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Bomb Marketing アール・リサーチ News Letter 163 号 責任編集 柳本信一 160301 「決まっている未来」 つい先日新年のご挨拶をしたかと思ったらもう 3 月です。光陰矢のごとし、といいますがあっ という間ですね。今号も普段とはちょっと違うアプローチです。先日 2016 年 2 月 15 日、 「はて な匿名ダイアリー」に一本の記事が投稿されました。具体的な地名や保育所の種類、投稿者の性 別は伏せられているが、14 日に子供が「入所選考に落ちた」、と打ち明けています。以下全文で す。(改行は筆者) 何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ。 昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。 子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何 が不満なんだ? 何が少子化だよクソ。子供産んだはいいけど希望通りに保育園に預けるのほぼ無理だ からwって言ってて子供産むやつなんかいねーよ。 不倫してもいいし賄賂受け取るのもどうでもいいから保育園増やせよ。 オリンピックで何百億円無駄に使ってんだよ。 エンブレムとかどうでもいいから保育園作れよ。 有名なデザイナーに払う金あるなら保育園作れよ。 どうすんだよ会社やめなくちゃならねーだろ。 ふざけんな日本。 保育園増やせないなら児童手当 20 万にしろよ。 保育園も増やせないし児童手当も数千円しか払えないけど少子化なんとかしたいんだよ ねーってそんなムシのいい話あるかよボケ。 国が子供産ませないでどうすんだよ。金があれば子供産むってやつがゴマンといるんだ から取り敢えず金出すか子供にかかる費用全てを無償にしろよ。 不倫したり賄賂受け取ったりウチワ作ってるやつ見繕って国会議員を半分位クビにすり ゃ財源作れるだろ。まじいい加減にしろ日本。 1 言葉は汚いですが、 ブログは反響を呼び、17 日 17 時までにフェイスブックで 3 万回以上 シェア、はてなブックマークもおよそ 1800 ついた。ツイッターでも「まさにこれ」 「正論過 ぎる」など大反響を呼んでいます。完全匿名ですので真偽のほどは明らかにすることは出来 ず、「煽り」の可能性も否定できないのですが、どちらにせよ内容的にはぐうの音も出ませ ん。できれば選挙対策のために高齢者に 3 万円の給付をしていることにも触れてほしかった くらいです。 以 前 私 は こ の NewsLetter で 「 2030 年 確 定 し た 未 来 」 と い う 論 を 書 き ま し た 。 http://r-research.co.jp/pdf/nl130.pdf(よろしければ読んでください)。この時の状況と 現在では恐ろしく何も変わっていません。世の中にいろんな統計がありますが、人口統計は その中でも最も正確な予測です。前年に戻って出産数を増やすことはできません。当たり前 ですね。日本は相変わらず移民に対してかたくなで難民にも冷たい国です。つまり合計特殊 出生率が上向かない限り人口を増やす手段はありません。このままでいくと、 2030 年、14 年後には人口は現在より 600 万人減り生産年齢人口(15~65 歳)は約 5% 減少します。一方高齢化率は 10%増えます。私がまだ生きていると仮定すると 71 歳で すから高齢者です。年金を受給しているでしょうか。大きな病気にかからずにいられる でしょうか。高齢化社会というのは年金が増え、医療費が増大する社会です。恐らく安 倍首相がいう「一億総活躍」というのは死ぬまで働け、という意味でしょう。年金の受 給は恐らく近々70 歳まで引き上げられると思います。そうしないと破たんしてしまう からです。医療費も同様です。私の予測では高齢者の医療費も 2 割負担へと変更されま す。その先は 3 割、すなわち生産人口の負担率と同じになります。また、生産人口が減 るということは税金が少なくなります。税収が減り、年金が増え、医療費が増える社会。 これがすでに決定している 2030 年の日本の姿です。これに対して国民は大人しい。冒 頭にご紹介したブログくらいは言うのが当たり前ではないでしょうか。先日も国会中継 を見ていましたが、「ゲスの極み」不倫議員について、わいろを受け取った現職大臣の 討論をしていました。そんなことしている暇はもうないと感じます。 2 縮む一方なのです。2050 年は国としても体をなしていません。 どうすればこの道を避けることができるのか、冒頭に申しあげたように人口推計は極めて 確かなもなのです。つまりこのまま放っておけば 2050 年にはとんでもない「超超超高齢化 社会」になるのです。これを何とかしないと、日本の国力はどんどん落ちていきます。国内を マーケットとする会社は非常に厳しい将来に直面をしなければなりません。この確定した未来に 向けてあらゆる経済活動も変わるのです。 ① 人口が減る。子供の数がどんどん減る ② 高齢化が進む ③ 労働人口が減少する(ヤングプアが多くなる) ④ 結婚しない人が増える(ほぼイコール子供を産まない) ⑤ 国内市場の縮小 ⑥ 年金、医療費は着実に増える このまま放っておけばこうした社会が実現してしまうのです。 どうしたらいいのか?政治がらみの話になりますが、そうせざるを得ないのです。 人口を増やすには ・子供を産みやすい日本にしなければならない ・女性の子育てを社会全体で応援しなければならない ・出産による女性のキャリアダウンを防ぐ ・子供を持つことの費用負担を社会全体でサポートする フランスでは この 4 つを柱とした政策を実行し合計特殊出生率が 2.0 を回復しまし た。できないことではないのです。ただ合計特殊出生率を上げるだけでは駄目です。すで に子供を産む世代の人口が減っているからです。 私が住んでいる国分寺市では地域通貨「ぶんじ」 を通じて「こども、子 育てに優しい街」作りがスタートしようとしています。もう国にだけ頼るのではどうにも ならない、そう感じています。お隣の小平市は市と連携して「コダハグ」 (小平市 と 育 むの造語)が成果を上げつつあります。サイトでは「産後の大変な時期、つらかったこと、 役に立つことをシェアすることで子育ての一歩をサポートしたい。また、産後の現状やサ ポートの大切さを啓蒙することで、温かい支援の輪を築きよりよい社会を作りたい」 3 具体的には「情報の提供」 「情報の共有」を中心とした講座の開催。心と体を元気にする講 「ハグする(抱きしめる)の意味も含 座の開催。相談など。ハグには まれています。 ぶんじでも「情報の提供・シェア」 「相談に乗る」 「寄り添う」 「楽しむ」の四つを柱として 市内の商店を中心に新しい試みが始まろうとしています。 そもそも人間の子育ては一人でしょい込むには大変すぎます。先日放映された NHK スメ シャル「ママたちが非常事態」 でも取り上げられましたが 人間の赤ちゃんは(他の動物に比べて)極端な「未熟児」状態で出産されます。ポイント は以下の通り、子育ての大変さが科学の力で解明されつつあります。 ・出産後、ホルモンの変化で不安になり、落ち込むのは仕方がない(エストロゲンの急減) ・出産後、攻撃的になるのも仕方がない(ホルモンバランスの乱れ) ・子どもの夜泣きは未熟な脳のせいで育児の仕方が悪いわけではない ・人間の赤ちゃんだけなんでこんなに手間がかかるのか→二足歩行を始めた人類は骨盤が 狭くなり産道が狭く、小さな状態でしか産めなくなったから。 ・だから人間は 集団で育児をする文化だったのが近年、一人で 抱え込む文化に変貌した(核家族では育てる人が母親だけになりやすい) その結果として母親にかかる負担は増大するようになっています。冒頭のお母さんの叫び は心の底からのものでしょう。出産・子育てを社会全体としてサポートしていく仕組みだ けではなく、心の持ち方が求められていると感じます。政府も高齢者に現金を配っている お金があるのなら「子育て」に対して給付の大幅アップをすべきだと思います。バズーカ を打つ方向を間違えていますよ>安倍さん、黒田さん 株式会社アール・リサーチ 代表 柳本信一 Tel 042-300-0533 mobile 090-7428-8999 4 mail: [email protected] 余談ですが、米国は理想的な人口構成です。移民を受け入れ多産だからです。 一方中国は「一人っ子政策」のおかげで生産人口の減少がすでに始まっており、間もな く超高齢化社会に突入します。問題なのは医療、年金が全く整備されていないことです。 共産党の一党独裁はこんなところから崩れるのかもしれません。 他方、アフリカ諸国では人口が増大します。代表例としてエチオピアを見ます。この国では深刻 な食糧不足と水不足に直面します。いやはや。 5