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戦後日本対外政策の規定要因 : 冷戦外交のalternative
戦 後 日本 対 外 政 策 の 規 定 要 因 一 冷 戦 外 交 のalternative− 牧 野 史郎 慶應 義塾 大学 総合 政策 学部3年 Siro Faculty of Policy Makino Management, Keio University 碓氷尊研究会 1992年 春 学 期 慶応義塾大学 湘南藤沢学会 Keio UniversityShounan Fujisawa Gakkai e 碓 氷 研 究 会TermPaper 「戦 後 日本 対 外 政 策 の 規 定 要 因 」 −冷 戦 外 交 のalternative− 慶應 義塾 大学 総合 政 策学 部79004986牧野 史郎 目 次 3 第1章 は じめ に 1.2本 論 文 の構 成 冷 戦 外 交 とは 何か 2.1対 外 政 策 の観 定 要 囚 2.1.1本 2.2冷 論 文 で の フ レ ー ム ワ ー ク. 戦 期 に お け る 国 際 環 境...... 2.2.1ゼ ロ サ ム ・ゲ ー ム と し て の 冷 戦 2.221MF-GATT体 制 と冷 戦 2.3冷 戦 期 に お け る 国 内 環 境... 2.4冷 戦外 交 の イ メー ジ 0 0 0 1 1 1 第3章 冷 戦 外 交 の 軌 跡 題 の 所 在 3.2占 領 行 政 の 転 換............. 3.3講 和 条 約 締 結....... 3.3.1タ ー ニ ン グ ポ イ ン 3.3.2朝 鮮 戦 争 ト と して の 朝 鮮 特 需 と 講 和 意 義 の 変 容. ソ 国 交 回 復............ 際 環 境 の 変 化.. 3.4.2国 内 政 治 と鳩 山 外 交 保 改 定. 3.6日 3.5.1岸 内 閣 の 課 題......,.. 3.5.2世 界 的 な 事 情. 3.5.3反 安 保 の 米 国 に 与 え た 影 響.... 3.5.4安 保 改 定 を巡 る 国 内 政 治 戦 略 の 相 違.. 中 国 交 回 復........ 3.6.1講 和 後 迫 3.6.2新 冷 戦k二 お け る 口 中 関 係..... られ た 選 択 7 8 8 9 9 1 2 2 1 1 1 1 1 2 2 2 3.5安 3.4.1国 1 2 3 5 5 6 1 1 1 1 1 1 3.1問 3.4日 5 5 5 5 6 6 7 9 第2章 4昌 論 文 の 目的 0り 1.1本 4 2 冷 戦 外交 以降 定 要 因 の 変 化. 4.2そ の 後 の 日本 外 交 は 5 2 4.1規 4 2 第4章 2 ● ● 論 文 にお け る反 省 ● 4.3 ・ ● 2G 第1章 は じめ に 1.1本 論 文 の 目的 先 頃 のPKO法 案 成 立 に 際 し て の 、 自衛 隊 の 派 遣 を巡 る 国 会 で の 一 連 の 騒 動 は、 わ が 国 の 安 全 保 障 政 策 を 立 案 す る に 当 た っ て の 国 論 の 分 裂(こ の 場 合 、 議 会 に お け る合 意 の 破 綻 を 指 す)が 、 今 もな お 日 本 の 国 際 環 境 に 向 け て の 姿 勢 を 強 く規 定 ・拘 束 す る もの で あ る こ と を 華 者 に 印 象 づ け た。 一 国 の 対 外 政 策 立 案 ・実 行 に 当 た って は地 理 的 条 件 、 国 力 、 政 治 経 済 の シ ス テ ム な ど の様 々 な 要 素 がdecision-making の 所 与 とな る。 今 挙 げ た 、 議 会 に お け る 「国 論 の 分 裂 」 もま た わ が 国 の 政 治 経 済 の シ ス テ ム が も た ら し た 対 外 政 策 立 案 ・実 行 の 所 与 の 一 つ と言 え る だ ろ う。 ま た 、 戦 後 日本 経 済 の 今 日 に至 る ま で の 成 長 ・発 贋 の 要 因 に は本 研 究 会 で 学 習 し た よ う な 、 経 済 の プ レ成 長 段 階 で の 長 い模 索 期 、 産 業 政 策 育 成 に つ い て の 官 ・産 ・学 の 協 力 関 係 の 特 徴 な ど も挙 げ られ る が 、 戦 後 の 国 際 経 済 環 境 、IMF-GATT体 制 が も た ら し た 「黄 金 の60年 代 」 に 成 長 の ダ イ ナ ミズ ム を 迎 え る こ とが で き た の もま た 一 因 で あ る と い え よ う。 日本 は この ブ レ トン ウ ッ ズ体 制 の 枠 内 で 国 際 経 済 に お け る路 線 、 経 済 外 交 を 歩 ん で き た と も言 え る。 この 「枠 内 で の 歩 み 」 もま た 規 定 要 因 で あ る。 現 在 日本 が 対 外 的 に抱 え る問 題 の 淵 源 の 幾 つ か は戦 後 日本 の 外 交 姿 勢 の 基 調 に起 因 して い る と筆 者 は観 る。 本 論 文 は そ の 基 調 とな る もの 、 日本 の 戦 後 対 外 政 策 を 規 定 づ け た 世 界 観 ・イ デ オ ロギ ー(ら き もの)を 定 義 し、 ま た 実 際 に立 案 ・実 行 され た 政 第 が そ の 蜆 定 要 囚 に どれ だ け 影 響(拘 束)さ し れてき た か を検 証 す る こ とで 、 日本 戦 後 外 交 の 、 政 策 と して の 制 約 性 ・限 界 を確 認 す る こ と を 目 的 とす る。 本 論 文 に お い て 、 日本 戦 後 外 交 基 調 の 淵 源 は 彼 ら が 太 平 洋 戦 争 を 勃 発 し、 そ して 多 くの 犠 牲 を 生 み つ つ も敗 れ 連 合 軍(米 国)の 占 領 下 に 置 か れ た こ とに あ っ た と華 者 は 定 義 す る。 そ して 日本 の 外 交 基 調 を 強 固 に し た もの が 、 チ ャ ー チ ル の 「鉄 の カ ー テ ン」 演 説 に始 ま る冷 戦 環 境 で あ る。 米 ソ双 極 で 展 開 さ れ た 国 際 政 治 経 済 関 係 は 、 両 国 以 外 の 国 家 の 対 外 政 策 の 柔 軟 性 を 奪 う もの で あ っ た と い え る。 戦 後 日本 外 交 も ま た こ うい っ た 国 際 環 境 の 拘 束 の 中 で の 選 択 肢 か ら政 第 を選 ん だ は ず で あ る。 国 際 情 勢 の 変 化 の 中 で 国 際 関 係 は欧 州 や 日本 、 中 国 、NIES、 産 油 国 を 含 め た 多 極 化 の 局 面 へ と移 行 し、 各 国 の 対 外 政 策 も環 境 の 変 化 に 応 じた もの を 要 求 され るわ け だ が 、 冷 戦 期 に 培 っ た 外 交 基 調 は な か な か 脱 け きれ な い もの で あ る。 ま た、 政 策 形 成 過 程 に お け るhlcremelltalism、 漸 増 主 義 性 を考 慮 す る と国 際 環 境 の 変 化 が 急 激 な もの で あ ろ う と、 そ れ に 対 応 す ぺ く立 案 され る 政 策 は 保 守 的 な もの と な る だ ろ う。 冷 戦 期 の 外 交 を 原 点 と し、 今 も な お 受 け 継 が れ ゆ く戦 後 日本 対 外 政 策 の 決 定 背 景 と、 変 わ り ゆ く国 際 環 境 。 生 起 す る問 題 群 。 筆 者 は こ こ に 日本 外 交 の 抱 え る悩 み ・デ ィ レ ン マ を み る もの で あ り、 本 論 文 で の 作 業 を通 じて こ の デ ィ レ ンマ の 中 身 に つ い て の 考 察 を深 め る次 第 で あ る。 そ れ は 同 時 に 第 二 次 世 界 大 戦 以 降 の 国 際 関 係 に お け る相 互 依 存 の 一 方 性 、 ま た 国 際 政 治 と国 内 政 治 の 迎 関 に つ い て 確 認 ・整 理 す 4 る作 業 で も あ る。 1.2本 論文の構成 本 論 文 に お け る キ ー ワー ドは副 題 に も あ る よ うに 「冷 戦 外 交 のalternative」 象 は 第 二 次 世 界 大 戦 終 戦 以 降 か ら田 巾 内 開 期 の 日 中 国 交 正 常 化(そ 萌 芽 と い って よ い で あ ろ う)に 至 る ま で の30年 で あ る。 そ の 研 究 の 対 れ は 戦 後 日本 外 交 に お け る多 極 化 の 弱 の 期 間 、 そ の 間 の 日本 外 交 に つ い て で あ る。 策 者 は この 時 期 の 外 交 を 「冷 戦 外 交 」 と い う言 葉 に 象 徴 づ け、 そ の 特 徴 、 背 後 の 内 外 メ カ ニ ズ ム に つ い て 明 ら か に し た い と思 う。 本 論 文 は大 き く分 け て 、3部 構 成 よ り成 り立 つ 。 最 初 の 章 に お い て は 、 筆 者 の 論 旨 の 基 調 と な る 「冷 戦 外 交 」 と い う言 葉 の 持 つ イ メ ー ジ ・特 徴 を紹 介 す る。 次 に そ の イ メ ー ジ に照 ら し合 わ せ て 、 具 体 的 対 外 政 策 に つ い て の 考 察 を 行 う。 今 回 取 り上 げ る の は 「占 領 行 政 の 転 換 」 「講 和 条 約 締 結 」「日 ソ国 交 回 復 」 「安 保 改 定 」 「日中 国 交 正 常 化 」 の5つ のtopicに つ い て で あ る。 これ ら の 政 策 の 立 案 ・実 行 の 背 後 K如 何 な る 力 が 働 い て い た の か を 振 り返 って み た い。 最 後 に 「冷 戦 外 交 」 期 以 降 の 日本 外 交 は どの よ う な 変 化 を 遂 げ る こ とが で き た の か(で き な か っ た の か)、 そ れ を 裏 付 け る規 定 要 因 ・制 約 要 素 は何 な の か に つ い て 考 察 す る。 最 後 に今 学 期 研 究 会 に お い て 筆 者 を 含 め 、 学 生13人 を 指 導 して くだ さ っ た 、 ま た今 回 筆 者 の 稚 拙 な 論 文 を 読 ん で くだ さ る碓 氷 尊 総 合 政 策 学 部 教 授 に 感 謝 の 辞 を捧 げ る。 本 論 文 の 主 題 は 筆 者 の 前 々 か ら の 関 心 事 の 一 つ で あ り、 今 学 期 の 研 究 会 の 主 旨(日 本 の 発 展 過 程 の 中 ・長 期 的 視 野 か ら の 分 析)は 筆者 の 好 奇 心 に応 え る もの で あ っ た 。 しか し、 同 学 部 の カ リ キ ュ ラ ム に お け る各 授 業 の 課 題 論 文 提 出 の連 続 、 そ して 筆 者 の 怠 慢 ・作 業 取 り組 み の 遅 さ が 本 論 文 作 成 に あ た って の 作 業 の きめ 細 か さ を奪 い、 論 文 の 内 容 が 筆 者 自 身 の 原 イ メ ー ジ以 上 の もの を 含 ん で い るか につ い て は疑 わ し い もの が あ る。 ま た 論 文 内 の 記 述 の 幾 つ か に分 析 不 足 な 点 が 窺 わ れ る と思 う。 碓 氷 教 授 の 期 待 に満 足 に 応 え て な い 箇 所 に つ い て は 最 初 に お 詫 び を して お き た い 。 後 悔 す る点 を 挙 げ れ ば き りが な い が 、 現 時 点 で の 策 者 の 認 識 を ま とめ た もの と して 読 ん で ほ しい と思 う。(思 い の 外 、 長 文 と な りま した 。 読 む に 耐 え な い 長 さ と思 い ま す 。 す み ま せ ん) 第2章 冷 戦 外 交 とは何 か 2.1対 外 政 策 の規 定 要 因 2.1.1本 論 文 で の フ レー ム ワー ク ま ず 最 初 に 、 本 論 文 を 展 開 して い く上 で 莱 者 が 採 用 す る フ レー ム ワー ク の 整 理 を 行 い た い 。 花 井[1]は 比 較 外 交 政 策(本 論 文 で は 対 外 政 策)の 程 、 外 交 政 策 ス タ イ ル の 特 徴 の3つ 済 シ ス テ ム の3つ フ レー ム ワー クを外交 政策 の 諸 要因・ 政策 決 定過 に 定 め て い る。 花 井 の 云 う諸 要 囚 の 分 析 で は 、 地 理 ・国 力 ・政 治 経 の 特 定 を 行 う。 政 策 決 定 過 程 の 分 析 か ら は政 策 決 定 に 携 わ る政 府 部 門 ・非 政 府 部 門 の 組 織 分 析 が 行 わ れ る。 そ し て 外 交 政 策 ス タ イ ル の 特 徴 分 析 は政 策 形 成 に影 響 を与 え る、 国 家 の 歴 史 ・文 化 的 伝 統 ・国 民 性 そ して 前 述2つ の フ レ ー ム ワー ク と今 挙 げ た3つ の 要 素 との 複 合 体 の 中 か ら、 そ の 国 の 外 交 政 策 を特 徴 づ け る傾 向 を 探 し出 す こ とが 目的 とな る。 ま た 、 花 井[2】 で は 外 交 の 指 針 を 国 内 的 要 因 と国 際 的 要 因 と に分 け て い る。 前 者 は 国 益 と国 力 、 後 者 は 国 際 法 、 国 際 世 論 ・道 義 、 国 際 体 系 の 構 造 か ら構 成 され る も の と して い る。 ま た 、 花 井 は 図 の 国 益 に つ い て の 記 述 で 、 国 益 に対 置 す る外 交 指 針 の 要 囚 と して イ デ オ ロギ ー を取 り上 げ て い る。H・ ン ソ ー は国 益 外 交 の4原 モーゲ 則 を 挙 げ、 イ デ オ ロ ギ ー 型 外 交 は 国 家 の 生 存 に限 定 し た 国 益 外 交 を 破 壊 す る も の だ と して 、 外 交 の 目標 は イ デ オ ロギ ーK二基 づ く もの で あ っ て は な ら な い と批 判 して い る。 入 江[3】 は 外 交 政 策 の 決 定 に 際 し て は 、 政 策 決 定 者 に よ る国 際 情 勢 の 認 識 、 国 益 の 定 義 、 外 交 政 策 の 選 択 を限 定 す る要 素 が 関 わ る と して い る。 外 交 政 策 の 選 択 を限 定 す る要 素 と して は 、外 交 通 則 、 国 際 法 ・ 条 約 の 先 例 、 軍 事 的 経 済 的 能 力 、 そ して 国 内 的 諸 条 件(行 決 定 者 に よ る世 論 の 判 断)を 政 上 ・法 娩 上 の 障 害 、 国 内 治 安 ・秩 序 の 維 持 、 挙 げ て い る。 筆 者 が 入 江 ・花 井 の 両 者 の フ レー ム ワ ー クか ら採 用 す る の は花 井 国 で 挙 げ る と こ ろ の、 政 治 経 済 シ ス テ ム 的 要 囚 の 分 析 、 政 策 決 定 過 程 で の 組 織 分 析(こ れ は 政 党 中 心 に展 開 す るつ も りで あ る が)、 花 井 [2】で 挙 げ る と こ ろ の 、 国 益 と イ デ オ ロギ ー との 関 係 、 国 際 体 系 の 構 造 に つ い て の 分 析 、 そ して 入 江 固 の 、 国 内 的 諸 条 件Kつ い て の 分 析 に つ いて で あ る。 以 上 の 点 を 頭 に入 れ な が ら、 後 の 章 か ら の問 題 ・具 体 的 政 策 を 考 え た い と思 う。 2.2冷 戦 期 に お け る国際 環 境 1 1こ の節 の参 考文 献 は 【4】 s こ こで は 多 極 化 の 段 階 に 入 る前 の 、 米 ソの 冷 戦 体 制 、 特 に米 側 の 冷 戦 期 の 対 外 政 策 が 国 際 環 境 に与 え た 影 響 力 と い っ た もの に つ い て 考 え て み た い 。 冷 戦 体 制 は 経 済 面 と政 治 ・安 全 保 障 の 両 面 か ら と ら え る こ とが 可 能 で あ ろ う。 2.2.1ゼ ロ サ ム ・ゲ ー ム と し て の 冷 戦 2冷 戦 とい う もの が そ れ ぞ れ の イ デ オ ロギ ー、 融 合 し な い二 つ の 普 遍 主 義 に 基 づ く もの で あ る とい う こ とは 、 ゼ ロサ ム ・ゲ ー ム に よ り国 際 政 治 が 展 開 され て い く こ とを 意 味 す る。 自陣 の利 益 に な ら な い も の は 全 て 相 手 方 の利 益 とな るの で あ る。 ソ迎 の 膨 張 主 義 は 欧 州 や ソ連 との 戦 後 秩 序 の 共 同 管 理 を 当 初 考 え て い た 米 国 に は 脅 威 で あ っ た。 米 国 に お い て は 反 共 意 識 が 高 ま り、 トル ー マ ン ドク トリ ン は 彼 ら の 国 際 政 治 の ア ク タ ー に対 す る認 知 が 二 つ の 体 制 の ど ち ら を選 ぶ か に よ って 決 ま る もの で あ る とい う こ とを 明 ら か に した 。 そ れ は 彼 ら を 介 入 主 義 へ と歩 ま せ る原 因 とな り、 第3世 界 、 南 の 地 域 を 自国 の 世 界 シ ス テ ム、 国 際 的 分 業 経 済 体 制 へ と組 み 込 み 、 各 地 に 樹 立 した 軍 事 政 権 は反 共 的 性 格 を志 向 す る もの で あ っ た。 米 ソニ 国 以 外 の 国 家 は 国 際 政 治 の 中 を生 き て い く上 で 、 体 制 選 択 の 決 断 を最 初 に要 求 され る、 い や 参 加 す る体 制 ・体 制 内 世 界 秩 序 に お け る役 割 を 米 ソ問 の 対 立 の 文 脈 の 中 に 予 め 規 定 され る の で あ る。 当 初 は 欧 州 の み が 争 点 の 地 域 だ っ た 冷 戦 は 共 産 主 義 の 世 界 革 命 性 と ソ迎 の 膨 張 主 義 、 ま た そ れ に対 す る米 国 の 全 面 対 抗 の 姿 勢 に よ り、 朝 鮮 戦 くr}や中 共 政 府 の 樹 立 と い っ た 形 で ア ジ ア へ と地 域 規 模 を 拡 大 す る。 ア ジア ・太 平 洋 の 防 衛 上 米 の 戦 略 的 地 点 た る 日本 は こ こ に お い て 中 立 主 義 へ の 可 能 性 を 奪 わ れ る。 中 立 主 義 が 選 択 肢 と して 無 く な るの は 、 反 共 意 識 の 強 い ダ レ ス 国 務 長 官 の 影 響 に よ る もの で もあ る。 彼 の 国 際 政 治 の イ メ ー ジ に は 中 立 とい う概 念 が な く、 共 産 主 義 対 自 由 主 義 の 二 元 論 で 環 境 を 認 識 す る も の で あ っ た。 そ こか ら 「大 量 報 復 政 策 」 「巻 き 返 し政 策 」 「ド ミノ理 論 」 とい っ た 言 葉 が 生 ま れ 、 中 国 に 対 す る 台 湾 国 民 政 府 へ の 支 持 転 換 や 日本 の 占 領 政 第 の 変 更 、 西 ドイ ツ に お け る ハ ル シ ュ タ イ ン ・ ドク ト リ ン、ANZUS・SEATO等 の 同 盟 締 結 と い っ た硬 直 し た 外 交 を実 行 して い る。 戦 後 日本 の 外 交 を 考 え て い く上 で は 、 こ の 「中 立 」 を許 さ な か っ た 米 国 の 存 在 を 考 え るぺ きで あ る。 2.2.21MF-GATT体 制 と冷 戦 3戦 後 日本 が 復 帰 す ぺ き世 界 経 済 の 当 時 の 受 け 皿 は1944年7月 に 結 ば れ た ブ レ ト ン ウ ッズ 協 定 の 理 念 、 各 国 政 府 に よ る集 団 通 貨 管 理 体 制 に そ っ て 発 足 したIMFとIBRD、 さ れ た ノ・バ ナ 憲 章 の 通 商 政 策 実 施 の 機 関 と して のGATTで そ して1948年 あ っ た。 こ の 制 度 、IMF-GATT体 は 米 国 の 主 導 権 に よ って 成 立 した もの で あ る。 前 者 に お い て は19世 に採 択 制 紀 か ら の 金 一 ボ ン ド制 に代 わ る国 際 基 軸 通 貨 が 要 請 さ れ た もの で 、 当 時 そ の 任 務 を遂 行 し う るの は 潤 沢 な 外 貨 準 備 と巨 額 の 貿 易 黒 字 を唯 一 実 現 して い た米 国 の ドル だ け で あ っ た 。 金1オ ン ス35ド ル の 交 換 を 米 政 府 が 保 証 し、 ま た ドル 流 動 性 を 高 め る た め の 通 貨 流 出 政 策 と して 当 時 経 済 復 興 を せ ね ば な ら な か っ た 欧 州 や 日本 に マ ー シ ャル プ ラ ンや ガ リオ ア ・エ ロ ア 資 金 の 援 助 を 行 う こ とで 、 この 通 貨 二 政 第 の 上 に金 一 ドル 本 位 制 は ス タ ー トし た の で あ る。 金 一 ドル 本 位 制 が 通 貨 の 安 定 と戦 時 か ら の経 済 復 興 を 目 的 とす るIMF一 世 銀 体 制 の 中核 とな っ た わ け だ。 一 方 、 後 者 は 保 護 貿 易 と ブ ロ ッ ク経 済 の 台 頭 も一 囚 とい え る第 二 次L界 大 戦 の 教 訓 か ら、 数 量 制 限 の 撤 廃 、 特 恵 の 廃 止 、 無 差 別 を 基 調 とす る開 か れ た 貿 易 体 制 を 可 能 にす るた め 国 際 貿 易 機 構 構 想 、 ハ バ ナ憲 章 が 練 られ た わ けで あ る が 各 国 の 積 極 的 な合 意 が 得 ら れ ず ま た 推 進 者 の 米 国 で も保 護 主 義 の 議 員 を 抱 え る議 会 の 批 准 を 得 られ な か っ た た め 同 憲 章 は 発 効 しな か っ た わ けで あ る が(貿 易 に関 して 国 内 的 利 益 と国 際 利 益 が 衝 突 す るの は常 ら し い)、 し か し同 患 章 と並 行 に作 成 され た 関 税 引 き下 げ 交 渉 に つ い て 2こ の 節 の 参 考 文 献 は 【5】 3こ の 節 の 参 考 文 献 は 【6】 7 の 協 定 、GATTは 無 事 発 効 さ れ 、 最 恵 国 原 則 ・補 助 金 や ダ ン ピ ン グ 規 定 ・多 国 間 交 渉 ル ー ル な ど が 定 め られ た 。 こ こで も主 導 権 を 握 っ た の は 自 由 貿 易 の 重 要 性 を 唱 え た コー デ ン ・ハ ル の 影 響 を受 け た 米 国 で あ り、 欧 州 に お い て は 前 述 の マ ー シ ャ ル ・プ ラ ン が 域 内 で の 自 由 貿 易 を 推 進 し、 日本 のGATTへ 加 盟 の 積 極 支 持 、 多 国 間 貿 易 交 渉 へ の 参 加 な ど はGATTル もの で あ る。1967年 %を の ー ル 推 進 者 と して の 同 国 の 役 割 を裏 付 け る の ケ ネ デ ィ ・ラ ウ ン ドに お け る関 税 一 括 引 き下 げ は 平 均 関 税 引 き下 げ 率 約35 あ げ 、 自 由 貿 易 を促 進 し た政 第 の 代 表 と も云 え る。 IMF-GATT体 0万 制 は 構 想 の 当 初 、 ソ迎 の 国 際 経 済 体 制 へ の 参 加 を望 ん で も い た。 米 政 府 は100 ドル の 融 資 を ソ連 経 済 復 興 の た め に用 意 して い た とい う。 し か し、 共 産 主 義 の 拡 大 の た め に ソ連 は 体 制 へ の 参 加 を拒 ん だ 。 そ して 、 東 欧 を 支 配 す る こ とで 独 自 の 経 済 体 制 を つ く る こ と を 目指 した 。 ポ ー ラ ン ドや チ ェ コ ス ロ バ キ ア に 申 し出 ら れ た マ ー シ ャル ・プ ラ ン もそ の 受 け 入 れ を 認 め ず 、GATTの 結 を す る国 もな か っ た 。 東 側 に お け る 独 自 の 経 済 体 制 は1949年 、 経 済 相 互 援 助 会 議(コ 締 メ コ ン)の 設 立 に よ っ て 実 現 を 見 る。 ソ連 と衛 星 国 との 二 国 間 通 商 合 意 は 貿 易 の 流 れ を コ メ コ ン体 制 内 部 で 形 成 す る もの に し た。 ま た 各 国 の 経 済 政 策 は ソ連 か らの 中 央 統 制 に よ っ て 運 営 され る もの で あ っ た。 経 済 の 孤 立 主 義 を 実 践 して い く わ けで あ る。 東 欧 に お け る ソ連 の 介 入 、 共 産 主 義 政 権 の 度 重 な る樹 立 ま た 西 側 体 制 参 加 へ の 拒 否 は 米 国 の 態 度 を 硬 直 化 させ る。 マ ー シ ャル ・プ ラ ン に よ る欧 州 復 興 計 画 は純 粋 な経 済 復 興 援 助 の性 格 を持 つ 一 方 で 、 東 欧 か ら 押 し寄 せ て く る共 産 主 義 勢 力 の 拡 張 に抵 抗 す る陣 営 と して の 力 を 援 助 す る意 図 も加 味 さ れ た とい え る。1949年 に は 、 コ コ ム が 組 織 化 さ れ 、 米 国 は 同 盟 諸 国 に も共 産 圏 へ の 商 業 輸 出 の 禁 止 ・縮 小 を 要 請 した 。 コ コ ム に お け る 「戦 略 物 資 」 の 定 義 を 巡 る 日 ・欧 と米 との 意 見 の 対 立 は 日 ・欧 の 両 者 に とっ て 共 産 圏 との 貿 易 の縮 小 ・禁 止 が 自 国 の 本 意 とす る と こ ろで な い こ とを 示 し て い る。 世 界 経 済 の 運 営 に あ た っ て も米 ソ は対 立 し、 東 西 に 二 つ の 経 済 体 制 が 成 立 した の で あ る。 そ れ ぞ れ の 経 済 体 制 は 体 制 内 に指 導 国 と衛 星 国 ・同 盟 国 の 関 係 を 置 い て 、 体 制 参 加 国 の経 済 政 第 の 独 立 性 に 制 限 を 加 え る もの で あ っ た 。 そ れ は他 陣 営 の 自 陣 営 へ の 勢 力 拡 大 を阻 止 す る た め の 安 全 保 陳 政 策 の 米 ソニ 国 間 競 争 と して の 側 面 で あ り、 ま た 同 盟 国 ・衛 星 国 に し て み れ ば 、 そ の 二 国 の 政 策 対 立 の 中 で 展 開 され て い た状 況 に 対 抗 す る だ け の 国 力 、 こ こで は経 済 力 を持 って な か っ た こ とが 彼 らの 政 策 の 独 立 性 を奪 う も の で あ っ た とい え る。 2.3冷 戦 期 に お け る国 内環 境 4国 際 環 境 に お け る冷 戦 に対 応 した 対 立 軸 は 国 内 環 境 に も存 在 した 。 そ れ は 保 守 対 革 新 とい う政 党 間 対 立 の 構 図 で 現 れ た と い え る。 この 対 立 の 頂 点 は55年 の 自 由 民 主 党 の 結 成 と 日本 社 会 党 の 右 派 左 派 合 同 に よ っ て 実 現 した 二 大 政 党 制 で あ る。 二 大 政 党 制 の 実 現 は英 国 に お け る二 党 制 の 迎 想 か ら政 権 交 替 の 可 能 性 を 予 感 させ る も の で あ った が 、 実 際Kは 政権 交 替 を可 能 にす るほ どの合 意点 が両者 の政 策基 調、 特 に 対 外 政 策 を巡 る主 張 に は 存 在 し な か っ た 。 実 際 の 国 会 運 営 に お い て は 与 野 党 妥 協 の 形 で 成 立 す る法 案 が 多 数 存 在 し た わ け だ が 、 主 要 イ ッ シ ュ ー に つ い て は両 者 は対 立 を 余 儀 な く され た。 こ の 保 革 の 対 立 軸 を 構 成 す る 要 素 は 平 和 観 ・安 全 保 障 観 で あ り、 イ デ オ ロギ ー で あ っ た 。 前 者 の 争 点 は 日本 の 再 軍 備 の 是 非 を 問 う もの で あ り、 後 者 は 国 家 と して の あ る ぺ き 姿 を 問 う もの で あ る。 後 者 は マ ル ク ス ・レ ー ニ ン 主 義 の 社 会 観 に基 づ く階 級 対 立 で あ る と も い え る。 第 二 次 世 界 大 戦 で の 敗 戦 ・被 爆 体 験 ・平 和 愈 法 とい う前 提 の 中 で の 再 軍 備 の 選 択 は 反 動 的 色 彩 を帯 び る も の で あ り、 ク リー ヴ イ ッ ジ を 生 み 出 す 争 点 で あ っ た 。 ま た 再 軍 備 の 要 求 は 朝 鮮 戦 争 や 中 共 政 府 の 成 立 に よ っ てinvolveさ れ た ア ジ ア の 冷 戦 環 境 で 米 国 か ら発 せ ら れ た もの で 、 確 か に 保 守 政 権 の 内 部 に は 4こ の 節 の 参 考 文 献 は 【7】 【8】 【9】 8 鳩 山 ・岸 や 重 光 の よ う に ナ シ ョナ リ ス ト的 観 点 か ら再 武 装 を唱 え る もの も い た が 、 再 武 装 の 決 定 は 国 家 安 全 保 障 の 自 発 的 観 念 の 中 か ら生 ま れ た とは 言 い 難 く、 国 際 環 境 の 中 か ら強 い られ た 選 択 だ とい え る。 一 方 、 階 級 対 立 を 前 提 とす る共 産 主 義 イ デ オ ロギ ー は従 来 の 企 業 内 に お け る労 使 協 調 路 線 と相 反 し、 労 働 組 合 に対 し運 動 の 争 点 を経 済 闘 争 か ら政 治 闘 争 ま で 拡 張 さ せ る もの で あ っ た 。 経 済 民 主 化 の 文 脈 の 中 で 生 ま れ た 労 働 組 合 だ が 冷 戦 の 拡 大 と 占 領 行 政 の 転 換 に よ り、 米 体 制 に 対 す る反 発 ・抵 抗 と ソ連 体 制 へ の 支 持 とい う二 つ の 闘 争 前 提 を背 負 い 込 む こ と に な る。 当 然 、 彼 らの 支 持 政 党 は 日本 社 会 党 や 日本 共 産 党 な ど の 革 新 党 に 向 か うわ け で あ る。 これ に対 して 、 財 界 側 は 自 ら の 集 団 利 益 で あ る経 済 運 営 の 安 定 、 現 行 資 本 主 義 の 維 持 ・回 復 の た め に保 守 政 党 を 一 貫 して 支 持 す る こ と に な る。 利 益 集 団 と政 党 との 固 定 関 係 を 生 み 出 し た の は 階 級 闘 争 を 包 含 し て い る共 産 主 義 イ デ オ ロギ ー で あ り、 そ の イ デ オ ロ ギ ー が 世 界 的 に対 立 の ム ー ドを 米 体 制 と展 開 した た め 国 内 に お い て 硬 直 した 政 党 関 係 が 生 ま れ た と い え る。 言 い 替 え れ ば 冷 戦 環 境 が 国 内 に お け る議 会 政 治 の ダ イ ナ ミ クス を 奪 っ た とい う仮 説 が な りた つ 。 そ もそ も ダ イ ナ ミ ク ス を 奪 わ れ た 議 会 政 治 ・政 党 政 治 の 原 因 は 対 立 す る保 革 両 陣 営 の 内 部 構 造 に も 存 在 して い た 。 政 局 の 安 定 化 を 目指 す 保 守 陣 営 の 合 同 は 同 時 に 内 部 で の 派 閥 抗 争 の 恒 常 化 を 引 き起 こ し た の だ が 、 彼 ら の 亀 裂 を 水 際 で 止 め た の は 彼 ら の 政 権 保 持 へ の 強 い 意 志 か らで あ る。 仮 に 派 閥 分 裂 で 党 が 解 体 す る と社 会 党 の 革 新 政 権 を 誕 生 させ て しま う こ と に な る。 そ れ は 彼 ら の 支 持 母 体 で あ る 財 界 の 欲 す る と こ ろで は な か っ た 。 分 裂 は 政 権 か ら彼 ら を 遠 ざ け る こ とKな る の で 彼 らは 派 閥 抗 争 を 激 化 させ る 一 方 で 党 の 決 定 的 な 分 裂 だ け は避 け た 。 そ の 中 で 対 外 政 策 の 決 定 は 派 閥 間 抗 争 の 取 引 の 材 料 と して 、 政 権 を 握 る主 流 派 と握 っ て い な い 反 主 流 派 との 交 渉 に 使 わ れ た。 次 期 政 権 の 担 当 と交 換 に対 外 政 策 へ の 賛 同 を確 約 す る と い っ た具 合 で あ る。 保 守 合 同 に よ る 自 山民 主 党 の 結 党 は 保 守 政 権 の 安 定 化 を 生 み 出 す 一 方 で 保 守 陣 営 で の 主 張 ・政 策 の 対 立 を 政 党 内 部 で の 人 事 ・派 閥 抗 争 と い っ た ブ ラ ッ ク ボ ッ ク ス に隠 す こ とで 議 会 政 治 の 政 党 間 ダ イ ナ ミ ク ス を奪 っ た と い え るの だ 。 一 方 、 社 会 党 を 中 心 とす る 革 新 陣 営 に も膠 萢 した 議 会 政 治 を生 み 出 し た 責 任 が あ る。 政 権 交 代 を 志 向 して 右 派 左 派 合 同 を 実 現 した に も関 わ らず 、 実 際 は 彼 ら の 活 動 目的 た る 「社 会 主 義 実 現 」 の 「運 動 方 針 」 を 巡 る 派 閥 抗 争 が 耐 え な か っ た。 彼 ら は 現 行 資 本 主 義 に対 して の 異 議 申 し立 て と い う点 で は 運 動 の 方 針 は 共 通 して い た の だ が 、 運 動 方 針 の 詳 細 を 詰 め る と彼 ら の 対 立 は 明 確 な もの と な っ て い く。 そ れ は 「運 動 」 を 展 開 して い くK当 た っ て 、 共 産 主 義 的 な も の を 志 向 す るか 社 会 民 主 主 義 的 な もの を志 向 す るか と い う選 択 に 直 面 す る と き 内 部 分 裂 を き た して しま う とい う こ とで あ る。 後 者 を選 択 し た人 間 は 「反 共 」 を 彼 ら の 「運 動 方 針 」 の 原 則 に入 れ て し ま うわ け で あ る。 そ れ は ソ迎 との 関 係 構 築Kあ 認 識 ギ ャッ プ を 生 み 出 す 。 そ れ は 森 戸 一稲 村 論 郁 に 始 ま り、 構 造 改 革 論{r}、反(社 た って の 両 者 の 会 主 義)協 会 とい っ た 形 で 冷 戦 期 以 降 も社 会 党 を 呪 縛 し続 け た。 共 産 党 と の民 主 前 線 結 成 に あ た っ て も、 同 様 の 共 産 主 義 と 社 会 民 主 主 義 と の 志 向 ギ ャ ップ が 生 み 出 さ れ る。 民 主 社 会 党 の 結 成 も運 動 内 部 で の イ デ オ ロギ ー に つ い て の 左 右 の 合 意 点 を 見 い だ せ な か っ た 結 果 で あ る。 日本 社 会 党 が一 方 で 政 権 交 替 を 目指 す 野 党 第 一 党 で あ りな が ら も、 他 方 で 自党 内 部 を含 め て 革 新 陣 営 の 足 並 み を ぱ ら ぱ ら に し、 保 守 政 権 に 拮 抗 し う る だ け の 革 新 連 合 を形 成 で き な か っ た の は 、 彼 ら の ボ ス ト保 守 政 権 に 向 け て の 青 写 真 が 統 一 され て な か っ た か らで あ る。 そ の 原 因 は 冷 戦 イ デ オ ロギ ー の 二 元 論 的 性 格 に あ る とい え よ う。 革 新 陣 営 は 資 本 主 義 イ デ オ ロ ギ ー に対 立 し な が ら も、 そ の 内 部 で 更 に 社 会 主 義 イ デ オ ロギ ー の 解 釈 論 で 対 立 を き た す とい う、 「二 重 の 対 立 」 に 直 面 す る こ とで そ の 力 を 弱 体 化 さ れ た とい え る。 イ デ オ ロ ギ ー 対 立 は 与 野 党 の 合 意 点 を 政 策 そ の もの で は な く妥 協 方 式 の選 択(国 対 国 会 の 存 在 を見 よ)に のみ 固 定 化 し、 ま た単 独 で は 与 党 に 立 ち 向 か え な い は ず の 革 新 陣 営 の 団 結 の 芽 を 摘 む もの で あ っ た 。 そ の 一 方 で 合 同 に よ り安 定 化 が 確 保 され た保 守 政 橘 は 、 対 抗 革 新 陣 営 が イ デ オ ロ ギ ー 的 に 類 似 し な い こ と、 ま た 安 定 化 し た 保 守 政 権 に あ る こ とが 一 番 政 権 に 近 い とい う 「無 為 の 有 為 性 」 か ら、 そ の 内 部 対 立 に も関 わ らず 分 裂 だ け は き た さ な い。 そ の 時 点 時 点 で の 派 閥 間 の 政 策 合 意 は 次 期 政 権 に む けて の 党 内 人 事 協 議 と 交 換 に 行 わ れ る と い う事 態 を 生 み 出 した。 9 こ こ に お い て 冷 戦 が 国 内 環 境 に 及 ぼ した 影 響 、 つ ま り議 会 政 治 に お け る政 党 間 の ダ イ ナ ミ ク ス を 奪 っ た の が 冷 戦 の イ デ オ ロ ギ ー 性 で あ る と い う こ とが 理 解 され るで あ ろ う。 2.4冷 戦 外 交 の イ メ0ジ 戦 後 日本 外 交 の 起 点 とな る冷 戦 期 、 特 に そ の 萌 芽 期 の 国 際 環 境 と国 内 環 境 との 両 面 に つ い て 、 冷 戦 が 拘 束 した 環 境 とは ど の よ うな もの で あ っ た の か を追 って み た 。 そ こ か ら イ メ ー ジ さ れ る、 対 外 政 策 へ 向 け て の 基 本 姿 勢 は 如 何 な る もの で あ っ た か に つ い て ま とめ て み た い 。 冷 戦 期 は第 二 次 世 界 大 戦 後 の 世 界 秩 序 を巡 る二 つ の イ デ オ ロギ ー 、 普 遍 主 義 の 対 立 が 安 全 保 障 ・経 済 体 制 ・政 党 ・利 益 集 団 … とい う具 合 に 政 治 経 済 シ ス テ ム の 選 択 肢 を二 分 化 して い く もの で あ っ た 。 そ の 中 で 日本 が 位 置 づ け ら れ た 国 際 環 境 の 中 で の 役 割 は 、 終 戦 直 後 の 去 勢 ・更 生 され るぺ き 旧 敵 国 と して の 認 知 か ら、 力 を 取 り戻 す ぺ き米 国 の 同 盟 国 、 ア ジ ア の 反 共 の 砦 と して の 認 知 へ と移 り変 わ る わ けで あ る。 国 土 の 復 興 、 戦 後 処 理 、 新 し い 憲 政 の 実 現 な ど と い っ た 国 内 的 目標 と併 せ て 、 こ の 国 際 環 境 に お け る新 しい 役 割 を 果 た'ナペ く、 日本 の 冷 戦 期 外 交 は営 ま れ た わ けで あ る。 国 内 的 目標 と国 際 的 役 割 とは 必 ず し も理 念 を一 致 す る もの で な く、 国 際 的 役 割 を 果 た す た め に課 さ れ る国 内 外 の 制 約 の 中 で 、 同 時 に 国 内 的 目標 も実 現 され る よ う政 策 決 定 者 達 は対 外 政 策 の 選 択 肢 を切 り とっ て 行 くの で あ る。 そ の 切h,と り 方 は 時 に 環 境 の ハ ー ドさ か ら 歪 ん だ体 系 を と る こ と もあ るの で あ る。 次 の 章 か ら は 、 実 際 の 日本 の 冷 戦 外 交 が 筆 者 が 今 まで 述 ぺ る と こ ろ の イ メ ー ジ に ど れ だ け 近 か っ た か ど うか につ い て ケ ー ス を 振 り返 り、 確 認 ・検 討 す る。 第3章 冷戦外 交の軌跡 3.1問 題の所在 筆 者 の 外 交 イ メ ー ジ と実 際 との 比 較 検 討 作 業 で あ る が 、 こ こで 検 討 され るの は 「何 故 、 この 対 外 政 策 が この 時 に実 行 され た の か 」「そ れ は 華 者 の イ メー ジで どれ だ け導 き 出 せ るの か 」 の 二 点 で あ る。 対 外 政 策 を あ る時 代 ・環 境 へ の 適 応 行 為 と見 な し、 そ の 適 応 行 為 の 時 代 的 環 境 的 必 然 性 を 華 者 の イ メー ジ の 枠 組 み で どれ だ け説 明 で き るか と い う こ とで あ る。 以 下 挙 げ る政 策 に対 して 、 こ の 二 点 を 軸 と し た そ れ ぞ れ の 問 い か け を 行 う こ とに す る。 3.2占 領行政の転換 1厳 密 に は こ の 占領 行 政 は 日本 の 対 外 政 策 で は な く、 米 国 の 対1」政 策 で あ る。 日本 は 当 時 、 独 立 国 家 と して 認 知 され て な い わ け だ か ら対 外 政 策 な る も の が 存 在 す る はず もな い の だ が 、 こ こで は対 外 環 境 と の 関 わ り とい う点 で 、 日本 が 白 国 の 立 場 を 規 定 づ け られ た 時)glの 政 策 と して の 観%Jを 行 い た い。 ま ず 日本 の 占 領 行 政 の特 徴 を 挙 げ る に 、 同 じ く敗 戦 国 の ドイ ツ と比 較 す る と(1)分 割 占領 の形 を と ら れ な か っ た こ と、 更 に は連 合 諸 国 の 共 同 管 理 方 式 が 名 目上 採 用 さ れ て は い た が 実 際 に は 米 軍 単 独 に よ る占 領 が 行 わ れ た こ と(2)ド イ ツが 直 接 統 治 の 形 を と っ た の に 対 し、 日本 の そ れ は 日本 政 府 を通 じ て の 間 接 統 治で あ っ た こ と、 の 二 点 が で て く る。(1)に つ い て は 「降 伏 後 に お け る 合 衆 国 の 初 期 対 日政 策 」 に よ り、 占 領 軍 は 米 任 命 の 最 高 司 令 官 マ ッカ ー サ ー の 指 揮 下 に あ る と明 記 され た こ と、 連 合 軍 総 司 令 部 の ス タ ッ フ が ほ とん ど米 国 人 で あ っ た こ とな ど が あ る。 米 が 日本 占 領 に積 極 的 に 動 い た の は 、 第 二 次 大 戦 後 の ア ジ ァ に お け る ソ迎 に 対 す る勢 力 均 衡 の 維 持 と も言 わ れ て い る。 無 論 冷 戦 の 文 脈 とは 離 れ た 意 味 に お い て で あ る。(2)に つ い て は 、 当 初 は 米 側 も、 軍 票 の 使 用 ・英 語 の 公 用 語 化 、 米 軍 法 廷 で の 裁 判 な ど も含 め た 直 接 軍 政 を 敷 く予 定 で あ っ た の だ が 、 岡 崎 終 戦 辿 絡 中 央 事 務 局 長 官 や 重 光 外 相 とい っ た 人 物 の 説 得 ・交 渉 に よ っ て 回 避 に至 る。 結 局 、 戦 前 か ら の 迎 続 と い っ た 形 で 官 僚 機 構 は 温 存 され た こ と に な る。 温 存 とい え ぱ 天 皇 制 に つ い て も し か りで 、 憲 法 に お け る地 位 に つ い て は 変 更 を 見 た が 当 時 の 戦 争 指 導 者 と して の 責 任 問 題 に つ い て は 、 知 日派 の 外 交 官 グ ル ー や 実 力 者 の ス テ ィ ム ソ ン陸 軍 長 官 な ど の 主 張 に よ りr無 条 件 降 伏 と天 里 制 の 放 棄 と の 関 係 」 の 言 及 を しな い こ とで 、 退 位 に つ い て 免 れ た とい え る。 そ して そ れ は マ ッカ ー サ ー と天 皇 との 会 見 で 確 証 さ れ る。 占 領 行 政 の 前 提 と して 米 の 主 導 権 と戦 前 ・戦 中 体 制 の あ る部 分 で の 温 存 ・辿 続 と い うの が 指 摘 さ れ る。 そ れ は 米 の 占 領 行 政 の 運 営 を容 易 な ら し め る もの で あ っ た が 、 そ れ は 同 時 に 自 国 につ い て の 戦 後 処 理 に つ い て 問 題 を残 す と こ ろで もあ っ た と 1こ の 節 の 参 考 文 献 は 【3)【10】 【111【12】 11 い え る。 戦 前 ・戦 中 体 制 の 連 続 を 「あ る部 分 で 」 と修 飾 した の に は理 由 が あ る。 占 領 行 政 の 目的 ・キ ー ワ ー ド は 政 治 ・経 済 ・社 会 に お け る 「非 軍 事 化 」 で あ り 「民 主 化 」 で あ るか ら だ。 これ ら は戦 前 と は切 り放 さ れ た 概 念 で あ る。 そ うい っ た 中 で 婦 人 選 挙 権 ・教 育 改 革 ・戦 犯 指 定 ・政 治 犯 の 釈 放 ・経 済 の民 主 化(労 土 地 ・財 閥)と 組 ・ い っ た 「上 か らの 民 主 化 」 が 実 現 さ れ て い く。 そ こで は 日本 の 進 み ゆ くぺ き姿 は 「生 活 を維 持 し、 賠 償 取 立 を 可 能 に す る だ け の 経 済 」(ポ ツ ダ ム宣 言)を 持 つ ほ どの 規模 と して 認 知 され て い た の で あ る。 日本 の 資 源 分 配 に お い て 期 待 され た 賠 償 の 比 重 の 高 さ は ポ ー レ ー の 賠 償 実 施 報 告 の 内 容(日 本 国 民 の 生 活 水 準 は ア ジ ア の 他 の 諸 国 を 上 回 ら な い 程 度 と も設 定)か 占 領 行 政 の 転 換 に つ い て は、1947年 ら も理 解 され る。 の ゼ ネ ス ト中 止 命 令 か ら そ の 傾 向 を 見 始 め る。 そ れ は 労 働 運 動 の 民 主 化 の 盛 り上 が りが 社 会 主 義 革 命 へ の 火 とな りか ね な い とマ ッカ ー サ ー が 判 断 し た か らで あ ろ う。 こ こ に既 に 国 内 に お け る冷 戦 環 境 の 発 端 が か い ま 見 ら れ る。 労 働 運 動 抑 圧 の流 れ は 国 家 公 務 員 法 の 改 正 、 そ して レ ッ ド ・パ ー ジへ とエ ス カ レー トす る。GHΩ と労 組 と は 当 初 の 蛮 月 関 係 を冷 戦 の 流 れ と と も に 崩 して い っ た の で あ る。 1948年1月 に はNSCKよ り 日本 の 経 済 自立 が 提 言 され 同 年3月 に は ジ ョー ジ ・ケ ナ ン と ド レー パ ー とが 来 日 し、 冷 戦 的 観 点 か ら再 軍 備 と経 済 復 興 の 本 格 化 を要 求 す る。 マ ッカ ー サ ー は 再 軍 備 案 に は 反 対 した が 、 経 済 復 興 の 本 格 化 に つ い て は 同 意 して い た。 占領 行 政 の 早 期 終 結 は 兵 員 解 除 を で き る米 と して 望 ま し い 事 態 で あ る が 、 日本 の 経 済 復 興 の 遅 さ と冷 戦 環 境 とが そ れ を許 す も の で は な か っ た。 故 に 経 済 復 興 の 本 格 化 が 日本 の 新 た な る 目標 と な る。 賠 償 外 交 に つ い て は ポ ー レー 案 か ら ス トラ イ ク 案 ・ ド レ ー パ ー 案 へ と緩 和 さ れ 、49年5月 に は 賠 償 打 ち切 りの 声 明 が で る。 ま た1948年5月 来 日 の5人 委 員 会 は集 中 排 除 法 の 運 用 緩 和 を 行 う こ とを 決 め た の も、 経 済 の 民 主 化 の 理 想 主 義 性 が 冷 戦 環 境 の サ バ イ バ ル に 変 換 を余 儀 な く され た こ とを 意 味 して い る。 経 済 変 革 政 策 の 最 た る もの が ドッ ジ ラ イ ン ・経 済 安 定9原 則 で あ る。 ド ッ ジ ラ イ ン政 策 の デ フ レ性 は 安 定 恐 慌 を生 み 出 しそ れ は 同 時 に 官 民 を挙 げ て の 人 員 整 理 を余 儀 な く し、 失 業 者 を 多 発 し た。 当 然 の 如 く民 衆 の不 満 は募 る わ け で 政 桶 は よ り不 安 定 な もの との な る。 宰 相 吉 田 は 事 態 を 打 開 す る術 も な く、 民 主 自 由党 と民 主 党 と の合 同 に よ る 自 由 党 結 成 な ど の 政 局 安 定 化 に の み 策 を う か が っ た。 この 行 き詰 ま っ た 状 況 を 打 開 して くれ た の は 朝 鮮 戦 争 で あ り、 講 和 条 約 の 締 結 で あ っ た。 そ の 時 期 に お け る国 際 環 境 へ の 対 応 が 戦 後 日本 外 交 の 指 針 の 一 つ とな る吉 田 ドク トリ ン と して 登 場 す るの で あ る。 3.3講 和条約締結 2サ ン フ ラ ン シ ス コ講 和 条 約 は1951年9月8日K調 印 、 同 年10月26日 衆 議 院 、11月18日 参 議 院 で 各 々承 認 され た 。 こ の 講 和 条 約 調 印 に あ た って も 日本 は 決 定 的 な事 件 に遭 遇 し、 ハ ー ドな 争 点 と直 面 す る こ と に な る。 ま ず 、 戦 後 処 理 の 一 環 と して の 講 和 条 約 調 印 の 意 味 あ い を 変 え る事 件 と して 日本 は 朝 鮮 戦 争 に 遭 遇 す る。 日本 に と って 朝 鮮 戦 争 は 政 治 的 に も経 済 的 に も タ ー ニ ン グ ・ポ イ ン トを迎 え る事 件 だ っ た と い え る。 こ の 節 に お け る意 味 は 政 治 的 な 意 味 で あ るが 、 経 済 的 な 意 味 で の タ ー ニ ン グ ・ポ イ ン トに つ い て も 触 れ て お き た い。 2こ の 節 の 参 考 文 献 は 【10][13][14]【151 12 3.3.1タ ー ニ ン グ ポ イ ン トと して の 朝 鮮 特 需 ドッ ジ ラ イ ン政 策 は 日本 に 自立 ・安 定 した 国 民 経 済 を 築 い て い くた め の 基 礎 固 め と して イ ン フ レの収 束 を 主 要 目 的 と し た が 同 時 に掲 げ ら れ た 「輸 出 の 拡 大 」 は ドル 不 足 や ポ ン ド切 り下 げ と い っ た 国 際 経 済 の 中 実 現 が う ま くゆ か ず 、 イ ン フ レ の 収 束 の み が 解 決 に 至 っ た 。 そ れ は 国 内 に お け る 中 小 企 業 の経 済 弱 者 の ド ロ ップ ア ウ トを 引 き起 こ し、 経 済 復 興 の 決 定 打 を もた な い 政 府 と経 済 弱 者 た る 労 働 者 達 との 疑 似 隠 級 闘 華 の 構 図 を もた ら し た。 こ こで 「疑 似 」 と称 し た の は歴 史 を 振 り返 っ た上 で の 結 果 論 か らで あ る。 この 時 期 、 占 領 行 政 ・米 側 に よ る労 働 運 動 の 抑 圧 が ク ロー ズ ア ッ プ さ れ る が 、 彼 ら は 日本 人 労 働 者 の 体 制 反 抗 運 動 が 冷 戦 構 造 と連 関 して い る もの と認 知 し、 抑 圧 に至 っ た とい う解 釈 が 可 能 で あ る。 しか し 日 本 人 の 労 働 者 達 の 不 満 の 大 半 は階 級 闘 顎 的 な そ れ よ り も、 純 粋 に 「貧 困 な現 状 」 に あ っ た とい え る。 そ れ は 今 日ま で の 幾 度 か の 国 内 体 制 の 危 機 の 事 態 に お い て 、 この と き以 上 に危 機 が 労 働 迎 動 と迎 関 した 事 例 が 見 られ な い こ と か ら も明 き ら か で あ る。 後 に 起 こ る三 池 争 議 に つ い て は 安 保 改 訂 に絡 む 大 衆 運 動 の 連 関 を 引 き起 こ しか ね な い と懸 念 は さ れ た よ う だ が 、 これ は エ ネ ル ギ ー構 造 の 転 換 に伴 う労 働 問 題 だ っ た と と ら え た ほ うが よ い。 この 不 満 の 根 源 を 解 決 した の が 朝 鮮 戦 争 に よ る特 需 で あ る。1950年 の(直 ・間)累 計 額 は24億 ドル に達 し、 鉱 工 業 生 産 高 も1951年 か ら53年 に は35%の 消 費 、 就 業 者 一 人 あ た りの 生 産 性 も戦 前 水 準 を越 え た の で あ る。 朝 鮮 戦 争Kよ にか けて の特 需 増 加 、GNPや 個人 るブ ー ムは特 需 のみ な ら ず 輸 出 の 増 大 を も た ら した 。 ま た ブ ー ム の 恩 恵 は 大 企 業 の み な らず 中 小 企 業 に ま で 至 る も の で あ っ た。 こ う し た ブ ー ム は ドッ ジ ラ ・fン政 策 自身 が 達 成 で き な か っ た 目 的 に つ い て 補 完 す る もの で あ っ た とい え る し、 労 働 運 動 は ブ ー ム を境 に そ れ 以 前 と そ の 性 格 を 変 化 して い っ た。 ま た 、 こ の ブ ー ム は 政 府 に 特 需 以 降 の 経 済 の ビ ジ ョ ンを 模 索 す る機 会 を 与 え る に 効 果 的 で あ っ た と い え る。 確 かld守 需 景 気 は イ ン フ レのll∫ 燃 を も た ら した し、 特 謂 の 終 え ん1⊂伴 う金 融 り1さ締 め は 占lllデ フ レ を起 こ し、 ド ッ ジ ・デ フ レ時 以 上 の 失 業 者 を 生 ん だ。 これ ら は 「見 せ か け の 県 気 」 故 の 損 失 で あ っ た と意 識 す る こ とは シ ョック で あ っ た だ ろ う。 し か し ド ッ ジ ラ イ ン の 当 時 は飛 蹄 の き っか け す ら な か っ た の で あ る。 朝 鮮 戦 穿}に よ る一 時 的 飛Itは 、 か え っ て そ れ 以 降 の 展 望 を冷 静 に た て る き っ か け を 他 方 で うみ だ し た とい え る。 そ の 一 つ が 投 資 景 気 時 に お け る設 備 投 資 や 技 術 導 入 な どの 産 業 強 化 策 で あ ろ う。 こ の と き は 輸 入 の 増 大 を招 き、 物 価 の 上 昇 に よ る輸 出 力 の低 下 、 休 戦 協 定 の 締 結 とあ い ま っ て 国 際 収 支 の 減 少 を もた らす わ け だ が 、 こ の 時 の 産 業 強 化 に よ る景 気 拡 大 の 試 み が 後 で の 神 武 景 気 以 降 に お け る成 長 策 の ヒ ン トと な っ た の で は な い か 。 (し か し、 こ こで 浮 か ぶ 疑 問 が 一 つ あ る。 朝 鮮 戦 争 に お け る ブ ー ム 、 成 長(?)は 一 種 の状 況連 関 型 成 長 で あ り、 これ が 無 け れ ば 日本 は 成 長 の ス テ ッ プ ァ ッ プが 出 来 な か っ た と い う風 に解 釈 す る こ とは 容 易 で あ る。 しか し数 量 景 気 が 起 き た 要 囚 を 考 え る と き、 国 際 的 要 因 と して の 米 国 の 好 況 、 ま た195 5年 のGATTへ の 正 式 加 盟 な ど が 浮 か ん で く る。1955年 に は 日本 は輸 出 を 前 年 比23・4%と 伸 ば して い る。 輸 出 が 伸 び た事 実 は そ れ ま で の 不 況 に よ る物 価 の 下 落 が 国 際 競 争 力 を強 め た こ と も要 因 で あ るが 、 米 国 の 景 気 回 復 が 市 場 開 放 度 を高 め た 事 実 も重 要 で あ ろ う。 や は り 日本 は 状 況 迎 関 型 成 長 を 数 量 景 気 に お い て 実 現 して い るの で あ る。 とす る と、 朝 鮮 戦 争 が 仮 に起 こ ら な か っ た と して も経 済 成 長 は ドッ ジ ラ イ ン に お け る物 価 下 落 に よ る輸 出 力 の 上 昇 と前 述 の米 国 の 好 況 に よ り実 現 し た の で は な い か と い う仮 説 も た つ 。 こ の 仮 説 の も とで は 戦 後 史 に お け る朝 鮮 特 需 の 意 義 は 軽 視 さ れ る。 た だ し、 この 筆 者 の 仮 説 の 不 備 な 点 は、 米 国 の 好 況 が 民 需 要 因 で な く朝 鮮 戦 争 や 他 の 冷 戦 環 境 で の 軍 需 産 業 の 台 頭 が 引 き 金 で あ っ た 場 合 、 数 量 景 気 の 国 際 的 要 囚 の 淵 源 と して 朝 鮮 戦 争 の 存 在 が 浮 か ぶ と こ ろ に あ る。 米 国 経 済 史 に つ い て の 調 査 不 足 が こ の よ う な矛 盾 を も た らす わ け だ が 、 これ は 箪 者 の 仮 説 を 崩 す も ので あ る。) 経 済 的 な タ ー ニ ン グ ポ イ ン トに つ い て の 記 述 が 長 引 い て しま っ た が 、 い ず れ に せ よ経 済 的 な 自立 を 目指 す 日本 は 朝 鮮 戦 争 の 前 後 に お い て 状 況 迎 関 型 成 長 、 一 方 的 相 互 依 存 の 中 で 成 長 の き っか け を つ か ん 13 で い るの で あ る。 3.3.2朝 鮮 戦 争 と講 和 意 義 の 変 容 最 初 に 述 ぺ た よ う に 、 朝 鮮 戦 争 は 戦 後 処 理 の 一 環 と して の講 和 条 約 の 意 味 合 い を 冷 戦 外 交 の 文 脈 に 置 き換 え て し ま っ た 事 件 と して 当 時 は 運 命 的 な も の で あ っ た。 この 事 件 に よ り日本 が ハ ー ドな選 択 を 迫 ら れ た 争 点 は 二 つ あ る。 一 つ は 全 面 講 和 か 片 面 講 和 か を巡 る争 点 、 も う一 点 は 日米 安 保 締 結 を 巡 る争 点 で あ る。 さ ら に 自 衛 権 の 見 直 し一 再 軍 備 の 観 点 が 問 わ れ る の も この 時 期 で あ っ た。 そ もそ も 日本 側 に は 全 面 講 和 か 片 面 講 和 か を選 ぶ 余 地 は な か っ た とい え る。 米 国 作 成 の 対 日講 和 第 一 次 案 は 冷 戦 文 脈 を 踏 ま え 、 日本 の 反 共 ・親 米 国 家 性 を 強 調 す る もの で あ っ た こ と、1950年11月 発 表 の 対 日議 和7原 則 で は 片 面 講 和 を 示 唆 す る条 項 、 講 和 条 約 以 後 日本 が 軍 隊 を持 つ ま で は地 域 の安 全 保 障 は 米 国 との 共 同 責 務 とな る と い う条 項 、 琉 球 ・小 笠 原 地 域 の 信 託 統 治 に つ い て の 条 項 とい っ た条 項 の 数 々 は 、 米 国 自身 が 既 に ソ連 や 中 共 政 府 との 協 調 姿 勢 が な い こ と を表 して い る。 ま た 米 国 主 導 の 講 和 案 が 他 国 の 協 調 を得 た もの で な い とい う こ と は こ の 講 和 案 に 権 威 を 与 え な い もの で あ る が 、 そ れ は英 国 との 最 終 的 合 意 を得 る に至 り決 定 的 な権 威 失 墜 は 免 れ た とい え る。 日本 側 に と って 各 々 の 講 和 方 式 は 如 何 な る意 義 が あ る の だ ろ う か。 全 面 講 和 案 の 意 義 と し て は 、 片 面 講 和 は 冷 戦 ・東 西 対 立 構 造 へ の 編 入 を 意 味 す る もの で あ る、 ま た 片 面 講 和 に お い て は 講 和 条 約 を締 結 して い な い 国 家 との 間 の戦 串 状 態 が 終 了 しな い こ と も意 味 す る、 さ ら に は米 国 案 の講 和 に 従 う こ とは 占 領 終 了 後 も米 国 の 駐 留 を 許 す こ とに な る、 こ うい っ た 事 態 は 日本 の真 の 独 立 の 実 現 を 阻 む もの で あ る、 故 に共 産 圏 国 家 も含 め た 全 面 講 和 を 主 張 す る ので あ る、 とい っ た と こ ろ に あ る。 ま た 片 面 講 和 の 意 義 と して は 全 面 講 和 に至 る まで の 過 程 と して 片 而 講 和 が あ る と。 ま た 、 日本 の 資 本 主 義 経 済 を 維 持 して い く 上 で は 英 米 の 講 和 案 を 受 け入 れ る こ とが 必 要 で あ る と。 全 面 講 和 案 は朝 鮮 半 島 に ま で 至 っ た 共 産 主 義 の 侵 略 を 許 す もの で あ る と。 以 上 の よ う な 点 に あ る。 全 面 講 和 側 も片 面 講 和 側 も共 通 し て 認 識 して い る こ とは 、 こ の 講 和 条 約 に つ い て の 方 式 の 選 択 が 朝 鮮 戦 争 以 後 の 日本 へ の 冷 戦 の 連 鎖 の 可 能 性 を は らん でN る とい う危 機 感 を抱 い て い た こ とで あ ろ う。 さ て 、 こ こで 考 え な くて は い け な い 点 は 「全 面 講 和 は共 産 主 義 の 日本 へ の 侵 略 を 許 す も ので あ っ た か 」 とい う点 で あ る。 現 状 に お け る片 面 講 和 が 冷 戦 の 編 入 を も た らす こ とは 前 文 で も示 し た と う りで あ る。 全 面 講 和 に よ っ て 平 和 と独 立 の 新 機 軸 を う ち た い と い う主 張 は この 点 に お い て 的 を得 て い る。 しか し当 面 に お い て 米 ソ の 和 解 が な い 以 上 、 米 ソ共 同 提 案 に よ る全 面 講 和 案 は あ りえ な い だ ろ う とい う予 想 が 初 め に つ く。 この 状 況 下 に お い て 全 而 講 和 へ の 道 筋 は 、 二 体 制 か ら の 講 和 案 を各 々受 諾 す る こ とに 求 め る こ と に な るの で あ ろ う。 この 場 合 ソ迎 ・中 共 側 か ら の 講 和 案 とい うの は 英 米 と利 益 が 対 立 し た 案 に な る と思 わ れ る。 英 米 案 が 彼 ら共 産 主 義 陣 営 の 利 益 を排 除 す る形 で 提 案 して い る こ とか らで あ る。 お そ ら く、 この 時 期 に お い てbilateralの 和 と して の 全 面 講 和 は ど ち ら か の 体 制 の 選 択 を結 果 的 に 意 味 す る もの で あ っ た だ ろ う。 共 産 主 義 の 侵 略 が あ っ た か ど うか は 朝 鮮 戦 争 の 戦 火 が 日本 領 土 に まで 及 ぱ な か っ た の でifの 領 域 に す ぎ な い が 、 ソ迎 の 講 和 案 が 米 軍 の 日本 駐 留 を排 除 す る もの で あ っ た と し て 、 ま た講 和 を受 諾 し た 日本 が マ ッ カ ー サ ー ・ノ ー トに お け る憲 法 解 釈 に 従 い 自衛 権 を も含 む 戦 争 放 棄 を 忠 実 に 履 行 せ ざ る を え な い状 況 に あ っ た とす れ ば 、 領 土 拡 大 主 義 を 国 際 関 係 に お い て 当 時 求 め て い た ソ連 は、 朝 鮮 半 島 に お け る北 側 の 勝 利 を 機 に 日本 を次 の 領 土 拡 大 の 目標 と して 考 慮 す るで あ ろ う。 い ず れ に せ よ、 朝 鮮 戦 争 以 降 の 双 方 の 戦 略 拠 点 が 日本 で あ っ た こ と は 確 か で あ る。 こ れ は 筆 者 の 調 査 不 足 で あ る た め 、 実 際 の 選 択 の 動 き と して 用 意 され て い た か ど う か は知 る由 も な い が 、 仮 に東 側 陣 営 か ら の 講 和 案 、 も し くは イ ン ド ・ユ ー ゴ と い っ た 中 立 陣 営 か ら の 講 和 案 が 提 示 さ れ て い た場 合 日本 は ど の 選 択 を 重 視 し たで あ ろ う か。 も し く は これ ら の 選 択 を 総 合 した 「全 面 謂 和 」 を 実 現 す る こ とが で き たで あ ろ う か 。 い ず れ の 選 択 を とっ て も、 敵 対 体 制 を 生 み 山 す デ ィ レ ン マ が 当 時 の 国 14 際 関 係 に は あ っ た と い え る。 体 制 選 択 と戦 後 処 理 が リ ン ク し た 状 況 下 で 「全 面 講 和 」 の 願 い は あ くま で も願 い の 域 を越 え る もの で は な か っ た と い え る。(執 筆 後 の 文 献 訓 読 で 判 明 した が 講 和 会 議 に お け る ソ 連 提 出 の 英 米 案 の 修 正 案 に は 日本 が ソ迎 と敵 対 す る国 と同 盟 を 結 ぱ な い、 ま た 宗 谷 ・根 室 ・津 軽 ・対 馬 の 四 海 峡 は非 武 装 、 同 侮 峡 に お け る 日本 海 沿 岸 国 の 軍 艦 の 通 過 を 認 め る、 と い っ た 条 項 が 織 り込 ま れ て い る。 む ろ ん 会 議 で は 否 決 され て い る。) 講 和 条 約 締 結 と同 時 に 結 ば れ た の が 日米 安 保 で あ る。 日米 安 保 を 巡 る一 連 の 日本 の 動 き は 独 立 後 の 再 軍 備 を ど うす るか に つ い て の}つ の 回 答 で あ っ た とV・え る。 再 軍 備 の 必 要 性 は1950年 の マ ッ カー サ ー の 年 頭 会 見 に お い て 表 明 さ れ て い る。 マ ッ カ ー サ ー ノ ー トの と きの 「自衛 戦 争 を も放 棄 」 の 姿 勢 か らの 転 換 で あ る。 マ ッ カ ー サ ー の 姿 勢 の 転 換 の背 景 に は1949年10月 にお け る中共 政府 の 樹立 の衝 撃 が 、 反 共 体 制 と して の 防 衛 力 を 備 え る に 必 要 だ と い う認 識 が あ っ た か らで あ る。 この 年 頭 会 見 の 内 容 は 朝 鮮 戦 争 に よ っ て 早 く も具 体 化 され る。 奇 し く も朝 鮮 戦 争 勃 発 の 直 前 、1950年6月 に は ダ レス が 再 軍 備 、 米 国 との 軍 事 同 盟 締 結 を吉 田 茂 に要 請 して い る。 こ の 際 吉 田 は再 軍 備 を 拒 否 して い る。 こ れ は 日本 国 家 が 再 軍 備 に必 要 な だ け の 軍 事 支 出 の 山 費 に 耐 え得 るだ け の 経 済 力 を持 っ て な い こ と、 国 内 に お け る嫌 戦 の 雰 囲 気 が 再 軍 備 を 容 認 し な い で あ ろ う こ と、 憲 法9条 に 代 表 され る法 制 上 の 改 正 が 困 難 な 状 況 に あ る こ と と い っ た 要 因 が 恐 ら く吉 田 の 認 知 体 系 に は あ っ た で あ ろ う。 朝 鮮 戦 争 の 勃 発 に伴 い1950年7月 に は 警 察 予 備 隊 が 発 足 す る。 警 察 予 備 隊 の 目的 は 駐 留 米 軍 の 韓 国 派 兵 の空 白 を 埋 め る もの で あ っ た 。 警 察 と名 乗 る こ とで 、 ま た 政 令 に よ る手 続 き を一 貫 して 踏 ん だ 為 憲 法9条 との 兼 ね 合 い は 本 格 的 に 論 じ られ る こ と は避 け た が 、 国 内 の 治 安 強 化 と して つ く られ た 部 隊 は 再 軍 備 の ペ ー ス と も な っ た わ けで あ る。 具 体 的 制 度 と して の 警 察 予 備 隊 の 発 足 の 一 方 で 、 大 枠 と して の 独 立 後 の 安 全 保 障 を 巡 って の 日米 協 議 が 行 わ れ る わ け だ が 、 池 田 一 ドッ ジ会 談 で は 吉 田 ドク ト リ ン の 碁 調 が 提 案 さ れ る。 そ れ は 早 期 講 和 の 締 結 と、 米 軍 継 続 駐 留 に つ い て の 日本 側 か ら のofferの 1951年 用 意 が あ る とい う こ とで あ っ た 。 そ の 後 、 ダ レス ー 吉 田 の 三 度 に 渡 る会 談 で 安 保 条 約 の 締 結Kつ い て の 合 意 を 見 る。 英 米 が 講 和 案 に つ い て 合 意 をみ た の は 日米 安 保 に お け る駐 留 米 軍 の継 続 を如 何 に して 実 現 す るか の 方 策 で 米 側 が 英 国 案 を 採 用 した か らで あ る。 講 和 条 約 後 の 軍 備 の な い 日本 を 守 る た め 米 軍 を 駐 在 せ しめ る と い うの が 大 義 名 分 で あ るが 、 実 際 は 極 東Kお け る反 共 の 戦 略 基 地 と して 米 軍 が 引 き続 き駐 留 し た い とい う米 側 の 意 向 の 方 が 当 初 は 強 か っ た とい え る。 安 保 は そ の 片 務 性 の 欠 点 を 抱 え な が ら も講 和 条 約 と と も に 締 結 さ れ るが 日本 の 再 軍 備 問 題 は そ の 後 も警 察 予 備 隊 の 保 安 隊 へ の 強 化 やMSA援 助 の 受 け 入 れ 問 題 と して 継 続 す る。MSA受 け 入 れ を巡 って は 池 田 一 ロバ ー ト ソ ン会 談 に お け る交 渉 にお い て 、 防 衛 力 増 強 を 主 張 す る米 と軽 武 装 を 主 張 す る 日本 と の 意 見 の 対 立 が 起 こ る わ け だ が 、 日本 は 防 衛 二 法 に よ る 自 衛 隊 と防 衛 庁 の 設 立 と引 換 に 米 か ら軍 事 援 助 を 受 け、 軽 武 装 の 方 針 か らお こ る軍 事 援 助 の 余 剰 を経 済 復 興 に あ て る戦 略 を立 て た の で あ る。 講 和 一 安 保 一 再 軍 備 の 一 連 の 吉 田 の 対 応 は(1)日 自国 再 軍 備 の 極 小 化(3)軍 米 同 盟 に よ る安 全 保 障(2)米 軍 の駐 留 に よ る 備 の 極 小 化 に よ り生 ま れ る 国 力 の 余 剰 を 経 済 活 動 に あ て 通 商 国 家 と して の 活 路 を 開 く、 とい う吉 田 ド ク ト リ ン と して 後 々 ま で 評 価 され る。 安 保 た だ の り論 と も呼 ば れ る もの で あ る が 、 体 制 内 従 属 国 に な る こ との 脅 迫 観 念 、 建 て 前 と して の 非 武 装 国 家 の 弱 み を巧 み に経 済 独 立 へ の 戦 略 へ と転 換 し た 意 味 で は 、 パ ワ ー を 媒 介 に した 国 際 体 系 に お け る弱 小 国 に も国 家 戦 略 の 選 択 の 余 地 が 残 され て い た と い う こ とで あ ろ う か 。(し か し、 当 時 の 国 際 体 系 の 中 で 日本 が 筆 者 が 云 う ほ ど に弱 小 国 の 地 位 に あ っ た か ど うか は 疑 問 で あ る。 冷 戦 環 境 に お け る体 制 の 戦 略 拠 点 と して の 評 価 、 近 代 化 開 始 以 降 敗 戦 ま で の 実 績 か ら の 潜 在 的 国 力 な ど を考 慮 す る と 日本 は 他 の 弱 小 国 よ り も優 位 な 立 場 に た つ だ け の 素 地 が あ っ た の だ と い え よ う。) 吉 田 ドク ト リ ン は、 こ の 時 期 占 領 終 了 後 の 日本 の 行 方 に つ い て の 国 内 政 治 に お け る 主 張 の 混 乱 の 中 か ら生 ま れ た 案 で あ る と も い え る。 この 時 期 、 コ ミ ン フ ォル ム の 野 坂 理 論 批 判 へ の 対 応 を 巡 り共 産 党 は 15 分 裂 、 地 下 闘 争 を志 向 す る。 一 方 、 社 会 党 も階 級 政 党 と社 会 民 主 主 義 と を巡 っ て 左 右 の 対 立 が 生 じ、 ま た 左 右 の 妥 協 の 産 物 で あ っ た 平 和 三 原 則 につ い て も、 そ の 思 惑 が 朝 鮮 戦 争 を背 景 に 矛 盾 を き た す に至 り、 ま た 講 和&安 保 条 約 の 批 准 に つ い て の 左 右 の 解 釈 の 違 い な どが1951年10月 で の 左 右 分 裂 を もた ら す 。 社 会 党 は運 動 の 方 向 性 と政 権 奪 取 志 向 との 問 の 板 挟 み 、 そ の 矛 盾 の 臨 界 点 と して 分 裂 が 起 き た 。 ま た共 産 党 に して も コ ミ ン フ ォル ム へ の 権 威 依 存 体 質 と反 帝 闘 争 へ の こ だ わ りが 分 裂 を誘 発 して い る。 彼 ら野 党 は 自 らの 革 新 政 党 た る由 縁 を ソ辿K求 め た 故 、 講 和 ・独 立 に あ た っ て 何 をす べ き な の か を 冷 戦 環 境 の 動 向 に 委 ね な けれ ば い け な か っ た 分 、 選 択 肢 が 現 状 変 革 の 必 要 の 薄 い保 守 陣 営 の そ れ よ り もせ ま か っ た と い え る。 一 方 、 保 守 陣 営 の 混 乱 と して は 講 和 条 約 調 印 の 全 権 団 の 結 成 に よ る超 党 派 外 交 外 交 の 実 現 に 至 るま で の 道 筋 に お い て 顕 著 に現 れ て い た。 超 党 派 外 交 は 独 立 し た 国 家 外 交 の 証 と して 吉 田 に と って も保 守 陣 営 に と っ て も魅 力 的 な もの で あ っ た が 、1949年 か ら50年 に か け て の 保 守 陣 営 の 政 党 再 編 の過 程 は 保 守 野 党 陣 営 に 吉 田 主 導 の 保 守 連 携 策 に 対 す る 抵 抗 感 を 生 み だ し、 幾 度 に も わ た る説 得 の 上 複 数 政 党K よ る全 権 団 を つ くっ て は い る が 、 安 保 条 約 調 印 に 際 して の 一 部 メ ンバ ー の 欠 席 が 国 家 の 独 立 に関 す る保 守 陣 営 の 思 惑 の 違 い を 感 じ る。 ま た、 吉 田 の 日本 軽 武 装 論 は 同 時 期 に 追 放 解 除 され 政 界K復 帰 し た鳩 山 一 郎 や 岸 信 介 、 ま た 再 軍 備 の 主 張 を 志 向 し始 め た 国 民 民 主 党 と い っ た 戦 前 型 ナ シ ョナ リ ス ト達 へ の 牽 制 的 意 味 合 い を 持 っ た 、 吉 田 の 政 治 的 ア イ デ ン テ ィ テ ィ ー の 結 実 で あ っ た と も い え る。 彼 が 外 務 官 僚 出身 で あ っ た こ とが 彼 の 環 境 対 応 志 向 の 主 張 を 形 成 し た の で あ ろ うが 、 戦 前 型 ナ シ ョナ リス トK対 し自 分 の ワ ン マ ン政 治 を貫 く に は 彼 ら と 同 じ主 張 に あ っ て は い け な い わ け で 、 そ う い っ た 意 味 か ら 日米 同 盟 論 が 生 ま れ た と考 え る の も可 能 で は な い だ ろ うか 。 独 立 後 の 日本 の 行 方Kつ い て は 様 々 な 主 張 が 行 わ れ て い た の だ が 、 吉 田 が 他 と違 っ た の は 現 実 の 国 際 体 系 に お け る制 約 とい う もの を 強 く認 識 し、 次 善 の 策 と して の 外 交 政 策 を た て た と こ ろ に あ る とい え よ う。 3.4日 ソ国 交 回 復 講 和 一安 保 一再 軍 備 以 降 の 外 交 の 焦 点 は 国 内 的 に は 「反 吉 田 」 「ボ ス ト吉 田 」 へ と う つ る。 ま た 国 際 的Kは 朝 鮮 戦 争 休 戦 以 後 の 冷 戦 環 境 の 動 向 が 注 目 さ れ る と こ ろ で あ っ た 。 そ う い っ た流 れ の 中 で 「日 ソ 国 交 回 復 」 は 外 交 政 策 と して 上 っ て く る の で あ っ た 。 3.4.1国 際 環境 の 変化 3日 ソ国 交 回 復 が 実 現 に 至 っ た 国 際 環 境 の 背 景Kは 要 素 が 強 い。1953年 の3月 冷 戦 の 変 化 が あ る。 そ れ は ソ連 情 勢 の 変 化 に よ る に は ス タ ー リ ンが 死 去 し、 同 年7月 い る。 そ もそ も朝 鮮 戦{r}は1940年 に は朝 鮮 戦 争 の 休 戦 協 定 が 結 ば れ て 代 に お け る ス タ ー リ ン の 強 硬 外 交 の 帰 結 で あ っ た。 しか し、 当 時 の ソ迎 は 強 硬 策 を継 続 して い く だ け の 経 済 力 を有 して な か っ た た め に外 交 の 融 和 を図 ら ね ば な ら な か っ た。 ま た1956年 の20回 党 大 会 で は フ ル シチ ョ フ が ス タ ー リ ン批 判 を 行 った こ と は ス タ ー リン 死 後 の 外 交 が 彼 を否 定 す る形 で 展 開 され た こ と を証 明 す る もの で もあ る。 具 体 的 に は 、 西 ドイ ツ の 再 軍 備 を 阻 止 す るぺ く ドイ ツ との 平 和 条 約 締 結 の 呼 び か け を行 っ た り(実 際 に は西 ド・fツは1954年NATO へ 加 入 す る こ とで ソ迎 の 思 惑 は 実 現 に 至 ら な い が)、1955年 に は ジ ュネ ー ブ 東 西 首 脳 会 談 の 実 現 と い っ た形 で 実 施 さ れ る。 ま た 外 交 融 和 第 は ドイ ッや オ ー ス ト リア との 国 交 正 常 化 に よ っ て 戦 争 状 態 の 終 結 を は か っ た り、 同 年5月 の 国 連 軍 縮 小 委 員 会 で は 従 来 の 「包 括 的 軍 縮 」 の 意 見 を 改 め 「段 階 的 軍 縮 」 を提 案 、 さ ら に は ユ ー ゴ の チ トー 、 イ ン ドの ネ ール 、 エ ジ プ トの ナ セ ル な どの 第 三 主 義 勢 力 との 協 調 な 3こ の 節 の 参 考 文 献 は 【5】 【15】 妄 16 ど とい っ た 一 連 の 外 交 に お い て も見 られ る。 日本 との 国 交 正 常 化 へ の 試 み も ドイ ツや オ ー ス トラ リア と の 国 交 正 常 化 と同 一 文 脈 に あ っ た とい っ て よ い 。1954年10月 に は 「中 ソ両 国 政 府 の 対 日関 係 に 関 す る共 同宣 言 」 に よ り平 和 共 存 に よ る正 常 な 政 治 ・文 化 ・貿 易 関 係 が 復 活 す る こ と を伝 え て い る。 こ う した き っ か け が 冷 戦 の 変 化 と して う ま れ た の で あ る。 一 方 、 米 国 側 に も 日 ソ 国 交 回 復 止 む な し とす る情 勢 が あ っ た。 朝 鮮 戦 争 に 米 が 深 く介 入 した 結 果 、 中 共 との 対 立 を 引 き起 こ し台 湾 政 府 を 認 め る に 至 る状 況 に 追 い 込 ま れ た こ と は米 国 の ア ジ ア 戦 略 を 中共 の 存 在 抜 き に は 語 れ な い よ う に な っ て い た。 そ の 結 果 と して 米 国 は ア ジア で の コ ミ ッ トメ ン トに 慎 重 に な り、 フ ラ ン ス に代 わ っ て の ・fン ドシ ナ 戦 争 へ の 介 入 を 断 念 し1954年 戦 争 は 休 戦 と な る。 こ う し た 中 で 米 国 と して は 日米 安 保 体 制 の 枠 組 み の 中 で の 国 交 正 常 化 な ら ば 、 戦 争 状 態 が 継 続 中 の 現 在 よ り もま し で あ ろ う との 判 断 か ら容 認 す る こ と に な る。 日本 の 安 全 保 障 に一 種 独 自 の 努 力 を求 め た わ け で あ る。 日本 に と って 幸 い だ っ た の は 日 ソ 共 同 宣 言 案 に 軍 事 同 盟 条 項 が 盛 り込 ま れ な か っ た こ とで あ ろ う か。 日米 安 保 を盾 に 交 渉 に 望 ま れ た 場 合 サ ン フ ラ ン シ ス コ講 和 条 約 と同 様 の 事 態 を 招 くか ら で あ る。 結 果 と して 軍 事 同 盟 条 項 は 破 棄 さ れ 、交 渉 にお け る課 題 は 領 土 問 題 が 焦 点 とな る。 し か し歯 舞 ・色 丹 な どの 北 方 領 土 に つ い て は 日 ソ平 和 条 約 締 結 の 際 の 懸 案 とな るの だ が 、 これ は第 三 国 を 巡 る 日 ソ関 係 に常 に トレー ドオ フ と さ れ て お り交 渉 を 難 航 させ て い る。 例 え ば 安 保 改 訂 に つ い て の ソ迎 の 態 度 は 米 軍 の 撤 退 と平 和 条 約 締 結 と を リン ク させ る もの で あ っ た 。 全 面 講 和 は こ こ に お い て 成 立 を み る が 、 ソ連 の 姿 勢 に依 存 す る もの で あ っ た とい う点 で 脆 弱 な外 交 政 策 で は あ る。 3.4.2国 内 政 治 と鳩 山 外 交 4日 ソ国 交 回 復 の 国 内 政 治 に お け る意 義 は 「反 吉 田 」 に あ る だ ろ う。 吉 田 が ワ ンマ ンた りえ た理 山 と して は 米 国 ・GHQと の 良 好 な 関 係 が あ っ た とい え る が、 も う一 つ あ げ ら れ るの は 戦 前 の 有 力 な 政 治 家 達 が 公 職 追 放 の 立 場 に あ り、 強 力 な ラ イ バ ル が 存 在 し な か っ た こ とで あ る。 そ の 戦 犯 達 が 占 領 終 了 後 政 界 へ と次 々 復 帰 す る。 特 に鳩 山一 郎 の復 帰 は吉 田 に は脅威 で あ ったわ けで 、 その 後 の彼 の動 向が吉 田内 閣 の政 局 を不 安 定 化 す る。 そ う し た な か で 、 鳩 山 派 の 自 由 党 分 派 → 復 帰 、 改 進 党 の 結 成 、 分 派 組 の 日本 自 由 党 結 成 、 自 由 党 の 単 独 少 数 内1羽 とい っ た 形 で 保 守 陣 営 は 混 乱 を 極 め る。 疑 獄 の 中 で 起 き る保 守 合 同 論 に 対 して も 「合 同 」 は 「反 吉 田 」 の 名 の 元 に 実 行 さ れ る(→ 日本 民 主 党 の 結 成)。 吉 田 は 鳩 山 の 流 れ を食 い 止 め れ ず 辞 任 、 後 継 首 班 の 指 名 選 挙 に お い て は 吉 田 派 の緒 方 竹 虎 は相 対 多 数 の 第 一 党Kも 関 わ らず 、 鳩 山 に 敗 れ る。 民 主 党 が 左 右 社 会 党 に 選 挙 管 理 内 閣 の 約 束 を取 り付 け た 末 の指 名 で あ る。 し か し、 疑 問 な の は左 右 社 会 党 の 要 求 が 淡 泊 な こ とで あ る。 次 の 選 挙 で 社 会 党 が 保 守 勢 力 を 上 回 る だ け の 議 席 数 を 確 保 で き る 自 信 が あ っ た の だ ろ う か。 確 か に 同 じ野 党 で も民 主 党 と社 会 党 、 特 に左 派 と は 政 策 志 向 の 面 で 開 き が 大 きい た め 迎 立 内 關 の 可 能 性 は 難 し い わ け だ が 、 例 え 「反 吉 田 」 の 目標 の み で 一 致 し た とは い え左 右 社 会 党 は 当 時 の キ ャ ス テ ィ ン グ ・ポ ー トを 持 って い た 立 場 に あ る者 だ け に そ の 取 引 の 感 覚 の 甘 さ に驚 くば か りで あ る。 鳩 山 は か つ て 自 山 党 に復 党 す る 際 、 憲 法 調 査 会 並 び に外 交 調 査 会 の 設 置 を 要 求 した こ とか ら も判 る よ う に 吉 田 の 外 交 姿 勢 に は 反 発 を 持 つ もの で あ っ た。 彼 が 首 班K指 名 され るに あた って当 時 の吉 田外 交 へ の ア ン チ テ ー ゼ と な る課 題 が 三 つ 存 在 した とい え る。 一 つ に は 日米 安 保 の 片 務 性 で あ る。 基 地 駐 留 の 権 利 を 米 に与 え て お き な が ら米Kは 日本 を防 衛 す る義 務 が な い こ とで あ るが 、 バ ン デ ンバ ー グ 条 項 と憲 法9条 との 兼 ね 合 い が 難 し い状 況 の 中 こ の課 題 は鳩 山 内 閣 以 降 の課 題 と して 保 留 さ れ る。 二 つ 目 に は第 一 点 に 関 迎 す る事 項 と し て の 懇 法 改 正 で あ る。 戦 前 的 ナ シ ョナ リス ト と して は米 軍 依 存 の 安 全 保 陳 の 現 状 に対 す る不 満 が 大 き い わ けで 、 改 憲 を 行 う こ とで 再 軍 備 を容 易 に す る環 境 を つ く りた か っ た の で あ る。 4こ の 節 の 参 考 文 献 は 【9】 【lg][15] も 17 後h自 民 党 の 綱 領 に も 「改 憲 政 党 」 の 性 格 を盛 り込 む わ け だ が 、 野 党 勢 力 が 改 憲 動 議 を阻 止 す る だ け のr 力 は 有 して い た こ と に よ り、 ま た 引 き続 い て の 国 民 的 な 嫌 戦 ・護 憲 ム ー ドは改 憲 → 再 軍 備 の 強 化 を 外 交 戦 略 の 中 核 に推 す に は弱 い。 そ こで 、 第 三 点 と して の 日 ソ国 交 回 復 が 浮 上 す る。 サ ン フ ラ ン シ ス コ講 和 会 議 か ら の 問 題 点 と し て 、 現 状 が 全 面 講 和 で な か っ た こ と。 ま た 国 連 加 盟 は 日本 の 国 際 社 会 復 帰 へ の 重 要 な 足 が か りで あ る に も関 わ らず 、 ソ迎 との 国 交 が 正 常 化 に な か っ た こ とが 加 盟 へ の 障 害 と な っ た こ と。 中 ソ共 同 声 明 の 後 も受 けて い る だ け に 、 鳩 山 の 外 交 戦 略 の 一 つ と して 「向 米 一 辺 倒 」 か ら の 脱 却 、 中 ソ との 国 交 調 整 が 光 って く る わ け で あ る。1955年2月 の 選 挙 で は 革 新 陣 営 や 吉 田 自 由 党 か ら改 憲 の反 動 性 や ソ迎 接 近 の 危 険 性 を非 難 さ れ つ つ も、 「鳩 山 ブ ー ム」 の 勝 利 を治 め る。 よ っ て 彼 の テ ー マ が 日 ソ国 交 回 復 に絞 られ る わ けで あ る。 し か し、 領 土 問 題 を巡 る国 交 正 常 化 の 進 展 の 遅 さ は 自 由 党 の 民 主 党K対 す る突 き上 げ を食 ら う一 方 、 財 界 の 間 に保 守 合 同 を 再 び 論 じ させ る。 し か し政 局 の 安 定 化 が 合 同 の 目的 で あ る に せ よ、両 党 の 中枢(鳩 山vs吉 田)が そ れ を許 さ な い 状 況 に あ っ た わ け だ が 、 更 に保 守 陣 営 の 対 立 を許 さ な い 状 況 と して は 両 社 会 党 の 統 一 で あ る。 社 会 党 に して み れ ば 保 守 の 対 立 は 合 同 を許 さ な い 状 況 に あ る、 だ か ら革 新 政 権 の 奪 取 の た め に も統 一 が 必 要 だ とい う こ とで 動 い た に ち が い な い。 しか しそ れ が 保 守 合 同 を 加 速 す る。 彼 ら の 合 同 に あ た っ て の 一 番 の 問 題 は合 同 後 の 人 事 で あ っ た が 革 新 の 統 一 に直 面 して は 棚 上 げ せ ざ る を え ず1955年11月 自 由 民 主 党 を 結 成 す る こ と に な る。 保 守 合 同 な ら び に 社 党 統 一 は 双 方 そ れ ぞ れ 内 部 に 矛 盾 を抱 え た 上 で の 合 同 で あ っ た 。 合 同 後 の 鳩 山 に は 正 常 化 交 渉 に当 た っ て の 党 内 反 主 流 派 か ら の 厳 しい 制 約 が 課 せ ら れ 、 そ れ が 交 渉 の 進 贋 を ま す ま す 困 難 な もの に して い く。 そ れ は 反 主 流 派 に よ る鳩 山 お ろ し と もい え る動 きで あ っ た。 政 局 を不 安 定 化 す る 日 ソ国 交 正 常 化 交 渉 に は 早 期 妥 結 論 と交 渉 打 ち切 り論 が 相 半 ば す るが 、 そ の 延 長 線 上 に あ る の は 混 乱 の 収 拾 を鳩 山 退 陣 に求 め る こ とで あ っ た。 鳩 山 は 国 交 正 常 化 の 成 功 を政 治 生 命 に賭 け て 挑 ま ざ るを えず 、 直 接 ソ連 に乗 り込 ん で 共 同 宣 言 調 印 に ま で こ ぎ つ け る。 外 交 が 彼 自 身 の 引 退 の 花 道 と して 用 意 され た わ けで あ る。 宣 言 批 准 に お い て は 「宣 言 は党 議 違 反 だ 」 とい う こ とで 反 主 流 派 が 欠 席 す る に至 り、 結 果 的 に社 会 党 の 賛 成 に よ って 宣 言 は 批 准 され る。 超 党 派 外 交 は 与 党 の 対 立 、 野 党 の 協 力 とい う屈 折 し た形 で 現 れ る。 与 党 の 対 立 は外 交 政 策 を 党 内 人 事 の 交 換 材 料 に 使 う事 態 を もた ら した 。 ま ず 、 政 権 あ り き。 そ して 人 事 あ りき。 最 後 に政 策 あ りき で あ ろ う か 。 保 守 合 同 は 革 新 勢 力 に対 す る対 抗 措 置 と して は余 りに も大 き す ぎ る もの で あ っ た 。 彼 ら は 政 権 の 党 内 た ら い 廻 し を 可 能 に す る一 方 、 政 策 の 相 違 を 議 会 政 治 に 反 映 で き な い 一 腫 の ナ ッ シz解 に至 っ て し ま っ た とい え る。 と も に 政 権 か ら離 れ た く な い ゆ え に 現 在 の状 況 か ら そ れ ぞ れ 移 行 で き な い の で あ る。 そ れ は 社 会 党 に つ い て も 同 標 で 政 権 奪 取 へ の 焦 りが 妥 協 の 統 一 を うみ だ し た もの で あ り、 分 裂 の 原 因 で あ る 社 会 主 義 運 動 の 方 向 性 につ い て は 相 変 わ らず 意 見 の 分 裂 が み ら れ た 。 ゆ え に 政 権 奪 取 後 の 未 来 像 が 見 え て こ な い の で あ る。 ま た 鳩 山 の 、 日 ソ国 交 正 常 化 に 「反 吉 田 」 戦 略 を求 め た 外 交 姿 勢 は 社 会 党K反 論の 余 地 を 無 くす もの で あ り、 与 党 の 対 立 概 念 を あ げ て こ そ勢 力伸 張 す る 野 党 と して は 鳩 山 に 骨 抜 き に され た格 好 とい え る。 さ ら に は 保 守 合 同 の 事 態 が 妥 協 の 成 果(左 右 統 一)を 台 無 し にす るの で あ る。 根 本 で の 政 策 合 意 な き 政 党 再 編 が 国 内 政 治 に お け る秩 序 と混 沌 を表 裏 一 対 に し た と い え る。 対 内 的 に は 与 党 内 対 立 に よ り、 ま た 対 外 的 に は ソ迎 の 融 和 姿 勢 に よ り実 現 した 日 ソ国 交 正 常 化 の 、 成 立 の 環 境 依 存 性 が わ か っ て も ら え た と思 う。 3.5安 保 改 定 5占 領 行 政 の 転 換 、 講 和 条 約 の締 結 、 そ して 日 ソ国 交 回 復 、 こ れ ら三 つ の ケ ー ス は 国 際 環 境 が 国 内 環 境 を 規 定 ・束 縛 した 形 で 対 外 政 策 を 規 定 して い っ た 。 し か し、 これ か ら述 ぺ る 「安 保 改 定 」 の ケ ー ス は 5こ の 節 の 参 考 文 献 は 【14】 【151【16】 【11】 18 結 果 的 に 国 内 環 境 の 混 乱 が 国 際 環 境(こ こで は 米 国)の 戦 略 を 転 換 させ る と い うパ タ ー ン を とっ た もの だ とい え る。 ま た そ れ は 日本 の 戦 後 対 外 政 策 ・国 内 政 策 が 再 び タ ー ニ ン グ ・ポ イ ン トを 迎 え る き っ か け と な っ た。 3.5.1岸 内閣 の課 題 鳩 山 ・石 橋 の 後 を 受 け1957年2月 (1)国 連 中 心 主 義(2)自 に 首 相 とな っ た 岸 信 介 は9月 由 主 義 諸 国 との 協 調(3)ア に は 外 交 三 原 則 を 表 明 して い る。 ジ ア の 一 員 と し て の 立 場 の 堅 持 、 とhう で あ る。 彼 は 三 原 則 に ど れ だ け忠 実 で あ っ た ろ う か。 確 か に(1)に つ い て は57年10月 もの に は国 連 安 保 理 事 国 に 初 当 選 し て い る。 ま た 国 連 で は な い が 国 際 原 子 力 機 関 の 原 加 盟 国 で も あ る が 、 岸 内 閣 時 代 に お い て は 国 連 の 大 義 名 分 の も とで(2)の 原 則 、 特 に 日米 関 係 の 強 化 を は か って い た とい う意 味 で 国 連 と関 わ っ て い る とい え よ う。 国 際 機 構 を 利 用 した 外 交 は 池 田 ・佐 藤 内 閣 か ら む し ろ顕 著 に な る もの で あ る。(注 目す ぺ き は1957年8月 の 国 連 安 保 理 緊 急 総 会 にお い て 中 東 動 乱 に 討 議 に つ い て 英 米 案 に反 対 し、 ア ラ ブ の 自主 性 を 表 明 して い る こ とで あ る。 二 転 三 転 の 意 見 表 明 だ け に怪 し さ は 拭 い き れ な い が 国 連 で の 意 見 の 表 明 を 重 視 して い る と い う点 で は 国 連 中心 主 義 を 全 く尊 重 して な い わ け で は な い よ う だ。) (3)に つ い て は イ ン ドネ シ ア との 戦 時 賠 償 外 交 の 交 渉 成 立 や 東 南 ア ジ ア6力 国 訪 問 、 台 湾 訪 問 な どで 活 発 な動 き を 見 せ て は い る もの の 、 実 際 の と こ ろ は 反 共 ア ジア の 盟 主 と して の 立 場 を強 調 し た 外 交 で あ り(2)の 原 則 の 下 に(3)の 原 則 が あ る。 実 際 ア ジ ア 開 発 基 金 の 構 想 は た ち き え、 ま た 非 公 式 な が ら も継 続 して い た 大 陸 中 国 との 経 済 外 交 の チ ャ ンネ ル も前 述 の 台 湾 訪 問 や 長 崎 国 旗 事 件 に よ り一 時 的 な 断 絶 を 生 む と い っ た ミス も犯 して い る。 実 際 に は 岸 に と って の 外 交 課 題 は鳩 山 が や りの こ し た 安 保 改 定 、 ま た そ れ に 伴 う 自衛 力 ・再 軍 備 の 強 化 で あ っ た とい え る。 日 ソ国 交 正 常 化 交 渉 に つ い て の 米 国 に対 す る 説 明 の 為 、 当 時 幹 事 長 と して 重 光 外 相 と渡 米 し た岸 は 日米 安 保 の 対 等 化 を 要 望 し ダ レ ス に 拒 否 され て い る と い う過 去 を持 っ て い る だ け に 安 保 改 定 は 懸 案 で あ っ た 。 ま た 前 任 者 の 石 橋 が 親 中 論 者 で あ っ た だ け に彼 と して は 日米 関 係 の 強 化 を 前 面 に 押 し出 す 必 要 が あ っ た とい え る。 外 交 三 原 則 は(2)の 足 と して(1)(3)が 3.5.2世 つ い て い る とい っ た と こ ろで あ ろ う。 界 的 な事 情 この 時 期 、 世 界 的 に は ソ迎 がICBM実 各 々成 功 、 ま た キ ュ ー バ 革 命(1959・2)Kよ 立(1959・9)と 原 則 の補 験(1957・8)人 工 衛 星 打 ち上 げ(1957・10)に り米 ソバ ラ ン ス に再 び 揺 ら ぎ が き た 。 一 方 で 中 ソ対 い っ た 冷 戦 の 新 動 向 も現 れ る。 安 保 改 定 が これ ら の 国 際 環 境 に どれ だ け リ ン ク して い る か ど う か は断 言 しが た い 。 今 回 の 改 定 は 日本 の一 方 的 な 要 望 か ら起 き た もの だ が 、 この 時 期 の ソ連 の 攻 勢 に対 し米 国 が 何 ら か の 勢 力 均 衡 策 を考 え な い は ず もな い の で 、 経 済 力 を 次 第 に 着 け 始 め て い る 日 本 と安 保 改 定 に よ り関 係 強 化 す る こ と は 戦 略 上 不 利 な も の で は な か っ た と い え る。 た だ、 米 国 内 で は安 保 改 定 に対 し推 進 派 と消 極 派 と意 見 が 二 分 され て い た の も事 実 で あ る。 消 極 派 の 理 由 と し て は、 対 等 な 安 保 に 改 定 す る に 当 た って 日本 側 に米 国 の 領 土 防 衛 義 務 を 果 た す 用 意 が な い こ と(こ れ は 用 意 が で き な い こ と とい うぺ きで あ ろ う。9条 に よ る制 約 、 再 軍 備 を容 易 に す る経 済 力 の 不 備 、 野 党 の 存 在 、 派 閥 対 立 を 抱 え た 自民 党 内 部 、 基 地 闘 争 に 見 られ る国 民 の 反 米 感 情 は 安 保 改 訂 を 日本 は 可 能 に す る の か とい っ た 疑 問 を 米 に 抱 か せ る)、 防 衛 力 の 増 額 が な さ れ て な い こ と、 岸 の 東 南 ア ジア 外 交 に 対 す る不 信(東 ア ジ ア の ナ シ ョナ リズ ム を 焚 き つ け る、 「中 立 」 へ の 傾 斜 で は な い か?)、 南 米 議 会 に お け るバ ンデ ンパ ー グ 決 議 の 存 在 と い っ た理 由 が 挙 げ ら れ た 。 結 局 は マ ッ カ ー サ ー 駐 日大 使 の 尽 力 も あ り片 務 安 保 の改 定 に よ る 日本 の 自主 性 の 確 保 を 認 め る べ く米 も交 渉 へ と乗 り出 す 。 19 3.5.3反 安 保 の米 国 に与 えた影響 か く して 調 印 は1960年1月19日 米 で 結 ば れ 、 両 国 の 批 准 書 交 換 は6月 に ア イ ゼ ンハ ワ ー の 訪 日 に よ り実 現 す る はず で あ っ た わ け だ が 、 後 述 す る反 安 保 闘 争 の 高 ま りは ハ ガ チ ー 事 件 な ど の 混 乱 を生 み 、 彼 を 肪 日断 念 ・中 止 へ と追 い 込 む 。 岸 と密 接 な 関 係 に あ っ た と い わ れ る マ ッ カ ー サ ー 駐 日大 使 は岸 は 安 保 改 定 に際 して の 国 内 政 治 の 混 乱 を収 拾 で き る と楽 観 的 な 観 測 を た て て い た。 し か し岸 内 閣 が 「ア イ ク 」 来 日中 の 警 備 に 自 信 が 持 て な い ゆ え に 来 日延 期(中 止)を 申 し入 れ た こ と か ら の 事 態 で あ る。 反 安 保 闘 争 の 高 ま りが ア イ クの 訪 日中 止 、 岸 内 閣 の 退 陣 ま で もた ら した こ とは 米 国 の 対 日政 策 の 方 向 転 換 を 考 慮 させ は じ め る。 米 国 は 反 安 保 闘 争 を 如 何 に と ら え た か 。 1960年6月 のNSC文 の 緊 密 な 協 調 ・同 盟(2)自 書 で は 日本 の 今 後 の 対 外 政 策 の 可 能 性 と して 、(1)自 山 世界 と共 産 圏 と を天 秤 に か け た 機 会 主 義(3)中 済 的 和 解 を あ げ て い る。 安 保 改 訂 は(1)を 由 世 界 ・特 に 米 と ソ ブ ロ ッ ク との 政 治 経 目的 と した も ので あ っ た が 、 今 後 も(1)の 方 向性 を維持 させ る に は 集 団 安 全 保 障 体 制 へ の 本 格 加 入 へ の 強 要 よ り も、 経 済 的 な 利 益 の 保 障 を 中 心 とす る こ とが 必 要 で あ る、 と彼 ら は 認 識 した よ うで あ る。 ま た マ ッ カ ー サ ー 駐 日大 使 は6月 の 国 務 省 宛 へ の 打 電 で 「反 安 保 闘 争 が 本 格 的 に反 米 闘 争 へ と移 行 し て い な い の は 経 済 面 で の 協 力 、 特 に貿 易 で の 米 国 市 場 開 放 に よ り 日米 関 係 が 緊 密 化 して い る か らで あ る。」 との 見 解 を 述 べ て い る。 マ ッ カ ー サ ー は 国 内 政 争 ・民 主 主 義 の 未 熟 さ の 帰 結 と して 反 安 保 闘 争 を と ら え た 。(し か し面 白 い こ とに は 、 元hVッ 定 交 渉 を 推 進 し た 根 拠 は 自民 党 が1958年 の 選 挙 に お い て287議 カー サ ーが 安保 改 席 を と っ た勝 利 を 「岸 政 権 の 基 盤 が 強 固 で あ る 」 と評 価 し た か らで あ る。 政 権 が 強 固 で あ る こ とは民 主 主 義 を脆 弱 に して い く とい う風 に マ ッ カ ー サ ー は 安 保 騒 動 を 機 に 学 習 し た の だ ろ う か。) ま た 、 日本 の 政 治 勢 力 の 中 に 反 米 感 情 が 全 く なNと は 限 ら な い と と ら え る もの も い た。 そ れ は反 米 感 情 ・国 際 共 産 主 義 云 々 と い う よ り も東 西 対 立 の 中 で ど ち ら か ら も巻 き込 ま れ た くな い とい う 「中 立 主 義 」 「新 しい ナ シ ョナ リズ ム 」 と して 現 れ て い る と い うの で あ る。 この よ うな主 張 の 根 拠 と して は 旧 安 保 の 制 定 に 当 た って は 吉 田 首 相 か ら 左 翼 陣 営 まで 米 軍 へ の コ ミ ッ トメ ン トを極 小 に し た い 、 増 加 した く な い と い う 点 で 一 致 して い た 事 実 に あ る と彼 ら は 見 て い た。 ま た 全 面 講 和 論 を 唱 えて い た 人 々 の 認 識 は 共 産 圏 に 組 み す と い う よ りは 、 日本 が 片 面 講 和 に よ り対 外 紛 争 に巻 き込 ま れ るの で は ・ ・ とい っ た 懸 念 か ら 起 き た も の で あ る ζ とを 米 国 は 旧 安 保 当 時 は 認 識 し き れ な か っ た とい うの で あ る。6日 本 国 民 の 、 対 外 的 な コ ミ ッ トメ ン トに 対 す る意 識 の 不 在 を 無 視 し た岸 が 安 保 改 定 に よ っ て 刺 激 し た か ら こそ 反 安 保 闘 争 を呼 び 起 こ し た の で あ る と い う結 論 に 彼 ら は 達 して い る。 自 山 主 義 陣 営 との 協 調 が 、 紛 争 に対 す る 「中 立 主 義 」 を 抱 え る 日本 に と って は対 外 的 な コ ミ ッ トメ ン トの 深 化 に よ っ て は もは や 実 現 し に くい と 認 識 す る に 至 っ た 米 側 と して は 新 安 保 条 約 の 意 義 を集 団 安 全 保 障 と して の そ れ か ら第 二 条(経 済 条 項)中 心 へ と再 検 討 す る 方 向 を 強 め た の で あ る。 こ の 意 向 は1960年 秋 の 大 統 領 選 で 当 選 した ケ ネ デ ィ も検 討 を 継 続 す る もの で あ っ た。 反 安 保 闘 争 を 巡 る分 析 過 程 に お い て よ うや く米 が 占 領 政 策 転 換 後 の 日本 国 民 の 冷 戦 環 境 へ の 当 惑 を 感 じ と っ た と もい え るで あ ろ う。 3.5.4安 保 改 定 を巡 る 国 内 政 治 戦 略 の 相 違 安 保 改 定 に臨 む 国 内 政 治 の 諸 勢 力 の 思 惑 は そ れ ぞ れ 異 な る もの で あ っ た と い え る。 そ れ は 大 き く岸 と池 田 と野 党 との 三 分 化 され る もの だ。 岸 自身 と して は最 初 に 述 ぺ た 通 り、 安 保 改 定 は 自分 の 政 治 生 命 を 賭 け た(?)主 要外 交 命題 で あ った に 違 い な い 。 対 等 な 日米 関 係 を 築 く こ とに よ って 彼 の ブ レ ス テ ー ジ は高 め ら れ る も の だ と彼 は 信 じて い た わ け で 、 ま た 実 際 新 安 保 自 身 は 旧 安 保 よ り も 内容 が 改 善 され て い る わ けで 評 価 され る ぺ き もの で あ っ sPackard3rd ,GeorgeR,ProtestinTokyo(PrincetonUnivercityPress1966)ChapterIO 20 た。 し か し、彼 は そ の 新 安 保 成 立 の 過 程 で 後 の 彼 の 評価 を 落 と しめ る政 治 的 失 敗 を 犯 す 。 岸 に は 強 行 採 決 も止 む な し とす る意 識 が あ っ た に 違 い な い。 確 か に 新 安 保 が 正 常 な議 会 運 営 の 元 に 実 施 され る と は思 っ て もい な い で あ ろ う。58年11月 に は 警 職 法 改 正 を大 衆 運 動 の 高 ま り と社 会 党 の 登 院 拒 否 に よ って 成 立 断 念 に 追 い 込 ま れ て い る。 ま た59年3月 に は 米 軍 駐 留 に関 す る伊 達 判 決 もあ り、 安 保 改 定 阻 止 国 民 会 議 も創 立 さ れ て い る。 党 内 的 に も彼 は 足 を 引 っ 張 ら れ て い た。 警 職 法 改 正 を 強 行 し な か っ た こ とは 反 主 流 派 か ら の 反 発 を く ら い、 日米 安 保 交 渉 を 半 年 も 中断 に い た ら せ る。 そ の 間 、 岸 は与 党 工 作 を 謀 ら ね ば な ら な か っ た。 交 渉 条 件 に つ い て は 反 主 流 派 は 成 立 が 困 難 で あ る よ う な 制 約 を 課 して く る。 新 条 約 の 適 用 地 域 の 沖 縄 ・小 笠 原 も入 れ る こ と を 要 求 す る が、 憲 法 九 条 と の 兼 ね 合 い も あ り岸 に は 無 理 な 相 談 で あ る。 この 構 図 は鳩 山 が 領 土 問 題 で 苦 し め ら れ た の と同 じで あ る。 しか し一 時 は 交 渉 中 断 に ま で 至 っ た 日米 安 保 交 渉 が59年5月 に は 藤 山 外 相 の 力 も あ り、 大 筋 で 合 意 を み て い る か ら に は 宿 願 の 安 保 改 定 を 退 く訳 に は い か な い。 ま た 、59年6月 の 参 議 院 選 挙 で も勝 利 を 収 め た こ と は 改 定 に 弾 み を つ け る もの で あ っ た と い え る。 し か し、 彼 は 解 散 ・総 選 挙 で 国 民 に 信 を 問 う こ と は で き な か っ た の は 前 述 の よ うな 背 景 が あ る か らで あ る。 党 内 調 整 の 済 ん だ は ず の 与 党 内 部 で は 批 准 を め ぐ る議 会 運 営 が 異 常 事 態 と な る と と も に 強 行 採 決 → 議 会 混 乱 の 責 任 → 岸 内 閣 の 退 陣 、 の シ ナ リ オ を反 主 流 派 は描 き 出 す 。 対 外 政 策 に お け る政 敵 の ハ ー ドな 選 択 は 自 らの 次 期 政 権 へ の チ ャ ンス で あ る、 とNう の が 彼 ら の 思 惑 な の で あ る。 賛 成 は し な い が 、 分 裂 も し な い 。 強 行 採 決 の 国 会 に は 反 主 流 派 は 欠 席 した 。 しか し彼 ら が 待 つ の は 次 期 首 班 指 名 で あ っ た 。 岸 は ア イ ゼ ンハ ワ ー の 来 日 に よっ て 全 て を な し くず しKで き る と思 っ て もい た の だ ろ う。 しか し、 米 大 統 領 の 権 威 を も っ て して も強 行 採 決 に対 す る国 民 の 怒 りは 治 ま ら な か っ た 。 自然 承 認 に 至 る ま で 様 々 な 混 乱 が 起 き た 。 彼 は ア イ ク訪 日 中 止 の 決 定 時 に 退 陣 を決 意 した とい う。 岸 も ま た 「日 ソ国 交 回 復 」 の 鳩 山 同 様 政 局 混 乱 の 中 、 対 外 政 策 の 成 功 と政 権 とを トレ ー ドオ フ に し た首 相 で あ る。 た だ 鳩 山 との 違 い は 鳩 山 は 与 党 内 部 に の み 敵 を つ く る政 策 を 最 後 に 持 っ て き た の に 対 し、 岸 は野 党 ・国 民 ま で を も敵 に す る政 策 を 選 ん だ こ とで あ る。 一 方 、 次 期 宰 相 の 池 田 隼 人 は 岸 の 残 し た新 安 保 に 「た だ の り」 し た とい え る。 新 安 保 の 画 期 的 な 箇 所 は 経 済 条 項 で あ っ た。 この 条 項 を盛 り込 む こ とに 尽 力 し た の は 自民 党 外 交 調 査 局 長 の 鹿 島 守 之 介 で あ っ た 。 彼 は 当 時 日米 間 の 懸 案 で あ っ た繊 維 貿 易 摩 擦 の 解 消 の た め に も 日米 経 済 関 係 の 円 滑 化 を は か る必 要 が あ る と認 識 し、 ま た 耶 事 同 盟 よ り も経 済 関 係 碁 盤 の 強 化 の 方 に 口米 同 盟 の 意 義 が あ る と考 え て い た。 ア イ ゼ ンハ ワ ー 政 権 も綿 製 品 が 主 要 輸 出 品 目 の 日本 に繊 維 の 輸 出 自主 規 制 を課 して い る こ と は 自 山 貿 易 の 発 展 の た め に も、 日米 関 係 の 強 化 の た め に も好 ま し くな い 傾 向 だ と い う見 解 を もっ て い た こ と か ら経 済 条 項 が 加 え ら れ る に至 る。 当 初 池 田 は 安 保 改 定 に は消 極 的 な 立 場 を と って い た 。 警 職 法 改 正 の 際 の 野 党 の 反 岸 ム ー ドが 強 い こ とか ら 、 次 期 政 権 へ の 道 を反 主 流 派 と して 求 め て い た か らで あ る。 しか し次 期 政 権 を 狙 う彼 は 安 保 支 持 派 に 回 る。 そ れ は 安 保 の経 済 条 項 に 目 を つ け た か らで あ っ た。 日米 関 係 の 基 軸 を 経 済 に 求 め た 鹿 島 の 案 に 同 調 し た わ けで あ る。 こ の 時 期 岸 は、 後 の 所 得 倍 増 計 画 の 原 案 と な る 「月 給 二 倍 論 」 を 当 時 提 唱 して い た 池 田 を 通 産 相 に 任 命 す る。 池 田 に対 抗 して 長 期 的 な 所 得 倍 増 計 画 を た て て い た岸 は 池 田 に 積 極 的 な 経 済 政 策 を 任 せ る こ とで 政 治 的 安 定 を 図 る一 方 、 池 田 は 経 済 政 策 を 自流 に立 て て い き な が ら次 期 首 相 と して の 政 策 基 盤 を か た め て い く野 望 を 秘 め て い た。 そ ん な 池 田 が 直 面 し た問 題 と して は 「貿 易 の 自 山 化 」で あ っ た 。1959年12月 に は 原 綿 と羊 毛 の 輸 入 自 由 化 に つ い て の 決 定 を 行 っ て い る。 池 田 と し て は 軍 事 面 で の 貢 献 が 期 待 で き な い 分 を 貿 易 ・資 本 の 自 由 化 へ の 努 力 に よ っ て 補 う こ とK日 本 の 自 山 主 義 へ の 貢 献 を 見 る もの で あ る と考 え、 ま た 自 山 化 が 経 済 成 長 を 促 進 す る手 段 とみ な す こ とで 所 得 倍 増 計 画 と貿 易 自 山 化 の 両 立 を 目指 す は らで あ っ た。 池 田 に い わ せ る と所 得 倍 増 計 画 は積 極 財 政 に よ る国 内 経 済 の 拡 大 と輸 出 振 興 に よ る国 際 収 支 の 拡 大 の 両 立 で 達 成 さ れ る もの で 、 そ の た め に は米 国 市 場 の 開 放 に よ り通 商 利 益 が 確 保 され る必 要 が あ っ た。 そ こで 新 \ 21 安 保 の 経 済 条 項 が 出 て く るの で あ る。 日本 自身 は 政 治 ・経 済 ・安 全 保 障 の 面 で 米 国 の 恩 恵 を受 け、 そ の 恩 恵 で 所 得 を拡 大 し た 結 果 を 貿 易 の 自 由 化 に よ りア ジ ア 太 平 洋 に お け る経 済 セ ン タ ー と して の 役 割 を 果 た す こ とで 自 らの 安 全 保 障 の 義 務 を ま っ と うす る とい うの が 池 田 外 交 の 戦 略 で あ っ た。 彼 は 岸 が ハ イ ポ リ テ ィ ク ス の 目 的 で 国 内 の 反 発 の 中 で 改 定 し た 新 安 保 の 下 で ロー ポ リテ ィ ク ス に よ る 安 全 保 障 と国 内 経 済 成 長 策 を両 立 させ る利 得 を 勝 ち得 た の で あ る。 冷 戦 外 交 も{吏い よ う と い う話 しで あ る。 さ て 最 後 に 野 党 に つ い て 少 し触 れ て お き た い。 国 民 的 な 規 模 で 教 員 勤 務 評 定 闘 争 → 警 職 法 改 正 → 安 保 改 定 と岸 内 閣 の 「反 動 的 」 政 策 へ の 反 対 運 動 ・対 抗 運 動 が 広 が ってNっ 11月 た に も関 わ らず 、1960年 の総 選 挙 に お い て 革 新 勢 力 が 政 権 奪 取 で き な か っ た の は 何 故 か。 当 時 の 野 党 は 社 会 ・共 産 ・民 社 三 党 で あ っ た わ け だ が 多 党 化 時 代 と異 な り野 党 迎 合 に よ る対 抗 さ え 図 れ な い 程 度 しか 議 席 が 取 れ て い な い の で あ る。 安 保 改 定 阻 止 の 国 民 会 議 運 動 は 選 挙 直 前 の10月 ま で 行 わ れ て い た し、 浅 沼 社 会 党 委 員 長 の テ ロ刺 殺 と い っ た ア ク シ デ ン トが あ っ た と い うの に で あ る。 あ れ だ け 国 民 が 岸 内 閣 の 強 行 採 決 に お け る横 暴 を 許 さ な か っ た とい うの に そ の 灯 を 消 し た 野 党 は 責 任 重 大 で あ る とい え る。 社 会 党 は 伊 達 判 決 や 安 保 国 民 会 議 の 創 設 を バ ッ ク に 追 い 風 な は ず の1959年 の 参議 院 選 にお いて も保 守 陣 営 の 牙 城 を 脅 か す に は至 っ て な い 。 そ の 直 後 に お い て ま た もや 国 民 政 党 か 階 級 政 党 か の 党 内 論 争 を起 こ し、 そ の 結 果 西 尾 一 派 を離 脱 させ る 羽 目 に な る。55年 た の か 。 そ の 西 尾 一 派 が 率 い る民 主 社 会 党 も60年 当 時 に 統 一 した 際 の 初 心 は 何 処 へ い っ の 選 挙 で 結 果 を 問 え ぱ23議 席 減 で あ る。 中 道 政 党 と して の 活 路 を 求 め よ う と し た が 元 々 の 勢 力 基 盤 が 「一 か 二 分 の 一 体 制 」 な の だ か ら保 守 勢 力 が 強 行 に 出 よ う とす れ ば 野 党 第 二 党 が 何 や っ た と こ ろ で キ ャ ス テ ィ ン グ ポ ー トの 座 に も付 け な い に も関 わ ら ず 、 与 野 党 党 首 会 談 の 仲 介 に 山 る な ど と い っ た ヤ ワ な 政 治 姿 勢 を 見 せ た こ と、 ま た 安 保 改 定 阻 止 国 民 会 議 に 共 産 党 が オ ブ ザ ー バ ー に い る と ス グ に拒 否 反 応 を起 こす この 党 は あ る意 味 で は 社 会 党 左 派 以 上 に イ デ オ ロギ ー の 呪 縛 に 架 か っ た 非 現 実 主 義 政 党 で あ る。 共 産 党 は 急 進 下 部 組 織 の 全 学 迎 に運 動 の 足 元 を す く わ れ る。 革 命 の 運 動 路 線 につ い て の 対 立 が 全 学 迎 の 反 安 保 闘 争 で の 単 独 暴 走 を 引 き起 こ した わ けで 、 共 産 党 と全 学 部 主 流 派 が 対 立 して い よ う と も一 般 国 民 は一 体 だ と認 知 して い た の だ ろ う。 今 ま で の 地 下 闘 印 路 線 の つ け が 回 っ た こ と は確 か で あ る。 これ ら野 党 の 敗 北 の 理 由 は反 安 保 闘 争 を必 要 以 上 に 反 米 の 枠 組 で と ら え 米 が 指 摘 し た 「新 し い ナ シ ョ ナ リ ズ ム 」 「中 立 主 義 」 に 近 い迎 動 が で き な か っ た こ と、 党 内 の運 動 方 針 に ば か り捕 ら わ れ 「野 党 政 策 辿 合 」 の 大 同 小 異 を 実 行 で き な か っ た こ とが 野 党 陣 鴬 が 国 民 運 動 を 指 導 す る立 場 に つ け な か っ た 理 山 で あ り、 ま た 自然 承 認 か ら4、5ヶ 月 が 過 ぎ た と は 言 え 自民 党 に勝 て な か っ た の は 、 自民 党 の 路 線 転 換 へ の 対 応 の ま ず さで あ る。 社 会 主 義 の 原 義 に 捕 ら わ れ る余 り池 田 の 経 済 政 策 に 対 応 す る よ うな 思 い 切 っ た 経 済 政 策 を 争 点 と して 示 せ な か っ た こ と な ど は 改 憲 再 軍 備 路 線 を 棚 上 げ した 自 民 党 の 柔 軟 性 と比 ぺ る と、 何 が 現 在 に お い て 重 要 な の か の プ ラ イ オ リテ ィ ー に欠 け て い る。 保 守 の派 閥主 義 に も野党 の議 会 内伸長 を許 さな い構造 的 責任 があ るの だが あれ だ けの 国民 の気 持 ち を汲 み 取 れ な か っ た 当 時 の 野 党 は一 体 何 だ っ た の か 国 内 政 治 戦 略 と して の 安 保 を も っ と も軽 視 し て い た 集 団 で あ る とい え る。 3.6日 中国交回復 7外 交 関 係 は必 然 的 に 起 こ り得 る束 ア ジ ア の 近 隣 諸 国 で あ る に も関 わ ら ず 日本 が 二 つ の 中 国 の 選 択 を 迫 ら れ るの は 冷 戦 の 所 産 で あ ろ うか 。 日本 の 立 場 な ら両 立 す る関 係 は 成 り立 た な い の か 。 も し国 民 政 府 も社 会 主 義 で あ っ た な ら ば 大 陸 と台 湾 とのalternativeは 回 避 で き た の か 。 国 共 内 戦 は冷 戦 と同 一 文 脈 で 捉 え るぺ き な の か 。 こ う い っ た 疑 問 も起 こ るの だ が 、 体 制 の 相 違 と状 況 推 移 依 存 の 環 境 選 択 とい う点 で 本 論 文 の 主 旨 に 沿 う と い え よ う。 7こ の 節 の 参 考 文 献 は 【15】 【g】 【5】 【18】 22 3.6.1講 和 後迫 られ た選 択 対 中 外 交 を 巡 る 日本 の 姿 勢 が 常 に 後 手 後 手 を歩 ん で い た こ と は 否 め な い。 ま ず 日本 は 敗 戦 国 と して の 立 場 が あ る た め 戦 後 処 理 外 交 と して の 対 中 関 係 が 要 求 さ れ る もの で あ っ た わ け だ が 、 こ れ は 国 共 内 戦 と し て の帰 結 と して 二 つ の 政 府 が 正 当 を 主 張 した た め 、 国 際 的 に は 正 当 性 の 選 択 を 要 求 され る。 そ れ に 加 えて の 朝 鮮 戦 争 に よ る中 共 の 介 入 、 米 軍 との 激 突 は 対 日講 和 条 約 の 議 題 に つ い て 「中 国 の 正 当 性 の選 択 」 と 「冷 戦 文 脈 」 とを 米 国 に 同 時 に リ ン ク させ 持 ち込 ま す もの で あ っ た 。 講 和 会 議 に お け る中 国 代 表 権 に つNて の 英 米 の 対 立 は英 米 問 の そ の 後 の 交 渉 に よ り、 日本 は 講 和 条 約 発 効 後 自 ら が 選 択 す る政 府 と の 問 で 別 個 の 平 和 条 約 が 結 ぺ る とす る 日本 に選 択 の 余 地 を ま だ残 して い た。 し か し ダ レ ス は1951年 の 来 日 の 際 、 吉 田 首 相 に 平 和 条 約 締 結 を盾 に 台 湾 を 選 択 す る よ う脅 迫 外 交 を迫 る の で あ る。 国 土 的 非 対 称 を 考 え る と大 陸 と の 国 交 断 絶 は 日本 に と って 納 得 の 行 か ぬ も の で あ っ た は ず だ が 、 吉 田 は 平 和 条 約 の 締 結 ・独 立 を上 位 選 択 に 置 い た の で あ る。 そ の 結 果 、 日本 は 台 湾 と 日華 平 和 条 約 を結 ぶ こ とに な る。 こ の 平 和 条 約 の 特 徴 と し て は 大 陸 との 非 公 式 外 交 の 余 地 を裁 量 で 認 め る文 面 に し た こ と、 ま た 中 華 民 国 の 対 日賠 償 請 求 権 の 放 棄 が 明 示 され た こ とで あ る。 こ う し た経 緯 の 中 で 大 陸 とは 政 経 分 離 の 原 則 の も とで の 外 交 が 行 わ れ る わ けで 、 日本 は 外 交 の 妥 協 ラ イ ン を死 守 し た と い え る。 そ う し た 民 問 や 議 員 個 人 が 中 心 とな る非 公 式 チ ャ ンネ ル の 外 交 は 貿 易 中 心 で あ り1953年 間 貿 易 協 定 が 、1962年11月 に はLT貿 易 、 そ れ と並 行 して 友 好 貿 易 と い っ た 形 で 実 施 され195 6年 以 降 の 大 陸 貿 易 は 台 湾 の そ れ を 早 く も上 回 る も ので あ っ た。1952年 ドル57年 に28億 に は民 の 対 外 輸 出 総 額 は 約13億 ドル を 超 え て い る。 し か し貿 易 面 で の 関 係 拡 大 は歴 代 首 相 の 対 米 従 属 度 に依 存 す る もの で あ る。CHINCOMの 規 制 な ど も あ る上 に、 米 国 、 台 湾 に 配 慮(?)し て か 首 相 が 「反 共 」 「中 国 の 脅 威 」 論 を 繰 り広 げ る度 に政 治 的 に は膠 蒲 した 側 面 を 生 み 山 す の で あ る。 日 中 国 交 回 復 を 課 題 に 挙 げ て い た 石 橋 の 後 を 受 け て の 岸 、 倉 敷 レ ー ヨ ン=ビ ニ ロ ン ブ ラ ン トの 対 中 延 べ ば ら い を 承 認 し た 池 田 の 後 を 受 け て の 佐 藤 は、 共 に 台 湾 支 持 へ と向 か う こ とで 国 交 回 復 を 遠 ざ け る。 佐 藤 の 強 硬 姿 勢 の 背 景 に は 当 時 中 国 で 猛 威 を 震 っ た 文 化 大 革 命 へ の 警 戒 心 が あ る と い え る。 3.6.2新 冷 戦 に お け る 日中 関 係 口rl1国交 回 復 は 日 ソ との そ#i以 上 に 国 際 環 境 の 変 化 に よ る機 会 主 義 の 元 で の 外 交 で あ っ た と い え る。 1971年7刀 の ニ ク ソ ン訪 中 発 表 、 盟 年2刀 の 訪 中 が 全 て の き っ か けで あ る。 こ の 米 国 の 唐 突 と もい え る対 外 政 策 の 転 換 は冷 戦 環 境 が 三極 化 の 新 し い展 開 が 背 最 で あ っ た。 従 来 の 米 ソ対 立 に 加 え 中 ソ対 立 、 中 米 対 立 の 中 で の 駆 け 引 き の 一 つ と して 川 い られ た わ けで あ る。1957年11月 の毛 沢東 演 説以 来 中 国 は 自 ら の 外 交 主 張 を 国 際 環 境 に投 げ 出 し た と い え る わ け だ が 、 こ の 中 国 の 姿 勢 は 冷 戦 に お け る米 ソの パ ワ ー バ ラ ンス を 揺 さ ぶ る もの で あ っ た 。 フ ル シ チ ョ フ以 降 の ソ辿 は 冷 戦 対 立 の 緊 張 状 態 で も そ こ に お け る米 との 勢 力 均 衡 を 認 め る こ とで 国 際 秩 序 を保 っ て い た と い う 自 負 が あ っ た と思 わ れ る。 し か し 中 国 は 東 西 の 均 衡 に貢 献 す るKは も は や 小 さ くな か っ た 。 ソ迎 の 従 属 国 に な る こ とを 拒 否 し た 中 国 は 中 ソ対 立 の 構 図 へ と追 い や ら れ て い く。1964年 に は核 実 験K成 功 し、1969年Kは ダマ ンスキ ー島で の 対 ソ軍 事 衝 突 を 引 き 起 こす わ けで あ る。 こ う し た立 場 に 中 国 が 走 っ て い た の は 中 国 が 共 産 陣 営 で あ る と 同 時 に 第 三 世 界 陣 営 に も所 属 して い た こ と に よ る もの で あ る。 第 三 陣 営 の 目 標 は 東 西 の 対 立 に ま き こま れ ず 、 彼 らの 仲 介K立 つ一 方、 国迎 で の 主 張 を通 じて 平 和 を維 持 し て い こ う と い うの が 当 初 の 目標 で あ りそ れ は ネ ー ル を 中 心 と して 実 行 さ れ た わ け だ が 、 第 三 陣 営 は 同 時 に 経 済 発 展 も 目標 と して い た 。 そ の 経 済 発 展 の 過 程 に お い て 彼 ら が 問 題 と して い た の は 大 国 ・先 進 国 へ の 依 存 度 で あ る。 第 三 陣 営 の 前 身 が ア ジア ・ア フ リカ の 植 民 地 で あ っ た こ と は 彼 ら に 大 国 か ら の 一 切 の 干 渉 を 排 除 せ しめ る態 度 へ と走 ら せ る わ け だ が 、 一 方 で 彼 ら が 干 渉 を受 け な い 国 家 とな って い く に は近 代 化 が 必 要 な わ けで 、 そ の 近 代 化 を 推 進 し て い く た め に は 大 国 ・先 進 国 23 の 経 済 援 助 な どの の 経 済 的 干 渉 を 受 け る必 要 が あ る。 第 三 世 界 陣 営 は ア ジア ・ア フ リカ 会 議 やNIEO の 樹 立 に よ っ て 新 た に 「南 北 問 題 」 の 争 点 軸 を国 際 環 境 に投 げ か け る の だ が 、 これ は 冷 戦 ・東 西 問 題 の 争 点 軸 と は異 な り、 対 立 一 辺 倒 の 姿 勢 で は 貫 け な い デ ィ レ ン マ が存 在 す る。 そ うい っ た 中 で 自 力 更 生 を 強 く主 張 す る 中 国 は 南 北 問 題 に お け る 「独 立 」 と 「依 存 」 の 前 者 に 固 執 す る余 り、 他 の 第 三 世 界 陣 営 か ら は 孤 立 し、 ソ連 との 確 執 も解 消 しな い の で あ る。 中 国 に と って は米 との 冷 戦 対 立 よ り も地 域 的 に隣 接 した ソ連 との 対 立 の 方 が 脅 威 で あ っ た と い え る。 米 国 も ペ トナ ム 戦 争 で の 介 入 の ゆ き づ ま りは 国 力 を 疲 弊 さ せ 、 国 際 世 論 か ら非 難 を 受 け 大 国 と して の 権 威 を お と しめ る もの で あ っ た。 米 は世 界 的 に 融 和 的 な姿 勢 を 示 す 必 要 が あ っ た とい え る。1969 年 に は ニ ク ソ ン が 「グ ア ム ド ク トリ ン」 を 発 表 し介 入 主 義 の 後 退 を 方 向 づ け た。 ま た 当 時 の ソ迎 の 軍 事 力 増 強 は 米 ソ均 衡 の 構 図 を破 る も の で 米 国 と して は ソ連 に 牽 制 を加 え るぺ き だ とい う認 識 が あ っ た。 平 和 外 交 を 国 際 的 に 要 求 さ れ て い た こ と と ソ迎 の 軍 備 増 強 へ の 牽 制 との 二 つ の 外 交 目標 を 同 時 に果 た す に は 如 何 な る戦 略 が あ るか 。 そ の 結 論 が ソ迎 との 対 立 、 第 三 陣 営 か らの 孤 立 で 協 調 す る国 際 権 威 を 失 って い た 中 国 との 対 話 で あ っ た わ けで あ る。 対 ソ関 係 に お い て 利 益 が 合 致 し た結 果 の 対 話 で あ る。 この 対 話 が 根 本 的 な関 係 改 善 を 意 味 す る もの で な か っ た こ とは 、 米 中 の 国 交 樹 立 が 日 中 の 後 で あ っ た こ と、 この 時 期 ソ迎 と も デ タ ン トを推 進 して い る こ とで 、 あ くま で も中 国 との 対 話 は ソ迎 か ら軍 縮 の 回 答 を 引 き 出 す た め の カ ー ドで あ っ た こ と を 意 味 す る の で あ る。 戦 術 的 な 意 味 を持 っ た米 国 の 対 中 外 交 は 日本 に とっ て1"・ 的 な 誤 算 で あ る。 沖 縄 返 還 に 関 す る佐 藤 首 相 と ニ ク ソ ン との 会 談 ・共 同 声 明 で は 台 湾 条 項 が 入 って い た に も関 わ らず 、 そ の 米 国 が 中 国 と接 近 し た の で は 外 交 戦 略 の 混 乱 で あ る。 台 湾 条 項 の た め に 日本 は大 陸 との チ ャ ン ネ ル を悪 化 して い る の だ か ら 裏 切 られ た格 好 とな っ て い る。 この 裏 切 りは 大 陸 に 対 して も そ うで 、1969年 の第 二次 覚書 貿 易交 渉 の 中 国 側 コ ミュ ニ ケ で は 日華 条 約 と 日米 安 保 の 廃 棄 を 迫 って い る の だ か ら、 た とえ 米 中 の 対 話 が ソ連 へ の牽 制 的 意 味 合 い を も っ た 戦 術 外 交 で あ る と して も 日本 に とっ て は 双 方 か ら裏 切 られ た 格 好 とな るわ け で あ る。 こ の 混 乱 は1971年9月 の 国 連 総 会 に お い て 中 国 の 国 迎 加 盟&中 国 代 表 権 に関 す る 日本 提 出 の 逆 重 要 事 項 指 定 決 議 案 の 否 決 で 台 湾 国 迎 追 放 が 決 ま る に 及 ん で 深 刻 化 す る。 米 国 に 追 従 す る こ とが 国 際 秩 序 に お け る答 え だ と思 っ て い た 日本 に は 米 の 正 当 性 自身 に 疑 念 を抱 か ざ る を え な く な るの で あ る。 日本 も環 境 の 急 変 に 応 じ中 国 との 国 交 回 復 に 本 腰 を 入 れ る こ と に な るわ け だ が 、 そ の た め に は 体 制 の 刷 新 が 必 要 で あ っ た 。 と い うの は、 親 台 湾 派 で あ っ た 佐 藤 に よ る国 交 正 常 化 は受 け 入 れ な い とい う 中 国 の 姿 勢 が あ っ た か ら で あ る。 そ う し た 中 で 佐 藤 に 代 わ る新 総 裁 の 話 題 が 昇 る わ け で あ る。 自民 党 総 裁 選 の 今 回 の 争 点 は 自ず か ら 「日中 国 交 回 復 」 と な り、 国 交 回 復 推 進 派 対 親 台 湾 派 との 対 決 に な る わ け だ が 世 の 中 の 動 向 が 国 交 回 復 推 進 派 に 有 利 な 流 れ で あ っ た た め 、 推 進 派 の 田 中 角 栄 が 勝 利 を 収 め る。 ポ ス ト佐 膝 の 本 命 で あ っ た 福 田 は 支 持 者 に 親 台 湾 派 が 多 か っ た こ とが 総 裁 選 の 敗 因 で あ っ た とい え る。 国 交 回 復 に あ た っ て の 具 体 的 な問 題 と して は 日米 安 保 体 制 と の両 立 、 日華 条 約 の 廃 棄 に よ る 台 湾 と の 関 係 の 推 移 、 台 湾 とは 解 決 済 み の 賠 償 問 題 、 覇 権 条 項 、 中 国 側 の 要 望 と して の 復 交 三 原 則 な ど が あ っ た 。 日 米 安 保 に つ い て は 田 中 は72年8月 に は 訪 米 、 ニ ク ソ ン と会 談 し 米 側 の 了 承 を と りつ け て い る。 ま た 日 中 交 渉 に よ り賠 償 問 題 、 日米 安 保 との 両 立 、 日台 関 係 の 実 質 的 継 続 な ど に つ い て は 中 国 が 、 ま た 戦 争 に つ い て の 謝 罪 文 や 覇 権 条 項 の 明 記 に つ い て は 日本 が そ れ ぞ れ 譲 歩 す る こ とで 問 題 は解 決 し、19 72年9月 、 田 中 が 首 相 就 任 後2ヶ 月 で 国 交 正 常 化 が 日 中 共 同 声 明 に よ りス ピー ド実 現 し た。 国 交 正 常 化 の 日本 側 の 政 策 過 程 に お い て は 、 自民 党 の呼 び か け に よ る超 党 派 の 議 員 団 の 結 成 や 社 会 党 の 訪 中 団 、 ま た 中 国 側 の 共 同 声 明 案 を 「竹 入 メ モ 」 と して 田 中 に 渡 し た 公 明 党 と い っ た 具 合 に超 党 派 外 交 が 積 極 的 に贋 開 さ れ た 場 で あ っ た 。 共 産 党 を 除 く野 党 は 中 国 と の 国 交 正 常 化 に は 従 来 か ら積 極 的 で あ り、 そ れ に 自民 党 が の っ か っ た 格 好 とな っ て い る。 む し ろ 、 親 台 湾 派 を抱 え る 自民 党 内 部 が 「日台 間 の 問 題 処 理 を ど うす るの か 」 とい っ た 点 で の 党 内 調 整 に とま ど っ て い た よ うで あ る。 国 内 冷 戦 の 名 残 が 与 党 内 部 に投 影 され て い な わ け だ。 超 党 派 外 交 が 冷 戦 環 境 の 推 移 に 依 存 す る もの で あ る こ とが 理 解 さ れ る。 第4章 冷戦外交以 降 冷 戦 以 降 とい う表 題 に は な って い るが 、 「冷 戦 の 平 時 化 」 故 の 緊 張 緩 和 の 状 況 下 で 、 冷 戦 期 に お い て も冷 戦 文 脈 か ら脱 却 し よ う と した 外 交 政 策 の 動 きが あ っ た の は事 実 で あ る。 実 際 問 題 、 冷 戦 環 境 の た め 優 先 順 位 を先 お く り され た外 交 問 題 も同 居 して い た わ け で 「現 存 追 従 」 か ら の 脱 却 の 動 き は 必 然 とさ れ る。 ま た 最 新 の 国 際 環 境 に お け る政 治 経 済 社 会 の 諸 側 面 に お け る問 題 が 冷 戦 云 々 の 観 点 の み で 語 られ る もの で は な くな っ て き て い た の も確 か で あ る。 こ こ に お い て 冷 戦 は 形 式 的 に は継 続 す る もの の、 国 際 的 に 複 数 の 争 点 を 持 っ た 時 代 へ と変 化 す る の で あ る。 そ して ゴル バ チ ョ フ登 場 以 降 の 一 迎 の 過 程 が 冷 戦 外 交 の 争 点 軸 を 国 際 環 境 か ら消 滅 す る こ と に な るわ け で あ る。 4.1規 定要因の変化 新 た に起 こ っ た 規 定 要 因 と し て は次 の よ う な こ とが あ げ られ る。 一 つ に は パ ク ス ・ア メ リカ ー ナ の 崩 壊 が あ げ られ る。 戦 後 の 政 治 ・経 済 の 国 際 的 基 盤 は 米 国 が 築 き、 そ の 中 で 国 際 環 境 に お け る ドラ マ が 展 開 さ れ て い っ た とい え るが 、 ブ レ トン ウ ッズ 体 制 の 崩 壊 に よ る変 動 相 場 制 へ の 移 行 は 国 際 経 済 の 運 営 が 最 早 や 単 独 国 家Kよ って は 不 可 能 に な って き た こ と を 示 す 一 つ の 例 だ。 覇 権 国 家 を 「国 際 秩 序 の 管 理 者 」 と して と ら え るな ら ば現 代 は複 数 国 家 に よ る秩 序 の 共 同 管 理 が 必 要 とさ れ る時 代 で あ る。 そ の 結 果 と して サ ミ ッ ト外 交 が 外 交 ス タ イ ル と して 昇 っ た もの で あ り、G5・ G7の よ う な政 策 協 調 の 場 が 模 索 され る の で あ る。 第 二 点 と して は第 一 点 と深 く関 わ り合 う もの で あ るが 、 経 済 摩 擦 が 外 交 の 主 要 争 点 と して 上 位 に食 い 込 ん だ こ とで あ る。 日本 は 池 田 内 閣 の 際 に経 済 外 交Kよ る ロー ポ リテ ィ ク ス が 自 国 の ノ・イ ポ リテ ィ ク ス と な る と認 識 して い た が 、 実 際 国 際 政 治 に お け る通 商 問 題 ・経 済 問 題 の 優 先 順 位 が 高 ま って き た の で あ る。 これ は 欧 州 及 び 日本 が パ ク ス ア メ リカ ー ナ の 枠 組 で 経 済 力 を 付 け た 結 果 、 米 国 の 国 力 が 相 対 的 に 低 下 し保 護 主 義 の 兆 候 を示 し は じ め た 、 ま た 相 互 主 義 に よ る市 場 の 開 放 を 欧 ・日 に求 め た こ と に よ る も の で 第 一 点 と密 接 に関 わ っ て い る。 第 三 点 は 南 北 問 題 の 深 化 で あ る。 経 済 発 展 を め ぐ る制 約 に は地 球 環 境 問 題 の 争 点 も加 わ っ た 。 開 発 途 上 国 の 成 長 の 道 が 狭 ま っ た以 上 、 先 進 国 側 と して は 持 続 的 成 長 の パ ス を用 意 す る義 務 が 国 際 的 に要 求 され る。 ま た 途 上 国 の 累 積 債 務 問 題 な ど に原 因 を見 る国 際 金 融 の 致 命 的 破 綻 の 状 況 を 如 何 に 回 避 ・緩 和 して い くか の 、 フ ェ イ ル ・セ ー フ が 必 要 と な って い る。 フ ェ イ ル ・セ ー フ が 国 際 的 に必 要 と さ れ るの は、 環 境 開 発 ・破 壊 、 国 際 金 融 、 貿 易 の み な ら な い。 無 論 安 全 保 障 に つ い て も同 様 に 要 求 され る。 冷 戦 時 代 に お い て は そ れ が 米 ソの 核 抑 止 力 に よ る相 互 破 壊 確 証 戦 略 に よ り保 障 され て い た 。 これ は 米 ソ核 大 戦 の 恐 怖 を 回 避 す る こ とを 対 象 と した 対 外 安 保 政 策 で あ 25 ろ う。 し か しマ ク ロ な核 大 戦 は 回 避 し た もの の 現 実 の 世 界 で は地 域 に お け る限 定 戦 争 が 多 発 して い るわ けで 我 々 は 平 和 な世 界 に住 ん で い る よ うに錯 覚 を受 け て い る が 、 現 実 に は こ れ ら の 地 域 紛 争 、 限 定 戦 争 に対 応 し た 新 し い 安 全 保 障 政 策 が 必 要 とな る の で あ る。 日本 もま た 安 全 保 障 の 枠 組 創 造 へ の 協 力 を 要 求 され るで あ ろ う。 4.2そ の 後 の 日本 外 交 は こ う い っ た 点 に対 し、 日本 は如 何 な る外 交 で 対 応 して き たで あ ろ う か 。 パ ク ス ・ア メ リ カ ー ナ の 後 退 ・崩 壊 に つ い て は そ れ を明 確 に す る態 度 は と って い な い とい え る。 日米 関 係 に よ っ て 国 力 を蓄 え て き た 国 家 で あ る だ け に 「ア メ リ カ の 時 代 は 終 っ た 」 とい うの は 言 え な いで あ ろ う。 しか し 「イ コ ー ル ・パ ー トナ ー 」 と して の 地 位 に ま で 米 国 に認 知 され た よ うで あ る。 ま た 日本 が 国 際 指 導 国 家 群 の 枠 組 へ と参 加 して い る こ とは 間 違 い な い 。92年 の サ ミ ッ トに お い て も 日本 は景 気 復 興 対 策 に 努 め る こ とで 国 際 経 済 の 安 定 運 営 へ の 協 力 を 要 求 さ れ て い る よ う に、 国 際 経 済 の 運 営 が い まや 政 策 協 調 に よ っ て の み 安 定 飛 行 を 持 続 で き る こ とが わ か る。 経 済 摩 擦 の 形 は 日米 に お い て は 織 維 に は じ ま り、 鉄 鋼 ・テ レ ビ ・自動 車 ・半 導 体 ・知 的 所 有 権 へ と 次 々 と そ の タ ー ゲ ッ トが 拡 大 変 化 を 遂 げ て い る。 ま た 日欧 に お い て も 自動 車 や 家 電 製 品 が 摩 擦 の 対 象 と な っ て い る。 一 方 、 農 産 物 の 市 場 開 放 問 題 は ウル グ ア イ ラ ウ ン ドに お い て も最 終 合 意 を 見 な い 深 刻 な も の で あ っ た。 こ こ に お い て は 国 内 の 対 外 政 策 に 関 す る政 策 過 程 が 自 由 主 義 か ・共 産 主 義 か 云 々 の 冷 戦 イ デ オ ロギ ー 的 観 点 の対 立 か ら個 別 の 利 益 集 団 の 利 害 を 反 映 させ た 、 利 益 政 治 の 拡 大 と い っ た 形 で 展 開 さ れ て き て い る こ とが わ か る。 日本 の 政 治 的 影 響 力 と して 農 業 団 体 の そ れ が 未 だ に 大 き い か ど うか は 、 社 会 集 団 に お け る農 業 従 事 者 達 の 構 成 比 を考 慮 す る に疑 問 の 残 る所 で あ るが 、 選 挙 に お け る組 織 票 が 期 待 で き る せ い で あ ろ うか 、 各 政 党 の 経 済 摩 擦 に お け る見 解 は 農 業 者 よ りで あ る。 通 商 問 題 に お け る国 内政 治 と対 外 政 治 の 利 害 が 矛 盾 ・対 立 す る こ とは 米 国 で の 旧 来 か ら の 保 護 主 義VS自 山主 義 の 論 争 を 見 て も 明 ら か で あ るが 日本 の 対 外 政 策 を 巡 る対 立 も よ うや く経 済 問 題 に お いて は冷 戦 の 対 立 軸 か ら解 放 され た よ うで あ る。 国 際 経 済 面 に お け る フ ェ イ ル セ ー フ に関 して は 日本 のODA外 わ か る。 ま た ジ ャパ ン4ネ IESやASEANへ 交 の 拡 大 に よ り対 応 して い る こ とが ー 、 日本 の 資 本 輸 出 に 対 す る世 界 の期 待 が 近 年 高 ま って い る。 特 に ア ジ アN の 対 外 直 接 投 資 やODAの 拡 大 な ど を 通 じ た ア ジア 地 域 の 経 済 セ ン タ ー と して の 役 割 に つ く こ とで 経 済 面 に お い て は フ ェ イ ル セ ー フ の 貢 献 を 果 た して い る 日本 で あ る が 安 全 保 障 面 に お い て は そ の フ ェ イ ル セ ー フ の 役 割 が ま だ 実 行 さ れ て い な い の が 現 状 で あ る。 カ ン ボ ジ ア 和 平 に つ い て は ASEANに 主 導 権 を 任 せ た状 態 で あ っ た し、 南 北 朝 鮮 の 統 一 問 題 に つ い て は 北 朝 鮮 へ の 御 用 聞 き外 交 が 日本 の 影 響 力 を 落 して い る とい え る。 天 安 門 事 件 後 の対 応 に つ い て は 束 ア ジ ア と西 側 諸 国 と の 二 つ の 立 場 の 上 に立 っ た'もの で あ っ た が、 拡 大EC・ 北 米 貿 易 圏 そ して ア ジア の 新 経 済 圏 構 想 と地 域 的 政 治 経 済 秩 序 へ の 取 り組 み が 国 際 的 フ ェ イ ル セ ー フの 手 段 と して 進 む な か で 、 中 国 の 将 来 に お け る地 域 的 処 遇 を ど うす る の か の ビ ジ ョ ン が 固 ま って い な い こ と は 今 後 の 日本 の 外 交 課 題 と して 将 来 の 変 化 が 要 求 され る中 国 が ク ロ ー ズ ア ッ プ され る こ と は間 違 い な い もの で あ る。 地 域 紛 争 に 関 す る 日 本 の フ ェ イ ル セ ー フ の 案 と して 注 目 さ れ る の が 「開 発 途 上 国 へ の 兵 器 移 転 に 関 す る国 連 へ の 登 録 制 度 」 で あ る。 こ れ は軍 産 複 合 体 の 規 模 が 他 の 大 国 に 比 して 遥 か に 小 さ い 日本 独 自 の 案 で あ る。 兵 器 貿 易 の 拡 大 が 開 発 途 上 国 の 成 長 と地 域 的 平 和 を 妨 げ て い る もの で あ る か ら こ そ、 日本 が 他 国 の 兵 器 貿 易 に 制 限 を加 え る こ と を主 張 す る こ とで 平 和 憲 法K矛 盾 しな い 安 全 保 障 へ の 貢 献 が 期 待 で き る もの だ。 し か し、PKOの 自 衛 隊 派 遣 を巡 る国 内 政 治 の 対 立 は 講 和 条 約 締 結 の こ ろ か ら争 点 で あ っ た 日本 の 再 軍 備 に つ い て の デ ィ レ ンマ が 今 もな お 継 続 して 行 な わ れ て い た こ と を物 語 って い る。 再 軍 備 反 対 を主 2G 張 し て い る 野 党 側 が 、 過 去 の 政 争 に お い て 有 利 な状 況 下 に お い て も勝 て な か っ た の は あ くま で も彼 ら が イ デ オ ロ ギ ーK拘 って い た か らで あ っ て 、 そ れ は 日本 の 対 外 政 策 の 規 定 要 因 を彼 らが 認 識 し て い な か っ た こ とが そ の 後 の 彼 ら の 勢 力 拡 大 を 妨 げ た わ け で あ る。 野 党 が 今 後 国 民 の あ る種 の ニ ー ズ に 応 え た安 全 保 障 政 策 を 行 な っ て い く場 合 、 対 外 的 な 規 定 要 因 の 冷 静 な 認 識 が 必 要 と思 わ れ る。 ま た 与 党 も派 閥 構 想 に よ る政 権 の 党 内 変 動 の 中 で 一 党 独 裁 を 追 求 して い っ た こ と は党 内 に お け る政 策 論 争 の 審 判 を国 民 に仰 が せ る権 利 を 国 民 か ら剥 奪 し た とい え 、 そ れ が 議 会 に お け る 自 由 な 外 交 政 策 に つ い て の 論 議 を封 鎖 し てNる く政 治 家 ・権 力 の 中 枢Kあ わ けで あ る。 政 治 改 革 論 議 が さ さや か れ る な か 、 日本 の 国 際 性 の 欠 如 を 嘆 る もの 達 は 日本 の 国 際 性 の な さ を嘆 く前 に 対 外 政 策 が 政 権 抗 争 ・国 内 政 治 の 人 質 とな っ て い る現 状 に 危 機 感 を持 つ べ きで あ る。 現 実 主 義 者 達 が 国 内 の 理 不 尽 な 政 治 過 程 を見 失 って い る状 況 を認 め、 そ の 現 状 を リス ク覚 悟 で 変 革 して い く こ と こ そ 国 際 冷 戦 終 了 後 も続 く国 内 冷 戦 を終 了 させ る もの で 、 そ れ が 日本 の 外 交 を もっ と新 し い 展 開 へ と導 く もの だ と筆 者 は 思 う次 第 で あ る。 4.3論 文 にお け る反省 今 回 、 論 文 を 書 く に あ た っ て の 反 省 と して は 、 一 人 よが り的 な視 点Kた って の 論 旨 展 開 が ま ず 挙 げ ら れ る。 デ ー タ の 裏 打 ち 、 基 礎 資 料 の 裏 打 ち に 乏 し い こ とが 筆 者 の 主 張 か ら説 得 力 を奪 っ た とい え る。 次 に 多 義 性 の あ る言 葉 に つ い て の 配 慮 が 希 簿 だ っ た こ と。 筆 者 は本 文 中 「イ デ オ ロ ギ ー 」 の 用 語 を 多 用 し た が 、 口 頭 報 告 に お い て の 碓 氷 教 授 の 指 摘 の 如 く、 イ デ オ ロギ ー とい う こ とば は 多 義 的 な た め 多 用 す る こ と は 文 章 の 意 味 合 い を 軽 々 し くす る もの で あ っ た とい え る。 ま た、 これ は リサ ー チ に お け る根 本 的 な 悩 み で あ るが 、 今 回 の 研 究 会 の 主 旨、 長 期 的 動 態 の フ レー ム で 日本 の 変 化 を 政 策 的 意 義 の 元 に 求 め る とい う作 業 は 学 生 達 に とっ て 大 作 業 で あ り非 常 に 抽 象 的 な もの で は な か っ た か と思 う。 実 際 、 他 の 学 生 の 口頭 報 告 を 聞 く と、 長 期 的 スパ ンで リサ ー チ して な い の で は ・・とい っ た 類 の もあ っ た よ うで あ る。 私 が 取 り上 げ た 国 際 冷 戦 と国 内 冷 戦 云 々 の よ うな テ ー マ は学 生 が 取 りあ げ る研 究 論 文 と して は 余 りに も壮 大 な 対 象 で あ っ た と い え る。 調 査 ・執 策 中 に は 「こ うい う論 文 は著 名 な史 家 や 経 済 学 者 が 本 来 書 く もの だ な あ」 と何 度 た め 息 を つ い た こ とで あ ろ うか 。 仕 上 が りを み る と 「ひ と味 違 う」 と い う よ り も何 の 目 新 し く もな い戦 後 史 に な っ て い る と い っ た 具 合 で あ る。 「冷 戦 軸 に こ だ わ ろ う」 と した が 、 何 故 か単 調 な 論文 に なって しま った。 む しろ、 自動 車産 業 の産 業政 策 や援助 外 交 の歴 史 をた どった人 の方 が 確実 な作 品 が 期 待 で き る と思 わ れ る。 も う少 し、 限 定 的 な テ ー マ を 追 い か け た 方 が きめ 細 か な焦 点 を持 つ 内 容 に な っ た で あ ろ う。 しか し、 基 本 的 に は研 究 会 の シ ラバ ス の 主 題 に 忠 実 に行 お う と した 結 果 の 拙 文 で あ る とご 理 解 願 い た い 。 Bibliography [1】花 井 等 編 ・著 「比 較 外 交 政 策 論 」1983学 【2】 花 井 等 著 「国 際 外 交 の す す め 」1986中 [3】入 江 昭 著 「日本 の 外 交 」1966中 陽書房 公 新書 公 新書 【4】渡 辺 ・絡 田 原 偏 猪 口 孝 他 著 「国 際 政 治 経 済 論 」1988有 [5】高 坂 正 尭 著 「現 代 の 国 際 政 治 」1989講 [6】Joan.E.Spero著 斐開 談 社教 養 文庫 小 林 ・首 藤 訳 「国 際 経 済 関 係 論 」1988東 [7]石 川 ・広 瀬 著 「シ リー ズ 日本 の 政 治 自 民 党 」1989岩 洋経 済新 報 社 波書 店 【8】 高 畠 通 敏 編 石 川 真 澄 著 「シ リー ズ 日本 の 政 治 社 会 党 」1989岩 [9】岩 永 健 吉 郎 著 「戦 後 日本 の 政 党 と外 交 」1985東 【10】竹 内 宏 著 「昭 和 経 済 史 」1988筑 波 書店 京 大 学 出版 会 摩書房 [11】 細 谷 ・本 間 編 原 康 他 著 「日米 関 係 史 」1982有 斐閣 【12】碓 氷 尊 編 「研 究 会 資 料 日本 経 済 発 屈i論 レ ジ 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