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議事概要 - 三重県
第 3 回省エネ/ システム技術 分科会 議事概要 ◆本 分科 会 の概 要 三 重県 工 業研 究所 で は県 内企 業 と省 エネ / シス テム 関 連の 研究 開 発を 行っ て いま す。 今回の分科会では、高効率熱電発電のための材料及びシステムの開発をされている名 古屋大学 伊藤 孝至 准教授と、スターリングエンジンを用いた工場廃熱回収の取組 をさ れて い る (株)LIXIL 藤中 恵都 子 様 を お招 きし て ご講 演い た だき まし た 。 ◆日時 平 成 26 年 1 月 15 日( 水)13 時 30 分~16 時 30 分 ◆場所 三 重県 工業 研 究所 ◆出 席者 大 会 議室 民間 企 業 10 名、 団 体 2 名、 教 育 ・研 究機 関 1 名 ◆ 議 事概 要 ◇ 開 催挨 拶 三重 県工 業 研究 所 プ ロジ ェク ト 研究 課 課長 西村 正彦 ◇「 三重 県 の環 境・ エ ネル ギー に 対す る取 組 につ いて 」 三重 県工 業 研究 所 プ ロジ ェク ト 研究 課 主 任研 究員 谷澤 之彦 ◇ 講 演「 廃 熱回 収の た めの 熱電 変 換技 術お よ び材 料」 講師 :名 古 屋大 学大 学 院工 学研 究 科 准教 授 伊藤 孝至 マテ リ アル 理工 学 専攻 材 料 工学 分野 様 熱電 変換 技 術の 歴史 に つい ては 、 1800 年代 に 3 つの 効果 (ゼ ー ベ ック 効果 、 ペル チェ 効果 、ト ム ソン 効果 ) の発 見 が あ り、 その 後 しば らく 経 って 、1900 年代 に 実用 化が 進 ん だ。ただし、トムソン効果(トムソン=絶対温度の単位となっている“ケルビン卿”の 本名 )だけ は 今の とこ ろ応 用例 が ない 。ペル チェ 効果 は ほと んど が 冷却 に使 わ れ て いる 。 ゼーベック効果に基づく熱電発電は、廃熱利用による省エネに期待が持て、実際に 1 W 以下 ~ 100 kW と、 大 きな 幅の あ る規 模で 使 われ て お り 、こ れは ス ケー ル効 果 が 小 さい と いう 特長 を 活か して い る と いえ る 。 熱電 材料 の 性能 指 数 Z が変 換効 率 η に 及ぼ す関 係式 よ り、Z な ら び に ΔT の 増大 が η の向 上に 有 効と 分か る 。Z は温 度 によ り変 化 し 、最 適温 度 が存 在す るた め 、用 途 に応 じた 各温 度領 域 にお いて 、 各種 の材 料 が研 究開 発 され てい る 。 無次 元 量 ZT > 1 を 満 たす こと が 実用 上の 一 つの 目安 。 コス トも 重 要で 、 100 円/W が目 標。 材料 お よび 製造 方 法の 両面 か らコ スト 低 減の 可能 性 があ る。 研究 事例 を 紹介。CoSb 3 系材 料は 、熱 伝 導が 比較 的高 い のが 課題 。メカ ニカ ル アロ イン グ ( MA) に よ り 合 成 し た 後 、 ナ ノ 物 質 を 添 加 す る こ と で フ ォ ノ ン 散 乱 を 増 大 さ せ 、 改 善 を図 った 。 シリ サイ ド 系は 資源 量 が豊 富で 毒 性も なく 、中温 域で 有 望。p 型 マ ンガ ンリ ッ チシ リサ イド (HMS)は 、Mn と Si の ミル ポッ トへ の 付着 挙動 が 異な るの で 、別 々に メ カニ カル グ ライ ンデ ィ ング(MG)する 手法 で 作製。n 型 Mg 2 Si は 比重 が 小さ く 、軽 量モ ジュ ール に 向 く。Mg と Si の 沸点 差 が大 きく 、溶融 合 成が 難し いた め 、液 相 固相 反応(LSPR)法- パル ス放 電焼 結 (PDS)法 で合 成 。Mg 源 に Mg 合 金(AZ61) を使 うこ と で性 能が 向 上し た。 上述のように、熱電材料はピーク性能を示す最適温度領域が狭いため、低温型と高温 型を積層して使うとよい。温度分布に応じ、各部材の長さを調整する。熱膨張係数の差 で接合面にクラックが入るのを防ぐべく、界面で組成グラデーションすることで複合素 子を 作製 し た 。 ◇ 講 演「( 株)LIXIL にお ける 工 場廃 熱回 収 の取 組」 講師 :(株 )LIXIL 総 合研 究所 藤中 恵 都子 新事 業創 造 部 資源 ・ 省エ ネ設 備 G 様 タイル工場(伊賀上野工場)にスターリングエンジンを用いた廃熱回収、発電設備を 設置。スターリングエンジンは外燃機関であるため、熱源を選ばないことが特長。共同 研究 先 の e スタ ー( パ ナソ ニッ ク の社 内ベ ン チャ ー発 。現 在 の親 会 社は ヤン マ ー)社製 。 作動 ガス は 、気 体分 子 が小 さく 熱 伝導 率の 良 い He を用い て いる 。 効率 は約 20% だが 、 その 前段 で 9 割 が排 ガス 損失 に なる (エ ン ジン 入熱 効 率は 1 割 しか ない 。 その 1 割 の入 熱 の 2 割 ( 全体 の 2% 程度 )が 電 力に 変換 さ れる )。 環境 省委 託 事業 で実 証 試験 。ロ ー ラー ハー ス キル ンに 投 入し た熱 量 の 33% を占 める 廃 熱を 有効 利 用す べく 、 出力 5 kW のス ター リ ング エン ジ ン ×2 基を 設置 。 2 年目 に 系統 連 系を 行っ た が、 売電 は せず に工 場 内で 有効 利 用を 図る 。 現在 3 年 目( 最終 年 度) で、 同 様な 窯業 業 界で の有 効 利用 可能 性 ・採 算性 を 調査 中。 キル ン消 費 電力の 17%に相 当す る 2,219 kWh/月の 発電 量を 回 収。 コス トは イ ニシ ャル が大 きい が 、1 基 2 千 万円 のエ ン ジン は普 及 が進 めば 下 がる と考 え られ る。技 術の 波及 性 については、窯業業界全体が縮小傾向であることから、鉄鋼・金属業界も併せて調査。 しか しな が ら、 スタ ー リン グエ ン ジン に適 し た 600~700℃ の廃 熱 は、 すで に ボイ ラー 等 で回収されている。硫酸処理の工程で廃熱があり、耐酸性のあるシステムなら可能性が あ る との こ と 。 また 、 アル ミ業 界 はま だま だ 廃熱 の未 利 用多 く有 望 か。 結論として、廃熱回収システムを設置しても、キルン(及び最終製品)に影響が出な い こ とを 確 認 す るこ と でき た。 課 題は コス ト 。 ◇ 情 報提 供 補 助金 公 募情 報の 紹 介 三重 県工 業 研究 所 プ ロジ ェク ト 研究 課 主 幹研 究員 増田 峰知