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第19回IPPNW世界大会に参加して(前半)

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第19回IPPNW世界大会に参加して(前半)
昭和26年8月27日 第3種郵便物承認
広島県医師会速報(第2101号)
2010年(平成22年)
11月15日(54)
I
PPNW
(核戦争防止国際医師会議)コーナー
第19回IPPNW世界大会に参加して(前半)
広島大学医学部医学科4年 MINC部長
久保田 希
今回のIPPNW世界大会への参加は、私に
とって、「世界大会の参加も初、ヨーロッパ訪
問も初」と記念すべきものでした。次の世界大
会開催がスイスと耳にしてからずっと心待ちに
していた期待を何倍にも裏切ってくれ、何もか
もが新鮮で刺激的な体験となりました。
とくによい体験となったのは医師会議に先
立って開催された、学生会議への参加でした。
衝撃的だったのは、同じ医学生という立場で、
本気で平和を考え、本気で「自分たちにできる
こと」を考え、そして考えにとどまらず行動し
続けている欧州やアメリカ、中東の学生たちの
姿でした。昨年の地域会議とは規模、形式が
まったく違い、さまざまな方面・分野からの提
言、それを皆で考え能動的に学びを作り出し共
有 す る ワ ー ク シ ョ ッ プ の 数 々。ま ず ワ ー ク
ショップから自分の興味のある分野を選択する
という作業一つをとっても、その様子から諸外
国の学生たちが各自、確固たる興味や知識の幅
をもっているということを感じました。自分た
ち日本人はと言えば、興味はあるけど、英語力
からディスカッションベースのワークショップ
に不安を抱いたり、日本から参加した仲間がい
ないかと尻込みしたり、いかにこのような作業
になれていないかを痛感しました。また、実際
参加してみると、まず相手の話している内容の
すべては理解できず、自分の意見をもってもそ
れを表現することも、発表するための挙手も勇
気が出ず、ただただ活発に発言、提言、疑問を
出していく学生の姿に圧倒されました。そして
自分の住んでいる日本での学生活動が皆無であ
るという事実を改めて感じました。
医師会議ではプレナリーでのさまざまな方面
からの提言がとても興味深く、しかし自分の英
語力のなさから、その内容のすべてを理解でき
なかったことが歯がゆくもありました。しかし
日本のワークショップでは、これまで先生方が
されてきた経験、研究、またIPPNWへの思
いなどを受け止め、とても有意義な学びができ
たと感じました。
2年後の世界大会が広島開催となり、ますま
す今回の経験がとても重要だったと感じていま
す。自身が広島出身とあり、その意義や大切さ
をとても感じるとともに、訪れる人すべてに広
島でしか感じられないこと、学べないことを持
ち帰ってもらえたらと思っています。もちろん、
それまでには今回の会議で痛感し続けた、自分
の至らなさの克服も含め、また、日本学生の特
性などもうまく活用できるような準備をしなけ
ればと感じています。これからの日々の活動、
留学生との交流をしっかりものにしたいと思っ
ています。
今回の参加は、ただ世界を知るというだけで
なく、それを通して、自分自身の能力や、これ
から伸ばしたい面を見つめることができ、他で
は得られない経験だったと思います。このよう
な好機、そしてご支援やご声援をいただきまし
た、JPPNWの先生方、とくに親身となって
私達の支えとなってくださいました広島県支部
のみなさまに熱く謝意を示したいと思います。
本当にありがとうございました。またこれから
次回世界大会の成功に向けて学生活動を通し精
進してまいりますので、どうぞよろしくお願い
します。
広島大学医学部保健学科2年
天 根 江里奈
去年の8月に初めてIPPNWの会議へ参加
させていただき、いろいろな面で影響を与えら
れました。そして今年の8月にスイスで行われ
たIPPNWの世界会議にも参加させていただ
きました。去年の地方会議よりもさらに長い期
間の開催に加え、世界各国からの参加者がいる
ということで、期待と緊張の気持ちで現地へ向
かいました。
私にとって5日間の世界会議は非常に濃く、
深い内容でした。まだまだ英語力が足りない私
には専門家のお話などでは聞き取ることが出来
ず、ほとんど内容が判らないときもありました。
しかし、5日間のうち初めの2日間で開かれた
学生会議におけるワークショップでは多くの学
生とふれあい、彼らの意見を聞くことで世界の
(55)2010年(平成22年)
11月15日
広島県医師会速報(第2101号)
問題、核兵器に対する世界の見方が少しですが
理 解 で き ま し た。け れ ど も こ れ ら の ワ ー ク
ショップだけでなく、5日間の会議全体を通じ
て私が意見を言うことはありませんでした。
この世界会議を通して自分自身と向き合い、
今私に足りないものは何なのかということが
はっきり見えた気がします。第一に英語力。英
語を話すときに必要な語彙力が無く、さらにリ
スニングもあまり出来ないことが、先生たちの
お話を理解する際の壁になりました。第二に探
究心。何とか理解することが出来たお話でも、
ただ納得するだけでどうしてそう考えるのか、
どうしてそのような考えに至ったのか私自身は
こう思うがあなたはどうかなどという疑問を持
つことが出来ませんでした。多くの参加者は挙
手して質問をし自分の意見を述べていました。
ある事柄をより詳しく知りたいという思いや自
分と異なる考え方を持つ人の意見をより深く理
解したいという思いから出てくる疑問が私には
非常に少ないのだと思います。これでは会議に
参加したところで、世界と日本が近づくことは
出来ないのではないでしょうか。第三に積極性。
第二の探究心と関わってきますが、私には積極
性がまったくといっていいほど無かったようで
す。今までは結構積極的なほうだと自分をとら
えていました。しかし参加者に話しかけること
が出来なかったり、会議の中で疑問に思ったこ
とがあっても挙手しなかったりと、とても消極
的だということが分かりました。これは、英語
力も関係しています。私は英語が得意ではない
と書きましたが、このことがネックとなり、よ
り消極的になったのだと思います。英語力の上
達に伴い、この積極性そして探究心を持つこと
が出来るのではないかと考えています。なにし
ろ、私がまず努力していかないといけないのは、
英語なのだと思いました。そして、その英語力
が上がることで広島での出来事を世界に訴える
ことが出来、問題解決へ近づけると私は考えて
います。
世界会議は後悔の連続でしたが、同時に収穫
もたくさんありました。この世界会議の参加に
おいて、多大なご支援をしてくださったJPP
NW日本支部、広島支部の皆さまに深く感謝し
ております。本当にありがとうございました。
自分に足りないものと日々向き合い、もっと精
進していきたいと思っておりますので、これか
らもどうぞよろしくお願いします。
昭和26年8月27日 第3種郵便物承認
広島大学医学部医学科4年
大矢知 真 希
まず始めに、今回途中参加となってしまった
ことが、私自身大変残念であるとともに、今回
の参加に協力してくださった方々や一緒に広島
から参加した学生のみんなに大変申し訳なく
思っています。
言い訳としましては、私の当初の予定では、
フランスのシャルルドゴール空港からTGVで
バーゼル入りをする予定だったのですが、フラ
ンスのメトロの中でひったくりにあってパス
ポートを無くすというアクシデント。パリで足
止めをくらってしまいました。
ただ、途中から参加とはなってしまったもの
の、さまざまな国で同じ医者を目指している学
生たちと交流できたことや、日本、そして日本
以外の国のドクターたちの話は他ではなかなか
体験できない貴重で、興味深いものでありました。
私は医学生としてこのような国際的なイベン
トに参加するのは初めてだったのですが、私が
知り合った友達のほとんどが、他にも国際的な
活動に参加しており、アクティブに活動してい
て驚きました。
「ピース」について真剣に考え、
行動に移している学生がこんなにもいると知り、
自分ももっと積極的に活動していきたいと感じ
ました。
また、各国によって医学生を育てるシステム
が大幅に異なっていることにもショックを受け
ました。たとえば、入学してすぐ医学科に入る
のではなく、他の科で二年や四年勉強してから
医学を学ぶシステムだったり、日本でいう三回
生からもう実技を患者に施すことができる実習
システムだったりです。私は卒業するまではデ
スクワークや、ただ見ているということが主で
すので、早い段階から実技ができる点はとても
うらやましく思いました。
ドクターたちのお話は、主に日本の方のとこ
ろを選ばせていただきました。すべて英語とい
う環境に不安を感じながらも、同じ国の人が話
す英語だからなのか、思ったより内容をつかむ
ことができたと思っています。私は曲がりなり
にも四回生ということもあり、今までの学校の
講義で授かった知識が多少はあったのですが、
原爆に対する医学的なアプローチというのは今
まであまり聞いたことがなかったので、新鮮で、
こういってしまうと語弊があるかもしれません
が、面白かったです。
今回のIPPNWへの参加は、私に平和につ
いて再度考えさせるとともに、医学に従事する
昭和26年8月27日 第3種郵便物承認
広島県医師会速報(第2101号)
ものとして平和を考えるという新しい視点を私
にもたらしてくれました。IPPNWでめぐり
合ったたくさんの出会いに感謝したいと思いま
す。
広島大学医学部医学科5年
新 谷 祐 貴
この度スイスのバーゼルにて行われたIPP
NW世界大会に参加させていただきました。活
動内容ならびに感想を報告させていただきます。
私にとって今回の参加は昨年広島で行われた地
域会議に続き2回目でした。今回は世界大会と
いうことで、ヨーロッパやアフリカの医学生、
医師の先生方とも多々交流を図ることができ、
大変有意義なものとなりました。今回の活動内
容として大きく3つ報告させていただきます。
一つ目は平和活動に従事する先生方の講演へ
の参加・聴取です。WHOなどの大きな機関、
組織を通じて平和に関する活動をなさっている
先生方から、一人の平和活動家として、個人単
位で活動なさっている先生方まで活動の単位は
さまざまでした。講演で聴くことができた内容
は日本ではあまり報道されることのないものが
大部分でした。また、頻繁に報道されているも
のでもまったく別の視点から捉えてられていた
ため、多くの新たな情報、知識を広げられる素
晴らしい機会となりました。先生方の活動だけ
でなく、他国の医学生が行っているさまざまな
活動に関しても数多く知ることができました。
共感できるものも多々あり今後コンタクトを取
ることを考えています。
二つ目は医師や学生が主催するワークショッ
プへの参加です。当然のことながら、そのテー
マに沿った議題について自分の意見を発信する
ことが求められました。他国の医学生とのディ
スカッションを通じて感じたことは、
「積極性」
がいかに重要かということです。他国の人々に
自分の意見を十分に、はっきりと伝えるために
は英語の表現力はもちろん必須です。しかし、
それ以上に自分あるいは日本人に足りないもの
は世界に通用する積極性であることを痛感させ
られました。
三つ目は、カルチャーパーティーや船上パー
ティーなどでの各国医学生達との交流です。
各国医学生達と数多くコミュニケートすること
ができ、その国の文化、国民性など多くのリア
ルな情報を得ることができました。また彼らと
の交流を通して、これまで自分が抱いていた間
違った認識を変えることもでき、日本のことも
2010年(平成22年)
11月15日(56)
数多く伝えられたように思います。残念ながら、
ヨーロッパの学生達から返ってくる応答の中に
は、日本という国に対する無知と興味の低さを
少なからず感じることもありました。ヨーロッ
パではまだまだ日本はアジアの小国としか認識
されていないことも多いように思います。しか
し、個人単位でも自分が積極的に彼らとコミュ
ニケートすることで、自分を通して日本という
国に対する興味関心を喚起することが重要であ
ると感じました。
最後になりましたが、JPPNW日本支部、
広島県支部の多くの先生方、関係者の方々の多
大なる支援のもと、この度このような貴重な機
会を得ることができました。心よりお礼申し上
げます。
広島大学医学部医学科5年
菅 原 聖 子
今回のスイス大会は、私にとって2度目の世
界大会でした。2年前にあったインド大会は私
にとって大きな衝撃で、世界で活発に活動する
学生たちにたくさんエネルギーをもらったので
今回も参加を希望しました。
会議当日は2年前のインドでの世界大会や去
年広島で開催された北アジア・南アジア合同地
域会議で知り合った多くの学生たちとの再会に
喜びました。活発に活動している人から実習な
どが忙しく活動できていない人、すでに医師と
して働いている人など、各自の現状はさまざま
でしたがみんなそれぞれの目標を持って今回の
会議に参加しているようでした。
学生による活動報告やプレゼンがメインだっ
た前回のインド大会に比べ、今回の学生会議は
総じて先生方の講演がとても多くありました。
知識を増やす上では大変ためになりましたが、
専門家の先生方による講演は内容が難しく、ス
ライドが無い講演などでは理解できないことも
しばしばありました。また、学生が自分たちの
活動報告やポリシーの訴えをするようなプレゼ
ンテーションは少なく、その点が少し残念にも
感じました。
一方、ワークショップは各国の活動的な学生
によるものが主で、それぞれの国の代表格の学
生が積極的に取り仕切っていました。私はドイ
ツの学生が主催する「何かを始めるために必要
なこと」という内容のワークショップに参加し
ました。主催はIPPNWで積極的に反核の活
動をしている医学生と、医学生ではないが戦争
を知らない世代の若者たちを集めて戦争・平和
(57)2010年(平成22年)
11月15日
広島県医師会速報(第2101号)
について考えるためのツアーを企画立案した学
生の2名でした。イベントや企画を成功させる
ためのストラテジーを参加者全員で意見を出し
合いながら見出していくというものでした。主
催の学生をはじめ参加者の学生も、大まかな流
れの元、企画段階で見落としてしまいそうな細
かなポイントについてもそれぞれに意見を出し
合っていて、活発な議論になりました。
このワークショップで学ぶことも多かった一
方で、イベントを成功させるための条件がヨー
ロッパと日本では大きく違うことも実感しまし
た。例えばヨーロッパでは街中に必ず人が集ま
る広場があります。広場は不特定多数の人が集
まる場所であるとともに、十分な広さを持ち、
パフォーマンスには最適な場所だといえます。
こういった立地条件を活用してヨーロッパの学
生が実施している企画を日本にそのまま応用し
たとしても、うまくはいかないと思います。各
国の企画は非常にアイディアに富んでおり、参
考になったり刺激になったりすることは多いで
すが、日本には独自の文化的背景や町並み、人
柄があり、日本で企画・実行に移すとなると自
分たちなりの工夫が必要不可欠であると感じま
した。次回の世界大会は日本で開かれるという
ことで、この2年間は今まで以上に活動を活発
化していく必要があります。学年間、学校間で
の連携をとりつつ、独自の活動を行えたらいい
と思います。
最後に、今回の会議出席に当たりまして、広
島県医師会ならびにJPPNWの先生方には多
大なご支援・ご声援を賜りましたこと、お礼申
し上げます。本当にありがとうございました。
これからもご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお
願い申し上げます。
広島大学医学部医学科4年
玉 本 聖 佳
2010年8月25~30日にスイスのバーゼルで開
催されたIPPNW世界大会に参加してきまし
た。バーゼルはとても小さい町でしたが、町全
体に路面電車が走り、大きな川が流れ、少し広
島に似ているように感じました。信号がほとん
ど無かったことと、路面電車に乗り放題だった
ことと、街中にアートが溢れていたことに感激
しました。
今回の大会に参加する学生と若い医師は全員
同じユースホステルに宿泊でした。私は、2年
生の坪井さんと、エストニアの学生と、デン
マークの学生と、4人部屋でした。部屋でも英
昭和26年8月27日 第3種郵便物承認
語漬けなので気が休まりませんでしたが、今回
参加した多くの日本人学生が日本人ばかりの部
屋だったようなので、同室の外国の学生と仲良
くなれてとてもラッキーでした。このエストニ
アとデンマークの学生は、学生会議の前に行わ
れる自転車ツアーのスタッフで、2週間で7
00
灼のツアーをしてきたそうです。デンマークの
学生に“2年後に開催される広島大会では、お
そらく長崎~広島間の5
00灼のツアーになるだろ
う”と言うと、“とても cool
!
!だけど距離が短
い。私に o
r
ga
ni
z
eさせて”と言っていました。
また、曾祖父母が被爆者だと話すと、広島の事
をいろいろと質問され、私の拙い英語での説明
に真剣に耳を傾けて、時に共感したり、自分の
考えを述べてくれたりしました。積極的でパワ
フルで、見習うべき所をたくさん持ったこの学
生と仲良くなれたことが今回の大会の1番の収
穫かもしれません。
今回の大会は25、26日に学生会議が行われま
した。25日の午前は発表を聞き、午後から2つ
の wo
r
ks
ho
pに参加しました。1つ目の wo
r
ks
ho
pは先生の話がとても面白く、もっと話が聞
いてみたいと思い、26日の夜の di
nne
rの時に話
かけました。この先生は“もっと s
i
mpl
eに r
e
t
hi
nkしてみよう。”と、びっくりするような、
それでいて感心させられてしまう発想で紛争地
帯の問題に取り組んでおられました。次回の広
pをしていただきたいです。
島大会でも wo
r
ks
ho
2つ目の wo
r
ks
ho
pは6人ごとに、10の段階を
経て“核兵器廃絶の方法”を考えて発表する、
というものでした。この1
0段階で考える方法は
とても興味深く、広島でMINCのメンバーと
さまざまなテーマでやってみたいと思いました。
また、この wo
r
ks
ho
pでは自分の英語力と積極
性のなさを痛感しました。言いたいことがうま
く伝えられない上に、先に似たような考えの人
が発言してしまうと何も言えなくなり、本当に
歯がゆい思いをしました。次回は広島大会なの
で、もっと勉強して、こんな思いをせずに、世
界の学生を気持ちよくお迎えしたいと思います。
他にも、25日の夜の par
t
y、26日の wor
ks
ho
p、27日からの本会議での先生方の発表など
…初参加の私にとって、何もかもが新鮮で面白
く、本当にたくさんの素晴らしい経験ができま
した。
最後になりますが、このような貴重な機会を
与えて下さったJPPNWの先生方に深く感謝
を申し上げます。ありがとうございました。
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