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魅力一杯群馬県 群馬学しよう

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魅力一杯群馬県 群馬学しよう
魅力一杯群馬県 群馬学しよう
芦沼 駿
私のふるさとは、東京の葛飾区柴又です。「寅さん」で有名な柴又帝釈天のそばですが、
実は私自身あまり行ったことがありません。
群馬県の大学に入学して四年がたちました。もうすっかり前橋市での暮らしには慣れ、
四年間住んでいると「群馬って本当にいいところだな」と思うようになります。私は、来
春大学を卒業しますが、これからも群馬県で学校教員として働いていきたいと考えていま
す。
私のふるさとの近くに「江戸川」という川が流れています。テレビドラマなどでもとき
どき出てくる大きな川です。この「江戸川」は「利根川」の支流です。ですから、私のふ
るさとは、今住んでいる前橋市と「川つながり」になっているのです。
東京の中心を流れているのは、埼玉県に源がある「荒川」です。それが「隅田川」にな
ります。もう一つの山梨県に源がある「多摩川」と併せて、二つの大きな川にはさまれて
東京はあります。
ところが、東京に住んでいると、あまりそうした「つながり」に気づくことはありませ
ん。しかし、そういう理解を深めていくことはとても大事なのではないかと考えます。
例えば、私のふるさとの葛飾柴又ですが、調べてみると次のようなことがわかります。
縄文時代は群馬県藤岡市あたりまで海が深く入り込んでいました。その後、弥生時代から
古墳時代になると、古隅田川や古利根川などの河川によって運ばれた土砂が堆積し、浮洲
ができるようになります。
その頃から人が住み始めた様子がいろいろな出土品からわかり、
万葉集の和歌に葛飾という名前もあるようです。
平安時代末期になって坂東武士になると、葛飾あたりにも有力な武士が出てきて、次第
に発展したようです。
戦国時代も終り頃になると、安房の里見氏と小田原の北条氏が利根川をはさんで抗争す
るようになって、葛飾も戦いの地となったようです。今は、東京都になっているわけです
が、これは北条氏が勝って、武蔵の国に入ったからのようです。
江戸川は、千葉県と茨城県の境で二つに分かれ利根川とは別に、東京湾に向かって流れ
ます。江戸川は実は首都圏の上水道を支えています。東日本大震災の原発事故に伴って、
放射能の問題などではじめて知った都民も多かったようです。
荒川も昔は利根川と合流していたそうです。ですから、「群馬は首都圏の水がめ」とい
われるのはそういう理由があります。
ところが、残念なのは、こうしたことについて都民はもちろんですが、群馬県民もあま
り知らない人が多いことです。私のように他県民(都民)が群馬県に関心を持って、いろ
いろなことを調べてみるとたくさんおもしろいことがあるのに、当の群馬県民がそれをよ
く知らないのは、もったいないのではないでしょうか。
「上毛カルタ」でも、川や水源について触れている札は、
「利根は板東一の川」
「理想の電化に電源群馬」
くらいのものです。群馬県を流れる第二の大きな川である「渡良瀬川」についても、札が
なくて知らない県民も多いのではないでしょうか。
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そこで、私は学校教育や社会教育で「群馬学」をもっと進めたらよいのではないかと思
って提案します。
さて、最近、地域の認知度や魅力度、イメージなどの調査がいろいろと行われたり、そ
の結果が発表されたりしています。
一例として、ブランド総合研究所が行った「地域ブランド2013都道府県ランキング」
の表を引用掲載します。その記事には次のように書かれていました。(以下下線部分は記
事を引用。)
都道府県の結果で最も魅力度が高かったのは北海道で、前年より 1.4 点増の 65.3 点とな
り、5 年連続の 1 位となった。北海道は市区町村の魅力度ランキングにおいても、2 位の函
館市のほか、札幌市(3 位)、富良野市(5 位)、小樽市(6 位)などベスト 10 以内に 4
市ランクインしており、道内各市の魅力を集約させ、北海道としての魅力を高めている。
続いて魅力度が高かったのは京都府で 49.1 点(前年 54.6 点)。京都市(1 位、53.8 点)
の点数が京都府を上回っており、京都府の魅力を京都市が引っ張り上げている構造が明ら
かとなった。3 位は沖縄県で 44.3 点(前年 48.4 点)。沖縄県は北海道同様に石垣市(10
位)、那覇市(12 位)など、魅力度の高い市町村を県内に複数抱えている。
調査開始以来 4 年間、上位 6 位までの順位に変動はなかったが、神奈川県がはじめてベ
スト 5 にランクインした。また、福岡県は前年の 10 位から 7 位へと順位を上げた。なお、
今回の調査にて最下位となったのは茨城県だった。前年、最下位を脱したが、再び最下位
となった。魅力度に相関の高い観光意欲度も 5 年連続最下位となっている。
◆都道府県の魅力度ランキング (図表引用複写)
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この結果からもわかるように、群馬県は決して認知度や魅力度が高いと評価されている
わけではありません。子どもたちが自分のふるさとである「群馬県」にもっと魅力を感じ、
自信が持てるようにすることが大切ではないでしょうか。
そうした中で、群馬県のホームページを見ていたところ、とても素晴らしい教材となる
ような印刷物を見つけることができました。
それが「ぐんまちゃんが案内する群馬の魅力 ぐんまがいちばん!」です。
この冊子を見て、私が感じたことを以下に書いていきたいと思います。
この冊子では、「ぐんまの自然」「ぐんまの温泉」「ぐんまの食」といったように、
自然・温泉・食・農業・産業・歴史・文化・風土と8つの項目に分けて、群馬県のマス
コット「ぐんまちゃん」が群馬県の魅力をわかりやすく紹介しています。「ぐんまちゃ
ん」が紹介をしてくれることによって、子どもから大人まで親しみやすく、とても楽し
い気持ちが読み手にまで伝わってきます。
この冊子を読んで一番に感じたことは、「4年間群馬で暮らしてきたけど、まだまだ
こんなに群馬には魅力があるのか」といったものでした。言ってしまえば、「知らない
こと」が多すぎたのです。
しかし、このような感想を持ってしまうのは私だけではないはずです。群馬県民には、
いや、群馬県民だからこそ、もう一度群馬県の魅力を見つめ直し、魅力ある群馬県を外
へと発信してもらいたいと思います。
この冊子の中で、「ぐんまのトリビア」と題して、群馬県が「日本一・世界一」「日
本初」「日本最古」「日本で唯一」のものがまとめられています。なかには、利根川や
上毛かるた、こんにゃく芋,富岡製糸場など広く知られている群馬の魅力も様々なジャ
ンルにわたって数多く紹介されています。さらには、「AEDの製造は国内唯一」「カ
スタネットの製造日本一」といったような、こんなものまでと思ってしまうものもたく
さんありました。
また、そのもの自体は知っているけど、それが生まれたルーツをこの冊子で学んだも
のもあります。岩宿遺跡など群馬県に数多くある文化財の出土秘話、焼きまんじゅうが、
はじめは「味噌付けまんじゅう」だったこと、地域によって中身や呼び方が違うこと、
温泉マークの発祥など、思わず「そうなんだ」と感心してしまいました。群馬県民には
大きなものから小さなものまで、さらにはそのルーツに至るまで群馬県の魅力を余すこ
となく感じてほしいなと思います。
さらに、この群馬の魅力を教育活動に取り入れ、子どもたちとともに学んでいくこと
で、学校を中心に家庭、地域へと広がりを見せることができると考えます。まずは教師、
教える側がしっかりと群馬県の魅力を知り、感じなければなりません。それを子どもた
ちが自然に学び、子どもたち自身が感じられるような創意工夫をこらした授業をつくる
必要があります。
そういった授業をつくる上でこの冊子自体も、教材として大きな力を発揮すると考え
ます。単純に、子どもたちがこの冊子を読み、自分たちが暮らす群馬県に何を感じたか
を考え、話し合うだけでも十分に群馬県の魅力に触れる授業になると思います。さらに
は、冊子に書かれていることを実際に見たり、聞いたり、体験したりするのもいいかも
しれません。最終的には、この冊子を良い見本として、「自分たちで群馬県の魅力を他
の人に伝えよう」と考え、誰に伝えるか、どうやって伝えるか、どうすればより良く伝
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えることができるのかというような課題を子どもたち自身が発見し、取り組んでいくこ
とができれば、自分たちが住む「群馬県の魅力」を中心に、子どもたちの教育活動は大
きく広がっていくことと思います。
その様子を見た、家庭や地域の人々が「群馬県の魅力」やそれを伝える子どもたちの
成長から、何かを感じ外へ発信することで、群馬県全体が大きく盛り上がっていってほ
しいなと考えます。
最後に、「群馬学」という言葉を大学で聞きました。自分のふるさとについて子どもた
ちが学び、理解を深めることは、これからの国際社会に生きていく上でとても大切なアイ
デンティティーになると思います。群馬にはこれほどたくさんの魅力があります。ぜひ、
学ぶ機会をたくさんつくって欲しい、つくっていかなければいけないなと思っています。
特に、小中学校では、総合的な学習の時間や特別活動などの中で、こうした情報を活用
していくことが大切なのではないでしょうか。
教育活動や学校以外では、しばらく前に、スマートフォンのアプリで「ぐんまのやぼう」
が話題になりました。こうしたことも子どもたちには受け入れやすいことのように思いま
す。様々な手段や方法を我々若い世代から提案し、発信していくことも必要ではないかと
思います。
まだ学生の私には、このような考えや願いしか持つことができません。多くの人が集
まれば、さらに多様で素晴らしい考えや願いが生まれるのだと思います。教育者や子ど
もたち、家庭、地域、群馬県民すべての考えや願いを活かして「群馬県の魅力」を群馬
県全体で伝えていって欲しいと考えます。
(参考・引用)
「全国3万人による自治体の通信簿 地域ブランド調査2013」
(BKI ブランド総合研究所)
http://tiiki.jp/news/05_research/survey2013
「ぐんまちゃんが案内する群馬の魅力 ぐんまがいちばん!」(群馬県)
http://www.pref.gunma.jp/contents/000230899.pdf
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