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パラジクロルベンゼン [概要] 一般家庭用防虫剤としてもっともよく使用
パラジクロルベンゼン [概要] 一般家庭用防虫剤としてもっともよく使用されている。トイレ用芳香ボール にも使用されている。碁石型の防虫剤 1 個の重量は約 4g、トイレボールは約 40 ~200g である。最近、紙包装のもので、パラジクロルベンゼンにシリカゲル やゼオライトを加えたものなどさまざまな製品がある。 [毒性] ヒト経口最小致死量 857mg/kg (4) ヒト経口最小中毒量 300mg/kg(1)(4) [症状] 大量誤飲時: 悪心、嘔吐、下痢、腹痛(1 時間後位)、軽度の肝障害、腎障害 皮膚接触:紅斑性皮膚炎 蒸気に長期曝露:眼、鼻粘膜の刺激痛 [処置] 家庭で可能な処置 水をのませて催吐(牛乳は禁忌) 医療機関での処置 破片程度:下剤を与えて経過観察 大量誤飲:胃洗浄、下剤の投与、輸液(肝保護剤) 、対症療法 吸入 :新鮮な空気の所へ移す 気道確保し、必要ならば酸素吸入 対症療法 [確認事項] 1)商品名、成分:相談者がいう防虫剤の名前が必ずしも誤飲したものと一 致しない場合があるので、必ず商品名または成分を確認 (防虫剤の総称としてナフタリンやパラゾールということも多い)。 商品名が不明の場合は、資料の項の鑑別法を参照 2)摂取量:どの程度摂取したのか、口に入れたがすぐ出したか、1 個全部 食べたか、なめただけかなど 3)患者の状態:嘔吐の有無、その他変化の有無 4)誤飲後の時間経過 [情報提供時の要点] 1)なめた程度なら心配なし 2)体重 1kg あたり 0.1g 以上誤飲の場合には受診を指示。それ以下なら水を 飲ませて吐かせ、様子をみる [注意] 脂溶性であるので牛乳、油脂、脂肪食は、誤飲後 2 時間位は与えてはいけ ない [体内動態] 吸収:経口および吸入によりよく吸収され、脂肪組織に蓄積 分布:パラジクロルベンゼンおよび代謝産物は、脂肪、肝、腎臓の各組織 に多く分布 排泄:肝臓で代謝され、尿中に 90%以上排泄、便および呼気中にはごくわ ずか排泄 [中毒学的薬理作用] 中枢神経抑制作用、肝障害作用 [治療上の注意点] 1)活性炭と塩類下剤の投与は有効。ヒマシ油などの油性下剤の投与は禁忌 2)胃洗浄時に破片が吸引できるよう、太い胃管使用 3)血液透析、血液灌流、腹膜透析などの効果は期待できない [その他] 鑑別法:商品名不明の防虫剤の場合は、小片の比重の差を利用し次のよう に鑑別 カンフル:0.99、 ナフタリン:1.152、パラジクロルベンゼン:1.5 水に入れる :浮く→カンフル :沈む→飽和食塩水に入れる(比重 1.36) :浮く→ナフタリン :沈む→パラジクロルベンゼン 飽和食塩水・・・コップに水を入れ、食塩が底に沈む位大量に溶かす (コップ半分(100mL)の水に大匙 3 杯位) [参考文献] (1)RTECS (1997) (2)内藤裕史:中外医薬、37:10、1984 (3)福田妙子、他:救急医学、12(10):1513~1517、1988 (4)RTECS (2008)