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1−6−1−1 有機
【技術分類】1−6−1 単位操作/膜分離/膜材質 【技術名称】1−6−1−1 有機膜と無機膜 【技術内容】 膜の分類にはいろいろあるが、その一つとして材質による分類がある。 分離膜の材質としては、有機膜と無機膜に分類され、有機膜は有機高分子化合物を素材とする膜の 総称であり、無機膜は無機素材を焼結して作る。 有機膜は高分子膜、合成膜とも呼ばれ、酢酸セルロース、ポリスルフォン、ポリエチレン、ポリプ ロピレン、ポリアクリロニトリル等を素材とし、相転換法、延伸法などによって作られる。比較的柔 軟で成型加工が容易であることから、中空糸(キャピラリー)、管状膜、平膜などに作られる。 有機膜の膜の種類としては、精密ろ過、限外ろ過、逆浸透膜などに広く適用されている。 無機膜としては、セラミックが一般的であり、酸化アルミニウム(アルミナ)や酸化ジルコニウム (ジルコニア)が実用化されている。他の素材としては、カーボン膜、ガラス膜がある。 セラミック膜は微細なセラミック粒子を焼結して作るもので、粒子の大きさで細孔の大きさが決る。 5nm くらいの細孔を持つ UF 膜から、大きい細孔を持つ MF 膜まで市販されている。 セラミック膜の特性として、耐熱性、耐薬品性、耐有機溶媒性などに優れ、機械的強度も強い。セ ラミック膜には管状膜とその変種であるモノリス型が多いが、平膜型もある。 【図】 表 有機膜と無機膜の比較表 材質、素材 製造法 膜の型式 膜の種類 細孔径、孔径範囲 体積当たりの膜面積 特 性 有機膜 無機膜 有機高分子化合物 無機素材 (ポリエチレン、ポリプロピレ (セラミック、アルミナ、カーボ ン、ポリアクリロニトリル等) ン、ガラス等) 相転換法、延伸法 焼結法 中空糸、管状膜、 管型、平膜、モノリス膜 平膜など 精密ろ過、限外ろ過、ナノろ過、 精密ろ過、限外ろ過 逆浸透 無機膜に比較して細孔径を出 有機膜に比較すると細孔径を 来る 小さく出来ない 孔径範囲が広く、選択性がある 焼結法のため粒子により細孔 径が決まり、孔径範囲が狭い 膜容器当たりの充填膜面積が 膜容器当たりの充填膜面積が 大きい 有機膜に比較して小さい 成形加工が容易であり、目的に 機械的強度が高い 合った構造が出来る 耐熱性、耐薬品性、耐有機溶媒 無機膜に比較すると耐熱性、耐 性にすぐれている 薬品性に劣る 膜面積当たりのコストが高い 膜面積当たりのコストが安い 出典:本標準技術集のために作成 【出典/参考資料】 「ユーザーのための実用膜分離技術」、1996 年 4 月 30 日、化学工学会・膜分離技術ワーキンググルー プ著、株式会社日刊工業新聞社発行、10−11 頁 「水道における膜ろ過法 Q&A」 1995 年 2 月 28 日、水道膜ろ過法 Q&A 編集委員会著、社団法人 水道浄水プロセス協会発行、177 頁、180 頁 − 72 − 【技術分類】1−6−1 単位操作/膜分離/膜材質 【技術名称】1−6−1−2 親水性膜と疎水性膜 【技術内容】 分離膜の分類として親水性膜と疎水性膜に分類する方式がある。 親水性膜は親水性の高い素材で製造された膜、あるいは、膜表面の親水性を高めるように改質した 膜や界面活性剤でコーテイングした膜である。親水性は表面の濡れやすさを示す指標であり、疎水性 と対比させて使い分けているが明確な区分はない。 疎水性の高い多孔質膜を一旦乾燥させるとバブルポイント以上の高い圧力をかけないと水が透過し ないが、親水性膜は乾燥させても再度簡単に水に濡れるのでこのような現象は認められない。 従って、親水性膜は出荷時や保管時に乾燥させておくことが出来る。 また、疎水性膜にスルフォン基やカルボニル基などの親水基を導入した親水化処理膜もある。 疎水性膜は疎水性の高い素材で製造された膜をいう。 非対称膜とするためにち密層(機能層)と支持層を別々の素材で製造した複合膜には、膜供給水と 接触する表面の膜素材だけが疎水性のものもある。 疎水性膜は出荷や保管時に常に湿潤にしておく必要がある。 しかし、乾燥状態の疎水性膜にエタノール溶液、イソプロピルアルコール溶液等の表面張力の小さ い溶媒を透過させることにより、バブルポイント以下の低い圧力で再び水を通すことができる。 【表】 代表的な親水性膜と疎水性膜 分 類 親水性膜 膜材質 ニトロセルロース 酢酸セルロース(CA) ポリアミド(PA) ポリアクリロニトリル (PAN) 酸化アルミニウム (アルミナ) ガラス製膜 出典:本標準技術集のために作成 疎水性膜 ポリテトラフルオロ エチレン(PTFE) ポリフッ化ビニリデン (PVDF) ポリプロピレン(PP) ポリエチレン (PE) ポリスルフォン(PS) 【出典/参考資料】 「ユーザーのための実用膜分離技術」、1996 年 4 月 30 日、化学工学会・膜分離技術ワーキンググルー プ編、株式会社日刊工業新聞社発行、11 頁 115 頁 − 73 −