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素敵・発見!マーケティング - 中国経済産業局

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素敵・発見!マーケティング - 中国経済産業局
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エッセイ 素敵・発見!マーケティング 50
米国で米穀を売る!
(JAPAN ブランド育成支援事業)
株式会社クリエイティブ・ワイズ 代表取締役 三宅曜子
今年は海外との関わりに一層拍車がかかる年になりそうだ。
特に TPP をはじめとする経済・産業構造の国際競争と連携は、日本にとって重要なテ
ーマとなってくる。
私はこのところ、海外提案と海外との連携事業のサポートをすることが多くなってき
た。特に米国、アジア、アセアン諸国に対し、『売れる商品開発』と『ブラッシュアッ
プ』による積極輸出提案を行っており、また海外から日本への高付加価値商品の輸入促
進にも関わっている。
日本の商品は非常にレベルが高く、海外からもクローズアップされているが、一方海
外と価格面で比較すると人件費等の固定費が高い分コストがかかり、どうしても高くな
ってしまう。
競争原理からすると同一品質のものであれば安い方を購入するのが一般的で、日本の
商品はやや売りにくい状況となってしまう。
JAPAN ブランド育成支援事業でも、平成 16 年のスタート当初よりプロデューサーと
して様々なテーマで関わらせていただいたが、海外でのニーズは高いものの、最終の導
入時に価格面で折り合わないケースが多くみられた。
どうすれば海外で売れるのか。今年のコラムスタートとしてこのテーマで進めたい。
■TPP を意識した高付加価値販売戦略
昨年 10 月に、魚沼産コシヒカリの産地で有名な新潟県十日町市の JAPAN ブランド育
成支援事業で米とコメ加工品の積極提案のため、日系貿易会社主催の展示会に出展した。
100 年続く農業生産法人の米農家が、精米機メーカーの協力を得て、水、酒、観光事
旬レポ中国地域 2014 年 1 月号
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業者と共に連携してアメリカに売り込みをかけたのだ。
一昨年『中小企業の協働による国内外販路開拓支援事業』でターゲットをアメリカに
設定。サンフランシスコを中心とする西海岸で量産されるコシヒカリ品種の米との明確
な差別化をテーマに市場調査を行った。日系の貿易会社や日系スーパー、アメリカで米
の問屋として精米し販売しているメーカー等に積極的に聞き取り調査を行った結果、ア
メリカでは米に関しての賞味期限記載は必要なく、刈り取った米をそのまま精米機にか
け、一度に白米にして袋詰めし、そのまま販売していることがわかった。いうなれば 1
年以上前の米が店頭に並んでいるということになる。全米で日系を含むアジアの人たち
が多い西海岸の都市は年中夏のような気温で極度に乾燥している。その中で 1 年前に精
米した米は乾燥して透明感がなく、しかもアメリカの水は硬水のため、その水で炊き上
げた米はパサパサで美味しいはずがない。
アメリカで販売されているカリフォルニア米
カリフォルニア産コシヒカリ
この状況を前年度に見た新潟の魚沼産コシヒカリの生産者は愕然とし、なんとか日本
の美味しい米をアメリカで最適な状態で販売したいと今年度の JAPAN ブランド育成支
援事業に着手した。私はこれまでに様々な事業に関わっているが、今回の提案により、
美味しい米を食べると日本食が更にクローズアップされ、日本の食文化と共に、観光に
もいい影響をもたらすと確信した。
そして昨年、JAPAN ブランド育成支援事業の 1 年目事業。米をそのまま提案するので
はなく、『今擦り米』として、玄米のまま輸出し、日本の精米機と共に提案。特に外食
産業などで、精米したての米を美味しい水で炊き上げ提供するという新たなビジネスモ
デルを組み立てた。新事業に挑むため、魚沼の天然ミネラルウォーターのメーカー、そ
の米を使ったこだわりの酒をつくる酒造メーカー、また美味しい米を簡単に食してもら
うため、玄米を活用したライスコロッケを製造する外食企業とともにアメリカで積極的
に日本の食文化の提案をテーマとした事業をスタートさせた。
旬レポ中国地域 2014 年 1 月号
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■海外での提案におけるハードルの高さを痛感!
スタートが夏だったこともあり、まずライスコロッケの製造を開始。アメリカで販売
するためには FDA という大きなハードルをクリアする必要がある。動物性のものはたと
えエキスやダシでも不可。生姜やシソの実などを混ぜ込んだ玄米ご飯に卵も使えないた
め、バッタ粉とパン粉をまぶし冷凍保存。現地で揚げるスタイルを提案した。日本酒も
アメリカで受け入れられやすい比較的安価なものをセレクト。水は重量があるためコス
ト高になるものの、レベルの高い日本食を提供する外食産業向けに提案することとした。
しかし、肝心の玄米で輸出して現地で少量精米するための精米機でつまずいた。精米機
をアメリカ仕様にしなければ販売できないことが判明。しかも精米機メーカーではこれ
に対応できないとのこと。部品の交換を行うことが必須で、アメリカでは現地の別会社
に委託して変更するしかないが、正規の販売でないためリスクを伴う。やはりこれまで
大規模に精米することが一般的な状況の中で少量精米はなかったようだ。これこそ新規
ビジネスチャンスであるが、精米機メーカーはリスクを考えいい答えを出してくれない。
そうこうするうち、日系貿易会社主催の商談会が開催される 10 月が迫ってきて、も
しかすると精米のデモンストレーションができないかもしれないという、大きなハード
ルを抱えたまま渡米することとなった。おりしも TPP 参加がどうなるかが焦点となって
いる状況下、我々の取り組みを、NHK をはじめ、民放各社が同行取材をすることとなり、
大勢のスタッフを引き連れて日本を出発。『米国に米穀で積極提案!』のタイトルで各
社の取材を受けながら商談会がスタートした。
アメリカ商談会ポスター
旬レポ中国地域 2014 年 1 月号
日本から同行取材中
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商談会提案ディスプレイ
精米したての米を提供
ダメもとで小型精米機を 2 台持ち込み、会場で玄米を精米して炊飯したものを試食し
てもらう。商談会には全米各地はもとより、南米からも多くのバイヤーや外食産業のオ
ーナー等が来場され、試食した方はほぼ全員、甘味があり美味しい、こんなおいしいご
飯は食べたことがないなど、大絶賛。ライスコロッケは商談会場内で揚げることが出来
なかったため委託して揚げてもらったが、温度管理ができないフライヤーだったため高
温で揚げすぎていい状態にならなかった。やはりアメリカはオーブンクッキングが主流
のため、オーブンフライにすべきだったと反省。日本酒は昨今の日本酒ブームで高評価
を得ることが出来た。日本食が世界文化遺産になったこともあり、その主食である米飯
を美味しく食べられるための少量精米は不可欠であり、早急にアメリカ向け商品開発を
行うべきであると強く感じた。
魚沼産コシヒカリ商談会メンバー
旬レポ中国地域 2014 年 1 月号
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■これからの日本の海外展開で思うこと
今日本では観光などでインバウンド戦略を中心に行政支援が行われているが、インバ
ウンドを遂行するためには海外に行き、海外の状況を知ることと、海外で日本の良さを
しっかり提案するアウトバウンドが重要であると思う。私はこのところ毎月のように海
外に行き海外の状況を見ているが、日本のことをもっと知りたい、日本人のニーズを教
えてほしい、日本ではどのようなものが売れるのか、自社の商品は可能性があるのかな
ど、どの国に行ってもよく聞かれる。日本人はあまり海外に行きたがらない。言葉の問
題などがあるものの、目で見るだけでも状況は把握できる。今回の新潟県十日町のプロ
ジェクトメンバーも英語が堪能な人はいないが、商談会では片言の英語と日本語で提案
しても、相手が一生懸命理解しようとするため、コミュニケーションは生まれてくる。
企業は積極的に海外に出向き、提案活動を行うことが重要である。
日本の商品は素晴らしいが、道具の海外仕様は若干遅れていると思われる。また、価
格面でも割高になるとはいえ、需要は必ずあることも確信できた。
今年は新たに海外との関わりが強くなる年であるが、特に食に関してはまだまだ様々
な問題がある。しかしこれを一つずつ解決していくことが、日本を大きく成長させ、世
界でのポジションを高く設定できる要素となる。
わたしも微力ながら、海外連携、海外向け戦略構築、海外提案商品開発など、総合的
なサポートを行っていこうと年頭に決意する。
マーケティングコンサルタントとして、中小企業支援及び指導、商業活
性化事業、まちづくり事業等、顧客のニーズを的確に捉えた市場開発とア
プローチ手法等、幅広い分野におけるマーケティング全般のアドバイスを
全国各地で手掛ける。また、平成 19 年度より地域資源活用事業の政策審議
委員、国会での参考人をはじめ、全国で地域資源を活用した事業推進、農
商工連携事業、JAPANブランドプロデューサーなど幅広く活躍中。
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経済産業省地域中小企業サポーター
同、伝統的産業工芸品産地プロデューサー
中小企業基盤整備機構経営支援アドバイザー
同、地域ブランドアドバイザー
内閣官房 地域活性化伝道師
広島県総合計画審議会委員 他
経済産業省 中国経済産業局 広報誌
旬レポ中国地域 2014 年 1 月号
Copyright 2014 Chugoku Bureau of Economy , Trade and Industry.
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