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日本のODA
日本のODA 開発途上国の社会・経済の開発を支援するため、政府をはじめ、国際機関、 NGO、民間企業などさまざまな組織や団体が経済協力を行っています。これら の経済協力のうち、政府が開発途上国に行う資金や技術の協力を政府開発援助 ODAとは (Official Development Assistance: ODA)といいます。 ODAは、その形態から、二国間援助と多国間援助(国際機関への出資・拠出) に分けられます。二国間援助は「技術協力」 「無償資金協力」 「有償資金協力」の3つ の手法と、ボランティア派遣など「その他」の方法で実施されます。 図表-1 経済協力と政府開発援助 二国間援助 技術協力 多国間援助 有償資金 協力 ODA (政府開発援助) OF※1 (公的資金) OOF※2 (その他公的資金 の流れ) PF ※3 経済協力 (民間資金) ◦輸出信用 ◦直接投資金融など ◦国際機関に対する融資など 無償資金 協力 ◦銀行貸付 ◦民間輸出信用 ◦直接投資 ◦開発途上国および国際機関の証券・債券の購入 その他 ※1 OF: Official Flow ※2 OOF: Other Official Flows ※3 PF: Private Flows 非営利団体 による贈与 図表-2 日本のODA実績(2015年 (暦年)、暫定値) ドル・ベース (百万ドル) 援助実績 (2015年 (暦年) ) 贈与 二国間ODA ODA 援助形態 実績 前年実績 円ベース (億円) 対前年比 (%) 実績 前年実績 無償資金協力 2,765.91 2,450.01 12.9 3,346.81 2,593.28 技術協力 対前年比 (%) 構成比 (%) ODA計 (純額ベース) 29.1 29.8 2,369.75 2,633.84 −10.0 2,867.45 2,787.86 2.9 25.5 贈与計 5,135.65 5,083.85 1.0 6,214.26 5,381.13 15.5 55.3 政府貸付等 1,116.83 884.42 26.3 1,351.39 936.14 44.4 12.0 二国間ODA計 (純額ベース) 6,252.49 5,968.28 4.8 7,565.65 6,317.27 19.8 67.3 国際機関向け拠出・出資等計(純額ベース) ※ 3,036.08 3,254.66 −6.7 3,673.72 3,444.98 6.6 32.6 ODA計 (支出純額) 9,288.56 9,222.94 0.7 11,239.38 9,762.25 15.1 100.0 名目GNI速報値 (10億ドル、10億円) 4,313.63 4,786.40 −9.9 521,958.60 506,628.60 3.0 0.22 0.19 0.22 0.19 対GNI比 (%) (注)1.上記には卒業国向けの援助を含んでいます。卒業国向けの援助を除いた実績の詳細は、別冊資料編の表1を参照ください。 2.DAC加盟国以外の卒業国で支出実績を有するのは次の17カ国・地域:アラブ首長国連邦、イスラエル、オマーン、クウェート、サウジアラビア、シンガポール、セントクリ ストファー・ネーヴィス、トリニダード・トバゴ、[ニューカレドニア]、バーレーン、バハマ、バルバドス、ハンガリー、[フランス領ポリネシア]、ブルネイ、[香港]、ルー マニア 3. 2015年DAC指定レート:1ドル=121.0023円(2014年比、15.1548円の円安)。 4. 四捨五入の関係上、 各形態の計が一致しないことがあります。 5.従来、国際機関を通じた贈与は「国際機関向け拠出・出資等」として計上してきましたが、2006年より拠出時に供与先の国が明確であるものについては各被援助国への援助と して「無償資金協力」へ計上することに改めました。 6.技術協力に含めてきたNGO事業補助金については、2011年実績より各国の無償資金協力に含めることとします。 ※ 技術協力に行政経費・開発啓発費を含みます。 18 JICA年次報告書 2016 事業の目的と概況 2015年の日本のODA(卒業国向け援助を含む)は、支出純額(ネットベース)で 二国間援助が約62億5,249万ドル(約7,566億円)、国際機関に対する拠出・出資 などが約30億3,608万ドル(約3,674億円)、ODA全体では対前年比0.7%増の約 日本の 「貢献度」 92億8,856万ドル(円ベースでは対前年比15.1%増の約1兆1,239億円)で、OECD DAC※加盟国では、米国、英国、ドイツに続く第4位となっています。 1989年、日本のODA実績はそれまで1位だった米国を抜き、世界第1位となり ました。そして1991年~2000年の10年間、日本はODA実績で世界第1位を維持 し、DAC諸国をリードし続けてきました。2001年を境に、その後は縮減傾向となっ ています。 これを2015年の支出純額対GNI比でみると、日本は0.22%で、DAC加盟国28 カ国中、18位という低い順位です。 ※ OECD DAC: Organization for Economic Co-operation and Development, Development Assistance Committee: 経済協力開発機構・開発援助委員会 図表-3 主要援助国のODA実績の推移(支出純額ベース) (百万ドル) 35,000 米国 30,000 25,000 20,000 英国 ドイツ 15,000 10,000 11,136 9,601 7,697 5,000 0 2006 11,058 9,467 11,086 10,605 11,582 9,320 日本 フランス 9,266 カナダ イタリア 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 (暦年) 出典:OECD DAC (注)各国の実績値は卒業国向け援助を除いたものです。日本の2015年の実績値の内訳の詳細は別冊資料編の表1を参照ください。 図表-4 支出純額対GNI比(%) 1.6 1.4 (%) 1.40 1.2 1.05 1.0 0.93 0.8 0.85 0.76 0.71 0.56 0.6 0.52 0.52 0.4 0.42 0.37 0.36 28カ国中18位 0.32 0.2 0.12 0.10 0.10 ポーランド スロバキア チェコ スペイン 韓国 ギリシャ スロベニア ポルトガル 米国 イタリア 日本 アイスランド オーストラリア ニュージーランド カナダ オーストリア アイルランド フランス ベルギー ドイツ スイス フィンランド 英国 オランダ デンマーク ルクセンブルク ノルウェー スウェーデン 0.0 0.28 0.27 0.27 0.24 0.22 0.21 0.17 0.16 0.15 0.14 0.14 0.13 出典:外務省 JICA年次報告書 2016 19 日本の ODAを担う JICA JICAは日本の二国間援助の中核を担う世界有数の包括的な開発援助機関です。 技術協力、有償資金協力、無償資金協力※を中心としたさまざまな支援メニュー を効果的に活用し、開発途上国が抱える課題解決を支援するため、世界の150以 上の国と地域で事業を展開しています。 日本の技術・知識・経験を生かし、開発途上 国の社会・経済の開発の担い手となる人材育 技術協力 成や技術水準の向上、制度づくり等を支援し ます。専門家の派遣や日本での研修などを行 い、開発途上国自らの問題解決能力の向上を 支援します。 P.126-127 技術協力 P.128-129 本邦研修 P.110-111 地球規模課題に対応 する科学技術協力 円借款は一定以上の所得水準を達成している 開発途上国を対象に、長期返済・低金利とい ODA (政府開発援助) 二国間援助 JICA 有償資金 協力 う比較的緩やかな融資条件で資金を供与する もので、経済・社会インフラ整備などにあて られます。また、海外投融資は、開発途上国 P.130-131 有償資金協力 において行われる民間事業を資金面で支える ものです。 所得水準が低い開発途上国を対象に、返済義 多国間援助 無償資金 協力※ 務を課さずに開発資金を供与するもので、学 校・病院・井戸・道路などの基礎インフラの 整備や医薬品・機材などの調達にあてられま P.132-133 無償資金協力 す。 海外で大規模な災害が発生した場合、被災国 政府や国際機関の要請に応じて、日本政府の 国際 緊急援助 決定の下、国際緊急援助隊を派遣します。被 災地では、被害者の救助や診察、救援物資の P.118-119 国際緊急援助 供与、災害からの復旧活動の支援に取り組み ます。 青年海外協力隊事業などのボランティア事業 をはじめ、NGO、地方自治体、大学などの 市民参加 協力 国際協力活動を支援し、さまざまな形で連携 しています。また、学校教育の現場を中心に、 開発途上国が抱える課題への理解を深める開 発教育を支援しています。 ※ 外交政策の遂行上の必要から外務省が実施するものを除く。 20 JICA年次報告書 2016 P.112-113 市民参加協力 P.114-115 ボランティア P.116-117 NGO等との連携