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下部消化管疾患 大腸癌について
下部消化管疾患 大腸癌について 消化器外科 吉谷新一郎 疾患別死亡率 1位 3.5人に1人 主な部位別がん死亡率の推移 (人口10万人当たり) 3位 1位 人口動態統計(厚生労働省大臣官房統計情報部) 臓器別がんの実数(2015年見積もり) 新規がん罹患患者数 がん死亡者数 Total 889,587 Total 449,613 胃 139,193 肺 112,705 大腸癌 20万人 結腸 136,394 結腸/直腸 66,741 肺 135,455 肝 60,498 肝 93,039 胃 48,349 直腸 57,298 膵 39,072 2人に1人は癌に罹患 部位別5年相対生存率(男性) 大腸癌は約70% 部位別5年相対生存率(女性) 大腸癌は約70% 脂肪摂取量と大腸癌死亡率 危険因子に関連する非感染症疾病と 外因による死亡数 大腸の構造 結腸・直腸 管腔 5~8cm 約1.6m 機能 水分吸収 塩分吸収 排便機能 大腸壁の構造 粘膜(内側) 固有筋層 漿膜(外側) 漿膜の外側は、腹膜で閉鎖された腹腔 下部直腸には漿膜が無い (外膜), 癌 → A 大腸に発生した腫瘍は広義では大腸癌 しかし通常、大腸癌とは腺癌のみを指す 癌 粘膜 腺癌(大腸癌) SM 粘膜下層 悪性リンパ腫、カルチノイド腫瘍 MP 固有筋層 平滑筋肉腫、GIST M Ⅰ 漿膜下層 Ⅱ SS SE 漿膜 大腸の動脈系 大腸の静脈系 結腸では上腸間膜静脈および下間膜 静脈から門脈に流れ込み肝臓に到達 結腸癌で肝転移が多いのはこのため 中・下部直腸では内腸骨静脈を介して 下大静脈に流れ込み心臓に到達 直腸癌で肺転移が多いのはこのため 大腸癌発生と進展経路 APC K-RAS P-53 DCC 遺伝的素因による大腸癌 ①遺伝性非ポリポーシス性大腸癌(HNPCC) ②家族性大腸腺腫症 遺伝性非ポリポーシス性大腸癌(HNPCC) アムステルダム基準II(1999年) ミスマッチ修復遺伝子(MSH2・MLH1・MSH6・PMS1・PMS2)の変異 家系内に少なくとも3名のHNPCCに関連した腫瘍(大腸がん、子宮がん、小腸がん、 尿管あるいは腎盂のがん)が認められること そのうちの1名は他の2名に対して第一度近親者(親、子、兄弟)であること 少なくとも2世代にわたって発症していること 少なくとも1名は50歳未満で診断されていること 家族性大腸腺腫症が除外されていること 腫瘍の組織学的診断が確認されていること 家族性大腸腺腫症 常染色体優性遺伝 APC遺伝子異常 大腸がんの検査 腹部超音波検査 注腸造影 CT 下部消化管内視鏡 MRI 大腸癌壁深達度(T) 早期 進行 大腸の所属リンパ節(N) 大腸のリンパ節とリンパ流 大腸の所属リンパ節分類 赤:腸管傍リンパ節(第1群) 青:中間リンパ節(第2群) 黄:主リンパ節(側方リンパ節)(第3群) 白:主リンパ節より中枢のリンパ節 灰:その他のリンパ節 癌の進展(遠隔転移M) 病期分類 T N M 大腸癌の治療方針 ポリープとがん 内視鏡的治療 (ポリペクトミー、EMR) ポリペクトミー 内視鏡先端に装着したスネアを ポリープの根本にひっかけて一 気に焼き切る。 内視鏡的粘膜切除術(EMR) 平らな病変の粘膜下層に生理食塩水またはグリセリンを注入し、盛り上げてからスネアで切除する。 外科的追加手術を考慮する条件 切除垂直断端陽性 SM高度浸潤(浸潤実測値1mm以上) 脈管侵襲陽性 低分化腺癌・未分化癌 浸潤先進部の簇出(グレード2/3) 内視鏡的治療(ESD) 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) 局注 粘膜切開 粘膜周辺の切開 粘膜下層の剥離 血管処理 全剥離 ヒアルロン酸を粘膜下層に注入し病変を浮き上がらせ、高周波ナイフで粘膜を切開し、フック ナイフなどで粘膜を少しずつ剥離する。 適応基準 粘膜内癌、粘膜下層軽度浸潤 大きさは問わない 肉眼型は問わない 大腸癌の治療方針 結腸癌手術 リンパ節郭清 直腸癌の手術 直腸癌の手術 直腸切断術 人工肛門 直腸癌の手術 大腸癌の治療成績 治癒切除率 治癒切除例の累積5年生存率 9% 16% 20% 24% 大腸癌治癒切除後の再発率 30.8% 35 30 25 13.3% 20 15 3.7% 10 5 0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ 大腸癌の治療方針 補助化学療法 適応 1. R0の手術が行われたStageⅢ大腸癌 2. 主要臓器機能が保たれている • • • 3. 4. 5. 6. 骨髄:白血球>4,000/mm3,血小板>100,000/mm3 肝機能:総ビリルビン<2.0 mg/dL,AST/ALT<100 IU/L 腎機能:血清クレアチニン:施設基準値上限以下 performance status(PS)が 0~1 である 術後合併症から回復している 患者から文書による同意が得られている 重篤な合併症(特に,腸閉塞,下痢,発熱)がない 補助化学療法 推奨されている治療 5−FU/LV 療法 UFT/LV 療法 Cape FOLFOX CapeOX 分子標的薬 FOLFIRI 経口 • 投与期間 6 カ月を原則 2014年版 改定点 一次治療 FOLFOX/CapeOX +Bmab 二次治療 FOLFIRI+Bmab or IRIS/IRI FOLFIRI+Cmab/Pmab or IRI+Cmab/Pmab 三次治療 四次治療 IRI+Cmab/Pmab or Cmab/Pmab Regorafenib or 対症療法 Regorafenib or 対症療法 FOLFOX/CapOX +Bmab IRI+Cmab/Pmab or Cmab/Pmab FOLFOX+ Cmab/Pmab FOLFIRI+Bmab or IRIS/IRI Regorafenib or 対症療法 FOLFIRI+ Cmab/Pmab FOLFOX/CapOX +Bmab Regorafenib or 対症療法 FOLFIRI+Bmab Regorafenib or 対症療法 一次治療 FOLFOXIRI FL/Cape+Bmab or UFT/LV 二次治療 IRI+Cmab/Pmab or Cmab/Pmab 一次治療 から選択 三次治療 四次治療 Regorafenib or 対症療法 二次治療 から選択 三次治療 から選択 五次治療 Regorafenib or 対症療法 さらに 強力な治療が適応とならない患者 一次治療 二次治療 三次治療以降 対症療法 FL/Cape+Bmab or UFT/LV 最適なレジメン を考慮 対症療法 大腸癌に対する化学療法の変遷 3年 大腸癌検診を受けましょう! ご清聴ありがとうございました