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我が国の健康・栄養政策のねらいと内容
資料2:厚生労働省 提供資料 我が国の健康・栄養政策のねらいと内容 厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室 栄養・食育指導官 河野美穂 21世紀の栄養・食生活のあり方 21世紀の健康・栄養政策の概要 (平成9年3月「21世紀の栄養・食生活のあり方検討会報告書」より) QOL、健康、疾病 べ │ ス ラ イ ン 診 断 栄養状態 栄養素、食物等の摂取状態 食生活、食行動 食物へのアクセス (食環境の整備) 情報へのアクセス (健康・栄養教育) 経 過 及 び 結 果 評 価 基盤整備(知識、人材、制度、施設) 目標設定、国際化への対応、有機的な連携 健康・栄養政策の決定及び実施 政策の柱 ①栄養・食生活の目標設定 ②多様なニーズに対応した支援体制の確立 ③栄養政策の連携の充実強化 2 「健康日本21」の推進 【目的】21世紀の我が国を、すべての国民が健やかで心豊かに 生活できる活力ある社会とするため – 壮年期死亡の減少 – 健康寿命の延伸 – 生活の質の向上 を実現する 【期間】平成12~24年度 【基本方針】 (1)一次予防の重視 (2)健康増進支援のための環境整備 (3)目標等の設定と評価 (4)多様な関係者による連携のとれた効果的な健康増進 の取組の推進 【対象分野】①栄養・食生活 ②身体活動・運動 ③休養・こころの健康づくり ④たばこ ⑤アルコール ⑥歯の健康 ⑦糖尿病 ⑧循環器病 ⑨がん 3 「健康日本21」の栄養・食生活分野における 目標設定の視点 栄養・食生活分野の目標設定に際して、 最終目標である健康及びQOLの向上の ためには、1)「栄養状態」をより良くする ための「適正な栄養素(食物)摂取」、2) 適正な栄養素(食物)摂取のための「行動 の変容」、3)行動の変容を支援するため の「環境づくり」が必要であることから、大 きく3つの段階に分け、目標設定を行っ た。 4 「健康日本21」の栄養・食生活分野における目標 ■適正な栄養素(食物)の摂取(栄養状態、栄養素(食物)摂取レベル) 1 適正体重を維持している人の増加 2 脂肪エネルギー比率の減少 3 食塩摂取量の減少 4 野菜の摂取量の増加 5 カルシウムに富む食品の摂取量の増加 ■適正な栄養素(食物)を摂取するための行動の変容(知識・態度・行動レベル) 6 自分の適正体重を認識し、体重コントロールを実践する人の増加 7 朝食を欠食する人の減少 8 量、質ともに、きちんとした食事をする人の増加 9 外食や食品を購入する時に栄養成分表示を参考にする人の増加 10 自分の適正体重を維持することのできる食事量を理解している人の増加 11 自分の食生活に問題があると思う人のうち、食生活の改善意欲のある人の 増加 ■適正な栄養素(食物)を摂取するための行動変容に係る環境づくり(環境レベル) 12 ヘルシーメニューの提供の増加と利用の促進 13 学習の場の増加と参加の促進 14 学習や活動の自主グループの増加 【中間評価で追加】 15 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を認知している国民の割合の増加 5 栄養状態、栄養素(食物)摂取レベルは、疾病・健康 との関連から目標を設定 栄養・食生活との関連が深いとされる疾病には高血圧、高脂血症、虚血性心 疾患、脳卒中、一部のがん(大腸がん、乳がん、胃がん)、糖尿病、骨粗鬆症な どがある。これら疾病と関連のある栄養素摂取レベルについては、エネルギー (消費とのバランスとして)、脂肪、ナトリウム、カリウム、食物繊維、抗酸化ビタ ミン、カルシウムなどがあげられる。 ○エネルギー:消費とのバランスで評価する必要があるが、そのバランスの 評価をエネルギー量で行うことは難しいので、エネルギー摂取と消費のバラン スが反映された栄養状態として「肥満」を指標 ○脂肪エネルギー比率:その増加にともなって動脈硬化性心疾患の発症率 や乳がん、大腸がんによる死亡率の増加が認められており、その適正摂取比 率を目標 ○食塩:高血圧予防の観点 ○カリウム、食物繊維、ビタミンC、カルシウム:循環器疾患やがんの予防に 効果的に働くと考えられているが、特定の成分を強化した食品に依存するので はなく、基本的には通常の食事として摂取することが望ましい。これらの摂取量 と食品摂取量との関連を分析すると、寄与する割合が高いのは野菜。カルシウ ムの適量摂取に寄与する割合が高いのは牛乳・乳製品、豆類、緑黄色野菜 資料:健康日本21企画検討会・計画策定検討会報告書(各論「栄養・食生活」)より 6 「食生活指針」の策定 (平成12年3月) 〈策定の趣旨〉 国民の健康の増進、生活の質(QOL)の向上及び食料の安定 供給の確保を図るため、文部省、厚生省及び農林水産省(当時) は連携して、10項目からなる「食生活指針」を策定。あわせて各 項目ごとにその実践のために取り組むべき具体的内容を定め た。 なお、本指針は、健康の保持・増進の観点からは、先に公表さ れた「第6次改定日本人の栄養所要量-食事摂取基準-」での 数値的な基準をわかりやすい実践的な指針として文章表現する とともに、「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」 の「栄養・食生活」分野で設定された目標に向けて具体的な実践 を進めていく手だての一つとして策定。また、食料の安定供給等 の観点からは、「食料・農業・農村基本計画」における食料自給 率目標を踏まえ、これを達成していく取組の一環として策定。 7 「食生活指針」の項目 生活の質 ★食事を楽しみましょう。 (QOL)の向上 ★1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを。 食 料理 べ 物 食材 の (食品) 組 合 栄養素 せ ★主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。 ★ごはんなどの穀類をしっかりと。 ★野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて。 ★食塩や脂肪は控えめに。 食事と身体活動 ★適正体重を知り、日々の活動に見合った食事量を。 (運動) 食料の安定供給 ★食文化や地域の産物を活かし、ときには新しい料理 や食文化 も。 食料資源や環境 ★調理や保存を上手して無駄や廃棄を少なく。 問題 ★自分の食生活を見直してみましょう。 8 国民健康・栄養調査にみる国民の栄養・食生活の状況 肥満者及びやせの者の割合(20歳以上) (%) 35 31.6 20~60歳代男性 肥満者の割合 29.6 29.3 29.4 29.5 29.0 29.3 30 27.6 27.4 26.0 25.3 25 26.6 25.2 25.2 25.3 24.0 24.8 23.9 24.3 22.4 20歳代女性 やせの者の割合 31.7 31.2 26.4 24.9 24.5 25.0 24.6 24.6 25.5 22.9 23.1 23.9 23.6 22.9 20 40~60歳代女性 肥満者の割合 24.1 23.1 23.3 22.3 23.9 22.5 23.1 23.0 21.9 21.7 21.8 15 平成 7年 8年 9年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年 「健康日本21」スタート ※20歳代女性やせの者の割合は、移動平均に より平滑化した結果から作成。 9 食塩摂取量(20歳以上) 脂肪エネルギー比率 (20~40歳代) 20歳代 30歳代 40歳代 野菜摂取量(20歳以上) カルシウムに富む食品の摂取量(20歳以上) 牛乳・乳製品 緑黄色野菜 豆類 10 健康増進法における「食事摂取基準」 【健康増進法】 (食事摂取基準) 第30条の2 厚生労働大臣は、生涯にわたる国民の栄養摂取の改善に向けた 自主的な努力を促進するため、国民健康・栄養調査その他の健康の保持増進 に関する調査及び研究の成果を分析し、その分析の結果を踏まえ、食事による 栄養摂取量の基準(以下この条において「食事摂取基準」という。)を定めるもの とする。 2 食事摂取基準においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 一 国民がその健康の保持増進を図る上で摂取することが望ましい熱量に関 する事項 二 国民がその健康の保持増進を図る上で摂取することが望ましい次に掲げ る栄養素の量に関する事項 イ 国民の栄養摂取の状況からみてその欠乏が国民の健康の保持増進に 影響を与えているものとして厚生労働省令で定める栄養素 ロ 国民の栄養摂取の状況からみてその過剰な摂取が国民の健康の保持 増進に影響を与えているものとして厚生労働省令で定める栄養素 3 厚生労働大臣は、食事摂取基準を定め、又は変更したときは、遅滞なく、こ れを公表するものとする。 11 「食事摂取基準」に定める事項 (健康増進法施行規則第11条) 国民がその健康の保持増進を図る上で摂取することが望ましい熱量 ○たんぱく質 国民の栄養摂取 ○n―6系脂肪酸、n―3系脂肪酸 の状況からみてそ ○炭水化物、食物繊維 の欠乏が国民の健 ○ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビ 康の保持増進に影 タミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、 響を与えているも ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタ 国民がその の ミンC 健康の保持 ○カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、 増進を図る上 亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリ で摂取するこ ブデン とが望ましい 国民の栄養摂取 栄養素の量 の状況からみてそ の過剰な摂取が国 ○脂質、飽和脂肪酸、コレステロール (単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでない 民の健康の保持増 ○糖類 ものに限る。) 進に影響を与えて ○ナトリウム いるもの 12 専門職(人材)の育成 管理栄養士及び栄養士の定義(栄養士法第1条) 管理栄養士 管理栄養士とは、厚生労働大臣の免許を受けて、管理栄養士の名称を用いて、 ・傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導 ・個人の身体の状況、栄養状態等に応じた高度の専門的知識及び技術を要する健康 の保持増進のための栄養の指導 ・特定多数人に対して継続的に食事を供給する施設における利用者の身体の状況、 栄養状態、利用の状況等に応じた特別の配慮を必要とする給食管理及びこれらの 施設に対する栄養改善上必要な指導等 を行うことを業とする者をいう。 栄養士 栄養士とは、都道府県知事の免許を受けて、栄養士の名称を用いて栄養の指導に従 事することを業とする者をいう 。 13 管理栄養士・栄養士養成施設数(定員数)の推移 (施設) (人) 300 25,000 262 258 250 20,000 20,293 200 184 18,419 施 設 数 150 130 入 15,000 学 定 13,045 員 数 10,000 100 50 9,995 75 41 5,000 5,695 2,725 0 0 施設数 管理栄養士 施設数 栄養士 入学定員数 管理栄養士 入学定員数 栄養士 14