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「人センシング及び生体情報に関する調査専門委員会」の設置趣意書
「人センシング及び生体情報に関する調査専門委員会」の設置趣意書 (Human Sensing and Information Technologies) フィジカルセンサ技術委員会 1. 目的 フィジカルセンサ技術委員会では、これまで「社会・環境・人への安全・安心を実現す るための基礎となるセンシング技術」及び「生活を支えるエネルギーの創出・活用のため の新センシング技術」について調査専門委員会を設置し、その現状と課題について調査を 実施してきた。その中で、健康や福祉、医療を目的としたセンシングや、その生体情報を 司 る デ バ イ ス が 飛 躍 的 に 進 化 し 、そ れ ら 素 子 を 駆 動 す る エ ネ ル ギ ー 技 術 を 含 め 、広 く 研 究・ 開発が進められ、社会的ニーズが今後さらに拡大することが明らかになった。これらの調 査を踏まえ、今後、更に重要な調査項目として、健康社会を支えるヒューマンセンシング 用デバイス、高齢者医療や障害者に役立つ生活支援機器、さらには成人や若年者における 情報を中心とした新しい生活やネットワーク社会を支えるデバイスが求められ、特に人の 動的・静的な状態情報や体内の物理・化学・生化学情報をリアルタイムにモニタリングす るセンサ技術、ウエアラブルデバイス技術、そして得られた生体シグナルをくみ上げ通信 する情報端末に関する技術、情報をネットワーク化する技術が益々重要になってくると考 えられる。例えば、すでに健康科学の領域においては、アスリートの運動能力を物理的に 評価するセンサや情報端末が利用されており、今後は生体内の化学・生化学情報に関する 情報のセンシングが求められる。もちろん人を取り巻く環境(温湿度、天候、大気成分、 環 境 汚 染 物 質 な ど ) の モ ニ タ リ ン グ も 重 要 で あ る 。 ま た 高 齢 者 の QOL 向 上 を 目 的 と し た 物 理 ・ 化 学 セ ン サ や 障 害 者 の 機 能 補 助 の た め の H M I (Human Machine Interface)や ロ ボ テ ィ クスにおいてもセンサ及び情報処理デバイスが必要とされている。加えて、これら情報デ バイスのニーズの増加に伴い、デバイス駆動のため各種エネルギーハーベスティング技術 が不可欠となりつつある。つまり、人に関する情報や、取り巻く環境に関する情報をセン シングし、且つ情報を社会と有機的に結びつけるネットワーク、そしてためのエネルギー システムに関するデバイス技術の開発が、今後求められていくことが予想される。 したがって、これまでの調査活動を踏まえて、「人センシング及び生体情報に関する調 査専門委員会」を設置することを提案し、広くニーズの視点から人のセンシング及び得ら れた生体情報を社会に生かすための新デバイスや周辺機器に関する技術の研究開発状況を 調査するとともに、センサの役割を拡大することを目的とする。 人センシングでは、フィジカルセンサのみならず、ケミカルセンサやバイオセンサなど による情報計測へと広がりつつあり、そのデバイスは、ナノ化・高度化・多機能化が急速 に進められ、異種融合化されつつある。たとえば、モーションセンサ・加速度センサ・マ イクロジャイロ・磁気センサ・非侵襲センサ・バイオ素子などプロセス技術・システムと も密接な関わりをもちながら研究開発が進められている。特に、ウエアラブルセンサデバ イス、センサチップ上に駆動回路など周辺回路を組み入れインテリジェント化した回路集 積型スマートセンサ、HMI、スマートフォンとのネットワーク化のためのワイヤレスや 人 体 通 信 な ど の B A N (Body Area Network)シ ス テ ム 、 デ バ イ ス エ ネ ル ギ ー 供 給 の た め の ハ ーベスティングなど、次世代の異種融合化されたセンサとして調査研究に注目すべきであ る。 このような状況を踏まえ、人の生体情報を効果的にセンシングし、得られた生体シグナ ルを情報化するための技術について、その動向の調査を大学、国公立研究機関、学協会、 産 業 界 で 共 同 し て 研 究 調 査 を 行 う 必 要 が あ り 、こ こ に 、 「人センシング及び生体情報に関す る調査専門委員会」の設置を要望する次第である。 2.背景および内外機関における調査活動 近年、MEMSやNEMS技術の発展により人の行動や運動をセンシングするウエアラ ブ ル デ バ イ ス 技 術 や HM I 技 術 が 高 度 化 し 、 そ の 技 術 は 化 学 セ ン サ や バ イ オ セ ン サ へ も 展 開されている。また健康や医療を対象とした非侵襲的な情報をセンシングする技術へと発 達し、人に関するセンシングや情報、高齢者医療、障害者に役立つ生活支援機器開発への 取り組みが重要になっている。もちろん、人を取り巻く気候(温度、湿度、日照)や空質 ( 汚 染 、浄 化 )な ど の 生 活 環 境 は 地 球 温 暖 化 や 異 常 気 象 、ゲ リ ラ 豪 雨 、大 気 汚 染( V O C 、 P M 2.5、ウ イ ル ス 、細 菌 )と 関 連 し ユ ビ キ タ ス 的 な 情 報 と し て 求 め ら れ て い る 。こ れ ら 観 点 か ら に お い て 、 「人 そ し て 取 り 巻 く 環 境 情 報 」つ い て 広 く セ ン サ 技 術 の 研 究 開 発 状 況 を 探 るとともに、センサの役割を社会へ発信させて行くことが必須となっている。 一方、これら情報も利用形態が多様化し、これまでの個人ベースに留まらず、社会(家 庭、組織)を連携するネットワーク型へと拡大している。すでにスマートフォンが社会に 普及し、個人ベースの情報端末としての機能を十分に有しており、センシングした生体情 報を情報端末と結ぶ通信技術やネットワーク技術が不可欠である。また生活環境でのシー ムレス利用を支えるエネルギーハーベスティング技術が重要で、異種技術の融合によるシ ステム化が求められている。これらセンサ・デバイス技術開発において、単なるメーカー の技術開発のみならず、社会とメーカー・ユーザーとの連携をもって、今後、多様化した ニーズに応えられる、新たなセンサ産業を創出する大きな飛躍が期待される。 3.調査検討事項 1) 人とその環境を対象とした新センサ技術 2) 生体情報を統括及び通信するデバイス・システム技術 3) センサ及び情報デバイスのためのエネルギー創出 4) 生体内・生体外におけるネットワーク技術とシステム 5 ) HMI 等 の 神 経 情 報 セ ン シ ン グ と 通 信 技 術 6 ) NEMS&MEMS 技 術 の 応 用 展 開 7) ウエアラブル及び生体融和のための材料、プロセス&パッケージング技術 8) 生活におけるシームレス利用を支えるセンサやデバイスのためのエネルギー技術 9 ) 医 療 や 健 康 福 祉 、特 に 高 齢 者 医 療 や 障 害 者 に 役 立 つ 生 活 支 援 機 器 な ど の 生 体 情 報 産 業の創出 4.予想される効果 上記項目の調査を行い、今後、人センシング及び生体情報に関する技術において、異種 領域と融合化されたフィジカルセンサを中心としたデバイス技術開発の方向を洞察するこ とにより、学協会ならびに産業界のセンサ研究の推進と活性化に大きく寄与できる。また 調査対象となる新規なフィジカルセンサ、デバイス、情報技術、センサ材料やプロセス技 術、エネルギー創出は、広く産業界に役立つと共に近未来の科学技術の推進に貢献するも のと期待される。 5 . 設 置 期 間 : 平 成 2 5 年 ( 2013 年 ) 9 月 か ら 平 成 2 8 年 ( 2016 年 ) 8 月 ( 3 年 間 ) 6.活動予定 委 員 会 3-4 回 /年 研究会 1 回/年 7.報告形態 委員会資料及び研究会での発表資料をもって報告とする。