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『優しさのバトン』(PDF形式 67 キロバイト)
平成27年度新潟県少年の主張大会~わたしの主張~十日町・中魚沼地区大会 【奨励賞】 優しさのバトン 十日町市立吉田中学校三年 渡辺 緑 私は小学生の頃、体調を崩し、入退院を繰り返していました。その頃の経験は、私の夢 への原動力になっています。 入院していた理由は、毎回二週間も続く高熱です。発熱による症状のため苦しくて、学 校に行けないので寂しくて、周りの人に迷惑をかけ通しで、それを繰り返している自分が 嫌いでした。 しかし、そんな私を周りの人は支えてくれていました。自分が苦しいとき、悲しいとき、 誰かから助けてもらえた、こんな経験は、皆さんにもあるのではないでしょうか。小学五 年生くらいのときのことです。入院していた私は、十日間ほど学校を休んでいました。そ んな私の元に一枚の色紙が届いたのです。 「早く元気になってね。みんな待ってるよ。」 クラスメイトの皆からのメッセージカードでした。心配をかけてしまい申し訳ないなと思 いましたが、色紙に並べられた温かい言葉たちを見て、素直に嬉しさがこみ上げてきまし た。感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。 そして、私が感謝している人は、友人たちだけではありません。何より大切にしていき たいのは、母への感謝の気持ちです。どんなときも、誰よりも助けてくれる母は、いつも 傍にいてくれます。今、こうして元気に過ごせているのも母のおかげなのだと思います。 ある日の真夜中、私は熱にうなされて目を覚ましました。すると、隣で母がずっと起き てくれていたことに気が付きました。私が眠っている間、毛布を掛けてくれたり、私のお でこに冷たいタオルを当ててくれたり、水枕を交換してくれていたのだろうと思います。 私が目を覚ましたときにも、優しい言葉をかけてくれました。その他にも、母が私にかけ てくれた愛情は計り知れません。 誰かの痛みに気付き、その人を笑顔にするためにがんばれることは格好いい、皆さんも そう思いませんか。 そんなのただの自己満足だ、と思う人もいるかもしれません。しかし、私が母や友人か らもらった優しさに励まされたように、周囲を思いやり、笑顔にさせたいという優しい気 持ちはきっと誰かに届くと思うのです。 私は、今までたくさんの人から温かい優しさをもらいました。まだまだ友人に迷惑をか けたり、母に心配させたりしてしまうこともあるでしょう。でも、その分、これからはそ の何倍もの優しさを返していきたいです。それが私の恩返しだと思っています。そのため に、自分はどうすればよいのでしょう、人の気持ちを考え、困っている人の力になれる、 私の母のような人間になるにはどうすればよいのでしょう。 私は、自分の夢を叶えることで母やお世話になった人に恩返しができればと思っていま す。 私の夢は薬剤師になることです。病院の近くの薬局によく通っていたので、多くの人を 助けることができる薬剤師という職業に、小さい頃から憧れていました。母と私に明るく 話しかけてくれた薬剤師さんは、幼い私の目にもきらきら輝いて見えました。いつか私も あの白衣を着て、困っている人たちに笑顔を届けられる存在になりたいです。 そして今度は、私の助けた人が違う誰かに優しさを分けて、笑顔になれる人が増えてい く、そんな笑顔の輪をどんどんつなげていけたらいいなと思います。皆さんも優しさのバ トンを渡し、笑顔のリレーをつなげていってください。 私に優しさのバトンを渡してくれた皆さん、本当にありがとう。皆さんからもらえた優 しさは、私の夢への原動力です。感謝の気持ちを胸に、私は夢へと進んでいきます。