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第 37 回日本・米国南東部会 日米合同会議 「日本と米国南東部:国際

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第 37 回日本・米国南東部会 日米合同会議 「日本と米国南東部:国際
第 37 回日本・米国南東部会
日米合同会議
「日本と米国南東部:国際市場アクセスのための戦略的な錨」
日本貿易振興機構(ジェトロ)
理事長
石毛
博行
ジェトロ理事長の石毛です。有意義な議論を行いたいと思います
ので、どうぞ宜しくお願いします。
7 月末から 8 月初めにかけての安倍総理の中南米訪問に随行して、
私はメキシコ、パナマ、チリ、ブラジルを訪問しました。メキシコ
では、日系のみならず欧州系等自動車産業を中心に進出ラッシュと
なっていることを再認識しました。メキシコは NAFTA を通じて米国
向けの輸出拠点となっています。労働コストが米国に比べて安いこ
とのほか、メキシコ・米国間の鉄道や道路による物流・ロジスティ
クスが大きく改善されたことがその背景の一つとなっています。パ
ナマでは、拡張工事中の運河を見てきました。パナマ運河は米国の
南に位置する重要な運河であり、日本とも物流の面で繋がりがあり
ます。拡張工事は予定より遅れているようですが、供用開始は早く
て 2016 年 1 月となるようです。完成すれば、米国大西洋側とアジア
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を繋ぐ物流ネットワークに大きな変化をもたらすことになります。
また、パナマでは、パナマ運河管理庁長官と会談したほか、コロン・
フリーゾーンを訪問、倉庫も見てきました。グローバル化の中で、
ロジスティクスの効率化が大変重要であることを再認識しました。
今朝のオープニングセレモニーでも、各州の代表の方々から、南東
部の各州はロジスティクスが優れているというお話がありましたが、
そのとおりです。
まず、ディスカッションに入る前に、私からこのセッションの論
点を提示したいと思います。本日は「日本と米国南東部:国際市場
アクセスのための戦略的な錨(アンカー)
」というテーマをいただき
ました。
「アンカー」という言葉の意味は、まさに船舶に備えられて
いる「錨(いかり)
」ですが、
「最強の部分」
「頼みの綱」という意味
もあります。私なりに今回のテーマに沿って、この「アンカー」に
ついて考えてみましたが、3 つの「アンカー」があると思います。こ
の 3 点について、まずは紹介したいと思います。
1 つ目の「アンカー」は「南北アメリカの結節点としての米国南東
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部」です。米国南東部は、日本企業にとっては、北米マーケット全
体へのゲートウェイであるだけでなく、中南米マーケットに向けた
ゲートウェイでもあります。米国南東部は日本にとって重要な地域
です。米国では、製造業回帰の動きが本格化しています。スライド
で示しましたように、4 点の要因が挙げられると思います。1 点目は
中国等新興国での生産コストの上昇、2 点目はシェール革命によるエ
ネルギー開発、3 点目は 3D プリンター等「ものづくり」のデジタル
化、そして 4 点目に FTA の活用による輸出拠点としての米国が挙げ
られます。こうした背景から、日本企業は対米投資を拡充していま
す。2013 年の日本の対外直接投資は 3 年連続で増加しました。これ
までのピークの 2008 年を上回り、5 年ぶりに過去最高を更新、米国
向けが最大です。米国向けの投資は、西田議長も指摘されたように、
日本企業の中国向け投資の 5 倍です。南東部の良好な投資環境を背
景に、日本企業による南東部への投資は近年活発化しています。分
野としては、自動車産業が中心ですが、化学や食品等の分野にも広
がっています。ジェトロが 2013 年、在米日系製造業に対して実施し
た調査では、スライドにありますように、
「前年よりも設備投資を増
やす」と回答した企業の割合は、米国南東部においては、全米平均
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を大きく上回りました。米国南東部は南北アメリカを結ぶ好立地に
あります。この南北アメリカの結節点という立地を活かし、ジョー
ジア州サバンナ港等南東部の港湾拠点を活用し、米国内での販売だ
けでなく、国外への輸出を志向する動きも増えてきています。例え
ば、日産自動車は、2014 年 5 月、ミシシッピ州の工場で生産する自
動車を世界 100 以上の市場に輸出する計画を発表しています。昨日、
ブライアント知事とバイ面談を行いましたが、日本からの中堅中小
企業を含めて大歓迎するというお話がありました。こうした輸出に
向けた動きは日系企業のみならず、ドイツの BMW やダイムラー等も
南東部を拠点に輸出を拡大させています。また、このスライドにあ
りますように、マイアミは中南米向け販路拡大のハブとして活用さ
れています。米国南東部に対する日系企業の関心は、成長する中南
米を睨みながら、これまで以上に高まっています。
2 つ目の「アンカー」は「アジア市場のゲートウェイとしての日本」
です。アジアの成長ぶりは皆さんご存知のとおりです。中国、ASEAN、
インドを合計すると、アジアの家計消費支出は、2012 年時点で既に
日本の 1.5 倍の規模にもなります。今後、人口増と所得水準の向上
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により、アジアの市場規模は拡大を続けると見込まれます。アジア
市場を取り込むために、日本に目を向ける外資系企業も目立ってき
ています。例えば、GE です。6 月 11 日付の日本経済新聞に、GE ジョ
ン・ライス副会長のインタビュー記事が掲載されました。子会社の
GE・ヘルスケアジャパンを「非常に競争力がある」と評し、
「日本は、
先進国の拠点であるが、日本だけでなく、アジア全体に製品を供給
できる良い位置にいる」としています。また、アパレル小売のトミ
ーバハマは、2013 年 4 月、米国以外では初となるバーとレストラン
を併設した路面店を東京・銀座にオープンしました。なぜ東京・銀
座なのでしょうか。それは、アジアの富裕層、中間層は、日本のフ
ァッショントレンドに敏感で、かつ購買意欲が高く、しかも観光客
として多くの人が訪れているからだといいます。銀座に旗艦店を作
ることで、アジア全体でトミーバハマのブランド認知度を上げたい
という狙いです。このように、日本は、世界の成長センターである
アジアに向けた「イノベーションの拠点」としても「トレンドセッ
ター」としても重要視されているのです。そうすると、日本には、
どんどん外国の企業が来るのでしょうか。それはそれほど簡単では
ありません。今朝のプレゼンテーションでも、各州の代表は、コス
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トの低さ、競争力を協調していました。コストが問題です。関大臣
政務官も仰っていましたが、日本は法人実効税率を 20%台まで引き下
げます。ビジネスコストを低くするというのは、外国から企業を招
く際、まず取り掛からなければならないことです。日本政府は、本
格的に外国企業、特に米国の企業、それも南東部の企業を誘致した
いと思っています。現に、東京の事務所コストはシンガポールや香
港等の事務所コストよりも安いくらいです。是非、認識を改めてほ
しいと思います。ケネディ大使もブライアント知事も仰っていまし
た。日米の貿易・投資の交流は、双方向で発展するべきであると。
3 つ目の「アンカー」ですが、これは「メガ FTA」です。WTO での
自由化交渉が容易に進まない中で、グローバル市場に戦略的にアク
セスするためには「メガ FTA」への参加が不可欠です。特に TPP が重
要になってきます。今朝の会議でも、何人かの方がこの点に触れて
いました。このスライドにあるように、TPP、RCEP、日 EU・EPA、TTIP
が 4 大 FTA といわれています。このうち、最も重要なのは、日米が
交渉に参加している TPP です。TPP 交渉の進展を加速させることで、
2015 年内の妥結を目指す日 EU・EPA や RCEP の交渉を後押しすること
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ができます。また、中国を日米共通の価値観に基づく貿易・投資ル
ールに引き寄せることになります。TPP は、関税撤廃だけでなく、国
有企業改革や、知的財産権に関する規制の強化、政府調達にも焦点
を当てています。これらは、中国でビジネスを行う日本企業に共通
の課題です。米国では、11 月の中間選挙を控え、TPP に対して慎重
な見方も出ていますが、まずは TPP 交渉の加速化を進め、早急に合
意を実現するべきです。TPP 交渉が上手くいくかどうかによって、世
界の貿易・投資のルール作りが進むといっても言い過ぎではないと
思います。
3 点の「アンカー」が機能するために忘れてはならないのは何でし
ょうか。それは、言うまでもなく、グローバルバリューチェーンの
進展とそれに伴う物流の効率化、言葉を代えて言えば連結性(コネ
クティビティ)の強化です。以上で、私の冒頭の論点提示を終わり
ます。ご清聴ありがとうございました。
以上
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