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主要食品の栄養学的特徴
2 主要食品の栄養学的特徴/食事摂取基準/食生活指針 /豚肉にはB1が多い。 主要食品の栄養学的特徴 10.卵類:各種栄養素をバランスよく含む/たんぱく質 1. 穀類:糖質に富む/たんぱく質は少なめ(6∼9%) は良質/脂質の99%は卵黄に存在。コレステロール で動物性食品より劣る(必須アミノ酸が少ない。ア が多い/糖質やビタミンCはほとんど含まないが、他 ミノ酸スコアが低い:制限アミノ酸がある) の栄養素は多い。 2. いも類:糖質に富むのでエネルギー源となる/さつ 11.乳類:栄養素のバランスが良い/糖質はほとんど乳 まいもはビタミンCが多く、調理損失が少ない/食物 糖で、乳糖分解酵素活性が低いと下痢をする/カル 繊維のよい供給源。近年、消費量が減少しているた シウムが多く、リンとのバランスもよい/ビタミン め、食物繊維の摂取量も減っている。。 A、B1、Dなどのよい供給源だが、Cはほとんど含ま 3. 豆類:大豆はたんぱく質に富み(約26%)良質/生 ない/鉄は母乳よりも少ない。 では消化されにくい。豆腐、納豆、味噌などに加工 12.油脂類:摂取量は年々増加し上限である25%以上に /大豆を精製した粉末たんぱく質=きな粉/脂質に なっている。これ以上増やさないことが必要/飽和 も富み、n-6系多価不飽和脂肪酸(リノール酸、γリ 脂肪酸の多い動物性脂肪を減らし、不飽和脂肪酸の ノレン酸など)を含む。 多い植物性脂肪や魚油を摂取するように心がける/ 4. 野菜類:水分が多い(90%以上)/無機質(ミネラ ビタミンA、D、E、Kの供給源だが、植物性油脂はE ル)、ビタミン、食物繊維の供給源/緑黄色野菜とそ 以外はあまり含まない/動脈効果予防にはバターよ の他の野菜(淡色野菜)に分けられる/ほうれん草 りマーガリンが望ましい。 は鉄やカルシウムを含むが、シュウ酸やフィチン酸な どの吸収阻害物質も多いので、利用率は低い。調理 加工でビタミン類が損失することも。 5. 果実類:ビタミン(特にC)、無機質、食物繊維に富 む。 6. きのこ類:食感を楽しむ/栄養素含量は少ないが食 物繊維に富む。 7. 藻類:食物繊維に富む/カルシウム、ナトリウムを 多く含む/ヨウ素が多い/消化吸収は悪い。 8. 魚介類:日本では主要なたんぱく質源/肉類よりも 水分がやや多く脂質が少ない/n-3系多価不飽和脂肪 酸(エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸)が 多い/これらの脂肪酸には血栓予防効果がある/他 の食品にくらべてビタミンDやヨウ素が多い/肝臓に はビタミンAやDが多い/小魚の骨はカルシウムやリ ンの供給源。 9. 肉類:たんぱく質に富む/飽和脂肪酸が多いので常 温では固体/糖質は熟成過程で分解されるためほと んど含まれない/肝臓等の臓器はビタミン類に富む 5 2 主要食品の栄養学的特徴/食事摂取基準/食生活指針 食事摂取基準(DRIs, Dietary Reference Intakes) 1. エネルギー:不足及び過剰のリスクが最も小さくなる 摂取量を推定エネルギー必要量としている。 2. 栄養素 ‣ 推定平均必要量:性・年齢階級別に日本人の必要量の 平均値を推定したもの。当該性・年齢階級に属する 人々の50%が必要量を満たすと推定される一日摂取 量。 ‣ 推奨量:ある性・年齢階級に属する人々のほとんど (97∼98%)の一日の必要量を満たすと推定される一 日摂取量。原則として「推定平均必要量 + 標準偏差の 2倍」。 ‣ 目安量:推定平均必要量や推奨量を算定するのに十分 な科学的根拠が得られない場合、ある性・年齢階級に 属する人々が良好な栄養状態を維持するのに十分な 量。 ‣ 目標量:生活習慣病の一次予防のための摂取量(また は範囲)。 ‣ 上限量: ある性・年齢階級に属する人々のほとんどす べての人々が、過剰摂取による健康障害を起すことの ない最大限の量/この上限量は、安全性を考慮して 「健康障害非発現量」を不確定性因子で除した値とし た。 図5 食 事摂取基準 不 十 分 ︵ 欠 乏 ︶ の 危 険 度 副 作 用 ︵ 過 剰 ︶ の 危 険 度 0 5 栄 養成分摂 取 米 国 ・名称 日本 ・名称 based Dietary Reference intakes) 食事摂取基準 套準事ラ■考摂取 量 (DRls i Nutrient― A i 推 定平均必要量 ( E A R : E s t i m a t e d A v ea「 ge Requ rements) A:推 定平均必要量 B : 推 奨栄養 所要 量 ( 1 国 人のための) ( R D A i R e c o m m e n d e d D i e t a r y A l o w a n c e ) B : 推 奨量 C i 道 正 摂取 量 ( A : A d e q u a t e i n t a k e s ) Ci目 安量 D : 許 容上 限摂取 量 ( レベ ル) ( U L i T o e r a b e U p p e r i n t a k e L c v e l ) D:耐 容上 限量 E i 副 作用非発現 量 ( N O A E L : N o O b s e 「v e d A d v e r s e E f f e c t L e v e l ) E:健 康障害非発現 量 F i 最 低 副作用発 現量 ( L O A E L i L o w e s t O b s e r v e d A d v e r s e E f f e c t L e v e l ) F i 最 低健康 障害発現 量 G i 摂 取 安 全 域 ( S a f e R a n g e o f N uite「 nts intake) Gi(摂 取安全域) 6 (3)リ ス ク管 理 sk assessment) ②リスク評価 (問 2 主要食品の栄養学的特徴/食事摂取基準/食生活指針 リスク管理:食品由来性疾患(細菌、寄生虫、食品添加 日本人の食生活指針:食事バランスガイド 物、残留農薬など/食品の質的評価)と食事関連疾患 生活習慣病予防と食生活:いろいろな食品を食べて栄養 (生活習慣病) 素のバランスをとること/肥満にならないように食事と ‣ リスク分析:危険度解析 運動のバランスをとること/食塩をとり過ぎないこと ‣ リスク評価:危害固定(危害要因の確認。有害作用の (現在の平均摂取量は約11g。目標は男性10g未満、女性 確認)/危害特性の明確化(危害作用の本質を定量 8g未満)/脂肪の摂取量を減らすこと/緑黄色野菜など 的、定性的に明らかにする。副作用非発現量、最低副 を積極的に摂取すること/食物繊維を積極的に摂取する 作用発現量が求められる)/暴露評価・摂取量評価 こと/カルシウムを充分にとること/間食はほどほどに (危害を起す量や必要量などを評価するために摂取量 すること/アルコールはほどほどに、タバコは吸わない などの調査をおこなう)/リスク特性の明確化(リス こと クがどのようなものか明確にする) ‣ リスク管理:評価に基づいて適切な方策を実施するこ と ‣ リスク情報交換:関連する情報を十分に入手して検討 する/消費者には適切な情報を提供する 7 2 主要食品の栄養学的特徴/食事摂取基準/食生活指針 特定保健用食品と栄養補助食品 栄養補助食品とその活用 ‣ 健康強調表示:健康度を増大したり、疾病を誘発する ‣ 栄養補助食品や健康食品には、科学的根拠が明らかで 危険要因を低減・除去したりして、疾病を予防した ない成分を用いたものもあるので、留意して活用する り、治療したりできることを表示するもの。人体を対 必要がある。 ‣ これらの食品にはビタミンやミネラルの補給を目的と 象にして観察研究を行い、その事実が科学的根拠に基 づいていることを証明して許可される必要がある。 したものが多い。これらの成分のなかには過剰症のあ ‣ 保健機能食品:「特定保健用食品」と「栄養機能食 るものがある。本当に必要なのかどうかを正しく判断 品」がある。「特定保健用食品」は「条件付き特定保 するとともに、必要量以上をとらないように注意する 健用食品」と「規格基準型特定保健用食品」があり、 ことも重要である。 「疾病リスク低減表示」が容認されている。 ‣ 特定保健用食品:科学的根拠に基づいて健康強調表示 が許可されているもの。 ‣ 条件付き特定保健用食品:「○○を含んでおり、根拠 は必ずしも確立されていませんが、△△に適している 可能性がある食品です」と表示することが許可されて いる。 ‣ 規格基準型特定保健用食品:すでに許可されている特 定保健用食品のうち、一定の基準を満たすものについ て認められている。 ‣ 疾病リスク低減表示:「カルシウムと骨粗鬆症」「葉 酸と胎児の神経管閉塞障害」の科学的根拠が収集さ れ、摂取量の上限値・下限値等が定められている。 ‣ 個別許可型:個々の食品(商品)について許可するも の。同じ成分を含むものでも食品の形態が異なる場合 は別途、許可を得る必要がある。 ‣ 規格基準型:成分の内容・含有量等が同じであれば、 個々の食品について許可を得る必要がない。 8