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こちら - 国際環境NGO FoE Japan

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こちら - 国際環境NGO FoE Japan
気候変動影響の現場から
フィリピンの事例
FoE Japan 深草亜悠美
[email protected]
現地視察
 目的:気候変動による損失と被害の現状を把握し、支
援策提言につなげる
 焦点:2013年台風ハイヤン(現地名:ヨランダ)によ
る被害、回復状況、支援の現状
 調査地:タクロバン市(レイテ島)周辺の農村・漁村
など
 調査期間:2015年12月7日〜12日
 調査方法:村民への聞き取り中心
フィリピン
 人口約1億人
 7109の島からなる
 GDP 2849億ドル
(2014)
 農業がGDPの14%、人
口の3割強が農業従事
 コメ、トウモロコシ、サ
トウキビ、ココナツ、バ
ナナなど
 熱帯モンスーン気候(平
均気温26.7℃)
フィリピンと気候変動
 気候変動に対し脆弱な国の一つ1,2
 南太平洋地域で1970〜現在で約1℃の気温上昇3
 1975-1989と1990-2004の間でカテゴリー4と5の
台風の数が二倍3 (カテゴリー5=スーパー台風)
 気候パターンの変化(乾期に雨が増える等)3
 フィリピン各地で複合的な災害リスク(洪水、干ばつ、
地滑りなど)3
1. Global Climate Risk Index, ND-GAIN, Climate Change Vulnerability Indexなど。
2. M. Fisher “This map shows why the Philippines is so vulnerable to climate change”. November 12, 2013. The Washington
Post.
3. Global Facility for Disaster Reduction and Recovery (GFDRR). “Vulnerability, Risk Reduction and Adaptation to Climate
Change Philippines”. 2011.
地域別に示したフィリピンの
気候変動影響を示すマップ
DEPARTMENT OF ENVIRONMENT AND NATURAL RESOURCES (DENR)
CLIMATE CHANGE ADAPTATION BEST PRACTICES IN THE PHILIPPINES, 2012, p3
2013/11/8-台風ハイアン
 400万人が避難
 50万戸が全壊、60万戸がダメージ
 死者6000人超、行方不明1000人超、
けが人3万人近く
http://www.bbc.com/news/world-asia-29931035
台風ハイアンによる被害
“What my country is going through as a result of this
extreme climate event is madness. The climate crisis is
madness...It’s time to stop this madness”
「気候変動の狂気をとめる時だ」
– Yeb Sano, COP19 ワルシャワ会議にて
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( 地 図 ) レイ テ 州 、 お よ び 、 サ マ ー ル 州 で の 聞 き 取 り 場 所 ( 2015 年 12 月 8、 9、 10 日 )
台風の被害
 衣食住。特に住宅への被害大、(台風当時)
食糧不足、医療品不足。
 道路、電気等インフラ。
生計手段への影響。
 軍、一部行政によるハラスメント、人権侵害。
 文化的損失
住宅
現在の様子 住宅
住宅支援
 NGOによる緊急住宅支援(Oxfamやカリタス、
Samaritan’s Purse、ツチ財団)
→資材の提供、シェルターの提供、テント、補強のためのシー
ト等の提供があった、
 政府による”Emergency shelter assistance”
→全壊の家に30,000PHP、部分損壊に10,000PHP
→但し支給が始まったのは2014年に入ってから
 政府・NGOによる、Temporary Shelter(一時施設)、
Permanent Shelter(公営住宅)の建設、提供
2015年9月18日
現在の避難住宅
の建設状況(タ
クロバン市)
ターゲット
13062
完成
283
No-Build-Zone
→台風ハイアンの後に、政府がNo-Build-Zoneを設定
→フィリピン水条例(Water Code)51条に基づく。マ
ングローブと海岸の森林を守る趣旨。
→政府は人々を将来的な台風から守るためと説明。
→海岸線から40メートル以内の建物建設・居住を制限。
→住民の間に混乱。更なる移動を強いる事も。
Vanessa Dubuisson, Christian Aid, “After Haiyan: Life hold in the ‘’No Build Zone”
IRIN, “No-build zones” confusion delays resettlement of Haiyan survivors” 2014.7.14
生計手段
農業・漁業への影響
 87%のココヤシ、45〜60%のその他の農作物が影響
(台風の影響を受けた15の村を調査、EVRAP)
 農地・田畑への影響(台風直後)
→作付けが出来ず
→農業労働者(土地を持たず雇われて働く人々)は仕事
がしばらくなかった
→船や漁業道具への損害
→収入減少(ココヤシ、コメへの被害)
生計手段への支援
 農業支援
→種や農薬の支給があったところも。
→自然回復。ココナツの生産力いまだ戻っていない。
 NGOから舟の支給
 NGOによる雇用プログラム、マイクロファイナンス
→政府による生計手段回復のための支援は少ない
→収入が減ったまま、現在も苦しい生活をしている。
その他の損失・被害
 小売り業をする人々
→資金不足で店を続けるのが困難。小売り(サリサリショッ
プなど)する人が増え競争が激化したとの声も
→漁場の悪化。漁業に出る人が増加。違法な漁業の増加。
→支援物資によって船を持つ人が増えて、漁業従事者が増え
たとの声も。
 文化的損失
→例:ニッパ椰子の編み物
→ニッパ椰子その物は回復したが、支援物資として鉄の板が
支給されたので需要が小さくなってしまった。
状況は悪くなっている?
 台風から2年、住宅の回復・支援が追いつかず。
 人権侵害
→フィリピンの政治的背景。NGOと協働すると共産主義
者、反政府的などとレッテルばりされる。
→軍事化の影響も。
→支援物資、支援金を巡り癒着。支援が市民に行き届い
ていない現状。
→インフラ偏重の支援。生計手段への支援が少ない。
台風後における人々の安全への認識調査
(住宅や水道インフラ等に対し十分なアクセス
があると感じているか)
官報によると…
- 約100万世帯のうち96%に
ESA(緊急シェルター支援)
を供給済み
- NHAによるシェルター建設、
6万戸のうち、2万が完成
- 2016年12月までに10万戸を
完成させる
http://www.gov.ph/crisis-response/updatestyphoon-yolanda/
A. Sherwood, et al. “resolving post-disaster displacement
”Brookings Institute (2015.6),
堤防計画
 タクロバン-パロ-タナウアンを結ぶ27キロメートルの
堤防
 高さ4.5メートル
 7,900,000,000ペソ(=188億円)
 JICAのコンサルテーションに基づく。
 堤防計画によりさらに立ち退き、住民説明の不足
 地元住民やNGOなどによる反対運動
Filipino Star News “P7.9-billion embankment to be built in Tacloban, nearby areas” September 5, 2015
http://www.filipinostarnews.net/editorial/p7-9-billion-embankment-to-be-built-in-tacloban-nearby-areas.html
支援の不足・遅れ
(政治)
• 政治的腐敗、人権侵害
• ニーズの把握が不十分、配分の不均等
ガバナンス
(環境)
気候変動
(経済)
• 適切な支援が行われず、インフラ偏重
• 繰り返し巨大台風が発生
• 複合的な災害リスク(エルニーニョ、豪雨、高温被害)
• 資金不足
• レジリエンス
格差・貧困
• 災害への備え
 ニーズの把握とそれに適した支援の必要性
 健全なガバナンス
 適応策への資金と資金メカニズム
 先進国を中心とした排出削減義務の履行。これ
以上の気候変動を早急に食い止める必要。
(補)気候変動への認識
 降水パターンの変化(雨期における雨量の減
少)
→コメの作付けに影響。特に2015年に入ってか
ら。(エルニーニョの影響か)。
 熱被害(農作物への影響)、高温により長時間
外で作業できない 等
 天候の不安定さ
ロスダメの観点から言える事
 損失と被害の可視化→差異ある責任の強調
 ‘南北格差’の広がり、不正義の拡大、負の構造の強化
→Climate Justice Now!
そしてSDGs
 Inclusive、持続可能な社会に向けた包括的な視座
 気候変動は貧困、格差、健康、国家間の不平等、開発問
題、平和など様々なものに影響する
→SDGsの一項目以上のもの。
Climate Justiceと
オンダンカクサ
 FoE グループが求めるClimate Justice
 先進国は温室効果ガス削減の責任をより大きく負って
いる。排出量を大幅に削減し、ゼロへ近づけていこう。
 先進国は歴史的な温暖化への責任を果たし、温暖化の
影響を受けやすい途上国を支援しよう。
 化石燃料の消費を減らし再生可能エネルギー・省エネ
にシフトしよう。
 温暖化への取り組みでは、十分に自然や生態系、社会、
人権に配慮しよう。
緊急募金へのご協力
ありがとうございました
 現在
た!
159,730円
ご寄付いただきまし
 2015/12/14 台風Melor (台風27号、現地名
Nona)が北サマールに上陸
 豪雨による洪水被害、70万人が避難
 42名が死亡、約10万戸が全壊、18万戸以上が
損傷を受ける1
 現地で救援活動を行う団体(Tabang)への支援
として、緊急募金を開始
1. http://reliefweb.int/report/philippines/philippines-red-cross-extends-assistance-people-affected-typhoon-melor
The Guardian, 2015.2.16
http://www.theguardian.com/news/2015/dec/16/weather-watch-metdesk-philippines-typhoon-melor-nona-us-new-zealand
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