光発電
小水力発電
バイオマス発電
風力発電
地熱発電
温泉熱発電
既存小水力
既存一般水力
合
計
2010年度
2020年度
375
0
161
5
0
0
5,804
4,082
952
246
807
37
0
0
5,804
4,082
2030年度
1,783
1,066
1,438
119
66
44
5,804
4,082
10,428
11,932
14,406
2050年度
2,257
2,890
2,725
297
199
155
5,804
4,082
18,412
※小数点以下第1位まで計算しているため、合計とは一致しない。
図表 35 自然エネルギー(及び既存一般水力発電)発電設備容量の目標値
単位:万 kW
分類
太陽光発電
小水力発電
バイオマス発電
風力発電
地熱発電
温泉熱発電
既存小水力
既存一般水力
2010年度
9.88
0
0.64
0.0653
0
0
95.88
67.45
2020年度
25.1
1.2
3.2
0.5
0
0
95.88
67.45
2030年度
47.0
5.2
5.7
1.6
0.3
0.2
95.88
67.45
2050年度
59.5
14.1
10.8
4
0.9
0.7
95.88
67.45
図表 36 自然エネルギー(及び既存一般水力発電)発電設備の利用率
分類
利用率
単位
根拠資料
kWh/kW
A
太陽光発電
1053.9
小水力発電
65
%
B
バイオマス発電
80
%
C
風力発電
23.5
%
B
地熱発電
70
%
D
既存小水力発電
1681.4
kWh/kW
E
既存一般水力発電
1681.4
kWh/kW
E
備考
風速条件 6.5(m/s)
理論設備利用量 27.5(%)
利用可能率 0.95
出力補正係数 0.90
【根拠資料】
A:
「都道府県別 kW 当たりの年間発生電力量(1995 年4月~2005 年3月)
」
(財団法人新エネルギー財団)
B:
「平成 22 年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」
(2011 年4月、環境省)
C:前掲「2013 年以降の対策・施策に関する検討小委員会の 2012 年4月 19 日の参考資料 6 のデータ」
D:
「日本・アイスランド地熱エネルギーフォーラム 2010 資料」
(2010 年 11 月、日本地熱開発企業協議会)
(http://www.chikaikyo.com/news/index.html#101116)
E:
「電力調査統計」
(経済産業省 資源エネルギー庁 http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/denryoku/result-2.htm)
より、次の式で算出。
[中部電力の水力発電の発電実績(年間)
]÷[水力 許可最大出力]の 10 年間平均
- 109 -
2)熱
自然エネルギー熱利用量の目標値は、図表 37 のとおり。なお、図表 25~28 の目標値(万 kL)を熱量(TJ)
に単位換算(0.00258 で除算)したもの。
図表 37 自然エネルギー熱利用量
単位:TJ
目標年度
2010年度
2020年度
2030年度
2050年度
太陽熱利用の導入目標
387.6
2,248.1
4,031.0
7,790.7
バイオマス熱利用の導入目標
387.6
2,519.3
4,651.1
8,875.9
地中熱利用の導入目標
0
46.5
89.1
166.7
温泉熱利用の導入目標
0
620.2
1,279.1
2,519.4
雪氷熱利用の導入目標
0
3.9
11.6
23.3
775
5,438
10,062
19,376
合
計
3)自動車燃料
自然エネルギーによる自動車燃料用量の目標値は、図表 38 のとおり。なお、図表 30 及び 31 の目標値(万
kL)を熱量(TJ)に単位換算(0.00258 で除算)したもの。
図表 38 自然エネルギー自動車燃料利用量
単位:TJ
目標年度
2010年度
2020年度
2030年度
2050年度
バイオエタノール普及
0
0
679.1
679.1
バイオディーゼル普及
2.3
6.2
10.1
17.4
2
6
689
697
合
計
- 110 -
〈補足〉シェール革命の影響
本計画は、第2部で示しているとおり、化石燃料等の国際エネルギー価格が中長期的に高騰傾向にあることを前
提にしている。この前提は、北米大陸等におけるシェール革命の影響を考慮したものである。
1 IEA(国際エネルギー機関)による「世界エネルギー見通し(World Energy Outlook=WEO)2012 年版」※1によ
ると、化石燃料価格予測値は、昨年版の WEO2011 に比較して大部分で上昇している。特に、直近の上昇率が大
きい。
「新政策シナリオ」の場合、実質・名目ともに、全ての年度で予測値が上昇すると考えられる(図表 39
参照)
。
2 日本の天然ガス輸入価格予測の実質値は、2011 年から見て 2035 年まで横ばいになっている。これは、2011
年の日本の天然ガス(LNG)輸入価格が 35%値上がりしたため、
「今後価格がゆるやかに減少傾向」と見るより
も、
「2011 年に急騰した価格が高止まりする予想」と見るのが妥当と考えられる。石炭の輸入価格予測の実質
値が 2011 年比で下がっていることについても同様。
3 日本と欧州と天然ガス将来価格予測は、昨年に比較して大半のシナリオで上昇している。このことから、日本
や欧州にシェール革命が波及し、天然ガスの価格が下がるとは、IEA は特段の予測をしていない※2。シェール
革命による価格低下効果が仮にあるとしても、在来型ガス田起源の天然ガス国際市場の値上がり傾向を転じさ
せるほどの影響を与えるとまでは、IEA は見ていないと考えられる。
図表 39 IEA 新政策シナリオの燃料価格予測値
年
2010
原油(IEA 諸国共通)
2011
78.1
2015
2020
2025
2030
2035
102.0
108.6
113.6
117.3
120.0
(114.3)
(136.4)
116.0
119.5
(127.0)
(146.7)
12.2
12.9
13.4
13.9
14.3
(13.7)
(16.2)
(18.9)
(21.9)
(25.2)
15.0
14.3
14.5
14.7
14.8
(16.4)
(17.5)
(19.9)
(22.6)
(25.5)
103.7
106.3
108.1
109.3
110.0
(116.2)
(133.5)
108.5
112.0
(118.8)
(137.4)
2011 年予測
ドル/バレル
107.6
(159.8) (184.9)
121.9
123.6
(211.9)
125.0
2012 年予測
天然ガス(日本)
11.0
(167.6) (190.4)
(215.7)
2011 年予測
ドル/MBtu
14.8
2012 年予測
石炭(IEA 諸国共通)
99.2
2011 年予測
ドル/トン
123.4
(152.0) (172.2)
113.0
114.0
(194.2)
115.0
2012 年予測
(155.4) (175.6)
(198.5)
実質値(2011 年予測は 2010 年価格、2012 年予測は 2011 年価格)
、
( )内は名目値
1 バレル=159L、Btu(英国熱単位)1MBtu=1055MJ
【出典】2011 年予測は IEA World Energy Outlook 2011、2012 年予測は IEA World Energy Outlook 2012
※1:WEO2011 と WEO2012 で価格動向が予測されている燃料は、原油、天然ガス(米国、欧州、日本)
、石炭の3種類で、天然ガスのみ3地域別。
WEO2011 と WEO2012 の価格動向などの予測シナリオは3種類。
「新政策シナリオ」
「現行政策シナリオ」
「450(ppm)シナリオ」の順にならび、
上段に実質値、下段に名目値。期間は 2035 年まで。
※2:米国の天然ガス価格のみ下方修正している。
- 111 -
〈補足〉省エネルギー(省エネ)のポテンシャル
本計画は、日本の経済・社会構造において、省エネの余地(ポテンシャル)があることを前提にしている。この
前提は、次のデータを考慮したものである。
1 日本を含む主要国は、いずれも GDP あたりの一次エネルギー消費量が減少している。一方で、日本は石油ショ
ック以降、省エネが進んだため大幅に改善してきたものの、1990 年前後をさかいに減少率は鈍化している。
GDPあたり一次
推移(1971~
あたり一次エネルギー
一次エネルギー供給量
エネルギー供給量の
供給量の推移(1971
(1971~2010)
図表 40 GDPあたり
GDP
あたり一次エネルギー供給量の推移(1971
年~2010 年)
1.6
日本
アメリカ
ドイツ
イギリス
フランス
イタリア
1.5
1.4
スウェーデン
9
0
年
を
1
と
し
た
値
1.3
1.2
1.1
1
0.9
0.8
0.7
0.6
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010
2 多くの主要国では、GDP あたりの CO2 排出量の改善率について、1970 年から現在に至るまで、着実に改善が進
んでいるものの、日本は 1990 年以降の改善率が低い。また、1990 年以前の改善率を見ても、多くの主要国が
日本以上もしくは日本並みの改善率を示しており、日本だけが欧米と比較して、特段の省エネを先行して実現
したともいいがたい。
図表 41 GDPあたりの
GDP
あたり
CO2 排出量改善率(%)
あたりのCO2
CO2排出量改善率
(%)
GDP
あたりの
CO2排出量改善率(%)
排出量改善率
0%
-10%
-20%
-30%
-40%
-50%
-60%
日本
スウェーデン
フランス
ドイツ
イギリス
アメリカ
デンマーク
1971-1990
1990-2010
イタリア
【出典】CO2 Emissions from Fuel Combustion (2012 Edition) Excel tables, International Energy Agency (IEA)、2012 年、
http://www.iea.org/publications/freepublications/publication/name,32870,en.html
【出典及び参考】平田仁子(2012 年)
「原発も温暖化もない未来を創る」コモンズ
1 Total primary energy supply (PJ)「一次エネルギー供給量」
2 GDP using purchasing power parities「GDP」
3 CO2 emissions / GDP using purchasing power parities「GDP あたりの CO2 排出量」
- 112 -
目標
温室効果ガス総排出量
指標
温室効果ガス総排出量
指標の使い方
算出式
注意事項
・調査年度における温室効果ガス総排出量の把握を行い、基準年度(1990年度)および目標年度
(2020年度、2030年度、2050年度)における温室効果ガス総排出量との比較を行う。
・【温室効果ガス総排出量】
1990年度(基準年度):15,311千t-CO2、2020年度(目標年度):13,800千t-CO2、2030年度(目標年
度):10,700千t-CO2、2050年度(目標年度):3,100千t-CO2
温室効果ガス総排出量(千t-CO2)=①×②
①活動量
②排出係数
電力の排出係数については、県の温室効果ガス排出抑制の施策の影響をより的確に評価するた
め、2010年度の中部電力の排出係数に固定するものとする。
名称
温室効果ガス総排出量
URL
http://www.pref.nagano.lg.jp/kankyo/ondanka/kashokai.htm
統計等
把握可能な最新データは3年度前のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握できる指標
公表時期 は、2009年度のデータとなる。)
毎年11月中旬
2008年度 16,324千t-CO2
2009年度 16,640千t-CO2
過去
の
実績
2010年度 2011年度 2012年度 -
- 113 -
目標
最終エネルギー消費量
指標
最終エネルギー消費量
指標の使い方
・調査年度における最終エネルギー消費量の把握を行い、基準年度(2010年度)および目標年度(2020年度、2030年
度、2050年度)における最終エネルギー消費量との比較を行う。
・【最終エネルギー消費量】
2010年度(基準年度):18.6万TJ、2020年度(目標年度):15.8万TJ、2030年度(目標年度):13.0万TJ、2050年度(目標
年度):11.2万TJ
最終エネルギー消費量(TJ)=①+②
①長野県の産業・家庭・業務部門の最終エネルギー消費量(TJ)
②長野県の運輸部門の最終エネルギー消費量(TJ)
算出式
②=③×(④÷⑤)+⑥
③北陸信越地域の自動車燃料消費量(TJ)
④長野県内の自動車保有台数(両)
⑤北陸信越地域の自動車保有台数(両)
⑥長野県内の鉄道の電力消費量(TJ)
⑥=(⑦+⑧)×(⑨÷⑩)
⑦日本の旅客鉄道の電力消費量(TJ)
⑧日本の貨物鉄道の電力消費量(TJ)
⑨長野県の人口(人)
⑩日本の人口(人)
注意事項
「都道府県別エネルギー消費統計」では運輸部門のタクシー・バス・貨物自動車および鉄道のエネルギー消費量が含
まれないため、別途他の統計からこれらのエネルギー消費量を見込む必要がある。
名称
①長野県の産業・家庭・業務部門の最終エネルギー消費量
「都道府県別エネルギー消費統計(長野県)」(経済産業省 資源エネルギー庁)
URL
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/regional-energy/result-2.htm
把握可能な最新データは2年度前のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握できる指標は、2010年度のデータ
公表時期 となる。)
毎年3月
名称
③北陸信越地域の自動車燃料消費量
「自動車燃料消費量統計年報 第2表燃料別・地方運輸局別・11車種別 燃料消費量」(国土交通省)
URL
http://www.mlit.go.jp/k-toukei/jidousya/jidousya.html
把握可能な最新データは2年度前のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握できる指標は、2010年度のデータ
公表時期 となる。)
毎年2月
統計等
名称
④長野県の自動車保有台数 ⑤北陸信越地域の自動車保有台数
「自動車保有台数統計データ(各年3月末)」(一般社団法人 自動車検査登録情報協会)
URL
http://www.airia.or.jp/number/index.html
把握可能な最新データは1年度前のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握できるデータは2011年度ものとな
公表時期 る。)
毎年10月
名称
⑦日本の旅客鉄道の電力消費量 ⑧日本の貨物鉄道の電力消費量
「総合エネルギー統計」(経済産業省)
URL
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/jukyu/index.htm
把握可能な最新データは2年度前のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握できる指標は、2010年度のデータ
公表時期 となる。)
毎年4月
名称
⑨長野県の人口 ⑩日本の人口
「人口推計 長期時系列データ 都道府県別人口(各年10月1日現在)」(総務省)
URL
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001039703&cycode=0
把握可能な最新データは2年度前のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握できる指標は、2010年度のデータ
公表時期 となる。)
毎年10月
2010年度 18.6万TJ
過去
の
実績
2011年度 2012年度 -
- 114 -
目標
最大電力需要
指標
最大電力需要
指標の使い方
・調査年度における最大電力需要の把握を行い、基準年度(2010年度)および目標年度(2020年
度、2030年度、2050年度)における最大電力需要との比較を行う。
・【最大電力需要】
2010年度(基準年度):297万kW、2020年度(目標年度):252万kW、2030年度(目標年度):223万
kW、2050年度(目標年度):163万kW
算出式
-
注意事項
-
統計等
名称
中部電力の提供資料による。
URL
-
公表時期 2010年度 297万KW
過去
の
実績
2011年度 287万KW
2012年度 -
- 115 -
目標
自然エネルギー導入量
指標
エネルギー消費量でみたエネルギー自給率
指標の使い方
・自然エネルギーの導入量が拡大していることを把握するために、基準年度(2010年度)および目標年度(2020年度、2030年
度、2050年度)におけるエネルギー自給率と調査年度における自給率との比較を行う。
・自然エネルギー導入量(TJ)の把握は、電気、熱、自動車燃料別に行う。
・【エネルギー自給率】
2010年度(基準年度):6.0%、2020年度(目標年度):11.0%、2030年度(目標年度):19.3%、2050年度(目標年度):34.4%
エネルギー自給率(%)=(①+②)/(③)
①自然エネルギー導入量(TJ)
②既存水力発電導入量(TJ)
③県内最終エネルギー消費量(TJ)
①自然エネルギー導入量(TJ)=(ⓐ+ⓑ+ⓒ+ⓓ+ⓔ+ⓕ+ⓖ+ⓗ+ⓘ+ⓙ)
算出式
【電気】
ⓐ太陽光発電エネルギー導入量(TJ)
=太陽光発電設備容量(万kW)×利用率(1054kWh/kW)×3.6/100
ⓑ小水力発電エネルギー導入量(TJ)
=小水力発電設備容量(万kW)×利用率(65/100)×24時間×365日×3.6/100
ⓒバイオマス発電エネルギー導入量(TJ)
=バイオマス発電設備容量(万kW)×利用率(80/100)×24時間×365日×3.6/100
ⓓ風力発電エネルギー導入量(TJ)
=風力発電設備容量(万kW)×利用率(23.5/100)×24時間×365日×3.6/100
ⓔ地熱発電エネルギー導入量(TJ)
=地熱発電エネルギー導入量(万kW)×利用率(70/100)×24時間×365日×3.6/100
【熱】
ⓕバイオマス熱利用導入量(TJ)=バイオマス利用導入量(万kL)/0.00258
ⓖ太陽熱利用導入量(TJ)=太陽熱利用導入量(万kL)/0.00258
ⓗ地中熱利用導入量(TJ)=地中熱利用導入量(万kL)/0.00258
【燃料】
ⓘバイオエタノール普及量(TJ)=バイオエタノール普及量(万kL)/0.00258
ⓙバイオディーゼル普及量(TJ)=バイオディーゼル普及量(万kL)/0.00258
②既存水力発電エネルギー導入量(TJ)=9,886TJ(既存小水力5,804TJ+既存一般水力4,082TJ)
③県内最終エネルギー消費量(TJ)
注意事項
自然エネルギー導入量(ⓐ~ⓙ)の把握は、長野県が毎年実施している「長野県内の新エネルギー設備導入状況」調査によ
り行う。なお、住宅における自然エネルギー導入量の把握については、関係団体等への調査が必要である。
名称
①自然エネルギー導入量
「長野県内の新エネルギー設備導入状況」(長野県)
URL
http://www.pref.nagano.lg.jp/kankyo/ondanka/ondan/energy/
把握可能な最新データは当年度の4月1日時点のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握できる指標は、2012年4
公表時期 月1日時点のデータとなる。)
毎年12月頃
名称
①自然エネルギー導入量
「住宅用太陽光発電補助金交付決定件数・設置容量データ」(一般社団法人太陽光発電協会 太陽光発電普及拡大セン
ター)
URL
http://www.j-pec.or.jp/information/data.html
統計等
把握可能な最新データは1年度前のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握できる指標は、2011年度のデータとな
公表時期 る。)
毎年4月
名称
①自然エネルギー導入量
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法に基づく発電設備認定件数」(経済産業省資源エ
ネルギー庁)
URL
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html
公表時期
把握可能な最新データは当該年度のものとなる一方、認定年度に設備が設置されるとは限らないことに留意。
毎月
2010年度 自給率:6.0%、自然エネルギー導入量:11,205TJ
過去
の
実績
2011年度 2012年度 -
- 116 -
目標
自然エネルギー発電設備容量
指標
発電設備容量でみたエネルギー自給率
指標の使い方
・自然エネルギーの発電設備容量が拡大していることを把握するために、基準年度(2010年度)および目
標年度(2020年度、2030年度、2050年度)におけるエネルギー自給率と調査年度における自給率との比
較を行う。
・自然エネルギー発電設備容量の把握は、太陽光発電、小水力発電、バイオマス発電、風力発電、地中
熱発電の5つに分けて行うものとする。
・【エネルギー自給率】
2010年度(基準年度):58.6%、2020年度(目標年度):76.6%、2030年度(目標年度):100.3%、2050年度
(目標年度):155.1%
エネルギー自給率(%)=(①+②)/(③)
①自然エネルギー発電設備容量(万kW)
②既存水力発電設備容量(万kW))
③県内最大電力需要(万kW)
①自然エネルギー発電設備容量(kW)=(ⓐ+ⓑ+ⓒ+ⓓ+ⓔ)
算出式
ⓐ太陽光発電設備容量(kW)
ⓑ小水力発電設備容量(kW)
ⓒバイオマス発電備容量(kW)
ⓓ風力発電設備容量(kW)
ⓔ地熱発電設備容量(kW)
②既存水力発電設備容量(kW)=163.33(万kW)(既存小水力95.88万kW+既存一般水力67.45万kW)
③県内最大電力需要
注意事項
自然エネルギー発電設備容量(ⓐ~ⓔ)の把握は、長野県が毎年実施している「長野県内の新エネル
ギー設備導入状況」調査により行う。なお、住宅における自然エネルギー発電設備容量の把握について
は、関係団体等への調査が必要である。
名称
①自然エネルギー発電設備容量
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法に基づく発電設備認定件数」
(経済産業省資源エネルギー庁)
URL
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html
把握可能な最新データは当該年度のものとなる一方、認定年度に設備が設置されるとは限らないことに
公表時期 留意。
毎月
①自然エネルギー供給量
名称
「長野県内の新エネルギー設備導入状況」(長野県)
URL
http://www.pref.nagano.lg.jp/kankyo/ondanka/ondan/energy/
統計等
把握可能な最新データは当年度の4月1日時点のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握できる
公表時期 指標は、2012年4月1日時点のデータとなる。)
毎年12月頃
名称
①自然エネルギー発電設備容量
「住宅用太陽光発電補助金交付決定件数・設置容量データ」(一般社団法人太陽光発電協会 太陽光発
電普及拡大センター)
URL
http://www.j-pec.or.jp/information/data.html
把握可能な最新データは1年度前のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握できる指標は、2011
公表時期 年度のデータとなる。)
毎年4月
2010年度 自給率:58.6%、自然エネルギー導入量:10.61万kW
過去
の
実績
2011年度 2012年度 -
- 117 -
持続可能で低炭素な環境エネルギー地域社会をつくる。
(「経済は成長しつつ、温室効果ガス総排出量とエネルギー消費量の削減が進む経済・社会構造」
を有する地域をつくる。)
目標
①県内総生産(実質)(2010年度比)
②県内温室効果ガス総排出量(2010年度比)
③県内最終エネルギー消費量(2010年度比)
指標の使い方
・【基準年における値】
県内総生産(実質)2010年度(基準年度):未公表
県内温室効果ガス総排出量2010年度(基準年度):未公表
県内最終エネルギー消費量:18.6万TJ
考え方
・調査年度における温室効果ガス総排出量の把握を行い、基準年度(1990年度)および目標年度
(2020年度、2030年度、2050年度)における温室効果ガス総排出量との比較を行う。
・【温室効果ガス排出量】
1990年度(基準年度):15,311千t-CO2、2020年度(目標年度):13,800千t-CO2、2030年度(目標年
度):10,700千t-CO2、2050年度(目標年度):3,100千t-CO2
【県内総生産(実質)(2010年度比)】
調査年度の県内総生産(実質)(2010年度比)=①/②
①調査年度の県内総生産(実質)
②2010年度の県内総生産(実質)
算出式
【県内温室効果ガス総排出量(2010年度比)】
調査年度の県内温室効果ガス総排出量(2010年度比)=③/④
③調査年度の県内温室効果ガス総排出量
④2010年度の県内温室効果ガス総排出量
【県内最終エネルギー消費量(2010年度比)】
調査年度の県内エネルギー消費量(2010年度比)=⑤/⑥
⑤調査年度の県内エネルギー消費量
⑥2010年度の県内エネルギー消費量
注意事項
【県内温室効果ガス総排出量】:温室効果ガス総排出量の算出値(目標値)で算出する値を用いる
ものとする。
【県内最終エネルギー消費量】:最終エネルギー消費量の算出値(目標値)で算出する値を用いる
ものとする。
名称
①県内総生産(実質)
「長野県の県民経済計算統計表」(長野県)
URL
http://www3.pref.nagano.lg.jp/toukei1/syotoku/syotok_1.htm
統計等
把握可能な最新データは3年度前のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握できるデータ
公表時期 は、2009年度のデータとなる。)
毎年12月中下旬
2010年度 過去
の
実績
2011年度 2012年度 -
- 118 -
下位目標
指標
エネルギーを効率よく使用し、省エネ型の家庭用機器や産業機器を普及する
電気・ガス・石油製品使用量
指標の使い方
算出式
注意事項
名称
省エネ型の家庭用機器や産業機器の普及状況を把握するのは困難であるため、電気・ガス・石油
製品の消費量の動向を指標とする。
都道府県別エネルギー消費統計(経済産業省資源エネルギー庁)の産業・民生部門別
の石油製品、天然ガス、都市ガス、電力使用量を用いる。
「都道府県別エネルギー消費統計」(経済産業省資源エネルギー庁)
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/regional-energy/index.htm
統計等
URL
http://www.rieti.go.jp/users/kainou-kazunari/energy/index.html
公表時期 毎年6月
2010年度 13.4万TJ
過去
の
実績
2011年度 2012年度 -
- 119 -
下位目標
快適な省エネまちづくりを進める
指標①
エネルギー性能別の新築建築数
指標の使い方
算出式
注意事項
統計等
環境エネルギーに配慮された建築物を普及するため、エネルギー性能別の新築建築数を指標とする。前年度のエネルギー性能別の新築建築数と比較する
ことにより、環境エネルギーに配慮された建築物が普及していることを確認する。
新築建築物(300㎡以上)平成24年新省エネ基準達成割合/数、低炭素建築物認定数
新制度となるため、把握方法および把握時期等については、制度の運用とともに検討する。
名称
-
URL
-
公表時期 指標②
指標の使い方
交通分担率
環境エネルギーに配慮されたまちづくりを進めるため、環境負荷の低い交通・運輸への転換を図るための指標として交通分担率を用いる。乗用車におけ交
通分担率から公共交通機関における交通分担率への転換を確認する。
公共交通機関(営業用バス、鉄道)の交通分担率(%)=(①+②)÷(①+②+③)
自動車の交通分担率(%)=③÷(①+②+③)
①営業用バス輸送量
②鉄道輸送量
③乗用車輸送量
①長野県 営業用バス 輸送量(千人キロ/年)=(ⓐ+ⓑ)
ⓐ長野県 営業用バス 乗合輸送量(千人キロ/年)
ⓑ長野県 営業用バス 貸切輸送量(千人キロ/年)
算出式
注意事項
名称
URL
公表時期
②長野県 鉄道 輸送量(千人キロ/年)=ⓒ×ⓔ/ⓓ
ⓒ北陸信越運輸局 鉄道 輸送量(千人キロ/年)
ⓓ北陸信越運輸局 鉄道 乗降客数(人)(按分指標)
=長野県、新潟県、富山県、石川県における乗降客数
ⓔ長野県 鉄道 乗降客数(人)(按分指標)
③長野県 乗用車輸送量(千人キロ/年)=ⓕ×ⓗ/ⓖ
ⓕ全国 自家用乗用車 輸送量(千人キロ/年)
ⓖ全国 保有車両数 (台)
ⓗ長野県 保有車両数 (台)
平成22年10月より、国土交通省の統計の調査方法および集計方法が変更したため、統計数値の連続性が担保されない。乗用車の輸送量の算出方法を検
討する必要がある。
①長野県営業用バス輸送量
「自動車輸送統計年報 4-7 営業用バス(乗合・貸切)都道府県別輸送量」(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/k-toukei/06/annual/06a0excel.html
把握可能な最新データは2年度前のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握できる指標は、2010年度のデータとなる。)
毎年1月
名称
②長野県鉄道輸送量
「鉄道輸送統計年報 2-3旅客人キロ(1)総合計」(国土交通省)
URL
http://www.mlit.go.jp/k-toukei/10/annual/10a0excel.html
公表時期
把握可能な最新データは1年度前のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握できる指標は、2011年度のデータとなる。)
毎年10月
名称
ⓓⓔ鉄道乗降客数(按分指標)
「都市計画現況調査 No8都市計画施設の状況 (1)道路[2]駅前広場」(国土交通省)
URL
http://www.mlit.go.jp/toshi/city_plan/toshi_city_plan_fr_000024.html
統計等
公表時期
把握可能な最新データは2年度前のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握できる指標は、2010年度のデータとなる。)
毎年6月
名称
③長野県乗用車輸送量
「エネルギー・経済統計要覧 交通部門別輸送機関別輸送量」(財団法人省エネルギーセンター)
URL
-
公表時期
把握可能な最新データは2年度前のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握できるデータは2010年度ものとなる。)
毎年3月
名称
ⓖⓗ自動車保有台数(按分指標)
「自動車保有台数統計データ 都道府県別・車種別保有台数」(一般財団法人 自動車検査登録情報協会)
URL
http://www.airia.or.jp/number/index.html
公表時期
把握可能な最新データは1年度前のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握できるデータは2011年度ものとなる。)
毎年10月
2008年度
過去
の
実績
2009年度
2010年度
- 120 -
下位目標
指標
自然エネルギー熱導入量(TJ)
指標の使い方
算出式
注意事項
統計等
熱は熱で賄う
・熱に係る自然エネルギーの導入量が拡大していることを把握するために、基準年度(2010年度)
及び目標年度(2020年度、2030年度、2050年度)における熱に係る自然エネルギー導入量との比
較を行う。
・【自然エネルギー導入量】
2010年度(基準年度):775TJ、2020年度(目標年度):5,438TJ、2030年度(目標年度):10,062TJ、
2050年度(目標年度):19,376TJ
目標値【自然エネルギー導入量】における【熱】ⓕⓖⓗ
目標値【自然エネルギー導入量】における【熱】ⓕⓖⓗより算出
ⓕⓖⓗ より算出
-
名称
-
URL
-
公表時期 2010年度 775TJ
過去
の
実績
2011年度 2012年度 -
- 121 -
下位目標
指標
エネルギーを利用する時間帯が過度に集中することを避ける
最大電力需要
指標の使い方
・調査年度における最大電力需要の把握を行い、基準年度(2010年度)および目標年度(2020年
度、2030年度、2050年度)における最大電力需要との比較を行う。
・【最大電力需要】
2010年度(基準年度):297万kW、2020年度(目標年度):252万kW、2030年度(目標年度):223万
kW、2050年度(目標年度):163万kW
算出式
-
注意事項
-
統計等
名称
目標値【最大電力需要】と同様に中部電力の提供資料による。
URL
-
公表時期 2010年度 297万KW
過去
の
実績
2011年度 287万KW
2012年度 -
- 122 -
下位目標
指標
自然エネルギー発電設備容量
指標の使い方
算出式
注意事項
統計等
自然エネルギー発電設備の設置を拡大する
・自然エネルギーの発電設備容量が拡大していることを把握するために、基準年度(2010年度)お
よび目標年度(2020年度、2030年度、2050年度)における自然エネルギー発電設備容量との比較
を行う。
・自然エネルギー発電設備容量の把握は、太陽光発電、小水力発電、バイオマス発電、風力発
電、地中熱発電の5つに分けて行うものとする。
・【自然エネルギー発電設備容量】
2010年度(基準年度):10.61万kW、2020年度(目標年度):30万kW、2030年度(目標年度):60万
kW、2050年度(目標年度):90万kW
目標値【自然エネルギー発電設備容量】における算出式①と同様に算出
-
名称
-
URL
-
公表時期 2010年度 10.61万kW
過去
の
実績
2011年度 2012年度 -
- 123 -
下位目標
指標
既存の水力発電設備の有効利用と新規自然エネルギー開発を進める
県内にある水力発電所の発電設備容量
指標の使い方
算出式
注意事項
自然エネルギーの利用・供給の拡大を推進するため、既存の水力発電設備を維持・有効活用する
ための指標として、発電設備容量を指標とする。
長野県内にある水力発電所の発電設備容量(kW)
-
名称
「長野県内の新エネルギー設備導入状況」(長野県)
URL
http://www.pref.nagano.lg.jp/kankyo/ondanka/ondan/energy/
統計等
把握可能な最新データは当年度の4月1日時点のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握
公表時期 可能な指標は、2012年4月1日時点のデータとなる。)
毎年12月頃
2008年度 2009年度 過去
の
実績
2010年度 163.3万kW
2011年度 163.3万kW
2012年度 163.3万kW
- 124 -
下位目標
指標
自然エネルギー熱導入量(TJ)
指標の使い方
算出式
注意事項
統計等
自然エネルギー熱供給設備の設置を増やす
・熱に係る自然エネルギーの導入量が拡大していることを把握するために、基準年度(2010年度)
および目標年度(2020年度、2030年度、2050年度)における熱に係る自然エネルギー導入量との
比較を行う。
・【自然エネルギー導入量】
2010年度(基準年度):775TJ、2020年度(目標年度):5,438TJ、2030年度(目標年度):10,062TJ、
2050年度(目標年度):19,376TJ
目標値【自然エネルギー導入量】における【熱】ⓕⓖⓗ
目標値【自然エネルギー導入量】における【熱】ⓕⓖⓗより算出
ⓕⓖⓗ より算出
-
名称
-
URL
-
公表時期 2010年度 775TJ
過去
の
実績
2011年度 2012年度 -
- 125 -
下位目標
指標
電気自動車など次世代自動車の普及と非化石燃料への利用転換を進める
低公害車保有車両数
指標の使い方
算出式
注意事項
次世代自動車の普及状況を把握するため、次世代自動車の保有車両数を指標とする。前年度の
低公害車の保有車両数と比較することにより、普及が推進していることを確認する。
長野県低公害車保有車両数(台)=①+②+③+④+⑤+⑥
①メタノール自動車保有車両数(台)
②電気自動車保有車両数(台)
③CNG自動車保有車両数(台)
④圧縮水素自動車保有車両数(台)
⑤プラグインハイブリッド自動車保有車両数(台)
⑥ハイブリッド自動車保有車両数(台)
-
名称
自検協統計「自動車保有車両数」(各年度3月末現在、社団法人自動車検査登録情報協会)
URL
-
統計等
把握可能な最新データは1年度前のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握できるデータ
公表時期 は2011年度ものとなる。)
毎年10月
2008年度 10,556台
2009年度 18,364台
過去
の
実績
2010年度 26,070台
2011年度 36,553台
2012年度 -
- 126 -
下位目標
指標①
指標の使い方
算出式
注意事項
廃棄物の発生抑制、再使用、リサイクルを進め、フロン類等の大気中への漏出を防止する
廃棄物部門温室効果ガス排出量
・調査年度における温室効果ガス排出量の把握を行い、基準年度(1990年度)および目標年度
(2020年度、2030年度、2050年度)における温室効果ガス排出量との比較を行う。
・【温室効果ガス排出量】
1990年度(基準年度):154千t-CO2
温室効果ガス総排出量(長野県)における廃棄物部門の排出量を用いる。
-
名称等 「長野県内の温室効果ガス総排出量」
URL等 http://www.pref.nagano.lg.jp/kankyo/ondanka/kashokai.htm
統計等
把握可能な最新データは3年前のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握可能指標は、
公表時期 2009年度のデータとなる。)
毎年11月中旬
2008年度 165千t-CO2
過去
の
実績
2009年度 159千t-CO2
2010年度 -
指標②
指標の使い方
フロン回収量(kg)
業務用冷凍空調機器を廃棄等する際のフロン類の回収が適正に行われていることを把握するた
め、長野県における【フロン回収量】を指標とする。
算出式
-
注意事項
-
名称
「フロン回収・破壊法に基づく業務用冷凍空調機器からのフロン類回収量等の集計結果」(環境省)
URL
http://www.env.go.jp/earth/ozone/cfc/report.html
統計等
把握可能な最新データは1年度前のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握できる指標
公表時期 は、2011年度のデータとなる。)
毎年12月
2009年度 46,230kg
過去
の
実績
2010年度 59,513kg
2011年度 55,912kg
- 127 -
下位目標
指標
木材利用の拡大や森林整備による二酸化炭素の吸収・固定化を促進する
民有林の間伐面積・用途別素材生産量
指標の使い方
森林づくりによる二酸化炭素の吸収拡大を目的として、計画的な間伐が推進していることを把握す
るために、長野県における【民有林の間伐面積】を指標とする。前年度の間伐実施面積と比較する
ことにより、間伐が推進していることを確認する。
また、県産材の利用による二酸化炭素の固定化拡大を目的として、県産材の利用が推進している
ことを把握するために、長野県における【素材生産量】を指標とする。前年度の素材生産量と比較
することにより、県産材の利用が推進していることを確認する。
算出式
-
注意事項
-
名称
「林業統計書」(長野県)
URL
http://www.pref.nagano.lg.jp/rinmu/rinsei/kashokai.htm
統計等
把握可能な最新データは2年度前のものとなる。(このため、例えば2012年度に把握可能指標は、
公表時期 2010年度のデータとなる。)
毎年3月頃
2008年度 間伐実績:19,310ha、素材生産量:311千m3
過去
の
実績
2009年度 間伐実績:22,196ha、素材生産量:305千m3
2010年度 間伐実績:22,368ha、素材生産量:293千m3
- 128 -
下位目標
指標
「気候変動モニタリング(観測)体制」参加機関・団体・個人数
指標の使い方
算出式
注意事項
統計等
地球温暖化の影響把握と予測を行う
地球温暖化の影響による県内への被害を抑制することを目的として、地球温暖化の県内への影
響を測るデータの収集・統合を円滑に行うため、長野県環境保全研究所を中心とした「気候変動モ
ニタリング(観測)体制)」の構築を目指す。
「気候変動モニタリング(観測)体制」の構築の進捗状況を把握するため、参加機関数、団体数、個
人数を指標とする。前年度の指標と比較することにより、気候変動モニタリング体制の構築が推進
していることを確認する。
「気候変動モ二タリング体制」ヘの参加機関・団体・個人数
=①+②+③+④+⑤+⑥+⑦
①国の関係機関数
②県の関係機関数
③市町村の関係機関数
④県内所在する研究機関数
⑤県内に所在する大学数
⑥県内に所在する団体数
⑦専門家等数
「気候変動モニタリング(観測)体制」については、平成25年度から恒常的な研究体制の構築を目
指している。指標の把握方法等については、平成25年度の体制の構築とともに検討する予定。
名称
-
URL
-
公表時期 過去の実績
過去の実績なし
- 129 -
下位目標
指標
「信州・気候変動適応プラットフォーム」参加機関・団体数
指標の使い方
算出式
注意事項
統計等
地球温暖化の影響への適応策を様々な主体で進める
地球温暖化の影響による県内への被害を抑制することを目的として、地球温暖化の影響への適
応を進めるため、長野県環境保全研究所を中心とした「信州・気候変動適応プラットホーム=気候
変動への適応の芽を育てる場」の構築を目指す。
「信州・気候変動適応プラットフォーム」の構築の進捗状況を把握するため、参加機関数、団体数
を指標とする。前年度の指標と比較することにより、信州・気候変動適応プラットフォームの構築が
推進していることを確認する。
「信州・気候変動適応プラットフォーム」ヘの参加機関・団体数=①+②+③+④+⑤
①国の関係機関数
②県の関係機関数
③市町村の関係機関数
④県内所在する研究機関数
⑤県内に所在する大学数
「信州・気候変動適応プラットフォーム」に関する指標の把握方法等については、体制の構築ととも
に検討する予定。
名称
-
URL
-
公表時期 過去の実績
過去の実績なし
- 130 -
資料6 目標の達成による長野県への経済影響推計
1 概要
「長野県環境エネルギー戦略」に掲げる目標を達成した場合の長野県経済に及ぼす影響について、一定の仮定を
置いたうえで「平成 17 年長野県産業連関表」を利用して推計した。試算結果の概要は次のとおり。
●
2013 年度~2020 年度(8年間)における新規発生需要額は 1,173 億円と試算された。これにより長野県内で
誘発される生産額は 3,026 億円である。この誘発生産により、長野県全体で 28,760 人(年平均 3,595 人)の雇
用(就業者)が生まれる。
2 分析対象
本分析では、目標を達成するために「省エネ推進」
「自然エネルギー普及」が行われるものとした。これら2つ
による経済的な効果を次のように整理した。
① 省エネルギー実施による効果
イ 最終エネルギー消費量削減による効果
ロ 最終エネルギー消費量削減のための省エネ設備投資による効果
② 自然エネルギー普及による効果
イ 自然エネルギー発電による効果
ロ 自然エネルギー熱利用による効果
3 分析期間
2013 年度から 2020 年度までの8年間
4 最終需要額の試算
(1)前提
本分析では、目標を達成するために行われる「省エネ推進」
「自然エネルギー普及」について、次のよ
うな仮定を置いた。
①
省エネルギー実施による効果
イ 最終エネルギー消費量削減による効果
・ 2020 年度の最終エネルギー消費量は、戦略の目標どおり 2010 年度比で 15%減と仮定した。
・ 最終エネルギーは、石炭製品、石油製品、都市ガス、電力とし、消費量の削減量に直近の燃料単価を乗
じた額を県内・県外区分なしの「石油・石炭製品」部門および「電力・ガス・熱供給」部門の最終需要額
の減少として算出した。
- 131 -
ロ 最終エネルギー消費量削減のための省エネ設備投資による効果
・ イによる最終エネルギー消費量削減のうち半分については、省エネ設備投資によって達成するものと仮
定した。
・ これらの省エネ設備投資については、石炭、重質油、石油ガス、都市ガスについては「一般機械」部門、
軽質油については「輸送機械」部門、電力については「電気機械」部門の最終需要額の増加として算出し
た。
② 自然エネルギー普及による効果
イ 自然エネルギー発電による効果
対象とする自然エネルギー発電設備は、太陽光発電(住宅、集合住宅・非住宅、メガソーラー)
、小水力
発電、バイオマス発電、風力発電とした。
(単位:万 kW)
項目
太陽光発電
2010 年度
2020 年度
住宅
9.0
19.9
集合住宅・非住宅
0.9
2.1
0
3.1
0
1.2
0.64
3.2
メガソーラー
小水力発電
バイオマス発電
風力発電
計
0.07
0.5
10.61
30.0
【太陽光発電】
・ 住宅用については、2013 年度~2020 年度で 10.9 万 kW(設置戸数 27 千戸(4kW 設備)
)普及すると仮
定し、イニシャルコストについては設備価格(3,264 千円/基)の5%を県内の販売事業者による粗利と
し、県内事業者の「対個人サービス」部門の最終需要額の増加として算出した。また、設置工事費(798
千円/基)を県内事業者の「建設」部門への最終需要額の増加として算出した。
・ 集合住宅・非住宅用については、2013 年度~2020 年度で 1.2 万 kW 普及すると仮定し、イニシャルコス
トについては設置工事費(77 千円/kW)を県内事業者の「建設」部門の最終需要額の増加として算出した。
・ メガソーラーについては、2013 年度~2020 年度で 3.1 万 kW(6MW 設備:2基、5MW 設備:3基、2
MW 設備:1基、1MW 設備:2基)普及すると仮定し、イニシャルコストについては設置工事費を県内事
業者の「建設」部門の最終需要額の増加として算出した。また、ランニングコストについても県内事業者
の「不動産」部門、
「対事業所サービス」部門、
「金融・保険」部門の最終需要額の増加として算出した。
ディスポジションコストについても県内事業者の「建設」部門、
「水道・廃棄物処理」部門の最終需要額
の増加として算出した。
【小水力発電】
・ 2013 年度~2020 年度で 1.2 万 kW(1,000kW 設備:12 基)普及するものと仮定し、イニシャルコストに
ついては設置工事費(500 千円/kW)を県内事業者の「建設」部門の最終需要額の増加として算出した。
また、ランニングコストについても県内事業者の「対事業所サービス」部門の最終需要額の増加として算
出した。
【バイオマス発電】
・ 2013 年度~2020 年度で 2.56 万 kW(6MW 設備:2基、5MW 設備:2基、3.6MW 設備:1基)普及する
ものと仮定し、イニシャルコストについては設置工事費用等を県内・県外区分なしの「電気機械」部門お
よび「建設」部門の最終需要額の増加として算出した。ランニングコストについては県内事業者の「農林
水産業」部門及び県内・県外区分なしの「水道・廃棄物処理」部門、
「金融・保険」部門、
「不動産」
部門、
「対事業所サービス」部門の最終需要額の増加として算出した。ディスポジションコストにつ
いても県内・県外区分なしの「建設」部門、
「水道・廃棄物処理」部門の最終需要額の増加として算
- 132 -
出した。
【風力発電】
・ 2013 年度~2020 年度で 0.43 万 kW(1,000kW 設備:5基)普及するものと仮定し、イニシャルコストに
ついては設置工事費(175 千円/kW)を県内事業者の「建設」部門の最終需要額の増加として算出した。
また、ランニングコストについても県内事業者の「対事業所サービス」部門の最終需要額の増加として算
出した。
ロ 自然エネルギー熱利用による効果
対象とする自然エネルギー熱利用は、太陽熱利用、バイオマス熱利用、地中熱利用、温泉熱利用とした。
(単位:TJ)
項目
2010 年度
2020 年度
太陽熱利用
388
2,248
バイオマス熱利用
388
2,519
地中熱利用
0
47
温泉熱利用
0
620
776
5,434
計
【太陽熱利用】
・ 2013 年度~2020 年度で 1,860TJ(130 千戸)
、標準的な設備(集熱面積3m2(年間熱利用量:15,000MJ)
)
が普及するものと仮定し、イニシャルコストについては従来のガス給湯器に比べた追加費用として県産シ
ェア(27.5%)を考慮した追加機械設備費(268 千円/基)を県内事業者の「一般機械」部門の最終需要
額の増加として算出した。また、追加工事費(150 千円/基)を県内事業者の「建設」部門の最終需要額
の増加として算出した。
・ 県外メーカー分については、追加設備費用の5%を県内事業者の粗利とし、県内事業者の「対個人サー
ビス」部門の最終需要額の増加として算出した。
【バイオマス熱利用】
・ 2013 年度~2020 年度で 2,131TJ(ペレットストーブ 99 千台)普及するものと仮定し、ペレットストー
ブの生産者は県内に多く存在することから、イニシャルコストについては設備費用(365 千円/台)を県
内事業者の「一般機械」部門の最終需要額の増加として算出した。また、ランニングコスト(ペレット価
格 47 円/kg、ペレット消費量 1,200kg/台)についても県内事業者の「パルプ・紙・木製品」部門の最終
需要額の増加として算出した。
【地中熱利用】
・ 2013 年度~2020 年度で 47TJ(設置棟数 62 施設)普及すると仮定し、イニシャルコストについては、
従来設備からの追加コストとして設置工事費(地中熱ヒートポンプ工事費(40,000 千円/棟)
)を県内事
業者の「建設」部門の最終需要額の増加として算出した。
【温泉熱利用】
・ 2013 年度~2020 年度で 620TJ(設置棟数 379 施設)普及すると仮定し、県内で設備を生産している事
業者が存在することから、イニシャルコストについては機械設備費(1,390 千円/台)を県内事業者の「一
般機械」部門の最終需要額の増加として算出した。設置工事費(500 千円)についても県内事業者の「建
設」部門の最終需要額の増加として算出した。ランニングコストについては県内・県外区分なしの「電力・
ガス・熱供給」部門の最終需要額の増加として算出した。
- 133 -
(2)試算結果
「省エネ推進」
「自然エネルギー普及」別の各部門に対応する新規の最終需要増減額は、次表のとおり。
(単位:百万円)
2013年度~2020年度
項目
部門名
県内
①省エネルギー実施による効果
-
区分なし
0
-61,718
合計
-61,718
石油・石炭製品
0
-88,279
-88,279
電力・ガス・熱供給
0
-35,156
-35,156
一般機械
0
9,692
9,692
電気機械
0
15,108
15,108
イ. 最終エネルギー消費量削減による効果
ロ. 最終エネルギー消費量削減のための省エネ設備投資による効果
輸送機械
②自然エネルギー普及による効果
0
36,919
36,919
-
163,707
15,338
179,045
農林水産業
19,766
0
19,766
0
5,368
5,368
32,959
6,514
39,474
電気機械
建設
水道・廃棄物処理
82
823
904
金融・保険
625
458
1,083
イ. 自然エネルギー発電による効果
不動産
695
44
738
3,787
1,960
5,747
対個人サービス
4,670
0
4,670
パルプ・紙・木製品
28,047
0
28,047
対事業所サービス
ロ. 自然エネルギー熱利用による効果
一般機械
48,439
0
48,439
建設
23,309
0
23,309
電力・ガス・熱供給
0
172
172
対個人サービス
1,328
0
1,328
農林水産業
19,766
0
19,766
パルプ・紙・木製品
28,047
0
28,047
0
-88,279
-88,279
①+②
石油・石炭製品
一般機械
48,439
9,692
58,131
電気機械
0
20,476
20,476
輸送機械
0
36,919
36,919
56,269
6,514
62,783
電力・ガス・熱供給
0
-34,984
-34,984
水道・廃棄物処理
82
823
904
金融・保険
625
458
1,083
建設
不動産
対事業所サービス
対個人サービス
計
695
44
738
3,787
1,960
5,747
5,998
0
5,998
163,707
-46,380
117,327
<参考> 最終需要額の内訳(イニシャルコスト、ランニングコスト、ディスポジションコスト)
(単位:百万円)
項目
2013年度~2020年度
①省エネルギー実施による効果
イ. 最終エネルギー消費量削減による効果
ロ. 最終エネルギー消費量削減のための省エネ設備投資による効果
イニシャル
コスト
ランニング
コスト
-
-
ディスポジ
ション
コスト
-
-
-
-
-
-
-
②自然エネルギー普及による効果
122,463
56,332
イ. 自然エネルギー発電による効果
49,386
28,112
ロ. 自然エネルギー熱利用による効果
73,077
28,219
122,463
56,332
合計(①+②)
その他
-61,718
-61,718
-123,436
-123,436
61,718
251
251
251
計
-
61,718
179,045
-
77,749
-
101,296
-61,718
117,327
5 経済波及効果の試算
(1)生産誘発額
目標の達成により、
新規発生需要額 1,173 億円から長野県内で誘発される生産額は 3,026 億円と試算された。
- 134 -
波及効果倍率は 2.58 倍(3,026 億円/1,173 億円)である。
省エネルギーの実施による光熱費の支出減少額は、1,234 億円となる。
「省エネ推進」
「自然エネルギー普及」別の生産誘発額の内訳は、次表のとおり。
(単位:百万円)
2013年度~2020年度
項目
①省エネルギー実施による効果
46,535
イ. 最終エネルギー消費量削減による効果
38,228
ロ. 最終エネルギー消費量削減のための省エネ設備投資による効果
②自然エネルギー普及による効果
8,307
256,099
イ. 自然エネルギー発電による効果
97,186
ロ. 自然エネルギー熱利用による効果
158,913
合計(①+②)
302,634
(2)就業者誘発数
目標の達成により、長野県全体で就業者誘発数は 28,760 人(年平均 3,595 人)の雇用が生まれることになる。
「省エネ推進」
「自然エネルギー普及」別の就業者誘発数の内訳は、次表のとおり。
(単位:人)
2013年度~2020年度
項目
①省エネルギー実施による効果
4,175
イ. 最終エネルギー消費量削減による効果
3,780
ロ. 最終エネルギー消費量削減のための省エネ設備投資による効果
②自然エネルギー普及による効果
396
24,584
イ. 自然エネルギー発電による効果
13,212
ロ. 自然エネルギー熱利用による効果
11,373
合計(①+②)
28,760
- 135 -
資料7 自然エネルギーのポテンシャル
1 長野県の自然エネルギーのポテンシャル量
「長野県地球温暖化対策戦略検討会提言書」
(2012 年)
(以下「提言書」という。
)に示された長野県の自然エネ
ルギーのポテンシャル(潜在的に利用可能な資源量)について、最新のデータを踏まえて精査を行った。その結果
は、図表1~3のとおり。
図表1 長野県の自然エネルギー(電気)のポテンシャル
分類
設備容量(千kW)
年間発電量(百万kWh)
計算条件
8,867
8,618
環境省「平成23年度再生可能エネルギーに関す
るゾーニング基礎情報整備報告書」から算出
し、経済産業省「平成22年度新エネルギー等導
入促進基礎調査」より、太陽熱利用との競合を
加味
920
5,223
「提言書」より変更なし。(発電容量3万kW
未満)
891
5,073
「提言書」より変更なし。(環境省「平成22
年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調
査報告書」より)
②農業用水路
10
57
「提言書」より変更なし。(環境省「平成22
年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調
査報告書」より)
③未利用落差
19
93
「提言書」より変更なし。(経済産業省「平成
20年度中小水力開発促進指導事業基礎調査(未
利用落差発電包蔵水力調査)」より)
108
859
①ボイラ発電と②メタンガス発電の合計
①ボイラ発電
94
757
「提言書」から発電効率を変更した。加えて、
バイオマス熱利用との薪・ペレット燃料との競
合を加味
②メタンガス発電
14
102
「提言書」より変更なし。
地熱発電
599
3,673
「提言書」より変更なし。(環境省「平成22
年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調
査報告書」より)
風力発電
300
415
「提言書」より変更なし。(環境省「平成22
年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調
査報告書」より)
7
60
新たに追加。源泉温度95℃以上、湧出量100L/
分程度以上を対象として設備容量と年間発電
量を計算
10,801
18,848
太陽光発電
小水力発電 計
①河川
バイオマス発電 計
温泉熱発電
合
計
- 136 -
図表2 長野県の自然エネルギー(熱)のポテンシャル
分類
年間利用熱量(TJ)
8,880
経済産業省「平成22年度新エネルギー等導入促進基礎調
査」より、太陽光発電との競合を加味
10,225
①薪・ペレットと②バイオマス発電の廃熱利用との合計
太陽熱利用
バイオマス熱利用 計
計算条件
①薪・ペレット
948
「長野県森林づくりアクションプラン」より算出
9,277
バイオマス発電の年間発電量と「信州F・POWERプ
ロジェクト」の廃熱利用率より。
地中熱利用
3,426
すべての集合住宅と商業施設の暖房・給湯需要で利用
温泉熱利用
2,511
新たに追加。源泉温度50℃以上、湧出量20L/分以上を対
象として算出
雪氷熱利用
21
新たに追加。道路で除雪された全雪量から年間利用熱量
(ポテンシャル)を求めた。
②バイオマス発電の廃熱利用
合
計
25,063
図表3 長野県の自然エネルギー(燃料)のポテンシャル
分類
設備容量(kL/回)
BDF
25.9
年間生産量(kL)
計算条件
「提言書」より変更なし。(農地として復元すべき耕作放棄
地のすべてでナタネ栽培を行い、BDF生産した場合)
7,759
2 試算・精査の手法
図表1~3に示した長野県の自然エネルギーのポテンシャルは、以下の手法によって試算・精査した。
(1)太陽光発電
1)結果
環境省「平成 23 年度 再生可能エネルギーに関するゾーニング基礎情報整備報告書」
(2012 年6月)
(以
下「平成 23 年度環境省報告」という。
)を参考に、太陽光発電と太陽熱利用の競合を加味した長野県の太
陽光発電のポテンシャルは、図表4のとおり。
図表4 長野県の太陽光発電のポテンシャル
区分
設備容量(千kW)
太陽光発電
8,867
年間発電量(百万kWh)
8,618
2)試算・精査手法
「平成 23 年度環境省報告」では、個別の建物に着目した太陽光発電の導入ポテンシャル(報告書のレベ
ル3に該当)が算出されており、これを参考にして、
「提言書」の分類を図表5のとおり再計算を行った。
- 137 -
図表5 「平成 23 年度環境省報告」による長野県の太陽光発電ポテンシャルの再計算結果
「平成23年度環境
省報告」の分類
設備容量
(千kW)
年間発電量
(百万kWh)
「提言書」に
おける分類
計算条件
5,205.9
5,477
①住宅
②非住宅の一部
平成23年度環境省報告より
579.3
469
②非住宅の一部
環境省「平成22年度再生可能エネルギー
導入ポテンシャル調査報告書」より
耕作放棄地
4,419.5
4,080
なし
環境省「平成22年度再生可能エネルギー
導入ポテンシャル調査報告書」より
合計
10,204.7
10,026
個別建物
低・未利用地
―
太陽光発電と太陽熱利用は、設置場所が競合するため、これについても考慮した。太陽光発電と太陽熱利
用の競合の条件は、経済産業省「平成 22 年度新エネルギー等導入促進基礎調査事業(太陽光発電及び太陽熱
利用の導入可能量に関する調査)
」
(2011 年2月)に準じ、以下①~③とした。
① 戸建住宅:全てに太陽熱利用(6㎡/戸)を設置。残りの設置可能面積に太陽光発電を設置。
(熱電負荷考慮・太陽熱利用優先ケースを採用)
② 集合住宅:屋根・屋上は、設置可能面積の 100%に太陽光発電を設置。側壁(ベランダ)には、太陽熱
利用(4㎡/戸)のみを設置。
③ 非住宅系建物:競合する施設の屋根・屋上は、設置可能面積の 50%に太陽光発電、50%に太陽熱利用
を設置。競合しない施設(木材・木製品製造業、冷蔵庫以外の産業分野)では、設置
可能面積の 100%に太陽光発電を設置。側壁は、設置可能面積の 100%に太陽光発電を
設置。
なお、この競合の試算の結果を図表6に示す。
図表6
競合の試算結果
競合なし(GW)
競合考慮(GW)
分類
屋根・屋上
側壁
屋根・屋上
側壁
個別住宅
77.3
-
66.5
-
集合住宅
15.5
26.7
15.5
0
非住居系建物
35.1
23.4
26.8
23.4
合計
178.0
132.2
出典 「平成 22 年度新エネルギー等導入促進基礎調査事業(太陽光発電及び太陽熱利用の導入可能量に関する調査)
」
(平成 23 年2月 経済産業省)
- 138 -
競合により、日本全体の建物における太陽光発電ポテンシャルが 178.0GW から 132.2GW と 74.3%に減少す
る。
このため、長野県においても、太陽熱利用との競合により個別建物のポテンシャルが 74.3%に減少すると
して試算した。個別建物における太陽熱利用との競合を加味した算出式を以下に示す。
●太陽光発電のポテンシャル(設備容量)
個別建物の設備容量:5,205.9(千 kW)×競合による補正値:74.3(%)
+低・未利用地の設備容量:579.3(千 kW)+耕作放棄地の設備容量:4,419.5(千 kW)
=8,866.8(千 kW)
●太陽光発電のポテンシャル(年間発電量)
再計算した年間発電量:5,477(百万 kWh)×競合による補正値:74.3(%)
+低・未利用地の年間発電量:469(百万 kWh)+耕作放棄地の年間発電量:4,080(百万 kWh)
=8,618.4(百万 kWh)
(2)小水力発電
1)結果
図表1のとおり。
2)試算・精査手法
小水力発電の設置場所は、
「河川部」
、
「農業用水路」
、
「未利用落差」の3つに分類される。
「平成 23 年度
環境省報告」において、ポテンシャルの変更はないため、これらの修正はなしとした。
(3)バイオマス発電
1)結果
「提言書」の算出方法のうち、発電効率を見直した。さらに、バイオマスの熱エネルギー利用との競合
を加味した。ポテンシャルの算出結果は、図表7のとおり。
図表7 長野県のバイオマス発電のポテンシャル
区分
設備容量(千kW)
年間発電量(百万kWh)
①
ボイラ発電
94
757
②
メタンガス発電
14
102
108
859
合計
2)試算・精査手法
ア バイオマス量の見直し
「提言書」では、発電に利用できる木質(間伐材等)のバイオマス量を 245,200t としている。
この量は、
「長野県バイオマス総合利活用マスタープラン」
(平成 16 年3月 長野県)において、林道
の片側 25m の面積を搬出可能とした場合の量である。
しかし、片側 50mは現実的に搬出可能なため、
利用できる木質バイオマス量は2倍の 490,400t とした。
なお、増加分である 245,200t 分を「提言書」と同様の方法で設備容量と年間発電量を求めると以下とな
る。
・設備容量
13,477kW
・年間発電量
106,250 千 kWh
- 139 -
イ 発電効率の見直し
「提言書」では、ボイラ発電の発電効率を 10%としている。一方、
「信州F・POWERプロジェクト」
(平成 24 年度 長野県)では、具体的なバイオマス発電施設の設置計画において、ボイラ発電の効率を
約 20%とみている。そこで、ボイラ発電の効率を 10%から 20%に変更し、ポテンシャルを「提言書」の
2倍と試算した。
なお、メタン発酵発電に関しては「提言書」の発電効率 25%から変更しない。
ウ 熱利用との競合
ボイラ発電に使用する燃料は、後述のバイオマス熱利用する薪・ペレットと競合する。
このため、競合分である 948TJ を差し引いた。なお、この競合分の 948TJ を換算すると以下のとおり。
・年間発電量
競合:948(TJ)×ボイラ効率:85(%)×発電効率:20(%)
×単位換算係数 277.7(kWh/GJ)=45(百万 kWh)
・設備容量
年間発電量:
(kWh)÷利用率:90(%)÷時間:
(365 日×24 時間)
=5.7(千 kWh)≒6(千 kW)
エ
算出方法
バイオマス量及び発電効率の見直し、熱利用との競合を加味した算出式を以下に示す。
●ボイラ発電のポテンシャル(設備容量)
{提言書の設備容量:37(千 kW)+バイオマス量見直し加算分の設備容量:13(千kW)}
×係数:2.0-競合:6(千 kW)=94(千 kW)
●ボイラ発電のポテンシャル(年間発電量)=
{提言書の年間発電量:295(百万 kWh)
+バイオマス量見直し加算分の年間発電量:106(百万 kWh)}×係数:2.0-競合:45(百万 kWh)
=757(百万 kWh)
●メタン発酵発電のポテンシャル(設備容量)
提言書の設備容量:14 千 kW
●メタン発酵発電のポテンシャル(年間発電量) 提言書の年間発電量:102 百万 kWh
(4)地熱発電
1)結果
図表1のとおり。
2)試算・精査手法
「平成 23 年度環境省報告」では、地熱発電のポテンシャルに関する新たな知見が示されていないことか
ら、変更をしていない。
(5)風力発電
1)結果
図表1のとおり。
2)試算・精査手法
「平成 23 年度環境省報告」では、風力発電のポテンシャルに関する新たな知見が示されていないことか
ら、変更をしていない。
- 140 -
(6)温泉熱発電
1)結果
「提言書」ではポテンシャルを算出していないため、温泉熱発電を追加した。ポテンシャルの試算結果
は、図表8のとおり。
図表8 長野県の温泉熱発電のポテンシャル
区分
設備容量(千kW)
温泉熱発電
年間発電量(百万kWh)
7
60
2)試算・精査手法
温泉熱発電は、源泉温度 95℃以上、湧出量 100L/分程度以上の温泉を対象とした。
源泉温度は、環境省が実証実験中(平成 22 年度から3ヵ年の予定)の新潟県松之山温泉の源泉温度が 97℃
のため、95℃以上とした。
なお、発電後の戻り湯温度は、
「NEDO 再生可能エネルギー技術白書」
(平成 22 年7月 独立行政法人新
エネルギー・産業技術総合開発機構)より 50℃とした。
湧出量は、50kW 級の温泉熱発電装置で 250L/分程度必要※であるが、平成 24 年度現在では、20kW 級の温
泉熱発電装置も開発されており 100L/分程度以上とした。
※ 「平成 22 年度 地域新エネルギー・省エネルギービジョン策定等事業 報告書 (温泉発電事業導入可能性調査)
」
(平成 23 年2月 静岡県企業局)
。
図表9に、年間利用熱量を算出するための情報を整理した。
図表9
温泉熱発電の発電量の算出根拠
対象地域
(箇所)
湧出量
(L/分)
源泉温度
(℃)
発電効率
(%)
設備容量
(kW)
発電量
(百万 kWh/年)
※1
※1
※1
※2
※3
※3
39~3,206
0.3~28.1
6,862
60.1
8
91~7,656
合
95~98
計
13.053
※1 「日本温泉・鉱泉分布図及び一覧(第2版)
」
(平成 17 年 3 月 独立行政法人産業技術総合研究所)
※2 「2050 年自然エネルギーにおける地熱エネルギーの貢献(江原幸雄 他 2008)
」
(日本地熱学会誌第 30 巻 第3号)
※3 下記計算式参照
●温泉熱発電のポテンシャル(設備容量)
湧出量(L/分)×{源泉温度(℃)-発電後戻り湯温度:50(℃)}÷60(秒)
×単位換算:4.184(J/kcal)×発電効率(%)÷100=6.9(千 kW)≒7(千 kW)
●温泉熱発電のポテンシャル(年間発電量)
設備容量(kW)×365(日)×24(時間)÷1,000,000=60.1(百万 kWh)≒60(百万 kWh)
- 141 -
(7)太陽熱利用
1)結果
太陽光発電と太陽熱利用の競合を加味した、長野県の太陽熱利用のポテンシャルは図表 10 のとおり。
図表 10 長野県の太陽熱利用のポテンシャル
区分
年間利用熱量(TJ)
太陽熱利用
8,880
2)試算・精査手法
「提言書」では、太陽光発電と太陽熱利用の設置場所の競合が考慮されていない。このため、経済産業
省「平成 22 年度新エネルギー等導入促進基礎調査事業(太陽光発電及び太陽熱利用の導入可能量に関する
調査)
」
(2011 年2月)に準じ、以下①~③の競合を設定した。
① 戸建住宅:全てに太陽熱利用(6㎡/戸)を設置。残りの設置可能面積に太陽光発電を設置。
(熱電負荷考慮・太陽熱利用優先ケース)
② 集合住宅:屋根・屋上は、設置可能面積の 100%に太陽光発電を設置。側壁(ベランダ)には、太陽
熱利用(4㎡/戸)のみを設置。
③ 非住宅系建物:競合する施設の屋根・屋上は、設置可能面積の 50%に太陽光発電、50%に太陽熱利
用を設置。競合しない施設(木材・木製品製造業、冷蔵庫以外の産業分野)では、
設置可能面積の 100%に太陽光発電を設置。側壁は、設置可能面積の 100%に太陽光
発電を設置。
この経済産業省の資料「長野県の太陽熱利用の設置面積」等から図表 11 のとおり整理し、年間利用熱量
を求めた。
図表 11 長野県の太陽熱利用の年間利用熱量の試算根拠
①
戸別住宅
設置面積
(千m2)
②
集合住宅
設置面積
(千m2)
③
非住居系建
物設置面積
(千m2)
④
最適角
(kwh/㎡/日)
×
平均日射量
(TJ/百万kWh)
※1
⑤
集熱効率
算出根拠
※3
※2
1,524
782
1,142
3.92×3.6
0.5
(①+②+③)×④×⑤×365
※1 非住居系の建物は、設置可能面積の 50%を太陽熱利用とした。
※2 「提言書」と同じ条件
※3 「新築住宅への太陽新技術等提案事業」
(平成 23 年度 東京都)の最新事例による 0.5 とした。
なお、年間利用熱量の算出式は、
「提言書」と同じく次のとおり。
●年間利用熱量(TJ)
太陽熱パネル設置面積(m2)×最適角平均日射量(GJ/m2・年)×集熱効率×365(日/年)
=8,880(TJ)
- 142 -
(8)バイオマス熱利用
1)結果
バイオマス熱利用とバイオマス発電におけるバイオマス燃料の競合を加味した、長野県のバイオマス熱
利用のポテンシャルは、図表 12 のとおり。
図表 12 長野県のバイオマス熱利用のポテンシャル
区分
年間利用熱量(TJ)
① 薪・ペレット
948
② バイオマス発電の廃熱利用
9,277
合計
10,225
2)試算・精査手法
「提言書」では、バイオマス熱利用は、
「薪・ペレット」
、
「直接燃焼」
、
「メタン発酵」の3分類でポテン
シャルが示されている。しかし、
「薪・ペレット」と「直接燃焼」の燃料のポテンシャル及び「直接燃焼」
と「メタン発酵」で使用するバイオマスが重複するため、次の①②の分類で再設定した。
① 薪・ペレット:薪やペレットを燃料とした、ストーブやボイラでの熱利用
② バイオマス発電の廃熱利用:バイオマス発電(ボイラ発電及びメタンガス発電)の廃熱利用
【薪・ペレット】
「長野県森林づくりアクションプラン」
(2011 年7月)では、
「チップ・バイオマスの素材生産量」
、
「発
電用の木質バイオマスの生産量」の平成 32 年度の目標値を定めている。これらの差分を「バイオマス熱
利用する薪・ペレットの素材生産量」と位置づけ、年間利用熱量(ポテンシャル)を算出した。なお、
薪・ペレットは「提言書」と同じくストーブやボイラで利用することとした。年間利用熱量を算出する
ために用いたデータは、図表 13 のとおり。
図表 13 長野県の薪・ペレットの年間利用熱量の算出根拠
①
チップ・バイオマス
の素材生産量
(H32年度目標値)
(千m3)
②
発電用
木質バイオマス
(H32年度目標値)
(千m3)
③
木質バイオマス
容積密度
(t/m3)
④
単位発熱量
(GJ/t)
※1
※1
※2
※3
217
75
算出根拠
0.428
15.60
(①-②)×③×④
(注)各数値の根拠は次のとおり。
※1 「長野県森林づくりアクションプラン」
(平成 23 年7月 長野県)
※2 林野庁「地球温暖化の防止に向けて」アカマツとカラマツの容積密度の平均値
※3 「提言書」
●バイオマス熱利用する薪・ペレットの素材生産量(千 m3)
チップ・バイオマスの素材生産量(千 m3)-発電用の木質バイオマスの生産量(千 m3)
=142(千 m3)
●年間利用熱量(TJ)
薪・ペレットの素材生産量(千 m3)×木質バイオマス容積密度(t/ m3)×単位発熱量(GJ/t)
=948(TJ)
- 143 -
【バイオマス発電の排熱利用】
「信州F・POWERプロジェクト」
(平成 24 年度 長野県)では、具体的なバイオマス発電施設の設
置計画において、エネルギー換算で発電量の3倍の排熱利用を見込んでいる。この計画に準じて試算した。
●年間利用熱量(TJ)
バイオマス発電の年間発電量:859(百万 kWh)×廃熱利用の係数:3
×単位換算:3.6(TJ/百万 kWh)=9,277(TJ)
(9)地中熱利用
1)結果
図表2のとおり。
2)試算・精査手法
「平成 23 年度環境省報告」では、地中熱発電のポテンシャルに関する新たな知見が示されていないこと
から、変更をしていない。
(10)温泉熱利用
1)結果
「提言書」ではポテンシャルを算出していないため、追加した。ポテンシャルの試算結果は、図表 14 のと
おり。
図表 14 長野県の温泉熱利用のポテンシャル
区分
年間利用熱量(TJ)
温泉熱利用
2,511
2)試算・精査手法
総務省の「再生可能エネルギー資源等の賦存量等の調査についての統一的なガイドライン」
(平成 23 年
3月 緑の分権改革推進会議)
(以下「総務省報告」という。
)を参考に、源泉温度が 50℃以上、湧出量が
20L/分以上の温泉を対象とした。
「総務省報告」には、県別の賦存量や推定利用可能量が記載されているが、温泉熱発電の競合を加味す
る必要があるため、別途試算した。
また、温泉熱利用は、以下のカスケード利用をすることとした。
① 一次利用 源泉から温泉利用までの温度差を活用
② 二次利用 温泉利用後の温水と、この温水の熱利用後の排水との温度差を活用
【一次利用】
【一次利用】
年間利用熱量(ポテンシャル)は、温泉としての利用を前提に、源泉温度と浴用温度の差から求めた。
浴用温度は、
「山ノ内町地域新エネルギー・省エネルギー重点ビジョン 報告書」
(平成 23 年2月 山
ノ内町)や「温泉との身近な共生の可能性-カスケード利用を中心として-」
(独立行政法人産業技術総
合研究所資料)を参考に 45℃(実際のホテルの浴用泉温)とした。
なお、95℃以上の温泉は発電に利用するため対象から差し引いた。しかし、発電後の 50℃の戻り湯が
あるため、45℃との温度差を温泉熱利用のポテンシャルとして加えた。
- 144 -
【二次利用】
二次利用】
年間利用熱量(ポテンシャル)は、温泉利用後の温水と、この温水の熱利用後の排水との温度差から
求めた。
「温泉との身近な共生の可能性-カスケード利用を中心として-」
(独立行政法人産業技術総合
研究所資料)を参考に、温泉利用後の温水温度を 35℃、排水温度を 25℃とした。また、湯量は湧出量の
半分として設定した。
温泉データの集計は、
「日本温泉・鉱泉分布図及び一覧(第2版)
」
(平成 17 年3月 独立行政法人産
業技術総合研究所)の源泉の温度と湧出量の長野県データを用いた。
【条件整理】
以下の条件により、図表 15 のとおり年間利用熱量を算出した。
●一次利用
源泉温度 50℃以上・湧出量 20L/分以上を対象(※ただし、95℃以上は、発電利用のため 50℃で加算)
浴用温度 45℃
●二次利用
温泉利用後の湯温 35℃・排水温度 25℃・湯量は湧出量の半分
図表 15 長野県の温泉熱の年間利用熱量
項
該当
源泉数
目
年間利用熱量
備
考
(TJ/年)
温泉熱発電の戻り湯を利用
8
180
温泉熱発電利用の戻り湯を 50℃とし、45℃ま
での差分を利用する。
温度が 50℃以上で 95℃未満、
湧出量が 20L/分以上の源泉
を直接利用
30
1,770
源泉温度 50℃以上 95℃未満、湧出量が 20L/
分以上の源泉について、45℃までの差分を利
用する。
一次利用後の湯を利用
38
561
温泉利用後の湯量を湧出量の半分、湯温を
35℃とし、この熱利用後の排水温度 25℃まで
の差分を利用する。
一次
利用
二次
利用
合
計
2,511
出典 「日本温泉・鉱泉分布図及び一覧(第2版)
」
(平成 17 年3月 独立行政法人産業技術総合研究所)
なお、年間利用熱量の算出式は以下である。
●年間利用熱量(TJ) 一次利用+二次利用
一次利用
Σ{各源泉の湧出量(L/分)※×(各源泉の温度(℃)-45(℃))}
×365(日)×24(時間)×60(分)×単位換算係数 4.184×10-9(TJ/kcal)
二次利用
Σ{各源泉の湧出量(L/分)※×0.5×(35(℃)-25(℃))}
×365(日)×24(時間)×60(分)×単位換算係数 4.184×10-9(TJ/kcal)
※温泉湯量1L を1kg として計算
- 145 -
(11)雪氷熱利用
1)結果
「提言書」ではポテンシャルを算出していないため、追加した。ポテンシャルの試算結果は図表 16 のと
おり。
図表 16 長野県の雪氷熱利用のポテンシャル
区分
年間利用熱量(TJ)
雪氷熱利用
21
2)試算・精査手法
長野県の推定利用可能量は、
「総務省報告」における道路及び施設での除雪集積可能な雪量とした。
(12)BDF利用
1)結果
図表3のとおり。
2)試算・精査手法
「平成 23 年度環境省報告」では、BDF 利用に関する新たな知見が示されていないことから、変更をして
いない。
- 146 -
3 長野県における自然エネルギーの全ポテンシャル(再掲)
長野県における自然エネルギーのポテンシャル量(電気、熱、燃料)を熱量に換算し、統合した全体量は、図表
17・18 に示すとおり。
図表 17 長野県における自然エネルギーポテンシャル(熱量換算)
区分
電気
熱量(TJ)
太 陽 光
31,025
小 水 力
18,803
バイオマス
3,092
地
熱
13,223
風
力
1,494
温 泉 熱
216
小計
67,853
太 陽 熱
8,880
バイオマス熱
10,225
地 中 熱
3,426
温 泉 熱
2,511
雪 氷 熱
21
熱
小計
燃料
25,063
BDF燃料
合
295
計
93,211
(参考)100 万 kwh=3.6TJ、1,000KL=38TJ
図表 18 長野県における自然エネルギーポテンシャルの割合
雪氷熱
0%
地中熱
4%
温泉熱
3%
BDF燃料
0%
燃料 0.3%
熱 26.9%
バイオマス熱
11%
太陽光(電気)
33%
太陽熱
10%
温泉熱(電気)
0%
風力(電気)
2%
地熱(電気)
14%
小水力(電気)
20%
電気 72.8%
バイオマス(電気)
3%
- 147 -
資料8 「長野県環境エネルギー戦略」実行体制
プロセス
市町村
県民・事業者
関係団体
進行管理
知事
環境審議会
意見
制度
運用
Plan
県
及
び
各
主
体
に
よ
る
取
組
Do - 実行 -
毎
年
実
施
Check
適
宜
実
施
Action - 改善 -
- 計画 -
長野県
地球温暖化対策
条例
施策・事業
長野県
省エネ・自然エネ
推進本部
予算
執行
連携
県民・事業者
策
定
答申
市町村
関係団体
報告
長野県
省エネ・自然エネ
推進本部
環境審議会
- 点検 -
意見
公表・通知
市町村
県民・事業者
関係団体
制度・施策・事業
長野県
省エネ・自然エネ
推進本部
関係部局
改善
評価
県の実行体制
長野県省エネルギー・自然エネルギー推進本部
本部長: 知事
本
部
副本部長: 副知事
幹事長: 環境部長
幹
事
会
幹事: 全主管課長、財政課長、財産活用課長、
市町村課長、温暖化対策課長
本部員: 全部局長
作
業
部
会
部会長: 温暖化対策課長
部会員: 関係部局の職員
事務局: 環境部温暖化対策課
- 148 -
計
画
見
直
し
・
次
期
計
画
へ
反
映
資料9 用語解説
[あ]
アイドリングストップ
信号待ち、荷物の積み下ろし、短時間の買物などの駐停車の時に、自動車のエンジンを停止させること。
アセットファイナンス
アセット(資産)の担保価値に依存して行われる資金調達のこと。資産金融とも呼ばれる。
[い]
イクレイ(ICLEI)持続可能性をめざす自治体協議会
持続可能な開発を公約した自治体及び自治体協会で構成された国際的な連合組織。地域レベルでの持続可能
な開発を推進するために、人材の養成、知識の共有をし、自治体を支援するために技術コンサルタント、トレ
ーニング、情報サービスを提供している。
一次エネルギー
自然界に存在するままの形でエネルギー源として利用されているもので、石炭や石油などの化石燃料、原子
力の燃料であるウラン、水力・太陽・地熱などの自然エネルギーなど自然から直接得られるエネルギーのこと
で、一次エネルギー供給量は、最終エネルギー消費量に発電所などでのエネルギー転換ロスを加えたもの。
これに対し、電気・ガソリン・都市ガスなど、一次エネルギーを変換又は加工して得られるエネルギーを二
次エネルギーという。
一般廃棄物
産業廃棄物以外の廃棄物。一般廃棄物は、更に「ごみ」と「し尿」に分類される。また、「ごみ」は商店、
オフィス、レストラン等の事業活動によって生じた「事業系ごみ」と一般家庭の日常生活に伴って生じた「家
庭ごみ」に分類される。
一酸化二窒素(N2O)
常温常圧では無色の気体。麻酔作用があり、笑気とも呼ばれる。温室効果の強さは、二酸化炭素を1とする
と、亜酸化窒素では約 100 倍である。物の燃焼や窒素肥料の施肥などが発生原因であると言われている。
[え]
エコアクション 21
中小企業等においても容易に環境配慮の取組を進めることができるよう、環境マネジメントシステム、環境
パフォーマンス評価及び環境報告を統合した環境配慮ツール。幅広い事業者に対して、環境への取組を効果
的・効率的に行うシステムを構築するとともに、環境への取組に関する目標を持ち、行動し、結果を取りまと
め、評価し、報告するための方法を提供する。
エコドライブ
環境負荷の軽減に配慮した自動車の運転方法。
エネルギー基本計画
エネルギー政策の基本的な方向性を示す計画で、エネルギー政策基本法第 12 条の規定に基づき政府が作成
する。
- 149 -
エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)
内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保に資するため、工
場等、輸送、建築物及び機械器具について、エネルギーの使用の合理化に関する所要の措置その他エネルギー
の使用の合理化を総合的に進めるために必要な措置等を講ずることとし、もって国民経済の健全な発展に寄与
することを目的とした法律である。2008(平成 20)年の法改正(2010(平成 22)年4月より施行)において、
工場・事業場単位でのエネルギー管理から、企業単位でのエネルギー管理を義務付け、業務部門における省エ
ネルギー対策を強化した。
[お]
オゾン層
地上から約 20~40km の上空にある比較的オゾン濃度の高い大気層のこと。太陽光に含まれる有害紫外線の
大部分を吸収し、地球上の生物を保護する役割がある。
温室効果ガス(GHG:green house gas)
大気を構成する気体であって、赤外線を吸収し、再放出する気体。温対法では、二酸化炭素、メタン、一酸
化二窒素、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、六ふっ化硫黄の6種類を温室効果ガスとして
規定している。
[か]
カーフリーデー
都市における自動車の利用と、それを通じた都市生活のあり方を見直すことを呼びかけるキャンペーン。
カーボンオフセット
直接的な施策によって削減できない二酸化炭素(カーボン)を、森林吸収源を守る植林やクリーンエネルギ
ーなどの事業に投資することなどにより、排出した分を相殺(オフセット)する仕組みのこと。
革新的エネルギー・環境戦略
2012(平成 24)年9月に開催された第 14 回エネルギー・環境会議において決定された。
省エネルギー・再生可能エネルギーといったグリーンエネルギーを最大限に引き上げることを通じて、原発
依存度を減らし、化石燃料依存度を抑制することを基本方針とし、
「原発に依存しない社会の一日も早い実現」、
「グリーンエネルギー革命の実現」、「エネルギーの安定供給」の三つの柱を掲げている。
化石燃料
原油、天然ガス、石炭やこれらの加工品であるガソリン、灯油、軽油、重油、コークスなどをいう。一般的
に石油、天然ガスは微生物、石炭は沼や湖に堆積した植物が、長い年月をかけて地中の熱や圧力などの作用を
受けて生成したといわれている。燃焼により、地球温暖化の主要な原因物質である二酸化炭素を発生する。
環境基本計画 (国)
環境基本法第 15 条に基づき、政府全体の環境保全施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、総合的かつ
長期的な施策の大綱などを定める計画である。1994(平成6)年に第1次計画、2000(平成 12)年に第2次計
画、2006(平成 18)年に第3次計画が閣議決定された。また、基本法に基づき、各自治体が各々の計画を策定
している。
環境CSR(Corporate Social Responsibility)
企業の社会的責任。企業の日々の経営活動の中に社会的公正や環境への配慮を組み込み、株主や取引先のみ
でなく、従業員、消費者、地域社会など多様な利害関係者に対して責任のある行動をとっていくという考え方。
- 150 -
環境性能表示
建築物の性能に関する事項を表示するための共通ルールを定めて相互比較しやすくし、客観的に住宅の性能
評価を行い、表示される建築物の性能についての信頼性を確保する制度。
環境マネジメントシステム(EMS)
事業者が自主的に環境保全に関する取組を進めるに当たり、環境に関する方針や目標等を自ら設定し、これ
らの達成に向けて取り組む仕組みのこと。(例:ISO140001・エコアクション 21 など)
環境マイスター (自動車)
消費者が自動車を購入する際に、地球温暖化防止、省エネルギー、グリーン購入等、エコロジーに適切な知
識、情報をもった販売員(環境マイスター)が対応することにより、より環境負荷が少ない商品を適切に選択
できるように促す。
間伐
植林後、ある程度育ってから主伐されるまでの間に、繰り返し実施される間引き伐採のこと。
[き]
気候変動に関する国際連合枠組条約(気候変動枠組条約)
地球温暖化対策に関する取組を国際的に協調して行っていくため、1992 年(平成4年)5月に採択され、1994
年(平成6年)3月に発効した。本条約は、気候系に対して危険な人為的影響を及ぼすこととならない水準に
おいて、大気中の温室効果ガス濃度を安定化することをその究極的な目的とし、締約国に温室効果ガスの排
出・吸収目録の作成、地球温暖化対策のための国家計画の策定とその実施等の各種の義務を課している。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)
1988 年(昭和 63 年)に、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立。各国の研究者が地球温
暖化問題に関する科学的知見をまとめ、地球温暖化対策に科学的基礎を与える公式の場。地球温暖化に関する
科学的・技術的・社会経済的な評価を行い、得られた知見を政策決定者はじめ、広く一般に利用してもらうこ
とを任務とする。5~6年ごとに地球温暖化について網羅的に評価した評価報告書を発表するとともに、適宜、
特別報告書や技術報告書、方法論報告書を発表している。
京都議定書
1997(平成9)年 12 月に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)において採択され
た、拘束力を有する法的文書。2000(平成 12)年以降の先進国の地球温暖化対策として、法的拘束力のある数
値目標が決定され、具体的に削減対象ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、代替フロン等)と、1990 (平
成2)年比の削減目標(先進国全体で 5.2%、日本は6%、欧州は8%削減など)、達成期間(2008(平成 20)
年から 2012(平成 24)年の間)を定めている。国際的に協調して目標を達成するための仕組みとして、排出
量取引、共同実施(JI)、クリーン開発メカニズム(CDM)などの新たな仕組みが合意され、これらを京都メカニ
ズムという。2005(平成 17)年2月に発効。
京都議定書目標達成計画
地球温暖化対策の推進に関する法律第8条に基づき、2005(平成 17)年4月に閣議決定され、2008(平成
20)年3月に改定された、京都議定書によるわが国の6%削減約束を達成するために必要な対策・施策を盛り
込んだ計画。
[く]
グリーンエネルギー証書
自然エネルギー由来の電力や熱利用の環境付加価値(化石燃料削減、二酸化炭素排出量削減)を切り離して
証書化し、取引できるようにしたもの。風力や太陽光などの電力利用分を取引するものが「グリーン電力証書」、
太陽熱やバイオマスなどの熱利用分を取引するものが「グリーン熱証書」。
- 151 -
グリーン購入
製品やサービスを購入する際に、その必要性を十分に考慮し、購入が必要な場合には、できる限り環境への
負荷が少ないものを優先的に購入すること。
[け]
経済協力開発機構(OECD)
世界経済の発展、途上国経済の健全な拡大、多角的かつ無差別な世界貿易の拡大のための政策の推進を目的
とした国際機関であり、現在 34 か国が加盟している。
[こ]
国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)
28 の加盟国が、その国民に信頼できる、安価でクリーンなエネルギーを提供する為の諮問機関。当初 1973-74
年の第 1 次石油危機を契機に加盟国の石油供給危機回避と安定したエネルギー需給構造を確立することを目的
に設立された。
国際連合環境計画(UNEP:United Nations Environment Programme)
国際連合の機関として、環境に関する諸活動の総合的な調整を行なうとともに、新たな問題に対しての国際
的協力を推進することを目的としている。
固定価格買取制度(FIT:フィード・イン・タリフ)
再生可能エネルギーにより発電された電気の買取価格を法令で定める制度で、主に、再生可能エネルギーの
普及拡大を目的としている。再生可能エネルギー発電事業者は、発電した電気を電力会社などに、一定の価格
で、一定の期間にわたり売電できる。ドイツ、スペインなどでの導入の結果、風力や太陽光発電が大幅に増加
した実績などが評価され、採用する国が増加している。一方で、国民負担の観点にも配慮が必要である。
コペンハーゲン合意
2009(平成 21)年 12 月に開催された COP15 において首脳級での協議等を経て、米中等の主要国を含む形で
取りまとめられた合意。世界全体の気温の上昇が2℃以内にとどまるべきであるとの科学的見解を認識し、長
期の協力行動を強化すること、先進国や途上国の削減目標・行動の登録、気候変動対策に取り組む途上国に対
する短期資金や長期資金の支援の実施などが合意された。
[さ]
再使用(リユース)
いったん使用された製品や部品、容器等を再使用すること。具体的には、
(1)あるユーザーから回収された
使用済み機器等をそのまま、もしくは修理などを施した上で再び別のユーザーが利用する「製品リユース」、
(2)
製品を提供するための容器等を繰り返し使用する「リターナブル」、(3)ユーザーから回収された機器などか
ら再使用可能な部品を選別し、そのまま、もしくは修理等を施した上で再度使用する「部品リユース」などが
ある。
最終エネルギー消費量
最終消費者に利用されたエネルギーの消費量で、一次エネルギー供給量から、発電所などのエネルギー転換
のロスを除いたもの。最終エネルギーには二次エネルギーが利用される場合と、石炭などのような一次エネル
ギーがそのまま利用される場合がある。
最大電力
ある一定期間において、使用される電力の最大値をいい、通常1時間平均値で表す。1年の中で最大の値が
その年の最大需要となる。
- 152 -
サプライチェーン
原材料の調達から製造・販売・物流を経て、需要者に製造した商品が届くまでの一連の流れのこと。
三フッ化窒素(NF3)
無色、有毒、無臭、不燃性、助燃性の気体で、半導体化学でエッチング液として使われるため、使用は増加
傾向にある。
[し]
次世代省エネルギー基準
「住宅の省エネルギー基準」(日本の断熱化基準)とも言う。1999(平成 11)年3月に建設省において改正
された。日本の地域ごとに断熱性能の要求が違い、Ⅰ地域からⅥ地域までの6つの地域区分にわけられ、市区
町村単位で決められている。基準は、「住宅全体の断熱性能に関する住宅に係るエネルギーの使用の合理化に
関する建築主の判断と基準」「外壁、窓などの断熱性能に関する住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関す
る設計及び施工の指針」によって定められている。
次世代自動車
ガソリン車やディーゼル車と比べて、環境への負荷を低減させる新技術を搭載した自動車。電気自動車(EV)、
ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、クリーンディーゼル自動車、天然ガ
ス自動車などがある。
自然エネルギー
自然エネルギーとは、次の「自然エネルギー源」を利用して得られるエネルギーのこと。自然エネルギー源
としては、太陽光、風力、小水力・太陽熱、地熱その他の自然界に存する熱、バイオマスがある。
循環型社会
大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会に代わるものとして提示された概念。循環型社会形成推進基本法で
は、第一に製品等が廃棄物等となることを抑制し、第二に排出された廃棄物等についてはできるだけ資源とし
て適正に利用し、最後にどうしても利用できないものは適正に処分することが徹底されることにより実現され
る、「天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り低減された社会」としている。
省エネ診断
工場やビルなどの施設を省エネの専門家が診断し、現状把握と光熱費や温室効果ガス排出量を削減する改善
提案を行うこと。
消化ガス
バイオガスの一種で、下水汚泥の嫌気性発酵により発生するもの。
新成長戦略
2010(平成 22)年6月 18 日に閣議決定された経済成長戦略。強みを活かす成長分野として、グリーン・イ
ノベーションによる環境・エネルギー大国戦略及びライフ・イノベーションによる健康大国戦略を掲げるとと
もに、これらのほかアジア経済戦略、観光立国・地域活性化戦略、科学・技術・情報通信立国戦略、雇用・人
材戦略及び金融戦略の7つの戦略分野について基本方針と目標を定めている。
森林吸収源対策
森林はその成長の中で、大気中の二酸化炭素を吸収し、幹や枝等に長期間にわたって蓄積するなど二酸化炭
素の吸収、貯蔵庫として重要な役割を発揮する。
- 153 -
[す]
スマートグリッド
電力需給両面での変化に対応し、電力利用の効率化を実現するために、情報通信技術を活用して効率的に需
給バランスをとり、生活の快適さと電力の安定供給を実現する電力送配電網のこと。
スマートメーター
スマートグリットを構成する重要な一要素である双方向通信機能を有する電子式メーター。
[せ]
世界大都市気候先導グループ(C40:The Large Cities Climate Leadership Group)
前ロンドン市長によって提唱・創設された都市ネットワークで、気候変動対策に取り組む大都市で構成され
ている。日本では、東京都及び横浜市が参加している。
[た]
ダストブロワー
高圧ガスを噴射し、ほこりなどの粉じん除去や静電気除去の目的で使用されるもの。グリーン購入法により、
ノンフロンダストブロワーの調達を推進している。
[ち]
地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)
地球温暖化対策を推進するための法律。京都議定書目標達成計画の策定や、地域協議会の設置等の国民の取
組を強化するための措置、温室効果ガスを一定量以上排出する者に温室効果ガスの排出量を算定して国に報告
することを義務付け、国が報告されたデータを集計・公表する「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」
等について定めたもの。
地球温暖化対策税(環境税)
税制による地球温暖化対策を強化するとともに、エネルギー起源 CO2 排出抑制のための様々な政策を実施し
ていく観点から導入された税。原油やガス、石炭といった全化石燃料に対して、CO2 排出量を踏まえて税率を
課す。
地球温暖化防止活動推進員
地球温暖化対策の推進に関する法律第 23 条に基づき、地球温暖化防止の啓発普及や実践活動を推進するた
め、県知事が委嘱している。推進員は、地球温暖化の現状や地球温暖化対策に関する知識の普及及び地球温暖
化対策の推進を図る活動を行う。
地球温暖化防止活動推進センター
地球温暖化の現状や地球温暖化対策の重要性に関する啓発・広報活動、地球温暖化防止活動推進員や民間の
団体の支援活動等を行う組織。地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき設置。県においては、2001(平成
13)年5月に一般社団法人長野県環境保全協会を指定。
地方公共団体実行計画
地球温暖化対策の推進に関する法律第 20 条の3第1項に基づき、都道府県及び市町村は、京都議定書目標
達成計画に即して、当該都道府県及び市町村の事務及び事業に関し、温室効果ガスの排出の量の削減並びに吸
収作用の保全及び強化のための措置に関する計画を策定することとされている。また、同法第 20 条の3第3
項に基づき、都道府県並びに政令市、中核市及び特例市は、区域の自然的社会的条件に応じて温室効果ガスの
排出の抑制等を行うための施策を策定することとされている。
- 154 -
[て]
電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再生可能エネルギー促進
法)
電気についてエネルギー源としての再生可能エネルギー源の利用を促進するため、2011(平成 23) 年に制
定された。電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関し、その買取価格や期間等について定めてい
る。
電気自動車(EV)
バッテリーに蓄えた電気でモーターを回転させて走る自動車のこと。排気ガスを出さず、騒音も少ないため、
地球に優しい自動車である。将来は再生可能エネルギー電力を使い、温暖化対策、石油枯渇対策にも資するこ
とが期待されるが、まだ初期コストが高いこと、ガソリン車と同じ用途で利用しようとすれば航続距離が短い
などの課題もある。
[と]
特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収・破壊法)
オゾン層の破壊や地球温暖化に深刻な影響をもたらすフロン類の大気中への排出を抑制するため、特定製品
に使用されているフロン類の回収及び破壊を実施するための措置等を定めた法律。2006(平成 18)年6月に改
正され、機器の廃棄時にフロン類の回収行程を管理する制度が導入されたほか、整備時の回収義務の明確化等
が盛り込まれ、2007(平成 19)年 10 月1日に施行された。
都市の低炭素化の促進に関する法律(エコまち法)
都市における二酸化炭素の排出量を減らして低炭素都市を実現することを目的としている。また、東日本大
震災を機に節電など企業や消費者による省エネの意識が高まっていることを踏まえて、都市や交通分野での低
炭素化や省エネに関する成功事例を蓄積し、その普及を図るとともに、市町村による低炭素まちづくり計画の
作成や低炭素建築物新築等計画の認定制度を定めている。
トップランナー方式
省エネ法に基づく機器のエネルギー消費効率基準の策定方法。エネルギー多消費機器のうち、省エネ法で指
定する特定機器の省エネルギー基準を各々の機器において、基準設定時に商品化されている製品のうち「最も
省エネ性能が優れている機器(トップランナー)」の性能以上に設定する制度。
[に]
二酸化炭素(エネルギー起源)
石油や石炭を燃やして発電することや、ガソリンを消費して車を走らせたりしてエネルギーを生み出すため
に排出される二酸化炭素。一方、ごみの焼却などで排出される二酸化炭素を非エネルギー起源とし、区分して
いる。
日本再生戦略
2020(平成 32)年度までの経済成長戦略をまとめたもの。医療、環境、農林漁業の三つを重点分野とし、平
均で名目3%、実質2%の経済成長を目指す。2010(平成 22)年6月に閣議決定された「新成長戦略」をもと
に、東日本大震災を踏まえて発展させた。
[は]
ハイドロフルオロカーボン(HFC)
オゾン層を破壊しないことから、CFC や HCFC の規制に対応した代替物質として 1991 年頃から使用され始
めた化学物質で、近年、その使用が大幅に増加している。HFCs は自然界には存在しない温室効果ガスで、100
年間の地球温暖化係数は、二酸化炭素の数百~11,700 倍と大きい。1997(平成9)年に採択された京都議定
書には削減対象の温室効果ガスの一つに加えられた。
- 155 -
パーフルオロカーボン(PFC)
1980 年代から、半導体のエッチングガスとして使用されている化学物質で、人工的温室効果ガス。HFCs ほ
どの使用量には達しないものの、CFCs の規制とともに、最近、使用量が急増している。100 年間の地球温暖化
係数は、二酸化炭素の数千倍。京都議定書で削減対象の温室効果ガスの一つ。
ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)
フロンの一種。CFC の代替物質として使用される。オゾン層破壊物質であり、モントリオール議定書の削減
規制対象物質である。オゾン層破壊係数は CFC よりも小さい。また、強力な温室効果ガスである。
バイオマス
再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの。廃棄物系バイオマスとしては、廃棄される紙、
家畜排せつ物、食品廃棄物、建設発生木材、黒液、下水汚泥などがある。主な活用方法としては、農業分野に
おける飼肥料としての利用や汚泥のレンガ原料としての利用があるほか、燃焼して発電を行ったり、アルコー
ル発酵、メタン発酵などによる燃料化などのエネルギー利用などもある。
バイオマス発電
バイオマス資源を直接あるいはガス化して燃やすことによって、電気を起こす発電方法。
排出係数
エネルギー消費量あたりの CO2 排出量。電力量あたり CO2 排出量は毎年変動し、電力会社や環境省から発表
される。燃料ごとの CO2 排出量は環境省から発表される。類似の言葉として、生産量・輸送量など活動量あた
り CO2 排出量を「CO2 原単位」という。
発生抑制(リデ゙ュース)
廃棄物の発生自体を抑制すること。リユース、リサイクルに優先される。リデュースのためには、事業者に
は原材料の効率的利用、使い捨て製品の製造・販売等の自粛、製品の長寿命化など製品の設計から販売にいた
るすべての段階での取組が求められる。また、消費者は、使い捨て製品や不要物を購入しない、過剰包装の拒
否、良い品を長く使う、食べ残しを出さないなどライフスタイル全般にわたる取組が必要。
[ふ]
ファシリティマネジメント
アメリカで生まれた新しい経営管理方式。企業・団体等が保有又は使用する全施設資産及びそれらの利用環
境を経営戦略的視点から総合的かつ統括的に企画、管理、活用する経営活動。
プライベートエクイティ投資
「未公開株投資」若しくは「私募発行株式投資」などと呼ばれている。潜在成長力に富む未公開のベンチャ
ー企業などへの投資や、業績が停滞している企業に対する経営参加若しくは部門買収などを行う「バイアウト」
などを含めた投資。
フロン類
炭化水素の水素原子のいくつかが、塩素原子とフッ素原子とで置きかえられた人工のガスで、
「フロン回収・
破壊法」ではクロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロ
カーボン(HFC)のうちオゾン層破壊又は地球温暖化の原因物質を「フロン類」という。熱に強く、冷媒、溶
剤として優れた性能を持っており、エアコンや冷蔵庫のほか、半導体産業での洗浄剤、断熱材の発泡剤として
も広く利用されている。しかし、成層圏のオゾン層を破壊し、地表への有害紫外線を増加させたり、温室効果
ガスとして地球温暖化の原因となるなど、人間や生態系に影響を及ぼすおそれがあるとして国際的な規制の対
象となっている。
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プロジェクトファイナンス
特定のプロジェクトから得られるキャッシュフローを返済原資とし、プロジェクトが有する資産を担保とし
て行われる資金調達のこと。
[へ]
ベンチャーキャピタル
ベンチャー・ビジネス(研究開発型と、すきま産業型の新規企業)に投資・融資を行い、その創業と成長を
促進する専門投資会社や資金そのもの。
[み]
未利用エネルギー
河川水・下水等の温度差エネルギー(夏は大気よりも冷たく、冬は大気よりも暖かい水)や、工場等の排熱
といった、今まで利用されていなかったエネルギーを総称して、
「未利用エネルギー」と呼ぶ。種類としては、
①生活排水や中・下水の熱、②清掃工場の排熱、③超高圧地中送電線からの排熱、④変電所の排熱、⑤河川水・
海水の熱、⑥工場の排熱、⑦地下鉄や地下街の冷暖房排熱、⑧雪氷熱等がある。
[め]
メガソーラー
発電出力1メガワット(1,000kW)以上の規模を有する大規模太陽光発電所。
メタン(CH4)
京都議定書の対象ガスの一つ。工業プロセスのほか、水田や反芻動物の畜産からも発生する。
[も]
木材カスケード利用
木材資源を1回だけの使いきりにするのではなく、利用したことで性質が変わった資源や、利用時に出る廃
棄物を別の用途に使い、その後もさらに別の用途に活かす、というように、高レベルの利用から低レベルの利
用へと、多段階(カスケード)に活用することで、資源の利用効率向上につなげる。
木質ペレット
木材の端材やバークなどを粉砕し、円柱状に圧縮成型した固形燃料(直径8㎜、長さ 15 ㎜ほど)。
[り]
リサイクル
廃棄物等を再利用すること。原材料として再利用する再生利用(再資源化)、焼却して熱エネルギーを回収
するサーマル・リサイクル(熱回収)がある。
[ろ]
六ふっ化硫黄(SF6)
1960 年代から電気及び電子機器の分野で絶縁材などとして広く使用されている化学物質で、人工的な温室
効果ガス。100 年間の地球温暖化係数は、二酸化炭素の 23,900 倍。HFC、PFC とともに、京都議定書で削減対
象の温室効果ガスの一つに指定された。
- 157 -
[C]
COP
Conference of the Parties
で使われることが多い。
条約の締約国会議を意味する略称。気候変動枠組条約や生物多様性条約など
[G]
GW
ギガワット。
1GW = 1,000MW(メガワット)
=
1,000,000KW(キロワット)
=
1,000,000,000W
[I]
IRENA(国際再生可能エネルギー機関:International Renewable Energy Agency)
2009 年1月にドイツ・ボンで 75 か国の参加による設立会合が開かれ、2010 年7月に憲章が発効した。2012
年現在、日本やアメリカを含む 103 か国と欧州連合(EU)が加盟している。再生可能エネルギーの普及及び持
続可能な利用の促進を目的とし、再生可能エネルギー利用の分析・検証・体系化、政策上の助言の提供、加盟
国の能力開発支援等の活動を行っている。
ISO14001(国際標準化機構:International Organization for Standardization)
環境マネジメントシステム規格。Plan(計画)、Do(実行)、Check(点検・評価)、Act(改善)といった一
連の PDCA サイクルを回すことによって継続的な環境改善を図る。
[K]
KW
キロワット。(GW参照)
[L]
LRT(軽量軌道交通:Light Rail Transit)
低床式車両の活用や軌道・電停の改良による乗降の容易性、定時性、速達性、快適性などの面で優れた特徴
を有する次世代の交通システム。
[T]
TJ
テラジュール。J (ジュール)はエネルギー量の基本単位で、T(テラ)は倍数を表す補助単位。10 の 12
乗倍(1兆倍)を意味する。
toe(原油換算トン:tonne of oil equivalent)
エネルギーの単位で1トンの原油を燃焼させたときに得られる約 42 ギガジュールのエネルギーを1ユニッ
トとしたものである。
[数字]
21 世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク(REN21)
自然エネルギーへの急速な移行を目指し、世界中の多岐にわたるステークホルダーの統率力を集結してい
る。さらに、発展途上国や先進国の経済において、自然エネルギーを有効に利用するための適切な政策を推進
するとともに、自然エネルギーに尽力するステークホルダーに幅広く開かれており、各国政府、国際機関、NGO、
業界団体、その他のパートナーシップやイニシアチブを結びつけている。また、自然エネルギーの急速な拡大
のために、個々の功績を活用し、影響力を高めている。
3R
リデュース(Reduce):廃棄物等の発生抑制、リユース(Reuse):再使用、リサイクル(Recycle):再生利
用の3つの頭文字をとったもの。
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資料 10 本文図表一覧
図表1-1 地球温暖化対策と環境エネルギー政策の関係
図表2-1 世界の最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合(2010 年)
図表2-2 世界の総発電量に占める再生可能エネルギーの割合(2011 年)
図表2-3 日本のエネルギーバランス・フロー概要(2010 年度)
図表2-4 日本における再生可能エネルギーの導入状況 年間発電電力量の構成(2010 年度)
図表2-5 気温上昇量の将来予測(日本全域・長野県を囲む領域)
図表2-6 化石燃料輸入総額の推移・国際石油価格予測
図表2-7 中部電力(株)の夏のピーク電力
図表2-8 地球温暖化対策等の地域への7つの期待と効果
図表2-9 県内の温室効果ガス総排出量の推移
図表3-1 日本とドイツにおける国内総生産(GDP)
、エネルギー消費量、
温室効果ガス(GHG)排出量の傾向比較(1990-2009)
図表3-2 エネルギー自立地域の7要素
図表3-3 温室効果ガス総排出量の削減目標
図表3-4 短期・中期目標に関する部門別排出量及び削減目標
図表3-5 部門別排出量の推移
図表3-6 最終エネルギー消費量の削減目標
図表3-7 最大電力需要の削減目標
図表3-8 自然エネルギー導入量の拡大目標
図表3-9 自然エネルギー発電設備容量の拡大目標
図表3-10 既存の水力発電の状況
図表3-11 再生可能エネルギー自給率目標(年間消費量)
図表3-12 最終エネルギー消費量・再生可能エネルギー供給量の推移
図表3-13 再生可能エネルギー自給率目標(発電設備容量)
図表3-14 最大電力需要・再生可能エネルギー発電設備容量の推移
図表4-1 「長野県環境エネルギー戦略」政策体系
図表4-2 「家庭省エネ政策パッケージ」体系
図表4-3 「事業活動省エネ政策パッケージ」体系
図表4-4 「建築物省エネ政策パッケージ」体系
図表4-5 「交通・まちづくり省エネ政策パッケージ」体系
図表4-6 「電力需要抑制対策」体系
図表4-7 「自然エネルギー政策パッケージ」体系
図表4-8 「長野県公営電気事業」体系
図表4-9 「長野県廃棄物処理計画」体系
図表4-10 「フロン類等対策」体系
図表4-11 「長野県森林づくり指針」体系
図表4-12 森林の二酸化炭素吸収量と成長量(参考)
図表4-13 「地球温暖化適応策パッケージ」体系
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