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洪水対策支援計画協力準備調査(PDF)

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洪水対策支援計画協力準備調査(PDF)
報告案件
無償資金協力
案件概要書
平成 23 年 12 月 28 日
国際協力機構東南アジア・大洋州部東南アジア第四課
1.案件名(国名)
国名:カンボジア王国
案件名:洪水対策支援計画(The Project for Flood Disaster Rehabilitation and Mitigation)
2.事業の背景と必要性
(1) 当該国における洪水対策セクターの開発実績(現状)と課題
カンボジア王国(以下、
「カ国」)は、インドシナ半島のメコン河下流に位置し、国土の多くが
低地である。そのため、洪水による死亡リスクにさらされている人口の割合、及び、洪水リスク
にさらされている経済規模(GDP)の割合は、どちらも 13%程度で世界の中でも上位に位置して
いる。他方で、メコン河の氾濫から得られる肥沃な土壌を享受しており、生態系や人々は、洪水
に適応してきたと言える。それだけに、近代的な洪水対策施設が整っている都市は、プノンペン
都内のみである。
しかし、近年、気候変動と相まってメコン河の水位の季節変動は激しくなっていると言われて
おり、特に、2000 年には、史上最悪と言われる洪水が起き、堤防道路を破壊してプノンペンへ
の浸水を防ぐという非常事態となった。その後、日本の無償資金協力によりプノンペン都の排水
路やポンプ場を整備した他、道路改修においては、堤防道路としてかさ上げしたり、排水のため
の橋やカルバートを設けたりする等、累次の洪水対策をとっている。
2011 年の雨季においては、カ国内及びメコン河上流において例年以上の降雨が記録され、メ
コン河の水位は 2000 年の洪水と同程度を記録している。これまでの日本の支援もあり、プノン
ペン都では深刻な被害は免れているが、周辺地においては、広く浸水しており、死者 250 人超、
被災者 150 万人、稲作地の 17%が被害を受けたと報道されている。道路、橋等のインフラにも
被害が及んでおり、以下【候補案件】において恒久的な復旧・改修や洪水対策が必要とされてい
る。
【候補案件】
Ⅰシェムリアップ市バイパス道路における橋梁建設及び道路改修:国道6号線において、シェム
リアップ市のバイパス道路の一部が洪水に際して水位上昇を防ぐために切断されたことをう
け、道路の機能回復のために必要な恒久的対策(橋梁建設及び道路改修)を実施する。
Ⅱ国道6号線の改修:1996 年度及び 1997 年度無償資金協力「国道6号・7号線修復計画」にて
整備した 6 号線が冠水により損傷を受けた箇所の改修を行う。
Ⅲ国道5号線の改修:国道 5 号線のプノンペン=バッタンバン区間及びコンポンチュナン市内の
冠水により被害を受けた箇所の改修を行う。
Ⅳその他:機材など
(2)当該国における洪水対策セクターの開発政策と本事業の位置づけ及び必要性
カ国の国家開発戦略である、
「四辺形戦略」の中では、水資源管理や農業、インフラ整備などに
おいて防災や洪水対策を行うこととしている。
(3)洪水被害に対する我が国及び JICA の援助方針
ア.2011 年洪水への対応:緊急物資供与 2,500 万円、支援ニーズ調査団派遣(11 月上旬)
イ.道路・橋梁(無償資金協力・有償資金協力)
(ア)無償資金協力:国道 1 号線改修計画(1-3 期)
:2005 年-、国道 6A 号線修復計画:1993-1994
年、国道 6、7 号線修復計画:1996-99 年、国道 6 号線シアムリアップ区間改修計画:
2000-2002 年、国道 6A 号線橋梁整備計画:2000-2003 年
(イ)有償資金協力:国道5号線(協力準備調査実施中。)
ウ.洪水防御(無償資金協力)
:プノンペン市洪水防御・排水改善計画(第 1-3 次)
:2001-2011
年
(4) 他の援助機関の対応
ア.緊急支援:中(9.8 百万ドル),米,豪,仏,タイ,ベトナム,シンガポール,ADB(3 百
万ドル),UNDP 等:計 19.3 百万ドル
イ.追加支援
・ 中国:洪水被害復興・経済成長促進のための追加支援(有償及び無償):500 百万ドル
(2012-2015 年)
・ ADB:各種復興支援プロジェクト:55 百万ドル(2012-2015 年)
・ 米国:NGO を通じた公衆衛生・水供給支援:1.5 百万ドル(2012 年)
3.事業概要
(1) 事業の目的(協力プログラムにおける位置づけを含む):洪水によって影響を受けた施設・
機材の復旧・改善を図る。
(2) プロジェクトサイト/対象地域名:Ⅰシェムリアップ市郊外、Ⅱ国道6号線洪水被害地域、
Ⅲ国道5号線洪水被害地域
(3) 事業概要
1) 土木工事、調達機器等の内容:以下の候補案件から調査の中で確認する。
Ⅰ橋梁・取り付け道路の建設(詳細未定)
Ⅱ道路の改修(詳細未定)
Ⅲ道路の改修(詳細未定)
Ⅵその他(機材など含む)
2) コンサルティング・サービス/ソフトコンポーネントの内容:詳細設計、施工監理を想定。
ソフトコンポーネントは、維持管理などを想定。
(4)事業実施体制
事業実施機関:公共事業省
(5) 環境社会配慮・貧困削減・社会開発
1) 環境社会配慮
① カテゴリ分類: B
② カテゴリ分類の根拠:本事業は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010 年 4 月
公布)に掲げる道路セクター等のうち大規模なものに該当せず、環境への望ましくない影
響は重大でないと判断され、かつ、同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び
影響を受けやすい地域に該当しないため。
2) 貧困削減促進・ジェンダー:特になし
(6) その他特記事項:いずれも今後とも洪水の影響を受ける地域であり、恒久的対策が必要。
4. 過去の類似案件の評価結果と本事業への教訓
(1)類似案件の評価結果
カ国の過去の評価からは、①運輸分野においては、維持管理予算の確保及び効果的な維持管理
のための日常的な点検・清掃・早めの修繕の必要性、②洪水防御分野においては、①の教訓に加
え、排水路にゴミが投棄されないよう環境教育などソフト面での対策の必要性等、の教訓が得ら
れた。
(2)本事業への教訓
本事業で整備される施設に応じて、維持管理及びソフト面での対策や料金徴収が適切に実施さ
れるよう、協力準備調査の中で確認する。
以 上
Ⅰシェムリアップ市
バイパス
Ⅲ国道5号線改修
浸水範囲(概要)
Ⅱ国道6号線改修
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