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参考:研修資料 PDF 2965KB
リスクアセスメント
(現況調査)
豊田安全衛生マネジメント㈱
技術支援部 調査役
須永 泰弘
従来の保安対策の取り組み
1.過去の災害から学ぶ対策
災害発生
原因分析
*災害が減少し学ぶ機会
が少なくなった
対策実施
横展開
2.潜在災害防止対策
災害発生前
危険箇所・作業を見つけ
対策実施
水平展開
リスク・マネジメントとリスクアセスメント(現況調査)
鉱業権者
鉱業権者による鉱山の現況及び保安上の危険の調査
(リスクアセスメント)
反映
保安規程
リスク・マネジメント
リ
ク ネジ
保安上の危険の把握・対策の立案
P
D
保安対策の実施
継続的に
の実施
対策の見直し
C
A
保安対策の改善
• 古人曰く「段取り八分、仕事二分」
• 古人のPDCA(段取りの中に、計画(P)、見
直し(Ⅽ)、改善(A)が含まれていた
• 日常生活の中にあるPDCA
現況調査
そのやり方、方法は?
リスクアセスメント
その結果は?
保安規程へ折込
保安計画へ反映
・現状を知る
・現状の棚卸し
・ベンチマーク
「安全」について考える
安全マッチ
交通安全
安全とは?????
国際安全規格
受け入れできないリスクがないこと
ISO/IECガイド51
リスクアセスメント
そのリスクの大
きさを査定する
リスクの大きさ
安全
不安
(危険か安全か解らない)
安全
危険とみなす
危険
リスク大
リスク小
「安全」と「危険」のあいまいさ
許容可能なリスク
「絶対安全」は現実的でない(あり得ない)
国際安全規格では
• その時代の社会の価値観に基づいて所定の状況
の中で受け入れられるリスク(ISO/IECガイド51)
−社会の価値観、技術の進歩等により変化し、恒常的な
ものではない。その時代により変化する
災害・健康障害に至るプロセス
危険有害要因
(危険源)
人
危険状態
保安方策の不足、不適切、不具合
危険事象
ケガ・健康障害
平成16年厚労省資料
鉱山における労働災害の現状
危険源(危険有害要因)別死亡災害発生状況
製造業
製造業
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
不能
分類
他
その
な動作
無理
の反動
動作
事故
交通
火災
破裂
爆発
感電
の接触
物と
有害
の接触
物と
・低音
高温
れ
おぼ
抜き
踏み
すれ
・こ
切れ
れ
込ま
れ巻き
挟ま
され
激突
・倒壊
崩壊
・落下
飛来
激突
転倒
・落下
墜落
建設業
建設業
300
250
200
150
100
50
0
分類不能
その他
動 作 の 反 動 無 理 な動 作
交通事故
火災
破裂
爆発
感電
有 害 物 との 接 触
高 温 ・ 低 音 物 との 接 触
おぼれ
踏み抜き
切 れ ・こ す れ
挟 まれ 巻 き 込 まれ
激 突 され
崩 壊 ・倒 壊
飛 来 ・落 下
激突
転倒
墜 落 ・落 下
鉱業
鉱業
6
5
4
3
2
1
0
分類不能
その他
動作の反動無理な動作
交通事故
火災
破裂
爆発
感電
有害物との接触
高温・低音物との接触
おぼれ
踏み抜き
切れ・こすれ
挟まれ巻き込まれ
激突され
崩壊・倒壊
飛来・落下
激突
転倒
墜落・落下
リスクアセスメントとは
職場に存在する有害危険要因を把握して
有害危険の程度を明らかにし
その有害危険要因をリスクレベル(大きさ)に応じて
除去、低減するために対策事項を決定し
リスクを減少させるための手法
リ ス ク の 定 義
リスク=
危害(けが)の大きさ
の程度
(死亡、重傷、軽傷等の
(死亡
重傷 軽傷等の
程度の区分)
*
危害(けが)を引き起こ
す確率
・危険源に接近する頻度
危険源に接近する頻度
・発生(回避)の可能性
ライオンという危険源は存在するが、
人が不在であれば傷害リスクの発生はない
危険源(Hazard)
ライオンは本当に危険有害要因(危険源)か?
・赤ちゃんのライオンだったら?
・虫歯で歯のないライオンだったら?
・人間より走るのが遅いライオンだったら?
・手足の爪を爪切りで切ったライオンだったら?
もう少し危険有害要因(危険源)を深く考えてみよう
・赤ちゃんのライオンだったら?
人間の方が、力、運動能力に勝る
危険源と思わない
・虫歯で歯のないライオンだったら?
かまれても死ぬことはないだろう
突き傷又は刺し傷の危険
・人間より走るのが遅いライオンだったら?
たぶん逃げられるだろう
危険源からの回避
・手足の爪を爪切りで切ったライオンだったら?
はたかれても死ぬことはないだろう
突き傷又は刺し傷の危険
危険源を突き詰めていくと
ライオンそのものが危険源ではなく、人間を超え
る運動能力、突き傷刺し傷の危険、押しつぶしの
危険の危険源を持っているライオンとなる
どんな危険が
どこに
フォークリフトの例
重量
押しつぶしの危険
突き刺しの危険
運転者の落下の危険
轢かれる危険
爪の形状
作業位置
視認性(形状)
•危険源を適確に見定める(同定する)こ
とが、確かで有効な是正対策に直決する
国際安全規格の危険源の種別(例)ISO14121
(1)
機械的危険源
(9)
(2)
電気的危険源
(10)
(3)
熱的危険源
(11)
(4)
騒音よる危険源
(12)
(5)
振動による危険源
(13)
(6)
各種放射による危険源
(14)
(7)
使用材料・物質による
危険源
(15)
人間工学無視による危
険源
(16)
(8)
危険源の組み合わせ
制御システム等の不調から生じる危険源
個別機械で考えられる危険源
機械が移動するために追加して考察すべき危険源
機械に持ち上げ作業が伴う場合に追加して考察す
べき危険源
地下作業を伴う場合に追加して考察すべき危険源
人の移動を伴う場合に追加して考察すべき危険源
その他、鉱山特有の危険源は有りますか?
リスク発生
危険状態
人の存在
危険源(Hazard)
リスクは発生するがガード設置により
リスクは低減できる
人の存在
ガード(是正対策)
危険源(Hazard)
リスクアセスメントの基本的な手順
スタート
危険有害要因の同定
危険有害要因ごとのリスクの見積り
リスクの評価
リスクの除去低減対策の検討・実施
手順1 実施の準備
①経営トップ、管理者による実施の表明
②グループ編成
③「危険源同定」の基本原則
「機械は故障し、人は誤りを犯す(故障と
ミスは認めましょう)」
④場所(工程)と作業の選定
⑤準備するツール
1)作業手順書
(先ずは手順書の整備から)
全ての作業には手順があります
作業手順書の例
作成
作業区分
定常・非定常
品 番
工程名
作業名
床上操作クレーン運転作業
品 名
設 備 名
所属
作 業 手 順 書 ( 例 )
№ 作 業 手 順
作
業
の
急
所
1 保護具を着用する
保護具を正しく着用する
2 ワイヤーの選定
ワイヤーの直径及び素線の損傷を確認する
安 全 の 急 所
重量に合ったワイヤーを使用する
3 クレーンを誘導する 吊り荷の中心に誘導する
二方向からの重心を考慮する
4 ワイヤーを掛ける
吊り角度は良いか「重心ヨシ」
ワイヤーの停止を確認する
5 ワイヤーを張る
張る手前で止める「ワイヤーヨシ」
ワイヤーに手を触れない
6 地切
1m上昇し一旦停止する「吊り荷ヨシ」
静かにゆっくりと行う
7 巻き上げる
荷はできるだけ低く運搬する
荷より1m以上離れる
8 目的地へ誘導する
周囲の安全を確認する
吊り荷の下に入らない
9 降ろす
床面手前で一旦停止する「着地ヨシ」
番木等の配置を確認する
10 ワイヤーを外す
ワイヤーは充分ゆるめる
素線で手を切るな
11
12
ホイストクレーン
2)危険源リスト
(抜け、落ちが防げる)
形状
相対位置
1
機械本体の危険
重量及び安定性
加工速度(作業速度)
弾力性構成要素(ばね)
2
機械本体の有しているエネル
ギーの危険
加圧下の液体及び気体
真空効果
押しつぶしの危険
烈断の危険
切り傷又は切断の危険
巻き込まれの危険
3
機械本体の機械的危険
引き込まれ又は落ち込みの危険
衝撃の危険
突き傷又は刺し傷の危険
摩擦又は擦過傷の危険
高圧液体の注入又は噴出の危険
3)評価要素の設定
・「けがの程度」
・「発生(回避)の可能性」
・「危険源(ハザード)に
近づく頻度」
の3要素が最も一般的
評価ランクの設定【例】
「けがの程度」
評価点
内
容
10点 死亡、失明、手足の切断等の重篤
災害
5点 上記以外の休業災害・身体障害
10級
1点 不休災害
評価ランクの設定
「災害発生(回避)の可能性」
評価点
6点
3点
1点
評 価 内 容
発生したら逃げられない (発生が
確実)
注意してないと逃げられない
(発生の可能性あり)
逃げられる(ほとんどない)
評価ランクの設定
「接近の頻度」
評価点
内
容
4点
頻繁(例えば、1回/日以上)
2点
ときどき(例えば、1回/週以上)
1点
ごくわずか(例えば、1回/月以上)
評価ランクの設定
「総リスク点数」
点 数
評価レベル
10~20点 許容できない
ランク
Ⅳ
7~9点
重大な問題がある
Ⅲ
4~6点
問題がある
Ⅱ
1~3点 対策不要
Ⅰ
評価要素を2要素とする場合
危険源に近づ
く頻度
けがの程度
必須要素
いずれか選択
発生(発生した
場合、回避)の
可能性
「けがの程度」と「発生(発生した場合、回
避)の可能性」を選択した場合の例
けがの程度
軽微災害 不休業
発生の可能性
休業
身体障害 死亡
1
3
5
7
10
ほとんどない 1
2
4
6
8
11
可能性がある 2
3
5
7
9
12
可能性が高い 4
5
7
9
11
14
6
7
9
11
13
16
非常に高い
評価ランクの設定[例]
「総リスク点数」
点 数
評価レベル
ランク
9点~
即、改善を要する
Ⅲ
6~8点
改善の検討を要する
Ⅱ
~5点
当面、管理を要する
Ⅰ
手順2 危険源(ハザード)の同定
① どんな方法でチェックしていくのか。
どんな危険源があるか?
(危険を同定する)
危険源リスト
作業手順書
危険源の同定
1)作業手順書から危険源を同定する
2)作業(現場)の観察は非常識の目で見る
3)ビデオの活用
手順3・4 リスクの見積り・評価
リスクの見積り・評価 リスク評価表
協 議
小グループで協議し、評
価点・評価ランクを決定
する。各自の点の平均点
ではない。
評 価 の 決 定
①評価の原則
異なる評価は、理由を正して論議で納得
②グループリーダーの役割が重要
③ヤマ勘による評価は禁物
リスクの見積り・評価におけるポイント
重大性、発生した場合の回避の可能
回避の可能
(1)危害の重大性
性、頻度
頻度で見積りする時に
① 重大性は、通常思い浮かぶ最も大きいケガ・
重大性
通常思い浮かぶ最も大きいケガ・
重い健康障害とする
重い健康障害
とする。
② 可能性は、危険状態が生じた時に労働災害
可能性
危険状態が生じた時に労働災害
を避けることができるかを、安全方策の状
を避けることができるか
況や作業者の行動から判断する。
③ 頻度は、作業の頻度ではなく、危険源に人
頻度
が近づく危険状態の生じやすさ
危険状態の生じやすさで見積りを
する。
バラツキが生じた場合、
(2)複数で行って、バラツキが生じた場合、
グループの皆が納得できる理由の一番大
きな点数を採用する。
きな点数を採用
手順5 リスク低減対策
手順
(1)対策の優先順位は、リスクが高いものを優先
(2) 対策は工学的手段により行うことが原則
(3)
(3)リスク低減対策は、
リスク低減対策は、本質(的)安全化
本質(的)安全化(危険源をなく
(危険源をなく
す)、安全防護対策
す)、
安全防護対策(人が危険源に近づけないよう
(人が危険源に近づけないよう
にする)以外の対策では、原則としてリスクを下げな
にする)以外の対策では、
原則としてリスクを下げな
いようにする。
(4)単なるアイデアではなく、
単なるアイデアではなく、実現可能な方法
実現可能な方法を
を
十分に検討して対策をたてる。
(5)新たなリスク
(5)
新たなリスクやリスクの移転がない対策とする
やリスクの移転がない対策とする
リスク低減対策(是正措置)の考え方の順序
危険源
本質(的)安全化
除去できるか?
No
Yes
国際安全規格
ガード又は保護装置を
使用しないで、機械の
設計又は運転特性を変
更することによって、
危険源を除去する又は
危険源に関連するリス
クを低減する保護方策
安全防護対策
Yes
人を防護で
きたか?
1.隔離による安全防護
(防護柵等)
2.停止による安全防護
(人が危険源に接近
したら機械の運転
を停止)
リスクの低減
No
残されたリスク(残留リスク)に対して、保安
管理組織、作業手順、教育・訓練、保護具等
で災害防止を図る
(6)是正後のリスク評価
6)
対策の検証
対策技術や経済的理由により対応が困難な
ものについてはリスクが顕在化して「残留
リスク」になる
「残留リスク」については作業者に対
して教育・訓練等により「決め事を守
るべき理由」を明確にする
手順6
手順
6 記録
実施した内容を記録する
手順7
手順
7 リスクアセスメントの見直し
①作業工程の変更があった場合
②作業方法に変更があった場合
③リスクアセスメント実施方法の変更があった場合
④より適切な防護対策が確認された場合
⑤新たに重要な事実が見つかった場合
⑥定期的な見直し
リスクアセスメントの期待効果(直接効果)
1)職場のリスクが明確になる。
2)職場のリスクに対する認識を管理者を含め、
職場全体で共有できる。
3)保安対策について合理的に優先付けができる。
4)費用対効果を考慮しながら保安対策を効果的
に推進できる。
5)残されたリスクについて「守るべき決めごと
の理由が明確になる。
6)管理者にとって保安管理上の責任を果たすこ
とができる。
リスクアセスメントの期待効果(間接効果)
1)職場全員が参加することにより「保安」に対す
る感性が高まる。
2)リスク低減対策の実施事例を記録することによ
り、ノウハウとして蓄積され伝承できる。
3)経営資源が有効活用される。
鉱業権者、管理者、監督者に求められる
安全配慮義務とは?
安全配慮義務とは?
安全配慮義務の履行
下記の2つの義務を履行している必要がある
(1)危険予知の義務
職場における危険、特に働いている人の周りに
ある危険を予知して発見し、発見した危険が生
じないように事前に対策を行うこと
(2)結果回避の義務
リスクを除去したり低減させ、残留したリスクに
対して作業者にその存在などを示し、日々の活動
などで危険が顕在化しないように対策を取ること
部下への説明責任とは?
部下への説明責任とは?
部下の安全を保障するのは上司の責務である
安全を確保するために、定められた責務を上司
としてどのように受け止めどのように履行した
かなどを部下に説明する責任が求められる時代
となった。
リスクアセスメントと関連づけると
・職場の管理監督者は、その部下を誰一人被災させ
ないために、職場にある全ての危険要因を発見し、
評価し、対策を行う。
・もし完全に除去出来なかった場合は危険の一部を
部下にゆだねなければならない。その時は、残った
危険を説明し、作業手順や安全確認事項を的確に示
すことが、安全配慮義務を履行したことになる。
部下を被災させないために上司として、なぜ、何を、
どのように実行したかを説明することが求められて
いる。
リスクアセスメントと
リスクアセスメントとKY
活動等との違い
KY活動等との違い
リスクアセスメント
① 大きなリスク向き
② 年に1∼3回しか実施できない
③ 客観的な評価ができる
④ リスクレベルに応じた合理的な
対策が講じられる
KY活動
① 小さなリスク向き
② 毎日でも行うことができる
③ 主観的に(経験・チェック
リストに基づいて)進める
④ その日に実施できる対策を行う
演 習
ステップ1
個々によるリスクの抽出
ステップ2
グループによるリスク評価
ステップ3
是正措置の検討
ステップ4
まとめ・発表
ステップ1
• 先ずは、皆さん一人一人が、どんな危険源があるか、
様式1に記入していただきます
• 参考資料として、「危険源リスト」を参照してください
• 「非常識の目」で見てください。○○が壊れたらどう
なるか?作業者が、それを忘れた、または守らな
かったらどうなるか?
• リスクは、具体的、定量的(重さ、高さ、速さ等)に指
摘してください。例えば、2mの位置から落ちて、足を
捻挫する等
記入例
調査対象
(場所)
危険有害要因
(ハザード)
どこに
どんな危
険が
パワーショ
挟まれ
ベル
〃
〃
転落
転落
扉
保安を害する要因(リスク)
(∼して〇〇を〇〇する)
エンジンの点検時、扉が風によ
り閉まり、指を骨折する
足場
エンジンの点検時、足場が狭い
ため足場より落下し足を捻挫す
る
キャタピ
ラ
エンジンの点検時、足場が狭い
ため足場より落下し足を捻挫す
る
ステップ2
次に、リスクを評価します。
始める前に、グループリーダーを決めてください
グループリーダーは、様式2の帳票を使用します
グループリーダーは、グループの一人一人から、ど
んなリスクがあったか聞いてください
• 聞いた結果、Aさん、Bさん、Cさんと同じリスクが
有った時は、先ずはそのリスクから評価していきま
しょう。
• 各々の評価点数が異なる時は、よく意見をきいてま
とめましょう
•
•
•
•
記入例
レベル
3
10
3
5
1
1
7
3
10
4
3
17
4
頻度
合計点
2
可能性
5
程度
リスク評価
ステップ3
• メンバーの意見を聞いて、安全方策を決める
• 時間に制限がありますので、全ての項目は難
しいので、できるもの、まとめ易いもので結構
です。
• リーダーは、この安全方策で良いか、メン
バーに確認してください
• 安全方策を取ったとしても、残るリスクが有る
ことを知ってください
ステップ4
• まとめ・発表
• グループリーダー
• 実際に、各事業所で行う場合は、ステップ1∼
3までとなります。
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