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図書便り 9月号号
図書便り 努力する人は希望を語り、 怠ける人は不満を語る。 井上 靖(小説家) No.6 H27.9. 発行 高森東中学校 図書担当 後藤 秋は「スポーツの秋」 「食欲の秋」 「読書の秋」…と様々な分野に適した季 節だと昔から言われています。例年なら9月に入ってもまだ夏のような日差 しが続くことが多いですが、今年は涼しいですね。夏の間に、夏に関する本 少しずつ涼しい日が増えてきました。9月は秋の入り口、読書の秋の初め は読めたでしょうか?今回はあえて、夏を舞台にした作品をお薦めしたいと の月です。夏休みの積み残しはありませんか?月末には部活の大会、そして 期末テストが待っています。時間を計画的に使って有意義な月にしましょう。 思います。どれも読みやすく、生きることの輝きと、大切さを考えさせてく れる作品です。ぜひ手に取ってみてください。 9月号 9月は旧暦で「長月(ながつき)」と呼びます。由来は、夜の長い月であ るからとも、長雨の多い月を指すことから、ともいわれています。長い夜に 寝覚めがちなことから、「寝覚月」といわれています。また、紅葉が山を彩 る月でもあることから「色取月」、菊の節句とも言われる重陽の節句がある ことから「菊月」とも呼ばれます。 夜は松明の明かりくらいしかない時代、空に浮かぶ大きな月は、人々にと って、生活に欠かせないながらも非常に神秘的なものでした。月は人の心を 映し出すものだという考え方もあり、月の満ち欠けを表した言葉もたくさん 作られました。月には巨大な桂の木が生えている、という中国の伝説が信じ られ、月に関係する不思議な物語(竹取物語など)もたくさん作られたよう です。(気になる人は国語便覧 P17 を読んでみましょう) 季節の行事としては、9月9日に「重陽(ちょうよう)の節句」がありま す。 「菊の節句」や「栗の節句」といった言い方もあるようです。 「十五夜(中 秋の名月)」などの月に関する季節の行事も、たくさんあります。これらの 行事は、昔使っていた暦と現代の暦とで日付と月の満ち欠けの関係が少し違 うことから、毎年違う日になっています。今年の十五夜は9月27日です。 9月の季節の語としては「秋の長雨」 「夜長」 「鰯雲(いわしぐも) 」 「秋刀 魚(さんま)」などがあり、植物としては「金木犀(きんもくせい)」 「彼岸 花(ひがんばな) 」 「秋桜(コスモス) 」 「茄子(なす)」 「萩(はぎ) 」 「梨(な し) 」「柿(かき)」などがあります。 手紙の書き出しには「初秋の候」 「さわやかな好季節を迎え、」などのかき 方があります。「秋晴れの候、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお 喜び申し上げます。 」などの書き出しをします。 ○「ぼくらの大冒険」宗田理 著 転校生がやってきたが、彼は UFO を呼べるらしい?! 宗田理の書く「ぼくらのシリーズ」の第三弾。 ○「妖怪アパートの幽雅な日常」香月日輪 著 独立のため始めた下宿生活。そこは、妖怪たちの住む妖怪アパートだった!漫画化もされたシリーズ。 ○「都会のトム&ソーヤ」 サバイバル精神を持つ内藤内人と、財閥の跡取りで秀才の竜王創也の、都会を舞台にした物語。 「DIVE!!」 森 絵都 著 少年はその一瞬を待っていた。 高さ10メートルの飛び込み台から自足60キロでダイブして、わずか1.4秒の空 中演技の正確さと美しさを競う飛込競技。その一瞬に魅了された少年たちの弱小ダイビ ングクラブの存続の条件は、なんとオリンピック出場だった! 「で、コーチは平凡以下のぼくに自主トレをして非凡な選手になれって言うんですか」 「そのとおり。でもこの際だから確認しとくけど、あなたの考える非凡ってどういうの?」 「それは……日本選手権で優勝、とか」 日本選手権で優勝。あまりにだいそれたその響きに、知季は言った先から気弱な薄笑 いを浮かべた。 けれど夏陽子は笑い返すどころか、大まじめに言ってのけたのだ。 「ケツの穴の小さい男ね」 「え」 「私たちがめざすのは、オリンピックよ」 「夏の庭」 湯本 香樹実 著 町外れにクラスひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。生ける屍のような老人が 死ぬ瞬間をこの目で見るために。夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高まるけれど、 不思議と老人は元気になっていくようだ――。 おじいさんはぼくたちの知らない草花の名前を、次から次へと並べた。ぼくたちはそ れぞれの花畑を夢見ながら、何もなくなった庭に降る雨をただ見ていた。すっかり生ま れ変わり、新しく何かが根付くことを待っている土に、点から水がまかれる音を耳をす まして聞いていたのだ。 いつしか少年たちの「観察」は、老人と深い交流へと姿を変え始めたのだが……。喪 われ逝くものと、決して失われぬものとに触れた少年たちを描く清新な物語。 「西の魔女が死んだ」 梨木 香歩著 中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初 夏へと移り変わるひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。 そうだ、あれは空中に咲く蓮の花だ。おばあちゃんは、蓮の花は空中には咲かないと いっていたけれど。霧の中で夢のように咲いている。まいはすっかり魅了されて動けな かった。ああ、おばあちゃんの言うとおり、人間に魂があるのなら、その魂だけになっ てあの花の廻りをふわふわと飛遊していられたらどんなに素敵だろう。 (参考:裏表紙あらすじ及び本文より)