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Twinkle:Tokyo Women`s Medical University

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Twinkle:Tokyo Women`s Medical University
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(シンポジウム 各科最近におけるMedical Electronicsの進
歩)補助循環法
三浦, 茂
東京女子医科大学雑誌, 43(7):618-619, 1990
http://hdl.handle.net/10470/2134
Twinkle:Tokyo Women's Medical University - Information & Knowledge Database.
http://ir.twmu.ac.jp/dspace/
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ルディオグラムを中心として述べた.
った,進歩の第1は刺激発生機構の改良,とくに固定レ
5.視路のMEとその病理診断への応用
ート型からデイマンド型への発展である.第2はデイマ
ンド型の出現により一過性ブロックはもちろん,左軸偏
(眼科)山中 妙子
位を伴う右脚ブロックにも適応が拡大されたことであ
網膜平作電流(ERG),網膜静止電流(EOG)は,
すでに臨床でroutineに行なわれる検査法として定着し
る.
た.ERGの波形は網膜全体の反応として成り立ってお
これに対して特別に進歩がみられなかったのが電源の
り,定型的な変化を示すものとしては,網膜色素変性
問題であり,現在も初期の頃と同じく水銀電池が主とし
症,糖尿病性網膜症などがある.Behget病の如き脈絡
て用いられ,患者は電池消耗のために2年毎にペースメ
膜の障害の際には,a波, b波の潜時延長,振幅低下の
ーカの交換手術をうけなければならない.ところで最近
程度が重症度を示す手がかりとなる..白内障眼で,眼底
欧米で臨床応用が行なわれ,注目されているのが原子力
が全く透見できない眼でも,良いERGが記録されれ
電池を用いた心臓ペースメーカーである.
ば,手術によって視力が相当の程度回復すると考えてよ
1970年4月にパリで,プルトニウム238.(238Pu)電
い.しかし,この記鍮こは,視神経より上位:の岨路の状
池を用いた原子力ペースメーカーが47才の婦人に植込ま
態は全く投影されない.脳内視路の変化は,視覚誘発電
れた.これは238Puより放出されるα線をサーモエレメ
位Visual Evoked Po亡endal(VEP)により加算電位と
ン曾こより熱電変換するもので,電池の寿命は10年とい
して記録されて,脳内の変化を知る手がかりとなる.
われる.その後イギリス,ベルギ∼,西独,オランダな
早期電位Ear1アPotentia1(EP)は非常に強力な光刺
どにおいて引続いて原子力ペースメーカーの植込みが行
激を必要とするので,まだ日常臨床に応用される段階で
なわれ,現在まで200例以上の臨床応用が行なわれてい
ない.網膜の病変の局在を知る検査法として局所(10caD
る.
ERGが研究されている.今のところ瞳孔内で光が拡
わが国では,核燃料規制法により,現在のところ臨床
散し易いため,網膜上の光刺激の局在が不正確になり易
応用はできないが,東京女子医大心研理論外科,.放射線
い.最近田干検眼鏡型装置を用いて局所照射を行なった
科,第二精工舎等の協同研究により開発が進められてい
例もあるが光が弱いようである.摘出眼で,単一細胞電
る.原子力電池には前述した熱電変換方式のほかに光電
位をとり出すことにより,網膜の部分的障害が,周囲の
変換方式がある。これはβ線で蛍光物質を発光させ,
野作電流に特定の影響を及ぼすことが証明されているの
光電池を介して起電力をうるもので,プロメシウム147
(147Pm)が用いられる.
で,局所ERGがroutineに行なわれ,網膜病変部位,
原子力ペースメーカーも安全性,遺伝や発癌への影
病変の種類を決定できるようになることが望ましい.
EOGで網膜疾患を早期に検出できるのは網膜色素変
響,環境汚染などに関する検討が充分に行なわれ,その
性症や網膜剥離である.ERGとEOGは,ふつう同時
に侵されることが多く,ERGが異常なのにEOGが全
対策が講じられたならば,臨床面での成果は非常に大ぎ
い.
く正常な特殊な例としては,腎疾患による網膜症を持つ
2.補助循環法
た人工透析患者があげらうる.
(医技研)三浦 茂
視路からは少し外れるが,EOGはまた眼球運動の異
生体の心臓を機械の心臓に置き換える人工心臓には,
常を知る手がかりを与える.この場合はENGと言われ
技術上多くの問題を含んでいる.今日,凝血に対する策
る.Nystagmusの際, E N Gによって,最も振澱の少な
すら完成してはいない.制御やエネルギー源の問題が解
い眼位を調べ,その位置を第1眼位に持ち来たす手術に
決されて実用化の域に達するのは,2,000年代になって
より患者の視力を上昇させることができる.
からといわれている.そしてこの間を埋めるものとして
補助循環法に期待が寄せられている.
B・治療とME
i.心臓ペースメーカーと原子力応用
生体の心臓と並列に機械の心臓を接続して生体心を補
(第二病院循環器外科)須磨 幸蔵
助し,その機能回復を計る補助循環法には,今日,ポン
房室ブロックによる徐脈,Adams−St・kes発作に対し
プによる方法とバルーンを用いる方法がある.
ての心臓ペースメーカーの体内植込みは,欧米では1960
前者は低下した心臓の血液駆出機能を補助して心不全
年頃,わが国では1963年に演者らによって行なわれた.
状態を改善するところに目標が置かれ,後者には冠循環
それ以後のペースメーカーの進歩はまさに日進月歩であ
の補幼,あるいは冠循環系に対する圧刺激効果を期待す
一618一
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るが,この補助循環法で最も重要なのは生体心との協調
試作したマッサージ機は,開胸式と閉胸式の2種であ
運転であり,機械心には生体心に撹乱を与えることな
る.開胸式は,硬質プラスチックのケースに心臓を挿入
く,かつ低下した生体心の機能を完全に。・verするこ
し,内部にある加圧サックを外部から供給した空気圧で
とが要求される.
駆動し,マヅサージをする.サックへの空気の流入出は
このためには,生体心・機械心両者の運転状態につい
純流体素子を用い,リレーで制御ポートを開閉して噴流
て厳密な解析が行なわれなければならない.
の切換えを行なう.周波数は0∼180cpm押し時間の
本講演では,ポンプ法とバルーン法の生体心に対する
周期に対する割合は0∼100%まで可変である.
補助効率の解析について述べ,更にバルーン法の安全対
閉胸式は,構造の簡単化,長耐久性および十分なスト
策,特にバルーン破裂防止の技術開発について解説し
ロークが得られることを考慮して,ベロフラムを用いた
空気圧シリンダを採用した.ピストンロッド先端に加圧
た.
板を取りつけ,ストローク調整は押し側ストッパを上下
3.心臓マッサージマシン
することにより,装着位置・患者の状態をみて容易に手
(医技研)土屋 喜一
動設定できるように配慮した.駆動制御装置は,出力と
心臓マッサージ法は,今まで機械を用いずに手で行な
う場合が多かった。しかし用手の場合,疲労が多く,心
して電気パルス信号を発生するR波同期装置を試作し,
マッサージで重要と考えられる長期間安定した確実なマ
押し時間0.1∼0。5秒,周波数は40∼180cpmの範囲
ッサージを行なうことが困難である.そこで用手マッ
で可変できるようにした.また蘇生効果を高めることを
サージの代りに機械によりマッサージを行なえばマッサ
目的として,選択的に脳および冠循環を促進する新しい
ージ能率もよくなり,かつ長期間の治療も可能となり,
マッサージ法として,カウンタマッサージ法を開発し
患者の蘇生率も上昇するものと考えられる.演者らは,
た.これは主マッサージ機により従来のメインマッサー
この点に注目して心マッサージ機を試作し,動物実験を
ジを行ない,腹部に装着した第2のマッサージ機を連動
行なったところ,良好な結果が得られ,臨床応用するに
して駆動する方法である.さらにカウンタマッサージ機
充分な性能をもつことが分つた.
に人工呼吸器を連動する回路を開発した.
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