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一診断テストの作成一 - Kyushu University Library
73 J. Health Sci. IO:73 一 84, 1988. スポーツ選手の心理的競技能力のトレーニングに関する研究(4) 一診断テストの作成一 徳 永 幹 雄 橋 本 公 雄 AStudy on the Training of PsychologicaレCompetitive Ability for Athletes(4) On Making the Diagnostic lnventory Mikio TOKUNAGA and Kimio HASHIMOTO Summary The purpose of this study was to make a check−list by which psychological−competitive ability of athletes can be diagnosed. A questionnaire was administered to 168 male and 68 female atheletes who participated in the National Athletic Games in October, 1986. The results obtained are summarized as follows; 1. Factor analysis was applied and five factors were named as follows;ability to increase a competitive motivation (include endurance, fighting spirit, chaLlenge and intention to win), ability to stabilize mental states (include relaxation and concentration), ability of con− fidence, ability of strategy and cooperative ability. 2. The relationships between the five factors and various traits of athletes were very remarkable. Accordingly, we quessed a possibility of predic;ting and diagnosing about psychological−competitive ability of athletes by this quetionnaire. 3. On the basis of these results, a short form of check−list was maked in order to appreciate mental state of athletes in competition. (Journal of Health Science, Kyushu University, 10:73−84, 1988) 緒 言 を開発することを試みた。従来,競技場.面で精神力の 重要性は幾度となく指摘されながらも,その精神力の スポーツ選手が練習で習得した技術を競技場.面で.卜 内容については不明確であった。しかも,試合で負け 分に発揮することは重要な課題である。そのたあのト ると精神力が足りないという言葉で一蹴されてきた。 レー=ング法と効用性について考察してきた。例え このことが,スポーツ選手の精神.面の指導の末発達の ば,ジュニアの水泳選手2’),高校のテニス部20やボクシ 原因にもなっている。また,現在のスポーツ選手の心 ング部5)・t8)の選手,大学のテニス部6)・卓球部16)・野球 理的適性の研究では,心理学で開発された既成のパー 部4)の選手,成人の陸.上短距離選手22)を対象にして,数 ソナリティー・テストが使用されている。しかし,こ 週間あるいは数ヵ月間にわたって,リラクゼーション れらのテストではスポーツ選手が実際の競技場面で必 法やメンタル・トレーニング法を指導し,幾つかの知 要な能力を測定することは困難である。 見を得た。2’5)・16−22) そのため,松田たち11)の競技動機テスト(TSMI), 本研究では,』これらのメンタル・トレーニングの前 Martens et al.2,・’)・10)の競技不安テスト(SCAT及び 後に行われるスポーツ選手の心理的競技能力の診断法 CSAI), Tutko et aL14)・15)の競技動機テスト(AMI), Institute of Health Science, Kyushu University l l, Kasuga 816, Japan. 74 健 康科学 第10巻 Tutko&Tosiis’のスポーツ情動反応プロフィール 大会終r後に指導者が回収するか,個人的に郵送して (SERP)などのスポーツ選手の競技動機テストや不安 貰った。 テストが開発されている。さらに,近年では競技場面 に近い内容を調査しようとするGarfieldi’のPeak 4.分析手順 各意見に対して最も好意的回答に5点を与え,最も Performance Feeling TestやLohre8’のMental 非好意的回答に1点を与え,そのL!」間を4,3,2点 Toughness Test,加賀たち7)のPeak Performance として得点化した。その後,テスト作成のための信頼 時の精神状態の分析なども紹介されている。 性係数の算出,項目分析,因子分析を行い,心理的競 本研究では,これらのテストを参考にしながら,ス 技能力の因子の抽出を試みた。そして,命名された各 ポーツ選手が競技場面で必要な精神力を「心理的競技 因子と国体選手の諸特性の関係を分析した。 能力」と呼び,その内容を明確にし,診断法の開発を 結果と考察 試みた。とくに,今回は心理的競技能力の因子抽出, その因子とスポーツ選手の諸特性との関係,そしてス ポーツ場面への適用について考察した。 1.心理的競技能力の因子と質問項目 1)信頼性係数の算出 方 法 調査票に用いられた68項目の回答結果から,テス トとしての信頼性を確認するため,折半法である 1.心理的競技能力に関する内容調査 S・eam・n−B・・w・の公式(ゲ1聖髭■脇は奇 大学の一般学生及び運動部学生約400名から「ス 数項1.]と偶数項目の相関係数)により,信頼性係数 ポーツの競技場面における精神力(心理的競技能力) (γ22)を算出した。その結果,γ22二〇,935の非常に高い には,どんな能力が必要か」の質問を与え,その内容 値が得られ,信頼性が確認された。 を自由記述法で調査した。 2)項目分析 2.調査票の作成 68項目の適合性を確認するために2っの方法を用 大学生の調査から得られた結果と先行研究の結果か いた。結果は表1のとおりである。最初にGood−Poor ら,心理的競技能力の内容として,忍耐力,集中力, Analysisにより回答者全員の合計得点のL位から 判断力,冷静さ,闘争心,協調性,自信,積極性,気 25%をfi位群, ド位から25%をド位群として,両群 分の切り換え,リラクゼーション,意欲,挑戦,勝利 の回答傾向をx2法で検定した。その結果,原番号50 志向性を設定した。これらの心理的競技能力には重複 の項目を除いて,すべての項目に1∼5%水準の有 した内容も含まれるが,以しのような能力を表現する 意性が認められた。次に個人の合計得点と各項目との と思われる肯定的意見を47個,否定的意見を21個, 相関係数を求めたが,すべての項目に1∼5%水準 合計68個の意見を作成した。これらの意見に対する で有意性が認あられた。しかし,原番号10,50,62の 回答肢として,「いつもそうである(90%)」「しばしば 3項目はX2値及び相関係数が他の項目に比較して低 そうである(75%)」1一ときどきそうである(50%)」「と かったので削除し,有効項目は65個とした。 きたまそうである(25%)」「ほとんどそうでない 3)因子の抽出と命名 (10%)」の5段階を設けて,調査票を作成した。 残された65項目について主因子解法,バリマック 3.調査の実施 ス回転による因子分析を行った。回転前の固有値が 1)対象 LOOO以ヒを示した因子は14因子であった。14因iに 昭和61年度国民体育大会(夏季及び秋季)に参加し ついて回転後の因子行列を求あ,因子を解釈した結 た福岡県選手に調査を実施した。その結果,男臼68 果,第5因チまで命名が可能であった。結果は表2の 名,女子68名,合計236名(回収率45.4%)の回収を とおりである。しかし,第1因子,第2因子,第3因 得たので,これらを分析対象とした。 子は多くの項目が含まれ,複雑な内容を示したので, 2)時期 昭和61年10月初旬から10月ド旬の1ヵ月間。 3)方法 「昭和61年度国民体育大会福岡県選手に対する調 さらに,各因子ごとに同様の因子分析を行った。結果, 査」の一環として行い,各競技団体の指導者に手渡し, 第1因子は4因子,第2因子は3因子が抽出された。 第3因子は固有値が1.000以ヒを示したのは1因fだ けでド位因子は抽出されなかった。結果は表3,表4 のとおりである。 75 スポーツ選手の心理的競技能.力のトレーニングに関する研究(4) 表1 項目分析 原 合計得点との相関 G.一一P分析 原 G−P分析 合計得点との相関 番「コ写 番「..ユ7フ z2値 有意性 r値 有意性 x2値 有意性 1 26.796 ** .244 ** 35 51.990 ** 2 31.624 ** 。297 ** 36 82.440 3 59.662 ** .526 ** 37 67. 967 1 74.245 ** .609 ** 38 T @ 98.797 ** D707 ** 6 55.614 ** 7 36.114 ** 8 9 r値 有意性 .479 ** ** .586 ** ** .579 ** 36. 565 ** .295 ** R9 81.326 ** .659 ** .420 ** 40 93. 760 ** .726 ** .409 ** 41 64.232 ** .551 ** 45.312 ** .426 ** 42 76.094 ** .582 ** 84.665 ** 1 .696 ** 43 29. 093 ** .361 ** 10 14.933 ** .268 ** 44 37.902 ** .278 ** 11 33. 660 ** .360 ** 属l 82. 568 ** .674 ** 4 、 … 12 91. 151 ** .599 ** 43.653 ** .430 ** 13 89.738 ** .675 ** 54.664 ** .474 ** 14 25. 533 ** .236 ** 53.568 ** .432 ** 15 69.722 ** .629 ** 76.043 ** .604 ** 161 91. 656 ** .642 ** 17; 55.768 ** .507 ** 18 94.966 ** .641 19 18. 834 ** 20i 62.722 ** 21 87. 947 22 li矧 .163 * 45. 210 ** .478 ** ** 97. 820 ** .716 ** .278 ** 37. 761 ** .397 ** .522 ** 95.049 ** .708 ** ** .670 ** 64.139 ** .529 ** 18.460 ** .262 ** 61.367 ** .514 ** 23 40. 287 ** . 427 ** 63.939 ** .595 ** 24 59. 243 ** .459 ** 18.361 ** .239 ** 25 75.e73 ** .616 ** 52.692 ** .511 ** 26 51. 636 ** .491 ** 78. 375 ** . 567 ** 27 44.974 ** .460 ** 100.809 28 56.e98 ** .532 ** 291 E 8. 525 i2g igs g,i 閣 12,i,i ** .713 ** 11.658 * .149 * 66.176 ** .591 ** 90. 999 ** .716 ** ** 78.504 ** .610 ** 30 90.369 ** .699 ** 31 32.184 ** .384 ** 26.822 ** .243 32 52.659 ** .497 ** 66 44. 129 ** .217 ** 33 64.036 ** .574 ** 67 89.813 ** .670 ** 34 32.504 ** .357 ** 68 80.709 ** .654 ** … 2 ** P 〈. Ol * P 〈.05 次に各因.子を解釈するとつぎのとおりである。 がわく」「相手が強いほどファイトがわく」などの闘 第1因子は4つのド三二.子に分類でき,分.散寄与率 志,ファイト,燃えるといった競争心に関する内容と は19.2%で最も高かった。.ド位因子では第1因子は 思われたので,「闘争心」と命名した。第3因子は「試 「がまん強く試合を進める」「忍耐力を発揮する」の因 合では..可能性へ挑戦する気持ちで出場している」「自 子負荷量が高く,がまん強さ,ねばり,耐える,根性 分のために頑張るのだという気持ちで出場している」 など忍耐力に関する内容と解釈されたので,「忍耐力」 などの挑戦,自.己実現主体性,やる気に関する内容 の因.子と命名した。第2因子は「大試合になれば闘志 と思われたので,「チャレンジ精神」と命名した。そし 76 健 康科学 第10巻 表2 回転後の因子行列 因子 41 52 23 1. 競 技 意 17 11 Q9 53 64 T 欲 40 を 61 16 古 同 59 め 13 る 能 力 4 37 47 25 49 24 22 20 32 2. F2 .659 .130 .121 .176 .174 .577 .649 .182 .332 .157 ,122 .751 .644 一.081 .041 .124 ,031 .635 .589 一一 D038 .239 .127 .175 .556 .022 .206 .O17 .544 D582 一〇89 @.150 D226 D104 v34 D581 .560 .036 .144 .152 .152 .405 .535 .125 .390 .235 ,191 .696 D524 D242 D267 D220 D158 D694 .500 .2/4 .362 .193 .252 .653 .460 .212 .259 .3〔〕3 .17〔〕 .733 .453 .163 .394 .119 .093 .626 .424 .020 .287 .162 .125 .460 ねばり強く試合を進める 大試合になればなるほど闘志がわく 肉体的な苦痛や疲労には十分耐えることができる 記録よりも勝つことを第1にしている がまん強く試合を続ける 根性を発揮できる 寛大な気持ちをもっている 試合で負けると必要以上にくやしがる .399 .112 .347 .i86 .263 .679 .375 .195 .349 .096 .093 .691 .368 .101 .238 .279 .161 .550 .329 .002 .162 .225 .126 .631 .328 .094 ,279 .187 .198 .622 .306 .176 .257 .284 .274 .577 .246 .116 .114 .307 .200 .492 .241 一.094 .124 ,100 .151 ,340 落ちついたプレイができなくなる 精神的に動揺する 冷静さを失うことがある 試合前になると不安になる .117 .715 .264 .086 .117 .674 一.011 .676 .141 .132 .081 .687 8 719 精神 試合では「可能性へ挑戦」する気持で出場している 大事な試合になると精神的に「燃え」てくる 試合前には「絶対に負けられない」と思っている 自分なりの目標をもって試合をしている 試合前には「絶対に勝ちたい」と思っている ゥ分には「やる気」がある 「自分のために頑張るのだ」という気持ちで試合に出場している 試合になると闘争心が旺盛になる `ャレンジ精神が旺盛になる 試合になると,気力が充実してくる 忍耐力を発揮できる 相手が強いほどファイトがわく 「負けん気」が強い 安 定 集 31 中 44 さ 2 せ 14 る能 34 力 46 38 66 18 21 39 3, 57 信 54 33 を 9 も 26 28 R0 45 自 つ能力 15 67 4. 作判 峵f す 51 42 35 Q7 U3 測能 3 ・力 6 5. 協調性 60 48 36 P2 の 能 力 68 58 65 F5・ .155 ,666 .170 一.002 ,122 .586 一.069 .623 .215 .067 一.004 .509 c」16 D574 E一 D019 D158 @.006 D452 .111 .544 ,086 .038 一.064 .455 .167 .538 ,300 .068 .023 .624 .114 .519 .264 .077 ユ52 .638 一.129 .517 .192 .007 .151 .571 」40 .489 一.084 .052 .100 .479 .189 .443 一.033 .046 .OI9 .307 D009 ,361 .026 .009 .228 .305 .042 .350 ,192 一.049 .122 .415 .037 ,342 278 .122 .154 .397 .132 .241 一.003 .029 一.026 .561 .134 .236 .035 .004 .006 .306 ここという時に,思いきりのよいプレイができる プレッシャーのもとでも実力を発揮できる自信がある 大事なところで,的確な判断ができる 自分の能力に自信をもっている 試合では決断力がある 自分の目標を達成できる自信がある どんな場合でも,自分のプレイができる自信がある ここという時に,自分の力を発揮できない 不利な条件の時ほど,闘志がわいてくる .312 .182 .610 .212 .075 .580 .144 .026 .560 .178 .066 .693 244 .190 .536 .409 .213 .648 .315 .169 .512 ,272 .032 .602 .320 .192 .506 .398 .228 .630 .236 .069 .506 .217 .192 .546 .286 .246 .460 288 .175 .648 .002 .412 .448 .031 .160 .462 .215 .121 .437 .534 D377 D263 D437 」28 C160 .023 E気がある D154 D794 苦しい場面でも,うまく切りぬける自信がある 苦しい場面でも冷静な判断ができる 試合では勝つ自信がある ,300 .215 .409 ,346 ,222 .551 .265 ,226 .403 .351 ,250 ,598 .324 ,241 .365 .278 .180 ,725 作戦がうまく的中する 作戦をすばやく切りかえることができる 勝つために,考えられる全ゆる作戦をたてている .106 .035 .124 .678 .233 .603 .316 .207 .166 .585 .125 .573 .371 .023 .113 .583 .002 .542 ¥測がうまく的中する サ断がすぐれている C124 D224 黶D002 @.183 Q03 D576 D536 D150 C051 D478 D599 試合の流れをすばやく判断できる 失敗を恐れることはない .279 .085 .268 .376 ,139 .551 ,200 .ユ76 .142 213 ,0ユ9 .413 .722 詩≡Oになるとプレッシャーを感じる 43 55 56 を .585 F3 F4 h2 F1 質 問 項 目 原番号 顔がこわばったり,手足が震えたりする 緊張して,いつものプレイができなくなる 試合になると自分をコントロールできなくなる 勝敗を意識しすぎて緊張する 試合前に心を平静に保つことができない 試合に注意を集中できない 試合中に勝敗のことが気になって集中できない 試合中に,急に「落ち込む」ことがある 気持ちの切りかえがおそい 試合中に「ポーッとしたり,気が抜ける1ことがある 劣等感が強くなる 一一 B454 チームワークを大切にする 仲間と励ましあってプレイする 団結力がある シの人とうまく協力してプレイすることができる 協調性がある 試合中にいやなことがあると「くさる」ことがある .365 .065 .041 .292 .659 .133 .101 .124 .094 .632 .519 .256 .104 .228 .258 .592 .601 C411 D145 D225 D154 D481 D603 .312 .211 .298 ,239 .428 .579 .050 .151 .055 .058 .266 .297 勝敗が目的でなく,記録を第1にしている .026 .096 .027 .000 」11 .540 .ΣF2 分散寄与率(F2/nX100) 累積分散寄与率 6,987 19.2 5,540 5,517 4,085 15.2 15.1 11.2 34.4 49.5 60.7 2.963…36,462 8.1 68.8 …100.0 77 スポーツ選手の心理的競技能力のトレー=ングに関する研究(4) 表3 第1因子についての因子行列(回転後) 因子 原番号 .240 ,114 .167 .295 .366 .062 .679 632 562 .242 .215 .229 .556 .155 .319 .131 .459 531 .214 .334 .038 441 502 368 .162 070 .022 .332 .290 .310 .160 .341 2五6 .784 .072 .234 .722 285 .613 .293 .278 。620 16 大試合になればなるほど闘志がわく チャレンジ精神が旺盛である 相手が強いほど,ファイトがわく 311 .607 .237 210 .565 52 大事な試合になると.精神的に1燃え1てくる 33〔} .603 .454 .237 .734 64 試合になると,闘争心が旺盛になる 396 .565 .400 .159 .662 41 試合では1可能性へ挑戦1する気持ちで出場している 哨分のために頑張るのだ1という気持ちで試合に出場している 自分なりの目標をもって試合をしている 試合になると,気力が充実してくる λ)[ 、272 .645 ,227 .582 176 304 393 462 .097 .568 .229 416 .215 .507 ,209 .439 .417 .448 .175 .560 252 .365 .308 .504 耐 37 49 力 24 59 4 2, 5 闘 争 JLi 3. 53 チジ や精 レ神 ン 17 40 29 23 4. 勝志 利向 性 h2 710 61 13 忍 F4 F3 674 25 L F2 F11 質 問 項 目 11 22 47 がまん強く試合を続ける 忍耐力を発揮できる ねばり強く試合を進める 肉体的な苦痛や疲労には十分耐えることができる 根性を発揮できる 寛大な気持ちを持っている 【負けん気}が強い 自分にはやる気がある 試合前には「絶対に負けられない」と思っている 試合前には「絶対に勝ちたい」と思っている 試合で負けると必要以ヒにくやしがる 記録よりも勝つことを第1にしている .X F 2 分散寄与率(F2/n×ユ00) .603 139 .214 289 .791 .774 119 240 .217 、605 .485 263 380 .101 075 ,335 .197 .185 150 .354 .327 1,937 10,996 612 9 32.9 累積分散寄与率 2,939 2,509 26.7 22.8 17.6 59.6 82.4 100.0 表4 第2因子についての因子行列(回転後) 因子 56 55 46 1. 集 S3 20 44 34 中 38 力 2 31 2. 32 リセ 719 奄P Nシ 質 閤 項 目 原番号 ヨ 14 ン 8 試合になると自分をコントロールできなくなる 緊張していつものプレイができなくなる 気持ちのきりかえがおそい 轤ェこわばったり,手足が震えたりする 落ちついたプレイができなくなる 試合前に心を平静に保つことができない 試合中に急に「落ち込む」ことがある 試合中に「ポーッとしたり気が抜ける!ことがある 試合に注意を集中できない 勝敗を意識しすぎて緊張する 精神的に動揺する 試合前になると不安になる 詩№ノなるとプレッシャーを感じる 試合中に勝敗のことが気になって集中できない 冷静さを失うことがある .ΣF2 分散寄与率(F2/nxlOO) 累積分散寄与率 Fl F2 F3 h2 .740 .175 .205 .620 .636 .228 236 .539 ,521 .240 .092 。338 D451 D246 Dゐ1 C327 .423 .294 .635 ,669 ,419 .140 .286 277 .367 .218 .239 .239 .355 .098 .175 ,166 .3(・、 .090 .388 .249 .2ε7 .712 .041 .591 ,3ε8 .701 .188 .677 .185 .528 .383 .459 D079 D521 D301 D669 .165 .292 .246 .173 .257 ,291 .622 .538 2,525 2,Q91 1,614 6,231 4α5 33.6 25.9 74.1 100.0 て,第4因子は「試合前には絶対負けられないと思っ 因子が抽出された。第1因子には「試合になると自分 ている」「試合前には絶対に勝ちたいと思っている」な をコントロールできなくなる」「緊張していつものフ. ど,勝利意欲に関する内容と思われるので「勝利志向 レイができなくなる」などといった自己コントロー 性」と命名した。以Eのように忍耐力,闘争心,チャ ル・冷静さ・平常心・安定性の欠如といった集中力の レンジ精神,勝利志向性といった内容は競技前のやる 低ドを示しているので「集中力」と命名した。第2因 気,活性化,心構え,積極性などの意欲を高める能力 子は「勝敗を意識しすぎて緊張する」「精神的に動揺す と思われるので,第1因子は,「競技意欲を高める能 る」など,緊張,動揺不安,プレッシャーなどの不 力」と命名した。 安解消能力の内容であり,リラックスの欠如と思われ 第2因子は15.2%の分散寄与率を示し,3つのド位 るので,「リラクゼーション」と命名した。第3因子は 78 健康科学 第10巻 「落ちついたプレイができなくなる」「冷静さを失うこ 分類された。しかし,因ヂによっては質問項目数が不 とがある」の2項目の負荷量が高かった。内容的には 揃いなため,項1「数を若干精選した。その基準は分類 冷静さを表わすと思われるが,項目数が少なかったの された因子の因子負荷量が高く他の万一Fの負荷量が低 でこれらの項目は第1,第2因子の中に含めることと いこと,共通性(h2)が高いこと,そして因子名にふさ した。以llのように,第2因子は集中力・リラクゼー わしい内容を表わしていることを基準にして決定し ションといった情緒面の安定と集中に関する内容だっ た。ド記のような合計48項目が精選された。 たので「精神を安定・集[1.1させる能力」と命名した。 q)競技意欲を高める能力(競技意欲) 第3因子は15.1%の分散寄与率を示し,卜’位因子は A 忍」耐力 抽出されなかった。「ここという時に,思いきりのよい ①ねばり強く試合を続ける プレイができる」「プレッシャーのもとでも実力を発 ②がまん強く試合を進める 揮できる自信がある」など判断力・臼信の内容と思わ ③肉体的な苦痛や疲労にはト分耐えることができ れるので,「臼信をもつ能力」と命名した。 る 第4因子は11.2%の分散寄与率であった。負荷量の ④忍耐力を発揮できる 高い項目には「作戦がうまく的中する」「作戦をすばや B 闘争心 く切りかえることができる」など,作戦の予測,判断 ⑦大試合になればなるほど闘志がわく。 力といった内容と思われるので「作戦を予測・判断す ②相手が強いほどファイトがわく。 る能力」と命名した。 ③大事な試合になると精神的に燃えてくる。 第5因r一は8.1%の分散寄与率で最も低かった。 ④試合になると闘争心が旺盛になる。 「チームワークを大切にする」「仲間と励ましあってプ C チャレンジ精神 レイする」など,チームワーク,団結力,協力といっ ①自分なりの目標をもって試合をしている。 た内容であり,「協調性一!と命名した。 ②試合になると気分が充実してくる。 第6冊子から第14因子までは解釈不能であった。 ③試合では「ロ∫能性へ挑戦」する気持ちで出場し なお,第5因’r一までの累積分散寄与率は68.8%を示 ている。 し,これらの5因子で心理的競技能力をほぼ説明でき ④r自分のために頑張るのだ」という気持ちで試 るものと思われた。 合に出場している。 以fiの結果,心理的競技能力の内容は次のように整 D 勝利志向性 理することができる。 ①試合前には「絶対に勝ちたい」と思っている。 第1因子.競技意欲を高める因子…忍耐力,闘争心, ②試合で負けると必要以ヒにくやしがる。 チャレンジ精神,勝利志向性 ③試合前には「絶対に負けられない一}と思ってい 第2因子.精神を安定・集中させる陛下…リラク る。 セーション,集中力 ④記録より勝つことを第1にしている。 第3因子.自信をもつ能力 (2)精神を安定・集中させる能力(精神の安定・集 第4因子.作戦を予測・判断する能力 中) 第5因子.協調性の能力 A 集中力 これらの因子は,加賀たち11,,松田たち11),Loehr8), ①試合に注意を集中できない。 Syer&Connollyi:i), Tutko et a114,・ls,, Winter23)が ②落ち着いたプレイができなくなる。 競技動機などのテストやPeak Performance時の精 ③試合中に急に「落ち込むliことがある。 神状態の分析で抽出した内容と類似している。しか ④試合中に「ポーッとしたり気が抜ける」ことが し,本研究で抽出された因子はそれらの因子の中でも ある。 とくに競技場面に直接的に関係する内容を含んでいる ⑤試合中に心を’F静に保つことができない。 ものと思われる。また,諸外国の報告では,忍耐力や ⑥気持ちの切りかえがおそい。 協調性といった内容は少なく,これらの因子はわが国 ⑦緊張していつものプレイができなくなる。 の選手に期待される特有のものと考えられる。 ⑧試合になると自分をコントV一ルすることがで 4)質問項目の決定 きなくなる。 65個の項目は因子分析によっていずれかの因子に B リラクゼーション 79 スポーツ選手の心理的競技能力のトレーニングに関する研究(4) ①試合前になると不安になる の恥意識との関係を分析した。分散分析(F検定)の ②冷静さを失うことがある 結果は表5のとおりである。 ⑧試合になるとプレッシャーを感じる 参加種別,参加種目,経験年数と心理的競技能力の ④勝敗を意識しすぎて緊張する 間には顕著な関係がみられた。とくに男子ではその傾 ⑤精神的に動揺する 向が顕著であった,これらのことは成年選手は少年選 (3)自信をもつ能力(自信) 手に比較して,個人種目の選手は団体種目の選手に比 ①どんな場合でも,自己のプレイができる自信が 較して,また,経験年数の長い選手(10年以.f:)は短 ある い選手(1∼4年)に比較して,心理的競技能力のい ②ここという時に,思いきりのよいプレイができ ずれの因子においても優れた能力を示したことを意味 る している。 ⑧プレッシャーのもとでも実力を発揮する自信が また,図1∼2にみられるように,国体での成績が k位者(1∼6位)や実力発揮度の評価が高い選手ほ ある ④自分の目標を達成できる自信がある ど心理的競技能力が優れている傾向がみられた。さら ⑤丸しい場面でも,うまく切り抜ける自信がある に,図3のプレッンヤーを感じた選手は競技意欲因子 ⑥試合では決断力がある が高く,精神の安定・集中因子が低いという興味ある ⑦自分の能力に自信を持っている 傾向もみられた。さらに,図4の恥意識を感じる選手 (4>作戦を予測・判断する能力(作戦能力) は精神の安定・集中因子,作戦能力因子,臼信因子の ①試合の流れをすばやく判断で 表5 きる ’ ” ” ”一’T””一一” ” ”’ ”’ ”一 ”” ”” ” ”一’r’ ’一・’” 一m一 一一一一一一一一一一・ ②予測がうまく的中する ■ ③勝っために考えられる全ゆる \ 参 設 加 \ 作戦をたてている \\\ 問畷 ④大事なところで的確な判断が 巨\\ ゆ できる ∵∵\蔭 ⑤作戦をすばやく切りかえるこ とができる ⑥作戦がうまく的中する ⑦判断力がすぐれている 心理的競技能力の得点と諸特性の関係(F検定) L.一…一一.....一一一一一….\ご二 2 3 4 5 6 7 8 参 加 種 経国国実勝敗 目 稿 “ 団 墜 回 成 度 ブ. 恥 数国訳 ㌧藩 忌 ζ 価 1 lD 忍 耐 力 ** ホ ホ ** 一] ** * 2)闘 争 心** ** 男,概,勝利志向性i ** 二.。⊥* 3) チャレンジ精神1** ** (fj)協調性の能力(協調性) ①他の人とうまく協力してプレ 1欲 … 合 計 1・・ ** ** ** * △ !一.. .一.一、』.一一_』.一..一.一.,一.一_一一.一.一.一.一一,一_一__一v..一__一._一一一 ¥・一.… 一一 S.一一..….一.一一.一一一一一一一一一一.一一tt.一一一一一 イすることができる ②団結力がある ⑧仲間と励ましあってプレイす 1藷1・・ 瓢.r’ ;一 £ リラクセーシ。刻・・ 1) 集 【‡] ノJI** 合 計 1・* 」神1 ** ** * * . 紳 子隔誌 一…「 一撃.一一第一;『下…マ「7} f、亨1** 3H る 「 ④チームワークを大切にする 5 協 調 t4 d _遅r,_____』L三二L。藁三二_』_L三_』 ⑤協調性がある 1 Il D 忍 耐 力1一 4作戦能力’** ** . . * jtS 2)闘 争 心.一 2.心理的競技能力と諸特性の関 係 決定された質問項目を各因子別に 得点化して,国体出場選手の参加種 別(少年一成年),参加忌日(個人一 団体),経験年数,国体出場回数,国 体での成績,実力発揮度の自己評 価,勝利へのプレッシャー,敗北へ 女 A * ** 殺 3) チャレンジ精神1− 4)勝利志向性一 合 計 1 薮 A A ** * ロ二二_:’_.. ,土. テ * 一一 D.. ∵・∵!ラ 噸 〔21D集 * 粕 ホ 。* * _ こ * △ * * 一 * f一 il’t t’一 tt/”一mtLtLt一一一tt一一一rmt“m t一“十L“rt L” ’t rrv 能努に三 3 自 ** 一 一 * 図作 戦 _⊥_.一...一__....._____三一三=一一= 5 協 調 性 1* △ **P<.Ol *P〈..05 AP〈.10 三 、 健康科学 80 縛・ 第10巻 再 魯 魯 68 70 66 68 66 64 再 62 丁 64 魯 墜 60 競技意欲 精神の安定・集中 32 28 ぴ一一一べ x 26 自 信 \ N ノ 28 ノ め〆〆 \ 24 N ■ト・一、___ 作戦能力 ¶卜一† x N 自 信 \ 26 へ 鳳 22 \ 、、 へ \ ノ●㌧ 、 24 ノ ヘ N 協調性 30 N \ ,ゑ、精神の安定・集中 20 へ 、Y” 、Nレー一一一一− 作戦能力 22 18 協調†生 20 N 16 18 1 7 17 ∼ ∼ 位 6 16 以 位 位 ド 図1 心理的競技能力と国体での成績の関係 (男子) 卜 ま ど あで まで 分 あ 与 に ま りし、 まき りな たな 発で 揮き た あで 発き 揮た とえ もな 発か 揮つ し、 た っき くか 発つ 揮た 図2 心理的競技能力と実力発揮度の関係 (男子) 得 魯 70 行 68 魯 66 68 64 競技意欲 66 競技意欲 毒 64 62 樽 60 ρ / 魯 ,, 一く}一一一一一く) メ)t” 臼 信 s... \・・}____●____一K作戦能力 XNN 28 精撃二野, 2B 26 ノ ノ 26 24 22 、酒 協調性 強 か ど あ感 ま感 く な ち まじ りな つじ 感 り じ 感 た じ りい とえ もな た い か たな くか ノノ ラ た た 32 30 30 精神の安定。集中 ’ t C一一一一一くンフ 血 。\ / 自信 / 」ヌー一..謹麹/! 24 22 「 協調性 20 20 18 18 強 か ど あ感 く な ち 感 り まじ りな じ 感 た じ らい とえ もな Li た ま感 つじ か たな くか t) ずラ た た 図3 心理的競技能力と勝利へのプレッシャーの関係 図4 心理的競技能力と恥意識の関係 (男子) (男子) 81 スポーツ選手の心理的競技能力のトレーニングに関する研究(4) 得点が低いことが明らかにされた。これらの傾向は加 3.競技場面での評価法の作成 賀6’,丹羽12),古沢24)・25など多くの研究でも指摘されて 先に抽出された心理的競技能力の因子は,スポーツ いる優れた選手の心理的適性と同様であり,今回抽出 選手の一般的傾向をみようとしたものであった。しか された因子の妥当性を推測することができる。今後, し,実際にはこれらの能力を競技場面で発揮すること 中学生から一般社会人のスポーツ選手にも適用できる が必要である。 内容とするため,さらに,適切な項目や因子の追加・ そのために,各因子を代表する簡単な質問文によっ 修正を行い,個人得点の診断法を作成しなければなら て,練習中や競技中の心理状態をチェックする方法を ない。 作成した。9因子を代表する質問のほかに,「楽しかっ た」を追加して10個の質問による評価法を作成した。 表6 試合中の心理状態のチェック表 今日の試合のことを思い出して次の 質問に答えてください。答えは,あて はまる番号を○印でかこんでください。 3. 1. 2. そ ん な 褒 こ す か こ 奮 し 口 と は そ 乙無 そ 脅 屯 突 10 乞 共 4. そ 2 s一 吉 念 募 ぞ ぞ 蕊 衡 多 毯 平 30 (例)今日の試合では注意力がたりなかった・… 1 2 @ 4 1.最後まであきらめずに頑張った・ 1 2 3 4 2. ファイト(闘志、)があった …… 1 2 3 4 3.挑戦する気持ちがあった… 4.勝ちたいと思っていた………… 1 2 3 4 1 2 3 4 5.集中していた一…………・…・・ 1 2 3 4 6.からだ(筋肉)はリラックスしていた……・・ 1 2 3 4 7.自信があった……・…・………・… 1 2 3 4 8.作戦がうまくあたった(的中した) 1 2 3 4 9,仲間と励ましあって試合できた・一………… 1 2 3 4 10.楽しかった……・・…………・…… 1 2 3 4 この試合で感じたことを記入してください。 表6のとおりである。 大きい。 これらの質問に対する回答は,すべて「4(そのと こうした競技場面での心理状態の評価法は, おりであった)」になることが望ましい。表7はかなり Garfield1)やLoehr8)も作成しているように,常に望 レベルの高いジュニアの水泳選手の例である。概し ましい心理状態で競技できるように指導するための有 て,男子は女子に比較して得点が高い。また,競技意 効な方法になると思われる。心理的競技能力の因子の 欲得点は高いが,作戦や楽しさの得点は低く,協調性, 追加・修正と共に,さらにスポーツ選手一般に使用で 集中力,リラックス,自信の得点はやや低い傾向がみ きるように改訂していく必要があろう。 られる。さらに,大会によっても異なるし,個人差も 82 健康科 学 第10巻 表7 ジコーニァ水泳選手の試合中の心理状態の調査(得点) 氏名 4 Nα3 Nα6 Nα5 Nα4 Nα2 全国 九州 全国 九州 全国 九州 全国 九州 1 2 4 4 4 4 4 3 4 4 3 3 @『一一一 3.6 2 3 3 4 4 3 3 4 4 4 3 3 3.5 4 4 3 合 3 4 4 4 3 13・4 4 4 3 13.4 質問 大会名 平均 九州ジュニア大会 罰一・一㎜團一アー一. 胃一〒 .㎜ 男 3 3 3 4 3 2 4 4 3 2 4 4 2 3 3 4 3 1 3 132 3.2 5 2 3 4 4 4 6 2 3 4 3 4 3 4 3 3 4 4 3 2 4 4 4 i3 14 3 2 3.3 4 2 3 1 3 3 2 2 2 12・3 2 3 3 3 3 3 1 3 4 2 2 3 21 34 36 34 31 Nα4 Nα5 No 6 Nα7 Nα8 7 2 3 8 子 Nα7 Nα1 1 2 9 3 3 4 3 4 10 1 4 4 3 3 22 30 40 35 Nα1 Nα2 合 計 i34 12.7 ㎜囹 一} 氏名 質問 大会名 全国 九州 1 4 4 2 女 4 4 2 2 3 i iNα9 二 ・平均 4 2 3 2 2.6 2.7 2 2 3 4 2 2 2 3 4 2 3 1 2.9 i 2 2 3 4 4 2 3 3.2 2 2 3 4 2 2 2.6 [ 2 4 4 2 3 13 4 4 4 3 4 5 4 4 1 3 2 6 3 4 1 1 3 3 1 3 3 3 3 2.6 1 2 2 2 2 3 4 2 3 2.6 1 1 2 1 1 2 2 董 1 1.2 1 4 2 2 2 2 4 2 2 12.3 3 2 1 2 1 2 2 1 2 1 1 :1.6 32 34 14 24 21 20 19 27 35 19 23 124.3 4 4 8 1 1 9 1 3 10 合 2 2 2 1 2 1 九州ジュニア水泳選手権 全国 九州 3 7 子 Nα3 計 “ (注)全国とは全国ジュニアオリンピック水泳選手権 (忍耐力,闘争心,チャレンジ精神,勝利志向性のド 要 約 位因子),精神を安定・集中させる能力(集中力,リ ラクセーションのド位因子),自信をもつ能力,作戦 昭和61年度国民体育大会福岡県選手男子168名, を予測・判断する能力,協調性の能力と命名され 女子68名を対象にして,スポーツ選手の心理的競技 た。 能力の診断法の開発を試みた。おもな結果は,つぎの 3)抽出された各因子は国体選手の諸特性と顕著な関 とおりである。 係がみられ,心理的競技能力テストとしての妥当性 1)心理的競技能力を表現すると思われる68項目か が推測された。 らなる調査票を作成し,調査を実施した。信頼性係 数,項目分析の結果から3項目を削除し,65項目に ついて因子分析を行った。その結果,5因子と6つ のド位因子を抽出した。 2)心理的競技能力の因子は,競技意欲を高める能力 4)抽出された各因子を代表する簡単な質問文から, 試合中の心理状態を評価する方法を作成した。 5)今後,適切な項目や因子の追加・修正を行い,中 学生から一般社会人に使用できる診断法を作成しな ければならない。 スポーツ選手の心理的競技能力のトレーニングに関する研究(4) 83 付記 petitive state anxiety inventory−2 (CSAI− 本研究は福岡県体育協会のスポーツ医稗学委員会が 2).Umpu’りlished Manuscript,1983. 昭和61年度国民体育大会福岡県選手に対して実施し 1D松田岩男,猪俣公宏,落合 優,加賀秀夫,ド山 た調査の一部を活用させて頂いた。また,ジュニア水 剛,杉原 隆,藤田 厚:スポーツ選手の心理的 泳選手の資料は,福岡県大野城市つくし野スイミング 適性に関する研究一二1報,第2報.一日本体育 クラブコーチ花村占裕氏のご協力を頂いた。併せてこ 協会スポーツ科学委員会,昭和55年度日本体育 こに感謝の意を表します。なお,本研究の要旨は,口 協会スポーツ科学報告書,NoJV,1981. 本体育学会第38回大会で発表した。 12)丹羽勘考,長沢邦子,永井久美子,国枝和実:な ぎなた選手の心理的適性に関する研究一一強いなぎ 参考・引用文献 1) Garfield, C.A.,: Peak performance, Jeremy P. なた選手の性格的特徴一.スポーツ心理学研究, 12(1)二 4一一 :.5, 1985. Tacher, lnc., Los Angeles, 1984, pp.31一一 13) Syer, J. & Connolly, C. : Sporting body, 195. sporting mjnd : An athlete’s guide to mental 2)橋本公雄,徳永幹雄,多々納秀雄,金崎良.三:ス training,浅見俊雄,平野裕一訳,スポーティン ポーツ選手の競技不安の解消に関する研究(D一競 グ・ボディマインド.紀伊国犀書店,1986. 技前の状態不安の変化およびバイオフィードバッ 1986. ク・トレーニングの効果.福岡工業大学エレクト 14) Tutko, TA, Lyon L.P. and Ogilvie, BC. : ロニクス研究所所報,1:77一 86,1984. Athletic motivat.ion program : Athlete’s in− 3)橋本公雄,徳永幹雄=競技不安の尺度作成に関す ventory form. Science Research Association, る研究一一特性不安と状態不安の関係について一一. Inc., 1969, 1972, 1973, 1977. スポーツ心理学研究,12G):45…50,1985. 15) Tutko, TA. and Tosi, U.A.: Sports psyching, 4)橋本公雄,徳永幹雄,多々納秀雄,金崎良三:ス Tarcher, Los Angels,1976,(松田岩男,池田並 ポーツ選手の競技不安の解消に関する研究(2)一一一一バ 子訳):スポーツサイキング.講談社,第3刷, イオフィードバック・トレーニングによる特性不 1981. 安への影響について一.健康科学,9:89−96, 16)徳永幹雄,橋本公雄:スポーツ選手に対する心理 1987. 的競技能力のトレニーグに関する研究(1)一イメー 5)岩崎健一,徳永幹雄,庭木守彦,橋本公雄ニスポー ジ・トレーニングの予備的調査・実験一.健康科 ツ選手のメンタルトレーニングの実施と効用性. ぞ学, 6 二165 − 179, 1984. 九州体育学研究,1(1):23.一35,1987. 17)徳永幹雄,橋本公雄:スポーツ選手に対する心理 6)加賀秀夫,真野 均:スポーツ選手の心理的適性 的競技能力のトレーニングに関する研究(2)一皮膚 に関する一報告.スポーツ心理学研究,8〈1>:58 温バイオフィードバックを利用したリラクセー −60, 1981. ションのトレニーグについて一.健康科学,8: 7)加賀秀夫,杉原 隆,落合 優,海野 孝,渡辺 65 一 77, 1985. 峯生,星野公雄:Peak Performance時の精神状 18)徳永幹雄,山本勝昭,岡村豊太郎,庭木守彦,岩 態に関する研究,日本体育協会スポーツ科学委員 崎健一,橋本公雄,筒井清郎:バイオフィード 会,スポーツ選手のメンタルマネージメントに関 バックとイメージ・トレーニングの実施とその効 する研究(第1報).2:89−113,1986. 用性,日本体育協会スポーツ科学委員会編,ス 8) Loehr, J. : Mental toughness training for ポーッ選手のメンタルマネージメントに関する研 sports,小林信也訳,メンタル・タフネス. TBS 究一国1報一,2:136−152,1986. 19)徳永幹雄,金崎良三,多々納秀雄,橋本公雄:競 ブリタニカ,1987. 9) Martens, R.: Sport competition anxiety test. 争不安の形成・変容過程と不安解消へのバイオ Champaign, IL, Human Kinetics, 1977, pp.89 フィードバック適用の効果の研究.昭和60年度 ・一 99. 文部省科学研究費(一般研究C)研究成果報告書, 10) Martens R., Burton D., Vebley R., Smith, D. and Bump, L: The Development of the com一 1986. 20)徳永幹雄,橋本公雄:スポーツ選手の心理的競技 84 健 康 科 学 第10巻 能力のトレーニングに関する研究(3)一テニス選手 formance in whatever you do.荒井貞光訳,リ のメンタル・トレーニングについて一.健康科 ラックス,ベースボールマガジン社,1984, 学,9:79一 87,1987. 24)占沢洋一1,岡沢祥訓,猪俣公宏:全日本女子ホッ 21)徳永幹雄,橋本公雄:スポーツ選手の心理的競技 ケー選手の心理的適性について.スポーツ心理学 能力の診断とトレーニングに関する研究デサン 研究,9(D:41−43,1982. トスポーッ科学報告書,8:43一一54,1987. 25)吉沢洋.二,岡沢祥訓,猪俣公宏二全日本女子ホッ 22)徳永幹雄,橋本公雄:陸ヒ短距離選手に対するメ ケー選手の心理的適性について一TSMIの縦断的 ンタル・トレーニングの事例研究.スポーツ心理 データの分析一.スポーツ心理学研究,10(1>:71 学研究,14,1987. −74, 1983. 23) Winter, B. Relax & win:Championship per一